JP2012088116A - 回転角度検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】誤差要因の影響を抑制し、回転角度の検出精度をより安定的に維持することができる回転角度検出装置を提供する。
【解決手段】最終的な絶対回転角度θrは、第1の仮絶対回転角度θabの理想値である。このため、絶対回転角度θrと第1の仮絶対回転角度θabとの差の値である誤差値Δθabは、第1及び第2の従動歯車の回転角度α,βの相対誤差でもある。そこで、誤差値Δθabに基づき算出される補正値εを第1の仮絶対回転角度θabに加味し、これを使用して周期数iを演算するようにした。補正後の第1の仮絶対回転角度θabは前記相対誤差の影響が吸収されたものとなる。すなわち、第1及び第2の従動歯車の回転角度α,βの相対誤差が許容範囲を超える場合であれ、当該相対誤差が存在しない状態に近似した状態で周期数iが演算される。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転体の回転角度を絶対値で検出する回転角度検出装置に関する。
近年では、車両の高機能化に伴い、車両には車両安定性制御システム及び電子制御サスペンションシステム等の走行安定性を向上させるための種々のシステムが搭載されつつある。これらシステムは、ステアリングの操舵角を車両の姿勢情報の一つとして取得し、その姿勢情報に基づいて車両の姿勢が安定的な状態になるように制御する。このため、例えば車両のステアリングコラムの内部には、ステアリングの操舵角を検出するための回転角度検出装置が設けられている。この種の回転角度検出装置としては、例えば特許文献1に示されるように、ステアリングシャフトと一体的に回転する主動歯車に歯数の異なる第1及び第2の従動歯車を噛合させて、これら従動歯車の回転角度に基づいて主動歯車、ひいてはステアリングシャフトの回転角度を求める構成が知られている。
この文献1の構成では、第1及び第2の従動歯車には磁石が一体回転可能に設けられるとともに、これら磁石に対応して磁気センサ(MRセンサ)が設けられている。第1及び第2の従動歯車の回転に伴い磁石から発せられる磁束の方向が変化するところ、当該磁気センサはこの磁束方向の変化に応じて正弦信号及び余弦信号を出力する。回転角度検出装置の制御装置は、これら正弦信号及び余弦信号に基づく逆正接値を第1及び第2の従動歯車の回転角度として算出し、これら回転角度に基づき主動歯車の回転角度を絶対値で算出する。
詳述すると、この文献1の装置では、次のようにして主動歯車の絶対回転角度を算出している。
まず、主動歯車の回転角度θは、当該主動歯車の歯数z及び第1の従動歯車の歯数mの比から、次式(A)で表される。「α′」は、主動歯車の回転角度θに対する第1の従動歯車の実際の回転角度である。
θ=mα′/z・・・(A)
また、この第1の従動歯車の回転角度α′は次式(B)で表される。ただし、「α」は、磁気センサ出力の1周期中における第1の従動歯車の回転角度、「i」は、磁気センサからの出力が何周期目のものなのかを示す周期数、「Ω」は、磁気センサの検出範囲(1周期)である。
α′=α+iΩ・・・(B)
そして、主動歯車の絶対回転角度θrは、前記式(A)の「α′」に前記式(B)を代入することにより、次式(C)で表される。
θr=m(α+iΩ)/z・・・(C)
特許文献1の装置は、この式(C)に基づき主動歯車の回転角度を絶対値で求める。すなわち、磁気センサ出力の周期数iが分かれば主動歯車の絶対回転角度θrを算出可能であることから、特許文献1のものでは、絶対回転角度θrを算出に際してはまず、この周期数iを算出する。
つぎに、文献1の装置による絶対回転角度θrの算出処理の手順を、図8に示す当該装置の機能ブロック図に従って説明する。
まず、当該装置の第1及び第2の回転角度演算部41,42は、磁気センサ出力の1周期中における第1及び第2の従動歯車の回転角度α,βを算出する。次いで当該装置の第1の仮絶対回転角度演算部43は、これら回転角度α,βの差の関数として表される主動歯車の第1の仮絶対回転角度θabを次式(D)に基づき算出する。
θab=Δab・mn/z(n−m)・・・(D)
ただし、Δabの値は次のようにして算出される値が適用される。
・Δab=α−β (α−β≧0)
・Δab=α−β+Ω (α−β<0)
また、当該装置の第2の仮絶対回転角度演算部44は、第1及び第2の従動歯車のうち歯数の少ない方の従動歯車、ここでは第1の従動歯車の回転角度αに対する主動歯車の第2の仮絶対回転角度θaを次式(E)に基づき算出する。
θa=mα/z・・・(E)
次に、当該装置の周期数演算部45は、前記式(D),(E)により算出される第1及び第2の仮絶対回転角度θab,θaの値を使用して、第1の従動歯車に対応する磁気センサ出力の周期数iを次式(F)に基づき算出する。
i=(θab−θa)/(mΩ/z)・・・(F)
そして最後に、当該装置の絶対回転角度演算部46は、前記式(F)により算出される周期数iを使用して、主動歯車の絶対回転角度θrを前記式(C)に基づき算出する。
当該装置は、主動歯車の回転方向において設定される基準位置(絶対角0°)を原点とする主動歯車の回転態様を、回転検出対象であるステアリングシャフトの回転態様として、すなわち中立位置(ステアリング操作角度=0°)を基準として正逆両方向に複数回転されるステアリングホイールの回転情報として検出する。
特開2007−127609号公報
主動歯車と2つの従動歯車との間のバックラッシ等に起因する誤差により、特許文献1の装置により算出される第1及び第2の従動歯車の回転角度α,β、ひいては第1及び第2の仮絶対回転角度θab,θaには誤差が含まれる。このため、前記式(F)により算出される周期数iは、本来整数であるべきところ、実際には整数とならない。そこで、特許文献1の装置では、前記式(F)により算出された周期数iを四捨五入(端数処理)して正規の値へ丸めるようにしている。丸め幅は1である。
この丸めにより、周期数iの誤差Δi(端数)の絶対値が0.5未満の場合には真の周期数iが整数として算出されるものの、当該誤差Δiの絶対値が0.5以上である場合には、真の周期数iよりも1だけ大きな値、あるいは1だけ小さな値の周期数iが整数として算出される。したがって、主動歯車の正確な絶対回転角度θrを算出するためには、周期数iの誤差Δiの絶対値は、0.5未満であることが必要である。
しかし実際には、前述したバックラッシだけではなく、磁気センサの搭載状態あるいは当該装置の経年変化等の様々な誤差要因が存在するところ、これら誤差要因に起因して周期数iの誤差Δiの絶対値が0.5以上になる状況の発生が懸念される。この状況は、当該装置の組み立て初期段階のみならず、経年的に発生するおそれもある。
そしてこの状況下で算出される絶対回転角度θrの誤差Δθrは、前記式(C)に基づき次式(G)のように表される。
Δθr={m(α+iΩ)/z}−[m{α+(i±1)Ω}/z]・・・(G)
ただし、当該式(G)において、右辺第1項は0.5未満の誤差Δiを含む周期数iに基づき算出される真の絶対回転角度θr、同じく第2項は0.5以上の誤差Δiを含む周期数iに基づき算出される絶対回転角度θrである。
前記式(G)を展開して整理すると、次式(H)のようになる。
Δθr=±(m/n)Ω・・・(H)
すなわち、周期数iの誤差Δiの絶対値が0.5以上である場合に算出される絶対回転角度θrは、真の値に対して、Δθ=±(m/n)Ωだけ跳躍した値となる。
このように、特許文献1の装置では、様々な誤差要因の影響を受けることによる回転角度の算出精度の安定性について懸念があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、誤差要因の影響を抑制し、回転角度の検出精度をより安定的に維持することができる回転角度検出装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、回転検出対象と一体回転する主動歯車に連動して回転する歯数の異なる第1及び第2の従動歯車と、これら従動歯車に対応して設けられる第1及び第2のセンサと、これらセンサからの出力に基づき算出される第1及び第2のセンサの検出範囲中の第1及び第2の従動歯車の回転角度に基づき主動歯車の回転角度を絶対値で算出する演算手段とを備え、前記演算手段は、第1及び第2の従動歯車の回転角度を使用して算出される第1の仮絶対回転角度、並びに第1の従動歯車の回転角度を使用して算出される第2の仮絶対回転角度に基づき第1のセンサからの出力の周期数を算出し、当該周期数及び第2の仮絶対回転角度に基づき主動歯車の絶対回転角度を最終的に算出する回転角度検出装置において、前記演算手段は、第1及び第2の従動歯車の回転角度の相対誤差として、前記最終的に算出される絶対回転角度と第1の仮絶対回転角度との差分である誤差値を演算するとともに、当該誤差値に基づき前記第1の仮絶対回転角度の補正値を演算し、当該補正値を加味した第1の仮絶対回転角度を使用して前記周期数を演算することをその要旨とする。
最終的な絶対回転角度は第1の仮絶対回転角度の理想値であるといえる。このため、最終的な絶対回転角度と第1の仮絶対回転角度との差の値は、第1及び第2の従動歯車の回転角度の相対誤差ともいえる。本発明では、当該相対誤差に基づき算出される補正値が加味された第1の仮絶対回転角度を使用して周期数が演算される。当該補正値が加味された第1の仮絶対回転角度は、第1及び第2の従動歯車の回転角度の相対誤差の影響が吸収されたものとなる。このため、この補正後の第1の仮絶対回転角度を使用して算出される周期数の値も第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度の相対誤差の影響が緩和されたものとなる。すなわち、第1及び第2の従動歯車の回転角度の相対誤差が許容範囲を超える場合であれ、当該相対誤差が存在しない状態に近似した状態で周期数が演算される。したがって、絶対回転角度の検出精度をより安定的に維持することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転角度検出装置において、前記演算手段は、前記誤差値に対して瞬間的に重畳し得る誤差の影響を排除する目的で、複数回分の前記誤差値に基づく平滑演算を行い、その演算結果を前記第1の仮絶対回転角度の補正値とすることをその要旨とする。なお、当該平滑演算としては、請求項3に記載されるように、前記誤差値の複数回平均値を演算する平均処理を採用することが考えられる。
第1及び第2の従動歯車の回転角度の相対誤差には、電雑による誤差などが瞬間的に重畳し得る。このため、1回分の前記相対誤差(前回の演算値など)をそのまま第1の仮絶対回転角度の補正値として使用する場合、電雑による誤差などが重畳した相対誤差をそのまま当該補正値として使用することになる。この場合には、次回の前記相対誤差の演算において逆に誤差が増大するおそれがある。この点、本発明によれば、複数回分の前記相対誤差に基づく平滑処理を行うことにより、瞬間的に重畳する電雑などによる誤差の影響を抑制することができる。
本発明によれば、誤差要因の影響が抑制されることにより、回転角度の検出精度をより安定的に維持することができる。
回転角度検出装置の概略構成を示すブロック図。 回転角度検出装置による回転角度の算出処理機能を示す機能ブロック図。 (a),(b)は、第1及び第2の磁気センサの検出範囲における第1及び第2の従動歯車の回転角度と主動歯車の実際の回転角度との関係を示すグラフ。 (a)は、第1及び第2の磁気センサの検出範囲における第1及び第2の従動歯車の回転角度と主動歯車の実際の回転角度との関係を示すグラフ、(b)は、第1及び第2の従動歯車の位相差と主動歯車の実際の回転角度との関係を示すグラフ、(c)は、第1の仮絶対回転角度と主動歯車の実際の回転角度との関係を示すグラフ。 第2の仮絶対回転角度と主動歯車の実際の回転角度との関係を示すグラフ。 磁気センサ出力の周期数と主動歯車の実際の回転角度との関係を示すグラフ。 最終的に算出される主動歯車の絶対舵角値と主動歯車の実際の回転角度との関係を示すグラフ。 従来の回転角度検出装置による回転角度の算出処理機能を示す機能ブロック図。
以下、本発明を、ステアリングの操舵角を検出する回転角度検出装置に具体化した一実施の形態を説明する。
図1に示すように、回転角度検出装置10は、ステアリングホイールと操舵輪とを連結するステアリングシャフト11の周囲に配設される図示しないステアリングコラム等の構造体に固定される箱体状のハウジング12を備えている。このハウジング12内には、ステアリングシャフト11に一体回転可能に且つ同軸状に外嵌固定された主動歯車13が収容されるとともに、当該主動歯車13に噛合する第1及び第2の従動歯車14,15が回転可能に支持されている。
第1及び第2の従動歯車14,15はそれぞれ歯数が異なるように設けられている。このため、ステアリングシャフト11の回転に連動して主動歯車13が回転した場合、主動歯車13の回転角度θに対する第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α′,β′はそれぞれ異なった値となる。例えば主動歯車13の歯数をz、第1の従動歯車14の歯数をm、第2の従動歯車15の歯数をnとした場合(m<n<z)、主動歯車13が1回転したときには、第1の従動歯車14はz/m回転、第2の従動歯車15はz/n回転する。
図1に破線で示されるように、第1及び第2の従動歯車14,15には、第1及び第2の磁石(永久磁石)16,17が一体回転可能に設けられている。また、第1及び第2の磁石16,17の近傍(正確にはその直下)には、これらから発せられる磁界を検出する第1及び第2の磁気センサ18,19が配設されている。第1及び第2の磁気センサ18,19としては、例えば4つの磁気抵抗素子(MRE)がブリッジ状に接続されてなるいわゆるMRセンサが採用可能である。磁気抵抗素子の抵抗値は、与えられる磁界(正確には、磁束の向き)に応じて変化する。そして、第1及び第2の磁気センサ18,19は、それらに与えられる磁界の変化(正確には、磁束の向きの変化)に応じて前述したブリッジ状の回路の中点電位を磁束の検出信号として出力する。
第1の磁気センサ18は、第1の従動歯車14の回転に伴う第1の磁石16から発せられる磁束の方向の変化を検出し、第1の従動歯車14の回転角度α′に応じて連続的に変化する2つのアナログ信号、すなわち第1の正弦信号Vs1及び第1の余弦信号Vc1をハウジング12内に配設されたマイクロコンピュータ21へ出力する。第1の正弦信号Vs1及び第1の余弦信号Vc1は、第1の従動歯車14が第1の磁気センサ18の検出範囲Ωだけ回転したときに、すなわち主動歯車13が(m/z)Ωだけ回転したときに1周期となる。第1の余弦信号Vc1の位相は、第1の正弦信号Vs1に対して1/4周期だけずれる。
第2の磁気センサ19は、第2の従動歯車15の回転に伴う第2の磁石17から発せられる磁束の方向の変化を検出し、第2の従動歯車15の回転角度β′に応じて連続的に変化する2つのアナログ信号、すなわち第2の正弦信号Vs2及び第2の余弦信号Vc2をマイクロコンピュータ21へ出力する。第2の正弦信号Vs2及び第2の余弦信号Vc2は、第2の従動歯車15が第2の磁気センサ19の検出範囲Ωだけ回転したときに、すなわち主動歯車13が(n/z)Ωだけ回転したときに1周期となる。第2の余弦信号Vc2の位相は、第2の正弦信号Vs2に対して1/4周期だけずれる。
マイクロコンピュータ21は、CPU(中央演算装置)22、ROM(読み出し専用メモリ)23及びRAM(書き込み読み出しメモリ)24等を備えてなる。ROM23には、回転角度検出装置10の全体を統括的に制御するための各種の制御プログラムが格納されている。RAM24はROM23の制御プログラムを展開してCPU22が各種の処理を実行するためのデータ記憶領域、すなわち作業領域である。ROM23に格納される制御プログラムとしては、例えば回転角度算出プログラムがある。回転角度算出プログラムは、第1及び第2の磁気センサ18,19からの検出信号に基づいてステアリングシャフト11の回転角度θを絶対値で求めるためのプログラムである。
このマイクロコンピュータ21によるステアリングシャフト11の絶対回転角度θrの算出処理の概要は次の通りである。
ここでまず、主動歯車13の回転角度θと、当該回転角度θに対する第1の従動歯車14の回転角度α′との間には、それらの歯数z,mにより、次式(1)で示される関係が成立する。
θ=mα′/z・・・(1)
また、主動歯車13の回転角度θに対する第1の従動歯車14の回転角度α′は次式(2)のようにも表すことができる。
α′=α+iΩ・・・(2)
ただし、αは、第1の磁気センサ18の検出範囲(1周期)Ωにおける第1の従動歯車14の回転角度である。iは、第1の磁気センサ18の検出範囲を何回繰り返しているのか、すなわち第1の正弦信号Vs1及び第1の余弦信号Vc1の何周期目かを示す整数値である。以下の説明では、当該整数値を第1の従動歯車14の周期数という。
そして、式(1)に式(2)を代入すると、次式(3)が得られる。
θ=m(α+iΩ)/z・・・(3)
当該式(3)を展開して整理すると、次式(4)が得られる。
θ=θa+(m/z)Ωi・・・(4)
ただし、θaは、第1の磁気センサ18の検出範囲(1周期)Ωにおける第1の従動歯車14の回転角度αに対する主動歯車13の回転角度(絶対値)である。なお、この回転角度(θa)は、次式で表される。
θa=mα/z
したがって、回転角度(θa)及び第1の従動歯車14の周期数iが分かれば、前記式(4)に基づき回転角度θが算出可能となる。マイクロコンピュータ21は、ROM23に格納された回転角度算出プログラムに基づき、回転角度(θa)、及び第1の従動歯車14の周期数iを求め、これらを前記式(4)に適用することにより、主動歯車13の絶対回転角度θrを算出する。
<1.絶対舵角値の演算処理>
次に、前述したマイクロコンピュータ21による絶対回転角度θrの算出処理の手順を、図2に示すCPU22の機能ブロック図に従って詳細に説明する。当該算出処理は、ROM23に格納された回転角度算出プログラムに従って実行される。
<1−1.従動歯車の回転角度算出処理>
図2に示されるように、CPU22は、主動歯車13の絶対回転角度θrを求めるに際して、まず第1及び第2の磁気センサ18,19からの検出信号を図示しないA/D変換器を通じて取得する。そしてCPU22の第1及び第2の回転角度演算部31,32は、これら取得されるA/D変換後の検出信号に基づき、第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(1周期)Ωにおける第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βを求める。
すなわち、回転角度αは、第1の正弦信号Vs1及び第1の余弦信号Vc1に基づく逆正接(α=(Ω/360°)tan−1(Vs1/Vc1))として、マイクロコンピュータ21により算出され、RAM24に格納される。また、回転角度βは、第2の正弦信号Vs2及び第2の余弦信号Vc2に基づく逆正接(β=(Ω/360°)tan−1(Vs2/Vc2))として、マイクロコンピュータ21により算出され、RAM24に格納される。なお、これら回転角度α,βは、第1及び第2の磁気センサ18,19からの検出信号と、当該信号に対応する逆正接値との関係を規定するテーブルを予めROM23に格納し、当該ROM23に格納されるテーブルを参照することにより求めるようにしてもよい。
ちなみに、主動歯車13の実際の回転角度θの変化に対して、第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(1周期)Ωにおける第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βは、図3(a),(b)のグラフに示されるように変化する。当該グラフにおいて、横軸は主動歯車13の回転角度θを、また縦軸は第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(1周期)Ωにおける第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βを示す。
当該グラフに示されるように、主動歯車の回転角度θの増大に伴い第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(1周期)Ωにおける第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βは、第1及び第2の従動歯車14,15の歯数m,nの違いに応じて、所定の周期で立ち上がりと立ち下がりとを繰り返す。すなわち、当該回転角度α,βは、第1及び第2の従動歯車14,15が第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲Ωだけ回転する毎に、換言すれば主動歯車13がmΩ/z、あるいはnΩ/zだけ回転する毎に、立ち上がりと立ち下がりとを繰り返す。
例えばここで、主動歯車13の歯数zを60、第1の従動歯車14の歯数mを25、第2の従動歯車15の歯数nを26、第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲Ωを180°とする。この場合、第1の従動歯車14の回転角度αは主動歯車13が75°だけ回転する毎に、また第2の従動歯車15の回転角度βは主動歯車13が78°だけ回転する毎に、立ち上がりと立ち下がりとを繰り返す。
<1−2.主動歯車の仮回転角度算出処理>
次に、CPU22の第1の仮絶対回転角度演算部33は、第1及び第2の回転角度演算部31,32により算出された第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(1周期)Ωにおける第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βをRAM24から読み出し、これら回転角度α,βに基づき主動歯車13の第1の仮絶対回転角度θabを求める。そして第1の仮絶対回転角度演算部33は、この算出される第1の仮絶対回転角度θabをRAM24に格納する。この第1の仮絶対回転角度θabは、第1の磁気センサ18の検出範囲(1周期)Ωにおける第1の従動歯車14の回転角度αと、第2の磁気センサ19の検出範囲(1周期)Ωにおける第2の従動歯車15の回転角度βとの差Δab(=α−β)に基づき求められる主動歯車13の回転角度である。そしてこの第1の仮絶対回転角度θabは、前記式(1),(2)、及び第2の磁気センサ19の検出範囲(1周期)Ωにおける第2の従動歯車15の回転角度βについても同様に算出される次式(5),(6)に基づき、次式(7)のように表される。
θ=nβ′/z・・・(5)
β′=β+jΩ・・・(6)
ただし、βは、第2の磁気センサ19の検出範囲(1周期)Ωにおける第2の従動歯車15の回転角度である。jは、第2の磁気センサ19の検出範囲を何回繰り返しているのか、すなわち第2の正弦信号Vs2及び第2の余弦信号Vc2の何周期目かを示す整数値である。
θab=Δab・mn/z(n−m) ・・・(7)
ただし、mは第1の従動歯車14の歯数、nは第2の従動歯車15の歯数、zは主動歯車13の歯数、Ωは第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(周期)である。
また、差Δabは第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(1周期)Ωにおける第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの位相差を表すため、実際には当該位相差は当該検出範囲Ω当たりの正値に換算された値が使用される。すなわち、差Δabは、次のようにして求められる値が前記式(7)に適用される。
・α−β≧0のとき 差Δab=α−β
・α−β<0のとき 差Δab=(α−β)+Ω
ちなみに、前記式(7)は、次のようにして得られる。すなわちまず、前記式(1),(2),(5),(6)を使用してα−βを表すと次式のようになる。
α−β=(α′−iΩ)−(β′−jΩ)
=(z/m)θ−(z/n)θ−(i−j)Ω
そして当該関係式においてθ=θabとしてθabについて解くと次式が得られる。
θab=mn/z(n−m)・{(α−β)+(i−j)Ω}
ただし、α−β≧0のとき i=j
α−β<0のとき i=j+1
ここで、Δab=(α−β)+(i−j)Ωとすると、前記式(7)が得られる。
第1及び第2の従動歯車14,15の歯数は異なっていることから、図4(a)のグラフに示されるように、主動歯車13の回転角度θを横軸に、第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βを縦軸にプロットしたとき、当該主動歯車13の回転角度θに対する第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(1周期)Ωにおける第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βは異なる値となる。このため、図4(b)のグラフに示されるように、主動歯車13の回転角度θを横軸に、また、第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの差Δabを縦軸にプロットしたとき、当該主動歯車13の回転角度θの変化に対して、第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(1周期)Ωにおける第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの差Δabの値は直線的に変化する。すなわち、ステアリングシャフト11の回転角度θと、第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(1周期)Ωにおける第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの差Δabとは比例関係にあることから、当該回転角度α,βの差Δabは主動歯車13の回転角度θに対して固有の値となる。このため、当該回転角度α,βの差Δabに基づいて主動歯車13の回転角度θを絶対値で算出可能となる。
したがって、図4(c)のグラフに示されるように、主動歯車13の実際の回転角度θを横軸に、前記式(7)に基づき算出される主動歯車13の第1の仮絶対回転角度θabを縦軸にプロットしたとき、当該主動歯車13の回転角度θの変化に対して、当該第1の仮絶対回転角度θabの値も直線的に変化する。
なお、前述したように、主動歯車13の回転角度θに対する第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(1周期)Ωにおける第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βは、第1及び第2の従動歯車14,15の歯数m,nの違いに応じてそれぞれ異なる所定の周期で立ち上がりと立ち下がりとを繰り返すところ、これら第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(1周期)Ωにおける第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの位相差は、主動歯車13の回転角度θが所定値に達したときに無くなる。このため、これら第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(1周期)Ωにおける第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βに基づき算出される差Δab及び第1の仮絶対回転角度θabについても、それぞれ第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(1周期)Ωにおける第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの位相差が無くなる回転角度θごとに立ち上がりと立ち下がりとを繰り返す。すなわち、第1の仮絶対回転角度θabの算出範囲(周期)Ωx(=0°〜x°)も第1及び第2の従動歯車14,15並び主動歯車13の歯数比により決まり、当該算出範囲(周期)Ωxは、次式(8)で表される。
Ωx=mnΩ/z(n−m)・・・(8)
前述と同様に、主動歯車13の歯数zを60、第1の従動歯車14の歯数mを25、第2の従動歯車15の歯数nを26、第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲Ωを180°としたとき、第1の仮絶対回転角度θabの算出範囲(周期)Ωxは、1950°となる。
<1−3.α→θa変換>
また、CPU22の第2の仮絶対回転角度演算部34は、第1の磁気センサ18の検出範囲(1周期)Ωにおける第1の従動歯車14の回転角度αに対する主動歯車13の第2の仮絶対回転角度θaを次式(9)に基づき算出する。そして第2の仮絶対回転角度演算部34は、この算出される第2の仮絶対回転角度θaをRAM24に格納する。
θa=mα/z・・・(9)
ちなみに、主動歯車13の実際の回転角度θの変化に対して第2の仮絶対回転角度θaは図5の下側のグラフに示されるように変化する。当該グラフにおいて、横軸は主動歯車13の回転角度θを、また縦軸は第2の仮絶対回転角度θaを示す。当該グラフに示されるように、主動歯車13の回転角度θの増大に伴い、第2の仮絶対回転角度θaは、第1の従動歯車14の歯数mに応じて、所定の周期で立ち上がりと立ち下がりとを繰り返す。すなわち、第2の仮絶対回転角度θaの算出範囲(周期)Ωy(=0°〜y°)は、第1の従動歯車14及び主動歯車13の歯数比により決まるところ、この第2の仮絶対回転角度θaの算出範囲(周期)Ωyは、次式(10)で表される。
Ωy=mΩ/z・・・(10)
前述と同様に、主動歯車13の歯数zを60、第1の従動歯車14の歯数mを25、第2の従動歯車15の歯数nを26、第1の磁気センサ18の検出範囲Ωを180°としたとき、第2の仮絶対回転角度θaの算出範囲(周期)Ωyは、75°となる。
<1−4.周期数算出処理>
次に、CPU22の周期数演算部35は、第1及び第2の仮絶対回転角度演算部33,34で算出された第1及び第2の仮絶対回転角度θab,θaをRAM24から読み出し、これら第1及び第2の仮絶対回転角度θab,θaに基づき、第1の従動歯車14の周期数iを算出する。そして周期数演算部35は、この算出される周期数iをRAM24に格納する。前述したように、この周期数iは、第1の磁気センサ18の検出範囲を何回繰り返しているのかを示す整数値であり、次式(11)により求められる。この式(11)は、前記式(4)においてθ=θabとして周期数iについて解くことにより得られる。
i=(θab−θa)/(mΩ/z)・・・(11)
ただし、mΩ/zは、第1の磁気センサ18の出力1周期当たりの主動歯車13の変化量(回転量)を示す。
図6の中央のグラフに示されるように、主動歯車13の実際の回転角度θを横軸に、また前記式(11)により算出される周期数iを縦軸にプロットしたとき、第1の従動歯車14が第1の磁気センサ18の検出範囲Ωと同じ角度だけ回転する毎に、すなわち主動歯車13がmΩ/zだけ回転する毎に、周期数iは増大する。そして、主動歯車13の第1の仮絶対回転角度θabの算出範囲(周期)Ωxが0°〜x°であるため、当該x°を超えて主動歯車13が回転したときには、当該周期数iは0(ゼロ)に戻り、再び周期数iのカウントが開始される。
なお、バックラッシ等に起因する誤差により、第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,β、ひいては第1及び第2の仮絶対回転角度θab,θaには誤差が含まれる。このため、式(11)により算出される周期数iは、本来整数であるべきところ、実際には整数とならない。そこで、本例では、式(11)により算出された周期数iを四捨五入(端数処理)して正規の値へ丸めるようにしている。丸め幅は1である。
<1−5.絶対回転角度算出処理>
最後に、CPU22の絶対回転角度演算部36は、第2の仮絶対回転角度演算部34で算出した第2の仮絶対回転角度θa及び周期数演算部35で算出した周期数iをRAM24から読み出し、これら第2の仮絶対回転角度θa及び周期数iに基づき主動歯車13の正式な絶対回転角度θrを算出する。
具体的には、先に算出された第2の仮絶対回転角度θa及び周期数iを、前記式(4)、すなわち「θ=θa+(m/z)Ωi」に適用することにより、絶対回転角度θrを算出する。
主動歯車13の実際の回転角度θと、前記式(4)に基づき算出される主動歯車13の絶対回転角度θrとの関係は、図7の中央のグラフで示される。当該グラフにおいて、横軸は主動歯車13の実際の回転角度θ、縦軸は絶対回転角度θrをそれぞれ示す。当該グラフに示されるように、主動歯車13の絶対回転角度θrは、主動歯車13の実際の回転角度θの変化に伴い直線的に変化する。この絶対回転角度θrの値の変化を示す直線の傾きは、主動歯車13の実際の回転角度θと前記式(4)に基づき算出される絶対回転角度θrとの比の値である1により決まる。このように、主動歯車13の実際の回転角度θと、絶対回転角度θrとが比例関係にあることから、主動歯車13の実際の回転角度θと絶対回転角度θrとは1対1で対応する。すなわち、主動歯車13の絶対回転角度θr、換言すればステアリングの絶対舵角値の即時検出が可能となる。
なお、主動歯車13の絶対回転角度θrの算出範囲Ωrは、第1の仮絶対回転角度演算部33で算出される第1の仮絶対回転角度θabの算出範囲Ωxと同様であり、前記式(8)に基づき算出される。このため、前述と同様に、第1の従動歯車14の歯数mを25、第2の従動歯車15の歯数nを26、主動歯車13の歯数zを60、第1の磁気センサ18の検出範囲Ωを180°とした場合、絶対回転角度θrの算出範囲Ωrは、前記式(8)により1950°となる。すなわち、この場合には、0°〜1950°の範囲において主動歯車13の回転角度θを絶対値で即時に検出可能となる。これは、ステアリングシャフトの5回転強(±2.7回転強)に相当する。そして、マイクロコンピュータ21は、前述のようにして算出される主動歯車13の絶対回転角度θrをステアリング操舵角度(絶対舵角値)として車両安定性制御システム及び電子制御サスペンションシステム等の走行安定性を向上させるための種々のシステム(正確には、それらの制御装置)へ出力する。
<2.補正値算出処理>
前述したように、式(11)により算出された周期数iを四捨五入(端数処理)して正規の値へ丸めるようにしている(丸め幅=1)。このため、主動歯車13の正確な絶対回転角度θrを算出するためには、周期数iの誤差Δiの絶対値は、0.5未満であることが必要である。しかし、様々な誤差要因により、周期数iの誤差Δiの絶対値が0.5以上になる状況の発生が懸念される。この場合には、真の周期数iよりも1だけ大きな値、あるいは1だけ小さな値の周期数iが整数として算出される。その結果、絶対回転角度演算部36において算出される絶対回転角度θrは、先の式(H)に示されるように、「±(m/n)Ω」だけ跳躍した値となる。
本例では、こうした誤差要因の影響を抑制して、絶対回転角度θrの算出精度をより安定的に維持するべく補正処理部37が設けられている。この補正処理部37は、第1の仮絶対回転角度演算部33において算出される第1の仮絶対回転角度θabを所定の演算処理を通じて補正する。
すなわち、補正処理部37の誤差値演算部38は、絶対回転角度演算部36において算出される絶対回転角度θrと、第1の仮絶対回転角度演算部33において算出される第1の仮絶対回転角度θabとの誤差値Δθabを演算する。この誤差値Δθabは、次式(12)で表される。
Δθab={z(n−m)/mn}θr−{(α−β)+(i−j)Ω}・・・(12)
先の式(3)により算出される絶対回転角度θrは第1の仮絶対回転角度θabの理想値(周期数iの算出時に切り捨てがない値)であるため、式(12)で示される誤差値Δθabは、第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの差Δabの誤差値ともなる。すなわち、絶対回転角度θrと第1の仮絶対回転角度θabとから、2つの回転角度α,βの差Δabの理想値に対する誤差(相対誤差)が逆算される。誤差値演算部38は、式(12)に基づき算出される誤差値Δθabを2つの回転角度α,βの相対誤差としてRAM24に格納する。
次に、補正処理部37の補正値演算部39は、誤差値演算部38において算出された誤差値ΔθabをRAM24から読み出し、その誤差値Δθabに基づき第1の仮絶対回転角度θabの補正値εを演算する。ここでは、補正値演算部39は、RAM24から読み出した誤差値Δθabをそのまま補正値εとして算出する。
この補正値εは、次回の周期数iの演算時において、第1の仮絶対回転角度演算部33において算出される第1の仮絶対回転角度θabに加算される。すなわち、この第1の仮絶対回転角度θabの補正は、次式(13)に従って行われる。
θab={mn/z(n−m)}{(α−β)+ε+(i−j)Ω}・・・(13)
ただし、α−β≧0のとき i=j
α−β<0のとき i=j+1
そして周期数演算部35は、この補正された第1の仮絶対回転角度θabを使用して周期数iを演算する。式(13)に基づき補正された第1の仮絶対回転角度θabは、第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの相対誤差の影響が吸収されたものとなる。このため、この補正後の第1の仮絶対回転角度θabを使用して算出される周期数iの値も2つの回転角度α,βの相対誤差の影響が緩和されたものとなる。したがって、第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの相対誤差が許容範囲を超える場合であれ、当該相対誤差が存在しない状態に近似した状態で周期数iが演算される。これにより、周期数iの誤差Δiの絶対値が0.5以上になる状況の発生、ひいては真の絶対回転角度θrに対して先の式(H)で表される角度だけ跳躍した値が算出されることが抑制される。
ここで、第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの相対誤差には、電雑による誤差などが瞬間的に重畳し得る。このため、1回分の誤差値Δθab(前回の演算値など)をそのまま第1の仮絶対回転角度θabの補正値εとして使用する場合、電雑による誤差などが重畳した2つの回転角度α,βの相対誤差をそのまま当該補正値εとして使用することになる。この場合には、次回の誤差値Δθabの演算において逆に誤差が増大するおそれがある。
そこで例えば、10回分の誤差値Δθabの平均値を補正値εとして使用するようにしてもよい。補正値演算部39は、次式(14)に基づき補正値εを演算する。
Figure 2012088116
ただし、nは、演算回数である。
補正値εとして誤差値Δθabの10回平均値を使用することにより、2つの回転角度α,βの相対誤差に瞬間的に重畳する誤差などの影響が緩和される。その結果、第1の仮絶対回転角度θab、ひいては周期数iの算出精度が維持される。
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)最終的な絶対回転角度θrは、第1の仮絶対回転角度θabの理想値である。このため、絶対回転角度θrと第1の仮絶対回転角度θabとの差の値である誤差値Δθabは、第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの相対誤差でもある。本例では、誤差値Δθabに基づき算出される補正値εが加味された第1の仮絶対回転角度θabを使用して周期数iが演算される。当該補正値εが加味された第1の仮絶対回転角度θabは、第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの相対誤差の影響が吸収されたものとなる。このため、この補正後の第1の仮絶対回転角度θabを使用して算出される周期数iの値も第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの相対誤差の影響が緩和されたものとなる。すなわち、第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの相対誤差が許容範囲を超える場合であれ、当該相対誤差が存在しない状態に近似した状態で周期数iが演算される。したがって、絶対回転角度θrの検出精度をより安定的に維持することができる。
(2)第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの相対誤差に対して瞬間的に重畳し得る誤差の影響を排除する目的で、複数回分の誤差値Δθabに基づく平滑演算、具体的には誤差値Δθabの複数回平均値を演算する平均処理が行われる。そしてその演算結果が第1の仮絶対回転角度θabの補正値εとされる。
第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの相対誤差には、電雑による誤差などが瞬間的に重畳し得る。このため、1回分の誤差値Δθab(前回の演算値など)をそのまま第1の仮絶対回転角度θabの補正値εとして使用する場合、電雑による誤差などが重畳した2つの回転角度α,βの相対誤差をそのまま当該補正値εとして使用することになる。この場合には、次回の誤差値Δθabの演算において逆に誤差が増大するおそれがある。この点、本例によれば、誤差値Δθabの10回平均処理を行うことにより、瞬間的に重畳する電雑などによる誤差の影響を抑制することができる。
<他の実施の形態>
なお、前記実施の形態は、次のように変更して実施してもよい。
・主動歯車13の歯数z、並びに第1及び第2の従動歯車14,15の歯数m,nは適宜変更可能である。ただし、これらの歯数間において、次の関係を保つ必要がある。すなわち、「z>m,n」かつ「m>n」又は「m<n」という関係式が成立するように、歯数z,m,nを設定する。この場合、歯数の少ない従動歯車が本発明における第1の従動歯車に相当する。
・また、本例では、第1及び第2の従動歯車14,15の歯数差が1となるように歯数m,nを設定したが、この歯数差を2以上の自然数とすることも可能である。
・本例では、第1及び第2の磁気センサ18,19として、その検出範囲Ωが180°とされたものを採用したが、他の検出範囲を有するものを採用してもよい。例えば360°の検出範囲を有するものが考えられる。
・本例では、第1及び第2の磁気センサ18,19の検出範囲(1周期)Ωにおける第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βを、第1及び第2の磁気センサ18,19からの検出信号に基づき算出するようにしたが、こうした磁気センサに代えて、光学的なセンサを採用することも可能である。
・本例では、ステアリングシャフト11を主動歯車13に対して同軸上に嵌合することにより一体回転可能としたが、ステアリングシャフト11を主動歯車13の歯に噛み合わせることにより連動させるようにしてもよい。このようにしても、主動歯車13の回転角度をステアリングシャフト11の回転角度として算出することができる。これは、回転検出対象として、ステアリングシャフト11以外の回転軸を採用する場合も同様である。
・本例では、第1の仮絶対回転角度θabの補正値εとして、式(12)で示される誤差値Δθabの10回平均値を採用したが、複数回の誤差値Δθabの平均値であれば採用可能である。このようにしても、瞬間的に重畳する電雑などによる誤差の影響を抑制することができる。また、1回の演算により算出された誤差値Δθabを補正値として使用してもよい。この場合であれ、瞬間的な誤差が重畳しない場合には、第1の仮絶対回転角度θabの算出精度の維持向上が図られる。
・また、誤差値Δθabの10回平均値に代えて、誤差値Δθabの自乗和の平方根を補正値εとして使用してもよい。このようにしても第1及び第2の従動歯車14,15の回転角度α,βの相対誤差に対して瞬間的に重畳し得る誤差の影響を排除することができる。
・本例では、ステアリング操作角度を検出する絶対舵角センサに具体化したが、ステアリングシャフト11に相当する回転軸全般についてその回転態様を検出する回転検出装置として適用することも可能である。
10…回転角度検出装置、11…ステアリングシャフト(回転検出対象)、13…主動歯車、14…第1の従動歯車、15…第2の従動歯車、18…第1の磁気センサ、19…第2の磁気センサ、21…マイクロコンピュータ(演算手段)。

Claims (3)

  1. 回転検出対象と一体回転する主動歯車に連動して回転する歯数の異なる第1及び第2の従動歯車と、これら従動歯車に対応して設けられる第1及び第2のセンサと、これらセンサからの出力に基づき算出される第1及び第2のセンサの検出範囲中の第1及び第2の従動歯車の回転角度に基づき主動歯車の回転角度を絶対値で算出する演算手段とを備え、
    前記演算手段は、第1及び第2の従動歯車の回転角度を使用して算出される第1の仮絶対回転角度、並びに第1の従動歯車の回転角度を使用して算出される第2の仮絶対回転角度に基づき第1のセンサからの出力の周期数を算出し、当該周期数及び第2の仮絶対回転角度に基づき主動歯車の絶対回転角度を最終的に算出する回転角度検出装置において、
    前記演算手段は、第1及び第2の従動歯車の回転角度の相対誤差として、前記最終的に算出される絶対回転角度と第1の仮絶対回転角度との差分である誤差値を演算するとともに、当該誤差値に基づき前記第1の仮絶対回転角度の補正値を演算し、当該補正値を加味した第1の仮絶対回転角度を使用して前記周期数を演算する回転角度検出装置。
  2. 請求項1に記載の回転角度検出装置において、
    前記演算手段は、前記誤差値に対して瞬間的に重畳し得る誤差の影響を排除する目的で、複数回分の前記誤差値に基づく平滑演算を行い、その演算結果を前記第1の仮絶対回転角度の補正値とする回転角度検出装置。
  3. 請求項2に記載の回転角度検出装置において、
    前記平滑演算は、前記誤差値の複数回平均値を演算する平均処理である回転角度検出装置。
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