JP2008156261A - 架橋スチルベン誘導体およびそれらを用いた有機電界発光素子 - Google Patents

架橋スチルベン誘導体およびそれらを用いた有機電界発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】色純度と外部量子効率において改善された有機電界発光素子とすることができる化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物。
【化16】
Figure 2008156261

【選択図】なし

Description

本発明は、架橋スチルベン誘導体及びこれを用いた有機電界発光素子、表示装置又は照明装置に関する。
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、小電力化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料から成る有機電界発光素子は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の一つである青色をはじめとする発光特性を有する有機材料の開発、および正孔、電子などの電荷輸送能(半導体や超電導体となる可能性を有する)を備えた有機材料の開発については、高分子化合物、低分子化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。
例えば、ジスチリルベンゼン誘導体を発光層に用いた有機電界発光素子が報告されている(特開平1-245087号公報(特許文献1)、Appl. Phys. Lett., 56, 799, 1990(非特許文献1))。しかしこれらのジスチリルベンゼン誘導体は、結晶化しやすいため薄膜の安定性が低く、また、パイ共役が比較的小さいため、これらを用いた有機電界発光素子の発光効率は低く、実用的ではない。
高発光効率および高電荷輸送能を発揮できる材料設計として、高い平面性を備えたパイ共役系骨格を有する分子を構築することがあげられる。その一つの例として、パイ共役を有効に拡張したジスチリルベンゼン誘導体の例としてケイ素、炭素で架橋されたジスチリルベンゼン誘導体(特開2005-154410号公報(特許文献2)、J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 1638-1639(非特許文献2))が報告されている。ただし、これらの文献では、溶液中での光物性について報告されているが、これらを発光材料として有機電界発光素子に使用した例は開示されていない。
特開平1−245087号公報 特開2005−154410号公報 Appl. Phys. Lett., 56, 799, 1990 J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 1638-1639
しかしながら、上述する有機材料を発光材料として、有機電界発光素子を作製しても、色純度、発光効率又は電流効率の点、あるいは素子寿命の点で十分な特性を得ることができない。また、極大値が複数存在するような蛍光スペクトルを示す有機材料では、望ましくないスペクトル成分により、色純度を十分に向上させることはできない。このような状況下、色純度、発光効率、電流効率、外部量子効率及び素子寿命などにおいて、さらに性能のよい有機電界発光素子、特にフルカラーディスプレイに適用可能な高い色純度と高い外部量子効率を兼ね備えた青色発光素子が望まれている。さらに、このような高性能の発光素子を得ることができる化合物の開発が望まれている。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記一般式(1)で表される化合物の製造に成功した。また、この化合物を含有する層を一対の電極間に配置して有機電界発光素子を構成することにより、色純度、外部量子効率において改善された有機電界発光素子、さらには素子寿命も向上させた有機電界発光素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下のような化合物、有機電界発光素子、表示装置及び照明装置を提供する。
[1] 下記一般式(1)で表される化合物。
Figure 2008156261
(一般式(1)において、
1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアリールチオ、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいアリールアルケニル、置換されていてもよいアリールアルキニル、置換されていてもよいアリールアルコキシ、置換されていてもよいアリールアルキルチオ、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよいシリルオキシ、置換されていてもよいアルキルスルフォニルオキシ又は置換されていてもよいアリールスルフォニルオキシであり、また、R3及びR4は互いに結合して環を形成していてもよく、
5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアリールチオ、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいアリールアルケニル、置換されていてもよいアリールアルキニル、置換されていてもよいアリールアルコキシ、置換されていてもよいアリールアルキルチオ、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよいボリル、置換されていてもよいシリルオキシ、置換されていてもよいアルキルスルフォニルオキシ、置換されていてもよいアリールスルフォニルオキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ又はヒドロキシルである。)
[2] R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル又は置換されていてもよいヘテロアリールであり、また、R3及びR4が置換されてもよいアリールの場合、互いに結合して、置換されていてもよい2価のビアリールであってもよく、
5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいアリールアルコキシ、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよいボリル又はハロゲンであり、そして、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12における置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数1〜12のアルキルで置換された炭素数6〜20のアリール、炭素数2〜20のヘテロアリール又はシアノである、
上記[1]に記載する化合物。
[3] R1及びR2は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリール又は置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリールであり、
3及びR4は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリール又は置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリールであり、また、R3及びR4が置換されてもよい炭素数6〜30のアリールの場合、互いに結合して、置換されていてもよい炭素数12〜60の2価のビアリールであってもよく、
5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリール、置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリール、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよいボリル又はハロゲンであり、そして、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12における置換基は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、フェニル、ナフチル、メチルフェニル、メチルナフチル、ピリジル、ピリミジニル、キノリル、フェナントロリニル又はチエニルであり、ただし、アミノの場合の置換基は、炭素数1〜12のアルキル又は炭素数6〜20のアリールである、
上記[1]に記載する化合物。
[4] R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル又は炭素数6〜25のアリールであり、
3及びR4は、それぞれ独立して、炭素数6〜25のアリールであり、また、R3及びR4が互いに結合して、炭素数12〜50の2価のビアリールであってもよく、
5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素;炭素数1〜12のアルキル;炭素数6〜25のアリール;炭素数6〜25のアリールで置換されたアミノ;メチル、エチル及びプロピルから選ばれるアルキルで置換されたシリル;又はハロゲンである、
上記[1]に記載する化合物。
[5] R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル又はフェニルであり、
3及びR4は、それぞれ独立して、フェニル、ビフェニリル又はナフチルであり、また、R3及びR4がフェニルの場合、互いに結合して、2価のビフェニルであってもよく、
5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル又はオクチルであり、
9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素;メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル;フェニル、トリル、ビフェニリル及びナフチルから選ばれるアリールで置換されたアミノ;メチル及びエチルから選ばれるアルキルで置換されたシリル;F、Cl、Br又はIであり、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも一つは前記アミノ、前記シリル又は前記ハロゲンのいずれかである、
上記[1]に記載する化合物。
[6] 下記式(1-1)、(1-2)又は(1-3)で表される化合物である、上記[1]に記載する化合物。
Figure 2008156261
(式中、「Me」はメチル、「Ph」はフェニル、「TMS」はトリメチルシリルを表す。)
[7] 下記式(1-4)、(1-5)又は(1-6)で表される化合物である、上記[1]に記載する化合物。
Figure 2008156261
(式中、「Ph」はフェニル、「TMS」はトリメチルシリルを表す。)
[8] 上記[1]ないし[7]のいずれかに記載する化合物を少なくとも一種含有する有機電界発光素子。
[9] 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層を有し、該発光層に上記[1]ないし[7]のいずれかに記載する化合物を少なくとも一種含有する有機電界発光素子。
[10] 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、ホスト及びドーパントを含有する発光層を有し、該ドーパントとして上記[1]ないし[7]のいずれかに記載する化合物を少なくとも一種含有する有機電界発光素子。
[11] 上記[8]ないし[10]のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた表示装置。
[12] 上記[8]ないし[10]のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた照明装置。
本発明の好ましい態様によれば、例えば、有機電界発光素子用の材料として優れた特性を有する化合物を提供することができる。また、色純度、外部量子効率において改善された有機電界発光素子、さらには素子寿命も向上させた有機電界発光素子を提供することができる。また、本発明に係る化合物は、青色蛍光を有し、蛍光量子収率が高いため、発光層ドーパントとして用いることにより、高い色純度と高い外部量子効率を兼ね備えた青色の有機電界発光素子を提供することができる。
本発明の化合物について詳細に説明する。本発明に係る化合物は、上記一般式(1)で表される化合物である。
1.一般式(1)で表される化合物
まず、上記一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)のR1、R2、R3及びR4(以下、「R1〜R4」とする。)における「置換されていてもよいアルキル」の「アルキル」としては、直鎖及び分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜20の直鎖アルキルまたは炭素数3〜20の分枝鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアルケニル」の「アルケニル」としては、直鎖及び分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数2〜20の直鎖アルケニルまたは炭素数3〜20の分枝鎖アルケニルがあげられる。好ましい「アルケニル」は、炭素数2〜12のアルケニル(炭素数3〜12の分枝鎖アルケニル)である。より好ましい「アルケニル」は、炭素数2〜6のアルケニル(炭素数3〜6の分枝鎖アルケニル)である。特に好ましい「アルケニル」は、炭素数2〜4のアルケニル(炭素数3〜4の分枝鎖アルケニル)である。具体的な「アルケニル」としては、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ゲラニル、ファルネシルなどがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアルキニル」の「アルキニル」としては、直鎖及び分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数2〜20の直鎖アルキニルまたは炭素数3〜20の分枝鎖アルキニルがあげられる。好ましい「アルキニル」は、炭素数2〜12のアルキニル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキニル)である。より好ましい「アルキニル」は、炭素数2〜6のアルキニル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキニル)である。特に好ましい「アルキニル」は、炭素数2〜4のアルキニル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキニル)である。具体的な「アルキニル」としては、エチニル、プロピニル、ブチニルなどがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアルコキシ」の「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1〜20のアルコキシがあげられる。好ましい「アルコキシ」は、炭素数1〜15のアルコキシである。さらに好ましい「アルコキシ」は、炭素数1〜10のアルコキシである。
具体的な「アルコキシ」としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、シクロヘプチルオキシ、オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、フェノキシなどがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアルキルチオ」の「アルキルチオ」としては、例えば、炭素数1〜20のアルキルチオがあげられる。好ましい「アルキルチオ」は、炭素数1〜15のアルキルチオである。さらに好ましい「アルキルチオ」は、炭素数1〜10のアルキルチオである。
具体的な「アルキルチオ」としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、s−ブチルチオ、t−ブチルチオ、ペンチルチオ、シクロペンチルチオ、ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、ヘプチルチオ、シクロヘプチルチオ、オクチルチオ、シクロオクチルチオなどがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいシクロアルキル」の「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜10のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数4〜9のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数6〜8のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルなどがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられる。好ましい「アリール」は、炭素数6〜25のアリールである。さらに好ましい「アリール」は、炭素数6〜20のアリールである。
具体的な「アリール」としては、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ターフェニリル、フルオレニル、ピレニルなどがあげられる。特に好ましい「アリール」は、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルである。最も好ましい「アリール」は、フェニルである。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアリールオキシ」の「アリールオキシ」としては、例えば、炭素数6〜20のアリールオキシがあげられる。好ましい「アリールオキシ」は、炭素数6〜16のアリールオキシである。さらに好ましい「アリールオキシ」は、炭素数6〜13のアリールオキシである。具体的な「アリールオキシ」としては、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、アントラセニルオキシ、フェナントリルオキシなどがあげられる。なお、「アリールオキシ」の「アリール」としては上述するアリールがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアリールチオ」の「アリールチオ」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールチオがあげられる。好ましい「アリールチオ」は、炭素数6〜25のアリールチオである。さらに好ましい「アリールチオ」は、炭素数6〜20のアリールチオである。具体的な「アリールチオ」としては、フェニルチオ、ナフチルチオ、アントラセニルチオ、フェナントリルチオなどがあげられる。なお、「アリールチオ」の「アリール」としては上述するアリールがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアリールアルキル」の「アリールアルキル(アラルキル)」としては、例えば、炭素数7〜30のアリールアルキルがあげられる。好ましい「アリールアルキル」は、炭素数7〜25のアリールアルキルである。さらに好ましい「アリールアルキル」は、炭素数7〜20のアリールアルキルである。
具体的な「アリールアルキル」としては、ベンジル(フェニルメチル)、p−メチルベンジル、o−メトキシベンジル、3,5−ジクロルベンジル、ジフェニルメチル、トリチル(トリフェニルメチル)、メナフチル(ナフチルメチル)、フェネチル(フェニルエチル)、2,4−ジメチルフェネチル、p−メトキシフェネチル、フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、1−メチル−3−フェニルプロピル、2−メチル−3−フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、フェニルヘキシル、フェニルヘプチル、フェニルオクチル、フェニルノニル、シンナミル(3−フェニルアリル)又はスチリル(2−フェニルビニル)などがあげられる。なお、「アリールアルキル」の「アリール」としては上述するアリールがあげられる。また、「アリールアルキル」の「アルキル」としては上述するアルキル及びシクロアルキルがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアリールアルケニル」の「アリールアルケニル」としては、例えば、炭素数8〜30のアリールアルケニルがあげられる。好ましい「アリールアルケニル」は、炭素数8〜25のアリールアルケニルである。さらに好ましい「アリールアルケニル」は、炭素数8〜20のアリールアルケニルである。具体的な「アリールアルケニル」としては、アリールビニル、アリールプロペニル、アリールイソプロペニルなどがあげられる。なお、「アリールアルケニル」の「アリール」としては上述するアリールがあげられる。また、「アリールアルケニル」の「アルケニル」としては上述するアルケニルがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアリールアルキニル」の「アリールアルキニル」としては、例えば、炭素数8〜30のアリールアルキニルがあげられる。好ましい「アリールアルキニル」は、炭素数8〜25のアリールアルキニルである。さらに好ましい「アリールアルキニル」は、炭素数8〜20のアリールアルキニルである。具体的な「アリールアルキニル」としては、アリールエチニル、アリールプロピニルなどがあげられる。なお、「アリールアルキニル」の「アリール」としては上述するアリールがあげられる。また、「アリールアルキニル」の「アルキニル」としては上述するアルキニルがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアリールアルコキシ」の「アリールアルコキシ」としては、例えば、炭素数7〜30のアリールアルコキシがあげられる。好ましい「アリールアルコキシ」は、炭素数7〜25のアリールアルコキシである。さらに好ましい「アリールアルコキシ」は、炭素数7〜20のアリールアルコキシである。具体的な「アリールアルコキシ」としては、アリールメトキシ、アリールエトキシなどがあげられる。なお、「アリールアルコキシ」の「アリール」としては上述するアリールがあげられる。また、「アリールアルコキシ」の「アルコキシ」としては上述するアルコキシがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアリールアルキルチオ」の「アリールアルキルチオ」としては、例えば、炭素数7〜30のアリールアルキルチオがあげられる。好ましい「アリールアルキルチオ」は、炭素数7〜25のアリールアルキルチオである。さらに好ましい「アリールアルキルチオ」は、炭素数7〜20のアリールアルキルチオである。具体的な「アリールアルキルチオ」としては、アリールメチルチオ、アリールエチルチオ、アリールプロピルチオ、アリールブチルチオなどがあげられる。なお、「アリールアルキルチオ」の「アリール」としては上述するアリールがあげられる。また、「アリールアルキルチオ」の「アルキルチオ」としては上述するアルキルチオがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、環を構成する原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環基などがあげられる。ヘテロ原子以外の構成原子である炭素原子に着目すれば、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられる。好ましい「ヘテロアリール」は、炭素数2〜25のヘテロアリールである。さらに好ましい「ヘテロアリール」は、炭素数2〜20のヘテロアリールである。
具体的な「ヘテロアリール」としては、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニル、フェナントロリニルなどがあげられる。例えば、チエニル、ピラジニル、ベンゾチアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、ベンゾ[b]チエニル、キノリル、カルバゾリルなどが好ましい。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアミノ」としては、例えば、アミノや、アルキル又はアリールで置換されたアミノがあげられる。ここで、置換する「アルキル」及び「アリール」としては、上述するアルキルやアリールがあげられる。具体的な「置換されたアミノ」としては、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、アセチルアミノなどのモノアルキル置換アミノ;ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノなどのジアルキル置換アミノ;フェニルアミノ、トリルアミノ、ビフェニリルアミノ、ナフチルアミノなどのモノアリール置換アミノ;ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジビフェニリルアミノ、ジナフチルアミノ、フェニルトリルアミノ、フェニルビフェニリルアミノ、フェニルナフチルアミノなどのジアリール置換アミノなどがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいシリル」としては、例えば、シリルや、アルキル、アルコキシ又はアリールで置換されたシリルがあげられる。ここで、置換する「アルキル」、「アルコキシ」又は「アリール」としては、上述するアルキル、アルコキシ又はアリールがあげられる。具体的な「置換されたシリル」としては、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリブチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリルなどのトリアルキルアリール置換シリルや、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、トリブトキシシリルなどのアルコキシシリルがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいシリルオキシ」としては、例えば、トリアルキルシリルオキシ、トリアルキルアリールシリルオキシなどがあげられる。トリアルキルシリルオキシとしては、例えば、トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、トリイソプロピルシリルオキシ、ジエチルイソプロピルシリルオキシ、ジメチルイソプロピルシリルオキシ、ジ−t−ブチルメチルシリルオキシ、イソプロピルジメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ、テキシルジメチルシリルオキシ(テキシル=2,3−ジメチル−2−ブチル)などがあげられる。トリアルキルアリールシリルオキシとしては、例えば、ジフェニルメチルシリルオキシ、t−ブチルジフェニルシリルオキシ、t−ブチルジメトキシフェニルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアルキルスルフォニルオキシ」としては、例えば、メタンスルフォニルオキシ、エタンスルフォニルオキシ、ブタンスルフォニルオキシ、オクタンスルフォニルオキシ、トリフルオロメタンスルフォニルオキシなどがあげられる。なお、「アルキルスルフォニルオキシ」の「アルキル」としては、上述するアルキルがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4における「置換されていてもよいアリールスルフォニルオキシ」としては、例えば、ベンゼンスルフォニルオキシ、p−トルエンスルフォニルオキシ、メシチレンスルフォニルオキシ、ナフタレンスルフォニルオキシなどがあげられる。なお、「アリールスルフォニルオキシ」の「アリール」としては、上述するアリールがあげられる。
また、R3及びR4は互いに結合して環を形成していてもよい。特に、R3及びR4が置換されてもよいアリールの場合、互いに結合して、置換されていてもよい2価のビアリールであってもよい。「置換されていてもよい2価のビアリール」の「2価のビアリール」としては、例えば、炭素数12〜60の2価のビアリールがあげられる。好ましい2価のビアリールは、炭素数12〜50の2価のビアリールである。さらに好ましい2価のビアリールは、炭素数12〜40の2価のビアリールである。具体的な2価のビアリールとしては、ビフェニル−2,2’−ジイル、1,1’−ビナフチル−2,2’−ジイル、2,2’−ビナフチル−3,3’−ジイルなどがあげられ、例えばビフェニル−2,2’−ジイルが好ましい。
また、一般式(1)のR5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12(以下、「R5〜R12」とする。)における、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアリールチオ、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいアリールアルケニル、置換されていてもよいアリールアルキニル、置換されていてもよいアリールアルコキシ、置換されていてもよいアリールアルキルチオ、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよいシリルオキシ、置換されていてもよいアルキルスルフォニルオキシ、置換されていてもよいアリールスルフォニルオキシとしては、一般式(1)におけるR1〜R4の説明で記載したものと同様のものがあげられ、同様のものが好ましい。
一般式(1)のR5〜R12における「置換されていてもよいボリル」の具体的な「置換基」としては、キシリル、メシチル、ジイソプロピルフェニル、トリイソプロピルフェニル、ターフェニルなどがあげられる。「置換されていてもよいボリル」の具体例としては、例えば、ジフェニルボリル、ジトリルボリル、ジメシチルボリル、ジアントリルボリル、アントリルメシチルボリルなどのジアリールボリルなどがあげられる。
一般式(1)のR5〜R12における「ハロゲン」としては、F、Cl、Br、Iなどがあげられる。好ましいハロゲンとしては、Iがあげられる。
一般式(1)のR1〜R4及びR5〜R12における「置換基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、シクロヘプチル、オクチル、シクロオクチル、トリフルオロメチルなどのアルキル(炭素数1〜12のアルキル);フェニル、トリル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール(炭素数6〜20のアリール);メチルフェニル、エチルフェニル、s−ブチルフェニル、t−ブチルフェニル、1−メチルナフチル、2−メチルナフチル、4−メチルナフチル、1,6−ジメチルナフチル、4−t−ブチルナフチルなどのアルキルアリール(炭素数1〜12のアルキルで置換された炭素数6〜20のアリール);ピリジル、キナゾリニル、キノリル、ピリミジニル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、テトラゾリル、フェナントロリニルなどのヘテロ環(炭素数2〜20のヘテロアリール);シアノなどがあげられる。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、さらに好ましくは1個である。
上記一般式(1)で表される化合物の更なる具体例としては、例えば、上記式(1-1)、(1-2)及び(1-3)で表される化合物、また、上記式(1-4)、(1-5)及び(1-6)で表される化合物をあげることができる。
上記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、更に、下記式(1-7)〜(1-40)で表される化合物をあげることができる。
Figure 2008156261
Figure 2008156261
2.化合物の製造方法
次に、上記一般式(1)で表される化合物の製造方法について説明する。
一般式(1)で表される化合物は、例えば、下記一般式(1a)で表される原料から、下記一般式(1b)及び(1c)で表される中間体を経て、製造することができる。
Figure 2008156261
まず、下記一般式(1b)で表される中間体の製造方法について以下に説明する。
Figure 2008156261
一般式(1a)で表される原料について、有機金属塩基(base)を用いたハロゲン−メタル交換反応によりメタル化した後、R12SiXYの一般式で表される有機ケイ素試薬で捕捉することにより、一般式(1b)で表される中間体を製造することができる。なお、一般式(1a)で表される原料は、公知の化合物を用いて公知の方法により合成できる。
使用可能な有機金属塩基としては、例えば、n−BuLi、s−BuLi、t−BuLiなどの有機リチウム試薬、アルキルグリニャール試薬、アルキルマグネシウムアミドなどの有機マグネシウム試薬、あるいはアルキル亜鉛試薬があげられる。このうち、t−BuLiを用いてTHF中でメタル化を行うと、最も収率を高めることができる。
使用可能な溶媒としては、これらの有機金属塩基に不活性なものであれば特に制限されることはなく、例えば、THF、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒、ペンタン、ヘキサンなとの脂肪族系溶媒があげられる。反応温度については、反応系の状態により適宜設定することができ、−150℃〜150℃、好ましくは−100℃〜100℃で反応させることができる。
また、有機ケイ素試薬であるR12SiXYにおいて、X、Yは、独立に、水素、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、アリールオキシ、アリールチオ、シリル、置換シリル、シリルオキシ、置換シリルオキシ、アリールスルフォニルオキシ、アルキルスルフォニルオキシ、スタンニル又は置換スタンニルを示す。
一般式(1b)において、Xとしては、水素又はアルコキシが特に有用である。Xとして水素を有する化合物を製造する場合には、有機ケイ素試薬として、例えばR12SiH2、R12SiHClなどが使用できる。Xとしてアルコキシを有する化合物を製造する場合には、有機ケイ素試薬として、R12Si(OR)2又はR12SiCl(NR2)が使用できる。後者の場合には、R12SiCl(NR2)と一旦反応させた後、単離せずに、そのまま塩化アンモニウムなどの酸触媒存在下、アルコホリシスすることにより目的生成物を得ることができる。
Figure 2008156261
次に、上記一般式(1c)で表される中間体の製造方法について、上記の反応式に基づいて説明する。まず、一般式(1b)で表される化合物を金属還元剤(reductant)と反応させることにより、分子内還元的環化反応が進行してアニオン中間体が生成し、このアニオン中間体をさらにR34C=Oの一般式で表されるケトンで捕捉することにより、一般式(1c)で表される中間体が得られる。
使用可能な金属還元剤としては、例えば、リチウム、リチウムナフタレニド、リチウムビフェニリド、リチウム(4,4’−ジ−t−ブチルビフェニリド)、リチウム[8−(N,N−ジメチルアミノ)ナフタレニド]、リチウム/液化アンモニア、ナトリウム、ナトリウムナフタレニド、ナトリウムビフェニリド、ナトリウム(4,4’−ジ−t−ブチルビフェニリド)、ナトリウム[8−(N,N−ジメチルアミノ)ナフタレニド]、ナトリウム/液化アンモニア、カリウム、カリウムグラファイトがあげられる。
使用可能な溶媒としては、例えば、THFの他、ジエチルエーテルやジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒があげられる。反応温度については、室温では2量化反応が進行してしまうため、アニオン中間体を選択的に生成させるために室温より低い温度で行う必要があり、−150℃〜0℃、好ましくは、−100℃〜−20℃で行うことが望ましい。
下記の反応式に示すように、一般式(1c)から一般式(1)への変換は、Friedel-Crafts反応により達成できる。使用可能な酸(Acid)としては、例えば、塩酸、硫酸などの無機酸やBF3・OEt2、BAr3、AlCl3、AlBr3、EtAlCl2、Et2AlClなどのルイス酸があげられる。使用可能な溶媒としては、例えば、酢酸、CH2Cl2、ニトロベンゼン、CS2があげられる。反応温度については、反応系の状態により適宜設定することができ、−150℃〜150℃、好ましくは−100℃〜100℃で反応させることができる。
Figure 2008156261
なお、一般式(1b)で表される化合物の生成反応、一般式(1c)で表される化合物の生成反応及び一般式(1)で表される化合物の生成反応の3つの反応は、不活性ガス中で行うことが好ましく、使用可能な不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴンがあげられる。反応時間については、特に制限はなく、反応が十分に進行している時点で反応を停止させればよい。NMRあるいはクロマトグラフィー等の一般的な分析手段により反応を追跡し、最適の時点で反応の終点を決定することができる。
さらに、一般式(1)で表される化合物の置換基を、公知の試薬を用いて、公知の方法を参考にすることで、他の置換基に変換することができる。例えば、公知の文献(「J.Am.Chem.Soc.,1999,121,10420-10421」、「Metal-Catalyzed Cross-Coupling Reactions−Second,Completely Revised and Enlarged Edition」など)に記載の方法を参考にしたり、本明細書の実施例に記載の方法などにより、置換基を変換することができる。
3.有機電界発光素子
本発明の実施形態に係る有機電界発光素子について詳細に説明する。
本実施形態に係る有機電界発光素子は、上記一般式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有する有機電界発光素子である。上記一般式(1)で表される化合物は、発光材料として発光層に用いることが好ましく、特に、ドーパントとして用いることが好ましい。
<有機電界発光素子の構造>
図1は、本実施形態に係る有機電界発光素子を示す概略断面図である。図1に示された有機電界発光素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機電界発光素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成としてもよい。すなわち、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106および電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機電界発光素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/発光層/陰極」の構成態様であってもよい。
<有機電界発光素子における基板>
基板101は、有機電界発光素子100の支持体となるものであり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上であればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiO2などのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
<有機電界発光素子における陽極>
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たすものである。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および/または正孔輸送層104が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物があげられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム−スズ酸化物(ITO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどがあげられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3−メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどがあげられる。その他、有機電界発光素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100〜5Ω/□、好ましくは50〜5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶことができるが、通常100〜300nmの間で用いられることが多い。
<有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層>
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たすものである。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たすものである。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機電界発光素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾール等)、ビス(N−アリルカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミンを主鎖あるいは側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体等、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニン等)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシラン等である。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されるものではない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」及び文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998).およびJ.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、あるいは、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニンZnPcなど)が知られている(特開2005−167175号公報)。
<有機電界発光素子における発光層>
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光するものである。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光および/または燐光)効率を示す化合物であるのが好ましい。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光材料により形成される。本発明に係る上記一般式(1)で表される化合物は、発光材料として用いることができる。本発明の化合物は蛍光量子収率が高く、単一の極大値を有する蛍光スペクトルを示すので、従来の極大値が複数存在するような蛍光スペクトルを示す有機材料とは異なり、色純度を十分に向上させることができる。そして、色純度、外部量子効率、素子寿命において、さらに性能のよい有機電界発光素子、特に高い色純度と高い外部量子効率を兼ね備えた青色の発光素子を提供することができる。
発光材料がホスト材料及びドーパント材料からなる場合、ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーパント材料の量は、多すぎると濃度消光現象が起きるため、ホスト材料に対して0.1〜50質量%で用いることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜20質量%である。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
ホスト材料としては、特に限定されるものではないが、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムをはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ピロロピロール誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、そして、ポリチオフェン誘導体が好適に用いられる。
その他のホスト材料としては、化学工業2004年6月号13頁、および、それにあげられた参考文献などに記載された化合物などの中から適宜選択して用いることができる。
ドーパント材料としては、本発明に係る上記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。本発明の化合物と、以下に説明する他のドーパント材料とを併用する場合、本発明の化合物は、ドーパント材料全体に対して、50〜99質量%とすることが好ましく、60〜99質量%とすることがより好ましく、70〜99質量%とすることがさらに好ましい。
他のドーパント材料としては、特に限定されるものではなく、既知の化合物を用いることができ、所望の発光色に応じて様々な材料の中から選択することができる。具体的には、例えば、フェナンスレン、アントラセン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ナフトピレン、ジベンゾピレンおよびルブレンなどの縮合環誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、チオフェン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体(特開平1−245087号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2−247278号公報)、ジアザインダセン誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、フェニルイソベンゾフラン、ジメシチルイソベンゾフラン、ジ(2−メチルフェニル)イソベンゾフラン、ジ(2−トリフルオロメチルフェニル)イソベンゾフラン、フェニルイソベンゾフランなどのイソベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、7−ジアルキルアミノクマリン誘導体、7−ピペリジノクマリン誘導体、7−ヒドロキシクマリン誘導体、7−メトキシクマリン誘導体、7−アセトキシクマリン誘導体、3−ベンズチアゾリルクマリン誘導体、3−ベンズイミダゾリルクマリン誘導体、3−ベンズオキサゾリルクマリン誘導体などのクマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、ポリメチン誘導体、シアニン誘導体、オキソベンズアンスラセン誘導体、キサンテン誘導体、ローダミン誘導体、フルオレセイン誘導体、ピリリウム誘導体、カルボスチリル誘導体、アクリジン誘導体、オキサジン誘導体、フェニレンオキサイド誘導体、キナクリドン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、フロピリジン誘導体、1,2,5−チアジアゾロピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、アクリドン誘導体およびデアザフラビン誘導体などがあげられる。
発色光ごとに例示すると、青〜青緑色ドーパント材料としては、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデンなどの芳香族炭化水素化合物やその誘導体、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどの芳香族複素環化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などがあげられる。
また、緑〜黄色ドーパント材料としては、クマリン誘導体、フタルイミド誘導体、ナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体およびルブレンなどのナフタセン誘導体などがあげられ、さらに上記青〜青緑色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール基、ヘテロアリール基、アリールビニル基、アミノ基、シアノ基など長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例としてあげられる。
さらに、橙〜赤色ドーパント材料としては、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体などの希土類錯体、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピランやその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、フェノキサジン誘導体、オキサジン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサゾン誘導体およびチアジアゾロピレン誘導体などあげられ、さらに上記青〜青緑色および緑〜黄色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール基、ヘテロアリール基、アリールビニル基、アミノ基、シアノ基など長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例としてあげられる。さらに、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)に代表されるイリジウムや白金を中心金属とした燐光性金属錯体も好適な例としてあげられる。
その他、ドーパントとしては、化学工業2004年6月号13頁、および、それにあげられた参考文献などに記載された化合物などの中から適宜選択して用いることができる。
<有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層>
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たすものである。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たすものである。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することを司る層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層および電子注入層を形成する材料としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機電界発光素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層および電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香環もしくは複素芳香環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香環誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体などがあげられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。中でも、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセンなどのアントラセン誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルなどのスチリル系芳香環誘導体、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル、1,3,5−トリス(N−カルバゾリル)ベンゼンなどのカルバゾール誘導体が、耐久性の観点から好ましく用いられる。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、キノリン誘導体、ターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ナフチリジン誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体などがあげられる。
<有機電界発光素子における陰極>
陰極108は、発光層105に電子を注入する役割を果たすものである。なお、陰極108と発光層105との間に電子輸送層106および/または電子注入層107が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ電子を注入することになる。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様のものを用いることができる。なかでも、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、錫、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム−リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は、一般に大気中で不安定であることが多く、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウム(真空蒸着の膜厚計表示で1nm以下)をドーピングして安定性の高い電極を使用する方法が好ましい例としてあげることができるが、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩の使用も可能であることから特にこれらに限定されるものではない。
更に、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例としてあげられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
<各層で用いてもよい結着剤>
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリサルフォン、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
<有機電界発光素子の作製方法>
有機電界発光素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法等の方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造等により異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度50〜400℃、真空度10-6〜10-3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚2nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
次に、有機電界発光素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機電界発光素子の作製法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法等により形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法等により形成させて陰極とすることにより、目的の有機電界発光素子が得られる。なお、上述の有機電界発光素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた有機電界発光素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機電界発光素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
<有機電界発光素子の応用例>
また、本発明は、有機電界発光素子を備えた表示装置または有機電界発光素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機電界発光素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどがあげられる(例えば、特開平10−335066号公報、特開2003−321546号公報、特開2004−281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などがあげられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスとは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されたものをいい、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が、構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)とは、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などがあげられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどがあげられる(例えば、特開2003−257621号公報、特開2003−277741号公報、特開2004−119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式のものが蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために各実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<上記式(1-1)、(1-2)及び(1-3)で表される化合物の製造例>
上記式(1-1)、(1-2)及び(1-3)で表される化合物の製造例について説明する。
Figure 2008156261
反応(1):化合物(Pre-1)の合成
窒素雰囲気下、4−トリメチルシリルエチニルベンゼン(16g)のトリエチルアミン(20mL)溶液を、2−ブロモヨードベンゼン(25g)、テトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(1.0g)、CuI(0.34g)、トリエチルアミン(180mL)の混合溶液に室温で滴下し、3時間攪拌した。反応混合物をろ過し、不溶物を取り除いた後、溶媒を減圧下留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製することにより、目的化合物(Pre-1)を29g、収率99%で得た。
このようにして得られた化合物(Pre-1)の物性は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 0.28 (s, 9H), 7.15-7.19 (m, 1H), 7.26-7.31 (m, 1H), 7.50-7.56 (m, 5H), 7.60-7.62 (m, 1H)
反応(2):化合物(Pre-2)の合成
窒素雰囲気下、上記化合物(Pre-1)(11g)のTHF(34mL)溶液に、濃度1.6mol/Lのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(22mL)を−78℃で滴下した後、ジメチルシリルクロリド(3.5g)を加え、ゆっくりと室温まで昇温しながら1時間攪拌した。反応混合物をろ過し、不溶物を取り除いた後、溶媒を減圧下留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製することにより、目的化合物(Pre-2)を9.9g、収率96%で得た。
このようにして得られた化合物(Pre-2)の物性は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 0.28 (s, 9H), 0.45-0.46 (d, 6H), 4.59-4.63 (m, 1H), 7.31-7.36 (m, 2H), 7.51 (s, 4H), 7.54-7.56 (m, 2H)
反応(3):化合物(Pre-3)の合成
アルゴン雰囲気下、リチウム(0.34g)とナフレタレン(6.2g)の混合物をTHF(49mL)中、室温で4時間攪拌し、リチウムナフタレニド溶液を調製した。この溶液に対し、上記混合物の約1/2モル量の化合物(Pre-2)(7.5g)のTHF(49mL)溶液を−78℃で加えた。−78℃にて5分間攪拌した後、ベンゾフェノン(8.9g)のTHF(49mL)溶液を−78℃で加え、10分間攪拌した後、室温でさらに15分間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム溶液を加え、THFにより抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧下留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、目的化合物(Pre-3)を8.3g、収率70%で得た。
このようにして得られた化合物(Pre-3)の物性は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 0.20 (s, 9H), 0.31 (s, 6H), 2.98 (s, 1H), 6.73-6.75 (d, 2H), 7.00-7.34 (m, 15H), 7.51-7.53 (d, 1H)
反応(4):化合物(1-1)の合成
窒素雰囲気下、化合物(Pre-3)(7.4g)、酢酸(100mL)の混合液に濃硫酸(0.1mL)を室温で加え、50分攪拌した。反応混合物に水を加えた後、有機層をトルエンにより抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧下留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶により精製することにより、目的化合物(1-1)を5.5g、収率78%で得た。
このようにして得られた化合物(1-1)の物性は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 0.18 (s, 9H), 0.50 (s, 6H), 7.06-7.12 (m, 3H), 7.16-7.25 (m, 6H), 7.30-7.32 (m, 4H), 7.38-7.44 (m, 2H), 7.48 (s, 1H), 7.51-7.53 (m, 1H)
反応(5):化合物(1-2)の合成
窒素雰囲気下、化合物(1-1)(3.4g)、AgBF4(2.1g)、メタノール(30mL)、THF(30mL)の混合液に、ヨウ素(1.8g)のTHF(20mL)溶液を−78℃で滴下した後、2時間攪拌した。反応混合物をろ過し、不溶物を取り除いた。得られたろ液に水を加え、トルエンにより抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧下留去した。得られた混合物を再結晶により精製することにより、目的化合物(1-2)を2.7g、収率72%で得た。
このようにして得られた化合物(1-2)の物性は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 0.53 (s, 6H), 7.08-7.33 (m, 14H), 7.53-7.55 (d, 1H), 7.58-7.60 (dd, 1H), 7.67-7.68 (d, 1H)
反応(6):化合物(1-3)の合成
窒素雰囲気下、化合物(1-2)(0.89g)、ジフェニルアミン(0.30g)、酢酸パラジウム(19mg)、トリ−tert−ブチルホスフィン(24mg)、ナトリウムtert−ブトキシド(0.24g)、トルエン(27mL)の混合液を110℃で3時間攪拌した。反応混合物をろ過し、不溶物を取り除いた後、溶媒を減圧下留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶により精製することにより、目的化合物(1-3)を0.89g、収率93%で得た。
このようにして得られた化合物(1-3)の物性は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 0.51 (s, 6H), 7.06-7.10 (m, 2H), 7.16-7.25 (m, 16H), 7.30-7.33 (m, 12H)
融点:290℃、ガラス転移温度(Tg):102℃ [測定機器:Diamond DSC (PERKIN-ELMER社製);測定条件:冷却速度200℃/分、昇温速度10℃/分]
UV−vis極大吸収波長(トルエン溶液):λmax=395nm
極大蛍光波長(トルエン溶液):λmax=452nm
<上記式(1-4)、(1-5)及び(1-6)で表される化合物の製造例>
上記式(1-4)、(1-5)及び(1-6)で表される化合物の製造例について説明する。
Figure 2008156261
反応(7):化合物(Pre-4)の合成
反応(2)と同様の手法により、化合物(Pre-1)とジフェニルシリルクロリドを反応させて目的化合物(Pre-4)を収率78%で得た。
このようにして得られた化合物(Pre-4)の物性は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ 0.24 (s, 9H), 5.68 (s, 1H), 7.05-7.07 (d, 2H), 7.27-7.43 (m, 11H), 7.59-7.62 (m, 5H)
反応(8):化合物(Pre-5)の合成
反応(3)と同様の手法により、化合物(Pre-4)から目的化合物(Pre-5)を収率50%で得た。
このようにして得られた化合物(Pre-5)の物性は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ 0.11 (s, 9H), 6.40-6.42 (d, 2H), 6.65 (s, 1H), 6.78-6.80 (d, 2H), 6.91-6.94 (m, 2H), 6.98-7.01 (m, 4H), 7.12-7.14 (m, 2H), 7.21-7.23 (d, 4H), 7.37-7.48 (m, 10H), 7.54-7.61 (m, 2H)
反応(9):化合物(1-4)の合成
反応(4)と同様の手法により、化合物(Pre-5)から目的化合物(1-4)を収率96%で得た。
このようにして得られた化合物(1-4)の物性は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ 0.16 (s, 9H), 7.03-7.05 (m, 1H), 7.20-7.32 (m, 13H), 7.43-7.52 (m, 9H), 7.72-7.74 (d, 3H), 7.86-7.87 (m, 1H)
反応(10):化合物(1-5)の合成
反応(5)と同様の手法により、化合物(1-4)から目的化合物(1-5)を収率82%で得た。
このようにして得られた化合物(1-5)の物性は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ 7.01-7.03 (m, 1H), 7.21-7.34 (m, 13H), 7.43-7.53 (m, 6H), 7.65-7.74 (m, 6H), 7.84-7.87 (m, 1H)
反応(11):化合物(1-6)の合成
反応(6)と同様の手法により、化合物(1-5)から目的化合物(1-6)を収率86%で得た。
このようにして得られた化合物(1-6)の物性は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ 6.85-6.92 (m, 5H), 6.97-7.03 (m, 4H), 7.16-7.29 (m, 16H), 7.43-7.51 (m, 7H), 7.71-7.73 (m, 4H), 7.82-7.84 (m, 1H)
融点:311℃、ガラス転移温度(Tg):125℃ [測定機器:Diamond DSC (PERKIN-ELMER社製);測定条件:冷却速度200℃/分、昇温速度10℃/分]
UV−vis極大吸収波長(トルエン溶液):λmax=406nm
極大蛍光波長(トルエン溶液):λmax=461nm
<上記化合物を用いた有機電界発光素子の実施例>
実施例1、2及び3に係る有機電界発光素子及び比較例1、2及び3に係る有機電界発光素子を作製し、それぞれ、輝度1000cd/m2時の素子特性として、電圧(V)、電流密度(mA/cm2)、発光波長(nm)及びCIE色度(x,y)の測定、さらに、電流密度10mA/cm2時の外部量子効率(%)、一定の電流密度で連続駆動して初期輝度1000cd/m2が半減する寿命である輝度半減寿命(時間)の測定を行った。以下、実施例及び比較例について詳細に説明する。
作製した実施例1、2及び3に係る有機電界発光素子及び比較例1、2及び3に係る有機電界発光素子における、各層の材料構成を下記表1に示す。
Figure 2008156261
表1において、「化合物(1-3)」は上記式(1-3)、「化合物(1-6)」は上記式(1-6)で表される化合物である。また、「CuPc」は銅フタロシアニン、「NPD」はN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン、「ホスト1」は9−フェニル−10−(6−[1,1’:3’,1”]ターフェニル−5’−イル−ナフタレン−2−イル)−アントラセン、「化合物D1」は5,7,12,14−テトラヒドロ−5,5,12,12−テトラメチル−7,7,14,14−テトラフェニル−ジインデノ[2,1−d:2’,1’−d’]ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ビスシロール、「ET」は1,1−ジメチル−2,5−ビス(2,2’−ビピリジン−6−イル)−3,4−ジメシチルシロールであり、それぞれ、下記化学構造を有する。
Figure 2008156261
<実施例1>
ガラス基板上にITOを150nmの厚さに蒸着したものを透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置の基板ホルダーに固定し、「CuPc」を入れたモリブデン製蒸着用ボート、「NPD」を入れたモリブデン製蒸着用ボート、「ホスト1」を入れたモリブデン製蒸着用ボート、「化合物(1-3)」を入れたモリブデン製蒸着用ボート、「ET」を入れたモリブデン製蒸着用ボート、弗化リチウムを入れたモリブデン製蒸着用ボート、およびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を1×10-3Paまで減圧し、まず、「CuPc」が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚20nmになるように蒸着して正孔注入層を形成し、ついで、「NPD」が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚30nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、「ホスト1」が入った蒸着用ボート及び「化合物(1-3)」が入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚30nmになるように蒸着して発光層を形成した。「ホスト1」と「化合物(1-3)」の質量比が99対1になるように蒸着速度を調節した。次に、「ET」の入った蒸着用ボートを加熱して膜厚20nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。各層の蒸着速度は0.001〜3.0nm/秒であった。
その後、弗化リチウム入りの蒸着用ボートを加熱して膜厚0.5nmになるように0.003〜0.01nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して膜厚100nmになるように0.1〜1nm/秒の蒸着速度で蒸着することにより、陰極を形成し、実施例1に係る有機電界発光素子を得た。
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、輝度1000cd/m2時の素子特性を測定すると、電圧4.3V、電流密度19mA/cm2、発光波長455nm、CIE色度(0.15,0.15)、外部量子効率4.8%であり、さらに輝度半減寿命は180時間であった。
<比較例1>
ドーパント材料を「化合物D1」とした以外は、実施例1と全く同様にして有機電界発光素子を得た。
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、輝度1000cd/m2時の素子特性を測定すると、電圧3.8V、電流密度11mA/cm2、発光波長469nm及び498nm、CIE色度(0.17,0.34)、外部量子効率4.8%であり、さらに輝度半減寿命は170時間であった。
<比較例2>
ドーパント材料を入れずにホスト材料のみで発光層を形成した以外は、実施例1と全く同様にして有機電界発光素子を得た。
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、輝度1000cd/m2時の素子特性を測定すると、電圧5.1V、電流密度46mA/cm2、発光波長442nm、CIE色度(0.15,0.08)、外部量子効率4.0%であり、さらに輝度半減寿命は40時間であった。
<実施例2>
「ホスト1」と「化合物(1-3)」の質量比が95対5になるように蒸着速度を調節した以外は実施例1と全く同様にして有機電界発光素子を得た。
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、輝度1000cd/m2時の素子特性を測定すると、電圧4.0V、電流密度17mA/cm2、発光波長455nm、CIE色度(0.15,0.17)、外部量子効率4.8%であり、さらに輝度半減寿命は150時間であった。
<実施例3>
ドーパント材料を「化合物(1-6)」とし、「ホスト1」と「化合物(1-6)」の質量比が95対5になるように蒸着速度を調節した以外は実施例1と全く同様にして有機電界発光素子を得た。
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、輝度1000cd/m2時の素子特性を測定すると、電圧4.1V、電流密度14mA/cm2、発光波長464nm、CIE色度(0.15,0.25)、外部量子効率4.6%であり、さらに輝度半減寿命は190時間であった。
<比較例3>
ドーパント材料を「化合物D1」とし、「ホスト1」と「化合物D1」の質量比が95対5になるように蒸着速度を調節した以外は実施例1と全く同様にして有機電界発光素子を得た。
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、輝度1000cd/m2時の素子特性を測定すると、電圧4.1V、電流密度10mA/cm2、発光波長469nm及び498nm、CIE色度(0.18,0.39)、外部量子効率4.5%であり、さらに輝度半減寿命は150時間であった。
実施例1、2及び3に係る有機電界発光素子及び比較例1、2及び3に係る有機電界発光素子の素子特性の結果を下記表2に示す。
Figure 2008156261
表2から分かるように、ドーパントを含まない比較例2の発光素子は、発光が単一波長のスペクトルであり、青色としての色純度が極めて良好(y=0.08)であるが、その代わりに外部量子効率(4.0%)や素子寿命(40時間)が極めて悪く、全く実用的ではない。また、従来化合物D1をドーパントとして含んだ比較例1の発光素子は、外部量子効率(4.8%)や素子寿命(170時間)が改善されたが、その代わりに、発光が複数波長のスペクトルとなるだけでなく、青色としての色純度が極めて悪くなってしまい(y=0.34)、比較例2と同様に全く実用的ではない。これに対して、実施例1の発光素子は、青色としての色純度と外部量子効率において優れた性能を兼ね備えた素子であり、さらに、唯一のピークからなる発光スペクトルを示し、良好な輝度半減寿命を有している。
また、従来化合物D1をドーパント(5%)として含んだ比較例3の発光素子は、発光が複数波長のスペクトルとなるだけでなく、青色としての色純度(y=0.39)や外部量子効率(4.5%)が極めて悪くなってしまい、比較例1や2と同様に全く実用的ではない。これに対して、実施例2及び3の発光素子は、青色としての色純度と外部量子効率において優れた性能を兼ね備えた素子であり、さらに、唯一のピークからなる発光スペクトルを示し、良好な輝度半減寿命を有している。
本発明の好ましい態様によれば、蛍光量子収率が高く青色蛍光を有する化合物、高い色純度と高い外部量子効率を兼ね備えた有機電界発光素子、及びそれを備えた表示装置や照明装置などを提供することができる。
本実施形態に係る有機電界発光素子を示す概略断面図である。
符号の説明
100 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物。
    Figure 2008156261
    (一般式(1)において、
    1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアリールチオ、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいアリールアルケニル、置換されていてもよいアリールアルキニル、置換されていてもよいアリールアルコキシ、置換されていてもよいアリールアルキルチオ、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよいシリルオキシ、置換されていてもよいアルキルスルフォニルオキシ又は置換されていてもよいアリールスルフォニルオキシであり、また、R3及びR4は互いに結合して環を形成していてもよく、
    5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアリールチオ、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいアリールアルケニル、置換されていてもよいアリールアルキニル、置換されていてもよいアリールアルコキシ、置換されていてもよいアリールアルキルチオ、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよいボリル、置換されていてもよいシリルオキシ、置換されていてもよいアルキルスルフォニルオキシ、置換されていてもよいアリールスルフォニルオキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ又はヒドロキシルである。)
  2. 1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル又は置換されていてもよいヘテロアリールであり、また、R3及びR4が置換されてもよいアリールの場合、互いに結合して、置換されていてもよい2価のビアリールであってもよく、
    5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいアリールアルコキシ、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよいボリル又はハロゲンであり、そして、
    1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12における置換基は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数1〜12のアルキルで置換された炭素数6〜20のアリール、炭素数2〜20のヘテロアリール又はシアノである、
    請求項1に記載する化合物。
  3. 1及びR2は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリール又は置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリールであり、
    3及びR4は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリール又は置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリールであり、また、R3及びR4が置換されてもよい炭素数6〜30のアリールの場合、互いに結合して、置換されていてもよい炭素数12〜60の2価のビアリールであってもよく、
    5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリール、置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリール、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよいボリル又はハロゲンであり、そして、
    1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12における置換基は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、フェニル、ナフチル、メチルフェニル、メチルナフチル、ピリジル、ピリミジニル、キノリル、フェナントロリニル又はチエニルであり、ただし、アミノの場合の置換基は、炭素数1〜12のアルキル又は炭素数6〜20のアリールである、
    請求項1に記載する化合物。
  4. 1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル又は炭素数6〜25のアリールであり、
    3及びR4は、それぞれ独立して、炭素数6〜25のアリールであり、また、R3及びR4が互いに結合して、炭素数12〜50の2価のビアリールであってもよく、
    5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素;炭素数1〜12のアルキル;炭素数6〜25のアリール;炭素数6〜25のアリールで置換されたアミノ;メチル、エチル及びプロピルから選ばれるアルキルで置換されたシリル;又はハロゲンである、
    請求項1に記載する化合物。
  5. 1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル又はフェニルであり、
    3及びR4は、それぞれ独立して、フェニル、ビフェニリル又はナフチルであり、また、R3及びR4がフェニルの場合、互いに結合して、2価のビフェニルであってもよく、
    5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル又はオクチルであり、
    9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素;メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル;フェニル、トリル、ビフェニリル及びナフチルから選ばれるアリールで置換されたアミノ;メチル及びエチルから選ばれるアルキルで置換されたシリル;F、Cl、Br又はIであり、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも一つは前記アミノ、前記シリル又は前記ハロゲンのいずれかである、
    請求項1に記載する化合物。
  6. 下記式(1-1)、(1-2)又は(1-3)で表される化合物である、請求項1に記載する化合物。
    Figure 2008156261
    (式中、「Me」はメチル、「Ph」はフェニル、「TMS」はトリメチルシリルを表す。)
  7. 下記式(1-4)、(1-5)又は(1-6)で表される化合物である、請求項1に記載する化合物。
    Figure 2008156261
    (式中、「Ph」はフェニル、「TMS」はトリメチルシリルを表す。)
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載する化合物を少なくとも一種含有する有機電界発光素子。
  9. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層を有し、該発光層に請求項1ないし7のいずれかに記載する化合物を少なくとも一種含有する有機電界発光素子。
  10. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、ホスト及びドーパントを含有する発光層を有し、該ドーパントとして請求項1ないし7のいずれかに記載する化合物を少なくとも一種含有する有機電界発光素子。
  11. 請求項8ないし10のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた表示装置。
  12. 請求項8ないし10のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた照明装置。
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