JP2007119454A - フェナレン化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】例えば、有機電界発光素子に適用して優れた性能を発揮するフェナレン化合物を提供する。
【解決手段】
下記一般式(1)で表されるフェナレン化合物。
【化29】
Figure 2007119454

(式中、
10およびR11は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり、
20〜R29は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキルなどであり、そして、
10、R11、R20〜R29の少なくとも1つの隣接する置換基同士は互いに結合又は縮合して炭素からなる環を形成してもよく、また、形成された環は置換されていてもよい。)
【選択図】なし

Description

本発明は、フェナレン化合物に関する。
有機電界発光素子は、自己発光型の発光素子であり、表示用または照明用の発光素子として期待されている。有機電界発光素子としては、例えば、蛍光発光を利用する蛍光発光素子や、燐光発光を利用する有機電界燐光発光素子(以下、燐光発光素子と称することがある)が知られている(例えば、米国特許第6097147号明細書:特許文献1参照)。蛍光発光素子のように蛍光のみを利用して発光させる場合は、励起一重項状態を利用する。一方、燐光発光素子は三重項状態の励起エネルギーが発光に寄与する。
有機電界発光素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有し、当該有機化合物としては種々の有機材料が開発されてきた(例えば、特開2003−109763号公報、特開2003−109764号公報、特開2000−150167号公報、特開平11−35532号公報、特開平7−90257号公報、特開平7−90258号公報、特開平5−302081号公報、米国特許第6428912号明細書:特許文献2〜9を参照)。
米国特許第6097147号明細書 特開2003−109763号公報 特開2003−109764号公報 特開2000−150167号公報 特開平11−35532号公報 特開平7−90257号公報 特開平7−90258号公報 特開平5−302081号公報 米国特許第6428912号明細書
しかしながら、上述する有機材料をもちいても、発光効率、電流効率、素子寿命および外部量子効率などに関して十分な性能を有する有機電界発光素子は、未だ得られていない。このような状況下、発光効率、電流効率、素子寿命および外部量子効率などにおいて、更に性能のよい有機電界発光素子、すなわち、該素子を得ることができる化合物の開発が望まれている。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記一般式(1)で表されるフェナレン化合物の製造に成功した。また、このフェナレン化合物を含有する層を一対の電極間に配置して有機電界発光素子を構成することにより、発光効率、電流効率、素子寿命および外部量子効率などにおいて改善された有機電界発光素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下のようなフェナレン化合物を提供する。
[1] 下記一般式(1)で表されるフェナレン化合物。
Figure 2007119454
(式中、
10およびR11は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり、
20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28およびR29は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアリールチオ、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいアラルキル、ハロゲン、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいボリル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシルまたは置換されていてもよいシリルであり、そして、
10、R11、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28およびR29の少なくとも1つの隣接する置換基同士は互いに結合又は縮合して炭素からなる環を形成してもよく、また、形成された環は置換されていてもよい。)
[2] R10およびR11は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数5〜30のアリールまたは置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリールであり、
20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28およびR29は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル、置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル、置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル、置換されていてもよい炭素数5〜30のアリール、置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリール、置換されていてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリールチオ、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリールアルキル、置換されていてもよい炭素数7〜20のアラルキル、ハロゲン、置換されていてもよい芳香族アミノ、置換されていてもよい芳香族ボリル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシルまたは置換されていてもよいシリルであり、そして、
20とR21、R21とR22、R22とR23、R24とR25、R25とR26、R27とR28、R28とR29およびR10とR11のうち少なくとも1つの隣接する置換基同士は互いに結合又は縮合して炭素からなる環を形成してもよく、この形成された環は1〜6個の環からなる縮合環であり、この縮合環を構成する各環はそれぞれ5員環又は6員環であり、また、形成された縮合環は、アリール、アルコキシ又は置換アミノで置換されていてもよい、
上記[1]に記載するフェナレン化合物。
[3] R10およびR11は、それぞれ独立して、フェニルまたはナフチルであり、
20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28およびR29は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、フェニル、ナフチル、チオフェニル、カルバゾリル、ジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、F、Cl、Br、I、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ジアリールボリル、シアノ、トリアルキルシリル、アントリル、フェナンスリル、ビフェニル、ターフェニル、フラニルまたはフルオレニルであり、そして、
20とR21、R21とR22、R22とR23、R24とR25、R25とR26、R27とR28、R28とR29またはR10とR11のうち少なくとも1つの隣接する置換基同士は互いに結合又は縮合して炭素からなる環を形成してもよく、この形成された環は2又は3個の環からなる縮合環であり、この縮合環を構成する各環はそれぞれ5員環又は6員環であり、また、形成された縮合環は、フェニル、ナフチル、メトキシ、エトキシ又はジアリールアミノで置換されていてもよい、
上記[1]に記載するフェナレン化合物。
[4] 下記一般式(2)、(3)、(4)または(5)のいずれかで表されるフェナレン化合物。
Figure 2007119454
(式中、
10およびR11は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり、
1、X2、X3、X4、X5、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアリールチオ、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいアラルキル、ハロゲン、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいボリル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシルまたは置換されていてもよいシリルであり、そして、
1、X2、X3、X4およびX5は、それぞれの環にそれぞれ独立して複数個結合していてもよい。)
[5] R10およびR11は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数5〜30のアリールまたは置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリールであり、
1、X2、X3、X4、X5、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル、置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル、置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル、置換されていてもよい炭素数5〜30のアリール、置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリール、置換されていてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリールチオ、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリールアルキル、置換されていてもよい炭素数7〜20のアラルキル、ハロゲン、置換されていてもよい芳香族アミノ、置換されていてもよい芳香族ボリル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシルまたは置換されていてもよいシリルであり、そして、
1、X2、X3、X4およびX5は、それぞれの環にそれぞれ独立して複数個結合していてもよい、
上記[4]に記載するフェナレン化合物。
[6] R10およびR11は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数5〜30のアリールであり、
1、X2、X3、X4、X5、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数5〜30のアリール、置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリール、置換されていてもよい炭素数1〜15のアルコキシ、置換されていてもよい芳香族アミノまたは置換されていてもよい芳香族ボリルであり、そして、
1、X2、X3、X4およびX5は、それぞれの環にそれぞれ独立して複数個結合していてもよい、
上記[4]に記載するフェナレン化合物。
[7] R10およびR11は、フェニルであり、
1およびX2は、それぞれ独立して、フェニル、ナフチル、チオフェニル、カルバゾリル、ジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、メトキシ、エトキシ、ジアリールアミノまたはジアリールボリルであり、X3、X4、X5、R12およびR13は、水素またはフェニルであり、そして、
1、X2、X3、X4およびX5は、それぞれの環に1個結合している、
上記[4]に記載するフェナレン化合物。
本発明の好ましい態様によれば、例えば、発光素子用材料として優れた特性を有するフェナレン化合物を提供することができる。また、発光効率、電流効率、素子寿命および外部量子効率などについて改善された有機電界発光素子を提供することができる。また、主骨格であるフェナレン化合物のいくつかの縮合構造や置換基の変更により、有機電界発光素子を構成する複数の有機層に適用することができるので、汎用性の高い有機電界発光素子用の材料を提供することができる。
本発明のフェナレン化合物について詳細に説明する。
本発明に係るフェナレン化合物は、前記一般式(1)で表されるフェナレン化合物である。
1.一般式(1)で表されるフェナレン化合物
まず、前記一般式(1)で表されるフェナレン化合物について説明する。
一般式(1)のR10およびR11における「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数5〜30のアリールがあげられる。好ましい「アリール」は、炭素数5〜25のアリールである。さらに好ましい「アリール」は、炭素数5〜20のアリールである。特に好ましい「アリール」は、フェニルまたはナフチルである。具体的な「アリール」としては、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ターフェニリル、フルオレニル、ピレニル、R10とR11のアリールが結合したスピロ構造などがあげられる。
一般式(1)のR10およびR11における「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられる。好ましい「ヘテロアリール」は、炭素数2〜25のヘテロアリールである。さらに好ましい「ヘテロアリール」は、炭素数2〜20のヘテロアリールである。
また、「ヘテロアリール」としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環基などがあげられ、例えば、芳香族複素環基などがあげられる。
「複素環基」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニルなどがあげられ、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
「芳香族複素環基」としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられ、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、カルバゾリルなどが好ましい。
一般式(1)のR10およびR11における「置換基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、シクロヘプチル、オクチル、シクロオクチル、トリフルオロメチルなどのアルキル;フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール;メチルフェニル、エチルフェニル、s−ブチルフェニル、t−ブチルフェニル、1−メチルナフチル、2−メチルナフチル、4−メチルナフチル、1,6−ジメチルナフチル、4−t−ブチルナフチルなどのアルキルアリール;ピリジル、キナゾリニル、キノリル、ピリミジニル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、テトラゾリル、フェナントロリニルなどのヘテロ環;シアノなどがあげられる。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個である。
一般式(1)のR20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28およびR29(以下、R20〜R29とする)における「置換されていてもよいアリール」および「置換されていてもよいヘテロアリール」としては、一般式(1)のR10およびR11において説明したものと同様のものが用いられる。
一般式(1)のR20〜R29における「置換されていてもよいアルキル」の「アルキル」としては、直鎖及び分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜20の直鎖アルキルまたは炭素数3〜20の分枝鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキルである。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキルである。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキルである。具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどがあげられる。
一般式(1)のR20〜R29における「置換されていてもよいアルケニル」の「アルケニル」としては、直鎖でも分枝鎖でもよく、例えば、炭素数2〜20の直鎖もしくは分枝鎖状のアルケニルがあげられる。好ましい「アルケニル」は、炭素数2〜12のアルケニルである。より好ましい「アルケニル」は、炭素数2〜6のアルケニルである。特に好ましい「アルケニル」は、炭素数2〜4のアルケニルである。具体的には、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ゲラニル、ファルネシルなどがあげられる。
一般式(1)のR20〜R29における「置換されていてもよいアルキニル」の「アルキニル」としては、直鎖でも分枝鎖でもよく、例えば、炭素数2〜20の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキニルがあげられる。好ましい「アルキニル」は、炭素数2〜12のアルキニルである。より好ましい「アルキニル」は、炭素数2〜6のアルキニルである。特に好ましい「アルキニル」は、炭素数2〜4のアルキニルである。具体的には、エチニル、プロピニル、ブチニルなどがあげられる。
一般式(1)のR20〜R29における「置換されていてもよいシクロアルキル」の「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜10のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜5のシクロアルキルである。具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルなどがあげられる。
一般式(1)のR20〜R29における「置換されていてもよいアルコキシ」の「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1〜20のアルコキシがあげられる。好ましい「アルコキシ」は、炭素数1〜15のアルコキシである。さらに好ましい「アルコキシ」は、炭素数1〜10のアルコキシである。具体的な「アルコキシ」としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、シクロペントキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、シクロヘプチルオキシ、オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、フェノキシなどがあげられる。
一般式(1)のR20〜R29における「置換されていてもよいアリールオキシ」の「アリールオキシ」としては、炭素数6〜20のアリールオキシがあげられる。好ましい「アリールオキシ」は、炭素数6〜16のアリールオキシである。さらに好ましい「アリールオキシ」は、炭素数6〜13のアリールオキシである。具体的な「アリールオキシ」としては、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、アントラセニルオキシ、フェナントリルオキシなどがあげられる。
一般式(1)のR20〜R29における「置換されていてもよいアルキルチオ」の「アルキルチオ」としては、炭素数1〜20のアルキルチオがあげられる。好ましい「アルキルチオ」は、炭素数1〜15のアルキルチオである。さらに好ましい「アルキルチオ」は、炭素数1〜10のアルキルチオである。具体的な「アルキルチオ」としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、s−ブチルチオ、t−ブチルチオ、ペンチルチオ、シクロペンチルチオ、ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、ヘプチルチオ、シクロヘプチルチオ、オクチルチオ、シクロオクチルチオなどがあげられる。
一般式(1)のR20〜R29における「置換されていてもよいアリールチオ」の「アリールチオ」としては、炭素数6〜30のアリールチオがあげられる。好ましい「アリールチオ」は、炭素数6〜25のアリールチオである。さらに好ましい「アリールチオ」は、炭素数6〜20のアリールチオである。具体的な「アリールチオ」としては、フェニルチオ、ナフチルチオ、アントラセニルチオ、フェナントリルチオなどがあげられる。
一般式(1)のR20〜R29における「置換されていてもよいアリールアルキル」の「アリールアルキル」としては、炭素数6〜30のアリールアルキルがあげられる。好ましい「アリールアルキル」は、炭素数6〜25のアリールアルキルである。さらに好ましい「アリールアルキル」は、炭素数6〜20のアリールアルキルである。具体的な「アリールアルキル」としては、アリールメチル、アリールエチルなどがあげられ、ここで「アリール」とは上述するアリールと同様のものを適用することができる。
一般式(1)のR20〜R29における「置換されていてもよいアラルキル」の「アラルキル」としては、炭素数7〜20のアラルキルがあげられる。好ましい「アラルキル」は、炭素数7〜15のアラルキルである。さらに好ましい「アラルキル」は、炭素数7〜10のアラルキルである。具体的な「アラルキル」としては、ベンジル、フェニルエチル、メチルベンジル(トルベンジル)、ノフチルメチル(メナフチル)などがあげられる。
一般式(1)のR20〜R29における「ハロゲン」としては、F、Cl、Br、Iなどがあげられる。
一般式(1)のR20〜R29における「置換されていてもよいアミノ」としては、具体的には、アミノ;メチルアミノ、エチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、アセチルアミノなどのアルキルアミノ;ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノなどのジアルキルアミノ;ジフェニルアミノなどのジアリールアミノなどがあげられる。
一般式(1)のR20〜R29における「置換されていてもよいボリル」としては、具体的には、ジフェニルボリル、ジトリルボリル、ジメシチルボリル、ジアントリルボリル、アントリルメシチルボリルなどのジアリールボリルなどがあげられる。置換ボリルの「置換基」としては、例えば、オルトジ置換フェニルがあげられる。具体的な「置換基」としては、キシリル、メシチル、ジイソプロピルフェニル、トリイソプロピルフェニル、ターフェニルなどがあげられる。
一般式(1)のR20〜R29における「置換されていてもよいシリル」としては、具体的には、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリルなどのトリアルキルシリルや、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリブトキシシリル基などのアルコキシシシリル基があげられる。
一般式(1)のR20〜R29における「置換基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、シクロヘプチル、オクチル、シクロオクチル、トリフルオロメチルなどのアルキル;フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール;メチルフェニル、エチルフェニル、s−ブチルフェニル、t−ブチルフェニル、1−メチルナフチル、2−メチルナフチル、4−メチルナフチル、1,6−ジメチルナフチル、4−t−ブチルナフチルなどのアルキルアリール;ピリジル、キナゾリニル、キノリル、ピリミジニル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、テトラゾリル、フェナントロリニルなどのヘテロ環;シアノなどがあげられる。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個である。
一般式(1)のR10、R11、R20〜R29の少なくとも1つの隣接する置換基同士が互いに結合又は縮合して炭素からなる環を形成した場合の形態としては、R20とR21、R21とR22、R22とR23、R24とR25、R25とR26、R27とR28、R28とR29およびR10とR11のうち少なくとも1つの隣接する置換基同士は互いに結合又は縮合して炭素からなる環があげられる。また、この形成された環は1〜6個の環からなる縮合環であり、この縮合環を構成する各環はそれぞれ5員環又は6員環であることが好ましい。さらに、この形成された環は2又は3個の環からなる縮合環であり、この縮合環を構成する各環はそれぞれ5員環又は6員環であることが好ましい。具体的には、下記環構造があげられる(なお、主骨格も含めて例示する。)。
Figure 2007119454
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なお、形成された環は置換されていてもよく、この置換基としては、上記一般式(1)におけるR10およびR11の説明、及びR20〜R29の説明で記載したものと同様ものもがあげられる。好ましい置換基としては、アリール、アルコキシ又は置換アミノがあげられ、より好ましい置換基としては、フェニル、ナフチル、メトキシ、エトキシ又はジアリールアミノがあげられる。
2.一般式(2)〜(5)で表される化合物
上記一般式(1)で表される化合物の、更なる具体例としては、例えば、上記一般式(2)、(3)、(4)および(5)で表される化合物をあげることができる。
これらの式中、R10およびR11は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールである。具体的には、一般式(1)におけるR10およびR11の説明で記載したものと同様である。
また、式中、X1、X2、X3、X4、X5、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアリールチオ、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいアラルキル、ハロゲン、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいボリル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシルまたは置換されていてもよいシリルであり、そして、X1、X2、X3、X4およびX5は、それぞれの環にそれぞれ独立して複数個結合していてもよい。具体的には、一般式(1)におけるR10およびR11の説明、及びR20〜R29の説明で記載したものと同様である。
また、上記一般式(1)で表される化合物の、他の具体例としては、例えば、下記化合物があげられる。なお、下記化合物における置換基については、詳細に図示していないが、上記一般式(1)におけるR10およびR11の説明、及びR20〜R29の説明で記載したものと同様である。
Figure 2007119454
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3.化合物の製造方法
3−1.一般式(1)で表されるフェナレン化合物の製造方法
一般式(1)で表されるフェナレン化合物は、公知の化合物を用いて、公知の合成法により製造することができる。
例えば、下記一般式(a)を対応する有機リチウム試薬やグリニャール試薬などの有機金属試薬と反応させて、R10を導入したのち、CF3SO3Hなどの酸をプロモータとしたフリーデル−クラフツ反応でR11を導入して、合成することができる。式(a)で表す化合物は、それぞれ公知の化合物を用いるか、又は公知の化合物を用いて公知の合成法により製造することができる。
Figure 2007119454
また、R23が水素以外のときはスキーム(2)の方法を用いて製造することができる。すなわち、一般式(b)と一般式(c)を鈴木−宮浦カップリング反応を用いて、反応させた後、有機リチウム化合物やグリニャール試薬などの有機金属試薬と反応させて、R10の導入を行うか、またはDibalを用いてアルコールに還元してもよい。
このときZ1およびZ2はハロゲン、トリフラート、ボロン酸およびボロン酸エステルなどであり、Z1およびZ2のどちらか一方がハロゲンおよびトリフラートの場合、どちらか一方がボロン酸およびボロン酸エステルとなり、またYはメチル、エチル、ブチルなどのアルキル基である。
さらにつづいて酸で処理することにより一般式(1)を製造することができる。本工程の酸は硫酸、塩酸などの無機塩、p−トルエンスルホン酸などの有機酸、BF3・OEt2、BAr3、AlCl3、AlBr3、EtAlCl2、Et2AlClなどのルイス酸を用いることができる。反応溶媒は酢酸、塩化メチレン、トルエンなどを用いることができる。また酸が液体であるときは、酸を溶媒として用いることができる。反応温度は反応に用いる原料や酸により異なるが、0℃〜120℃が望ましい。
Figure 2007119454
3−2.一般式(2)で表されるフェナレン化合物の製造方法
一般式(2)で表されるフェナレン化合物は一般式(1)の合成法を応用することで製造することができる。
3−3.一般式(3)で表されるフェナレン化合物の製造方法
一般式(3)で表されるフェナレン化合物は下記スキーム(3)の方法を用いて製造することができる。
Figure 2007119454
3−4.一般式(4)で表されるフェナレン化合物の製造方法
一般式(4)で表されるフェナレン化合物は下記スキーム(4)の方法を用いて製造することができる。
Figure 2007119454
3−5.一般式(5)で表されるフェナレン化合物の製造方法
一般式(5)で表されるフェナレン化合物は下記スキーム(5)の方法を用いて製造することができる。
Figure 2007119454
4.有機電界発光素子
本発明に係るフェナレン化合物は、例えば、有機電界発光素子の材料として用いることができる。
この実施形態に係る有機電界発光素子について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機電界発光素子を示す概略断面図である。
<有機電界発光素子の構造>
図1に示された有機電界発光素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機電界発光素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106および電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機電界発光素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/発光層/陰極」の構成態様であってもよい。
<有機電界発光素子における基板>
基板101は、有機電界発光素子100の支持体となるものであり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiO2などのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
<有機電界発光素子における陽極>
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たすものである。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および/または正孔輸送層104が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物があげられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム−スズ酸化物(ITO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどがあげられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3−メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマなどがあげられる。その他、有機電界発光素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/cm2以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/cm2程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100〜5Ω/cm2、好ましくは50〜5Ω/cm2の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常100〜300nmの間で用いられることが多い。
<有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層>
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たすものである。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たすものである。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、前記一般式(2)のフェナレン化合物において、X1及びX2を芳香族アミノとした発光素子用材料が特に好ましい。正孔注入層103または正孔輸送層104における前記一般式(2)で表されるフェナレン化合物の含有量は、1〜100重量%、さらに10〜100重量%、特に50〜100重量%、とりわけ80〜100重量%が好ましい。
また、他の正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機電界発光素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾール等)、ビス(N−アリルカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミンを主鎖あるいは側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体等、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニン等)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシラン等である。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されるものではない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」及び文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998).およびJ.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、あるいは、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニンZnPcなど)が知られている(特開2005−167175号公報)。
<有機電界発光素子における発光層>
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光するものである。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光および/または燐光)効率を示す化合物であるのが好ましい。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成され、これはホスト材料とドーパント材料との混合物であっても、ホスト材料単独であっても、いずれでもよい。すなわち、発光層の各層において、ホスト材料もしくはドーパント材料のみが発光してもよいし、ホスト材料とドーパント材料がともに発光してもよい。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーパント材料の量は、多すぎると濃度消光現象が起きるため、ホスト材料に対して10〜1重量%で用いることが好ましく、さらに好ましくは5〜2重量%以下である。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
また、本実施形態に係る発光素子の発光材料は蛍光性であっても燐光性であってもどちらでもかまわない。
ホスト材料としては、前記一般式(3)、(4)または(5)のフェナレン化合物において、X1及びX2をアリールとした発光素子用材料が特に好ましい。発光層105における前記一般式(3)、(4)または(5)で表されるフェナレン化合物のホスト材料としての含有量は、1〜100重量%、さらに10〜100重量%、特に50〜100重量%、とりわけ80〜100重量%が好ましい。
他のホスト材料としては、特に限定されるものではないが、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムをはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ピロロピロール誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、そして、ポリチオフェン誘導体が好適に用いられる。
その他、ホスト材料としては、化学工業2004年6月号13頁、および、それにあげられた参考文献などに記載された化合物などの中から適宜選択して用いることができる。
また、青色のドーパント材料としては、前記一般式(3)、(4)または(5)のフェナレン化合物において、X1及びX2をアリール、芳香族アミノまたは芳香族ボリルとした発光素子用材料が特に好ましい。発光層105における前記一般式(3)、(4)または(5)で表されるフェナレン化合物のドーパント材料としての含有量は、1〜100重量%、さらに10〜100重量%、特に50〜100重量%、とりわけ80〜100重量%が好ましい。
他のドーパント材料としては、特に限定されるものではなく、既知の化合物を用いることができ、所望の発光色に応じて様々な材料の中から選択することができる。具体的には、例えば、フェナンスレン、アントラセン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ナフトピレン、ジベンゾピレンおよびルブレンなどの縮合環誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、チオフェン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体(特開平1−245087号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2−247278号公報)、ジアザインダセン誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、フェニルイソベンゾフラン、ジメシチルイソベンゾフラン、ジ(2−メチルフェニル)イソベンゾフラン、ジ(2−トリフルオロメチルフェニル)イソベンゾフラン、フェニルイソベンゾフランなどのイソベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、7−ジアルキルアミノクマリン誘導体、7−ピペリジノクマリン誘導体、7−ヒドロキシクマリン誘導体、7−メトキシクマリン誘導体、7−アセトキシクマリン誘導体、3−ベンズチアゾリルクマリン誘導体、3−ベンズイミダゾリルクマリン誘導体、3−ベンズオキサゾリルクマリン誘導体などのクマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、ポリメチン誘導体、シアニン誘導体、オキソベンズアンスラセン誘導体、キサンテン誘導体、ローダミン誘導体、フルオレセイン誘導体、ピリリウム誘導体、カルボスチリル誘導体、アクリジン誘導体、オキサジン誘導体、フェニレンオキサイド誘導体、キナクリドン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、フロピリジン誘導体、1,2,5−チアジアゾロピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、アクリドン誘導体およびジアザフラビン誘導体などが挙げられる。
発色光ごとに例示すると、青〜青緑色ドーパント材料としては、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデンなどの芳香族炭化水素化合物やその誘導体、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどの芳香族複素環化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などが挙げられる。
また、緑〜黄色ドーパント材料としては、クマリン誘導体、フタルイミド誘導体、ナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体およびルブレンなどのナフタセン誘導体などが挙げられ、さらに上記青〜青緑色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール基、ヘテロアリール基、アリールビニル基、アミノ基、シアノ基など長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。
さらに、橙〜赤色ドーパント材料としては、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体などの希土類錯体、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピランやその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、フェノキサジン誘導体、オキサジン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサゾン誘導体およびチアジアゾロピレン誘導体など挙げられ、さらに上記青〜青緑色および緑〜黄色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール基、ヘテロアリール基、アリールビニル基、アミノ基、シアノ基など長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。さらに、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)に代表されるイリジウムや白金を中心金属とした燐光性金属錯体も好適な例として挙げられる。
その他、ドーパントとしては、化学工業2004年6月号13頁、および、それにあげられた参考文献などに記載された化合物などの中から適宜選択して用いることができる。
<有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層>
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たすものである。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たすものである。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することを司る層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
また、電子輸送層106および電子注入層107を形成する材料としては、前記一般式(2)、(3)、(4)または(5)のフェナレン化合物において、X1及びX2をヘテロ環(ヘテロアリールなど)とした発光素子用材料が特に好ましい。電子輸送層106または電子注入層107における前記一般式(2)、(3)、(4)または(5)で表されるフェナレン化合物の含有量は、1〜100重量%、さらに10〜100重量%、特に50〜100重量%、とりわけ80〜100重量%が好ましい。
他の電子輸送層および電子注入層を形成する材料としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機電界発光素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層および電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香環もしくは複素芳香環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香環誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体などが挙げられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムなどのキノリノール錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。中でも、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムなどのキノリノール錯体、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセンなどのアントラセン誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルなどのスチリル系芳香環誘導体、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル、1,3,5−トリス(N−カルバゾリル)ベンゼンなどのカルバゾール誘導体が、耐久性の観点から好ましく用いられる。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、キノリン誘導体、ビピリジンやターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ナフチリジン誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体などが挙げられる。
中でもピリジン誘導体(例えば、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(以下、PyPySPyPyと略記する)、9,10−ジ(2’,2”−ビピリジル)アントラセン、2,5−ジ(2’,2”−ビピリジル)チオフェン、2,5−ジ(3’,2”−ビピリジル)チオフェン、6’6”−ジ(2−ピリジル)2,2’:4’,3”:2”,2”−クアテルピリジン等)、フェナントロリン誘導体(例えば、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチルー4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、9,10−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)アントラセン、2,6−ジ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ピリジン、1,3,5−トリ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ベンゼン、9,9’−ジフルオル−ビス(1,10−フェナントロリン−5−イル)、バソクプロインや1,3−ビス(2−フェニル−1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼン等)、キノリノール系金属錯体(例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(以下、Alq3と略記する。)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウム、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリン)−(4−フェニルフェノール)アルミニウム等)、トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼンなどのイミダゾール誘導体、1,3−ビス[(4−t−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなどのオキサジアゾール誘導体、N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなどのトリアゾール誘導体、2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなどのベンゾキノリン誘導体、1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−ターピリジニル))ベンゼンなどのターピリジン誘導体、ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなどのナフチリジン誘導体が好適である。
特にピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体を電子輸送層または電子注入層に用いると、低電圧、高効率を実現できる。
また、フェナントロリン骨格を有する有機蛍光体を電子輸送層に用いた場合について説明する。長時間にわたって安定な発光を得るには、熱的安定性や薄膜形成性に優れた材料が望まれ、フェナントロリン骨格を有する有機蛍光体の中でも、置換基自身が三次元的立体構造を有するか、フェナントロリン骨格とのあるいは隣接置換基との立体反発により三次元的立体構造を有するもの、あるいは複数のフェナントロリン骨格を連結したものが好ましい。さらに、複数のフェナントロリン骨格を連結する場合、連結ユニット中に共役結合、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素、置換もしくは無置換の芳香複素環を含んでいる化合物がより好ましい。
<有機電界発光素子における陰極>
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様のものを用いることができる。なかでも、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、錫、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム−リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は、一般に大気中で不安定であることが多く、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウム(真空蒸着の膜厚計表示で1nm以下)をドーピングして安定性の高い電極を使用する方法が好ましい例として挙げることができるが、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩の使用も可能であることから特にこれらに限定されるものではない。
更に、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例として挙げられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
<各層で用いてもよい結着剤>
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリサルフォン、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
<有機電界発光素子の作製方法>
有機電界発光素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法等の方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造等により異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度50〜400℃、真空度10-6〜10-3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚2nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
次に、有機電界発光素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機電界発光素子の作製法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法等により形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法等により形成させて陰極とすることにより、目的の有機電界発光素子が得られる。なお、上述の有機電界発光素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた有機電界発光素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機電界発光素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
<有機電界発光素子の応用例>
また、本発明は、有機電界発光素子を備えた表示装置または有機電界発光素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機電界発光素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどがあげられる(例えば、特開平10−335066号公報、特開2003−321546号公報、特開2004−281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などが挙げられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスとは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されたものをいい、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)とは、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどがあげられる(例えば、特開2003−257621号公報、特開2003−277741号公報、特開2004−119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式のものが蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
<フェナンレン化合物の合成例>
次に、合成したフェナレン化合物のうちのいくつかの物性値について、表1に示す。各物性値の測定方法は以下の通りである。NMR測定については、JEOL製JNM−GSXを用いて基準をTMSとして測定した。UV吸光度測定については、日本分光製V−560型分光光度計を用いて励起波長を254nmとして測定した。融点測定については、PerkinElmer社製のDiamond DSCを用いて測定した。
Figure 2007119454
以下、化合物1〜5の合成例について説明する。
<化合物1の合成例>
2−(4−ジフェニルアミノ−1−フェニル)−5−(4−ジフェニルアミノ−1−ナフチル)−テレフタル酸ジメチル0.9g(1.2mmol)をTHF50mlに溶解した後、−75℃に冷却し、カルボン酸エステル基に対して、2.2当量のPhLi/ジブチルエーテル溶液を加えて、室温まで温度を上げて、2時間攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、ジオール体を生成した。水層を分離し、溶媒を減圧除去し、残渣をエタノールで洗浄したものを酢酸50mlと濃硫酸数滴を加え、100℃で3時間攪拌した。反応後、水を50ml添加して、沈殿をろ過した。沈殿をさらに水とメタノールで洗浄した。この沈殿を酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチルを減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーでトルエン−ヘキサン(1:1)を用いて展開することにより、化合物1を852mg(0.9mmol)、収率98%で得た。
<化合物2の合成例>
2,5−ビス(4−ジフェニルアミノ−1−ナフチル)−テレフタル酸ジメチル 1.0g(1.3mmol)をTHF150mlに溶解した後、−75℃に冷却し、カルボン酸エステル基に対して、2.2当量のPhLi/ジブチルエーテル溶液を加えて、室温まで温度を上げて、2時間攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、ジオール体を生成した。水層を分離し、溶媒を減圧除去し、残渣をエタノールで洗浄したものを酢酸50mlと濃硫酸数滴を加え、100℃で3時間攪拌した。反応後、水を50ml添加して、沈殿をろ過した。沈殿をさらに水とメタノールで洗浄した。この沈殿を酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチルを減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーでトルエン−ヘキサン(1:1)を用いて展開することにより、化合物2を328mg(0.33mmol)、収率25%で得た。
<化合物3の合成例>
1,4−ビス(4−メトキシ−2−カルボン酸メチル−1−フェニル)−ナフタレンを3.8g(5.4mmol)をTHF200mlに溶解した後、−75℃に冷却し、カルボン酸エステル基に対して、2.2当量のPhLi/ジブチルエーテル溶液を加えて、室温まで温度を上げて、2時間攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、ジオール体を生成した。水層を分離し、溶媒を減圧除去し、残渣をエタノールで洗浄したものを酢酸200mlと濃硫酸数滴を加え、100℃で3時間攪拌した。反応後、水を100ml添加して、沈殿をろ過した。沈殿をさらに水とメタノールで洗浄した。この沈殿を酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチルを減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーでトルエン−ヘキサン(1:1)を用いて展開することにより、化合物3を2.65g(4.0mmol)、収率73%で得た。
<化合物4の合成例>
2−(1,4−ビフェニル)−5−(4−ジフェニルアミノ−1−ナフチル)−テレフタル酸ジメチル2.9g(4.5mmol)をTHF80mlに溶解した後、−75℃に冷却し、カルボン酸エステル基に対して、2.2当量のPhLi/ジブチルエーテル溶液を加えて、室温まで温度を上げて、2時間攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、ジオール体を生成した。水層を分離し、溶媒を減圧除去し、残渣をエタノールで洗浄したもののうち1.0g(1.1mmol)に対して酢酸30mlと濃硫酸数滴を加え、80℃で3時間攪拌した。反応後、水を50ml添加して、沈殿をろ過した。沈殿をさらに水とメタノールで洗浄した。この沈殿を酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチルを減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで酢酸エチル−ヘプタン(1:30)を用いて展開することにより、化合物4.を0.52mg(0.61mmol)、収率55%(ジオール体基準)で得た。
<化合物5の合成例>
化合物3 4.0g(6.2mmol)を塩化メチレン150mlに溶解した後、−30℃に冷却し、BBr3/塩化メチレン溶液を添加し、室温にて一晩攪拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、水洗後、有機層を濃縮して、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで酢酸エチル−ヘプタン(1:30)を用いて展開することにより、ジオール体を生成した。ジオール体4.0g(6.2mmol)を塩化メチレンに溶解し、無水トリフルオロメタンスルホン酸5.6g(19mmol)を添加して、室温で5時間攪拌した。反応後、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、有機層を水洗した。有機層を濃縮し、エタノールを添加することで沈殿を精製させ、ろ過を行ない、白色の固体としてトリフレート体を得た。この白色の固体2.2g(2.4mmol)、2−ナフチルボロン酸0.95g(5.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.15g(0.13mmmol)およびリン酸カリウム3.0g(14mmol)をTHF/2−プロパノール 50mlを溶媒として、アルゴン雰囲気下、70℃で5時間攪拌した。冷却後、反応溶液に水を加え、有機層を水洗した。水層を分離した後、有機層を集めて溶媒を減圧除去した。この残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで酢酸エチル−ヘプタン(1:30)を用いて展開することにより、化合物5を1.3g(1.5mmol)、収率63%(トリフレート体基準)で得た。
<実施例>
実施例1,2,3及び4に係る電界発光素子及び比較例1及び2に係る電界発光素子を作製し、それぞれ、100cd/m2発光時の特性である電圧(V)、電流密度(mA/cm2)、発光効率(Lm/W)、電流効率(cd/A)、発光波長(nm)及び色度(x,y)の測定、外部量子効率(%)の測定、20mA/cm2定電流駆動を行ったときの素子寿命特性である輝度半減時間(時間)の測定を行った。ただし、実施例4及び比較例2については、20mA/cm2定電流駆動での素子寿命特性の測定の代わりに、1000cd/m2定電流駆動を行ったときの素子寿命特性である輝度半減時間(時間)の測定を行った。以下、各実施例及び比較例について詳細に説明する。
作製した実施例1,2,3及び4に係る電界発光素子及び比較例1及び2に係る電界発光素子における、各層の材料構成を下記表2に示す。
Figure 2007119454
表2において、化合物1,2,4及び5は、それぞれ、表1における化合物1,2,4及び5を表す。また、表2において、「CuPc」は銅フタロシアニン、「NPD」はN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン、「BH1」は9−フェニル−10−[6−([1,1’:3,1’’]ターフェニル−5’−イル)−ナフタレン−2−イル]アントラセン、「BD1」はN,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)−4,4−ジアミノスチルベン、「ETM1」はトリス(8−キノリノラト)アルミニウム及び「ETM2」は2,5−ビス(6’−(2’2”−ビピリジル)−1,1−ジメチル−3,4−ジメシチルシロールであり、それぞれ、下記化学構造式を有する。
Figure 2007119454
ガラス基板上にITOを150nmの厚さに蒸着したものを透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置の基板ホルダーに固定し、「CuPc」を入れたモリブデン製蒸着用ボート、「NPD」を入れたモリブデン製蒸着用ボート、「BH1」を入れたモリブデン製蒸着用ボート、「化合物1」を入れたモリブデン製蒸着用ボート、「ETM1」を入れたモリブデン製蒸着用ボート、弗化リチウムを入れたモリブデン製蒸着用ボート、およびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を1×10-3Paまで減圧し、まず、「CuPc」が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚20nmになるように蒸着して正孔注入層を形成し、ついで、「NPD」が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚30nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、「BH1」が入った蒸着用ボートと「化合物1」の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚35nmになるように蒸着して発光層を形成した。「BH1」と「化合物1」の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、「ETM1」の入った蒸着用ボートを加熱して膜厚15nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。各層の蒸着速度は0.001〜3.0nm/秒であった。
その後、弗化リチウム入りの蒸着用ボートを加熱して膜厚0.5nmになるように0.003〜0.01nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して膜厚100nmになるように0.1〜1nm/秒の蒸着速度で蒸着することにより、陰極を形成し、電界発光素子を得た。
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、100cd/m2発光時の特性を測定すると、電圧5.4(V)、電流密度1.9(mA/cm2)、発光効率3.0(Lm/W)、電流効率5.2(cd/A)、発光波長465(nm)及び色度(0.14,0.23)であった。また、外部量子効率は5.0(%)であり、そのときの電流密度は10(mA/cm2)であった。また、20mA/cm2定電流駆動を行ったときの素子寿命特性を測定すると、輝度半減時間700(時間)であった。
実施例1で用いたドーパントである化合物1の代わりに、化合物2を用いた以外は、実施例1と全く同様にして電界発光素子を得た。
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、100cd/m2発光時の特性を測定すると、電圧4.7(V)、電流密度1.3(mA/cm2)、発光効率5.3(Lm/W)、電流効率7.9(cd/A)、発光波長485(nm)及び色度(0.16,0.42)であった。また、外部量子効率は4.6(%)であり、そのときの電流密度は10(mA/cm2)であった。また、20mA/cm2定電流駆動を行ったときの素子寿命特性を測定すると、輝度半減時間1000(時間)であった。
実施例1で用いたドーパントである化合物1の代わりに、化合物4を用いた以外は、実施例1と全く同様にして電界発光素子を得た。
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、100cd/m2発光時の特性を測定すると、電圧5.7(V)、電流密度2.0(mA/cm2)、発光効率2.7(Lm/W)、電流効率4.9(cd/A)、発光波長468(nm)及び色度(0.14,0.24)であった。また、外部量子効率は3.7(%)であり、そのときの電流密度は10(mA/cm2)であった。また、20mA/cm2定電流駆動を行ったときの素子寿命特性を測定すると、輝度半減時間1000(時間)であった。
[比較例1]
実施例1で用いたドーパントである化合物1の代わりに、BD1を用いた以外は、実施例1と全く同様にして電界発光素子を得た。
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、100cd/m2発光時の特性を測定すると、電圧4.5(V)、電流密度2.4(mA/cm2)、発光効率3.0(Lm/W)、電流効率4.3(cd/A)、発光波長455(nm)及び色度(0.16,0.20)であった。また、外部量子効率は3.7(%)であり、そのときの電流密度は10(mA/cm2)であった。また、20mA/cm2定電流駆動を行ったときの素子寿命特性を測定すると、輝度半減時間1000(時間)であった。
実施例1で用いたドーパントである化合物1の代わりに化合物5を用い、さらに電子輸送材料であるETM1の代わりにETM2を用いた以外は、実施例1と全く同様にして電界発光素子を得た。
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、100cd/m2発光時の特性を測定すると、電圧3.4(V)、電流密度1.7(mA/cm2)、発光効率5.6(Lm/W)、電流効率6.1(cd/A)、発光波長450(nm)及び色度(0.15,0.14)であった。また、外部量子効率は5.7(%)であり、そのときの電流密度は10(mA/cm2)であった。また、1000cd/m2定電流駆動を行ったときの素子寿命特性を測定すると、輝度半減時間180(時間)であった。
[比較例2]
実施例1で用いたドーパントである化合物1の代わりにBD1を用い、さらに電子輸送材料であるETM1の代わりにETM2を用いた以外は、実施例1と全く同様にして電界発光素子を得た。
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、100cd/m2発光時の特性を測定すると、電圧3.2(V)、電流密度1.7(mA/cm2)、発光効率6.0(Lm/W)、電流効率6.1(cd/A)、発光波長455(nm)及び色度(0.15,0.19)であった。また、外部量子効率は5.3(%)であり、そのときの電流密度は10(mA/cm2)であった。また、1000cd/m2定電流駆動を行ったときの素子寿命特性を測定すると、輝度半減時間120(時間)であった。
下記表3は、上述した実施例1,2,3及び4に係る電界発光素子及び比較例1及び2に係る電界発光素子の性能評価をまとめたものである。
Figure 2007119454
本発明の好ましい態様によれば、発光効率、電流効率、素子寿命および外部量子効率などのいずれかにおいて、更に性能のよい有機電界発光素子、それを備えた表示装置およびそれを備えた照明装置などを提供することができる。
本実施形態に係る有機電界発光素子を示す概略断面図である。
符号の説明
100 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるフェナレン化合物。
    Figure 2007119454
    (式中、
    10およびR11は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり、
    20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28およびR29は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアリールチオ、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいアラルキル、ハロゲン、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいボリル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシルまたは置換されていてもよいシリルであり、そして、
    10、R11、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28およびR29の少なくとも1つの隣接する置換基同士は互いに結合又は縮合して炭素からなる環を形成してもよく、また、形成された環は置換されていてもよい。)
  2. 10およびR11は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数5〜30のアリールまたは置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリールであり、
    20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28およびR29は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル、置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル、置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル、置換されていてもよい炭素数5〜30のアリール、置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリール、置換されていてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリールチオ、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリールアルキル、置換されていてもよい炭素数7〜20のアラルキル、ハロゲン、置換されていてもよい芳香族アミノ、置換されていてもよい芳香族ボリル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシルまたは置換されていてもよいシリルであり、そして、
    20とR21、R21とR22、R22とR23、R24とR25、R25とR26、R27とR28、R28とR29およびR10とR11のうち少なくとも1つの隣接する置換基同士は互いに結合又は縮合して炭素からなる環を形成してもよく、この形成された環は1〜6個の環からなる縮合環であり、この縮合環を構成する各環はそれぞれ5員環又は6員環であり、また、形成された縮合環は、アリール、アルコキシ又は置換アミノで置換されていてもよい、
    請求項1に記載するフェナレン化合物。
  3. 10およびR11は、それぞれ独立して、フェニルまたはナフチルであり、
    20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28およびR29は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、フェニル、ナフチル、チオフェニル、カルバゾリル、ジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、F、Cl、Br、I、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ジアリールボリル、シアノ、トリアルキルシリル、アントリル、フェナンスリル、ビフェニル、ターフェニル、フラニルまたはフルオレニルであり、そして、
    20とR21、R21とR22、R22とR23、R24とR25、R25とR26、R27とR28、R28とR29またはR10とR11のうち少なくとも1つの隣接する置換基同士は互いに結合又は縮合して炭素からなる環を形成してもよく、この形成された環は2又は3個の環からなる縮合環であり、この縮合環を構成する各環はそれぞれ5員環又は6員環であり、また、形成された縮合環は、フェニル、ナフチル、メトキシ、エトキシ又はジアリールアミノで置換されていてもよい、
    請求項1に記載するフェナレン化合物。
  4. 下記一般式(2)、(3)、(4)または(5)のいずれかで表されるフェナレン化合物。
    Figure 2007119454
    (式中、
    10およびR11は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり、
    1、X2、X3、X4、X5、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアリールチオ、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいアラルキル、ハロゲン、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいボリル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシルまたは置換されていてもよいシリルであり、そして、
    1、X2、X3、X4およびX5は、それぞれの環にそれぞれ独立して複数個結合していてもよい。)
  5. 10およびR11は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数5〜30のアリールまたは置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリールであり、
    1、X2、X3、X4、X5、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル、置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル、置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル、置換されていてもよい炭素数5〜30のアリール、置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリール、置換されていてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリールチオ、置換されていてもよい炭素数6〜30のアリールアルキル、置換されていてもよい炭素数7〜20のアラルキル、ハロゲン、置換されていてもよい芳香族アミノ、置換されていてもよい芳香族ボリル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシルまたは置換されていてもよいシリルであり、そして、
    1、X2、X3、X4およびX5は、それぞれの環にそれぞれ独立して複数個結合していてもよい、
    請求項4に記載するフェナレン化合物。
  6. 10およびR11は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭素数5〜30のアリールであり、
    1、X2、X3、X4、X5、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよい炭素数5〜30のアリール、置換されていてもよい炭素数2〜30のヘテロアリール、置換されていてもよい炭素数1〜15のアルコキシ、置換されていてもよい芳香族アミノまたは置換されていてもよい芳香族ボリルであり、そして、
    1、X2、X3、X4およびX5は、それぞれの環にそれぞれ独立して複数個結合していてもよい、
    請求項4に記載するフェナレン化合物。
  7. 10およびR11は、フェニルであり、
    1およびX2は、それぞれ独立して、フェニル、ナフチル、チオフェニル、カルバゾリル、ジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、メトキシ、エトキシ、ジアリールアミノまたはジアリールボリルであり、X3、X4、X5、R12およびR13は、水素またはフェニルであり、そして、
    1、X2、X3、X4およびX5は、それぞれの環に1個結合している、
    請求項4に記載するフェナレン化合物。
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