JP2012086501A - 綴じ機、冊子 - Google Patents

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Abstract

【課題】一回の操作で複数箇所を綴じることができ、しかも用紙のコーナーなどの狭い領域にも適用しやすい綴じ機、並びに冊子を提供する。
【解決手段】抜き刃7及び切込刃8とアンビル9との協働により用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成し、その打ち抜き孔P1から切り起こされた複数箇所の切起片P11をカット孔P2に挿通させることにより用紙Pを相互に複数箇所で綴じることができるようにした綴じ機1であり、複数箇所の切起片P11の各中心線cが一直線上に並ばないように抜き刃7及び切込刃8が構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、重ね合わせた複数枚の用紙の端部を一体的に綴じ合わせる綴じ機のうち、特に金属製の針を使用しない方式の、いわゆる針なしステープラと称される綴じ機及び冊子に関する。
従来、この種の綴じ機として、アンビルと抜き刃及び切込刃との間に複数枚の用紙を配設し、それら抜き刃及び切込刃をアンビル方向に移動させて用紙に貫通させ、それら抜き刃及び切込刃とアンビルとの協働により前記用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成し、その打ち抜き孔から切り起こされた複数箇所の切起片を前記カット孔に挿通させることにより前記用紙を相互に複数箇所で綴じることができるようにした綴じ機が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
ところが、従来のものは、複数箇所の切起片の各中心線が一直線上に並んでいるので、用紙の長辺を綴じるのには適しているが、用紙のコーナーや幅の狭い用紙の短辺を綴じるのに困難を伴う場合がある。
このような不具合を解消するために、単一の切起片で用紙を綴じるようにしたものも開発されている。しかしながら、このようなものは保持力を強化するために複数箇所を綴じる必要が生じた場合には、複数回綴じ操作を行う必要がある。
国際公開第2010/055784号
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、一回の操作で複数箇所を綴じることができ、しかも用紙のコーナーなどの狭い領域にも適用しやすい綴じ機を提供することにある。
また、本発明は、用紙が複数個所において好適に綴じられてなる冊子を提供することにある。
すなわち、本発明の綴じ機は次のような構成をなしたものである。
請求項1に記載の綴じ機は、アンビルと抜き刃及び切込刃との間に複数枚の用紙を配設し、それら抜き刃及び切込刃をアンビル方向に移動させて用紙に貫通させ、それら抜き刃及び切込刃とアンビルとの協働により前記用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成し、その打ち抜き孔から切り起こされた複数箇所の切起片を前記カット孔に挿通させることにより前記用紙を相互に複数箇所で綴じることができるようにした綴じ機であって、複数箇所の切起片の各中心線が一直線上に並ばないように前記抜き刃及び切込刃が構成されているものである。
ここで、「中心線」とは、切起片の中心をなす線であり、例えば、切起片の幅方向中央に位置し切起片の切り起こし方向に伸びる仮想線をいう。
また、「用紙」とは、シート状になっているものであれば、どのようなものであってもよく、紙製のものの他、プラスチック製のものも含まれる。
請求項2に記載の綴じ機は、請求項1に係る構成において、前記抜き刃が、綴じた状態において前記切起片の中心線同士が一定角度で交わるように構成されているものである。
請求項3に記載の綴じ機は、請求項1に係る構成において、前記抜き刃が、綴じた状態において前記切起片の中心線同士が平行に並ぶように構成されているものである。
請求項4に記載の綴じ機は、請求項2に係る構成において、前記抜き刃が、綴じた状態において各切起片の先端が前記中心線の交点方向に向くように構成されているものである。
請求項5に記載の綴じ機は、請求項3に係る構成において、前記抜き刃が、綴じた状態において各切起片の先端が相反する方向に向くように構成されているものである。
請求項6に記載の綴じ機は、請求項1〜5何れかに係る構成において、単一の切起片を形成するための抜き刃を複数備えているものである。
請求項7に記載の綴じ機は、請求項1〜5何れかに係る構成において、複数の切起片を形成するための抜き刃を一つ備えているものである。
請求項8に記載の綴じ機は、請求項1〜6何れかに係る構成において、第一の切起片を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃に対して、第二の切起片を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃を相対的に移動可能に設けているものである。
請求項9に記載の発明は、用紙に打ち抜き孔及びカット孔が形成されており、前記打ち抜き孔から切り起こされた複数個所の切起片が前記カット孔に挿通されることにより、前記用紙が相互に複数個所で綴じられてなる冊子であって、前記切起片の各中心線が一直線上に並ばないように配されているものである。
以上説明したように本発明によれば、一回の操作で複数箇所を綴じることができ、しかも用紙のコーナーなどの狭い領域にも適用しやすい綴じ機を提供することができる。
また、本発明に係る冊子は、用紙が複数個所において好適に綴じられたものとなる。
本発明の一実施形態(第一実施形態)の綴じ機により綴じられた用紙の平面図。 図1におけるX-X線断面図。 同実施形態の綴じ機を示す概略図。 図3におけるA-A線断面図。 図3におけるB-B線断面図。 図3におけるC-C線断面図。 同実施形態の綴じ機の要部を示す分解斜視図。 同実施形態の綴じ機の要部を示す分解斜視図。 同実施形態の綴じ機の要部を示す分解斜視図。 同実施形態の綴じ機の刃ユニットを示す分解斜視図。 同実施形態の綴じ機の受け台を示す分解斜視図。 同実施形態の綴じ機における刃ユニットの要部を示す斜視図。 同実施形態の綴じ機における刃ユニットの要部を示す平面図。 同実施形態の綴じ機の作動を示す側面図。 同実施形態の綴じ機の作動を示す側面図。 同実施形態の綴じ機の作動を示す側面図。 同実施形態の綴じ機の作動を示す側面図。 同実施形態の綴じ機の作動を示す図14に対応する正面図。 同実施形態の綴じ機の作動を示す図15に対応する正面図。 同実施形態の綴じ機の作動を示す図16に対応する正面図。 同実施形態の綴じ機の作動を示す図17に対応する正面図。 同実施形態の綴じ機の作動を示す正面図。 本発明の他の実施形態における抜き刃を示す斜視図。 同実施形態における抜き刃及びアンビルの開口形状を示す概略図。 本発明の第一実施形態における打ち抜き穴、カット孔、及び切起片を模式的に示す平面図。 本発明の他の実施形態の打ち抜き穴、カット孔、及び切起片を模式的に示す平面図。 本発明の他の実施形態の打ち抜き穴、カット孔、及び切起片を模式的に示す平面図。 本発明の他の実施形態の打ち抜き穴、カット孔、及び切起片を模式的に示す平面図。 本発明の他の実施形態の打ち抜き穴、カット孔、及び切起片を模式的に示す平面図。 本発明の他の実施形態の打ち抜き穴、カット孔、及び切起片を模式的に示す平面図。 本発明の他の実施形態の打ち抜き穴、カット孔、及び切起片を模式的に示す平面図。 本発明の他の実施形態の打ち抜き穴、カット孔、及び切起片を模式的に示す平面図。 本発明の他の実施形態の打ち抜き穴、カット孔、及び切起片を模式的に示す平面図。 本発明の他の実施形態の打ち抜き穴、カット孔、及び切起片を模式的に示す平面図。 本発明の他の実施形態の打ち抜き穴、カット孔、及び切起片を模式的に示す平面図。 本発明の他の実施形態の打ち抜き穴、カット孔、及び切起片を模式的に示す平面図。 本発明の他の実施形態の打ち抜き穴、カット孔、及び切起片を模式的に示す平面図。 本発明の他の実施形態である切起片の形状を模式的に示す平面図。 本発明の他の実施形態である切起片の形状を模式的に示す平面図。
以下、本発明の一実施形態(第一実施形態)について図1ないし図22を参照しながら説明する。
この綴じ機1は、アンビル9と抜き刃7及び切込刃8との間に複数枚の用紙P、例えばオフィス等において好適に使用される大きさの用紙Pを配設し、それら抜き刃7及び切込刃8をアンビル9方向に移動させて用紙Pに貫通させ、それら抜き刃7及び切込刃8とアンビル9との協働により前記用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成し、その打ち抜き孔P1から切り起こされた複数箇所の切起片P11を前記カット孔P2に挿通させることにより前記用紙Pを相互に複数箇所で綴じることができるようにしたものであって、複数箇所の切起片P11の各中心線cが一直線上に並ばないように前記抜き刃7及び切込刃8が構成されている。すなわち、この実施形態における綴じ機1は、複数の切起片P11を形成するための抜き刃7を一つ備えたもので、この抜き刃7は、綴じた状態において前記切起片P11の中心線c同士が平行に並ぶように、換言すれば、一方の切起片P11の中心線cと他方の切起片P11の中心線cとが、それぞれ同一直線(仮想線であり、直線の太さは図1において明示する仮想中心線cと略同じ太さとする。)上に位置しないように構成されている。より詳しくは、抜き刃7が、綴じた状態において各切起片P11の先端P12が相反する方向に向くような形状、すなわちこの実施形態では平面視略S字形状をなしている。
ここで、「一直線上に並ばない」とは、一定幅の線上に複数の中心線が重なって位置しないものであり、前述のとおり、複数の中心線が並行に並んだものや、僅かな角度でも複数の中心線同士が交わっているものであれば、「一直線上に並ばない」ものである。
また、「平行に並ぶ」とは、同一平面上の複数の中心線がどこまで延長しても交わらないことを意味している。
「相反する方向に向く」とは、互いに反する方向を向いているという意味であり、例えば、切起片の先端が向く方向において中心線同士が交わらないものが該当する。換言すれば、切起片の先端が中心線の交点方向とは逆の方向を向いているのであれば、「相反する方向を向く」ものである。なお、各切起片の中心線同士が平行に並んでいるものについては、切起片の先端が向いている方向が異なれば「相反する方向を向く」ものである。
以下、綴じ機1の全体構造を詳述する。
この綴じ機1は、図1ないし図22に示すように、複数枚の用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するとともに、その打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P11を前記カット孔P2に挿通させることにより、それら複数枚の用紙Pを相互に綴じて冊子Bを作ることができるようにしたものである。
この冊子Bは、図1及び図2に示すように、複数枚の用紙Pを束ねてなるもので、それらの用紙Pは角部P4に設定した二ヵ所の接合部分P3において相互に接合されている。これらの接合部分P3は、用紙Pの一面Pa側から貫入させた抜き刃7により各用紙Pに形成された1つの打ち抜き孔P1と、この打ち抜き孔P1に隣接させて前記各用紙Pに形成された2つの引き上げ用カット孔P2と、前記打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Pb側に切り起こされた2つの切起片P11とから構成されている。そして、前記切起片P11の先端部P12側を、前記カット孔P2を貫通させて前記用紙Pの一面Pa側に導出させることによって、前記複数枚の用紙Pの角部P4が相互に接合されている。
すなわち、本実施形態に示される冊子Bは、用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2が形成されており、前記打ち抜き孔P1から切り起こされた複数個所の切起片P11が前記カット孔P2に挿通されることにより、前記用紙Pが相互に複数個所で綴じられてなる冊子Bであって、前記切起片P11の各中心線cが一直線上に並ばないように配されているものである。
前記打ち抜き孔P1は、図1及び図2に示すように、抜き刃7による穿孔直後は、抜き刃7の形状に対応したS字状のものである。そして、切起片P11を切り起こした後は、図1に示すように、ほぼ矩形状をなすものであり、対向する側辺部分に前記切起片P11の基端部P13が連続している。この打ち抜き孔P1は、2つのカット孔P2の後述するメインスリットLと略同じ幅寸法を有しており、これら2つのカット孔P2の間に位置している。
前記カット孔P2は、図1及び図2に示すように、直線状をなすメインスリットLと、このメインスリットLの両端から一方向、すなわちこの切込刃8に対応する抜き刃7が配置されている側に屈曲して伸びる第1のサブスリットL1と、前記メインスリットLの両端から他方向、すなわちこの切込刃8に対応する抜き刃7が配置されている側と反対の方向に屈曲して伸びる第2のサブスリットL2とからなり、前記第1のサブスリットL1と前記第2のサブスリットL2とが、一定の角度をなすカット孔P2を形成するためのものである。なお、この実施形態においては、前記第1のサブスリットL1及び前記第2のサブスリットL2は、それぞれ前記メインスリットLに対してほぼ直角をなしており、これら第1のサブスリットL1及び第2のサブスリットL2とがなす前記一定の角度は、約180度である。また、前記第1のサブスリットL1の長さを前記第2のサブスリットL2の長さと略同じにしている。
このように用紙Pを綴じる際に使用される綴じ機1について、図3ないし図22を参照して説明する。
この綴じ機1は、図3ないし図22に示すように、アンビル9と抜き刃7及び切込刃8との間に複数枚の用紙Pを配設し、それら抜き刃7及び切込刃8をアンビル9方向に移動させて用紙Pに貫通させ、それら抜き刃7及び切込刃8とアンビル9との協働により前記用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成し、その打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P11を前記カット孔P2に挿通させることにより前記用紙Pを相互に綴じることができるようにしたものである。詳述すれば、この綴じ機1は、複数枚の用紙Pを接合して前記冊子Bを作るためのもので、退避位置(S)から一時的に上方に移動することによって前記打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するための抜き刃7及び切込刃8と、前記抜き刃7及び切込刃8を前記退避位置(S)で収容するベース部2と、前記抜き刃7及び切込刃8を保持し前記ベース部2に対して上下方向に昇降可能なスライド部材31と、このベース部2の上向面252側に用紙Pを挿入するための隙間253を介して配されたアンビル9を有する受け台5とを備えてなる。そして、前記ベース部2には、操作ハンドル4が回動可能に取り付けてあるとともに、アンビル9の開口形状を変化させるためのアンビル部駆動手段6が取り付けてある。
ベース部2は、図3、図5、図6及び図9に示すように、内部に前記スライド部材31を配する空間29を備えたものである。このベース部2は、ベース部2の上向面252を形成する前部ハウジング21と、操作ハンドル4の下方に位置する後部ハウジング22と、前記前部ハウジング21及び後部ハウジング22の境界部付近に設けられ受け台5を取り付けるための上部取付部23とからなり、合成樹脂により一体に成形されている。
前部ハウジング21は、図3、図5、図6及び図9に示すように、天壁25と、この天壁25の前縁から垂下する前壁26と、前記天壁25の左右両側縁から垂下する左右の側壁27と、これら左右の側壁27の後端縁から相寄る方向にそれぞれ伸びる左右の後壁28とからなり、内部に刃ユニット3を収容するための空間29を備えている。天壁25は、前記抜き刃7及び切込刃8が通過するための開口251を有している。この前部ハウジング21の天壁25の上向面252と後述するアンビル9との間に、用紙Pを挿入するための用紙挿入用隙間253を形成している。前壁26の中央には、前記スライド部材31を鉛直方向に案内するための溝状の案内レール261が設けられている。前記左右の側壁27には、前記スライド部材31を鉛直方向に案内するための突条をなす案内レール271がそれぞれ設けられているとともに、中央に後述するドライブシャフト313を上下方向に案内するための長孔272が設けられている。これらの側壁27には、軸44を介して操作ハンドル4が上下方向に回動可能に取り付けられている。
後部ハウジング22は、図3、図5、図6及び図9に示すように、平面上に置いたり、また、手を掛けたりするのに適した形状をなすものであり、その前端部付近に前記アンビル部駆動手段6が設けられている。
このようにしてなるベース部2内の空間29に、抜き刃7及び切込刃8を有した刃ユニット3を収納している。
刃ユニット3は、図3、図5ないし図10、及び図14ないし図17に示すように、前記ベース部2の案内レール261、271に案内されて鉛直姿勢を維持しつつ昇降可能なハウジングであるスライド部材31と、このスライド部材31に取り付けられた抜き刃7と、この抜き刃7に隣接させて配された切込刃8と、前記抜き刃7の内側に配され基端部が前記抜き刃7内に収まる初期姿勢(F)と基端部が抜き刃7外に突出する回動姿勢(R)との間で前記スライド部材31に軸71を介して回転可能に枢止されたインナーカム32と、前記抜き刃7及び切込刃8の移動に先立ってアンビル9方向に移動されるプッシャ33とを具備してなる。
スライド部材31は、図3、図5ないし図10、及び図14ないし図17に示すように、前記ベース部2の案内レール261、271に上下方向にそれぞれスライド可能に係合する被案内部311、312を備えたブロック状のもので、ドライブシャフト313を介して前記操作ハンドル4に接続されている。このドライブシャフト313は、前記操作ハンドル4の先端に設けられた長孔43に係わり合わせてある。前記スライド部材31は、上方に開放された箱状のもので、前記抜き刃7及び切込刃8の下半部が収容され得るようになっている。すなわち、前記抜き刃7及び切込刃8は、スライド部材31に保持されて穿孔位置(C)と退避位置(S)との間で進退可能に設けられたものであり、このスライド部材31は、一回の穿孔動作で複数のカット孔P2を形成し得るように設けられた切込刃8と、前記各カット孔P2に挿入される複数の切起片P11を形成し得る抜き刃7とを備えている。本実施形態では、このスライド部材31は、中央に設けた1つの抜き刃7と、この抜き刃7を挟んで対向配置された2つの切込刃8とを具備してなる。
抜き刃7は、図3、図5ないし図10、及び図12ないし図22に示すように、ほぼ矩形状の打ち抜き孔P1を形成するためのものである。抜き刃7は、本実施形態においては、2枚の板金素材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すとともに、それらを溶接により接続させることにより作られたものである。この抜き刃7は、中間部に軸71を有するとともに、先端縁及び側端縁に前記打ち抜き孔P1を打ち抜くための刃本体72、73を備えたもので、その軸71が前記刃ユニット3のスライド部材31に支持されている。すなわち、前記抜き刃7は、前記打ち抜き孔P1に対応する形状をなす先端縁に設けられた刃本体72と、前記打ち抜き孔P1の基端部P13側を成形する側端縁に設けられた刃本体73とを有するものである。前記刃本体72は、平面視S字形に連続する刃先を有している。この刃本体72は、2箇所に、具体的には、2つの切起片P11の先端部P12を形成する部分に、用紙Pに最初に貫入される刃尖端部721を具備してなる。したがって、この刃本体72は、一旦刃尖端部721が用紙Pに鋭く突き刺さった後、先に貫入された部分から順次刃先に沿って切れていくような形態をなしている。換言すれば、前記刃本体72を用紙Pに対して貫入させるときには、まず刃尖端部721が用紙Pに略点状に当接し、その後、打ち抜き孔P1の外形が形成されることとなる。平面視において刃先に囲まれた空間、すなわち前記抜き刃7の内部空間74には、前記切起片P11を前記切込刃8に設けられた窓85に挿入させるためのインナーカム32を設けている。
各切込刃8は、図3、図5ないし図10、及び図12ないし図22に示すように、ほぼH字形のカット孔P2を形成するためのものである。各切込刃8は、1枚の板金素材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作られたもので、先端側に設けられた刃本体81と、この刃本体81の下側に連続して設けられ用紙Pから打ち抜かれた切起片P11を通過させ前記切起片P11を係わり合わせるための窓85を有し前記メインスリットLを形成するためのメインブレード82と、このメインブレード82の両側縁に連続して設けられ前記第1のサブスリットL1を形成するための第1のサブブレード83と、これら第1のサブブレード83の基端縁にそれぞれ連続して設けられ前記第2のサブスリットL2を形成するための第2のサブブレード84とを具備してなる。前記メインブレード82は、インナーカム32を受け入れるための窓85を介して下ブレード部86と刃本体81と一体化された上ブレード部87とに分断されており、その下ブレード部86と上ブレード部87とは第1のサブブレード83により構造的に連結されている。この実施形態においては、第1のサブブレード83は、その基端縁が前記メインブレード82を介して一体に連続するもので、この第1のサブブレード83の基端縁における前記窓85に対応する部分に、前記第2のサブブレード84が連続形成されている。すなわち、この第2のサブブレード84は、板金素材を前記折曲線部88でほぼ直角に折り曲げることにより、前記窓85から切り起こされたものである。また、この切込刃8のメインブレード82には、この切込刃8と前記インナーカム32に設けられたアーム322との干渉を防止するための前記アーム322が通る貫通窓89が形成されている。このように、第1のサブブレード83及び第2のサブブレード84がそれぞれ1枚のメインブレード82の折り曲げ加工により形成されているため、切込刃8全体の強度を確保することができる。さらに、この切込刃8の窓85の上縁には、用紙Pの切起片P11を円滑に案内するための円滑案内部80を備えている。この円滑案内部80は、前記窓85の上縁に余剰素材を上方に巻き込んで折り曲げる加工を施すことによって形成されたものである。この切込刃8の刃本体81、すなわち、メインブレード82、第1のサブブレード83及び第2のサブブレード84に形成された刃本体81はそれぞれ、素材の厚み方向片側に刃先を有した片刃構造をなしている。
インナーカム32は、図3、図5ないし図10、及び図12ないし図22に示すように、先端に前記切起片P11を前記切込刃8に設けられた窓85に挿入させるための押し出し部323を備えたもので、その基端部が軸71を介して前記スライド部材31に回動可能に支持されている。この軸71は、前記抜き刃7がスライド部材31から抜出するのを防止する役割も兼ね備えている。前記インナーカム32の基端には、該インナーカム32を回動させるためのアーム322が突出させてある。このインナーカム32は、前記スライド部材31が上方へ移動する際に、前記アーム322が後述するプッシャ33に設けられた係止部332の下縁に当接するように設定してある。そして、当接後さらにスライド部材31が上方へ移動することにより、軸71まわりに前記インナーカム32が回動姿勢(R)にまで回動するように構成されている。すなわち、用紙Pに打ち抜き孔P1が形成された後に、前記インナーカム32が切起片P11を押圧しつつ切込刃8方向に回動するように構成されている。換言すれば、この綴じ機1は、前記抜き刃7及び切込刃8の用紙Pに対する貫通量が所定値に達するカム回動開始位置(R)までは前記インナーカム32を抜き刃7内に保持し、前記貫通量が所定値を超えた領域で前記インナーカム32を回動させて切起片P11を前記切込刃8に設けられた窓85に挿入させるインナーカム回動機構K1を備えている。
プッシャ33は、図3、図5ないし図8、図10及び図14ないし図22に示すように、基端部に前後対をなす紙押さえ331が設けられたものであり、これらの紙押さえ331同士は、打ち抜き孔P1の幅寸法に対応する距離だけ互いに離間しており、前記抜き刃7及び切込刃8が干渉しない位置に配されている。これら前後の紙押さえ331は、左右一対をなす係止部332により連結されている。そして、両紙押さえ331は、スライド部材31に昇降可能に保持されており、前記スライド部材31との間に配された付勢手段であるコイルスプリングS2によって、上方に付勢されている。これにより紙押さえ331を含むプッシャ33全体が、鉛直姿勢を維持し得るようになっている。プッシャ33の上面、本実施形態においては紙押さえ331の上面は、抜き刃7及び切込刃8が前記退避位置(S)に位置する状態において、ベース部2における前部ハウジング21の天壁25とほぼ面一となっている。なお、プッシャ33の上面には、すべり止め部材333が取り付けられている。
以上のようにしてなる刃ユニット3は、操作ハンドル4を下方に操作することで上方に移動されるようにしている。
操作ハンドル4は、図3ないし図6、図14ないし図17に示すように、前記ドライブシャフト313を作動する作動端と、操作部41を有する操作端との中間部位を軸44を介してベース部2に支持させたもので、操作部41を下方に押圧操作することにより作動端でドライブシャフト313を上方に付勢することができるようにしたものである。具体的には、この操作ハンドル4は、中間部を軸44を介してベース部2に支持された左右対をなすアーム42と、これら両アーム42の操作端側に架設した操作部41とを具備してなるもので、前記アーム42の作動端側に前記ドライブシャフト313をスライド可動に貫通させる長孔43を備えている。すなわち、この操作ハンドル4の操作端は、ドライブシャフト313を介して前記刃ユニット3のスライド部材31に接続されている。
受け台5は、図3、図4、図7、図8、図11、図14ないし図17に示すように、ベース部2の上部取付部23に図示しないビス等を用いて取り付けられる上フレーム51と、この上フレーム51に保持されるアンビル9とを備えている。
上フレーム51は、図3、図4、図7、図8、図11、図14ないし図17に示すように、抜き刃7及び切込刃8に対面する姿勢でアンビル9を保持するフレーム本体52と、このフレーム本体52の後方に設けられた取付部53とからなり、合成樹脂により一体に成形されている。フレーム本体52は、中央に後述するコネクトピン971を上下方向に案内するための長孔541が設けられた左右の側壁54と、これら側壁54間に設けられた前壁55及び後壁56とからなり、内部に後述する可動アンビル部92を収容するための空間57を備えており、上部及び下部にそれぞれ開放部58を備えている。前壁55及び後壁56の中央部には、後述する可動アンビル部92を鉛直方向に案内するための突条をなす案内レール551、561がそれぞれ設けられている。
アンビル9は、図3、図4、図7、図8、図11、図14ないし図22に示すように、一定位置に保持される静止アンビル部91と、この静止アンビル部91と協働して用紙Pを裏当て支持可能な穿孔位置(C)から、前記静止アンビル部91から離間し前記切起片P11を前記カット孔P2に挿通させるのを阻害しない離間位置(S)まで移動可能な可動アンビル部92とを備えてなる。なお、図4は、アンビル9の開口形状をわかりやすくするために、静止アンビル部91及び可動アンビル部92の後述する可動アンビル部本体93にパターンを付して表しており、これら静止アンビル部91及び可動アンビル部本体93が重なった部分は色が濃くなって表されている。また、後述するコネクトピン971を省略している。
静止アンビル部91は、図3、図4、図7、図8、図11、図14ないし図22に示すように、前記抜き刃7と協働して用紙Pに打ち抜き孔P1を穿設するための抜き刃用静止開口部911と、前記切込刃8が通過して用紙Pにカット孔P2を形成するための切込刃用静止開口部912とを備えた金属製のもので、前記上フレーム51の下面にビス及び位置決めピンを用いて取り付けられている。詳述すれば、前記抜き刃用静止開口部911は、矩形状をなしている。一方、前記切込刃用静止開口部912は、矩形状をなしており、前記抜き刃用静止開口部911と連続して設けられたものである。
可動アンビル部92は、図3、図4、図7、図8、図11、図14ないし図22に示すように、前記上フレーム51のフレーム本体52内で上下昇降可能に配されたものであり、本実施形態においては、前記抜き刃7と協働して用紙Pに打ち抜き孔P1を穿設するための抜き刃用可動開口部95と、前記切込刃8が通過しカット孔P2を形成するための切込刃用可動開口部96とを備えた金属製の可動アンビル部本体93と、この可動アンビル部本体93を保持するアンビルケース94とからなる。
可動アンビル部本体93は、図4、図7、及び図11に示すように、ほぼS字状をなす抜き刃用可動開口部95と、矩形状をなす2つの切込刃用可動開口部96とを備えたものである。そして、この可動アンビル部本体93は、前記抜き刃用可動開口部95が前記抜き刃用静止開口部911に対応し、かつ、前記切込刃用可動開口部96が前記切込刃用静止開口部912に対応する位置に配される。詳述すれば、S字形状をなす抜き刃用可動開口部95と矩形状をなす抜き刃用静止開口部911とが重なり合って、前記抜き刃7に対応した最適なアンビル9の開口形状を形成することができるようにしてある。この実施形態においては、前記切込刃用可動開口部96と前記切込刃用静止開口部912とは、共に矩形状にしてある。なお、本実施形態においては、打ち抜き孔P1の外部を前記抜き刃7と前記抜き刃用静止開口部911とによって打ち抜くとともに、打ち抜き孔P1の内部を前記抜き刃7と前記抜き刃用可動開口部95とによって打ち抜くようにしている。
アンビルケース94は、図3、図4、図7、図8、図11、図14ないし図22に示すように、中央にコネクトピン971をそれぞれ貫設してなる左右の側壁97と、これら側壁97間に設けられた前壁98及び後壁99とを備えたブロック状のものである。前記前壁98及び後壁99にはそれぞれ、上フレーム51に設けられた案内レール551、561に係わり合い、該アンビルケース94が上フレーム51、及びこの上フレーム51に固着された静止アンビル部91に対して直交する方向に案内されるようにするための溝981、991が設けられている。アンビルケース94は、前記抜き刃用可動開口部95、切込刃用可動開口部96、抜き刃用静止開口部911、及び抜き刃用可動開口部912を上方に開放させた状態で、可動アンビル部92を保持している。この可動アンビル部92は、前記アンビル部駆動手段6によって、穿孔位置(C)と離間位置(S)との間で駆動される。
アンビル部駆動手段6は、図3、図5ないし図9、及び図14ないし図22に示すように、前記抜き刃7及び切込刃8の用紙Pに対する貫通量が一定値に達する切換位置(L)までは前記可動アンビル部92を前記穿孔位置(C)に保持し、前記貫通量が一定値を超えた領域で前記可動アンビル部92を前記離間位置(S)に移動させるものである。ここで、穿孔位置(C)とは、静止アンビル部91と可動アンビル部92とが協働して、適正な打ち抜き孔P1及びカット孔P2を穿設するためのアンビル9の開口形状を形成する位置であり、具体的には、静止アンビル部91及び可動アンビル部92が重なり合った状態を保持する位置をいう。また、離間位置(S)とは、切起片P11を切込刃8の窓85に挿入する動作を阻害しない位置、具体的には、可動アンビル部92とインナーカム32とが干渉しない位置をいう。本実施形態においては、このアンビル部駆動手段6は、前記抜き刃7及び切込刃8が前記切換位置(L)に達し貫通量が一定値を超えた領域で前記スライド部材31の動きを前記可動アンビル部92に伝達し可動アンビル部92を離間位置(S)に移動させるコネクタ61と、前記切込刃8及び抜き刃7が前記切換位置(L)に達するまでの領域で前記可動アンビル部92の動きを禁止する可動アンビル部動作規制機構62とを備えたものである。
コネクタ61は、図3ないし図8、及び図14ないし図22に示すように、一端部633が可動アンビル部92に枢着され他端部634に切込刃8及び抜き刃7の進退方向に伸びる長孔635を備えたコネクタ本体63と、前記スライド部材31に設けられ前記コネクタ本体63の長孔635に係わり合わせたシャフト64とを備えたものである。コネクタ本体63は、一枚の板金素材を折曲げ及び打抜き加工して作られたものであり、左右のアーム部631と、これら左右のアーム部631の後端同士をつなぐ接続部632とを備えている。各アーム部631の先端は、前記コネクトピン971を介して可動アンビル部92に接続されている。接続部632には、抜き刃7及び切込刃8の進退方向に伸びるスリット637を形成している。このスリット637は、接続部632の上端側に開放されている。シャフト64は、前記切込刃8及び抜き刃7が前記切換位置(L)に達するまでの領域において前記長孔635に沿って遊動可能であるとともに、前記切換位置(L)において前記長孔635の一端部636に当接するように設定されている。
可動アンビル部動作規制機構62は、図3、図5、図6、図8、図9、及び図14ないし図17に示すように、前記切込刃8及び抜き刃7が前記切換位置(L)に達するまでの領域において前記コネクタ61に係わり合い該コネクタ61の移動を禁止する係止部材65と、前記切換位置(L)を超えた領域で係止部材65のコネクタ61に対する係わり合いを解除する係合解除部66とを備えたものである。係止部材65は、コネクタ本体63における接続部632の上端に係わり合う爪部651を有するものである。この係止部材65は、ベース部2に軸を介して取り付けられ、前記爪部651がコネクタ61に係わり合う方向へ付勢手段であるねじりコイルスプリングS4によって、常時、付勢されている。係合解除部66は、係止部材65に設けられた傾斜面661と、この傾斜面661に当接することでねじりコイルスプリングS4の付勢力に抗して係止部材65の爪部651をコネクタ61の上端から解除する解除部材662とからなる。具体的には、この解除部材662は、スライド部材31の後端から一体に伸びる凸状のものであり、コネクタ61に干渉することなくコネクタ61に設けられたスリット637内を移動可能に設けられたものである。
なお、本発明におけるインナーカム回動機構K1とは、前記抜き刃7及び切込刃8の用紙Pに対する貫通量が所定値に達するカム回動開始位置(R)までは前記インナーカム32を抜き刃7内に保持し、前記貫通量が所定値を超えた領域で前記インナーカム32を回動させて切起片P11を前記切込刃8に設けられた窓85に挿入させるものである。本実施形態においては、インナーカム32と、このインナーカム32を回動可能に支持する軸71と、プッシャ33に設けられ前記インナーカム32のアーム322を係止する係止部332と、前記インナーカム32のアーム322を初期姿勢(F)方向へと付勢するコイルスプリングS3とを主体に構成されており、カム回動開始位置(R)において前記アーム322の上面が前記係止部332に当接して係止されるようにしてある。
また、本実施形態の綴じ機1は刃駆動機構K2を備えており、この刃駆動機構K2は、操作ハンドル4に加えられる操作力を利用して前記抜き刃7及び切込刃8を上下方向に動作させるものである。詳述すれば、前記抜き刃7及び切込刃8を保持し前記ベース部2に対して上下方向に昇降可能なスライド部材31と、このスライド部材31を前記操作ハンドル4に加えられる操作力により前記抜き刃7及び切込刃8が用紙Pを貫通する穿孔位置(C)まで上方へ動作させる刃打ち込み機構K3と、前記スライド部材31を前記抜き刃7及び切込刃8が用紙Pから抜き取られる前記退避位置(S)まで復帰させる刃抜き取り機構K4とを主体に構成されている。
詳述すれば、前記刃打ち込み機構K3は、操作ハンドル4に加えられる操作力を利用して、前記抜き刃7及び前記切込刃8を保持したスライド部材31を上方に移動させ、前記抜き刃7及び切込刃8をベース部2の上向面252側の隙間253にセットされた用紙Pに貫入させるためのもので、抜き刃7及び切込刃8を保持するスライド部材31と、このスライド部材31を外部から加えられる操作力により上昇させるための操作ハンドル4と、この操作ハンドル4への動作をスライド部材31に伝達させるドライブシャフト313とを主体にして構成されている。
また、本実施形態の刃抜き取り機構K4は、前記抜き刃7及び前記切込刃8を保持したスライド部材31を前記ベース部2を足場にして下方に付勢する弾性部材である複数のコイルスプリングS1を主体に構成されている。
なお、この実施形態のように、スライド部材31と、操作ハンドル4とをドライブシャフト313により接続しておけば、刃抜き取り機構K4の性能をさらに向上させることができる。すなわち、用紙Pの枚数が多くなり、前記コイルスプリングS1の力だけでは切起片P11を用紙Pの一面Pa側に引き抜くことができない場合でも、前記操作ハンドル4に、上方への操作力を加えることによって、引き抜きを完了させることが可能となる。
次に、図14ないし図22を用いて、この綴じ機1の作動を説明する。なお、図14と図18、図15と図19、図16と図20、図17と図21は、それぞれ対応している。
操作ハンドル4を操作しない状態では、図14及び図18に示すように、スライド部材31が下限位置に位置し、抜き刃7及び切込刃8が退避位置(S)に保持されている。インナーカム32は、前記退避位置(S)に保持された抜き刃7内に収容された初期姿勢(F)を保っている。また、爪部651がコネクタ本体63の上端に係わりあって、可動アンビル部92が静止アンビル部91に重なり合う穿孔位置(C)に保持されている。また、アンビル部駆動手段6のシャフト64が、前記コネクタ本体63の長孔635に遊動可能に配されており、長孔635の上端部との間に一定の距離が確保されている。
この状態で、重ね合わせた複数枚の用紙Pをベース部2の上向面252と静止アンビル部91の下向面との間に形成されている用紙挿入用隙間253の奥まで挿入する。そして、操作ハンドル4を下方に操作すると、この操作ハンドル4の操作部41に加えられた力が、操作ハンドル4のアーム42を通じてスライド部材31の上方への動きに変換して伝えられる。詳述すれば、操作ハンドル4を下方に操作すると、この操作ハンドル4のアーム42は、軸44を中心に回転動作する。その結果、アーム42の回動端側にある基端部は、前方上方へと移動することとなる。そして、操作ハンドル4を下方に操作した力が、この基端部に枢着されたドライブシャフト313に伝達され、ベース部2とスライド部材31との間に配されたコイルスプリングS1の付勢力に抗して、前記スライド部材31を上方に移動させることとなる。
スライド部材31が上方に移動を始めると、スライド部材31に保持された抜き刃7や切込刃8を含む刃ユニット3全体がコイルスプリングS1、S2を圧縮しつつ上昇する。
その後、スライド部材31が上昇するとプッシャ33がコイルスプリングS2を介して上方に付勢され用紙Pを押圧する。その結果、プッシャ33の紙押さえ331によって用紙Pがアンビル9に押し付けられる。そして、紙押さえ331によって用紙Pがアンビル9に押し付けられた状態で、前記スライド部材31に取り付けられた前記抜き刃7及び前記切込刃8の先端が用紙Pの一面Paに当接する位置まで上昇する。この時点では、アンビル9の可動アンビル部92が穿孔位置(C)に位置しており、静止アンビル部91と可動アンビル9とが協働して用紙Pを裏当て支持している。
そして、この位置から操作ハンドル4をさらに下方に操作すると、図15及び図19に示すように、前記抜き刃7及び前記切込刃8が貫入する付近の用紙Pが紙押さえ331によってしっかりと固定された状態のまま、前記抜き刃7及び前記切込刃8が前記用紙Pを貫通し、その用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2が穿孔される。
このスライド部材31の上方への移動に伴って、スライド部材31に設けられ前記コネクタ本体63の長孔635に係わり合わせたシャフト64も上方へ移動する。このシャフト64は、前記切込刃8及び抜き刃7が前記切換位置(L)に達するまでの領域において、前記コネクタ本体63に設けられた長孔635に沿って上下方向に遊動する。そのため、可動アンビル部92は積極的に上方に駆動されることはない。なお、抜き刃7及び切込刃8が用紙Pを貫通する際に前記可動アンビル部92にも上方への力が作用するが、係止部材65によりコネクタ61を係止しているので、前記可動アンビル部92が穿孔時に不当に上方に移動することは禁止されている。すなわち、前記可動アンビル部動作規制機構62の一部である係止部材65が、前記切込刃8及び抜き刃7が前記切換位置(L)に達するまでの領域において、前記コネクタ61に係わり合い該コネクタ61の移動を禁止しているので、スライド部材31が上方へ移動しても、コネクタ61は前記切込刃8及び抜き刃7が切換位置(L)に達する直前まで移動を開始することはない。詳述すれば、アンビル9は、前記抜き刃7及び切込刃8の用紙Pに対する貫通量が一定値に達する切換位置(L)までは前記可動アンビル部92を前記穿孔位置(C)に保持した状態を保っている。
そして、図16及び図20に示すように、抜き刃7及び切込刃8が前記切換位置(L)に達する直前、すなわち抜き刃7及び切込刃8の用紙Pに対する貫通量が一定値に達する少し手前で、可動アンビル部動作規制機構62による規制が解除される。具体的には、前記スライド部材31の上昇に伴って、前記スライド部材31に設けられた解除部材662が前記コネクタ本体63のスリット637中を上方に移動し、この解除部材662が前記係止部材65の傾斜面661を押圧することで、前記係止部材65のねじりコイルスプリングS4の付勢が解除され、係止部材65のコネクタ61に対する係わり合いが解除される。そして、可動アンビル部92の上動禁止状態が解除されるものである。
可動アンビル部動作規制機構62による規制が解除された後、抜き刃7及び切込刃8の用紙Pに対する貫通量が一定値を超えた段階で、前記シャフト64が、前記コネクタ本体63の長孔635の一端部636、すなわち長孔635の上端部に当接する。つまり、この段階で、抜き刃7及び切込刃8が切換位置(L)に達する。
そして、可動アンビル部動作規制機構62が解除され、抜き刃7及び切込刃8が切換位置(L)に達した後は、これら抜き刃7及び切込刃8を含む刃ユニット3と、コネクタ61と、可動アンビル部92とが連動してベース部2に対して上方に移動する。詳述すれば、前記シャフト64が前記コネクタ本体63に設けられた長孔635の上端部に当接された状態を保ったまま前記スライド部材31が上昇すると、そのスライド部材31の上方への移動がシャフト64を介してコネクタ61に伝達され、コネクタ61が上方へと移動する。そして、このコネクタ61のアーム部631の一端部633にコネクトピン971を介して取り付けられた可動アンビル部92は、前記静止アンビル部91から離間し前記切起片P11を前記カット孔P2に挿通させるのを阻害しない離間位置(S)まで、上方に移動される。このように、切換位置(L)に達するまでは可動アンビル部動作規制機構62により規制するとともに、切換位置(L)に達する付近でその規制を解除し、可動アンビル部92をスライド部材31に連動させるようにおけば、可動アンビル部92を適切な時期に確実に穿孔位置(C)から離間位置(S)に移動させることができる。
穿孔後さらに、前記抜き刃7及び前記切込刃8が上昇してカム回動開始位置(R)に達すると、インナーカム32が回動して、切起片P11を切込刃8の窓85に挿入する動作が始まる。その時点では、前記可動アンビル部92はインナーカム32と干渉しない離間位置(S)まで上昇している。具体的には、カム回動開始位置(R)においては、前記抜き刃7の内部に配されるインナーカム32のアーム322が前記プッシャ33の係止部332に当接する。その状態で、スライド部材31がさらに上昇し、抜き刃7及び切込刃8が上限位置(U)に達すると、図17及び図21に示すように、前記インナーカム32が回動姿勢(R)にまで回動する。その結果、打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Pb側に切り起こされた切起片P11の先端部P12側が、インナーカム32の押し出し部323に押圧されて、切込刃8の窓85に挿入される。この際、抜き刃7及び切込刃8の形状に対応する複雑な形状の抜き刃用可動開口部95及び切込刃用可動開口部96を備えた可動アンビル部92は、離間位置(S)よりも上に位置するので、前記インナーカム32が回動姿勢(R)にまで回動する動作を阻害することはない。
ついで、操作ハンドル4への操作を解除すると、以上説明した動作の逆の動作が営まれ、初期状態に戻るため、インナーカム32が回動姿勢(R)から初期姿勢(F)に戻る際に、インナーカム32と可動アンビル部92とが干渉することはない。
詳述すれば、操作ハンドル4への操作を解除すると、コイルスプリングS1、S2の反発力によりスライド部材31が下方へと移動し、インナーカム32が初期姿勢(F)に戻り始め、抜き刃7及び切込刃8がカム回動開始位置(R)まで降下した時点で初期姿勢(F)に戻る。インナーカム32が初期位置に戻るための付勢力は、スライド部材31に設けられたコイルスプリングS3の反発力による。
そして、プッシャ33の紙押さえ331によって用紙Pが静止アンビル部91方向に押さえられた状態で、切込刃8及び抜き刃7が用紙Pから抜き取られる。詳述すれば、前記抜き刃7及び切込刃8がコイルスプリングS1、S2の反発力により下方に移動し、図22に示すように、用紙Pがアンビル9の静止アンビル部91から引き離されながら、抜き刃7及び切込刃8が用紙Pから抜き取られる。その際に、切込刃8の窓85に挿入されている切起片P11がカット孔P2を通過して用紙Pの一面Pa側に抜き出され、この切起片P11により複数の用紙Pが綴じられる。この状態で、用紙Pを綴じ機1から抜き取れば、前述した冊子Bができあがる。なお、前記コイルスプリングS1、S2の弾性力のみでは前記抜き刃7及び切込刃8を用紙Pの一面Pa側に引き抜くことができない場合には、前記操作ハンドル4を上方に操作してその引き抜きを助勢すればよい。
以上の動作の途中、すなわち抜き刃7及び切込刃8が切換位置(L)を越えて下方に降下した段階で、可動アンビル部動作規制機構62による規制が再開される。すなわち、切換位置(L)よりも少し下がった位置で、スライド部材31に設けられた解除部材662が係止部材65の傾斜面661を押圧する状態が終わり、係止部材65がねじりコイルスプリングS4の付勢力によりコネクタ本体63の接続部632上端に係わり合う位置に自己復帰する。
なお、図21において、右側に抜き刃7の刃本体72の先端を例とした退避位置(S)、切換位置(L)、カム回動開始位置(R)、及び上限位置(U)の位置関係を示しているが、前述した抜き刃7及び切込刃8の退避位置(S)、切換位置(L)、カム回動開始位置(R)、及び上限位置(U)はこれに対応するものである。
以上に述べたように、本実施形態に係る綴じ機1は、アンビル9と抜き刃7及び切込刃8との間に複数枚の用紙Pを配設し、それら抜き刃7及び切込刃8をアンビル9方向に移動させて用紙Pに貫通させ、それら抜き刃7及び切込刃8とアンビル9との協働により前記用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成し、その打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P11を前記カット孔P2に挿通させることにより前記用紙Pを相互に綴じることができるようにしたものであるので、打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P11により複数枚の用紙Pを接合することになり、ステープルの役割をなす切起片P11と用紙Pとが同質の紙製のものとなるため、廃棄する際にステープルを除去する必要がなく、用紙Pから金属製の針等を除去する細かな作業が不要となり、多くの用紙Pを廃棄する場合であっても多大な労力と時間を要することなく廃棄することが可能となる。
特に、この綴じ機1は、前記アンビル9が、一定位置に保持される静止アンビル部91と、この静止アンビル部91と協働して用紙Pを裏当て支持可能な穿孔位置(C)から前記静止アンビル部91から離間し前記切起片P11を前記カット孔P2に挿通させるのを阻害しない離間位置(S)まで移動可能な可動アンビル部92とを備えたものであり、前記抜き刃7及び切込刃8の用紙Pに対する貫通量が一定値に達する切換位置(L)までは前記可動アンビル部92を前記穿孔位置(C)に保持し、前記貫通量が一定値を超えた領域で前記可動アンビル部92を前記離間位置(S)に移動させるアンビル部駆動手段6を備えているので、切換位置(L)までは静止アンビル部91と可動アンビル部92とが協働して用紙Pの裏当て支持を行うため、用紙Pが十分にバックアップされた状態で抜き刃7及び切込刃8を確実に貫入させることができる。それと同時に、切換位置(L)を超えた領域では、可動アンビル部92が離間位置(S)に移動されるので、この可動アンビル部92と他の部材との干渉を避けることができる。すなわち、可動アンビル部92の静止アンビル部91との相対位置を変更することができるため、切換位置(L)までは、アンビル9の開口形状を適切な形状とすることができるとともに、切換位置(L)を超えた領域では、アンビル9の開口形状をインナーカム32の回動動作と干渉しない形状にすることができる。本実施形態においては、切換位置(L)までは、抜き刃7用の開口部の形状をほぼS字形状をなすものとすることができるとともに、切換位置(L)を超えた領域では、アンビルの開口形状を前記S字形状部分を囲む大きな矩形状をなすものとすることができる。
この綴じ機1に用いられる抜き刃7は、抜き刃7の内部にインナーカム32が配されたものであり、前記抜き刃7及び切込刃8の用紙Pに対する貫通量が所定値に達するカム回動開始位置(R)までは前記インナーカム32を抜き刃7内に保持し前記貫通量が一定値を超えた領域で前記インナーカム32を回動させて切起片P11を前記切込刃8に設けられた窓85に挿入させるインナーカム回動機構K1を備えているので、可動アンビル部92が抜き刃7の形状に対応する複雑な形状であっても、インナーカム32の回動動作に干渉するおそれがない。
また、一回の穿孔動作で複数のカット孔P2を形成し得るように前記切込刃8が設けられており、前記抜き刃7が、前記各カット孔P2に挿入される複数の切起片P11を形成し得るものであるので、接合部分P3を1ヵ所のみにする場合に比べて、接合強度を上げることができる。特に、本実施形態においては、切起片P11の先端部が相反する方向に向いて綴じられているので、カット孔P2に対する切起片P11の係わり合わせ状態の信頼性を高めることができる。また、複数枚の用紙Pを、用紙Pの角部P4で綴じているので、使用者が用紙Pをめくる際には、前記切起片P11の側部方向に力が加わることとなるが、この力の加わる方向が切起片P11の長手方向、すなわち切起片P11の基端部P13から基端部P12に伸びる方向と直交する方向であるため、この係わり合わせ状態を保持することができる。
また、本実施形態においては、2つの切込刃8及び2つのインナーカム32をそれぞれ同じ形状のものを背向させて配置させているので、部品点数を削減することができる。
前記抜き刃7及び切込刃8がスライド部材31に保持されて穿孔位置(C)と退避位置(S)との間で進退可能に設けられたものであり、前記アンビル部駆動手段6が、前記抜き刃7及び切込刃8が前記切換位置(L)に達し貫通量が一定値を超えた領域で前記スライド部材31の動きを前記可動アンビル部92に伝達し可動アンビル部92を離間位置(S)に移動させるコネクタ61と、前記切込刃8及び抜き刃7が前記切換位置(L)に達するまでの領域で前記可動アンビル部92の動きを禁止する可動アンビル部動作規制機構62とを備えたものであるので、スライド部材31を上下移動させるために操作ハンドル4の操作部41に加えられた操作力を用いて、前記可動アンビル部92の動きへと変換することができる。
前記コネクタ61が、一端部633が可動アンビル部92に枢着され、他端部634に切込刃8及び抜き刃7の進退方向に伸びる長孔635を備えたコネクタ本体63と、前記スライド部材31に設けられ前記コネクタ本体63の長孔635に係わり合わせたシャフト64とを備えたものであり、前記シャフト64が、前記切込刃8及び抜き刃7が前記切換位置(L)に達するまでの領域において前記長孔635に沿って遊動可能であるとともに前記切換位置(L)において前記長孔635の一端部636に当接するように設定されているので、切換位置(L)に達するまでの領域では、シャフト64に伝達された力はコネクタ61を移動させる力へ変換されず、一方、切換位置(L)に達してからは、シャフト64に伝達された力はコネクタ61を移動させる力へと変換される。そのため、スライド部材31が一定距離移動しても、可動アンビル部92は移動せず、切換位置(L)に達すると始めてスライド部材31の移動距離と可動アンビル部92の移動距離とを連動させることができる。したがって、抜き刃7及び切込刃8が用紙Pに貫入される瞬間には、スライド部材31は上昇させつつ、可動アンビル部92を静止アンビル部91と協働させた穿孔位置(C)に位置させることで、用紙Pをしっかりバックアップさせることができるとともに、抜き刃7及び切込刃8が一定距離用紙Pに貫入され抜き刃7のインナーカム32が初期姿勢(F)から回動姿勢(R)に移る際には、スライド部材31を上昇させてインナーカム32を回動させつつ、可動アンビル部92を静止アンビル部91から上方に離間させた離間位置(S)に移動させることで、インナーカム32の回動動作を可動アンビル部92、具体的にはアンビル本体93及びアンビルケース94が阻害することを防ぐことができる。そのため、スムーズに用紙Pを綴じることができる。
前記可動アンビル部動作規制機構62が、前記切込刃8及び抜き刃7が前記切換位置(L)に達するまでの領域において前記コネクタ61に係わり合い該コネクタ61の移動を禁止する係止部材65と、前記切換位置(L)を超えた領域で係止部材65のコネクタ61に対する係わり合いを解除する係合解除部66とを備えたものであるので、係合解除部66により係止部材65の係止状態を解除すれば、コネクタ本体63の長孔635に係わり合わせたシャフト64を介してコネクタ本体63を移動させることができる。特に、本実施形態においては、係止部材65が、ねじりコイルスプリングS4によって付勢されている爪部651を有するものであるため、コネクタ61が初期状態に戻った際には、ねじりコイルスプリングS4の付勢により爪部651がコネクタ61に係わり合い、元の係止状態を復元することができる。
また、使用者がこのような綴じ機1に設けられた操作ハンドル4を押圧及び解除という一連の操作を行うことにより、複数枚の用紙Pの打ち抜き孔P1を形成するとともにその打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P11を用いてそれら複数枚の用紙Pが相互に接合された冊子Bを作ることができる。
また、静止アンビル部92をベース部2に固定しているので、綴じ機1全体の剛性を高めることができ、安定した操作が可能になる。
この切込刃8は、第1のサブブレード83及び第2のサブブレード84が前記窓85の両側辺を境界にして折り曲げて形成されているので、前記メインスリットLの寸法と、前記用紙Pから打ち抜かれた2つの切起片P11の合計巾寸法を略同じ寸法に設定することができる。また、用紙Pが比較的厚みを有する場合や、用紙Pの枚数が多い場合であっても、メインスリットLとサブスリットL1、L2とにより囲まれた部分が切込刃8の引き抜き時に用紙Pの厚み方向に変形することになるので、より軽い操作力で操作ハンドル4を引き上げることができる。すなわち、操作ハンドル4へ反発力を与えるコイルスプリングS1をそれほど強力なものとする必要がなくなる。
さらに、この抜き刃7は、先端側のみならず側端側にも刃本体73を有しているので、打ち抜き孔P1の形状を綺麗にすることができる。すなわち、抜き刃7の側端側の刃本体73は、用紙Pの打ち抜き方向に沿って設けられているので、このような抜き刃7によって成形された打ち抜き孔P1は、前記側端側の刃本体を有しない抜き刃によって成形された打ち抜き孔に比べて、前記打ち抜き孔P1の端部の成形をより精密に行うことができる。したがって、インナーカム32が切起片P11を押圧する際に、切起片P11が切込刃8の窓85を通過できないほど不等に長くなってしまう、という不具合の発生を効果的に抑制または防止することができ、前記切起片P11の基端部P13が破断して、打ち抜き孔P1の基端部P13から破れが生じるのを抑制または防止することができる。
本実施形態に示される冊子Bは、用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2が形成されており、打ち抜き孔P1から切り起こされた複数個所の切起片P11がカット孔P2に挿通されることにより、用紙Pが相互に複数個所で綴じられてなるとともに、切起片P11の各中心線cが一直線上に並ばないように配されているので、綴じ針等を利用することなく一定の綴じ力により用紙を綴じてなる利用者に好適な冊子Bを実現することができる。
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
打ち抜き孔、及びこれに対応する抜き刃、抜き刃用可動開口部、抜き刃用静止開口部の形状は、上述したものに限られない。例えば、切起片の先端部を円弧状にしたものや、三角形状にしたもの、矢尻形状にしたもの等であってもよく、このような形状の切起片を形成するための抜き刃、抜き刃用可動開口部、抜き刃用静止開口部を用いてもよい。一例として、図23及び図24に示すものが挙げられる。以下、上記実施形態に対応する構成要素には、頭に「A」をつけた同様の符号を付して示すものとし、具体的な説明を省略する。
図23及び図24に示す抜き刃A7は、抜き刃A7による穿孔直後は抜き刃A7の形状に対応したS字状をなすとともに、切起片AP11を切り起こした後はほぼ矩形状をなす打ち抜き孔AP1を形成するためのものであり、図23においては斜視図で示すとともに、図24では平面図で示している。この抜き刃A7は、1枚の板金素材に折り曲げ加工を施して形成されるもので、この先端に設けられた刃本体A72は、前述した実施形態に比べて滑らかな平面視S字形に連続する刃先を有している。この刃本体A72は、中央部分1箇所に、用紙APに最初に貫入される刃尖端部A721を具備してなる。また、この刃本体A72は、素材の厚み方向中央に刃先を有した両刃構造としている。
この抜き刃A7とともに用いられるアンビルA9としては、図24に模式的に示す静止アンビル部A91と、この静止アンビル部A91の抜き刃用静止開口部A911に対応して配される抜き刃用可動開口部A95を備えた可動アンビル部A92とを備えたものを用いるのが好ましい。
また、カット孔、及びこれに対応する切込刃、切込刃用可動開口部、切込刃用静止開口部の形状は、上述したものに限られない。例えば、メインスリットのみを有する一直線状、または曲線状のものや、メインスリットの両端から一方向のみに延出するサブスリットを備える略コ字状をなすものや、本実施形態に示したほぼH字状をなすカット孔の変形例として、メインスリットとサブスリットとなす角度を90度以外にしたもの等種々変更可能である。特に、本実施形態においては、ほぼH字形状をなすカット孔に対して、可動アンビル部に設けられた切込刃用可動開口部の形状を矩形状にしていたが、この切込刃用可動開口部の形状をカット孔に対応させてH字形状にしてもよい。この切込刃用可動開口部の形状をH字形状にするならば、切込刃及び切込刃用可動開口部の協働によってカット孔が穿孔される際に、このカット孔付近の用紙の裏当て支持をすることができ、カット孔の形状をきれいに形成することができる。
さらに、本実施形態においては、アンビル部駆動手段をハンドル操作を利用して可動アンビル部を移動させるものとしていたが、ハンドル操作以外の操作力を利用して駆動させるものであってもよい。
また、用紙に打ち抜き孔及びカット孔を設ける位置は、角部に限られず、用紙の辺に沿った位置であってもよい。
また、打ち抜き孔及びカット孔の大きさ及び形状も種々変更可能である。
用紙は、一般的にはオフィス等において好適に用いられる大きさのもの、例えば、A3、A4又はB5サイズの紙製のもの等が想定されるが、そのようなもの以外にも、シート状をなすものであればどのようなものでもよく、材質についても紙製またはプラスチック製等種々変更可能である。また、同質の材料により作られた複数枚のシート体を綴じるようにすれば、分別廃棄の際の手間をより少なくすることができる。
刃ユニットは、切込刃、抜き刃、及びインナーカムの3ピース構造のみならず、切込刃及び抜き刃の2ピース構造であってもよい。この際、抜き刃は、穿孔姿勢から回動姿勢までの間で回動可能に設けられ穿孔姿勢において打ち抜き孔を形成し得るものとするのが好ましい。すなわち、抜き刃が、アンビルの下面側に配された用紙に一面側から該抜き刃を貫入させる穿孔機構と、用紙を貫通した抜き刃を回動姿勢まで回動させて打ち抜き孔から他面側へ切り起こされた切起片を保持した切込刃を切起片とともに用紙の一面側に抜き出させる刃抜き取り機構とを備えたものにすればよい。
また、スライド部材の突没方向は、本実施形態に示す上下方向に限られず、例えば、上下を逆向きにして抜き刃及び切込刃の突出側を下方とし、没入側を上方として使用することも可能である。
複数の切起片をカット孔に挿通させることにより用紙を複数個所で綴じるようにするための抜き刃及び切込刃の構成は、以上に述べた実施形態に限られるものではなく種々のものが考えられる。
ここで、図25〜図37は、模式図であり、カット孔の形状及び打ち抜き直後の打ち抜き孔の形状を実線で示すとともに、カット孔に係わり合った状態の切起片の形状を二点鎖線で示している。なお、中心線は一点鎖線で示している。また、切込刃及び抜き刃については、図示しないが、図示するカット孔の形状及び抜き刃の形状に対応する形状の刃本体を有するものである。しかして、以下に説明する他の実施形態において上記実施形態に対応する構成要素には、頭に「B」、「C」、「D」、「E」、「F」、「G」、「H」、「I」、「J」、「K」、「L」、「M」、「O」、「Q」をつけた同様の符号を付して示すものとし、具体的な説明を省略する。
<第25図>
第一実施形態においては、図25に模式的に示すように、抜き刃が、綴じた状態において切起片P11の中心線c同士が平行に並ぶとともに、綴じた状態において各切起片P11の先端P12が相反する方向に向くように構成されているものについて説明したが、本発明はこのようなものに限られるものではなく、図26、図27、図28、図29、図30に示すように、前記抜き刃が、綴じた状態において前記切起片の中心線同士が一定角度で交わるように構成されているものであってもよい。これらの中で好ましい態様のものとしては、例えば、図26、図27、図28に示すように、前記抜き刃が、綴じた状態において各切起片の先端が前記中心線の交点方向に向くように構成されているものが挙げられる。以下、各図について説明する。
<第26図>
先ず、図26について説明する。図26に示されるものは、綴じた状態において二つの切起片BP11の中心線Bc同士が、同図中θに示されるように中心線Bcの交点Kにおいて略90度の角度をなして交わるもので、前記各切起片BP11の先端BP12が前記中心線Bcの交点K方向に向くように二つの抜き刃及び切込刃(図示せず)が配置されている。
換言すれば、一方の切起片BP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、他方の切起片BP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃とを、綴じた状態において一方の切起片BP11の中心線Bcと他方の切起片BP11の中心線Bcとが交点Kにおいて直角に交わるように配してなる綴じ機を用いることにより、同図に示す態様で用紙を綴じることができるようにしている。
このようにすれば、用紙BPの角部を綴じるのに好適なものとなる。
<第27図>
次に、図27について説明する。図27に示されるものは、綴じた状態において二つの切起片CP11の中心線Cc同士が、同図中θに示されるように中心線Ccの交点Kにおいて約120度の角度をなして交わるもので、前記各切起片CP11の先端CP12が前記中心線Ccの交点K方向に向くように二つの抜き刃及び切込刃(図示せず)が配置されている。
換言すれば、一方の切起片CP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、他方の切起片CP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃とを、綴じた状態において一方の切起片CP11の中心線Ccと他方の切起片CP11の中心線Ccとが交点Kにおいて約120度に交わるように配してなる綴じ機を用いることにより、同図に示す態様で用紙を綴じることができるようにしている。
このようにすれば、用紙の角部を綴じる場合であっても、用紙の綴じ元側における辺の近傍部分を綴じる場合であっても好適なものとなる。なお、図27では、二つの切起片CP11の中心線Cc同士が約120度の角度をなして交わるものを示しているが、その前後の値にて種々角度を変更してもよいのはもちろんのことである。
<第28図>
続いて、図28について説明する。図28に示されるものは、綴じた状態において二つの切起片DP11の中心線Dc同士が、同図中θに示されるように中心線Dcの交点Kにおいて90度以下の角度、具体的には約60度の角度をなして交わるもので、前記各切起片DP11の先端DP12が前記中心線Dcの交点K方向に向くように二つの抜き刃及び切込刃(図示せず)が配置されている。このようなものであっても、用紙の角部を綴じるのに好適なものとなる。
換言すれば、一方の切起片DP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、他方の切起片DP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃とを、綴じた状態において一方の切起片DP11の中心線Dcと他方の切起片DP11の中心線Dcとが交点Kにおいて約60度に交わるように配してなる綴じ機を用いることにより、同図に示す態様で用紙を綴じることができるようにしている。
このようなもの以外にも、例えば、図29又は図30に示すように、切起片の中心線同士が交差するけれども、各切起片の先端が交点方向に向いていない態様も考えられる。
<第29図>
図29について説明する。図29に示されるものは、綴じた状態において二つの切起片EP11の中心線Ec同士が、同図中θに示されるように中心線Ecの交点Kにおいて、約120度の角度をなして交わるもので、前記各切起片EP11の先端EP12が前記中心線Ecの交点K方向とは逆の方向に向くように二つの抜き刃及び切込刃(図示せず)が配置されている。
換言すれば、一方の切起片EP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、他方の切起片EP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃とを、綴じた状態において一方の切起片EP11の中心線Ecと他方の切起片EP11の中心線Ecとが交点Kにおいて約120度に交わるように配してなる綴じ機を用いることにより、同図に示す態様で用紙を綴じることができるようにしている。
なお、図29では、二つの切起片EP11の中心線Ec同士が約120度の角度をなして交わるものを示しているが、その前後の値にて種々角度を変更してもよいのはもちろんのことである。
<第30図>
次に、図30について説明する。図30に示されるものは、綴じた状態において二つの切起片FP11の中心線Fc同士が、同図中θに示されるように中心線Fcの交点Kにおいて、90度以下の角度、具体的には約70度の角度をなして交わるもので、前記各切起片FP11の先端FP12が前記中心線Fcの交点K方向とは逆の方向に向くように1つの抜き刃、すなわち、二つの切起片を形成するための刃本体を有した一体的な抜き刃及び2つの切込刃(図示せず)が形成されている。
換言すれば、一方の切起片FP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、他方の切起片FP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃とを、綴じた状態において一方の切起片FP11の中心線Fcと他方の切起片FP11の中心線Fcとが交点Kにおいて約70度に交わるように配してなる綴じ機であって、前記一方の切起片FP11を形成するための抜き刃と前記他方の切起片FP11を形成するための抜き刃とが一体的に形成されているものを用いることにより、同図に示す態様で用紙を綴じることができるようにしている。
なお、図30では、二つの切起片FP11の中心線Fc同士が約70度の角度をなして交わるものを示しているが、その前後の値にて種々角度を変更してもよいのはもちろんのことである。
以上に示されるもの以外にも、種々の態様が考えられる。
前述した第一実施形態に示したものと同様に、前記抜き刃が、綴じた状態において前記切起片の中心線同士が平行に並ぶように構成されているものとしては図31、図32、図33、図34、図35、図36、図37に示すようなものも考えられる。この中で好ましいものとしては、図31、図32、図33、図34、図35、図36に示すように、前記抜き刃が、綴じた状態において各切起片の先端が相反する方向に向くように構成されたものがある。
<図31>
先ず、図31について説明する。図31に示されるものは、綴じた状態において二つの切起片GP11の中心線Gc同士が平行に並ぶもので、各切起片GP11の先端GP12が相反する方向に向くように抜き刃及び切込刃(図示せず)が配置されている。さらに、二つの抜き刃は、一方側の打ち抜き孔GP1の先端部分snと他方側の綴じた状態の切起片GP11の先端GP12とが前記中心線Gcと直交する方向において略揃うように配置されている。
換言すれば、一方の切起片GP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、他方の切起片GP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃とを、綴じた状態において一方の切起片GP11の中心線Gcと他方の切起片GP11の中心線Gcとがそれぞれ同一直線上に位置しないように配してなる綴じ機を用いることにより、同図に示す態様で用紙を綴じることができるようにしている。
このようなものであれば、用紙の角部を綴じるのに好適なものとなり、相反する方向からの用紙の捲りに対してもそれぞれ必要な綴じ力を発揮することができるものとなる。
<図32>
次に、図32について説明する。図32に示されるものは、綴じた状態において二つの切起片HP11の中心線Hc同士が平行に並ぶもので、各切起片HP11の先端HP12が相反する方向に向くように抜き刃及び切込刃(図示せず)が配置されている。さらに、二つの抜き刃は、一方側の綴じた状態の切起片HP11の先端HP12と、他方側の綴じた状態の切起片HP11の先端HP12とが、これら切起片HP11の先端側の長手方向に所定の寸法で離間して位置するように配置されている。
換言すれば、一方の切起片HP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、他方の切起片HP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃とを、綴じた状態において一方の切起片HP11の中心線Hcと他方の切起片HP11の中心線Hcとがそれぞれ同一直線上に位置しないように配してなる綴じ機を用いることにより、同図に示す態様で用紙を綴じることができるようにしている。
このようなものであれば、相反する方向からの用紙の捲りに対してもそれぞれ必要な綴じ力を発揮することができるものとなる。
<図33>
続いて、図33について説明する。図33に示されるものは、綴じた状態において二つの切起片IP11の中心線Ic同士が平行に並ぶもので、各切起片IP11の先端IP12が相反する方向に向くように抜き刃及び切込刃(図示せず)が配置されている。さらに、二つの抜き刃は、一方側の切起片IP11の先端IP12側と、他方側の切起片IP11の先端IP12側とを、単一の切込刃又は一体的な切込刃によって形成された共通のカット孔IP2に挿通させることによって、用紙を綴じることができるように配置されている。
換言すれば、一方の切起片IP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、他方の切起片IP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃とを、綴じた状態において一方の切起片IP11の中心線Icと他方の切起片IP11の中心線Icとがそれぞれ同一直線上に位置しないように配してなる綴じ機であって、切込刃が一体をなすもの又は一体的に構成されているものを用いることにより、同図に示す態様で用紙を綴じることができるようにしている。
このようなものであっても、相反する方向からの用紙の捲りに対してもそれぞれ必要な綴じ力を発揮することができるものとなる。
<図34>
さらに、図34について説明する。図34に示されるものは、綴じた状態において三つの切起片JP11の中心線Jc同士が平行に並ぶもので、少なくとも一つの切起片JP11の先端JP12が他の切起片、すなわち二つの切起片JP11の先端JP12と相反する方向に向くように抜き刃(図示せず)の形状が形成されるとともに切込刃(図示せず)が配されている。具体的に言えば、図34に示すものは、三つの切起片JP11を形成するための1つの抜き刃、すなわち、三つの切起片JP11を形成するための刃本体を有した一体的な構成をなす抜き刃が形成されている。
換言すれば、第一の切起片JP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、第二の切起片JP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、第三の切起片JP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃を、綴じた状態において第一、第二、及び第三の切起片JP11の各中心線Jcがそれぞれ同一直線上に位置しないように配してなる綴じ機であって、第一、第二、及び第三の切起片JP11を形成するための抜き刃が一体をなすもの又は一体的に構成されているものを用いることにより、同図に示す態様で用紙を綴じることができるようにしている。
このようなものであれば、一度の動作で3箇所を綴じることができるものとなり、強い綴じ力を発揮することができるものとなる。
<図35>
さらに、図35について説明する。図35に示されるものは、綴じた状態において四つの切起片KP11の中心線Kc同士が平行に並ぶもので、同一方向を向く二つの切起片KP11の先端KP12が、他の二つの切起片KP11の先端KP12と相反する方向に向くように抜き刃(図示せず)の形状が形成されるとともに、切込刃(図示せず)が配されている。具体的に言えば、図35に示すものは、四つの切起片KP11を形成するための1つの抜き刃、すなわち、四つの切起片KP11を形成するための刃本体を有した一体的な抜き刃が形成されている。
換言すれば、第一の切起片KP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、第二の切起片KP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、第三の切起片KP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、第四の切起片KP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃とを、綴じた状態において第一、第二、第三及び第四の切起片KP11の各中心線Kcがそれぞれ同一直線上に位置しないように配してなる綴じ機であって、第一、第二、第三及び第四の切起片KP11を形成するための抜き刃が一体をなすもの又は一体的に構成されているものを用いることにより、同図に示す態様で用紙を綴じることができるようにしている。
このようなものであれば、一度の動作で4箇所を綴じることができることができ、強い綴じ力を発揮することができるものとなる。
<図36>
次に、図36について説明する。図36に示されるものは、綴じた状態において2つの切起片LP11の中心線Lc同士が平行に並ぶもので、各切起片LP11の先端LP12が他の切起片LP11の先端LP12と相反する方向に向くように抜き刃(図示せず)の形状が形成されるとともに、切込刃(図示せず)が配されている。具体的に言えば、図36に示すものは、一方の切起片LP11を形成するための一方の打ち抜き孔LP1の先端sn側の一部と、他方の切起片LP11を形成するための他方の打ち抜き孔LP1の先端sn側の一部のみが重複するように抜き刃(図示せず)が形成されている。
換言すれば、一方の切起片LP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、他方の切起片LP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃とを、綴じた状態において一方の切起片LP11の中心線Lcと他方の切起片LP11の中心線Lcとがそれぞれ同一直線上に位置しないように配してなる綴じ機であって、抜き刃が一体をなすもの又は一体的に構成されているものを用いることにより、同図に示す態様で用紙を綴じることができるようにしている。
このようなものであっても、両方向からの用紙の捲りに対してもそれぞれ必要な綴じ力を発揮することができるものとなる。
このようなもの以外にも、例えば、図37に示すように、中心線同士が平行であるけれども、各切起片の先端が相反する方向に向いていない態様も考えられる。
<図37>
図37は、綴じた状態において二つの切起片MP11の中心線Mc同士が平行に並ぶもので、各切起片MP11の先端MP12が相反する方向に向かないように、すなわち、同一方向を向くように、二つの抜き刃(図示せず)が配置されている。さらに、二つの抜き刃は、綴じた状態における一方側の切起片MP11の先端MP12と綴じた状態における他方側の切起片MP11の先端MP12とが前記中心線Mcと直交する方向において略揃うように配置されている。
換言すれば、一方の切起片MP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、他方の切起片MP11を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃とを、綴じた状態において一方の切起片MP11の中心線Mcと他方の切起片MP11の中心線Mcとがそれぞれ同一直線上に位置しないように配してなる綴じ機を用いることにより、同図に示す態様で用紙を綴じることができるようにしている。
このようなものであれば、特定の一方向からの捲り、すなわち、切起片MP11の切り起こし方向に対して強い綴じ力を発揮することができるものとなる。
以上、図25〜図37に示したように、本発明は、単一の切起片を形成するための抜き刃を複数備えているものであってもよいし、複数の切起片を形成するための抜き刃を一つ備えているものであってもよい。ここで、単一の切起片を形成するための抜き刃を複数備えているものとしては、抜き刃が独立して2つ存在しているものの他、1つの切起片の形成に貢献する刃本体を複数備えているものであってもよい。例えば、1つの切起片を形成する刃本体を2箇所に備えている抜き刃であって、この抜き刃の基端側が共通の材料で一体化しているようなものであっても、「単一の切起片を形成するための抜き刃を複数備えているもの」に該当する。
ところで、二つの切起片を用いて用紙を綴じる綴じ機においては、第一の切起片を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃に対して、第二の切起片を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃を相対的に移動可能に設けるようにしてもよい。このような綴じ機としては、例えば、図26、図27及び図28に示す綴じ態様を選択的に設定することができるようにしたものなどが考えられる。換言すれば、かかる綴じ機は、綴じた状態において二つの切起片の中心線同士がその交点において所定角度をなして交わるもので、前記各切起片の先端が前記中心線の交点方向に向くように二つの抜き刃及び切込刃が配置されているものであり、且つ、前記所定角度を可変に設定できるものである。可変に設定できる所定角度は、第一の切起片を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃と、第二の切起片を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃とが物理的に干渉しない範囲で360度以下の範囲で自由に設定することができるものであればよく、より好適な範囲としては、用紙の角部や綴じ元側の辺近傍を綴じるのに好適な90度〜180度の範囲を挙げることができる。
このようなものであれば、用紙の形状や特性、例えば、用紙の辺が丸いものを綴じる場合や、文字の印刷箇所を避けて綴じる場合などに柔軟に対応することができるものとなる。
なお、切起片は、中心線から左右対称形状をなすものに限定されるものではない。このようなものとしては、既に図30において示したもののほか、例えば、図38や図39に示すようなものであってもよい。ここで、図30、図38及び図39に示すものにおいては、中心線Fc、Oc、Qcの位置を、切起片EP11、OP11、QP11の基端EP13、OP13、QP13部分における幅方向中央から切り起こし方向に延びるものとして示している。これらのもの以外にも、切起片の形状は種々のものを採用することができるのはもちろんのことである。
第一実施形態では、用紙を相互に複数個所で綴じることができるようにした綴じ機、すなわち、アンビルと抜き刃及び切込刃との間に複数枚の用紙を配設し、それら抜き刃及び切込刃をアンビル方向に移動させて用紙に貫通させ、それら抜き刃及び切込刃とアンビルとの協働により前記用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成し、その打ち抜き孔から切り起こされた複数箇所の切起片を前記カット孔に挿通させることにより前記用紙を相互に複数箇所で綴じるものとして、2箇所で綴じることができるようにしたものを示しているが、これに限定されるものではなく、3箇所以上で綴じることができるものでもよい。また、3箇所以上で綴じることができるようにした綴じ機においても、3つの切起片を形成し、これら3つの切起片を用いて前述のように用紙を綴じるために、1組の抜き刃及び切込刃を3組備えるようにし、これら3組の抜き刃及び切込刃の位置を相対的に移動可能にしたもの、すなわち、3箇所以上の箇所において用紙を綴じるようにした綴じ態様を可変に設定できるようなものとしてもよい。
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
B…冊子
P…用紙
P1…打ち抜き孔
P11…切起片
P2…カット孔
1…綴じ機
c…中心線
7…抜き刃
8…切込刃
9…アンビル

Claims (9)

  1. アンビルと抜き刃及び切込刃との間に複数枚の用紙を配設し、それら抜き刃及び切込刃をアンビル方向に移動させて用紙に貫通させ、それら抜き刃及び切込刃とアンビルとの協働により前記用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成し、その打ち抜き孔から切り起こされた複数箇所の切起片を前記カット孔に挿通させることにより前記用紙を相互に複数箇所で綴じることができるようにした綴じ機であって、
    複数箇所の切起片の各中心線が一直線上に並ばないように前記抜き刃及び切込刃が構成されていることを特徴とする綴じ機。
  2. 前記抜き刃が、綴じた状態において前記切起片の中心線同士が一定角度で交わるように構成されている請求項1記載の綴じ機。
  3. 前記抜き刃が、綴じた状態において前記切起片の中心線同士が平行に並ぶように構成されている請求項1記載の綴じ機。
  4. 前記抜き刃が、綴じた状態において各切起片の先端が前記中心線の交点方向に向くように構成されている請求項2記載の綴じ機。
  5. 前記抜き刃が、綴じた状態において各切起片の先端が相反する方向に向くように構成されている請求項3記載の綴じ機。
  6. 単一の切起片を形成するための抜き刃を複数備えている請求項1〜5何れかに記載の綴じ機。
  7. 複数の切起片を形成するための抜き刃を一つ備えている請求項1〜5何れかに記載の綴じ機。
  8. 第一の切起片を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃に対して、第二の切起片を形成して用紙を綴じるための一組の抜き刃及び切込刃を相対的に移動可能に設けている請求項1〜6何れかに記載の綴じ機。
  9. 用紙に打ち抜き孔及びカット孔が形成されており、前記打ち抜き孔から切り起こされた複数個所の切起片が前記カット孔に挿通されることにより、前記用紙が相互に複数個所で綴じられてなる冊子であって、
    前記切起片の各中心線が一直線上に並ばないように配されていることを特徴とする冊子。
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