JP2012088356A - 光ファイバ心線及びそれを備えた光電気複合ケーブル - Google Patents

光ファイバ心線及びそれを備えた光電気複合ケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】小径に曲げても伝送損失の増加量が少なく、また、マイクロベンドロスが抑制された光ファイバ心線及びそれを備えた光電気複合ケーブルを提供する。
【解決手段】石英ガラスからなるコアガラス2の外周にコアガラス2より屈折率の低い樹脂からなるクラッド層3が形成された光ファイバ素線4の外周に、樹脂被覆層5が設けられた光ファイバ心線1であって、コアガラス2のコア径が50μm以上100μm以下であり、コアガラス2とクラッド層3の比屈折率差が3.7%以上であり、光ファイバ素線4の外径が125μmであり、樹脂被覆層5の外径が0.5mm以上0.9mm以下であり、樹脂被覆層5のヤング率が、500MPa以上1000MPa以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバ素線の外周に樹脂被覆層を被覆した光ファイバ心線及びそれを備えた光電気複合ケーブルに関する。
光ファイバ心線の一種には、ハードポリマークラッドファイバ心線と呼ばれるものがある(例えば、特許文献1)。この光ファイバ心線は、石英系ガラスからなるコア径195μm〜205μmのコアガラスの外周に、該ガラスよりも屈折率の低いフッ素系樹脂を厚さ15μm程度のクラッド層として被覆して光ファイバ素線とし、その外周にフッ素系熱可塑性樹脂からなる樹脂被覆層を押出被覆して外径0.5mm又は0.9mmとしたものである。
実開昭62−135309号公報
コア径200μm以上の上記の光ファイバ心線では、小径に曲げると伝送損失が増加する。また、曲げた状態で長期間置くとガラスが破断するため、許容曲げ半径が一般的に15mm以上に制限される。このため、配線時に注意が必要であり、工場などで使用することはできても、一般の家庭内やオフィス等で、USBケーブルやHDMIケーブルなどの機器間配線用ケーブルとして、安心して使用することが難しかった。
また、光ファイバ心線の伝送損失は、光ファイバ素線の周りに被覆される樹脂の物性や構造に大きく影響を受ける。被覆樹脂が硬化後の既に安定した状態にあっても、巻き替え等の工程時に光ファイバ心線に新たに付加される応力や歪みによって、被覆樹脂中に物理的な微小な残留応力や残留歪みが生じ、この残留応力/歪みの分布が光ファイバ心線中で不均一な場合は、マイクロベンドロスと呼ばれる過剰伝送損失が発生することがある。
本発明の目的は、小径(曲げ半径数mm程度)に曲げても伝送損失の増加量が少なく、また、マイクロベンドロスが抑制された光ファイバ心線及びそれを備えた光電気複合ケーブルを提供することにある。
上記課題を解決することのできる本発明の光ファイバ心線は、石英ガラスからなるコアガラスの外周に前記コアガラスより屈折率の低い樹脂からなるクラッド層が形成された光ファイバ素線の外周に、樹脂被覆層が設けられた光ファイバ心線であって、
前記コアガラスのコア径が50μm以上100μm以下であり、
前記コアガラスと前記クラッド層の比屈折率差が3.7%以上であり、
前記光ファイバ素線の外径が125μmであり、
前記樹脂被覆層の外径が0.5mm以上0.9mm以下であり、
前記樹脂被覆層のヤング率が、500MPa以上1000MPa以下であることを特徴とする。
また、本発明の光電気複合ケーブルは、上記の光ファイバ心線の周りに複数本の電線が配置され、その外周が外被で被覆されていることを特徴とする。
本発明の光ファイバ心線によれば、曲げに伴う伝送損失が少なく、周囲の温度が変化しても伝送損失の増加が少なく、かつ接続損失が少ない。さらに、曲げ半径数mm程度に曲げてもコアが破断する心配がなく、破断確率を10−6以下とすることができ、機器間配線用ケーブルとして一般家庭やオフィス等で安心して使用することができる。また、10Gbpsの高速伝送でも使用することができる。
また、外径125μmの光ファイバ素線に被覆した樹脂被覆層を、外径0.5mm以上0.9mm以下とし、そのヤング率を500MPa以上1000MPa以下とすることにより、曲げることによる伝送損失を抑制するために必要な一定の強度を維持しつつ、マイクロベンドロスを抑制することができる。また、脆化を防止し、必要な伸びを維持しつつ、マイクロベンドロスを抑制することについて、より顕著な効果が得られ易くなる。
また、本発明の光電気複合ケーブルによれば、抗張力体などの補強部材やシースなどの保護部材を設けることなく、光ファイバ素線への電線等からの側圧の付与及び光ファイバ素線の曲げや捻じれによる伝送損失の増加を抑制し、良好な伝送特性を維持することができる。これにより、抗張力体などの補強部材やシースなどの保護部材を設ける場合と比較して、大径化を招くことなく、光ファイバ心線の良好な伝送特性を維持することができる。
本発明に係る光ファイバ心線の実施形態の例を示す概略断面図である。 図1の光ファイバ心線の屈折率分布を示す図である。 本発明に係る光電気複合ケーブルの実施形態の例を示す断面図である。
以下、本発明に係る光ファイバ心線及びそれを備えた光電気複合ケーブルの実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、光ファイバ心線1は、プラスチッククラッド光ファイバ素線(以下、光ファイバ素線と呼ぶ)4と、その外周に設けられた樹脂被覆層5とを有する。光ファイバ素線4は、石英系ガラスからなるコアガラス2と、このコアガラス2の外周に設けられコアガラス2より屈折率の低い樹脂である紫外線硬化型フッ化アクリレート樹脂などの紫外線硬化型フッ素樹脂からなるクラッド層3とを備えている。
本実施形態に係る光ファイバ心線1の寸法を例示する。
コアガラス2のコア径d1:50μm〜100μm
クラッド層3のクラッド径d2:125μm
クラッド層3の厚さt:12.5μm〜37.5μm
クラッド径d2/コア径d1:1.25〜2.5
樹脂被覆層5の外径d3:0.5mm〜0.9mm
光ファイバ素線4のコアガラス2の屈折率は、シリカガラスにゲルマニウム(Ge)が添加されることにより純シリカより高くなっている。コアガラス2の屈折率分布は、図2に示すように、外周面から中心に向う程比屈折率差Δが大きくなり、コアガラス2の中心で比屈折率差Δが最大(Aレベル)となるグレーデッドインデックス(GI)と、コアガラス2の屈折率がほぼ一定値であるステップインデックス(SI)とがある。例えば、コアガラス2の外周の比屈折率差Δは純シリカ対比でゼロ(Bレベル)である。クラッド層3の屈折率は、フッ素が添加されることにより純シリカより屈折率が低くなっている。クラッド層3に対するコアガラス比屈折率差は3.7%以上である。本発明の光ファイバ心線1の開口数は0.40以上であることが好ましい。
クラッド層3の樹脂としては、コアガラス2に対して屈折率が低く、紫外線等の活性エネルギー線で硬化することが可能であり、さらにはこの樹脂組成物を硬化することによって機械的強度があり、可撓性を有し、かつ透明性に優れた硬化物が得られる樹脂であることが必要である。
このような樹脂には、(a)分子内にフッ素原子を含有する(メタ)アクリレート単量体または重合体、(b)(メタ)アクリレート単量体または重合体、(c)コア材と化学結合を形成するカップリング剤、および(d)光重合開始剤から成る樹脂組成物を用いることが好ましい。
成分(a)の分子中のフッ素原子数または成分を変えることや樹脂組成物中の成分(a)の濃度を変えることにより、望ましい屈折率を得ることができる。分子内にフッ素原子を含有する(メタ)アクリレート単量体(a1)としては、下記化学式(A)の物質や、2個以上の不飽和結合を有するものとして化学式(B1)乃至(B3)の物質が挙げられる。
化学式(A)
Figure 2012088356
化学式(B1)
Figure 2012088356
化学式(B2)
Figure 2012088356
化学式(B3)
Figure 2012088356
フッ素原子を含有する(メタ)アクリレート重合体(a2)として、例えば数平均分子量が5万〜500万(スチレン換算)の下記化学式(C)で示されるような、エステル側鎖不飽和結合を有する(メタ)アクリレート共重合体を挙げることができる。
化学式(C)
Figure 2012088356
[式中、R1およびR2はそれぞれ水素またはメチル基、Rfはフルオロアルキル基、Rxは不飽和結合を有する炭化水素基を表す。]
Rx基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、内部オレフィン等を挙げることができる。
Rf基としては、−(CH)a−(CF)b−CF
[式中、aは1または2、bは2〜6である。]
を例示できる。
(メタ)アクリレート単量体(b)としては、架橋性、即ち2個以上の不飽和結合を有するものとして、例えば次の化合物が挙げられる:
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。
カップリング剤(c)としては、例えば、次の化合物が挙げられる:
トリメトキシビニルシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルエトキシビニルシラン等。
また、分子内に2個以上の不飽和結合を持つものとして、例えば、次の化合物が挙げられる:
ジエトキシジビニルシラン、ジメトキシジビニルシラン、ジメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等。
光重合開始剤(d)としては、紫外線照射により容易にラジカルを発生する化合物が望ましく、次の化合物が挙げられる:
ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン。
上述の構成の樹脂組成物を樹脂液とし、この樹脂液をコアに塗布してさらに紫外線を照射してクラッド層3を製造する形態が好ましい。樹脂液の塗布方法は、ダイスコーティング方式とすることが好ましい。
樹脂被覆層5は、光ファイバ素線4の外周上に形成された硬化樹脂の層であり、例えば、厚さを187.5μm〜387.5μmとすることができる。
樹脂被覆層5を形成する硬化樹脂は、例えば紫外線硬化型で構成されており、その硬化後のヤング率Eは、500MPa以上1000MPa以下であることが好ましい。樹脂被覆層5のヤング率Eが500MPa未満であると、側圧特性が不十分となって光ファイバ素線4へ側圧が伝わり易くなる。樹脂被覆層5のヤング率Eが1000MPaを超えると、光ファイバ心線1が脆化し、必要な伸びを維持することが困難となる。ヤング率Eを500MPa以上1000MPa以下とすることにより、光ファイバ心線1の脆化を防止し、必要な伸びを維持しつつ、マイクロベンドロスを抑制することについて、より顕著な効果が得られ易くなる。
光ファイバ心線1において、コアガラス2のコア径d1を50μm〜100μm、かつクラッド層3に対するコアガラス2の比屈折率差を3.7%以上とすることで、半径2mmに曲げたときの波長850nmの光の伝送損失増加量を0.4dB/10ターン以下とすることができる。これにより、一般の家庭やオフィス等でこの光ファイバ心線1を含むUSBケーブルやHDMIケーブルを使用することができる。
さらに、クラッド層3の厚さを20μm以上とすることで、−40℃〜85℃の温度変化による波長850nmの光の伝送損失増加量を0.3dB以下とすることができる。
クラッド層3が薄い場合はマイクロベンドロスが大きくなり、周囲の温度の変化による伝送損失増加が大きくなると考えられる。ここで、温度変化による伝送損失の増加は、試験品が置かれた雰囲気の温度を、室温→80℃→−45℃→室温と変化させるヒートサイクルを10回繰り返した後の伝送損失の増加である。80℃と−45℃で2時間〜4時間保持し、温度変化させるときの変化率は1℃/分とする。コア径が100μmであるときにクラッド層3の厚さを12.5μmとすると、クラッド径/コア径の比が最小値1.25となる。
クラッド層3の厚さが厚い程、コアガラス2の中心がクラッド層3の中心からずれる量も大きくなる。光ファイバ心線1を他の光ファイバ心線またはその他の光ファイバと接続するときには、クラッド層3の外周が一致するように接続する。そのときにクラッド層3の中心からコアガラス2の中心がずれていると、コアガラス2どうしがずれて接続される。そうなるとコアガラス2を伝わる光が接続箇所で漏れてしまい接続損失が大きくなる。クラッド層3の厚さが37.5μm以下であるとコアガラス2の中心がクラッド層3の中心からずれる量が小さく、波長850nmの光の接続損失を実用的に問題ない範囲(0.5dB以下)とすることができる。したがって、クラッド層3の厚さを37.5μm以下とすることが好ましい。コア径が50μmであるときにクラッド層3の厚さを37.5μmとすると、クラッド径/コア径の比が最大値2.5となる。
なお、クラッド層3を形成する樹脂組成物には、耐熱性向上などのために下記化学式(1)で表される物質などの非硬化成分が含まれることがある。
化学式(1)
Figure 2012088356
しかし、クラッド層3に上記化学式などの非硬化成分が含まれると静疲労係数向上の妨げとなることが分かった。したがって、クラッド層3に上記化学式の物質などの非硬化成分が含まれないことが好ましい。
光ファイバ素線4を線引きする方法は下記の様に行う。
まず、ガラス母材を加熱して軟化させ所定の径に線引きする。この部分がコアガラス2となる。次に、コアガラス2に液状のクラッド材料を塗布する。クラッド材料を入れたダイスにコアガラス2を通すことでコアガラス2の外周にクラッド材料を塗布できる。続いてクラッド材料を硬化させる。上記クラッド材料は紫外線を照射することで硬化する。
製造された光ファイバ素線4に、紫外線硬化型樹脂からなる樹脂被覆層5を形成することにより、光ファイバ心線1ができる。
本発明の光ファイバ心線1は、さらにPVCのチューブに入れるなどして光ケーブルとすることができる。1本または複数本の光ファイバ心線1がチューブに入れられ、光ファイバ心線1とチューブとの間に介在物がないルース構造の光ケーブルでも良い。また、光ファイバ心線1の周囲にケブラー(登録商標)などの抗張力繊維を添わせてその周囲にチューブで外被を形成した光ケーブルでも良い。さらに、光ファイバ心線1の周囲に電線を配置して一体化した光電気複合ケーブルに使用することもできる。
次に、光ファイバ心線の周囲に電線を配置して一体化した光電気複合ケーブルについて説明する。
図3に示すように、光電気複合ケーブル11は、最外層である外被20の内側に、上記の光ファイバ心線1と複数本の電線15とを有する。光ファイバ心線1は、1本設けられ、光電気複合ケーブル11の断面中央のファイバ収容部13に配置されている。
外被20の内側であってファイバ収容部13の外側は、電線収容部14とされており、この電線収容部14には、例えば、複数本の電線15及び複数本の介在16が配置されている。電線15は、例えば、ツイストペアケーブル、同軸ケーブルあるいは絶縁ケーブルなどがあり、例えば、AWG(American Wire Gauge)の規格によるAWG20〜46程度のケーブルである。また、本例では、4本の電線15のうち2本が信号線であり、2本が電力線である。また、電線収容部14の周囲には、押さえ巻き18、シールド層19及び外被20が順に設けられている。電線収容部14の厚さ(ファイバ収容部13の外周と押さえ巻き18の内周との距離)は、電線15及び介在16の外径と同等、またはそれより僅かに大きいことが好ましい。
信号線としての電線15は、例えば、錫メッキが施された軟銅線または銅合金線からなる外径0.1mmの素線を7本撚り合わせた外径0.30mmの導体を有している。そして、この導体を厚さ0.14mmの絶縁性を有する外被によって覆うことにより、外径が0.58mmの電線15とされている。また、電力線としての電線15は、例えば、錫メッキが施された軟銅線または銅合金線からなる外径0.127mmの素線を7本撚り合わせた外径0.38mmの導体を有している。そして、この導体を厚さ0.1mmの絶縁性を有する外被によって覆うことにより、外径が0.58mmの電線15とされている。信号線と電力線が二本ずつ振り分けられている。電線15の外被の材料としては、信号線及び電力線の何れの場合も、耐熱性、耐薬品性、非粘着性、自己潤滑性などに優れたテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂を用いるのが好ましい。
押さえ巻18としては、耐熱性、耐摩耗性などに優れたポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂から形成された樹脂テープが用いられる。この押さえ巻18が巻かれた部分の内径は、例えば2.2mmである。なお、この押さえ巻18としては、紙テープやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂の樹脂テープを用いても良い。
シールド層19は、外径数十μm(例えば、外径0.03mmまたは0.04mm程度)の錫メッキされた銅合金線を編組したもので、約0.1mmの厚さに形成されている。なお、シールド層19としては、銅合金線を横巻きしても良く、また、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂から形成された樹脂テープに銅箔やアルミニウム箔が形成された金属樹脂テープを巻いても良い。
外被20は、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリオレフィン系樹脂等から形成されている。非ハロゲンのポリオレフィン系樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン(PE)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)などのエラストマの混合物がある。また、ポリエチレン(PE)に、耐候剤、酸化防止剤、老化防止剤を添加したものでも良い。なお、このポリエチレン(PE)を用いた外被20としては、難燃剤を含まない非難燃性のものでも良い。外被20は、厚さが0.1〜0.5mm、外径が2〜10mm、例えば厚さが約0.25mmであり、外径は3.0mmである。
このように構成された光電気複合ケーブル11では、光ファイバ心線1が電線15に接触したときに接触箇所で局所的に側圧を受けるまたは曲げられることにより光ファイバ心線1の伝送損失が増加し易い。本実施形態の光電気複合ケーブル11によれば、外径125μmの光ファイバ素線4に被覆した樹脂被覆層5を、外径0.5mm以上0.9mm以下とし、ヤング率500MPa以上1000MPa以下としたので、抗張力体などの補強部材やシースなどの保護部材を設けることなく、光ファイバ素線4への電線15等からの側圧の付与及び光ファイバ素線4の曲げや捻じれによる伝送損失の増加を抑制し、良好な伝送特性を維持することができる。
これにより、抗張力体などの補強部材やシースなどの保護部材を設ける場合と比較して、大径化を招くことなく、光ファイバ心線1の良好な伝送特性を維持することができる。
なお、上記の実施形態では、1本の光ファイバ心線1をファイバ収容部13に収容したが、光ファイバ心線1の本数は2本以上であっても良い。
複数本の光ファイバ心線1を収容する場合は、光ファイバ心線1同士が接触して配置されることにより、図3に示す断面で見て径方向に、各光ファイバ心線1の位置が固定される。光ファイバ心線1は緩く(長ピッチで)撚ると図3に示す断面でみて周方向にも位置が固定されて好ましい。
光ファイバ心線1の位置は、光電気複合ケーブル11の断面中央からやや偏った位置に配置されていても良いが、光ファイバ心線1を光電気複合ケーブル11の断面中央に配置するのが好ましい。
また、電線15及び介在16の本数、太さ及び種類は上記実施形態に限定されない。上記の例では信号線と電力線が二本ずつであるので両者を振り分けてその間に介在16を配してケーブルの外被20の断面が円形となるようにした。電線15の本数によっては、電線収容部14に介在16を設けずに電線15だけを配置しても外被20の断面が円形となるならば、介在16を入れなくても良い。介在16は引張強度が2000MPa未満の繊維でレーヨンやナイロンなどの繊維を使用することができる。
各種の光電気複合ケーブルを作製し、それぞれの光電気複合ケーブルについて、曲げ剛性、初期伝送損失を評価した。
(1)評価対象の光電気複合ケーブル
石英系ガラスからなるコアガラスの外周面を、コアガラスより屈折率の低い紫外線硬化型フッ素樹脂からなるクラッド層で包囲した下記のプラスチッククラッド光ファイバ素線の外周に、材質、ヤング率の異なる樹脂被覆層を形成した実施例1,2及び比較例1,2の光ファイバ心線を用いて、上記の実施形態と同様に電線及び介在を収容させた外径3.0mmの光複合ケーブルを作製した。
コアガラスのヤング率:73GPa
コアガラスの外径:80μm
クラッド層のヤング率:750MPa
クラッド層の外径:125μm
(実施例1)
光ファイバ素線の外周に、ナイロン(Ny)からなるヤング率1000MPaの樹脂被覆層を形成して外径0.9mmの光ファイバ心線とした。
(実施例2)
光ファイバ素線の外周に、高密度ポリエチレン(HDPE)とスチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)とからなるヤング率500MPaの樹脂被覆層を形成して外径0.9mmの光ファイバ心線とした。
(比較例1)
光ファイバ素線の外周に、ポリ塩化ビニル(PVC)からなるヤング率100MPaの樹脂被覆層を形成して外径0.9mmの光ファイバ心線とした。
(比較例2)
光ファイバ素線の外周に、ポリプロピレン(PP)からなるヤング率1500MPaの樹脂被覆層を形成して外径0.9mmの光ファイバ心線とした。
(2)評価結果
(曲げ剛性)
外径0.9mmの光ファイバ心線の曲げ剛性を表1に示す。樹脂被覆層のヤング率が500MPa以上1000MPa以下である実施例1,2では、適度で良好な曲げ剛性が得られた(曲げ剛性:〇)。これに対して、樹脂被覆層のヤング率が500MPaに満たない比較例1では、適度で良好な曲げ剛性は得られなかった(曲げ剛性:×)。なお、樹脂被覆層のヤング率が1000MPaを超える比較例2では、十分な曲げ剛性が得られた(曲げ剛性:〇)。
(初期伝送損失)
所定長の光電気複合ケーブルに収容された光ファイバ心線をボビンに巻き付けた状態でOTDRを使用して850nmの波長の光の初期伝送損失を求めた。
その結果、表1に示すように、樹脂被覆層のヤング率が500MPa以上1000MPa以下である実施例1,2では、光ファイバ心線の初期伝送損失が10dB/km未満となって合格(初期伝送損失:〇)であった。これに対して、樹脂被覆層のヤング率が500MPaに満たない比較例1や、樹脂被覆層のヤング率が1000MPaを超える比較例2では、光ファイバ心線の初期伝送損失が10dB/kmを超えて不合格(初期伝送損失:×)であった。
Figure 2012088356
このように、実施例1,2では、樹脂被覆層のヤング率が500MPa以上1000MPa以下である樹脂被覆層によって光ファイバ素線が保護されて、マイクロベンドロスが抑制されて初期伝送損失が抑えられるとともに、ケーブルの良好な曲げ剛性が得られることが解った。
これに対して、比較例1では、樹脂被覆層のヤング率が500MPaに満たないため、光ファイバ素線の保護が不十分となって初期伝送損失が大きくなり、適度で良好な曲げ剛性も得られないことが解った。
1:光ファイバ心線、2:コアガラス、3:クラッド層、4:光ファイバ素線、5:樹脂被覆層、11:光電気複合ケーブル、15:電線、20:外被、d1:コア径、d2:クラッド径(光ファイバ素線の外径)、d3:樹脂被覆層の外径、E:ヤング率

Claims (2)

  1. 石英ガラスからなるコアガラスの外周に前記コアガラスより屈折率の低い樹脂からなるクラッド層が形成された光ファイバ素線の外周に、樹脂被覆層が設けられた光ファイバ心線であって、
    前記コアガラスのコア径が50μm以上100μm以下であり、
    前記コアガラスと前記クラッド層の比屈折率差が3.7%以上であり、
    前記光ファイバ素線の外径が125μmであり、
    前記樹脂被覆層の外径が0.5mm以上0.9mm以下であり、
    前記樹脂被覆層のヤング率が、500MPa以上1000MPa以下であることを特徴とする光ファイバ心線。
  2. 請求項1に記載の光ファイバ心線の周りに複数本の電線が配置され、その外周が外被で被覆されていることを特徴とする光電気複合ケーブル。
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