JP2012084272A - スパークプラグ用電極及びスパークプラグの製造方法 - Google Patents

スパークプラグ用電極及びスパークプラグの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スパークプラグの中心電極や接地電極を、電極材料からなるワークを押出成形して製造する際に、外周面に縦傷が発生しないようにする。
【解決手段】中心電極や接地電極を押出成形により製造する際に、側面のメッキ膜よりも、側面から底面に向かって縮径するテーパ面及び底面のメッキ膜を厚く、好ましくはテーパ面と底面との境界部のメッキ膜を最も厚く形成したワークを用いる。
【選択図】図10

Description

本発明は、スパークプラグの中心電極や接地電極の製造方法、並びに前記のスパークプラグ用電極の製造方法を含めたスパークプラグの製造方法に関する。
内燃機関には、点火のためのスパークプラグが用いられている。一般的なスパークプラグは、軸孔内の先端側に中心電極を保持し、後端側に接続端子を保持した絶縁碍子と、その絶縁碍子の胴部の周囲を取り囲んで保持する主体金具と、この主体金具の先端に一端が溶接され、他端が中心電極の先端に対向し火花放電ギャップを形成する接地電極とから構成されている。
このようなスパークプラグの中心電極を製造するには、従来では電極材料を切削加工していたが、本出願人は先に、電極材料からなる柱状のワークを金型に収容し、パンチで押し出して所定の電極形状に加工する方法を提案している(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−213150号公報
しかしながら、スパークプラグの中心電極は、先端に向かうほど縮径しており、ワークはその下方部分、即ち底面に近い部分ほど細く、また長くなるように押出成形される。そのため、ワークは、押し出し時の抵抗を小さくするために、その側面及び底面に金属のメッキ膜を施すことも行われているが、成形後の中心電極の側面、特に先端に近い側面に、軸線に沿った線状の傷(縦傷)が発生する場合がある。
また、接地電極も電極材料からなるワークを押出成形して製造することがあり、同様の縦傷が発生することがある。
そこで本発明は、スパークプラグの中心電極や接地電極を、電極材料からなるワークを押出成形して製造する際に、縦傷の発生を抑えることを目的とする。
上位目的を達成するために本発明は、下記のスパークプラグ用電極及びスパークプラグの製造方法を提供する。
(1)太径部とその一端面に縮径部とを有する柱状のワークを準備する準備工程と、
前記ワークにメッキ膜を形成するメッキ工程と、
前記メッキ膜が形成されたワークを押出成形する押出工程と、
を備えるスパークプラグ用電極の製造方法であって、
前記メッキ工程において、前記縮径部に形成されるメッキ膜は、前記太径部に形成されるメッキ膜よりも厚く形成されることを特徴とするスパークプラグ用電極の製造方法。
(2)前記縮径部に形成されるメッキ膜において、前記縮径部とその端面との境界部に形成されるメッキ膜が、最も厚く形成されることを特徴とする上記(1)記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
(3)前記太径部に形成されるメッキ膜の厚さが10μm以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
(4)前記縮径部及び前記境界部に形成されるメッキ膜の厚さが、前記太径部に形成されるメッキ膜の厚さの1.5〜3倍であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1項に記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
(5)前記ワークが、ニッケルを主成分とし、クロムを10質量%以上含有する金属であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか1項に記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
(6)前記ワークが、ニッケルを主成分とし、クロムを20質量%以上含有する金属であることを特徴とする上記(5)に記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
(7)前記太径部に形成されるメッキ膜の厚さが5μm以下であることを特徴とする請求項6に記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
(8)前記メッキ膜が、白金、金、銀、銅、錫または亜鉛のうち少なくとも一種を主成分とする金属であることを特徴とする上記(1)〜(7)の何れか1項に記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
(9)前記太径部に形成されるメッキ膜の厚さが0.3μm以上であることを特徴とする上記(1)〜(8)の何れか1項に記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
(10軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
前記軸孔に保持される中心電極と、
前記絶縁体の外周に設けられた主体金具と、
基端部が前記主体金具に接合され、その先端部と前記中心電極の先端部との間に間隙を形成する接地電極とを備えたスパークプラグの製造方法であって、
前記中心電極及び前記接地電極の少なくとも一つを、上記(1)〜(9)の何れか1項に記載の方法で製造する工程を有することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
本発明によれば、押出成形によりワークから中心電極や接地電極を製造する際に、縦傷の発生を抑えることができる。
スパークプラグの一例を示す断面図である。 中心電極の製造工程を示す工程図である。 第1製造工程を示す断面図である。 第2製造工程を示す断面図である。 第3製造工程を示す断面図である。 第5製造工程を示す断面図である。 第6製造工程を示す断面図である。 第8製造工程を示す断面図である。 第9製造工程を示す断面図である。 本発明で用いるワークの一例を示す側面図である。
以下、本発明に関して、中心電極の製造方法を例示して説明する。
図1はスパークプラグの一例を示す断面図である。図示されるように、スパークプラグ100は、筒状の主体金具111と、この主体金具111の軸方向に沿って貫通孔116が内部に形成され、且つ両端部112a,112bが主体金具111から露出されるようにこの主体金具111の内部に嵌め込まれて保持された絶縁体112と、先端部113aが露出されるように貫通孔116の一端部(図中下方)116aに挿入固定された中心電極113と、後端部117aが露出されるように貫通孔116の他端部(図中上方)116bに挿入固定された端子金具117と、貫通孔116内において中心電極113と端子金具117との間に設けられ、且つ中心電極113及び端子金具117のそれぞれに対し軸方向で離間配置された抵抗体118と、貫通孔116内において抵抗体118と中心電極113との間に隙間なく設けられた第1の導電性ガラスシール層119と、貫通孔116内において抵抗体118と端子金具117との間に隙間なく設けられた第2の導電性ガラスシール層120と、主体金具111に一端部(基部)114aが抵抗溶接等により結合され、且つ中間部114cが曲げられて他端部114bが中心電極113の先端部113aに対向配置された略L字形の接地電極114と、を備えている。また、主体金具111の外周面には、エンジン等の内燃機関のシリンダヘッド(相手部材)に取り付けられるための取付け用の雄ねじ115が周方向にわたって形成されている。更に、中心電極113の先端には、貴金属チップ121がレーザ溶接等により固着されており、接地電極114にも貴金属チップ122が固着され、両基金毒チップの間には火花放電ギャップgが形成される。
上記の中心電極113を製造するには、図2に示す一例の工程に従うことができる。尚、図2に示す各工程について、図3〜図9を基にその詳細を説明する。
(第1製造工程)
初めに、耐熱性および耐食性に優れたニッケルまたはニッケル合金等の第1金属材製の線材から円柱状の素材を切断する。そして、図3に示すように、この素材を金型1の丸穴1a内に挿入してパンチ2で平行打ちすることによって、断面形状が円柱形状のビレット3を形成する。このとき、ビレット3の先端部の外周には円弧状のコーナー4が成形され、ビレット3の後端面には平坦面5が成形される。ここで、2aは成形後のビレット3を金型1の丸穴1a内から突き出すためのキックアウトピンである。
(第2製造工程)
次に、図4に示すように、このビレット3を金型6の丸穴6a内に挿入してパンチ7で強く押して、断面形状が円柱形状のビレット8を形成する。このとき、ビレット8の後端面には略円形状の下孔9が成形される。ここで、7aは成形後のビレット8を金型6の丸穴6a内から突き出すためのキックアウトピンである。
(第3製造工程)
次に、図5に示すように、このビレット8を金型10の丸穴10a内に挿入して下孔9をパンチ11でさらに穿つことによって、図2(b)に示すように、断面形状が円筒形状のカップ12を形成する。このとき、カップ12の内部には、先端が閉塞され、後端が開口した軸方向穴(凹部)13が成形される。ここで、11aは成形後のカップ12を金型10の丸穴10a内から突き出すためのキックアウトピンである。
(第4製造工程)
一方、熱伝導性に優れた銅または銅合金等の第2金属材に塑性加工を施すことにより、図2(a)に示すように、断面形状が円柱形状の軸芯14を形成する。この軸芯14には、先端側にカップ12の軸方向穴13の深さよりやや長い軸方向寸法で、且つ軸方向穴13の内径とほぼ同じ外径を持つ軸状の円柱部15、および後端側に円柱部15より外径が大きい円板部15aが成形される。
(第5製造工程)
次に、図6に示したように、カップ12の軸方向穴13内に軸芯14の円柱部15を挿入してなる複合体を、金型17の丸穴17a内に挿入してパンチ16で平行打ちすることによって、図2(c)に示すように、ワーク18を形成する。このとき、軸芯14は、円板部15aが軸方向穴13の後端面より突出した状態でカップ12内に緊密的に保持される。ここで、16aは成形後の第1複合材18を金型17の丸穴17a内から突き出すためのキックアウトピンである。
(第6製造工程)
次に、図7に示すように、ワーク18を、その縮径部(図10におけるテーパ面12c)の側から金型19の丸穴19a内に挿入してパンチ20で押し込んで前方押出し成形することによって、ワーク18の先端側を細径化して、図2(d)に示すように、丸棒状の押出し成形体21を形成する。この押出し成形体21の先端側にはワーク18より外径が小さい丸軸状の軸状部(φd1:例えばφ2.6)22が成形され、後端側には前方押出し成形が施されない残部23が成形される。
(第7製造工程)
次に、押出し成形体21の後端側の残部23を含む部分24を切断することにより、図2(e)に示すように、ワーク18を細径化した第1の柱状部材25を形成する。
(第8製造工程)
次に、図8に示すように、第1の柱状部材25を金型26の丸穴26a内に挿入してパンチ27で押し込んで前方押出し成形することによって、第1の柱状部材25の先端側をさらに細径化して、図2(f)に示すように、段付の第2の柱状部材28を形成する。この第2の柱状部材28の軸状部22の先端側には、軸状部22よりも外径が小さい丸軸状の径小部(φd3:例えばφ2.0)29が成形される。
(第9製造工程)
次に、図9に示したように、第2の柱状部材28を丸穴形状の金型30の丸穴30a内に挿入してパンチ31で押し込んで押通し成形することによって、第2の柱状部材28の軸状部22の先端側をさらに細径化して、図2(g)に示すように、2段付の第3の柱状部材32を形成する。この第3の柱状部材32の軸状部22と径小部29との間には、軸状部22よりも外径が小さく、径小部29よりも外径が大きい段部としての丸軸状の径中部(φd2:例えばφ2.5)33が成形され、且つ第3の柱状部材32の後端側には鍔部34が成形される。第3の柱状部材32は中心電極41(図1参照)として使用される。ここで、31aは成形後の第4複合材32を金型30の待つ穴30aから突き出すためのキックアウトピンである。
本発明では、押し出し抵抗を下げるために、ワーク18(図2(c)参照)のカップ12の太径部(以下「側面」)12a、一方の端面(以下「底面」)12b、及び側面12aから底面12bに向かって漸次縮径する縮径部(以下「テーパ面」)12cにメッキ膜を形成するが、その際、テーパ面12c、並びにテーパ面12cと底面12bとの境界部Aのメッキ膜を、側面12aのメッキ膜よりも厚く形成する。好ましくは、境界部Aのメッキ膜を最も厚く形成する。
上記した押出工程では、図7に示す第1段の押出成形によりワーク18を押出して第1の柱状部材25を成形した後、図8に示す第2段の押出成形により第1の柱状部材25の軸状部22を更に細径化して径小部29を形成する。その際、第1段の押出成形において、ワーク18の軸線方向の変形量は、側面12aよりもテーパ面12c及び境界部Aの方が大きく、更に第2段の押出成形においてはテーパ面12よりも境界部Aの方が大きい。そこで、ワーク18のテーパ面12c及び境界部Aのメッキ膜を側面12aのメッキ膜よりも厚く、更には境界部Aのメッキ膜を最も厚くすることにより、第1段及び第2段の押出工程において、ワーク18の主たる変形部分にメッキ膜が残存した状態で押出しが行われるようになる。その結果、縦傷の発生も抑えられる。
従来でもワーク18のカップ12の側面12aやテーパ面12c、底面12bにメッキ膜を設けることが行われているが、メッキ膜の厚さは各部で一様であるため、多段の押出しを行うと、後段になるほどメッキ膜が無くなって縦傷が発生しやすくなる。しかし、本発明によれば、上記のようにメッキ膜が十分に残存するので縦傷を発生することなく押出しを行うことができる。
成形時のメッキ膜の剥離を無くして縦傷を発生し難くする効果を確実にするためには、押し出しによる変形量に合わせて側面12aのメッキ膜と、テーパ面12bc及び境界部12bのメッキ膜との膜厚差を設定すればよいが、実用上は、テーパ面12c及び境界部Aのメッキ膜の厚さを、側面12aのメッキ膜の厚さの1.5〜3倍にすることが好ましい。テーパ面12c及び境界部Aのメッキ膜の厚さをこれより厚くしても更なる押し出し抵抗の低減は見込めず、むしろメッキ膜が剥離しやすくなる。また、この範囲において、境界部Aのメッキ膜を最も厚くする。
また、側面12aのメッキ膜の厚さは10μm以下にすることが好ましく、5μm以下にすることがより好ましい。尚、側面12aのメッキ膜の膜厚の下限は、押し出し抵抗を低減する効果を確実にし、更に成形時のメッキ膜の剥離を無くして縦傷を発生し難くするために、0.3μm以上とするのが好ましい。
尚、本発明においてメッキ膜の厚さとは、側面12aやテーパ面12cについては、メッキ後のワークの軸線を通る軸線方向の断面を、日本電子株式会社製のSEM(型式:JSM−6460LA)を用いて倍率5000倍で観察し、複数箇所(例えば10点)でメッキ膜厚を測定し、平均した値である。境界部Aについては、テーパ面12cと側面12bとの境界は円周であるため、円周上を同様にSEM観察して複数箇所でメッキ膜厚を測定し、平均した値である。
このように側面12a、底面12b、テーパ面12c及び境界部Aに膜厚を変えてメッキ膜を形成するには、例えば、マスキングしてメッキする方法がある。カップ12の全面に一様にメッキ膜を形成した後、膜厚を増したい部分以外をマスキングし、再度メッキしてもよいし、膜厚を増したい部分以外をマスキングしてメッキした後、マスキングを剥がして全体を再度メッキしてもよい。具体的には、例えば、ワーク18のカップ12をメッキ液に浸漬して電解メッキして側面12a、テーパ面12c及び底面12bに同一の膜厚にてメッキ膜を形成した後、側面12a及び底面12bをマスキングして再度メッキ液に浸漬して電解メッキを行うことにより、テーパ面12c及び境界部Aのメッキ膜を側面12aのメッキ膜よりも厚くすることができる。尚、メッキ膜の膜厚は、メッキ時間を調整することにより調整できる。
メッキ膜の材質は潤滑性を有する限り制限はないが、白金、金、銀、銅、錫及び亜鉛のうち少なくとも一種を主成分とする金属であることが好ましい(なお、「主成分」とあるのは、材料中において、最も含有量が多いことを意味する)。特に金は展性に優れることから、押出しによる変形に良好に追随でき、薄いメッキ膜でも十分な効果が得られる。また、銅や錫、亜鉛は安価である。
また、中心電極41では近年、耐食性を向上させるために、クロム含有量を高めたニッケル合金が使用される傾向にある。クロム含有量が多いほど耐食性に優れ、クロム含有量が10質量%以上のニッケル合金が使用されてきており、中にはクロム含有量が20質量%以上のニッケル合金も使用されている。例えば、鉄を8重量%、クロムを16重量%、銅を0.2重量%含有し、残部ニッケルとするインコネル600(商標名)等が多用されている。しかし、クロム高含有ニッケル合金は変形し難く、このクロム高含有ニッケル合金製のカップ12を用いたワーク18を押出成形すると縦傷が発生しやすい。しかし、本発明によれば、テーパ面12c及び境界部Aのメッキ膜を厚くすることにより縦傷の発生を抑えることができるため、ニッケルを主成分とし、クロムを10質量%以上含有する合金製のカップ12を用いたワーク18を用いた場合に有用であり、クロムを20%以上含有するニッケル合金製のカップ12に用いた場合に特に有用である。
また、クロムを20%以上含有するニッケル合金製のカップ12に用いた場合は、側面12aのメッキ膜の膜厚を5μm以下にしても縦傷の発生を抑えることができる。
クロム含有量が多くなると、メッキ膜が酸化して不動態が形成されやすくなり、メッキ膜の密着性が悪くなる。また、メッキ膜は、その膜厚が厚いほど剥離しやすいため、上記のようにクロム含有量が10質量%以上に多くなると、膜厚を薄くする必要がある。そこで、側面12aのメッキ膜の膜厚を10μm以下にしてメッキ膜の剥離を抑えるとともに、テーパ面12c及び境界部Aのメッキ膜を厚くすることにより、ワーク変形時にメッキ膜が残存するようにする。
尚、テーパ面12c及び境界部Aのメッキ膜の膜厚を、側面12aのメッキ膜の膜厚の1.5〜3倍にすることが好ましいとする規定によれば、側面12aのメッキ膜の膜厚を最大の10μmにした場合、テーパ面12c及び境界部Aのメッキ膜の膜厚は最大で30μmとなる。しかし、テーパ面12c及び境界部Aのメッキ膜の膜厚を最大で30μmにすることは、側面12aのメッキ膜の膜厚を10μm以下にすることとは矛盾しない。
以上、中心電極113の製造を例にした実施態様を説明したが、接地電極114についても押出成形により作製する場合は、電極材料からなるワークを、上記と同様にメッキ膜の厚さを調整することにより、縦傷を発生することなく、円滑に押し出すことができるようになる。接地電極114を押出成形する場合、ワークを押し出して縮径し、全体が同一太さの、あるいは先端に向かうほど細くなる柱状体とした後、先端側端部が中心電極の先端と対向するように湾曲するが、ワークを押し出す際に縦傷が発生することが多い。そこで、上記のようにメッキ膜を調整することにより、押し出し時の縦傷の発生を抑えることができるようになる。
また、上記ではワーク18をカップ12と軸芯14との複合部材としたが、ニッケル合金の単一部材であってもよい。
更に、本発明によれば、上記の如く押出成形により中心電極41や接地電極45を用い、例えば図1に示したようなスパークプラグ42を組み立てることができる。中心電極41や接地電極45以外の部材は従来と同様にして作製することができ、それらの組み立ても従来と同様で構わない。
尚、上記では接地電極114が単極のスパークプラグを例示したが、接地電極114を複数設けた多極接地電極のスパークプラグであってもよい。
以下に試験例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
(試験1:側面のメッキ厚の検証)
表1に示すように、クロム含有量の異なるニッケル合金でカップを作製し、銅合金からなる軸芯と複合化して図10に示すようなテーパ面を有するワークを作製した。そして、ワークを銅メッキ液に浸漬し、側面のメッキ膜の厚さが表1に示す厚さになるように銅メッキ膜を形成した。尚、メッキ膜の膜厚は、ワークの側面を、日本電子株式会社製のSEM(型式:JSM−6460LA)を用いて倍率5000倍で観察し、任意の10点でメッキ膜厚を測定し、平均した値である。
そして、上記の如く銅メッキ膜が成膜されたワークを各100個用意して押出成形を行い、銅メッキ膜が剥離したワークの個数を求めた。結果を表1に併記する。
Figure 2012084272
ワークのクロムの含有量が増すほど、メッキ剥離が多くなる傾向になることがわかる。また、銅メッキ膜の膜厚が0.3〜10μmの範囲で、メッキ剥離を抑える効果が発現することがわかる。更に、クロムを20質量%含有するニッケル合金からなるワークでは、側面のメッキ膜の膜厚が5μm以下であれば、メッキ剥離を抑えることができる。
(試験2:側面と境界部とのメッキ厚差の検証)
クロム含有量が20質量%のニッケル合金でカップを作製し、銅合金からなる軸芯と複合化して図10に示すようなテーパ面を有するワークを作製した。そして、ワークの側面のメッキ膜(X)と境界部のメッキ膜(Y)がそれぞれ表2に示す厚さになるように銅メッキ膜を形成した。このような膜厚差とするには、ワーク全体に均一に銅メッキ膜を形成した後、境界部を露出させて側面と底面とをマスキングし、再度電解メッキを行った。尚、メッキ膜の膜厚は、ワークの側面及び境界部を、日本電子株式会社製のSEM(型式:JSM−6460LA)を用いて倍率5000倍で観察し、任意の10点でメッキ膜厚を測定し、平均した値である。
そして、上記の如く銅メッキ膜が成膜されたワークを各100個用意して押出成形を行い、縦傷が発生したワークの個数を求めた。結果を表2に併記する。
Figure 2012084272
側面のメッキ膜と境界部とのメッキ膜の膜厚差(Y/X)が1.5倍未満になると、ワークの変形量が大きい境界部でメッキ量が不足して縦傷が発生しやすくなる。一方、膜厚差(Y/X)が3倍超になると、メッキ膜の膜厚差が大きすぎてワークの変形にメッキ膜が追随しにくくなり、メッキ膜が剥離する箇所が生じて縦傷がより多く発生するようになる。これに対し、膜厚差(Y/X)が1.5〜3倍の範囲では、ワークの伸張にメッキ膜が良好に追従してメッキ膜の剥離もなく、縦傷が発生しにくくなる。
12 カップ
12a 側面
12b 底面
12c テーパ面
14 軸芯
18 ワーク
22 軸状部
25 第1の柱状部材
28 第2の柱状部材
29 径小部
32 第3の柱状部材
33 径中部
34 鍔部
100 スパークプラグ
113 中心電極
114 接地電極
A 境界部

Claims (10)

  1. 太径部とその一端面に縮径部とを有する柱状のワークを準備する準備工程と、
    前記ワークにメッキ膜を形成するメッキ工程と、
    前記メッキ膜が形成されたワークを押出成形する押出工程と、
    を備えるスパークプラグ用電極の製造方法であって、
    前記メッキ工程において、前記縮径部に形成されるメッキ膜は、前記太径部に形成されるメッキ膜よりも厚く形成されることを特徴とするスパークプラグ用電極の製造方法。
  2. 前記縮径部に形成されるメッキ膜において、前記縮径部とその端面との境界部に形成されるメッキ膜が、最も厚く形成されることを特徴とする請求項1記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
  3. 前記太径部に形成されるメッキ膜の厚さが10μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
  4. 前記縮径部及び前記境界部に形成されるメッキ膜の厚さが、前記太径部に形成されるメッキ膜の厚さの1.5〜3倍であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
  5. 前記ワークが、ニッケルを主成分とし、クロムを10質量%以上含有する金属であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
  6. 前記ワークが、ニッケルを主成分とし、クロムを20質量%以上含有する金属であることを特徴とする請求項5に記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
  7. 前記太径部に形成されるメッキ膜の厚さが5μm以下であることを特徴とする請求項6に記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
  8. 前記メッキ膜が、白金、金、銀、銅、錫または亜鉛のうち少なくとも一種を主成分とする金属であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
  9. 前記太径部に形成されるメッキ膜の厚さが0.3μm以上であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のスパークプラグ用電極の製造方法。
  10. 軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
    前記軸孔に保持される中心電極と、
    前記絶縁体の外周に設けられた主体金具と、
    基端部が前記主体金具に接合され、その先端部と前記中心電極の先端部との間に間隙を形成する接地電極とを備えたスパークプラグの製造方法であって、
    前記中心電極及び前記接地電極の少なくとも一つを、請求項1〜9の何れか1項に記載の方法で製造する工程を有することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
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