JP2012084588A - 電子部品における電極の接続構造 - Google Patents

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和伸 神谷
Masami Takeuchi
政美 竹内
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Harumitsu Sato
晴光 佐藤
Takuya Ishizaki
卓也 石崎
Munehiko Masutani
宗彦 増谷
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Abstract

【課題】上部電極と被接合部材間の隙間を毛細管現象の発生する隙間に維持する必要が無く、且つ被接合部材と上部電極との接合強度を高めることが可能な電子部品における電極の接続構造の提供にある。
【解決手段】平面状の基部11と、第1電極13および第2電極14とを備えた被接合部材としての半導体素子12と、半導体素子12と隙間を空けて対向配置される板状の電極としての上部電極15とを備えた電子部品における電極の接続構造であって、上部電極15は、水平に延びる水平部15Aと、該水平部15Aに対して傾斜して延びる傾斜部15Bとを有し、水平部15A及び傾斜部15Bが半導体素子12の第2電極14と対向すると共に、水平部15Aから離間するに従い傾斜部15Bと第2電極14との隙間距離dが小さくなるように配置され、水平部15Aの貫通孔15Cを介して上部電極15と第2電極14間の隙間に半田を供給し、半田接合する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、半導体素子など電子部品における電極の接続構造に関する。
特許文献1における図3及び図4で示す従来技術においては、ベース電極としての基部上に半導体素子が半田を介して接合されると共に、半導体素子上に上部電極が半田を介して接合された半導体装置が開示されている。半導体素子上には、信号線を接続(ワイヤボンディング)するための信号電極が設けられ、半導体素子上における信号電極が設けられた領域以外の領域に上部電極が半田で接合されている。上部電極には、半田供給用の注入孔が貫通形成されている。
この半導体装置の製造方法は、まず、基部上に半導体素子を半田を介して接合させた後、ワイヤボンディングにより半導体素子上の信号電極と外部電極とをワイヤにより接続させる。次に、半導体素子上に上部電極を所定間隔を保持しつつ対向配置させ、加熱装置で半導体装置全体を加熱させながら半田注入孔から溶融半田を供給する。供給された半田は、半田自身の毛細管現象により、半導体素子と上部電極との狭い隙間に侵入し、適量充填される。その後加熱装置から取り出し硬化させることにより、半導体素子と上部電極とが半田により接合される。
特開2004−303869号公報
しかし、特許文献1で開示された従来技術においては、半導体素子と上部電極間の隙間が、毛細管現象の発生するような狭小な隙間である必要があり、この隙間が大きすぎると、毛細管現象が起こらず導体素子と上部電極間の隙間に半田が充分に供給されない恐れがあり、逆にこの隙間が小さすぎると半田注入孔から供給された溶融半田は隙間に侵入しづらく、半導体素子と上部電極間の隙間に半田が充分に供給されない恐れがある。このため、半導体素子と上部電極との接合強度が低下してしまう問題がある。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、上部電極と電子部品間の隙間を毛細管現象の発生する隙間に維持する必要が無く、且つ電子部品と上部電極との接合強度を高めることが可能な電子部品における電極の接続構造の提供にある。
上記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、平面状の被接合面を有する被接合部材と、少なくとも一部が該被接合部材と隙間を空けて対向配置される板状の電極とを備えた電子部品における電極の接続構造であって、前記電極は、水平に延びる水平部と、該水平部の端部から該水平部に対して傾斜して延びる傾斜面とを有し、前記被接合部材の被接合面と前記電極とは半田により接合されることを特徴とする電子部品における電極の接続構造。
請求項1記載の発明によれば、電極は水平に延びる水平部と、該水平部の端部から該水平部に対して傾斜して延びる傾斜面とを有し、被接合部材の被接合面と電極とは半田により接合されるので、例えば、水平部及び傾斜面と被接合部材の被接合面とを対向配置し、傾斜面と被接合部材の被接合面間の隙間距離の大きいところに半田を供給すれば、表面張力とぬれ性により隙間距離の小さいところへ半田をぬれ広がらせ、電極と被接合部材の被接合面間の隙間を充填することが可能となる。なお、「対向する」とは、電極と被接合部材の被接合面とが平行の場合のみならず平行ではないが互いに向き合っている場合も含んでいる。従って、電極と被接合部材間の隙間を毛細管現象の発生する隙間に維持する必要が無く、且つ被接合部材と電極との接合強度を高めることが可能である。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の電子部品における電極の接続構造において、前記電極は、前記傾斜面が前記被接合部材の被接合面と対向するとともに、前記水平部から離間するに従い前記傾斜面と前記被接合部材の被接合面との隙間距離が小さくなるように配置されていることを特徴とする。
請求項2記載の発明によれば、電極の傾斜面が被接合部材の被接合面と対向するとともに、水平部から離間するに従い傾斜面と被接合部材の被接合面との隙間距離が小さくなるように配置されているので、例えば、水平部に半田を供給すれば、表面張力とぬれ性により隙間距離の小さい傾斜部へ半田をぬれ広がらせ、電極と被接合部材の被接合面間の隙間を充填することが可能となる。
請求項3記載の発明は、請求項1に記載の電子部品における電極の接続構造において、前記電極は、前記水平部及び前記傾斜面が前記被接合部材の被接合面と対向するとともに、前記傾斜面が、前記水平部から離間するに従い前記傾斜面と前記被接合部材との隙間距離が大きくなるように配置されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明によれば、電極は水平部及び傾斜面が被接合部材の被接合面と対向するとともに、傾斜面が水平部から離間するに従い傾斜面と被接合部材との隙間距離が大きくなるように配置されているので、例えば、傾斜部に半田を供給すれば、表面張力とぬれ性により隙間距離の小さい水平部側へ半田をぬれ広がらせ、電極と被接合部材の被接合面間の隙間を充填することが可能となる。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品における電極の接続構造において、前記電極には、前記傾斜面と前記被接合部材の隙間距離が最も小さい部分より前記傾斜面と前記被接合部材の隙間距離が大きい部分に半田供給用の貫通孔が形成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明によれば、電極には、傾斜面と被接合部材間の隙間距離が最も小さい部分より傾斜面と被接合部材の隙間距離が大きい部分に半田供給用の貫通孔が形成されているので、半田供給用の貫通孔を介して電極の傾斜面と被接合部材間に半田を供給することにより、供給された半田は、表面張力とぬれ性により電極の傾斜面と被接合部材間の隙間距離の小さい方向へぬれ広がり、電極と被接合部材との隙間を充填することが可能となる。
本発明によれば、電極と被接合部材間の隙間を毛細管現象の発生する隙間に維持する必要がなく、電極と被接合部材との接合強度を高めることが可能となる。
第1の実施形態に係る半導体素子における電極の接続構造を示す斜視図である。(a)半田接合前の状態を示し、(b)半田接合後の状態を示す。 図1におけるA−A線断面図である。 第1の実施形態に係る接続構造の製造工程を説明するための模式図である。(a)基部上に接合された半導体素子上に間隔を空けて電極を配置する工程を示し、(b)半導体装置を加熱装置内に配置し電極上より溶融半田を滴下させる工程を示し、(c)半導体素子上に滴下された溶融半田が半導体素子と電極間の隙間に供給される工程を示し、(d)半田を供給後硬化させた状態を示す。 第2の実施形態に係る半導体素子における電極の接続構造を示す斜視図である。(a)半田接合前の状態を示し、(b)半田接合後の状態を示す。 図4におけるB−B線断面図である。 第2の実施形態に係る接続構造の製造工程を説明するための模式図である。(a)基部上に接合された半導体素子上に間隔を空けて電極を配置する工程を示し、(b)半導体装置を加熱装置内に配置し電極上より溶融半田を滴下させる工程を示し、(c)半導体素子上に滴下された溶融半田が半導体素子と電極間の隙間に供給される工程を示し、(d)半田を供給後硬化させた状態を示す。 その他の実施形態に係る半導体素子における電極の接続構造を示す図5に相当する断面図である。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る電子部品としての半導体素子における電極の接続構造を図1〜図3に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、半導体装置10は、上面が平面状の基部11と、表面が平面状の第1電極13および第2電極14とを備えた被接合部材としての半導体素子12と、半導体素子12と隙間を空けて対向配置された板状の電極としての上部電極15から構成され、基部11と第1電極13とは第1半田層16を介して接合され、第2電極14と上部電極15とは第2半田層17を介して接合されている。なお、第1電極13および第2電極14は被接合部材の被接合面に相当する。また、図1(a)は、上部電極15と半導体素子12の第2電極14とが半田接合される前の状態を示し、図1(b)は、上部電極15と半導体素子12の第2電極14とが半田接合された後の状態を示している。
基部11は、金属製で所定の厚さを有する材料が用いられており、材料としては、ニッケル、チタン、アルミニウム、又はこれらの合金等を含んだ導電性で熱伝導性の良い金属材料が使用されている。
半導体素子12は、矩形の形状を有し、裏面に第1電極13が形成され、おもて面に第2電極14が形成されている。第1電極13及び第2電極14は、銅やアルミニウム等で形成されている。半導体素子12としては、例えば、IGBTのような電力制御素子などが用いられている。半導体素子12のおもて面における半導体素子12の短辺方向の側縁部のうちの一方には、制御用電極18が形成され制御用電極18は図示しない外部電極とワイヤ19により接続されている。(図3参照)従って、第1電極13は半導体素子12の裏面のほぼ全面に渡り形成されているが、第2電極14は半導体素子12のおもて面における制御用電極18の形成された部位を含まない領域に形成されている。
上部電極15は、所定の厚みを有し短冊状の板状部材から形成されている。材料としては、銅、アルミニウム、又はこれらの合金等を含んだ導電性で熱伝導性の良い金属材料が使用されている。上部電極15は、板状の部材を折り曲げた形状を有し、水平に延びる水平部15Aと水平部15Aの先端側に連設され水平部15Aに対して傾斜して延びる傾斜部15Bとを備えている。
図2に示すように、上部電極15は、上部電極15の傾斜部15Bの先端側を制御用電極18側に向けて、上部電極15の水平部15A及び傾斜部15Bと半導体素子12の第2電極14とが隙間を空けて対向するように配置されている。
ここで、水平部15Aの第2電極14と対向する下側の面を下面15Dとし、傾斜部15Bの第2電極14と対向する下側の傾斜面を下面15Eとすれば、下面15Dは第2電極14と平行となるよう配置されると共に、下面15Eは下面15Eと第2電極14との隙間距離が水平部15Aから離間するに従い(言い換えると、上部電極15の傾斜部15Bの先端側に行くほど)隙間距離が小さくなるように配置されている。すなわち、下面15Dと第2電極14との隙間距離をd1とし、下面15Eの第2電極14との隙間距離が最も小さい部分の隙間距離をd2とすれば、d1>d2となるように配置されている。
水平部15Aの傾斜部15Bに隣接した部位には、半田供給用の貫通孔15Cが形成されている。半田供給用の貫通孔15Cを介して上部電極15と第2電極14間の隙間距離dの最も大きい領域(d=d1)に半田が供給される。
傾斜部15Bの下面15E及び水平部15Aの下面15Dと第2電極14との間に第2半田層17が形成されている。図2に示すように、第2半田層17は、上部電極15の傾斜部15Bの先端側に向けて尖った楔状に形成されている。なお、第1半田層16及び第2半田層17は、スズ(Sn)等を含む同一組成、同一融点の半田を使用して形成されている。
次に、上記構造を有する半導体装置10についてその製造工程を図3に基づき説明する。
先ず、基部11上にはんだ箔を介して半導体素子12を載せ、図示しない加熱装置によって所定の温度ではんだ箔を溶融させ、その後硬化させて半導体素子12と基部11との半田付けを行い、半導体素子12上の第1電極13と基部11とを第1半田層16を介して接合させる。
図3(a)に示すように、この基部11と半田接合された半導体素子12上に上部電極15を治具にて所定の隙間距離を空けて対向配置させる。すなわち、第2電極14上に上部電極15の傾斜部15Bの先端側を制御用電極18側に向け、傾斜部15Bの先端部と第2電極14間の隙間距離dがd2となり、水平部15Aと第2電極14間の隙間距離dがd1となるように上部電極15を配置する。
次に、図3(b)に示すように、図3(a)に示す状態にある半導体装置を加熱装置内に入れて、装置全体を加熱させながら上方に配置された半田供給装置20から溶融半田を供給する。半田供給装置20から供給された溶融半田は、上部電極15に形成された半田供給用の貫通孔15Cを通過して半導体素子12の第2電極14上に供給されるが、表面張力と第2電極14のぬれ性により半球状にぬれ広がり、領域を拡大させつつ周辺に移動する。そして、半球状の周面の一部が水平部15Aの下面15D及び傾斜部15Bの下面15Eと当接する。
次に、図3(c)に示すように、水平部15Aの下面15Dは第2電極14と平行となるよう配置されると共に、傾斜部15Bの下面15Eは下面15Eと第2電極14との隙間距離dが水平部15Aから離間するに従い隙間距離dが小さくなるように配置されていることにより、供給された溶融半田は、下面15Eと第2電極14間の隙間を傾斜部15Bの先端側に向けて移動する。すなわち、上部電極15と第2電極14間の隙間距離dの大きい領域(d=d1)に供給され半球状にぬれ広がった溶融半田は、図3(c)に矢印で示すように、半田自身の表面張力とぬれ性により、傾斜部15Bの下面15Eと第2電極14間の隙間距離dの大きいところから小さいところへぬれ広がり、隙間に半田が確実に充填される。
次に、図3(d)に示すように、加熱装置から取り出し冷却させることにより半田が硬化し、第2電極14と上部電極15とが第2半田層17を介して接合される。特に、上部電極15の周面と第2電極14間には、半田が裾広がり状となったフィレットが形成される。
この第1の実施形態に係る半導体装置10によれば以下の効果を奏する。
(1)水平部15Aと傾斜部15Bとを備えた上部電極15を、水平部15Aの下面15Dは第2電極14と平行となるよう配置する共に、傾斜部15Bの下面15Eは下面15Eと第2電極14との隙間距離dが水平部15Aから離間するに従い隙間距離dが小さくなるように配置することにより、水平部15Aに形成された半田供給用の貫通孔15Cを介して供給された溶融半田は、下面15Eと第2電極14間の隙間を隙間距離dの大きいところから隙間距離dの小さい傾斜部15Bの先端側に向けてぬれ広がり、上部電極15と第2電極14間の隙間に半田を確実に充填することが可能となる。従って、上部電極15と第2電極14間の隙間を毛細管現象の発生する隙間に維持する必要が無く、且つ上部電極15と半導体素子12間の接合強度を高めることが可能である。また、隙間を毛細管現象の発生する隙間とする必要が無いので、設計の自由度を向上させることが可能である。
(2)上部電極15に傾斜部15Bを設けることにより、全体を水平部15Aだけで形成する場合と比較して、上部電極15と第2電極14との接合面積を拡張することができ、上部電極15と半導体素子12間の接合強度を一層高めることが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る半導体装置30を図4〜図6に基づいて説明する。
この実施形態は、第1の実施形態における上部電極15と半導体素子12との配置関係を変更したものであり、その他の構成は共通である。
従って、ここでは説明の便宜上、先の説明で用いた符号を一部共通して用い、共通する構成についてはその説明を省略し、変更した個所のみ説明を行う。
図4及び図5に示すように、上部電極31は、所定の厚みを有し短冊状の板状部材から形成されている。上部電極31は、板状の部材を折り曲げた形状を有し、水平に延びる水平部31Aと水平部31Aの先端側に連設され水平部31Aに対して傾斜して延びる傾斜部31Bとを備えている。
図5に示すように、上部電極31は、上部電極31の傾斜部15Bの先端側を制御用電極18側に向けて、上部電極31の水平部31A及び傾斜部31Bと半導体素子12の第2電極14とが隙間を空けて対向するように配置されている。
ここで、水平部31Aの第2電極14と対向する下側の面を下面31Dとし、傾斜部31Bの第2電極14と対向する下側の傾斜面を下面31Eとすれば、下面31Dは第2電極14と平行となるよう配置されると共に、下面31Eは下面31Eと第2電極14との隙間距離が水平部31Aから離間するに従い(言い換えると、傾斜部15Bの先端側に行くほど)隙間距離が大きくなるように配置されている。すなわち、下面31Dと第2電極14との隙間距離をd3とし、下面31Eの第2電極14との隙間距離が最も大きい部分の隙間距離をd2とすれば、d3>d4となるように配置されている。
傾斜部31Bの下面31E及び水平部31Aの下面31Dと第2電極14との間に第2半田層32が形成されている。図5に示すように、第2半田層32は、上部電極31の水平部31Aに向けて尖った楔状に形成されている。なお、第1半田層16及び第2半田層32は、スズ(Sn)等を含む同一組成、同一融点の半田を使用して形成されている。
次に、上記構造を有する半導体装置30についてその製造工程を図6に基づき説明する。
先ず、基部11上にはんだ箔を介して半導体素子12を載せ、図示しない加熱装置によって所定の温度ではんだ箔を溶融させ、その後硬化させて半導体素子12と基部11との半田付けを行い、半導体素子12の第1電極13と基部11とを第1半田層16を介して接合させる。
図6(a)に示すように、この基部11と半田接合された半導体素子12上に上部電極31を治具にて所定の隙間距離を空けて対向配置させる。すなわち、第2電極14上に上部電極31の傾斜部31Bの先端側を制御用電極18側に向け、傾斜部31Bの先端部と第2電極14間の隙間距離dがd4となり、水平部31Aと第2電極14間の隙間距離dがd3となるように上部電極31を配置する。
次に、図6(b)に示すように、図6(a)に示す状態にある半導体装置を加熱装置内に入れて、装置全体を加熱させながら上方に配置された半田供給装置20から溶融半田を供給する。なお、この場合には、半田供給装置20は、上部電極31の傾斜部31Bの先端側の上方に配置されており、第2電極14の傾斜部31Bの先端部と対向する部分より制御用電極18側の部分に半田が滴下されるように上部電極31より少し離して配置されている。半田供給装置20から供給された溶融半田は、半導体素子12の第2電極14上に滴下されるが、表面張力と第2電極14のぬれ性により半球状にぬれ広がり、領域を拡大させつつ周辺に移動する。そして、半球状の周面の一部が傾斜部31Bの下面31Eと当接する。
次に、図6(c)に示すように、水平部31Aの下面31Dは第2電極14と平行となるよう配置されると共に、傾斜部31Bの下面31Eは下面31Eと第2電極14との隙間距離dが水平部31Aから離間するに従い隙間距離dが大きくなるように配置されていることにより、供給された溶融半田は、下面31Eと第2電極14間の隙間を水平部31A側に向けて移動する。すなわち、上部電極31と第2電極14間の隙間距離dの大きい領域(d=d4)に供給され半球状にぬれ広がった溶融半田は、図6(c)に矢印で示すように、半田自身の表面張力とぬれ性により、傾斜部31Bの下面31Eと第2電極14間の隙間距離dの大きいところから小さいところへぬれ広がり、隙間に半田が確実に充填される。
次に、図6(d)に示すように、加熱装置から取り出し冷却させることにより半田が硬化し、第2電極14と上部電極31とが第2半田層32を介して接合される。特に、上部電極31の周面と第2電極14間には、半田が裾広がり状となったフィレットが形成される。
この第1の実施形態に係る半導体装置30によれば以下の効果を奏する。
(3)水平部31Aと傾斜部31Bとを備えた上部電極31を、水平部31Aの下面31Dは第2電極14と平行となるよう配置する共に、傾斜部31Bの下面31Eは下面31Eと第2電極14との隙間距離dが水平部31Aから離間するに従い隙間距離dが大きくなるように配置することにより、傾斜部15Bの先端側の下面31Eと半導体素子12の第2電極14間に供給された溶融半田は、下面31Eと第2電極14間の隙間を隙間距離dの大きいところから小さい水平部31A側に向けてぬれ広がり、上部電極31と第2電極14間の隙間に半田を確実に充填することが可能となる。従って、上部電極31と第2電極14間の隙間を毛細管現象の発生する隙間に維持する必要が無く、且つ上部電極31と半導体素子12間の接合強度を高めることが可能である。また、隙間を毛細管現象の発生する隙間とする必要が無いので、設計の自由度を向上させることが可能である。
(4)上部電極31の傾斜部15Bの先端側の上方で、かつ、第2電極14の傾斜部31Bの先端部と対向する部分より制御用電極18側の部分に半田が滴下されるように上部電極31より少し離して半田供給装置20を配置する。したがって、上部電極31と第2電極14間の隙間距離dの最も広い領域(d=d4)に半田を簡単に供給することができる。また、上部電極31に半田供給用の貫通孔を設けなくても良いので、製造工数を削減可能である。
(5)上部電極31に傾斜部31Bを設けることにより、全体を水平部31Aだけで形成する場合と比較して、上部電極31と第2電極14との接合面積を拡張することができ、上部電極31と半導体素子12間の接合強度を更に高めることが可能となる。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更しても良い。
○ 第1の実施形態において、上部電極15の水平部15Aに半田供給用の貫通孔15Cを設けるとして説明したが、半田供給用の貫通孔15Cを設けないで水平部15A上に溶融半田を滴下させても良い。この場合には、上部電極15の水平部15Aに滴下された溶融半田は、水平部15Aの上面を伝わって両サイドより下面15D側に回り込み、上部電極15と第2電極14間における隙間距離dの最も大きい領域(d=d1)に供給される。また、半田を側方より上部電極15と第2電極14間の隙間に直接供給し、隙間距離dの大きいところから小さいところへぬれ広がらせても良い。
○ 第1の実施形態において、上部電極15の水平部15Aに半田供給用の貫通孔15Cを設けるとして説明したが、傾斜部15Bの水平部15A側の隙間距離dの大きいところに貫通孔を設けても良い。
○ 第2の実施形態において、上部電極31の傾斜部31Bの下面31Eと第2電極14間の隙間距離dが大きい傾斜部31Bの先端部に半田供給用の貫通孔を設け、貫通孔を介して下面31Eと第2電極14間の隙間に半田を供給しても良い。なお、貫通孔を設ける位置は、隙間距離dが大きい傾斜部31Bの先端部に限定されるものではなくて、傾斜部31Bの下面31Eと第2電極14間の隙間距離dが最も小さい部分(d=d3)よりも下面31Eと第2電極14間の隙間距離dが少しでも大きい部分であればどこでも構わない。
○ 第1及び第2の実施形態では、上部電極は、水平部と水平部に対して直線状に折れ曲がった傾斜部とで形成されるとして説明したが、傾斜部が湾曲形成(R形状)されていても良いし、水平部と直線状に折れ曲がった傾斜部との間に湾曲部が形成されていても良い。また、上部電極が傾斜部だけで形成されていても良い。更に、傾斜部を挟んで両側に水平部が形成されていても良いし、水平部を挟んで両側に傾斜部が形成されていても良い。○ 第2の実施形態では、傾斜部31Bの下面31E及び水平部31Aの下面31Dと第2電極14との間に第2半田層32が形成されているとして説明したが、図7に示すように、水平部31Aの下面31Dと第2電極14との間に第2半田層41が形成されていても良い。この場合には、上部電極31の傾斜部31Bの先端側に供給された溶融半田は、傾斜部31Bの下面31Eと第2電極14間の隙間を隙間距離dの大きいところから小さい水平部31A側に向けてぬれ広がり、水平部31Aの下面31Dと第2電極14との間にのみ第2半田層41が形成される。
○ 第1及び第2の実施形態では、被接合部材を半導体素子12として説明したが、半導体素子12を介さずに基部11上に上部電極15、31を直接半田付けしても良い。この場合には、基部11が被接合部材となる。
○ 第1及び第2の実施形態では、上部電極の水平部及び傾斜部と半導体素子の第2電極とが隙間を空けて対向して配置されているとして説明したが、水平部及び傾斜部の一部が第2電極と接触していても構わない。例えば、第1の実施形態において、傾斜部15Bの先端側の下面15Eの第2電極14との隙間距離dが最も小さい部分が第2電極14と当接するように配置(d2=0)されていても良い。
11 基部
12 半導体素子
13 第1電極
14 第2電極
15 上部電極
15A 水平部
15B 傾斜部
15C 貫通孔
15D 下面
15E 下面(傾斜面)
16 第1半田層
17 第2半田層
d 上部電極と第2電極間の隙間距離

Claims (4)

  1. 平面状の被接合面を有する被接合部材と、少なくとも一部が該被接合部材と隙間を空けて対向配置される板状の電極とを備えた電子部品における電極の接続構造であって、
    前記電極は、水平に延びる水平部と、該水平部の端部から該水平部に対して傾斜して延びる傾斜面とを有し、
    前記被接合部材の被接合面と前記電極とは半田により接合されることを特徴とする電子部品における電極の接続構造。
  2. 前記電極は、前記傾斜面が前記被接合部材の被接合面と対向するとともに、前記水平部から離間するに従い前記傾斜面と前記被接合部材の被接合面との隙間距離が小さくなるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品における電極の接続構造。
  3. 前記電極は、前記水平部及び前記傾斜面が前記被接合部材の被接合面と対向するとともに、前記傾斜面が、前記水平部から離間するに従い前記傾斜面と前記被接合部材との隙間距離が大きくなるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品における電極の接続構造。
  4. 前記電極には、前記傾斜面と前記被接合部材の隙間距離が最も小さい部分より前記傾斜面と前記被接合部材の隙間距離が大きい部分に半田供給用の貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品における電極の接続構造。
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