JP5768563B2 - 高炉操業方法 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、高RDIの鉄原料のように低品位な原料を使用した高炉操業においても、還元材比を増加させずに、低コストで、安定した操業を継続することができる高炉操業方法を提供することを課題としている。
このように、鉱石層を鉄原料(焼結鉱)とコークスとの混合層とすると、鉱石層を焼結鉱単独とする場合と比較して還元粉化率を低減することができる。
したがって、高RDIの鉄原料のような低品位な原料を使用する場合であっても、高炉内の通気性を改善することができ、還元材比を増加せずに安定した操業を継続することができる。すなわち、低RDIの鉄原料のような高品位な原料を用いて通気性改善を図る場合と比較して、コストを削減することができる。
このように、原燃料性状の向上やコストアップ、還元材比の増加を行うことなく、安定した操業を継続することができる高炉操業方法とすることができる。
高結晶水含有の塊鉱石は、高炉で一般的に使用される他の塊鉱石類に比べて還元粉化指数RDIが高く、通気抵抗悪化を引き起こし易い。このような鉄原料を用いた場合であっても、効果的に通気性を改善することができ有用である。
本発明者らは、鉱石層中に混合して装入するコークス量が高炉操業に及ぼす影響を調査するために、図1に示す装置を用いて還元試験を行った。
図中、試料10は、内径100mmφの黒鉛るつぼ11に充填されている。黒鉛るつぼ11は、加熱炉12内に設置する。加熱炉12は、パンチ棒13と、熱電対14と、ヒーター15と、炉芯管16とを備える。パンチ棒13は、図示しないエアシリンダ等により駆動され、試料10に対して荷重を付加するようになっている。また、図中符号17は混合ガス(N2/CO/CO2)、符号18は排ガス(ガス分析)、符号19は滴下物サンプリング装置である。
このような還元装置を用い、高炉内を模擬したガス組成、温度、荷重をプログラムで制御して実験を行った。図2に試験条件として設定したガス組成、温度、荷重を示す。
実験は、図2に示す条件下で昇温還元を行った。同等の試料を6段階の温度条件分用意し、それぞれ温度が500℃、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃に到達した時点で昇温を中断して焼結鉱を取り出した。
この還元実験を上記発明例と上記比較例について実施し、得られた焼結鉱に対して、JIS M 8720に規定された転動試験により機械的負荷を与えて回転粉化を行い、その後、篩分けを行って2.8mm角の網を通過したもの(−2.8mm)の割合を還元粉化率とした。
この図3に示すように、600℃までは焼結鉱単独の場合、焼結鉱とコークスの混合層の場合いずれにおいても還元粉化率はほぼ同等の値を示す。ところが、700℃以上では焼結鉱とコークスの混合層の方が還元粉化率は低くなる。
以上により、鉱石層中にコークスを混合して装入する方法は、高炉の通気性を改善して還元粉化を抑制する効果があることが分かった。
そこで、本実施形態では、炉頂から酸化鉄を主体とする鉄原料とコークスとを装入することで、コークス層と鉱石層とを交互に形成するものとし、鉱石層を鉄原料とコークスとでなる混合層とする。
混合コークス量を増加した炉周辺部は、還元粉化が抑制されると考えられるため、この炉周辺部に高RDIの鉄原料を装入すれば、高RDIの鉄原料の還元粉化が抑制され、低品位な高RDIの鉄原料を使用した場合であっても高炉全体の通気性を維持できると考えられる。そこで、本実施形態では、高RDIの鉄原料を炉周辺部に多配合するようにする。
図中、符号1は炉壁、符号2は高炉の中心軸である。本実施形態では、炉頂から酸化鉄を主体とする鉄原料とコークスとを装入することで、コークス層(3a,3b)と鉱石層(4a,4b)とを交互に形成する。ここで、図5は鉱石層4bを形成する前の状態、図6は鉱石層4bを形成した後の状態を示している。
原料を炉周辺部に装入する方法は、高炉設備により異なり、例えば、ムーバブルアーマーの突出し量を調整する方法や、旋回シュートの傾動角を調節する方法等がある。このときの平均装入位置は、r/Rが0.7の位置であればよい。また、ベル−ムーバブルアーマー装入であっても、ベルレス装入で壁側から中心に向けて装入する順傾動装入であっても、更には中心から壁側に向けて装入する逆傾動装入であってもよい。
以下、実施例により本発明の効果を具体的に説明する。
ここでは、内容積5000m3の高炉を用い、炉頂から酸化鉄を主体とする鉄原料とコークスとを装入して鉱石層とコークス層とを交互に形成する際に、鉱石層を形成する原料を2バッチに分割して1バッチ目を炉中心部に装入、2バッチ目を炉周辺部に装入する装入方法で操業を行った。
比較例1として、還元材比:495kg/t、鉄原料の平均RDI値:35%、平均混合コークス量:110kg/tとして操業を行い、これを基準とした。この比較例1では、炉中心部と炉周辺部とで、鉄原料の平均RDI値および混合コークス量を等しくしている。
さらに実施例として、平均RDI値および平均混合コークス量は比較例1と等しくし、高RDIの鉄原料を炉周辺部に多配合すると共に(周辺部RDI:38%)、炉周辺部の混合コークス量を増加させて(周辺部混合コークス量:133kg/t)操業を行った。
上記の方法でそれぞれ操業を行い、通気抵抗指数と還元材比とを調査した。その結果を表1に示す。
さらに、炉周辺部を無次元半径r/Rが0.7以上1以下の領域とするので、鉄原料の還元粉化を効果的に抑制することができ、通気性が大きく改善され、安定操業を継続することができる。
以上のように、原燃料性状の向上やコストアップ、還元材比の増加を行うことなく、高炉内の通気性を改善して、安定した操業を継続することができる高炉操業方法とすることができる。
なお、上記実施形態においては、鉱石層を形成する際、1チャージ分の原料を2バッチに分割して装入する場合について説明したが、3バッチ以上としてもよい。
また、上記実施形態においては、高RDIの鉄原料として高結晶水含有の塊鉱石を使用する場合について説明したが、RDI値が基準値以上となる鉄原料であれば、焼結鉱及び塊鉱石の何れであってもよい。
さらに、上記実施形態では、高炉の無次元半径r/Rが0.7以上1以下の領域を炉周辺部として設定する場合について説明したが、無次元半径r/Rが0.7以上1以下の領域内であればよく、例えば、無次元半径r/Rが0.85以上1以下の領域を炉周辺部としても同様の効果が得られる。
Claims (2)
- 炉頂から酸化鉄を主体とする鉄原料とコークスとを装入し、鉱石層とコークス層とを交互に形成する高炉操業方法であって、
前記鉱石層は、還元粉化指数の異なる複数の鉄原料とコークスとを含んでおり、
前記鉱石層を形成するための原料の装入の1チャージを、炉中心部への装入バッチと当該炉中心部より炉壁側の炉周辺部への装入バッチとの少なくとも2バッチに分割し、前記炉周辺部への装入バッチ中の還元粉化指数が基準値以上の鉄原料の比率、及び前記炉周辺部への装入バッチ中のコークスの比率が、それぞれ前記炉中心部への装入バッチ中の比率と比較して高くなるように前記原料を装入するものであり、
前記炉周辺部は、高炉の半径をR、高炉の中心からの半径方向の位置をrとしたときの高炉の無次元半径r/Rが0.7以上1以下の領域で設定されるとともに、前記炉中心部は、前記高炉の無次元半径r/Rが0以上0.7未満の領域で設定されることを特徴とする高炉操業方法。 - 還元粉化指数が前記基準値以上の鉄原料は、高結晶水含有の塊鉱石であることを特徴とする請求項1に記載の高炉操業方法。
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