JP2012087187A - 発光材料、並びに、有機el素子 - Google Patents

発光材料、並びに、有機el素子 Download PDF

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将三 西田
Hirotaka Umezaki
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正毅 清水
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Abstract

【課題】ケイ素架橋インドール誘導体を利用した新規青色発光材料、及び当該青色発光材料を利用した新規有機EL素子を提供する。
【解決手段】有機EL素子2は、透明電極4と裏面電極6との間に発光層12を有する。発光層12は、アントラセン誘導体をホスト化合物とし、ケイ素架橋インドール誘導体をドーパント化合物として含有する発光材料で構成されている。有機EL素子2は高い発光効率を有し、かつ発光寿命が長いものとなる。
【選択図】図2

Description

本発明は、発光材料、並びに、有機EL素子に関し、さらに詳細には、ケイ素架橋インドール誘導体をドーパント化合物として含有する発光材料、並びに、当該発光材料を含む発光層を備えた有機EL素子に関する。
近年、白熱灯や蛍光灯に変わる照明装置として有機EL(electroluminescence)装置が注目され、多くの研究がなされている。また、テレビに代表されるディスプレイ部材においても液晶方式やプラズマ方式に変わる方式として有機EL方式が注目されている。
ここで有機EL装置は、ガラス基板や透明樹脂フィルム等の基材に、有機EL素子を積層したものである。
また有機EL素子は、陰極及び陽極からなる一対の電極の間に有機化合物を含む発光層を備えている。有機EL素子は、電気的に励起された電子と正孔との再結合のエネルギーによって発光する。
有機EL装置は、自発光デバイスであるため、ディスプレイ材料として使用すると高コントラストの画像を得ることができる。また、発光層の材料を適宜選択することにより、種々の波長の光を発光することができる。また白熱灯や蛍光灯に比べて厚さが極めて薄く、且つ面状に発光するので、設置場所の制約が少ない。
有機EL装置の代表的な層構成は、図1のとおりである。図1に示される有機EL装置1は、ボトムエミッション型と称される構成であり、ガラス基板3に、透明電極層(陽極)4と、機能層5と、裏面電極層(陰極)6が積層され、これらが封止部7によって封止されたものである。そして、透明電極層4、機能層5、及び裏面電極層6によって、有機EL素子2が構成されている。
機能層5は、複数の有機化合物薄膜が積層されたものである。代表的な機能層5の層構成は、図2のとおりである。図2に示される有機EL素子2における機能層5は、正孔注入層10、正孔輸送層11、発光層12、電子輸送層15、及び電子注入層16が積層されてなる。すなわち、有機EL素子2において、発光層12は、透明電極層4と裏面電極層6の間に位置している。
前述のように、有機EL素子の発光層を構成する発光材料を適宜選択することにより、種々の波長の光を発光することができる。当該発光材料として使用できる化合物が種々見出されており、青色から赤色までの可視領域の発光が得られうる。このうち、青色発光材料としては、例えば、ジスチリルアリーレン誘導体やアントラセン誘導体が知られている(特許文献1,2)。
また最近、新規の青色発光材料としてケイ素架橋インドール誘導体が見出され、注目を集めている(特許文献3、非特許文献1)。ケイ素架橋インドール誘導体は固体状態での発光効率に優れており、有機EL素子の青色発光材料として実用化に期待が寄せられている。ケイ素架橋インドール誘導体の合成方法はすでに確立されている(特許文献3、非特許文献1)。
特開平8−333282号公報 特開2009−10408号公報 国際公開第2010/047335号パンフレット
ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(Journal of the American Chemical Society),第131巻,2009年,p.8350−8351
ケイ素架橋インドール誘導体を有機EL素子の発光材料として適用できることについて、基本的な知見はすでに得られている(特許文献3)。しかし、その実用化に向けて、さらなる改良を施すことが求められている。
上記した現状に鑑み、本発明は、ケイ素架橋インドール誘導体を利用した新規発光材料、及び当該発光材料を利用した新規有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、ケイ素架橋インドール誘導体を発光材料として採用する際に、より高い発光効率が得るための方策について鋭意検討した。その結果、ケイ素架橋インドール誘導体をアントラセン誘導体のドーパント化合物として使用すると、高い発光効率が得られ、さらに輝度劣化が緩やかで発光寿命が長くなることを見出した。上記した課題を解決するために提供される本発明は、以下のとおりである。
本発明の1つの様相は、アントラセン誘導体をホスト化合物とし、下記一般式(1):
Figure 2012087187
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、アミノ基、アリール基又は不飽和複素環基を示す。
3及びR5は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリール基又は不飽和複素環基を示す。
4は、水素原子、低級アルキル基、アリール基又は不飽和複素環基を示す。)
で表されるケイ素架橋インドール誘導体をドーパント化合物として含有することを特徴とする発光材料である。
本発明は発光材料に係るものであり、アントラセン誘導体をホスト化合物し、上記一般式(1)で表されるケイ素架橋インドール誘導体をドーパント化合物として含有する。本発明の発光材料を有機EL素子の発光層に用いると、高い発光効率が得られ、かつ輝度劣化が緩やかである。本発明の発光材料によれば、高い発光効率を有し、かつ発光寿命が長い青色発光有機EL素子を提供することができる。
好ましくは、前記ケイ素架橋インドール誘導体は、前記一般式(1)において、R2が式中の2位に結合しており、R5が式中の6位に結合しているものである。
好ましくは、前記ケイ素架橋インドール誘導体は、前記一般式(1)において、R1及びR2が同一の低級アルキル基又は同一のアリール基のものである。
好ましくは、前記ケイ素架橋インドール誘導体は、前記一般式(1)において、R1及びR2がイソプロピル基であり、R3及びR5が水素原子であり、R4がメチル基である。
好ましくは、アントラセン誘導体に対してケイ素架橋インドール誘導体を1〜50重量%含有する。
本発明の他の様相は、陽極及び陰極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を備えた有機EL素子であって、前記発光層は、上記いずれかの発光材料を有することを特徴とする有機EL素子である。
本発明は有機EL素子に係るものであり、発光層が上記した本発明の発光材料を有する。本発明の有機EL素子は、発光効率が高く、かつ発光寿命が長い。
好ましくは、前記発光層の厚みが5nm超である。
本発明の発光材料によれば、高い発光効率を有し、かつ発光寿命が長い青色発光有機EL素子を提供することができる。
本発明の有機EL素子は発光効率が高く、かつ発光寿命が長い。
有機EL装置の代表的な層構成を示す断面図である。 図1の有機EL装置における有機EL素子の代表的な層構成を示す断面図である。 実施例で作製した有機EL素子における輝度の経時変化を示すグラフである。
本発明の発光材料は、アントラセン誘導体をホスト化合物とし、下記一般式(1):
Figure 2012087187
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、アミノ基、アリール基又は不飽和複素環基を示す。
3及びR5は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリール基又は不飽和複素環基を示す。
4は、水素原子、低級アルキル基、アリール基又は不飽和複素環基を示す。)
で表されるケイ素架橋インドール誘導体をドーパント化合物として含有するものである。
前記低級アルキル基としては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、1−エチルプロピル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、などを挙げることができる。
前記低級アルコキシ基としては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を挙げることができる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、などを挙げることができる。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を挙げることができる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。また当該アリール基は、フェニル環又はナフタレン環状上に、置換基として以下に示す群から選ばれた官能基を1〜3個有していてもよい。
(置換基の群)
前記例示の低級アルキル基、前記例示の低級アルコキシ基、後記例示のハロゲン置換低級アルキル基、後記例示の低級アルコキシカルボニル基、後記例示の低級アルキルカルボニル基、後記例示の低級アルキル基を有していてもよいアミノ基、後記例示のアミノカルボニル基、ニトロ基、及びハロゲン原子からなる群。
(ハロゲン置換低級アルキル基の例示)
ハロゲン原子が1〜7個、より好ましくは1〜3個置換した前記例示のアルキル基を挙げることができる。具体的には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、ジクロロフルオロメチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、3−クロロプロピル基、2−クロロプロピル基、3−ブロモプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル基、4−クロロブチル基、4−ブロモブチル基、2−クロロブチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、5−クロロペンチル基、6,6,6−トリフルオロヘキシル基、6−クロロヘキシル基、ペルフルオロヘキシル基、などが挙げられる。
(低級アルコキシカルボニル基の例示)
低級アルコキシ部分が前記例示の低級アルコキシ基であるアルコキシカルボニル基が挙げられる。具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、イソヘキシルオキシカルボニル基、3−メチルペンチルオキシカルボニル基、などが挙げられる。
(低級アルキルカルボニル基の例示)
低級アルキル部分が前記例示の低級アルキル基であるアルキルカルボニル基が挙げられる。具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサニル基、などが挙げられる。
(低級アルキル基を有していてもよいアミノ基の例示)
前記例示の低級アルキル基を置換基として0、1又は2個(これらは異なっていてもよい)有するアミノ基を挙げることができる。具体的には、アミノ基、メチルアミノ基
エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−n−ペンチルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N−エチル−N−n−プロピルアミノ基、N−メチル−N−n−ブチルアミノ基、N−メチル−N−n−ヘキシルアミノ基、などが挙げられる。
(アミノカルボニル基の例示)
アミノ基部分が前記例示の「低級アルキル基を有していてもよいアミノ基」であるアミノカルボニル基を挙げることができる。具体的には、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、エチルメチルアミノカルボニル基、ベンジルメチルアミノカルボニル基、などが挙げられる。
前記アリール基の具体例としては、フェニル基、2−(または3−または4−)メチルフェニル基、2−(または3−または4−)トリフルオロメチルフェニル基、2−(または3−または4−)ニトロフェニル基、2−(または3−または4−)メトキシフェニル基、2−(または3−または4−)クロロフェニル基、ビフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、などを挙げることができる。
前記不飽和複素環基の不飽和複素環としては、5〜10員環、好ましくは5〜6員環の者が挙げられる。具体的には、ピリジン環、ピロール環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ジハイドロオキサゾール環、チオフェン環、フラン環、ピラゾール環、などを挙げることができる。
また当該不飽和複素環は、環上に、置換基として以下に示す群から選ばれた官能基を1〜3個有していてもよい。
(置換基の群)
前記例示の低級アルキル基、前記例示の低級アルコキシ基、前記例示のハロゲン置換低級アルキル基、前記例示の低級アルコキシカルボニル基、前記例示の低級アルキルカルボニル基、前記例示の低級アルキル基を有していてもよいアミノ基、前記例示のアミノカルボニル基、ニトロ基、及びハロゲン原子からなる群。
好ましい実施形態では、前記ケイ素架橋インドール誘導体は、前記一般式(1)において、R2が式中の2位に結合しており、R5が式中の6位に結合しているものである。具体的には、下記一般式(2)に示すものである。
Figure 2012087187
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、上記一般式(1)に同じ。)
別の好ましい実施形態では、前記ケイ素架橋インドール誘導体は、前記一般式(1)において、R1及びR2が同一の低級アルキル基又は同一のアリール基のものである。具体的には、下記一般式(3)に示すものである。
Figure 2012087187
(式中、R1、R2、R3、及びR4は、上記一般式(1)に同じ。)
さらに好ましい実施形態では、前記ケイ素架橋インドール誘導体は、前記一般式(1)において、R1及びR2がイソプロピル基であり、R3及びR5が水素原子であり、R4がメチル基である。具体的には、下記式(4)に示すものである。
Figure 2012087187
(式中、iPrはイソプロピル基、Meはメチル基を示す。)
上記したケイ素架橋インドール誘導体の合成方法は、前記特許文献3及び非特許文献1に記載されており、当業者であれば過度の試行錯誤をすることなく合成することができる。
ホスト化合物となるアントラセン誘導体としては、発光材料として使用可能なものであれば特に限定はない。例としては、9,10-Di(naphth-2-yl)anthracene(略称:ADN)、2‐Tert‐butyl‐9,10‐di(naphth-2-yl)anthracene(略称:TBADN)、2-Methyl-9,10-bis(naphthalen-2-yl)anthracene(略称:MADN)、2,2'-Bi(9,10-diphenyl-anthracene)(略称:TPBA)、4,4'-di(10-(naphthalen-1-yl)anthracen-9-yl)biphenyl(略称:BUBH−3)、などが挙げられる。
本発明の発光材料における、アントラセン誘導体(ホスト化合物)に対するケイ素架橋インドール誘導体(ドーパント化合物)の添加割合としては特に限定はないが、好ましくは、蒸着比で、アントラセン誘導体に対してケイ素架橋インドール誘導体が1〜50重量%、より好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは3〜7重量%である。
本発明の発光材料は、アントラセン誘導体(ホスト化合物)とケイ素架橋インドール誘導体(ドーパント化合物)以外の成分をさらに含有していてもよい。他の成分としては、電子輸送性を示すTris(8-hydroxy-quinolinato)aluminium(略称:Alq3)や1,3-Bis[2-(2,2'-bipyridine-6-yl)-1,3,4-oxadiazo-5-yl]benzene(略称:Bpy−OXD)が挙げられる。
本発明の発光材料を製造する方法としては、基板等の支持体上に成膜し、薄膜として取得する方法が挙げられる。代表的には、後述する本発明の有機EL素子における発光層の形成方法が、そのまま本発明の発光材料の製造方法の一例となる。
次に、本発明の有機EL素子について説明する。本発明の有機EL素子は、陽極及び陰極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を備えた有機EL素子であって、発光層が上記した本発明の発光材料を有するものである。本発明の有機EL素子の実施形態について、図2に示す積層構造を有する有機EL素子2を例に説明する。ただし、本発明の有機EL素子が本実施形態の構成に限定されないことは当然である。
本実施形態の有機EL素子2は、図2に示す様に、ガラス基板3上に、透明電極層(陽極)4、正孔注入層10、正孔輸送層11、発光層12、電子輸送層15、電子注入層16、及び裏面電極層(陰極)6がこの順番に積層された構造を有する。正孔注入層10、正孔輸送層11、発光層12、電子輸送層15、及び電子注入層16によって機能層5が構成されている。すなわち有機EL素子2において、発光層12は、透明電極層4と裏面電極層6の間に位置している。
ガラス基板3としては、透光性を有する材料からなるものであれば特に限定はない。本実施形態ではガラス基板3側から光を取り出すので(ボトムエミッション方式)、ガラス基板の光の透過率については、発光する光のロスを減少する観点から、可視光域における透過率が80%以上であることが好ましく、さらに好ましくは95%以上である。ガラス基板3に代えて、シリコン基板、フレキシブルなフィルム基板などを使用してもよい。またトップエミッション方式を採用する場合には、ガラス基板3は不透明であってもよい。
ガラス基板3上には、透明電極層(陽極)4が積層されている。透明電極層4についても特に限定はなく、公知のものが使用できる。例えば、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)などの材料からなるものが挙げられる。中でも、発光層12から発生した光を効果的に取り出すための観点やパターニングの容易性の観点から、透明性が高いITOあるいはIZOを好ましく使用することができる。
透明電極層4には、必要に応じて、例えばアルミニウム、ガリウム、ケイ素、ホウ素、ニオブなどの1種以上のドーパントがドーピングされていてもよい。透明電極層4の透過率は、透明性の観点から、可視光域における透過率が70%以上であることが好ましく、さらに好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。透明電極層4は、例えば、スパッタ法やCVD法によってガラス基板3上に形成される。透明電極層4の膜厚は、光の透過性や電気伝導度を考慮して適宜選択すればよいが、例えば80〜300nmであり、好ましくは100〜150nm、より好ましくは130〜150nmである。
透明電極層4上には、正孔注入層10が積層されている。正孔注入層10としては特に限定はなく、有機EL素子の正孔注入層として用いられている公知の材料を採用することができる。例えば、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ルテニウム、酸化マンガン等の金属酸化物が挙げられる。その他、2,3,5,6-Tetrafluoro-7,7,8,8-tetracyano-quinodimethane(略称:F4−TCNQ)が挙げられる。さらに、三酸化モリブデンとN,N-Bis(naphthalen-1-yl)-N,N'-bis(phenyl)-bezidine(略称:NPB)との混合層を正孔注入層10として採用することができる。
正孔注入層10は、例えば、真空蒸着法によって形成される。正孔注入層10の膜厚は光の干渉効果やリーク電流の抑制効果等を考慮して適宜選択すればよいが、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上である。
正孔注入層10上には、正孔輸送層11が積層されている。正孔輸送層11としては特に限定はなく、有機EL素子の正孔輸送層として用いられている公知の材料を採用することができる。例えば、下記一般式(5)で表されるアリールアミン系化合物が挙げられる。
Figure 2012087187
(式中、Ar1、Ar2及びAr3は、それぞれ独立に置換基を有してよい芳香族炭化水素基を示す。)
このようなアリールアミン系化合物としては特に制限はないが、具体例としては、N,N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ジアミノフェニル、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(3−メチルフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、N,N,N',N'−テトラ−p−トリル−4,4'−ジアミノビフェニル、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル、N,N,N',N’−テトラフェニル−4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、4−N,N'−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4'−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、1,1−ビス(4−ジ−p−トリアミノフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−フェニルメタン、N,N,N−N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4'−[4(ジ−p−トリアミノ)スチリル]スチルベン、N,N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ジアミノ−ビフェニルN−フェニルスカルバゾール、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]p−ターフェニル、4,4'−ビス[N−(3−アセナフテニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ナフタレン、4,4'−ビス[N−(9−アントリン)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(1−アントリル)−N−フェニル−アミノ]p−タ−フェニル、4,4'−ビス[N−(2−フェナントリル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(8−フルオランテニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(2−ピレニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(2−ペリレニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(1−コロネニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、2,6−ビス[ジ−(1−ナフチル)アミノ]ナフタレン、2,6−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ナフタレン、4,4'−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]タ−フェニル、4,4'−ビス{N−フェニル−N−[4−(1−ナフチル)フェニル]アミノ}ビフェニル、4,4'−ビス[N−フェニル−N−(2−ピレニル)−アミノ]ビフェニル、2,6−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]フルオレン、4,4'−ビス[N−フェニル−N−(2−ピレニル)−アミノ]ビフェニル、2,6−ビス[N,N−ジ−p−トリアミノ]ターフェニル、ビス(N−1−ナフチル)(N−2−ナフチル)アミン、等が挙げられる。
正孔輸送層11は、例えば、真空蒸着法によって形成される。
正孔輸送層11上には、発光層2が積層されている。発光層2は、上記した本発明の発光材料、すなわち、ホスト化合物たるアントラセン誘導体にケイ素架橋インドール誘導体をドープした発光材料を主成分として構成されている。発光層12を成膜する方法としては、アントラセン誘導体とケイ素架橋インドール誘導体とを同時に堆積させる方法が挙げられる。具体的には、真空蒸着法を用い、アントラセン誘導体とケイ素架橋インドール誘導体とを共蒸着させる方法が挙げられる。この際、ホスト化合物とドーパント化合物の蒸着速度を制御することにより、所望の蒸着比率(ドープ濃度)を実現することができる。
真空蒸着法以外の方法としては、発光材料を含む溶液を塗布する方法(コート法、印刷法など)や転写法(レーザー転写、熱転写など)が挙げられる。
発光層12の膜厚は電流効率等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば100〜400nmであり、好ましくは100〜300nm、より好ましくは200〜300nmである。なお、後述の実施例1と比較例1で示すように、ケイ素架橋インドール誘導体を単独のホスト化合物とすると5nm超の膜厚を実現することが難しいが、アントラセン誘導体をホスト化合物、ケイ素架橋インドール誘導体をドーパント化合物とする本発明の構成によれば、5nm超(例えば6nm以上)の膜厚を実現することができる。
発光層12上には、電子輸送層15が積層されている。電子輸送層15としては特に限定はなく、有機EL素子の電子輸送層として用いられている公知の材料を採用することができる。例えば、前出のBpy−OXD、4,7-Diphenyl-1,10-phenanthoroline(略称:Bphen)、2,2',2''-(1,3,5-Benzinetriyl)-tris(1-phenyl-1-H-benzimidazole)(略称:TPBi)、2-(4-Biphenyl)-5-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazole(略称:PBD)、Bis(2-methyl-8-quinolinolate)-4-(phenylphenolato)aluminium(略称:BAlq)、3-(4-Biphenyl)-4-phenyl-5-tert-butylphenyl-1,2,4-triazole(略称:TAZ)、などが挙げられる。
電子輸送層15は、例えば、真空蒸着法によって形成される。電子輸送層15の膜厚は干渉効果や移動度等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば10〜100nmであり、好ましくは20〜80nm、より好ましくは40〜60nmである。
電子輸送層15上には、電子注入層16が積層されている。電子注入層16としては特に限定はなく、有機EL素子の電子注入層として用いられている公知の材料を採用することができる。例えば、Li等のアルカリ金属;Mg、Ca等のアルカリ土類金属;前記金属を1種類以上含む合金;前記金属の酸化物、ハロゲン化物、及び炭酸化物;並びにこれらの混合物が挙げられる。具体的には、8−ヒドロキシキノリノラト(リチウム)(Liq)、フッ化リチウム(LiF)などが例示される。
電子注入層16は、例えば、真空蒸着法によって形成される。電子注入層16の膜厚は移動度等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば0.1〜5nmであり、好ましくは0.5〜3nm、より好ましくは1〜2nmである。
電子注入層16上には、裏面電極層(陰極)8が積層されている。裏面電極層8に用いられる材料は、好ましくは仕事関数が小さい金属、又はこれらを含む合金、金属酸化物等が用いられる。例えば、アルカリ金属ではLi等であり、アルカリ土類金属ではMg,Ca等が例示される。また希土類金属等からなる金属単体、あるいはこれらの金属とAl,In,Ag等の合金等が用いられうる。また、特開2001−102175号公報等に開示された技術を使用して、陰極電極に接する有機層をアルカリ土類金属イオン、アルカリ金属イオンからなる群から選択される少なくとも1種を含む有機金属錯体化合物を用いて構成する場合、該錯体化合物中に含有される金属イオンを真空中で金属に還元する金属、例えばAl,Zr,Ti,Si等もしくはこれらの金属を含有する合金を用いることもできる。
本実施形態の有機EL素子2は、上記のように、ガラス基板3上に形成された透明電極層4上に、真空蒸着法等の手法により、正孔注入層10、正孔輸送層11、発光層12、電子輸送層15、電子注入層16、及び裏面電極層6を順次積層することにより製造することができる。このようにして製造された有機EL素子2は、封止部7を設けることによって直ちに封止され、有機EL装置1となる。
本実施形態では、機能層5が5つの層からなる構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、正孔注入層10、正孔輸送層11、電子輸送層15、電子注入層16の一部又は全部を省略した構成でもよい。
さらに、発光層12の前後に正孔阻止層や電子阻止層を設けてもよい。
図2に示す構造を有する6種の有機EL素子2(実施例1〜3、比較例1〜3)を作製し、それらの発光効率を測定した。
〔実施例1〕
ガラス基板にパターニングされた陽極電極ITO(膜厚150nm)上に、以下の手順で、2mm×2mmの発光領域とするボトム型評価素子を作製した。
まず、透明電極層4たる陽極電極ITO上に、三酸化モリブデン(MoO3)とNPBを共蒸着し、正孔注入層10(膜厚60nm)を形成した。蒸着速度は、三酸化モリブデンが0.15nm/秒、NPBが1.35nm/秒とした。
次に、正孔注入層10上にNPBを真空蒸着し、正孔輸送層11(膜厚20nm)を形成した。蒸着速度は0.8nm〜1.2nm/秒とした。
次に、正孔輸送層11の上に、アントラセン誘導体と上記式(4)で表されるケイ素架橋インドール誘導体SiKI1とを共蒸着し、発光層12(膜厚20nm)を形成した。蒸着速度は、アントラセン誘導体が0.8nm/秒、SiKI1が0.08nm/秒とした(SiKI1のドープ濃度:7重量%(7wt%))。
次に、発光層12の上に、電子輸送材料ETM033(メルク社)を真空蒸着し、電子輸送層15(膜厚40nm)を形成した。蒸着速度は1.20nm/秒とした。
次に、電子輸送層15の上にLiqを真空蒸着し、電子注入層16(膜厚2.5nm)を形成した。蒸着速度は0.3nm/秒とした。
最後に、電子注入層16の上に真空蒸着によりアルミニウムを150nmの膜厚で成膜し、裏面電極6を形成した。これにより、基板3上に形成された有機EL素子2が得られた。
その後、不活性下のグローボックスに基板付きの有機EL素子2を移動し、ガラスキャップにUV硬化樹脂を塗布し、基板とキャップを張り合わせた。UV照射後、張り合わせた基板付きの有機EL素子2を大気下に取り出した(有機EL装置1)。得られた有機EL装置1の陽極及び陰極に電圧を印加し、I.V.Lを輝度計にて測定した。2000cd/m2の光量とした場合の電流効率(cd/A)を算出した。
以下の実施例2,3並びに比較例1〜3においては、発光層10、電子輸送層15、及び電子注入層16の構成のみ変更し、他の構成は実施例1と同一とした。
〔実施例2〕
実施例1と同様にして、ガラス基板上に透明電極層4、正孔注入層10、及び正孔輸送層11を積層した。
正孔輸送層11の上に、ADNとケイ素架橋インドール誘導体SiKI1(上記式(4))とを共蒸着し、発光層12(膜厚20nm)を形成した。蒸着速度は、ADNが0.8nm/秒、SiKI1が0.05nm/秒とした(SiKI1のドープ濃度:5重量%)。
次に、発光層12の上に、Bphenを真空蒸着し、電子輸送層15(膜厚20nm)を形成した。蒸着速度は0.7nm/秒とした。
次に、電子輸送層15の上に、BphenとLiとを共蒸着し、電子注入層16(膜厚20nm)を形成した。蒸着速度は、Bphenが0.7nm/秒、Liが0.016nm/秒とした(モル比がBphen:Li=1:1)
最後に、実施例1と同様にして、電子注入層16の上に裏面電極層6を積層し、有機EL素子2を得た。実施例1と同様の封止作業を施し、有機EL装置1を得た。実施例1と同様にして、2000cd/m2の光量とした場合の電流効率(cd/A)を算出した。
〔実施例3〕
実施例1と同様にして、ガラス基板上に透明電極層4、正孔注入層10、及び正孔輸送層11を積層した。
正孔輸送層11の上に、ADNとケイ素架橋インドール誘導体SiKI1(上記式(4))とを共蒸着し、発光層12(膜厚20nm)を形成した。蒸着速度は、ADNが0.8nm/秒、SiKI1が0.05nm/秒とした(SiKI1のドープ濃度:5重量%)。
次に、発光層12の上に、BpyOXDを真空蒸着し、電子輸送層15(膜厚40nm)を形成した。蒸着速度は1.10nm/秒とした。
次に、電子輸送層15の上に、LiFを真空蒸着し、電子注入層16(膜厚1nm)を形成した。蒸着速度は0.3nm/秒とした。
最後に、実施例1と同様にして、電子注入層16の上に裏面電極層6を積層し、有機EL素子2を得た。実施例1と同様の封止作業を施し、有機EL装置1を得た。実施例1と同様にして、2000cd/m2の光量とした場合の電流効率(cd/A)を算出した。
〔比較例1〕
実施例1と同様にして、ガラス基板上に透明電極層4、正孔注入層10、及び正孔輸送層11を積層した。
正孔輸送層11の上に、ケイ素架橋インドール誘導体SiKI1(上記式(4))のみを真空蒸着し、発光層12(膜厚5nm)を形成した。蒸着速度は0.05nm/秒とした。
次に、発光層12の上に、電子輸送材料ETM033(メルク社)を真空蒸着し、電子輸送層15(膜厚60nm)を形成した。蒸着速度は1.20nm/秒とした。
次に、電子輸送層15の上にLiqを真空蒸着し、電子注入層16(膜厚2.5nm)を形成した。蒸着速度は0.3nm/秒とした。
最後に、実施例1と同様にして、電子注入層16の上に裏面電極層6を積層し、有機EL素子2を得た。実施例1と同様の封止作業を施し、有機EL装置1を得た。実施例1と同様にして、2000cd/m2の光量とした場合の電流効率(cd/A)を算出した。
なお、発光層12の膜厚を5nm超とすると、SiKI1が結晶化して不安定となり、発光しなかった。
〔比較例2〕
実施例1と同様にして、ガラス基板上に透明電極層4、正孔注入層10、及び正孔輸送層11を積層した。
正孔輸送層11の上に、N,N'-bis(phenanthren-9-yl)N,N'-bis(phenyl)-benzidine(以下、「PAPB」と略記する。)とケイ素架橋インドール誘導体SiKI1(上記式(4))とを共蒸着し、発光層12(膜厚20nm)を形成した。蒸着速度は、PAPBが0.8nm/秒、SiKI1が0.05nm/秒とした(SiKI1のドープ濃度:7重量%)。
次に、発光層12の上に、Bphenを真空蒸着し、電子輸送層15(膜厚20nm)を形成した。蒸着速度は0.7nm/秒とした。
次に、電子輸送層15の上に、BphenとLiとを共蒸着し、発光層12(膜厚20nm)を形成した。蒸着速度は、Bphenが0.7nm/秒、Liが0.016nm/秒とした(モル比がBphen:Li=1:1)
最後に、実施例1と同様にして、電子注入層16の上に裏面電極層6を積層し、有機EL素子2を得た。実施例1と同様の封止作業を施し、有機EL装置1を得た。実施例1と同様にして、2000cd/m2の光量とした場合の電流効率(cd/A)を算出した。
〔比較例3〕
実施例1と同様にして、ガラス基板上に透明電極層4、正孔注入層10、及び正孔輸送層11を積層した。
正孔輸送層11の上に、PAPBとケイ素架橋インドール誘導体SiKI1(上記式(4))とを共蒸着し、発光層12(膜厚20nm)を形成した。蒸着速度は、PAPBが0.85nm/秒、SiKI1が0.02nm/秒とした(SiKI1のドープ濃度:7重量%)。
次に、発光層12の上に、BpyOXDを真空蒸着し、電子輸送層15(膜厚40nm)を形成した。蒸着速度は1.1nm/秒とした。
次に、電子輸送層15の上に、LiFを真空蒸着し、発光層12(膜厚1nm)を形成した。蒸着速度は0.3nm/秒とした。
最後に、実施例1と同様にして、電子注入層16の上に裏面電極層6を積層し、有機EL素子2を得た。実施例1と同様の封止作業を施し、有機EL装置1を得た。実施例1と同様にして、2000cd/m2の光量とした場合の電流効率(cd/A)を算出した。
結果を表1に示す。表1は、発光層、電子輸送層、及び電子注入層の構成と得られた発光効率を、実施例・比較例ごとにまとめたものである。表中、「AT」はアントラセン誘導体、括弧内の数値は膜厚を示す。
すなわち、アントラセン誘導体をホスト化合物とし、SiKI1をドーピング化合物とした実施例1〜3は、いずれも比較例1〜3と比べて発光効率が高かった。
特に、実施例1と比較例1の結果から、SiLI1は、発光材料のホスト化合物として単独で用いるよりも、アントラセン誘導体(ホスト化合物)のドーパント化合物として用いる方が、より高い発光効率を発揮できることがわかった。
また実施例2,3と比較例2,3の結果から、ドーパント化合物たるSiKI1と組み合わせるホスト化合物は、アントラセン誘導体が好ましいことがわかった。
Figure 2012087187
〔発光寿命の検討〕
実施例1と比較例1の有機EL素子について、40mA/cm2の条件で駆動した場合の発光寿命(輝度劣化)を測定した。図3に結果を示す。図3に示す様に、実施例1の有機EL素子は比較例1の有機EL素子よりも輝度劣化が小さく、発光の寿命が長かった。また、実施例1の有機EL素子は比較例1の有機EL素子よりも輝度が格段に大きかった。
2 有機EL素子
4 透明電極層(陽極)
6 裏面電極層(陰極)
12 発光層

Claims (7)

  1. アントラセン誘導体をホスト化合物とし、下記一般式(1):
    Figure 2012087187
    (式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、アミノ基、アリール基又は不飽和複素環基を示す。
    3及びR5は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリール基又は不飽和複素環基を示す。
    4は、水素原子、低級アルキル基、アリール基又は不飽和複素環基を示す。)
    で表されるケイ素架橋インドール誘導体をドーパント化合物として含有することを特徴とする発光材料。
  2. 前記ケイ素架橋インドール誘導体は、前記一般式(1)において、R2が式中の2位に結合しており、R5が式中の6位に結合しているものであることを特徴とする請求項1に記載の発光材料。
  3. 前記ケイ素架橋インドール誘導体は、前記一般式(1)において、R1及びR2が同一の低級アルキル基又は同一のアリール基のものであることを特徴とする請求項1に記載の発光材料。
  4. 前記ケイ素架橋インドール誘導体は、前記一般式(1)において、R1及びR2がイソプロピル基であり、R3及びR5が水素原子であり、R4がメチル基であることを特徴とする請求項1に記載の発光材料。
  5. アントラセン誘導体に対してケイ素架橋インドール誘導体を1〜50重量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発光材料。
  6. 陽極及び陰極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を備えた有機EL素子であって、前記発光層は、請求項1〜5のいずれかに記載の発光材料を有することを特徴とする有機EL素子。
  7. 前記発光層の厚みが5nm超であることを特徴とする請求項6に記載の有機EL素子。
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