JP2012087411A - 電子部品材 - Google Patents

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Abstract

【課題】Cu合金の代わりに使用でき、軽量化が図れると共に、原材料費の低減も図れる電子部品材を提供する。
【解決手段】引張強度を90〜700MPaかつビッカース硬度Hvを30〜230にしたAl合金の基材10の表面に、Ni、Ni合金、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、Sn、Sn合金、Pd、Pd合金、Au、又はAu合金のいずれか1種又は2種以上で構成される第1のめっき層13を形成した。Al合金の基材10は、例えば、Si:13.0質量%以下、Fe:1.5質量%以下、Cu:6.8質量%以下、Mn:1.5質量%以下、Mg:5.6質量%以下、Cr:0.5質量%以下、Zn:8.4質量%以下、及びTi:0.2質量%以下を含有し、その他不可避的不純物を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、リードフレーム(半導体等)や端子(コネクタも含む)等の通電材に使用する電子部品材に関する。
従来、半導体装置に使用されるリードフレームや、コネクタに使用される端子等は、その導電性や組立て時の強度等を考慮して、Cu合金で構成されていることが多い(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−172154号公報
しかしながら、Cu合金で製造される電子部品は、その重量が重いため、軽量化が求められている。また、Cu合金は、原材料費が高くコストがかかるため、安価な材料が求められている。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、Cu合金の代わりに使用でき、軽量化が図れると共に、原材料費の低減も図れる電子部品材を提供することを目的とする。
前記目的に沿う第1の発明に係る電子部品材は、焼きなまし処理し、引張強度を200〜300MPaかつビッカース硬度Hvを65〜100にしたAl合金の基材の表面に、Ni、Ni合金、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、Sn、Sn合金、Pd、Pd合金、Au、又はAu合金のいずれか1種又は2種以上で構成される第1のめっき層を形成した。
第1の発明に係る電子部品材において、前記Al合金の基材は、Si:0.4質量%以下、Fe:0.5質量%以下、Cu:2.4質量%以下、Mn:0.05〜1.0質量%、Mg:2.4〜5.6質量%、Cr:0.35質量%以下、Zn:7.3質量%以下、及びTi:0.2質量%以下を含有し、その他不可避的不純物を含むのがよい。
第1の発明に係る電子部品材において、前記第1のめっき層は、Zn又はZn合金の第2のめっき層を介して、前記基材の表面に形成される場合が多い。
第1の発明に係る電子部品材において、前記第2のめっき層の平均厚みは、0を超え5.0μm以下であるのがよい。
第1の発明に係る電子部品材において、前記第1のめっき層の平均厚みは、0.5〜10μmであることが好ましい。
第1の発明に係る電子部品材において、リードフレームであることが好ましい。
前記目的に沿う第2の発明に係る電子部品材は、引張強度を90〜700MPaかつビッカース硬度Hvを30〜230にしたAl合金の基材の表面に、Ni、Ni合金、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、Sn、Sn合金、Pd、Pd合金、Au、又はAu合金のいずれか1種又は2種以上で構成される第1のめっき層を形成した。
第2の発明に係る電子部品材において、前記Al合金の基材は、Si:13.0質量%以下、Fe:1.5質量%以下、Cu:6.8質量%以下、Mn:1.5質量%以下、Mg:5.6質量%以下、Cr:0.5質量%以下、Zn:8.4質量%以下、及びTi:0.2質量%以下を含有し、その他不可避的不純物を含むのがよい。
第2の発明に係る電子部品材において、前記第1のめっき層は、Zn又はZn合金の第2のめっき層を介して、前記基材の表面に形成される場合が多い。
第2の発明に係る電子部品材において、前記第2のめっき層の平均厚みは、0を超え5.0μm以下であるのがよい。
第2の発明に係る電子部品材において、前記第1のめっき層の平均厚みは、0.5〜10μmであることが好ましい。
第2の発明に係る電子部品材において、自動車用の接点部品又はブスバー用部品であることが好ましい。
第1の発明に係る電子部品材は、焼きなまし処理し、引張強度を200〜300MPaかつビッカース硬度Hvを65〜100にしたAl合金を基材として使用しているので、電子部品材に使用するために十分な強度と導電性を備えることができる。更に、このAl合金は、焼きなまし処理されているので、例えば、この電子部品材をリードフレームに使用する場合において、ダイボンディング工程、モールド工程、はんだディップ工程等の半導体アセンブリ(組立て)工程の熱履歴を経ても、強度劣化を抑制、更には防止できる。また、例えば、この電子部品材を端子に使用する場合においても、樹脂成形時や、基材へのアセンブリ時の熱履歴を経ても、強度劣化を抑制、更には防止できる。
そして、このAl合金の基材の表面に第1のめっき層を形成することで、例えば、この電子部品材をリードフレームに使用する場合において、はんだの濡れ性(はんだ付け性)を良好にできる。
従って、銅合金の代わりにAl合金を使用でき、軽量化が図れると共に、原材料費の低減も図れる。
第2の発明に係る電子部品材は、引張強度を90〜700MPaかつビッカース硬度Hvを30〜230にしたAl合金を基材として使用しているので、電子部品材に使用するために十分な強度と導電性を備えることができる。また、このAl合金の基材の表面に第1のめっき層を形成することで、例えば、この電子部品材を自動車用の接点部品やブスバー用部品に使用する場合において、接触信頼性(接触抵抗)、耐食性、強度、導電率等を、良好にできる。
従って、銅合金(純銅も含む)の代わりにAl合金を使用でき、軽量化が図れると共に、原材料費の低減も図れる。
第1、第2の発明に係る電子部品材において、Al合金の基材の表面に、Zn又はZn合金の第2のめっき層を介して第1のめっき層が形成された場合、Al合金の基材の表面に、電子部品材に要求される第1のめっき層を安定に形成することが可能になる。
ここで、第2のめっき層の平均厚みを0を超え5.0μm以下(置換めっきのみの場合は、望ましくは1.0μm以下)にする場合、経済性等を考慮して過剰に厚くし過ぎることなく、Al合金の基材への第1のめっき層の結合力を十分に確保できる。
そして、第1のめっき層の平均厚みを0.5〜10μmにする場合、特に、第1のめっき層が単一のNiめっきである場合や、またNiめっきの平均厚みを0.5〜10μmにする場合は、経済性等を考慮して過剰に厚くし過ぎることなく、例えば、良好なはんだの濡れ性を確保できる。
更に、電子部品材がリードフレームである場合、特に、ディスクリート半導体用リードフレームである場合、使用するために十分な強度と導電性を備えると共に、半導体アセンブリ工程における熱がかかっても、強度劣化を抑制、更には防止できるため、本発明の効果がより顕著になる。
また、電子部品材が自動車用の接点部品又はブスバー用部品である場合、従来、純銅や銅合金が使用されてきた部分に使用できるため、本発明の効果がより顕著になる。
本発明の一実施の形態に係るリードフレームの部分側断面図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る電子部品材は、通電材として従来使用していたCu合金(銅合金)の代わりにAl合金(アルミニウム合金)を基材(母材)10として使用することで、軽量化が図れると共に、原材料費の低減も図れるリードフレーム11である。以下、詳しく説明する。
リードフレーム11の基材10となるAl合金は、焼きなまし処理し、引張強度を200〜300MPaかつビッカース硬度Hvを65〜100にしたものである。
ここで、引張強度を200〜300MPa、ビッカース硬度Hvを65〜100としたのは、Al合金をリードフレームとして使用するために必要な強度と硬度を備えるためである。具体的には、引張強度が200MPa未満、又はビッカース硬度Hvが65未満の場合、基材が軟らか過ぎて、リードフレームの基材として使用できない。また、引張強度が300MPa超、又はビッカース硬度Hvが100超となる場合、リードフレームの基材として使用可能な導電率(例えば、25%IACS以上程度)を備えることができず(導電率が低くなり、電気が流れにくくなる)、曲げ加工性も維持できない。
上記した引張強度とビッカース硬度Hvを備えるAl合金としては、Si(ケイ素):0.4質量%以下、Fe(鉄):0.5質量%以下、Cu:2.4質量%以下、Mn(マンガン):0.05〜1.0質量%、Mg(マグネシウム):2.4〜5.6質量%、Cr(クロム):0.35質量%以下、Zn(亜鉛):7.3質量%以下、及びTi(チタン):0.2質量%以下を含有し、その他不可避的不純物を含有するものがある。なお、Si、Fe、Cu、Cr、Zn、及びTiの各下限値は、0又は0質量%超である。
このAl合金は、Alの耐食性を劣化させずに強度を向上させたものであり、JIS規格に示される5000番系(Al−Mg系)、6000番系(Al−Mg−Si系)、及び7000番系(Al−Zn−Mg系)のAl合金に相当する。
そして、このAl合金は更に焼きなまし処理(例えば、330〜360℃程度)がなされているため、はんだ付け時に熱がかかっても、強度劣化を抑制、更には防止できる。
従って、半導体の組立て時に変形しない強度を備えると共に、半導体製品として必要な強度を備えることができる。
なお、高強度のAl合金である6000番系のAl合金(Al−Mg−Si系)の一部は、はんだ付け時に加わる熱(例えば、360℃程度)で軟化する恐れがある。このため、上記した構成のAl合金(例えば、JIS規格のA 5154、5056、5082、5182、5083、5086、7075、7178等を含む)を使用しているが、特に、JIS規格のA 5182−O材を使用することが好ましい。この「O材」とは、焼きなまししたものを意味する。
具体的には、Si:0.20質量%以下、Fe:0.35質量%以下、Cu:0.15質量%以下、Mn:0.20〜0.50質量%、Mg:4.0〜5.0質量%、Zn:0.25質量%以下、Cr:0.10質量%以下、及びTi:0.10質量%以下を含有するものであり、更に345℃程度で焼きなまし処理がなされ、引張強度を250〜290MPaかつビッカース硬度Hvを67〜90程度にしたものである。
なお、上記したJIS規格のA 5154は、Si:0.25質量%以下、Fe:0.40質量%以下、Cu:0.10質量%以下、Mn:0.10質量%以下、Mg:3.1〜3.9質量%、Zn:0.20質量%以下、Cr:0.15〜0.35質量%、及びTi:0.20質量%以下を含有するものである。
また、A 5056は、Si:0.30質量%以下、Fe:0.40質量%以下、Cu:0.10質量%以下、Mn:0.05〜0.20質量%、Mg:4.5〜5.6質量%、Zn:0.10質量%以下、及びCr:0.05〜0.20質量%を含有するものである。
A 5082は、Si:0.20質量%以下、Fe:0.35質量%以下、Cu:0.15質量%以下、Mn:0.15質量%以下、Mg:4.0〜5.0質量%、Zn:0.25質量%以下、Cr:0.15質量%以下、及びTi:0.10質量%以下を含有するものである。
A 5083は、Si:0.40質量%以下、Fe:0.40質量%以下、Cu:0.10質量%以下、Mn:0.40〜1.0質量%、Mg:4.0〜4.9質量%、Zn:0.25質量%以下、Cr:0.05〜0.25質量%、及びTi:0.15質量%以下を含有するものである。
A 5086は、Si:0.40質量%以下、Fe:0.50質量%以下、Cu:0.10質量%以下、Mn:0.2〜0.7質量%、Mg:3.5〜4.5質量%、Zn:0.25質量%以下、Cr:0.05〜0.25質量%、及びTi:0.15質量%以下を含有するものである。
そして、JIS規格のA 7075は、Si:0.40質量%以下、Fe:0.50質量%以下、Cu:1.2〜2.0質量%、Mn:0.30質量%以下、Mg:2.1〜2.9質量%、Zn:5.1〜6.1質量%、Cr:0.18〜0.28質量%、及びTi:0.20質量%以下を含有するものである。
A 7178は、Si:0.40質量%以下、Fe:0.50質量%以下、Cu:1.6〜2.4質量%、Mn:0.30質量%以下、Mg:2.4〜3.1質量%、Zn:6.3〜7.3質量%、Cr:0.18〜0.28質量%、及びTi:0.20質量%以下を含有するものである。
なお、前記した構成、即ち引張強度とビッカース硬度Hvを備え、更に、この引張強度とビッカース硬度Hvを備える成分で構成されたAl合金であれば、6000番系のAl合金(例えば、JIS規格のA 6101、6003、6005A、6N01(6005C)、6151、6060、6061、6262、6063、6181、6082等)を使用することもできる。
ここで、上記したJIS規格のA 6101は、Si:0.30〜0.70質量%、Fe:0.50質量%以下、Cu:0.10質量%以下、Mn:0.03質量%以下、Mg:0.35〜0.80質量%、Zn:0.10質量%以下、Cr:0.03質量%以下、及びB(ホウ素):0.06質量%以下を含有するものである。
また、A 6003は、Si:0.35〜1.0質量%、Fe:0.60質量%以下、Cu:0.10質量%以下、Mn:0.80質量%以下、Mg:0.80〜1.5質量%、Zn:0.20質量%以下、Cr:0.35質量%以下、及びTi:0.10質量%以下を含有するものである。
A 6005Aは、Si:0.50〜0.90質量%、Fe:0.35質量%以下、Cu:0.30質量%以下、Mn:0.50質量%以下、Mg:0.40〜0.70質量%、Zn:0.20質量%以下、Cr:0.30質量%以下、Ti:0.10質量%以下、及びMn+Cr:0.12〜0.50質量%を含有するものである。
A 6N01は、Si:0.40〜0.90質量%、Fe:0.35質量%以下、Cu:0.35質量%以下、Mn:0.50質量%以下、Mg:0.40〜0.80質量%、Zn:0.25質量%以下、Cr:0.30質量%以下、Ti:0.10質量%以下、及びMn+Cr:0.50質量%以下を含有するものである。
A 6151は、Si:0.60〜1.2質量%、Fe:1.0質量%以下、Cu:0.35質量%以下、Mn:0.20質量%以下、Mg:0.45〜0.80質量%、Zn:0.25質量%以下、Cr:0.15〜0.35質量%、及びTi:0.15質量%以下を含有するものである。
A 6060は、Si:0.30〜0.60質量%、Fe:0.10〜0.30質量%、Cu:0.10質量%以下、Mn:0.10質量%以下、Mg:0.35〜0.60質量%、Zn:0.15質量%以下、Cr:0.05質量%以下、及びTi:0.10質量%以下を含有するものである。
A 6061は、Si:0.40〜0.80質量%、Fe:0.70質量%以下、Cu:0.15〜0.4質量%、Mn:0.15質量%以下、Mg:0.80〜1.2質量%、Zn:0.25質量%以下、Cr:0.04〜0.35質量%、及びTi:0.15質量%以下を含有するものである。
A 6262は、Si:0.40〜0.80質量%、Fe:0.70質量%以下、Cu:0.15〜0.40質量%、Mn:0.15質量%以下、Mg:0.80〜1.2質量%、Zn:0.25質量%以下、Cr:0.04〜0.14質量%、Ti:0.15質量%以下、Bi(ビスマス):0.40〜0.70質量%、及びPb(鉛):0.40〜0.70質量%を含有するものである。
A 6063は、Si:0.20〜0.60質量%、Fe:0.35質量%以下、Cu:0.10質量%以下、Mn:0.10質量%以下、Mg:0.45〜0.90質量%、Zn:0.10質量%以下、Cr:0.10質量%以下、及びTi:0.10質量%以下を含有するものである。
A 6181は、Si:0.80〜1.2質量%、Fe:0.45質量%以下、Cu:0.10質量%以下、Mn:0.15質量%以下、Mg:0.60〜1.0質量%、Zn:0.20質量%以下、Cr:0.10質量%以下、及びTi:0.10質量%以下を含有するものである。
A 6082は、Si:0.70〜1.3質量%、Fe:0.50質量%以下、Cu:0.10質量%以下、Mn:0.40〜1.0質量%、Mg:0.60〜1.2質量%、Zn:0.20質量%以下、Cr:0.25質量%以下、及びTi:0.10質量%以下を含有するものである。
Al合金は、上記したように、アルミニウム(密度:2.70g/cm)を主体(Al:90質量%以上)とする合金であり、銅(密度:8.96g/cm)を主体とするCu合金の約1/3程度の密度である。これにより、従来のCu合金を使用した場合と比較して、リードフレームの軽量化が図れ、更にこのリードフレームを使用して半導体を製造することで、その重量を従来の約半分程度まで低減できる。更に、Al合金はCu合金と比較して安価であるため、原材料費の低減も図れる。
また、Al合金には、例えば、RoHSやELV等に規定された規制物質が含まれていないため、環境にやさしく、しかもリサイクルが可能である。なお、リサイクルにかかるエネルギーも、銅合金をリサイクルする場合と比較して小さくできる。
このAl合金の導電率(31%IACS)や熱伝導率(0.12kW/(m・℃))は、従来リードフレームに使用されているCu合金の導電率(92%IACS)や熱伝導率(0.36kW/(m・℃))と比較していずれも劣るが、リードフレームの基材として使用可能な範囲である。なお、「%IACS」とは、標準焼きなまし銅線を100%とした場合に、対象物が何%の導電性をもつかという比較値である。
また、Al合金の伸び(20〜30%程度)は、Cu合金の伸び(4%以上)よりも大きい。
そして、曲げ加工性(成型加工性)について、Al合金はCu合金と比較して加工硬化し易い材料であるため、Cu合金より劣る(破断までの繰返し曲げ回数は、Cu合金が3回であるのに対し、Al合金が2回)が、上記したAl合金は、必要な強度特性を維持しつつも曲げ加工が可能である。
従って、リードフレームに、Cu合金の代わりにAl合金を使用できる。
以上に示したAl合金の基材10の表面には、下地密着層(第2のめっき層の一例)12と機能めっき層(第1のめっき層の一例)13が順次形成されている。
この下地密着層12は、Zn又はZn合金めっき層で構成され、Al合金で構成される基材10の表面に、機能めっき層13を形成するために使用するものである。このため、下地密着層12の平均厚みは、基材10の表面に機能めっき層13を形成できれば、特に限定されるものではないが、経済性等を考慮して過剰に厚くならない厚み、例えば、0を超え5.0μm以下(好ましくは1.0μm以下)とするのがよい。なお、下限値については、十分な結合力を確保できる厚み、現実的には0.005μm(好ましくは、0.01μm)以上であればよい。
ここで、機能めっき層13は、下地密着層を介することなく(下地密着層:0μm)、Al合金の基材10の表面に直接形成されていてもよい。
また、機能めっき層13は、リードフレームでは、はんだの濡れ性(はんだ付け性)を良好にするため、また、接点部品(端子)では、はんだの濡れ性や耐食性、また電気的な接触信頼性を良好にするため、Al合金の基材10の最表面に形成する層であり、Ni(ニッケル)、Ni合金、Cu、Cu合金、Ag(銀)、Ag合金、Sn(錫)、Sn合金、Pd(パラジウム)、Pd合金、Au(金)、又はAu合金のいずれか1種又は2種以上で構成されている。なお、機能めっき層を2種以上で構成する場合は、下地密着層12の上に、例えば、Niめっき、Cuめっき、及びAgめっきを、順次形成する場合等がある。
この機能めっき層13は、リードフレームへの良好なはんだの濡れ性を確保するために使用するものである。このため、機能めっき層13の平均厚みは、良好なはんだの濡れ性を確保できれば、特に限定されるものではないが、経済性等を考慮して過剰に厚くすることなく、しかも良好なはんだの濡れ性を確保できる厚み、即ち0.5〜10μm(好ましくは、下限を0.7μm、上限を6.0μm、更に好ましくは、上限を5.0μm)とするのがよい(機能めっき層13の平均厚みが0.5μm未満の場合、良好なはんだの濡れ性を確保できなくなる)。
続いて、本発明の一実施の形態に係る電子部品材であるリードフレーム10の製造方法について説明する。
まず、Al合金板からなる基材10を準備する。このAl合金板は、焼きなまし処理され、引張強度を200〜300MPaかつビッカース硬度Hvを65〜100にしたものであり、Si:0.4質量%以下、Fe:0.5質量%以下、Cu:2.4質量%以下、Mn:0.05〜1.0質量%、Mg:2.4〜5.6質量%、Cr:0.35質量%以下、Zn:7.3質量%以下、Ti:0.2質量%以下、及びその他不可避的不純物を含有するものである。
次に、基材10をスタンピング(プレス)加工、もしくはエッチング加工により、所定のリードフレーム形状に加工する。なお、この加工は、下記に示すめっき加工(下地密着層及び機能めっき層の形成)後に施してもよい。
そして、基材10に脱脂処理を施して水洗した後に、アルカリエッチングして水洗し、このアルカリエッチングの際に生成(表層に残留)した基材10中の不溶成分(スマット:MgやSi等)を、硝酸等で溶解除去(酸食)する。
これにより、基材表面が清浄化されると共に、基材表面に微小な凹凸が形成されるので、これを水洗した後、ジンケート処理を行う。
ジンケート処理は、Al合金の基材10表面に、Zn又はZn合金の置換皮膜を形成する処理である。これにより、基材10の表面に、Zn又はZn合金からなる下地密着層12が形成される。
このジンケート処理は、経済性等を考慮すれば、1回のみ行うのがよいが、製品品質の向上には、上記したジンケート処理後、更に硝酸等によりZn又はZn合金皮膜を除去した後、再度Zn又はZn合金皮膜を施す複数回(好ましくは2回)のジンケート処理を行うことが好ましい。
この下地密着層12の形成は、電解めっきと無電解めっきのいずれでもよい。
そして、下地密着層12が形成された基材10に対し、更にNi又はNi合金めっきを行うことで、下地密着層12の表面に機能めっき層13を形成する。なお、機能めっき層13の形成は、下地密着層12を介することなく、機能めっき層13が基材10の表面に直接形成される場合もある。
この機能めっき層13の形成は、電解めっきと無電解めっきのいずれでもよい。
これにより、リードフレーム11を製造できる。
このリードフレーム11の使用にあっては、従来のCu合金からなるリードフレームと同様の方法(例えば、エッチング等)で配線パターンを形成した後、半導体素子(図示しない)とリードフレーム11の機能めっき層13とをはんだによって加熱(例えば、360℃程度)接合する。そして、半導体素子の電極部とリードフレーム11との間を、AuやAlのワイヤで電気配線した後、これらの配線部を樹脂によりモールドし、最後にアウターリードを切り離すことで、半導体装置が製造される。
以上のことから、本発明の電子部品材であるリードフレーム11を使用することで、軽量化が図れると共に、原材料費の低減も図れる。
なお、前記したAl合金は、上記したように、はんだ付け時に加わる熱で軟化する恐れがある場合の使用、例えば、リードフレームの使用に適している。しかし、高温に曝されにくい、更には高温に曝されることがない場合の使用、例えば、自動車用の接点部品やブスバー用部品(バスバー用部品ともいう)への使用に際しては、引張強度を90〜700MPaかつビッカース硬度Hvを30〜230にしたAl合金を、基材として使用できる。
ここで、引張強度を90〜700MPa(好ましくは、下限を150MPa、上限を500MPa、更には400MPa)、ビッカース硬度Hvを30〜230(好ましくは、下限を40、上限を170、更には130)としたのは、Al合金を電子部品材、特に自動車用の接点部品やブスバー用部品として使用するために必要な強度と硬度を備えるためである。
具体的には、引張強度が90MPa未満、又はビッカース硬度Hvが30未満の場合、基材が軟らか過ぎて、従来、自動車用の接点部品やブスバー用部品に使用されている銅合金や純銅の引張強度及びビッカース硬度Hvを満足することができない。このため、従来の基材の代わりにAl合金の基材を使用できない。なお、基材の引張強度が低くても、90MPa以上あれば、基材の厚みを厚くすることで対応できる。また、基材をリベット止めする場合もあるため、引張強度が90MPa以上あれば十分でもある。
一方、引張強度が700MPa超、又はビッカース硬度Hvが230超となる場合、自動車用の接点部品やブスバー用部品の基材として使用可能な導電率(例えば、25%IACS以上程度)を備えることができず(導電率が低くなり、電気が流れにくくなる)、曲げ加工性も維持できない。
上記した引張強度とビッカース硬度Hvを備えるAl合金としては、Si:13.0質量%以下、Fe:1.5質量%以下、Cu:6.8質量%以下、Mn:1.5質量%以下、Mg:5.6質量%以下、Cr:0.5質量%以下、Zn:8.4質量%以下、及びTi:0.2質量%以下を含有し、その他不可避的不純物を含有するものがある。なお、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn、及びTiの各下限値は、0又は0質量%超である。また、上記したAl合金には、Ni、Zr(ジルコニア)、V(バナジウム)、Pb、Bi、Ga(ガリウム)、Mn、及びBのいずれか1種又は2種以上が含まれるものもある。
このAl合金は、JIS規格に示される2000番系(Al−Cu系)、3000番系(Al−Mn系)、4000番系(Al−Si系)、5000番系(Al−Mg系)、6000番系(Al−Mg−Si系)、及び7000番系(Al−Zn−Mg系)のAl合金に相当する。
具体的には、例えば、JIS規格のA 2011、2014、2017、2018、2024、2025、2117、2218、2N01(2032)、3003、3004、3005、3105、3203、4032、5154、5056、5082、5182、5083、5086、6101、6003、6005A、6N01(6005C)、6151、6060、6061、6262、6063、6181、6082、7075、7178等である。
なお、上記したJIS規格の2000番系は、Si:1.3質量%以下、Fe:1.5質量%以下、Cu:1.5〜6.8質量%、Mn:1.2質量%以下、Mg:1.8質量%以下、Zn:0.5質量%以下、Cr:0.1質量%以下、及びTi:0.2質量%以下を含有するものである。
また、JIS規格の3000番系は、Si:0.6質量%以下、Fe:0.8質量%以下、Cu:0.3質量%以下、Mn:0.3〜1.5質量%、Mg:1.3質量%以下、Zn:0.4質量%以下、Cr:0.2質量%以下、及びTi:0.1質量%以下を含有するものである。
そして、JIS規格の4000番系は、Si:11.0〜13.0質量%、Fe:1.0質量%以下、Cu:0.5〜1.3質量%、Mg:0.8〜1.3質量%、Zn:0.25質量%以下、及びCr:0.1質量%以下を含有するものである。
また、JIS規格の5000番系は、Si:0.4質量%以下、Fe:0.7質量%以下、Cu:0.2質量%以下、Mn:1.0質量%以下、Mg:0.2〜5.6質量%、Zn:0.25質量%以下、Cr:0.5質量%以下、及びTi:0.2質量%以下を含有するものである。
JIS規格の6000番系は、Si:0.2〜1.3質量%、Fe:1.0質量%以下、Cu:0.4質量%以下、Mn:1.0質量%以下、Mg:0.35〜1.5質量%、Zn:0.25質量%以下、Cr:0.35質量%以下、及びTi:0.15質量%以下を含有するものである。
そして、JIS規格の7000番系は、Si:0.4質量%以下、Fe:0.5質量%以下、Cu:2.6質量%以下、Mn:0.7質量%以下、Mg:3.1質量%以下、Zn:0.8〜8.4質量%、Cr:0.35質量%以下、及びTi:0.2質量%以下を含有するものである。
なお、以上に示したAl合金については、焼きなまし処理したAl合金と、焼きなまし処理していないAl合金の、いずれも使用できる。
上記したAl合金を使用して、電子部品材である自動車用の接点部品やブスバー用部品を製造するに際しては、まず、Al合金板からなる基材を準備する。
この基材には、その一部(例えば、基材の全体積を100として、その1〜90体積%)をCu又はCu合金で構成した基材を使用することもできる。なお、この形態には、例えば、Al合金板とCu(又はCu合金)板をクラッド化したもの等があり、具体的には、凹状に形状加工したAl合金内に、Cu板を嵌め込んだもの等がある。
このように、基材の一部をCu又はCu合金にすることで、従来使用していたCu合金や純銅の基材と比較して、基材のはんだ付け性と放熱性の低減を抑制できる。
次に、基材を、スタンピング(プレス)加工、もしくはエッチング加工により、所定の接点部品形状又はブスバー用部品形状に加工する。なお、この加工は、前記したリードフレームと同様、めっき加工(下地密着層及び機能めっき層の形成)後に施してもよい。
そして、この基材の表面に、前記した方法と同様の方法により、下地密着層と機能めっき層を順次形成する。なお、上記したように、基材の一部をCu又はCu合金で構成した場合、その表面に、下地密着層と機能めっき層が形成されてもよく、また形成されなくてもよい。
これにより、自動車用の接点部品やブスバー用部品を製造できる。
従って、本発明の電子部品材である自動車用の接点部品やブスバー用部品を使用することで、軽量化が図れると共に、原材料費の低減も図れる。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の電子部品材を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、電子部品材の一例であるリードフレーム、自動車用の接点部品、ブスバー用部品について説明したが、これに限定されるものではなく、他の電子部品材として、例えば、端子(オス側端子やメス側端子)等の通電材に使用することもできる。
10:基材、11:リードフレーム、12:下地密着層(第2のめっき層)、13:機能めっき層(第1のめっき層)

Claims (6)

  1. 引張強度を90〜700MPaかつビッカース硬度Hvを30〜230にしたAl合金の基材の表面に、Ni、Ni合金、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、Sn、Sn合金、Pd、Pd合金、Au、又はAu合金のいずれか1種又は2種以上で構成される第1のめっき層を形成したことを特徴とする電子部品材。
  2. 請求項1記載の電子部品材において、前記Al合金の基材は、Si:13.0質量%以下、Fe:1.5質量%以下、Cu:6.8質量%以下、Mn:1.5質量%以下、Mg:5.6質量%以下、Cr:0.5質量%以下、Zn:8.4質量%以下、及びTi:0.2質量%以下を含有し、その他不可避的不純物を含むことを特徴とする電子部品材。
  3. 請求項1又は2記載の電子部品材において、前記第1のめっき層は、Zn又はZn合金の第2のめっき層を介して、前記基材の表面に形成されたことを特徴とする電子部品材。
  4. 請求項3記載の電子部品材において、前記第2のめっき層の平均厚みは、0を超え5.0μm以下であることを特徴とする電子部品材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子部品材において、前記第1のめっき層の平均厚みは、0.5〜10μmであることを特徴とする電子部品材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子部品材において、自動車用の接点部品又はブスバー用部品であることを特徴とする電子部品材。
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