JPWO2016035136A1 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

各センサからの検出信号の受信毎にタイムスタンプを付与することによって正確な同期をとり、角度誤差を抑制できると共に、舵角検出が成立する操舵速度を高くした電動パワーステアリング装置を提供するために、本発明は、操舵速度を検出する機能を有している電動パワーステアリング装置において、検出信号AiにタイムスタンプATiを付与し、検出信号BjにタイムスタンプBTjを付与するタイムスタンプ付与部301、302と、タイムスタンプBTjを付与された検出信号Bjを格納するバッファメモリ303と、タイムスタンプATi及びBTiに基づいて、検出信号Aiに最も同期した検出信号Bjを検索する同期信号検索部310と、同期信号検索部310で検索された同期信号の角度差の演算及びバーニア演算を行い、センサ基準の絶対舵角を出力するバーニア演算手段43と、絶対舵角から舵角初期値を演算する初期舵角演算部44と、ステアリング舵角を求める加算部46Bとを具備する。

Description

本発明は、車両の操舵系にモータによるアシスト力を付与するようにした電動パワーステアリング装置に関し、特に複数センサの各検出信号にタイムスタンプを付与(紐付け)することによって正確な同期をとり、操舵速度に比例した角度誤差を抑制できると共に、ステアリング舵角(操舵角)の検出が成立する操舵速度を高くした電動パワーステアリング装置に関する。
車両のステアリング機構にモータの回転力で操舵補助力(アシスト力)を付与する電動パワーステアリング装置は、モータの駆動力を減速機を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に操舵補助力を付与するようになっている。かかる従来の電動パワーステアリング装置(EPS)は、操舵補助力のトルクを正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、操舵補助指令値(電流指令値)とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデューティの調整で行っている。
電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図1に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a,6bを経て、更にハブユニット7a,7bを介して操向車輪8L,8Rに連結されている。また、コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。電動パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット(ECU)30には、バッテリ13から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力される。コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThと車速センサ12で検出された車速Velとに基づいてアシスト(操舵補助)指令の電流指令値の演算を行い、電流指令値に補償等を施した電流制御値Eによってモータ20に供給する電流を制御する。なお、車速VelはCAN(Controller Area Network)等から受信することも可能である。
コントロールユニット30は主としてCPU(MPUも含む)で構成されるが、そのCPU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと図2のようになる。
図2を参照してコントロールユニット30の機能及び動作を説明すると、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTh及び車速センサ12で検出された車速Velは、電流指令値Iref1を演算する電流指令値演算部31に入力される。電流指令値演算部31は、入力された操舵トルクTh及び車速Velに基づいてアシストマップ等を用いて、モータ20に供給する電流の制御目標値である電流指令値Iref1を演算する。電流指令値Iref1は加算部32Aを経て電流制限部33に入力され、最大電流を制限された電流指令値Irefmが減算部32Bに入力され、フィードバックされているモータ電流値Imとの偏差I(Irefm−Im)が演算され、その偏差Iが操舵動作の特性改善のためのPI制御部35に入力される。PI制御部35で特性改善された電圧制御指令値VrefがPWM制御部36に入力され、更に駆動部としてのインバータ回路37を介してモータ20がPWM駆動される。モータ20の電流値Imはモータ電流検出器38で検出され、減算部32Bにフィードバックされる。インバータ回路37は駆動素子としてFETが用いられ、FETのブリッジ回路で構成されている。
また、加算部32Aには補償部34からの補償信号CMが加算されており、補償信号CMの加算によってシステム系の補償を行い、収れん性や慣性特性等を改善するようになっている。補償部34は、セルフアライニングトルク(SAT)343と慣性342を加算部344で加算し、その加算結果に更に収れん性341を加算部345で加算し、加算部345の加算結果を補償信号CMとしている。
このような電動パワーステアリング装置では、コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)の操舵角を検出したり、モータ回転角等を検出するための各種センサを具備している。
従来から回転角センサで回転位置の検出精度(検出分解能)を上げるために、複数の変位特性を持つセンサを組み合わせて、バーニア方式によって回転位置を検出する回転位置検出装置が提案されている(例えば特公平6−65967号公報:特許文献1)。即ち、特許文献1の回転位置検出装置は、1回転、1ピッチの第1パターンを持つセンサと、第1パターンの1円周を基準にn分割した第2パターンを持つ構造で、絶対回転位置を検出するようになっている。
特公平6−65967号公報
しかしながら、特許文献1に記載の回転位置検出装置を電動パワーステアリング装置に適用する場合には、トーションバーを介して操舵トルクを検出するステアリングのトルクセンサと、絶対舵角(絶対操舵角)を検出する舵角センサとを組み合わせて用いた場合には、特許文献1の装置にトーションバーを介して、更にもう1つのセンサを組み合わせてトルクセンサを構成し、操舵トルクを検出する必要がある。
また、ステアリングの舵角範囲は一般的に1080°程度(片側540°)あり、単一の舵角センサを用いて舵角検出を行うと、角度分解能が粗くなってしまう問題がある。そのため、複数のセンサの組み合わせによるバーニア(副尺)演算を用いて、角度を検出する必要がある。それに伴い、2つのセンサの同期をとることが必要となり、その精度が要求される。
また、上記組み合わせセンサを用いた場合、各々独立したセンサであるため、操舵速度に応じて角度誤差が大きくなる問題がある。特にディジタル通信の場合は、通信による誤差も含まれるため、更に角度誤差が大きくなってしまう。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、各センサからの検出信号の受信毎にタイムスタンプを付与(紐付け)することによって正確な同期をとり、操舵速度に比例する角度誤差を抑制できると共に、ステアリング舵角(操舵角)の検出が成立する操舵速度を高くした高機能の電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明は、少なくとも操舵トルクに基づいて演算された電流指令値によってモータを駆動して操舵をアシスト制御すると共に、少なくとも周期の異なるセンサA及びBを具備し、操舵速度を検出する機能を有している電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、前記センサAの検出信号AiにタイムスタンプATiを付与し、前記センサBの検出信号BjにタイムスタンプBTjを付与するタイムスタンプ付与部と、前記タイムスタンプBTjを付与された前記検出信号Bjを格納する格納部と、前記タイムスタンプATi及びBTiに基づいて、前記検出信号Aiに最も同期した前記検出信号Bjを前記格納部から検索する同期信号検索部と、前記同期信号検索部で検索された同期信号の角度差の演算及びバーニア演算を行い、センサ基準の絶対舵角を出力するバーニア演算手段と、前記絶対舵角から舵角初期値を演算する初期舵角演算部と、前記センサBからの相対舵角及び前記舵角初期値に基づいてステアリング舵角を求める舵角出力部とを具備することにより達成される。
本発明の上記目的は、前記操舵速度を閾値と比較する比較部を備え、前記操舵速度が前記閾値以下の時に前記同期信号の検索、前記角度差の演算及び前記バーニア演算を行うようになっていることにより、或いは前記閾値が実用操舵速度であることにより、或いは前記同期信号検索部の検索が二分探索であることにより、より効果的に達成される。
舵角検出(バーニア)が成立する角度誤差がセンサに依存するため一定値となり、このときの角度誤差は舵角速度と時間誤差の乗算値になる。本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、センサ検出信号の同期を実施することによって時間誤差を小さくでき、時間誤差に比例する角度誤差を小さくすることができる。また、角度誤差を抑制して小さくできることから、舵角検出が可能な操舵速度を高くすることができる。
電動パワーステアリング装置の概要を示す構成図である。 電動パワーステアリング装置の制御系の構成例を示すブロック図である。 2つのセンサ(A,B)の検出信号の誤差要因と改善方法を示す図である。 本発明の基本構成を示すブロック図である。 舵角演算の動作例を示すフローチャートである。 ステアリング舵角の検出動作例を示すフローチャートである。 電動パワーステアリング装置とセンサの装着例及びその検出信号の関係を示す図である。 各センサの信号周期の一例を示す波形図である。 舵角検出装置の構成例を示すブロック図である。 40°周期と296°周期の角度信号を示す波形図である。 本発明の効果(角度誤差を小さくすることによって舵角検出が成立する操舵速度が高くなること)を示す図である。
本発明の電動パワーステアリング装置では、操舵角(舵角)を、電動パワーステアリング装置に装着されたそれぞれ独立した角度センサA及びBの角度信号から、角度差の演算を含むバーニア(副尺)の原理を利用して検出(演算)する。本発明では、角度センサAの周期は大きく、角度センサBはトルクセンサの出力側のセンサで、1周期は小さくなっている。角度センサAと角度センサBは独立したセンサとなるため、同期がとれていない。また、操舵角検出が成立するには、バーニア演算の原理上角度センサAと角度センサBの角度誤差が一定値以下(各センサの検出角度範囲の最大公約数)である必要がある。
複数のセンサの同期がとれていない場合、各センサの検出タイミングがズレる。また、センサが回転(操舵)している場合、検出される角度に誤差が発生し、回転数(操舵速度)に比例して角度誤差が増大する。このため、舵角検出における操舵上の制約条件「一定操舵速度以下のみ舵角が検出可能」が生じる。この制約条件のため、舵角制御等による運転者への運転支援システムや車両側の舵角制御(EPS等)の起動が遅れる。
そのため、本発明では、複数のセンサからの各検出信号の受信毎にタイムスタンプを付与し、検出信号とタイムスタンプを紐付けして所定の時間分バッファメモリへ格納しておく。その後、バッファメモリの中から角度センサAと角度センサBの角度検出タイミングが最も近い信号(同期信号)を検索し、最低限の角度誤差での舵角演算を可能としている。これにより、舵角速度に比例した角度誤差の増加を抑制することが可能となるため、速い操舵速度でもバーニア演算が成立することになる。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明による信号同期の原理を説明するタイムチャートであり、2つのセンサA及びBからの検出信号の誤差要因と改善方法を示している。センサAからの信号A1を受信完了した時、バーニア演算に使用する信号として、センサBからの信号B1を選択した場合、センサAとセンサBの角度検出タイミングの時間誤差はΔt1となり、大きな時間誤差を含んでしまう。そのため、本発明ではセンサAからの信号Ai(i=1,2,・・・)とセンサBからの信号Bj(j=1,2、・・・)とをタイムスタンプの付与と信号検索によって同期させる。このとき、例えば信号A1の検出タイミングに最も近い信号Bjを、信号Bjのバッファメモリ内から検索する。その結果、本例では信号A1に対し、信号B7が選択される。信号Aと信号Bを同期させることで、時間誤差がΔt1からΔt2へ改善される。その後、同期させた信号(信号A1、信号B7)を使用してバーニア演算し、舵角を算出する。
なお、図3において、Δtは信号Aiと信号Bjの角度検出タイミングの時間誤差であり、Δt1は同期前の時間誤差であり、Δt2は同期後の時間誤差である。また、ΔaiはセンサA(信号Ai)の内部処理時間+通信時間であり、ΔbjはセンサB(信号Bj)の内部処理時間+通信時間である。
図4は本発明(舵角演算装置)の基本構成例を示しており、車両側のセンサ201(センサA)及びセンサ202(センサB)の検出信号SN1及びSN2は、通信によってECU側の信号受信部300に入力される。センサ201の検出信号SN1はタイムスタンプを付与され、角度受信部301に入力されて受信された後に同期信号検索部310に入力される。また、センサ202の検出信号SN2はタイムスタンプを付与され、角度受信部302に入力されて受信された後に一旦バッファメモリ303に格納され、格納された検出信号SN2bが読み出されて同期信号検索部310に入力される。同期信号検索部310で同期信号として検索されたセンサ検出信号SN1s及びSN2sが角度差の演算及びバーニア演算を行うバーニア演算部320に入力される。バーニア演算部320で、角度差の演算を含む演算でバーニア演算された舵角(センサ基準の絶対舵角)が、バーニア演算部320から出力される。また、ECUには操舵速度ωが入力されている。
このような舵角演算装置の動作例を、図5に示すフローチャートに従って説明する。
図5は舵角演算の動作例を示しており、センサ201(センサA)からの検出信号SN1が角度受信部301で受信され(ステップS10)、角度受信部301でタイムスタンプA1を付与されて同期信号検索部310に入力される(ステップS11)。同期信号検索部310に入力される検出信号Sn1aは“SN1+タイムスタンプA1”である。また、センサ202(センサB)からの検出信号SN2が角度受信部302で受信され(ステップS12)、角度受信部302でタイムスタンプB1を付与されて(ステップS13)、つまり“SN2+タイムスタンプB1”としてバッファメモリ303に順次格納される(ステップS14)。バッファメモリ303には、タイムスタンプB1、B2、B3・・・を付与された検出信号SN2a1,SN2a2,SN2a3,・・・が格納された後、バッファメモリ303から読み出された検出信号SN2b1(SN2a1+タイムスタンプB1),SN2b2(SN2a2+タイムスタンプB2),SN2b3(SN2a3+タイムスタンプB3),・・・が同期信号検索部310に入力される。
その後、操舵速度ωが入力され(ステップS15)、操舵速度ωが閾値としての制限操舵速度ω以下であるか否かを判定する(ステップS20)。操舵速度ωが速すぎると角度誤差が大きくなり過ぎるので、ステアリングの実用範囲で制限するためである。操舵速度ωが制限操舵速度ω以下である場合には、タイムスタンプ(A1,B1,B2,B3,・・・)の読み出しを行い(ステップS21)、例えば二分検索によって同期信号(タイムスタンプA1とタイムスタンプBj)の検索を行う(ステップS22)。検索結果に基づいて検出信号、つまり同期後の検出信号A1及び同期後の検出信号Bjを読み出し(ステップS23)、角度差の演算を行い(ステップ24)、更にバーニア演算部320で公知のバーニア演算を行い、センサ基準の絶対舵角を出力する(ステップS25)。その後、絶対舵角、相対舵角、車両中立位置(EEPROMに記憶)に基づいて初期舵角の演算を行い、舵角初期値を出力する(ステップS26)。
図6はステアリング舵角の検出動作例を示しており、センサからの角度信号TS_OSに基づいて相対舵角の演算を行い(ステップS30)、上述のようにして求められた舵角初期値を相対舵角に加算し(ステップS31)、ステアリング舵角を出力する。
次に、上記検出信号A及びBの同期及び舵角検出について、電動パワーステアリング装置に適用した場合を説明する。
トーションバーを具備する電動パワーステアリング装置では、複数箇所で角度を検出する必要があり、例えば図7に示すようなセンサがコラム軸(ハンドル軸)2に装着されて、各種検出信号が出力される。即ち、ハンドル軸2のハンドル1側の入力シャフト2Aには、角度センサとしてのホールICセンサ21及びトルクセンサ入力側ロータの20°ロータセンサ22が装着されている。ホールICセンサ21は296°周期のAS_IS角度θhを出力し、AS_IS角度θhは舵角演算部40に入力される。トーションバー23よりもハンドル1側に装着された20°ロータセンサ22は、20°周期のTS_IS角度θs1(主)及びθs2(副)を出力し、TS_IS角度θs1は舵角演算部40に入力される。また、ハンドル軸2の出力シャフト2Bには、トルクセンサ出力側ロータの40°ロータセンサ24が装着されており、40°ロータセンサ24からTS_OS角度θr1(主)及びθr2(副)が出力され、TS_OS角度θr1は舵角演算部40に入力される。舵角演算部40は、AS_IS角度θh、TS_IS角度θs1、TS_OS角度θr1及び舵角速度ωに基づいて、絶対値の舵角θabを演算して出力している。
図8は各センサの検出信号の信号周期の一例を示しており、図8(A)はホールICセンサ21からの検出信号であるAS_IS角度θhの信号周期(296°)を示しており、図8(B)は20°ロータセンサ22からの検出信号であるTS_IS角度θs1の信号周期(20°)を示しており、図8(C)は40°ロータセンサ24からの検出信号であるTS_OS角度θr1の信号周期(40°)を示している。これら3つのセンサの0点調整は、組立時にキャリブレーションして調整する。
図9は舵角演算部40の構成例を示しており、舵角速度ωは実行判定部41に入力され、実行判定部41で判定された舵角速度ω1は演算部50に入力される。センサAに相当するホールICセンサ21からのAS_IS角度θhは、演算部50内の減算部46Aに加算入力され、センサBに相当する20°ロータセンサ22からのTS_IS角度θs1と、センサBに相当する40°ロータセンサ24からのTS_OS角度θr1とは角度差演算部42に入力され、角度差演算部42で角度差(=θs1−θr1)を演算されて減算部46Aに減算入力される。減算部46Aで求められた減算角度AS_OS(=θh−(θs1−θr1))はバーニア演算部43に入力される。角度差演算部42、減算部46A及びバーニア演算部43でバーニア演算手段を構成している。また、センサBに相当する40°ロータセンサ24からのTS_OS角度θr1はバーニア演算部43に入力されると共に、相対舵角演算部45に入力される。
バーニア演算部43で演算された舵角(センサ基準の絶対舵角)θbrは初期舵角演算部44に入力され、演算された舵角初期値θintが出力される。演算部50は起動時に一度上述の演算を行い、舵角初期値θintを出力する。演算部50からの舵角初期値θintが加算部46Bに入力され、相対舵角演算部45で演算された相対舵角Re1_OSも加算部46Bに入力される。加算部46Bにおける加算で得られたステアリング舵角θab(=θint+Re1_OS)が、舵角出力部としての加算部46Bから出力される。
舵角演算部40は、車両中立位置を0点としたステアリング舵角θabを常時出力するため、起動時に一度減算角度AS_OSとTS_OS角度θr1からバーニア演算部43でバーニア演算を行い、TS_OS角度θr1の相対舵角をセンサ基準での絶対舵角に補正するための補正値を求める。更に、この補正値と車両中立位置から舵角初期値θintを求める。舵角初期値θintを求めた後、この初期値θintにTS_OS角度θr1の相対舵角Rel_OSを加算することで、舵角出力部としての加算部46Bから絶対値のステアリング舵角θabを常時出力することができる。
バーニア演算は周期の異なるセンサ信号(例えば40°周期、296°周期)同士の位相差を利用して、出力軸側にある40°ロータセンサ24の周期位置「0〜36」(舵角0°から何回転目か)を求める演算である。これにより、40°ロータセンサ24が舵角領域「0〜1480°」のどの位置であるかを判定できる。また、バーニア演算のため、減算角度AS_OS(296°周期の出力軸側角度)は生成される。つまり、入力軸側にあるホールICセンサ21からの検出信号であるAS_IS角度θhから、トーションバー23の捩れ角度分(TS_IS角度θs1とTS_OS角度θr1の角度差)を減算する。
一般にバーニア演算を行う場合、基準となる大きい周期と、小さい周期の差が小さい方が誤差が小さい。小さいサイクルの周期が細かすぎる(大きいサイクルと小さいサイクルの差が大きい)と、小さいサイクルの隣の値と誤認識することが考えられる。また、EPS装置ではトーションバーを有することから、ハンドル自体の回転角と車両の舵角はトーションバーの捩れ特性分のズレを生じる。従って、本発明では、トーションバー(23)よりもラックアンドピニオン側のセンサ(24)とトーションバー(23)よりもハンドル側のセンサ(21,22)との間でバーニア演算し、トーションバー(23)よりもハンドル側のセンサ(22)を設けて、トーションバー前後のセンサで捩れ分を補正する構成をとっている。
図11は本発明の効果を示しており、前提として、舵角検出(バーニア)が成立する角度誤差Δθ’はセンサに依存するため、一定値となる。このとき、角度誤差Δθに関して、下記数1が成立する。つまり、角度誤差Δθは操舵速度ωに比例して増減する。
(数1)
角度誤差Δθ=操舵速度ω × 時間誤差Δt

対策として信号の同期を実施することにより、センサAとセンサBの信号間の検出タイミングの時間誤差Δtを小さくする。つまり、検出信号の同期をとることによって角度誤差が小さくなる。その結果、舵角検出が成立する操舵速度ωが、ω1→ω2のように高くなる。このように、成立する操舵速度がω1(例えば20°/s)からω2(例えば200°/s)へ向上すれば、舵角検出の機能がEPSとして十分成立することになる。
なお、上述では周期の小さいセンサBのみを検索しているが、CPUの演算能力やバッファメモリの容量が稼げれば、周期の大きいセンサAも同様にタイムスタンプ付きデータを格納して検索するようにすることもできる。
1 ハンドル
2 コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)
10 トルクセンサ
12 車速センサ
13 バッテリ
20 モータ
21 ホールICセンサ
22 20°ロータセンサ
23 トーションバー
24 40°ロータセンサ
30 コントロールユニット(ECU)
31 電流指令値演算部
33 電流制限部
34 補償部
35 PI制御部
36 PWM制御部
37 インバータ回路
40 舵角演算部
41 実行判定部
42 角度差演算部
43 バーニア演算部
44 初期舵角演算部
45 相対舵角演算部
200 舵角制御部
201 センサ(A)
202 センサ(B)
300 信号受信部
301、302 角度受信部
303 バッファメモリ
310 同期信号検索部
320 バーニア演算部
本発明は、少なくとも操舵トルクに基づいて演算された電流指令値によってモータを駆動して操舵をアシスト制御すると共に、少なくとも周期の異なるセンサA及びBを具備している電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、前記センサA及びBの検出信号を通信で受信すると共に、それぞれにタイムスタンプを付与した後、二分探索によって同期信号を検索して同期後センサ信号Aia及びBjaを出力する信号受信部と、前記同期後センサ信号Aia及びBjaの角度差の演算を含むバーニア演算を行い、センサ基準の絶対舵角を出力するバーニア演算部とを具備することにより達成される。
本発明の上記目的は、前記センサAの周期が前記センサBの周期よりも長いことにより、或いは前記信号受信部が、前記センサAの検出信号AiにタイムスタンプATiを付与し、前記センサBの検出信号BjにタイムスタンプBTjを付与するタイムスタンプ付与部と、前記タイムスタンプBTjを付与された前記検出信号Bjを格納するバッファメモリと、前記タイムスタンプATi及びBTiに基づいて、前記検出信号Aiに最も同期した前記検出信号Bjを前記バッファメモリから検索して前記同期後センサ信号Aia及びBjaを出力する同期信号検索部とで構成されていることにより、或いは前記信号受信部は操舵速度を入力し、前記操舵速度が閾値以下の時に前記同期後センサ信号Aia及びBjaの検索、前記角度差の演算及び前記バーニア演算を行うようになっていることにより、より効果的に達成される。

Claims (4)

  1. 少なくとも操舵トルクに基づいて演算された電流指令値によってモータを駆動して操舵をアシスト制御すると共に、少なくとも周期の異なるセンサA及びBを具備し、操舵速度を検出する機能を有している電動パワーステアリング装置において、
    前記センサAの検出信号AiにタイムスタンプATiを付与し、前記センサBの検出信号BjにタイムスタンプBTjを付与するタイムスタンプ付与部と、
    前記タイムスタンプBTjを付与された前記検出信号Bjを格納する格納部と、
    前記タイムスタンプATi及びBTiに基づいて、前記検出信号Aiに最も同期した前記検出信号Bjを前記格納部から検索する同期信号検索部と、
    前記同期信号検索部で検索された同期信号の角度差の演算及びバーニア演算を行い、センサ基準の絶対舵角を出力するバーニア演算手段と、
    前記絶対舵角から舵角初期値を演算する初期舵角演算部と、
    前記センサBからの相対舵角及び前記舵角初期値に基づいてステアリング舵角を求める舵角出力部と、
    を具備したことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記操舵速度を閾値と比較する比較部を備え、前記操舵速度が前記閾値以下の時に前記同期信号の検索、前記角度差の演算及び前記バーニア演算を行うようになっている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記閾値が実用操舵速度である請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記同期信号検索部の検索が二分探索である請求項1乃至3のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
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