JP2012092411A - 高炉操業方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鉄原料の装入の1チャージを、炉中心部への装入バッチと当該炉中心部より炉壁側の炉周辺部への装入バッチとの少なくとも2バッチに分割する。そして、炉周辺部(r/Rが0.7以上1以下の領域)の鉄原料中に混合される高RDIの鉄原料の比率が炉中心部と比較して高くなるように鉄原料を装入する。また、炉周辺部の鉱石層厚比を低減することで炉周辺部のガス流量を増加する。高RDIの鉄原料としては、高結晶水含有の塊鉱石(結晶水を4.0質量%以上含有)を用いることが好ましい。
【選択図】 図4
Description
高品位の鉄鉱石、石炭を用いないでも、炉内における粉の発生量を低減することのできる高炉操業方法として、例えば、特許文献1に記載の技術がある。これは、鉄原料の一部または全部が高炉装入前に還元率11〜30%に還元されているものを用いる方法である。
そこで、本発明は、高RDIの鉄原料のように低品位な原料を使用した高炉操業においても、還元材比を増加させずに、低コストで、安定した操業を継続することができる高炉操業方法を提供することを課題としている。
すなわち、原燃料性状の向上やコストアップ、還元材比の増加を行うことなく、安定した操業を継続することができる高炉操業方法とすることができる。
これにより、効果的に炉周辺部のガス流量を増加させることができる。このとき、全体のコークス量を変えずに炉周辺部のガス流量を増加することができるので、還元材比を維持することができる。
これにより、効果的に炉周辺部のガス流量を増加させることができる。このとき、炉中心部と炉周辺部とで装入物の粒径を変更するだけなので、比較的制御が容易である。
高炉の無次元半径r/Rが0.7以上1以下の領域は、炉中心に比べ低温領域500〜700℃が広がっている。還元粉化による炉内の通気性不良が問題となるのは装入物が低温領域に長く留まる炉壁側であることから、この0.7≦r/R≦1の領域内で上記炉周辺部を設定し、ガス流量を増加させることで、効果的に炉内の還元粉化量を抑制することができる。
高結晶水含有の塊鉱石は、高炉で一般的に使用される他の塊鉱石類に比べて還元粉化指数RDIが高く、通気抵抗悪化を引き起こし易い。このような鉄原料を用いた場合であっても、効果的に安定操業を確保することができ有用である。
本発明者らは、還元粉化指数RDIの高い鉄原料を装入した条件での炉内通気性を評価するために、高炉数式モデルを使用して高炉操業状態をシミュレートした。
高炉数式モデルとしては、『「高炉操業シミュレータの開発と溶銑シリコン低減への適用」,川崎製鉄技報,Vol29(1997),p30−36』に示されているものを用いた。このモデルは、装入物分布予測モデルと高炉2次元定常モデルから構成される。
計算条件及び炉内圧損失の計算結果を表1に示す。
図1に示すように、r/Rが0.85以上の炉壁側領域で、炉中間部の鉱石層厚比(LO/(LO+LC))を維持する装入パターン[1]と、r/Rが0.85以上の炉壁側領域で、炉中間部に対して鉱石層厚比(LO/(LO+LC))を低減する装入パターン[2]との2つの装入パターンを用意し、シミュレートする。なお、(LO/(LO+LC))が小さいほどガス流量が多いことを示す。
図2及び図3において、符号1は炉壁、符号2は高炉の中心軸である。ここでは、コークス層を形成する1チャージ分のコークスを2バッチに分割して装入するものとし、1バッチ目でコークス層3aを形成し、2バッチ目でコークス層3bを形成する。また、鉱石層を形成するための鉄原料の装入の1チャージを、炉中心部への装入バッチと当該炉中心部より炉壁側の炉周辺部への装入バッチとの2バッチに分割し、1バッチ目で鉱石層4aを形成し、2バッチ目で鉱石層4bを形成する。
Case1は、Baseに対して、炉中心部と炉周辺部とで均一にRDI値を増加させた例(平均RDI値:33%)である。また、Case2は、平均RDI値はCase1と同等とし、高RDIの鉄原料を炉周辺部に多配合した例(周辺部RDI値:36%)である。これらCase1及びCase2では、Baseと同様に、装入面積比を1:1、即ちr/R=0.7以上1以下の領域を炉周辺部とすると共に、鉱石層厚比分布として装入パターン[1]を適用している。
図4は、炉内圧力損失の計算結果を示す図である。この図4からも明らかなように、Case1ではRDI値の増加に伴い炉内圧力損失が増加している。またCase2のように、炉周辺部の鉱石層厚比を低減せずに(ガス流量を増加せずに)炉周辺部に高RDI鉱石を偏析装入するだけでは、炉内圧力損失が増加してしまうことがわかる。
図5は、炉周辺部(r/R=0.9)における高炉内の温度分布を示す図である。ここでは、装入パターン[1]での高炉内温度分布と、装入パターン[2]での高炉内温度分布とを示している。
図5の[1]に示すように、一般に炉周辺部においては、炉内に装入された焼結鉱や塊鉱石などの鉄原料の還元粉化が最も発生しやすい500〜700℃の低温領域が広範囲に広がっている。ところが、炉周辺部の鉱石層厚比を低減してガス流量を増加すると、図5の[2]に示すように、この炉周辺部において低温領域となる範囲が狭くなる。
Case3及びCase4では、炉周辺部のガス流量を増加させて低温領域となる範囲を狭くし、その炉周辺部に高RDIの鉄原料を装入したために、炉内圧力損失が低下したものと考えられる。
そこで、本実施形態では、炉頂から酸化鉄を主体とする鉄原料とコークスとを装入することで、コークス層と鉱石層とを交互に形成するものとし、炉周辺部において鉱石層圧比(LO/(LO+LC))を低減することで、炉周辺部のガス流量を増加する。すなわち、図3に示す装入パターン[2]を適用する。
高RDIの鉄原料としては、高結晶水含有の塊鉱石(結晶水を4.0質量%以上含有)を用いる。また、炉周辺部は、無次元半径r/Rが、0.85以上1以下の範囲となる領域とする。
以下、実施例により本発明の効果を具体的に説明する。
ここでは、内容積5000m3の高炉を用い、炉頂から酸化鉄を主体とする鉄原料とコークスとを装入して鉱石層とコークス層とを交互に形成する際に、鉄原料を2バッチに分割して1バッチ目を炉中心部に装入、2バッチ目を炉周辺部に装入する装入方法で操業を行った。
比較例1として、還元材比:495kg/t、鉄原料の平均RDI値:35%、鉱石層厚比分布を装入パターン[1](炉周辺部のガス流量:base)として操業を行い、これを基準とした。この比較例1では、炉中心部と炉周辺部とで、鉄原料のRDI値を等しくしている。
さらに実施例として、平均RDI値は比較例1と等しくし、RDI値が高い鉄原料を炉周辺部に多配合すると共に(周辺部RDI:38%)、鉱石層厚比分布を装入パターン[2](炉周辺部のガス流量:up)に変更して操業を行った。
上記の方法でそれぞれ操業を行い、通気抵抗指数と還元材比とを調査した。その結果を表2に示す。
このように、炉周辺部のガス流量を増加するので、当該炉周辺部において500〜700℃の低温領域が広がっている範囲を狭めることができる。そのため、還元粉化を抑制して安定操業を継続することができる。このとき、炉周辺部の鉱石層圧比を低減することで、効果的に炉周辺部のガス流量を増加することができる。
以上のように、原燃料性状の向上やコストアップ、還元材比の増加を行うことなく、高炉内の通気性を改善して、安定した操業を継続することができる高炉操業方法とすることができる。
なお、上記実施形態においては、鉱石層圧比を低減することでガス流量を増加する場合について説明したが、鉱石層を形成する鉄原料またはコークス層を形成するコークスの粒径を増大することで、ガス流量を増加するようにしてもよい。さらには、鉱石層圧比と原料の粒径の両方を制御してガス流量を増加するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、鉱石層を形成する際、1チャージ分の鉄原料を2バッチに分割して装入する場合について説明したが、3バッチ以上としてもよい。
さらに、上記実施形態では、高炉の無次元半径r/Rが0.85以上1以下の領域を炉周辺部として設定する場合について説明したが、無次元半径r/Rが0.7以上1以下の領域内であれば同様の効果を得られるため、例えば、無次元半径r/Rが0.7以上1以下の領域を炉周辺部としてもよい。
Claims (5)
- 炉頂から酸化鉄を主体とする鉄原料とコークスとを装入し、鉱石層とコークス層とを交互に形成する高炉操業方法であって、
前記鉱石層は、還元粉化指数の異なる複数の鉄原料を含んでおり、
前記鉱石層を形成するための鉄原料の装入の1チャージを、炉中心部への装入バッチと当該炉中心部より炉壁側の炉周辺部への装入バッチとの少なくとも2バッチに分割し、前記炉周辺部への装入バッチの前記鉄原料中に混合される還元粉化指数が基準値以上の鉄原料の比率が、前記炉中心部への装入バッチと比較して高くなるように前記鉄原料を装入すると共に、前記炉周辺部のガス流量が増加するように前記鉄原料及び前記コークスを装入することを特徴とする高炉操業方法。 - 前記炉周辺部において、鉱石層厚とコークス層厚との和に対する前記鉱石層厚の比を低減することで、前記炉周辺部のガス流量を増加させることを特徴とする請求項1に記載の高炉操業方法。
- 前記炉周辺部において、前記鉄原料及び前記コークスの少なくとも一方の粒径を増大することで、前記炉周辺部のガス流量を増加させることを特徴とする請求項1又は2に記載の高炉操業方法。
- 前記炉周辺部は、高炉の半径をR、高炉の中心からの半径方向の位置をrとしたときの高炉の無次元半径r/Rが0.7以上1以下の領域内で設定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の高炉操業方法。
- 還元粉化指数が前記基準値以上の鉄原料は、高結晶水含有の塊鉱石であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の高炉操業方法。
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