JP2006035298A - チタン合金製ボルトおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷間鍛造によりネットシェイプ成形され且つ形状精度に優れたチタン合金製ボルトおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】β型チタン合金からなり、冷間鍛造によってボルト頭30と雄ネジ用の軸部5とに連続し且つほぼ外形に沿った鍛流線HLが形成されている、チタン合金製ボルトB。また、上記ボルト頭30が、上記雄ネジ用の軸部5の反対側に位置する頂面に正六角形(非円形断面)の穴32を有している、チタン合金製ボルトBも含まれる。
【選択図】 図4
【解決手段】β型チタン合金からなり、冷間鍛造によってボルト頭30と雄ネジ用の軸部5とに連続し且つほぼ外形に沿った鍛流線HLが形成されている、チタン合金製ボルトB。また、上記ボルト頭30が、上記雄ネジ用の軸部5の反対側に位置する頂面に正六角形(非円形断面)の穴32を有している、チタン合金製ボルトBも含まれる。
【選択図】 図4
Description
本発明は、β型チタン合金からなるチタン合金製ボルトおよびその製造方法に関する。
Ti−6wt%Al−4wt%Vに代表されるα+β型チタン合金製のボルト(チタン合金製ボルト)は、一般的に、円柱形のバー材を切削加工することによって製造されているが、以下のような問題があった。
切削加工した場合、素材であるバー材の歩留まりが50〜30%と低く、素材コストが高くなる。しかも、チタン合金は、硬度が高く、靭性も高く(ねばく)、且つ熱伝導率が低いため、切削工具を損傷し易く、加工コストも高くなり易い。
上記コスト高を回避するには、ニアネットシェイプ冷間鍛造を適用し、素材の歩留まりをほぼ100%とすることが考えられる。
切削加工した場合、素材であるバー材の歩留まりが50〜30%と低く、素材コストが高くなる。しかも、チタン合金は、硬度が高く、靭性も高く(ねばく)、且つ熱伝導率が低いため、切削工具を損傷し易く、加工コストも高くなり易い。
上記コスト高を回避するには、ニアネットシェイプ冷間鍛造を適用し、素材の歩留まりをほぼ100%とすることが考えられる。
しかし、前記鍛造をチタン合金に適用する場合、次のような問題があった。
例えば、チタン合金からなる円柱形の素材を細径にするため、ダイスのテーパ穴に押し込んで反対側の穴から押し出した場合、押し出された細径部の表面に軸方向に沿った線上痕(通称、かじり)が生じ、以降の加工に支障を来たし得る。
また、上記円柱形を呈する素材の一端部を据込み鍛造した場合、据込まれた太径部であるボルト頭は、その外周面が環状の凹みを含む不欽一な変形形状となったり、その頂面側に割れを生じることがあった。
例えば、チタン合金からなる円柱形の素材を細径にするため、ダイスのテーパ穴に押し込んで反対側の穴から押し出した場合、押し出された細径部の表面に軸方向に沿った線上痕(通称、かじり)が生じ、以降の加工に支障を来たし得る。
また、上記円柱形を呈する素材の一端部を据込み鍛造した場合、据込まれた太径部であるボルト頭は、その外周面が環状の凹みを含む不欽一な変形形状となったり、その頂面側に割れを生じることがあった。
本発明は、前述した背景技術における問題点を解決し、冷間鍛造によりネットシェイプ成形され且つ形状精度に優れたチタン合金製ボルトおよびこれを確実に製造するチタン合金製ボルトの製造方法を提供する、ことを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するため、チタン合金の種類を精選すると共に、冷間鍛造の適正化を図って得られたものである。
即ち、本発明のチタン合金製ボルト(請求項1)は、β型チタン合金からなり、冷間鍛造によってボルト頭と雄ネジ用の軸部とに連続し且つほぼ外形に沿った鍛流線が形成されている、ことを特徴とする。
これによれば、β型チタン合金の素材を冷間鍛造し且つ内部に連続した複数の鍛流線が並列的に形成されたものであるため、チタン合金本来の特性(強度、硬度、靭性、耐食性、軽量さなど)を保ちつつ、ボルト頭および軸部の形状精度が良く、且つ雄ネジも精度良く転造されたものとなる。
即ち、本発明のチタン合金製ボルト(請求項1)は、β型チタン合金からなり、冷間鍛造によってボルト頭と雄ネジ用の軸部とに連続し且つほぼ外形に沿った鍛流線が形成されている、ことを特徴とする。
これによれば、β型チタン合金の素材を冷間鍛造し且つ内部に連続した複数の鍛流線が並列的に形成されたものであるため、チタン合金本来の特性(強度、硬度、靭性、耐食性、軽量さなど)を保ちつつ、ボルト頭および軸部の形状精度が良く、且つ雄ネジも精度良く転造されたものとなる。
尚、前記β型チタン合金には、塑性加工の容易性からTi−22wt%V−4wt%Alが推奨されるが、Ti−15wt%V−3wt%Al−3wt%Cr−3wt%Sn、Ti−20wt%V−4wt%Al−1wt%Sn、Ti−29wt%Nb−13wt%Ta−4.6wt%Zr、Ti−15wt%V−6wt%Cr−4wt%Al、Ti−3wt%Al−8wt%V−6wt%Cr−4wt%Mo−4wt%Zr、あるいは、Ti−13wt%V−11wt%Cr−3wt%Alなども含まれる。
また、前記鍛流線は、前記チタン合金の金属組織が冷間鍛造の圧力により曲げられた模様であり、上記チタン合金では、ボルト頭の頂面付近から雄ネジ用の軸部の先端面にかけて複数の鍛流線が、その外形にほぼ沿って並列的に形成される。更に、冷間鍛造の適用温度は、室温〜約400℃である。
また、前記鍛流線は、前記チタン合金の金属組織が冷間鍛造の圧力により曲げられた模様であり、上記チタン合金では、ボルト頭の頂面付近から雄ネジ用の軸部の先端面にかけて複数の鍛流線が、その外形にほぼ沿って並列的に形成される。更に、冷間鍛造の適用温度は、室温〜約400℃である。
また、本発明には、前記ボルト頭は、前記雄ネジ用の軸部の反対側に位置する頂面に非円形断面の穴を有している、チタン合金製ボルト(請求項2)も含まれる。これによれば、いわゆる六角目打ちによって形成される断面六角形のレンチ挿入穴や、正方形、星形、連続した細かい凹凸からなるほぼ円形または異形などの断面を有して凹み穴を、ボルト頭の頂面に精度良く形成したボルトとなる。
尚、上記ボルト頭が円柱形の形態では、当該ボルト頭の周面には、ラチェット加工による細かい凹溝と凸条とからなる滑り止めを形成することもある。
尚、上記ボルト頭が円柱形の形態では、当該ボルト頭の周面には、ラチェット加工による細かい凹溝と凸条とからなる滑り止めを形成することもある。
一方、本発明によるチタン合金製ボルトの製造方法(請求項3)は、β型チタン合金からなる素材の表面に、当該チタン合金よりも軟質の金属被膜を被覆する被覆工程と、上記素材を冷間鍛造して、連続した鍛流線からなるボルト頭と雄ネジ用の軸部とを成形する鍛造工程と、を含む、ことを特徴とする。
これによれば、表面に金属被膜を被覆された素材を冷間鍛造するため、押出や据込み時に上記金属被膜が鍛造工具との間で十分な潤滑作用を果たす。このため、前述した押出時の線状痕(かじり)や、据込み時の変形や割れなどを確実に防止でき、ダイスなどの成形型の形状に倣った形状精度の良いチタン合金製ボルトを、歩留まり良く確実且つ安価に製造可能となる。尚、上記金属被膜(メッキ)には、銅(Cu)、Sn、Zn、Auなどが含まれる。
これによれば、表面に金属被膜を被覆された素材を冷間鍛造するため、押出や据込み時に上記金属被膜が鍛造工具との間で十分な潤滑作用を果たす。このため、前述した押出時の線状痕(かじり)や、据込み時の変形や割れなどを確実に防止でき、ダイスなどの成形型の形状に倣った形状精度の良いチタン合金製ボルトを、歩留まり良く確実且つ安価に製造可能となる。尚、上記金属被膜(メッキ)には、銅(Cu)、Sn、Zn、Auなどが含まれる。
また、本発明には、前記鍛造工程は、前記素材を軸方向に押出成形して雄ネジ用の軸部を成形する押出ステップと、係る雄ネジ用の軸部を除いた上記素材の太径部を軸方向に沿って据込んでボルト頭を成形する据込ステップと、を含む、チタン合金製ボルトの製造方法(請求項4)も含まれる。
これによれば、前記被覆工程後の素材を、軸方向に沿って押し出すことにより、細径で周面に線状痕のない上記軸部を精度良く成形できると共に、係る軸部を除いた当初の直径である太径部を軸方向に沿って据込むことにより、据込みダイスの成形型の形状に倣った形状で、変形や割れのないボルト頭を精度良く成形することができる。
これによれば、前記被覆工程後の素材を、軸方向に沿って押し出すことにより、細径で周面に線状痕のない上記軸部を精度良く成形できると共に、係る軸部を除いた当初の直径である太径部を軸方向に沿って据込むことにより、据込みダイスの成形型の形状に倣った形状で、変形や割れのないボルト頭を精度良く成形することができる。
更に、本発明には、前記雄ネジ用の軸部の直径は、前記鍛造工程において、前記素材の直径に対して10%以上減少する、チタン合金製ボルトの製造方法(請求項5)も含まれる。これによれば、軸部の密度が高くなり、且つ前記鍛流線をボルト頭から上記軸部に沿って連続して形成できるため、高い強度を有するチタン合金製ボルトにすることができる。
尚、上記直径の望ましい縮径率は、20%またはそれ以上である。
尚、上記直径の望ましい縮径率は、20%またはそれ以上である。
また、本発明には、前記鍛造工程に先だって、前記素材の一端面における円周縁を先細形状とする先付工程を有している、チタン合金製ボルトの製造方法(請求項6)も含まれる。これによれば、押出ダイスの細径孔に押し込まれる前記素材の変形能が高められるため、前記金属皮膜と相まって、押出ステップによる押出成形を一層スムースに且つ精度良く行うことができる。
尚、先付工程は、素材の一端面をテーパ孔に押し込んで縮径する鍛造方法と、予め施す切削またはバレル研磨、あるいは両者の併用により、一端面の円周縁を面取りする方法とがあり、後者の方法の場合、その後で金属皮膜を被覆する。
尚、先付工程は、素材の一端面をテーパ孔に押し込んで縮径する鍛造方法と、予め施す切削またはバレル研磨、あるいは両者の併用により、一端面の円周縁を面取りする方法とがあり、後者の方法の場合、その後で金属皮膜を被覆する。
また、本発明には、前記鍛造工程は、前記据込ステップの後に、前記ボルト頭における前記雄ネジ用の軸部と反対側の頂面に非円形断面の穴を形成する穿設ステップを有する、チタン合金製ボルトの製造方法(請求項7)も含まれる。
これによれば、据込みにより形成されたボルト頭の頂面に、例えば所謂六角目打ちによる六角穴などの孔を、ポンチによるプレス成形により、精度良く穿設することができる。特に、前記鍛造工程が、前記押出ステップの後に据込みステップの順序で行われる場合、ボルト頭の頂面付近は、当初の素材の形状に比較的近い状態であるため、上記穴を精度良く形成することが可能となる。
これによれば、据込みにより形成されたボルト頭の頂面に、例えば所謂六角目打ちによる六角穴などの孔を、ポンチによるプレス成形により、精度良く穿設することができる。特に、前記鍛造工程が、前記押出ステップの後に据込みステップの順序で行われる場合、ボルト頭の頂面付近は、当初の素材の形状に比較的近い状態であるため、上記穴を精度良く形成することが可能となる。
更に、本発明には、前記被覆工程と前記鍛造工程との間に、前記金属被膜が被覆された前記素材の表面に、更に二硫化モリブデンまたは黒鉛を被覆する潤滑工程を有する、チタン合金製ボルトの製造方法(請求項8)も含まれる。
これによれば、前記素材の表面に被覆される金属皮膜上に更に二硫化モリブデンまたは黒鉛の皮膜が形成されるため、前記押出・据込みステップを含む鍛造工程における成形精度を一層高めることが可能となる。尚、上記潤滑工程は、被覆工程後の素材を二硫化モリブデンの液槽に浸漬することにより行われる。
これによれば、前記素材の表面に被覆される金属皮膜上に更に二硫化モリブデンまたは黒鉛の皮膜が形成されるため、前記押出・据込みステップを含む鍛造工程における成形精度を一層高めることが可能となる。尚、上記潤滑工程は、被覆工程後の素材を二硫化モリブデンの液槽に浸漬することにより行われる。
加えて、本発明には、前記鍛造工程の後に、ボルト頭および雄ネジ用の軸部からなる成形体に対し、皮膜除去工程および光沢処理工程と、上記雄ネジ用の軸部の周面に雄ネジを転造する冷間転造工程および時効硬化処理工程と、が施される、チタン合金製ボルトの製造方法(請求項9)も含まれる。
これによれば、ボルト頭および軸部を成型された中間素材(成形体)の表面に残る前記金属皮膜をショットブラストなどの皮膜除去工程により剥離し、バレル研磨などの光沢処理工程により当該中間素材を研磨して光沢を現出させた後に、軸部を転造して雄ネジを形成し、最後に時効硬化処理が施される。
あるいは、転造および時効硬化処理を先に施し、それらの後で皮膜除去および光沢処理を施しても良い。
このため、β型チタン合金本来の硬度および強度を有する形状精度の高いチタン合金製ボルトを提供することが可能となる。
これによれば、ボルト頭および軸部を成型された中間素材(成形体)の表面に残る前記金属皮膜をショットブラストなどの皮膜除去工程により剥離し、バレル研磨などの光沢処理工程により当該中間素材を研磨して光沢を現出させた後に、軸部を転造して雄ネジを形成し、最後に時効硬化処理が施される。
あるいは、転造および時効硬化処理を先に施し、それらの後で皮膜除去および光沢処理を施しても良い。
このため、β型チタン合金本来の硬度および強度を有する形状精度の高いチタン合金製ボルトを提供することが可能となる。
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1〜図3は、本発明のチタン合金製ボルトの製造方法に関する。
図1の左端に示すように、例えばTi−22wt%V−4wt%Alのβ型チタン合金からなる円柱形の素材W0は、直径約7mm×長さ約23mmのサイズである。係る素材W0は、長尺なチタン合金の棒材を所定長さに切断した後、公知のバレル研磨を施して、切断面のバリ取り、および表面粗化を行ったものである。
先ず、上記素材W0の表面に対し、公知の電解銅メッキを施すことにより、図1中の左寄りに示すように、厚みが2〜10μmの銅メッキ膜(金属被膜)2を被覆する(被覆工程S1)。
図1〜図3は、本発明のチタン合金製ボルトの製造方法に関する。
図1の左端に示すように、例えばTi−22wt%V−4wt%Alのβ型チタン合金からなる円柱形の素材W0は、直径約7mm×長さ約23mmのサイズである。係る素材W0は、長尺なチタン合金の棒材を所定長さに切断した後、公知のバレル研磨を施して、切断面のバリ取り、および表面粗化を行ったものである。
先ず、上記素材W0の表面に対し、公知の電解銅メッキを施すことにより、図1中の左寄りに示すように、厚みが2〜10μmの銅メッキ膜(金属被膜)2を被覆する(被覆工程S1)。
上記銅メッキ膜2を被覆された素材W1を、図示しない二硫化モリブデンの液槽中に約1分間浸漬することで、図1中の左寄りに示すように、銅メッキ膜2の上に平均膜厚が約5μmの二硫化モリブデンの被膜3を被覆する(潤滑工程S2)。
次に、銅メッキ膜2および二硫化モリブデンの被膜3を被覆された素材W2における一端面の円周縁を、図示しないテーパ孔に押し込むことにより、図1の中程に示すように、一端(図示で下端)側に先細形状部4を有する素材W3が得られる(先付工程S3)。係る先細形状部4は、軸方向の長さ約2mm、系方向の縮径幅約1mm、素材W3の中心軸に対する傾斜角度は約30度である。
尚、先細形状部4を切削加工により形成する場合は、前記被覆工程S1および潤滑工程S2の前に行うことが望ましい。また、上記先付工程S3は、β型チタン合金の種類によっては、先付工程を省略しても良い。
次に、銅メッキ膜2および二硫化モリブデンの被膜3を被覆された素材W2における一端面の円周縁を、図示しないテーパ孔に押し込むことにより、図1の中程に示すように、一端(図示で下端)側に先細形状部4を有する素材W3が得られる(先付工程S3)。係る先細形状部4は、軸方向の長さ約2mm、系方向の縮径幅約1mm、素材W3の中心軸に対する傾斜角度は約30度である。
尚、先細形状部4を切削加工により形成する場合は、前記被覆工程S1および潤滑工程S2の前に行うことが望ましい。また、上記先付工程S3は、β型チタン合金の種類によっては、先付工程を省略しても良い。
次いで、一端側に先細形状部4が形成された素材W3を、図1中の右寄りに示すように、押出ダイス10の太径孔11およびほぼ円錐形のテーパ孔13内に挿入し、図中の矢印で示すように、図示で上方に位置する円柱形のポンチ14を太径孔11内に進入させ、素材W3の他端(上端)面に当接し且つ当該素材W3を、ダイス10の細径孔12寄りに常温で押し出す(鍛造工程の押出ステップS4)。
尚、ダイス10の太径孔11の内径は、素材W3の直径およびポンチ14の直径よりも僅かに大径である。
尚、ダイス10の太径孔11の内径は、素材W3の直径およびポンチ14の直径よりも僅かに大径である。
その結果、図1中の右端の矢印で示すように、前記素材W3は、先細形状部4側からダイス10の細径孔12内に順次押し込まれ、縮径された細径の軸部(雄ネジ用の軸部)5となって、ダイス10の下方に押し出される。係る軸部5の直径は、前記素材W0の直径に対して10%以上減少し、当該軸部5の密度を高めている。この際、素材W3の表面には前記銅メッキ膜2および二硫化モリブデンの被膜3が被覆されているため、細径孔12から押し出された上記軸部5の表面には、前述した従来のような線状痕(かじり)が発生しない。
同時に、図1中の右端に示すように、前記素材W3の先細形状部4のない他端側の部分は、ダイス10の太径孔11に残った太径部6およびテーパ孔13に倣って成形されたほぼ円錐形のテーパ部7となる。これにより、図示のように、太径部6、テーパ部7、および上記軸部5を有する中間素材W4が成形される。
同時に、図1中の右端に示すように、前記素材W3の先細形状部4のない他端側の部分は、ダイス10の太径孔11に残った太径部6およびテーパ孔13に倣って成形されたほぼ円錐形のテーパ部7となる。これにより、図示のように、太径部6、テーパ部7、および上記軸部5を有する中間素材W4が成形される。
次に、図2中の左端に示すように、前記中間素材W4の軸部5を、ダイス15の細径孔16に挿入する。係る細径孔16の上方には、中間素材W4の太径部6とテーパ部7とが位置している。
図示のように、太径部6の上方には、円柱形のポンチ17が昇降可能に位置し、係るポンチ17の先端面の中心部には、ほぼ円錐形状の凹部18が形成されている。図中の矢印で示すように、ポンチ17をダイス15の上方に突出する前記中間素材W4の太径部6に向けて下降し、ポンチ17の凹部18で太径部6などを軸方向に沿って下向きに常温で据え込む(鍛造工程の第1据込みステップS5)。
図示のように、太径部6の上方には、円柱形のポンチ17が昇降可能に位置し、係るポンチ17の先端面の中心部には、ほぼ円錐形状の凹部18が形成されている。図中の矢印で示すように、ポンチ17をダイス15の上方に突出する前記中間素材W4の太径部6に向けて下降し、ポンチ17の凹部18で太径部6などを軸方向に沿って下向きに常温で据え込む(鍛造工程の第1据込みステップS5)。
その結果、図2中の左寄りに示すように、前記中間素材W4の太径部6およびテーパ部7は、ポンチ17の凹部18に倣ったほぼ円錐形状のテーパ部8に成形される。これにより、図示のように、軸部5およびテーパ部8を有する中間素材W5が成形される。尚、この第1据込みステップS5は、β型チタン合金の種類によっては、省略しても良い。
次いで、図2中の右寄りに示すように、上記中間素材W5の軸部5を、ダイス19の細径孔20内に挿入し、且つテーパ部8を大径孔21内に挿入する。係る細径孔20と大径孔21とは、同軸心で且つ互いに連通しており、両者の間には、内径の差に応じた段部が位置している。テーパ部8と大径孔21との間には、隙間が存在し、テーパ部8の頂面9は、大径孔21の上方に突出する。
次いで、図2中の右寄りに示すように、上記中間素材W5の軸部5を、ダイス19の細径孔20内に挿入し、且つテーパ部8を大径孔21内に挿入する。係る細径孔20と大径孔21とは、同軸心で且つ互いに連通しており、両者の間には、内径の差に応じた段部が位置している。テーパ部8と大径孔21との間には、隙間が存在し、テーパ部8の頂面9は、大径孔21の上方に突出する。
図2中の右寄りに示すように、ダイス19の大径孔21の上方には、円柱形のポンチ22が昇降可能に位置し、係るポンチ22の先端面における中央部には、断面がほぼ台形の浅いリング溝23と、その中心部から垂下し且つ円錐形状の中央凸条24と、が形成されている。
尚、リング溝23の直径は、大径孔21の内径とほぼ同じであり、大径孔21の内径は、据込み成形(鍛造)すべきボルト頭の外径よりも僅かに大である。
図中の矢印で示すように、ポンチ22を、ダイス19の大径孔21および中間素材W5のテーパ部8に向けて下降させ、ポンチ22の先端面でテーパ部8を軸方向に沿って下向きに常温で据込む(鍛造工程の第2据込みステップS6)。
尚、リング溝23の直径は、大径孔21の内径とほぼ同じであり、大径孔21の内径は、据込み成形(鍛造)すべきボルト頭の外径よりも僅かに大である。
図中の矢印で示すように、ポンチ22を、ダイス19の大径孔21および中間素材W5のテーパ部8に向けて下降させ、ポンチ22の先端面でテーパ部8を軸方向に沿って下向きに常温で据込む(鍛造工程の第2据込みステップS6)。
その結果、図2中の右端に示すように、前記テーパ部8は、ポンチ22のリング溝23、中央凸条24、およびダイス19の大径孔21に包囲されて、ほぼ円柱形のボルト頭30に成形されると共に、当該ボルト頭30の頂面の中央には、中央凸条24に倣った円錐形状の凹み30aが形成される。
これにより、図3中の左端に示すように、凹み30aを含むボルト頭30と雄ネジ用の軸部5とを有する中間素材(成形体)W6が成形される。
この間のステップS5,S6においては、前記銅メッキ膜2および二硫化モリブデンの被膜3が表面に被覆されていることで、従来のようにボルト頭30に変形や割れが生じることがない。また、後述するように、上記中間素材W6の内部では、ボルト頭30と軸部5との軸方向にほぼ沿って、複数の鍛流線が連続して並列に形成されている。
これにより、図3中の左端に示すように、凹み30aを含むボルト頭30と雄ネジ用の軸部5とを有する中間素材(成形体)W6が成形される。
この間のステップS5,S6においては、前記銅メッキ膜2および二硫化モリブデンの被膜3が表面に被覆されていることで、従来のようにボルト頭30に変形や割れが生じることがない。また、後述するように、上記中間素材W6の内部では、ボルト頭30と軸部5との軸方向にほぼ沿って、複数の鍛流線が連続して並列に形成されている。
次に、ダイス19内に位置する上記中間素材W6のボルト頭30における軸部5と反対側の頂面の凹み30aに、断面六角形のポンチを当該ボルト頭30の軸方向に沿って押し込む(いわゆる六角目打ち:鍛造工程の穿設ステップS7)。その結果、図3の左寄りに示すように、ボルト頭30の頂面には、平面視で正六角形(非円形)断面の穴32が形成され、中間素材(中間製品)W7となる。
次いで、上記中間素材W7のボルト頭30の周面に対し、公知のローレット加工などを施す(滑り止め工程S8)。その結果、図3中の左寄りに示すように、ボルト頭30の周面には、軸方向に沿った多数の細かい凹凸条34からなる滑り止めが形成されて、中間素材W8となる。
次いで、上記中間素材W7のボルト頭30の周面に対し、公知のローレット加工などを施す(滑り止め工程S8)。その結果、図3中の左寄りに示すように、ボルト頭30の周面には、軸方向に沿った多数の細かい凹凸条34からなる滑り止めが形成されて、中間素材W8となる。
引き続いて、図3中の中程で示すように、前記中間素材W8に対し、公知のショットブラストを施す(皮膜除去工程S9)。その結果、中間素材W8の表面に残っていた前記銅メッキ膜や二硫化モリブデンの被膜3が剥離される。
次に、ショットブラストされた中間素材W8に対し、公知のバレル研磨を施して(光沢処理工程S10)、当該中間素材W8の表面に光沢を与える。
次いで、バレル研磨された中間素材W8の軸部5に対し、例えば一対の平転造ダイスを用いて、冷間で公知のネジ転造を施す(冷間転造工程S11)。その結果、図3中の右寄りに示すように、軸部5の大半の周面に雄ネジ36が刻設されると共に、本発明のチタン合金製ボルトBを得ることができる。
最後に、図3中の右端に示すように、上記チタン合金製ボルトBに対し、時効硬化処理S12を施す。係る処理は、チタン合金製ボルトBを、例えば500℃〜550℃に3時間以上にわたり加熱する。これにより、当該ボルトBを形成するβ型チタン合金の硬度を、約320Hv以上に高められるので、例えば図示しない雌ネジとのネジ結合を、強度をもって可能とする。
次に、ショットブラストされた中間素材W8に対し、公知のバレル研磨を施して(光沢処理工程S10)、当該中間素材W8の表面に光沢を与える。
次いで、バレル研磨された中間素材W8の軸部5に対し、例えば一対の平転造ダイスを用いて、冷間で公知のネジ転造を施す(冷間転造工程S11)。その結果、図3中の右寄りに示すように、軸部5の大半の周面に雄ネジ36が刻設されると共に、本発明のチタン合金製ボルトBを得ることができる。
最後に、図3中の右端に示すように、上記チタン合金製ボルトBに対し、時効硬化処理S12を施す。係る処理は、チタン合金製ボルトBを、例えば500℃〜550℃に3時間以上にわたり加熱する。これにより、当該ボルトBを形成するβ型チタン合金の硬度を、約320Hv以上に高められるので、例えば図示しない雌ネジとのネジ結合を、強度をもって可能とする。
以上のような製造方法によって、図4の断面図および図5の平面図に示すようなチタン合金製ボルトBを得ることができる。係るボルトBは、予め銅メッキ膜2および二硫化モリブデンの被膜3を表面に被覆された状態で、前記鍛造工程の各ステップS4〜S6を施されているため、表面に線上痕のない軸部5に雄ネジ36が形状精度良く形成されていると共に、変形部や割れがなく且つ穴32を精度良く形成したボルト頭30を有している。
このため、図4に示すように、ボルト頭30の頂面付近から雄ネジ36を有する軸部5の先端面にかけて、複数の鍛流線HLをほぼ外形に沿って並列して内蔵している。従って、ボルト頭30がスパナによる回転モーメントを受けても、雄ネジ36を含む軸部5に対し、上記モーメントを直接的に伝達でき、相手方の雌ネジとのネジ結合を確実に行えるので、強固な締結が可能となる。
このため、図4に示すように、ボルト頭30の頂面付近から雄ネジ36を有する軸部5の先端面にかけて、複数の鍛流線HLをほぼ外形に沿って並列して内蔵している。従って、ボルト頭30がスパナによる回転モーメントを受けても、雄ネジ36を含む軸部5に対し、上記モーメントを直接的に伝達でき、相手方の雌ネジとのネジ結合を確実に行えるので、強固な締結が可能となる。
尚、前記穿設ステップS7で、ボルト頭30の頂面に押し込むポンチの断面形状を変えることで、図6に示すように、平面視で+字形の穴32aとしたり、図7に示すように、平面視で六稜星形の穴32bとしたり、あるいは、図8に示すように、平面視がほぼ円形で内周面全体に細かな凹凸を有する穴32cとすることも可能である。尚、上記穴32bは、平面視が五稜星形の穴としても良い。
ここで、本発明による製造方法の具体的な実施例ついて説明する。
β型チタン合金(Ti−22wt%V−4wt%Al)からなり、直径:7.2mm×長さ:22.6mmの円柱形を呈する素材W0を120個用意した。係る素材W0は、バレル研磨により、両端面の円周縁におけるバリが除去され、且つ表面がRaで約1.5μm程度に粗化されている。係る120個の素材W0を20個ずつの組に分け、表1に示すように、実施例1〜4、比較例1,2とした。
次に、表1に示すように、実施例1〜4の素材W0に対して、電解銅メッキを施して(工程S1)、表面に厚みが約5μmの銅メッキ膜2を被覆した。
更に、表1に示すように、実施例1,2の素材W0,W1と比較例1,2の素材W0とを、二硫化モリブデンの液槽中に浸漬して(工程S2)、表面に厚みが約2μmの二硫化モリブデンの被膜3を被覆した。
β型チタン合金(Ti−22wt%V−4wt%Al)からなり、直径:7.2mm×長さ:22.6mmの円柱形を呈する素材W0を120個用意した。係る素材W0は、バレル研磨により、両端面の円周縁におけるバリが除去され、且つ表面がRaで約1.5μm程度に粗化されている。係る120個の素材W0を20個ずつの組に分け、表1に示すように、実施例1〜4、比較例1,2とした。
次に、表1に示すように、実施例1〜4の素材W0に対して、電解銅メッキを施して(工程S1)、表面に厚みが約5μmの銅メッキ膜2を被覆した。
更に、表1に示すように、実施例1,2の素材W0,W1と比較例1,2の素材W0とを、二硫化モリブデンの液槽中に浸漬して(工程S2)、表面に厚みが約2μmの二硫化モリブデンの被膜3を被覆した。
次いで、表1に示すように、実施例1,4と比較例1の素材W2に対して、図示しないダイスのテーパ孔に一端の円周縁を押し込んで先細形状部4を形成した(工程S3)。先細形状部4は、軸方向の長さが2.3mm、径方向の縮径幅が1mm、軸方向に対する傾斜角度が25度である。
実施例1〜4および較例1,2の素材W2,W3に対し、前記図1の右側に示したようなダイス10およびポンチ14を用いて、先細形状部4側または一端面側から細径孔12に押し出すステップ(鍛造工程の押出ステップS4)を行った。
この結果、各例の素材W2,W3は、直径5.2mm×長さ26mmの軸部5と、直径7.3mm×長さ6.5mm太径部6と、両者の間に位置し且つ長さ3mmで傾斜角度20度のテーパ部7とからなる素材W4となった。尚、上記軸部5の直径は、前記素材W0の直径に対し、約28%減少していた。
各例20個ずつの素材W4における軸部5を目視で観察し、表面に線状痕が一箇所でもあるか否かを調べた。その結果を表1に示した。
この結果、各例の素材W2,W3は、直径5.2mm×長さ26mmの軸部5と、直径7.3mm×長さ6.5mm太径部6と、両者の間に位置し且つ長さ3mmで傾斜角度20度のテーパ部7とからなる素材W4となった。尚、上記軸部5の直径は、前記素材W0の直径に対し、約28%減少していた。
各例20個ずつの素材W4における軸部5を目視で観察し、表面に線状痕が一箇所でもあるか否かを調べた。その結果を表1に示した。
更に、各例20個ずつの素材W4に対し、前記図2で示したようなダイス15,19およびポンチ17,22を用いて、太径部6を軸方向に沿って2段階で据込むステップ(鍛造工程の据込みステップS5,S6)を行った。この結果、得られた各例20個ずつの中間素材W6は、軸部5がほぼ前記と同じで、太径部8が直径10mm×長さ5.5mmのボルト頭30となった。同時に、係るボルト頭30の頂面には、深さ0.5mmと浅い凹み30aが形成された。
そして、ダイス19に挿入されている状態で、各例20個ずつの中間素材W6におけるボルト頭30の頂面中央の凹み30aに対し、互いに対向し且つ平行な2辺間の長さが5mmで正六角形断面のポンチを軸方向に沿って押し込む、いわゆる六角目打ちを行った(鍛造工程の穿設ステップS7)。
そして、ダイス19に挿入されている状態で、各例20個ずつの中間素材W6におけるボルト頭30の頂面中央の凹み30aに対し、互いに対向し且つ平行な2辺間の長さが5mmで正六角形断面のポンチを軸方向に沿って押し込む、いわゆる六角目打ちを行った(鍛造工程の穿設ステップS7)。
この結果、上記2辺間の長さが5.3mmで深さ3.1mmの断面正六角形の穴32が各例のボルト頭30における中央部に穿設され、各例20個ずつの中間素材W7が得られた。尚、ボルト頭30の長さは、5.9mmと若干長くなった。
各例の中間素材W7におけるボルト頭30を観察し、その周面付近における変形部、または頂面や穴32付近における割れの有無を調べた。その結果も表1に示した。尚、表1中の( )内は、観察された線状痕を有する個数の総数を示す。
各例の中間素材W7におけるボルト頭30を観察し、その周面付近における変形部、または頂面や穴32付近における割れの有無を調べた。その結果も表1に示した。尚、表1中の( )内は、観察された線状痕を有する個数の総数を示す。
表1によれば、実施例1の中間素材W7では、軸部5の線状痕(かじり)やボルト頭30の変形および割れについては、全く生じていなかった。このことは、前記素材W0の表面に銅メッキ膜2と二硫化モリブデンの被膜3とを被覆したため、鍛造工程の各ステップS4〜S6による塑性変形を受けても、表層付近の潤滑作用が十分に行われたので、精度良く成形できたものと思われる。
また、実施例2では、先付工程(S3)を省略したため、3つの線状痕が生じ、実施例3では、潤滑工程(S2)を省略したため、1つの線状痕と2つの部分的変形とが生じた。
更に、実施例4では、潤滑工程と先付工程(S2,S3)との双方を省略したため、総数の25%に当たる5個で線状痕が、10%に当たる2個で変形や割れが生じた。
また、実施例2では、先付工程(S3)を省略したため、3つの線状痕が生じ、実施例3では、潤滑工程(S2)を省略したため、1つの線状痕と2つの部分的変形とが生じた。
更に、実施例4では、潤滑工程と先付工程(S2,S3)との双方を省略したため、総数の25%に当たる5個で線状痕が、10%に当たる2個で変形や割れが生じた。
一方、表1に示すように、比較例1の中間素材W7では、20個のうち18個に線状痕が確認され、且つ5個にボルト頭30の変形や割れが確認された。更に、比較例2の中間素材W7では、20個の全数で線状痕が確認され、且つ5個にボルト頭30の変形や割れが確認された。これらは、比較例1,2の素材W0が前記銅メッキ膜2を被覆せずに鍛造工程の各ステップS4〜S6による塑性変形を受けたため、表層付近の潤滑作用が不十分になったものと思われる。
更に、実施例1の中間素材W7について、前記各工程S7〜S12を施したチタン合金製ボルトBと、前記β型チタン合金からなる素材を切削加工によって前記と同じ寸法の軸部とボルト頭とに成形し、且つ前記各工程S7〜S12を施した従来の切削加工によるチタン合金製ボルトB′とについて、引張試験機で破断する際の強度を測定した。因みに、上記切削加工によるボルトB′の模式的断面を図9に示した。
その結果、実施例1のチタン合金製ボルトBは、軸部5で破断し、その際の破断強度は1200MPaであったのに対し、切削によるチタン合金製ボルトB′は、ボルト頭30と軸部5との境界で破断し(一般的に首抜けと称される)、その際の破断強度は1000MPaと低い値でしかなかった。
その結果、実施例1のチタン合金製ボルトBは、軸部5で破断し、その際の破断強度は1200MPaであったのに対し、切削によるチタン合金製ボルトB′は、ボルト頭30と軸部5との境界で破断し(一般的に首抜けと称される)、その際の破断強度は1000MPaと低い値でしかなかった。
これは、後者の鍛流線HLが、図9に示すように、ボルト頭30から軸部5にかけて鍛流線HLがつながっていない部分があるため、構造的に弱くなっている故と思われる。一方、実施例1のチタン合金製ボルトBは、前記図4で示したように、軸部5で鍛流線HLが密にになり、且つ過度に集中している部分がないため、強度の高い構造となったものと思われる。
以上のような実施例1〜4によって、本発明の作用が確認され、且つその効果が裏付けられたことが容易に理解される。
以上のような実施例1〜4によって、本発明の作用が確認され、且つその効果が裏付けられたことが容易に理解される。
尚、本発明のチタン合金製ボルトに用いるβ型チタン合金は、前記Ti−22wt%V−4wt%Alに限らず、これ以外のβ型チタン合金でも良い。
また、前記素材W0に被覆する金属被膜は、前記銅メッキ膜2に限らず、Sn、Zn、Auなどのメッキ膜としても良い。
更に、前記潤滑工程S2は、二硫化モリブデンの被膜3の他、黒鉛を被覆しても良く、あるいは潤滑工程S2自体を省略することも可能である。
また、前記先細形状部4を形成する先付工程S3を省略したり、鍛造工程の第1据込みステップS5を省略し、前記素材W4にダイス19およびポンチ22を用いて、直に鍛造工程の第2据込みステップS6を行っても良い。
更に、皮膜除去工程S9は、前記ショットブラストに替えて、サンドブラスト、酸洗、あるいは電気分解処理を行っても良い。
加えて、光沢処理工程S10は、前記バレル研磨に替えて、ショットブラストやサンドブラストを行っても良い。
また、前記素材W0に被覆する金属被膜は、前記銅メッキ膜2に限らず、Sn、Zn、Auなどのメッキ膜としても良い。
更に、前記潤滑工程S2は、二硫化モリブデンの被膜3の他、黒鉛を被覆しても良く、あるいは潤滑工程S2自体を省略することも可能である。
また、前記先細形状部4を形成する先付工程S3を省略したり、鍛造工程の第1据込みステップS5を省略し、前記素材W4にダイス19およびポンチ22を用いて、直に鍛造工程の第2据込みステップS6を行っても良い。
更に、皮膜除去工程S9は、前記ショットブラストに替えて、サンドブラスト、酸洗、あるいは電気分解処理を行っても良い。
加えて、光沢処理工程S10は、前記バレル研磨に替えて、ショットブラストやサンドブラストを行っても良い。
2…………………………銅メッキ膜(金属被膜)
3…………………………二硫化モリブデンの被膜
4…………………………先細形状部
5…………………………軸部(雄ネジ用の軸部)
6…………………………太径部
30………………………ボルト頭
32,32a〜32c…穴
36………………………雄ネジ
S1………………………被覆工程
S2………………………潤滑工程
S3………………………先付工程
S4………………………押出ステップ
S5,S6………………据込みステップ
S7………………………穿設ステップ
S9………………………被膜除去工程
S10……………………光沢処理工程
S11……………………冷間転造工程
S12……………………時効硬化処理工程
W0〜W8………………素材/中間素材
B…………………………チタン合金製ボルト
HL………………………鍛流線
3…………………………二硫化モリブデンの被膜
4…………………………先細形状部
5…………………………軸部(雄ネジ用の軸部)
6…………………………太径部
30………………………ボルト頭
32,32a〜32c…穴
36………………………雄ネジ
S1………………………被覆工程
S2………………………潤滑工程
S3………………………先付工程
S4………………………押出ステップ
S5,S6………………据込みステップ
S7………………………穿設ステップ
S9………………………被膜除去工程
S10……………………光沢処理工程
S11……………………冷間転造工程
S12……………………時効硬化処理工程
W0〜W8………………素材/中間素材
B…………………………チタン合金製ボルト
HL………………………鍛流線
Claims (9)
- β型チタン合金からなり、冷間鍛造によってボルト頭と雄ネジ用の軸部とに連続し且つほぼ外形に沿った鍛流線が形成されている、
ことを特徴とするチタン合金製ボルト。 - 前記ボルト頭は、前記雄ネジ用の軸部の反対側に位置する頂面に非円形断面の穴を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載のチタン合金製ボルト。 - β型チタン合金からなる素材の表面に、当該チタン合金よりも軟質の金属被膜を被覆する被覆工程と、
上記素材を冷間鍛造して、連続した鍛流線からなるボルト頭と雄ネジ用の軸部とを成形する鍛造工程と、を含む、
ことを特徴とするチタン合金製ボルトの製造方法。 - 前記鍛造工程は、前記素材を軸方向に押出成形して雄ネジ用の軸部を成形する押出ステップと、係る雄ネジ用の軸部を除いた上記素材の太径部を軸方向に沿って据込んでボルト頭を成形する据込ステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のチタン合金製ボルトの製造方法。 - 前記雄ネジ用の軸部の直径は、前記鍛造工程において、前記素材の直径に対して10%以上減少する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載のチタン合金製ボルトの製造方法。 - 前記鍛造工程に先だって、前記素材の一端面における円周縁を先細形状とする先付工程を有している、ことを特徴とする請求項3乃至5の何れか一項に記載のチタン合金製ボルトの製造方法。
- 前記鍛造工程は、前記据込ステップの後に、前記ボルト頭における前記雄ネジ用の軸部と反対側の頂面に非円形断面の穴を形成する穿設ステップを有する、ことを特徴とする請求項3乃至6の何れか一項に記載のチタン合金製ボルトの製造方法。
- 前記被覆工程と前記鍛造工程との間に、前記金属被膜が被覆された前記素材の表面に、更に二硫化モリブデンまたは黒鉛を被覆する潤滑工程を有する、ことを特徴とする請求項3乃至7の何れか一項に記載のチタン合金製ボルトの製造方法。
- 前記鍛造工程の後に、ボルト頭および雄ネジ用の軸部からなる成形体に対し、皮膜除去工程および光沢処理工程と、上記雄ネジ用の軸部の周面に雄ネジを転造する冷間転造工程および時効硬化処理工程と、が施される、ことを特徴とする請求項3乃至8の何れか一項に記載のチタン合金製ボルトの製造方法。
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