JP5642019B2 - スパークプラグ用電極部材およびスパークプラグの製造方法 - Google Patents

スパークプラグ用電極部材およびスパークプラグの製造方法 Download PDF

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本発明は、スパークプラグ用電極部材およびスパークプラグの製造方法に関するものである。
スパークプラグの中心電極は、一般に、長手方向に延出した形状を有しており、外周方向に張り出した鍔部と、鍔部よりも径が小さい大径部と、大径部よりも径が小さい小径部とを備えている。このような多段の径を有する中心電極を製造する方法としては、中心電極を製造するための円柱状部材を用意して、この円柱状部材を前方押出し加工することによって、より径が小さい部位(小径部)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−213150号公報
しかしながら、円柱状部材を押出し加工して先端部に小径部を形成する場合には、小径部においてキズ(主として縦キズ)が発生し易く、押出し加工における不良品の発生を充分に抑制することが困難となる場合があった。このような問題は、中心電極の製造時だけでなく、接地電極の製造時にも起こりうるものであり、多段の径(断面寸法)を有するスパークプラグ用電極部材の製造時に共通する問題であった。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、多段の断面寸法を有するスパークプラグ用電極部材を押出し加工により製造する際に、キズの発生を抑えて加工の信頼性を高めることを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実施することが可能である。
[適用例1]
所定の第1の断面寸法を有する大径部と、前記第1の断面寸法よりも小さい第2の断面寸法を有する小径部とを有するスパークプラグ用電極部材の製造方法であって、
(a)棒状部材を用意する工程と、
(b)前記棒状部材を金型に形成された鍛造空間に圧入して、前記スパークプラグ用電極部材の形状に鍛造する工程と、
を備え、
前記鍛造空間は、
圧入方向に垂直な断面の断面寸法が、前記棒状部材の断面寸法よりも大きい第1の拡大径部と、
前記第1の拡大径部よりも圧入方向下流側に配置され、圧入方向に垂直な断面の断面寸法が、前記第2の断面寸法に対応する大きさとなっている小径部形成部とを備える
スパークプラグ用電極部材の製造方法。
適用例1に記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法によれば、断面寸法が異なる複数段を有するスパークプラグ用電極部材を、1度の押出し加工の動作によって、支障なく作製することができる。この際に、金型の鍛造空間において、第1の拡大径部を設けることで、成形時における摩擦抵抗を軽減できるため、成形品に生じる縦キズを抑制することができる。
[適用例2]
適用例1記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法であって、前記第1の拡大径部における圧入方向に垂直な断面の幅と、前記棒状部材の断面の幅との差は、0.05mm以下であることを特徴とするスパークプラグ用電極部材の製造方法。適用例2記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法によれば、大径部における座屈や膨れ、あるいは曲がりの発生を抑制することができる。
[適用例3]
適用例1または2記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法であって、前記鍛造空間は、前記小径部形成部よりも圧入方向下流に、圧入方向に垂直な断面の幅が、前記小径部形成部よりも0.02mm〜0.05mm大きく形成された第2の拡大径部を備えるスパークプラグ用電極部材の製造方法。適用例3記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法によれば、成形時における摩擦抵抗を軽減できるため、スパークプラグ用電極部材における圧入方向の長さの精度を確保し、小径部における縦キズの発生や、大径部における座屈等の発生を抑えることができる。
[適用例4]
適用例1ないし3いずれか記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法であって、前記鍛造空間は、前記第1の拡大径部と前記小径部形成部との間に、前記棒状部材が前記小径部形成部に挿入されるのを誘導するための第1の導出部を備えることを特徴とするスパークプラグ用電極部材の製造方法。適用例4記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法によれば、大径部の断面寸法の精度を向上させることができる。
[適用例5]
適用例1ないし4いずれか記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法であって、前記鍛造空間は、前記第1の拡大径部と前記棒状部材が圧入される圧入口との間に、前記棒状部材が前記第1の拡大径部に挿入されるのを誘導するための第2の導出部を備えることを特徴とするスパークプラグ用電極部材の製造方法。適用例5記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法によれば、大径部の断面寸法の精度を向上させることができる。
[適用例6]
適用例1ないし5いずれか記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法であって、前記小径部形成部の圧入方向の長さは、0.3mm〜3.0mmであることを特徴とするスパークプラグ用電極部材の製造方法。適用例6記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法によれば、金型ライフの向上と、成形時の摩擦抵抗の低減とを両立することが可能になる。
[適用例7]
適用例1ないし6いずれか記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法であって、前記金型は、前記圧入方向に積層された複数の金型部材を備え、隣り合って配置される前記金型部材の接続面は、少なくとも前記拡大径部に配置されることを特徴とするスパークプラグ用電極部材の製造方法。適用例7記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法によれば、金型部材の接続部位における金型内壁の段差に起因して、製造途中のスパークプラグ用電極部材が損傷することを抑えることができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、スパークプラグの製造方法や、スパークプラグ用電極部材、あるいは、スパークプラグ電極部材を作製するための金型などの形態で実現することが可能である。
スパークプラグ100の部分断面図である。 中心電極20の部分断面図である。 スパークプラグ100の製造工程を示す工程図である。 中心電極20の製造方法の全体工程を示す説明図である。 押出成形体64を作製する様子を表わす説明図である。 金型80の構成を表わす断面模式図である。 金型80を用いて中心電極20を作製した時の様子を表わす説明図である。 第1の拡大径部83と棒状部材67の径差を異ならせて、評価を行なった結果を表わす説明図である。 小径部形成部86と第2の拡大径部87の径差を異ならせて、評価を行なった結果を表わす説明図である。 小径部形成部86の圧入方向の長さを異ならせて、評価を行なった結果を表わす説明図である。 中心電極120の外観の概略を表わす説明図である。 金型90の構成を表わす断面模式図である。
A.スパークプラグ100の構成および製造工程:
図1は、本発明の第1の実施形態としてのスパークプラグ100の部分断面図である。スパークプラグ100は、図1に示すように、軸線Oに沿って伸長する細長形状を有している。図1において、一点破線で示す軸線O−Oの右側は、外観正面図を示し、軸線O−Oの左側は、スパークプラグ100の中心軸を通る断面でスパークプラグ100を切断した断面図を示している。以下の説明では、軸線Oに平行であって図1の下方側を先端側と呼び、図1の上方側を後端側と呼ぶ。
スパークプラグ100は、絶縁碍子10と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40と、主体金具50とを備える。絶縁碍子10の一端から突出する棒状の中心電極20は、絶縁碍子10の内部を通じて、絶縁碍子10の他端に設けられた端子金具40に電気的に接続されている。中心電極20の外周は、絶縁碍子10によって保持され、絶縁碍子10の外周は、端子金具40から離れた位置で主体金具50によって保持されている。主体金具50に電気的に接続された接地電極30は、火花を発生させる隙間である火花ギャップを中心電極20の先端との間に形成する。スパークプラグ100は、内燃機関のエンジンヘッド200に設けられた取付ネジ孔201に主体金具50を介して取り付けられる。端子金具40に2万〜3万ボルトの高電圧が印加されると、中心電極20と接地電極30との間に形成された火花ギャップに火花が発生する。
絶縁碍子10は、アルミナを始めとするセラミックス材料を焼成して形成された絶縁体である。絶縁碍子10は、中心電極20および端子金具40を収容する軸孔12が中心に形成された筒状の部材である。絶縁碍子10の軸方向中央には外径を大きくした中央胴部19が形成されている。中央胴部19よりも端子金具40側には、端子金具40と主体金具50との間を絶縁する後端側胴部18が形成されている。中央胴部19よりも中心電極20側には、後端側胴部18よりも外径が小さい先端側胴部17が形成され、先端側胴部17の更に先には、先端側胴部17よりも小さい外径であって中心電極20側へ向かうほど外径が小さくなる脚長部13が形成されている。
主体金具50は、絶縁碍子10の後端側胴部18の一部から脚長部13に亘る部位を包囲して保持する円筒状の金具である。本実施形態では、主体金具50は、低炭素鋼により形成され、全体にニッケルめっきや亜鉛めっき等のめっき処理が施されている。主体金具50は、工具係合部51と、取付ネジ部52と、シール部54とを備える。主体金具50の工具係合部51は、スパークプラグ100をエンジンヘッド200に取り付ける工具(図示せず)が嵌合する。主体金具50の取付ネジ部52は、エンジンヘッド200の取付ネジ孔201に螺合するネジ山を有する。主体金具50のシール部54は、取付ネジ部52の根元に鍔状に形成され、シール部54とエンジンヘッド200との間には、板体を折り曲げて形成した環状のガスケット5が嵌挿される。主体金具50の先端面57は、中空の円状であり、その中央には、絶縁碍子10の脚長部13から中心電極20が突出する。
主体金具50の工具係合部51より後端側には薄肉の加締部53が設けられている。また、シール部54と工具係合部51との間には、加締部53と同様に薄肉の圧縮変形部58が設けられている。工具係合部51から加締部53にかけての主体金具50の内周面と絶縁碍子10の後端側胴部18の外周面との間には、円環状のリング部材6,7が介在されており、さらに両リング部材6,7間にタルク(滑石)9の粉末が充填されている。スパークプラグ100の製造時には、加締部53を内側に折り曲げるようにして先端側に押圧することにより圧縮変形部58が圧縮変形し、この圧縮変形部58の圧縮変形により、リング部材6,7およびタルク9を介し、絶縁碍子10が主体金具50内で先端側に向け押圧される。この押圧により、タルク9が軸線O方向に圧縮されて主体金具50内の気密性が高められる。
また、主体金具50の内周においては、取付ネジ部52の位置に形成された金具内段部56に、環状の板パッキン8を介し、絶縁碍子10の脚長部13の基端に位置する碍子段部15が押圧されている。この板パッキン8は、主体金具50と絶縁碍子10との間の気密性を保持する部材であり、燃焼ガスの流出が防止される。
中心電極20は、有底筒状に形成された電極母材21の内部に、電極母材21よりも熱伝導性に優れる芯材22を埋設した棒状の部材である。本実施形態では、電極母材21は、ニッケルを主成分とするニッケル合金から成り、芯材22は、銅または銅を主成分とする合金から成る。中心電極20は、電極母材21の先端が絶縁碍子10の軸孔12から突出した状態で絶縁碍子10の軸孔12に挿入され、セラミック抵抗3およびシール体4を介して端子金具40に電気的に接続されている。図2は、中心電極20の部分断面図である。中心電極20の後端部近傍には、外周側に張り出した形状の鍔部23が形成されている。鍔部23の先端側には、鍔部23よりも径の小さい大径部24が形成されている。本実施形態における大径部24の径を、ΦAと呼ぶ。ΦAの値は、例えば、1.5〜4.0mm、好ましくは、1.5〜3.0mmとすることができる。大径部24の先端側には、大径部24よりも径の小さい小径部25が形成されている。本実施形態における小径部25の径を、ΦBと呼ぶ。ΦBの値は、ΦAよりも小さい値であって、例えば、1.0〜2.9mm、好ましくは1.2〜2.9mmとすることができる。鍔部23は、軸孔12に形成された軸孔内段部14に後端側から当接して、中心電極20を絶縁碍子10内で位置決めする。これにより、大径部24の大部分が、絶縁碍子10の脚長部13内に配置される。小径部25は、絶縁碍子10の先端よりも先端側に突出され、既述した火花ギャップを形成する。
接地電極30(図1)は耐腐食性の高い金属から構成され、一例として、ニッケル合金が用いられる。この接地電極30の基端は、主体金具50の先端面57に溶接されている。接地電極30の先端側は、軸線Oと交差する方向に屈曲されており、接地電極30の先端部が、中心電極20の先端面と軸線O上で対向している。
図3は、本発明の一実施形態におけるスパークプラグの製造工程の概要を示すフローチャートである。ステップS100では、主体金具50と、絶縁碍子10と、中心電極20と、接地電極30とが準備される。ステップS110では、主体金具50に接地電極30が接合され、ステップS120では、曲げ工具(図示省略)を用いて接地電極30の先端が曲げ加工される。ステップS130では、主体金具50に中心電極20と絶縁碍子10とが挿入される組み付け工程が実施される。この組み付け工程によって、主体金具50の内側に絶縁碍子(絶縁体)10と中心電極20とが組み付けられた組立体が構成される。なお、組み付け工程としては、中心電極20を絶縁碍子10に組み付けたものを主体金具50に組み付ける方法と、絶縁碍子10を主体金具50に組み付けた後に、中心電極20を組み付ける方法とがあるが、これらのいずれを採用してもよい。ステップS140では、加締工具(図示省略)を用いて、主体金具50の加締加工が実施される。この加締加工により、絶縁碍子10が主体金具50に固定される。そして、ステップS150において主体金具50の取付ネジ部52にガスケット5が装着されて、スパークプラグ100が完成する。
なお、図3に示した製造方法は単なる一例であり、これとは異なる種々の方法でスパークプラグを製造可能である。例えば、ステップS100〜S150の工程の順序は、ある程度任意に変更可能である。
B.中心電極20の製造方法:
以下では、図4〜7を参照して本実施形態における中心電極20の製造方法を説明する。図4は、中心電極20の製造方法の全体工程を示す説明図である。本実施形態における中心電極20の製造方法では、まず、図4(A)に示すように、耐熱性および耐食性に優れたニッケルまたはニッケル合金等の線材を所定の長さに切断して冷間鍛造を行うことで、有底円筒状のカップ部材60を成形する。そして更に、カップ部材60よりも熱伝導性に優れた銅または銅合金等の線材を所定の長さに切断して冷間鍛造を行うことで、後端に鍔状の頭部61を有する円柱状の芯材62を成形する(工程A)。こうしてカップ部材60および芯材62を成形すると、所定の荷重によって、カップ部材60内に芯材62を圧入する(工程B)。そうすると、図4(B)に示すように、第1複合材63が形成される。カップ部材60は、図2に示した電極母材21の元となり、芯材62は、図2に示した芯材22の元となる。
なお、以下の説明では、金型を用いた各々の押出し加工工程(冷間鍛造の工程)における成形の対象物(製造途中の中心電極)を、単にワークとも呼ぶ。本実施形態では、各々の押出し加工工程において、金型およびワークに対して、潤滑剤が供給されている。そのため、押出し加工工程では、ワークは、潤滑剤を巻き込みながら、金型内に圧入される。なお、潤滑剤とは、ワーク挿入時の潤滑性を高めるものであり、例えば、潤滑油、グリース、潤滑ペースト、固体潤滑剤、あるいは、これらから選択される潤滑剤の混合物を用いることができる。本実施形態では、潤滑剤として潤滑油を用いている。
第1複合材63が作製されると、図4(C)に示すように、押出し加工によって、第1複合材63から押出成形体64を作製する(工程C)。図5は、押出成形体64を作製する様子を表わす説明図である。工程Cでは、第1複合材63を金型70の丸孔71へと挿入してパンチ72で押し込み、押出し加工を施す。これにより、第1複合材63の先端側が細径化され、図4(C)に示すように、第1複合材63よりも径が小さい軸部65と、軸部65の後端側であって押出し加工が施されていない部位である頭部66と、を有する押出成形体64が作製される。押出成形体64を金型70から取り出すと、その頭部66を含む後端側の一部分を切断することにより、図4(D)に示すように、一定の径(ΦA)を有する棒状部材67が形成される(工程D)。
棒状部材67が作製されると、図4(E)に示すように、押出し加工によって、棒状部材67から、径がΦAである大径部24と、径がΦBである小径部25と、鍔部23と、を備える中心電極20を作製する(工程E)。図6は、工程Eの押出し加工工程で用いる金型80の構成を表わす断面模式図である。金型80内には、所定の形状の鍛造空間80Sが形成されており、圧入口81から、図6に示す圧入方向へと、鍛造空間80S内に棒状部材67が挿入される。金型80内の鍛造空間80Sは、圧入口81側から圧入の向きに沿って順に、第2の導出部82と、第1の拡大径部83と、第1の導出部85と、小径部形成部86と、第2の拡大径部87と、を備えている。これらの各部は、圧入方向に垂直な断面の径が互いに異なるものであり、以下、順次説明する。
第2の導出部82は、圧入口81から挿入される棒状部材67を第1の拡大径部83へと誘導するための構造である。このような第2の導出部82では、金型80内に挿入された棒状部材67の軸を、第1の拡大径部83への挿入に先立って、圧入方向に平行な方向に近づけている。したがって、第2の導出部82は、棒状部材67の圧入に支障が無く、棒状部材67を圧入方向に平行な状態に保って鍛造空間内の下流側へと導くことができる大きさであればよい。すなわち、第2の導出部82における圧入方向に垂直な断面の径は、第1の拡大径部83の径よりも小さく、挿入する棒状部材67の径以上の大きさに形成されている。ここで、第2の導出部82の径が第1の拡大径部83の径よりも小さいとは、例えば、第1の拡大径部83の径よりも0.002mm以上小さいことをいう。本実施形態では、第2の導出部82における圧入方向に垂直な断面の径は、棒状部材67の径(棒状部材67の径の設計値、あるいは実測値、あるいは金型70の丸孔71の横断面の径の大きさであるΦA)に等しく形成されている。
第1の拡大径部83は、圧入方向に垂直な断面の径が、棒状部材67の径よりも大きく形成されている。第1の拡大径部83において、その両端を除く領域は、圧入方向に垂直な断面の径が均一である均一径部84を構成している。図6では、均一径部84の径を、ΦA+αと記載している。この第1の拡大径部83は、油だまりとして機能する。すなわち、押出し加工の際には、既述したように、金型およびワークに対して潤滑油が供給されているが、第1の拡大径部83を設けることにより、金型80内においてワークとの間に、より充分量の潤滑油を行き渡らせている。本実施形態では、第1の拡大径部83の均一径部84における圧入方向に垂直な断面の径と、棒状部材67の径との径差は、0.05mm以下としている。
第1の導出部85は、第1の拡大径部83を通過した棒状部材67が小径部形成部86に挿入されるのを誘導するための構造である。このような第1の導出部85では、第1の拡大径部83を通過したワークの軸を、小径部形成部86への圧入に先だって、圧入方向に平行な方向に近づけている。したがって、第1の導出部85は、棒状部材67の圧入に支障が無く、棒状部材67を圧入方向に平行な状態に保って鍛造空間内の下流側へと導くことができる大きさであればよい。すなわち、第1の導出部85における圧入方向に垂直な断面の径は、第1の拡大径部83の径よりも小さく、小径部形成部86の径よりも大きく形成されている。ここで、第1の導出部85の径が第1の拡大径部83の径よりも小さいとは、例えば、第1の拡大径部83の径よりも0.002mm以上小さいことをいう。本実施形態では、第1の導出部85における圧入方向に垂直な断面の径は、棒状部材67の径(棒状部材67の径の設計値、あるいは実測値、あるいは金型70の丸孔71の横断面の径の大きさであるΦA)に等しく形成されている。
小径部形成部86は、圧入方向に垂直は断面の径が、小径部25の径に等しく形成されている。すなわち、小径部形成部86における圧入方向に垂直な断面の径は、ΦBとなっている。金型80内に圧入される棒状部材67が、その先端側から小径部形成部86を通過することによって、棒状部材67の先端部に小径部25が形成される。なお本実施形態では、小径部形成部86の圧入方向の長さは、0.3mm〜3.0mmの範囲としている。
第2の拡大径部87は、圧入方向に垂直な断面の径が、小径部形成部86よりも大きく形成されている(図6では、ΦB+αと記載している)。本実施形態では、第2の拡大径部87における圧入方向に垂直な断面の径と、小径部形成部86における圧入方向に垂直な断面の径との径差は、0.02mm〜0.05mmとしている。
図7は、金型80を用いて押出し加工により中心電極20を作製した時の様子を表わす説明図である。図7では、中心電極20以外の部分を断面として表わしている。押出し加工の際には、鍔部23を形成するための型が先端面に形成されたパンチ88を用いて、棒状部材67が金型80内に押し込まれる。これにより、鍔部23と、断面の径がΦAである大径部24と、断面の径がΦBである小径部25とを有する中心電極20が作製される。なお、図7に示すように、金型80内には、成形後の中心電極20を金型80から取り出すためのキックアウトピン89が、中心電極20の設計上の長さに対応する位置に配置されている。
以上のように構成された本実施形態の中心電極20の製造方法によれば、断面の径の大きさが異なる複数段を有する中心電極20を、1度の押出し加工の動作によって、支障なく作製することができる。すなわち、複数段を成形するために複数回の鍛造の工程が不要となり、製造工程を簡素化することができる。このように、1度の押出し加工によって複数段を有する中心電極20を作製する際に、金型80の鍛造空間80Sにおいて、油だまりとして機能する第1の拡大径部83を設けることで、成形時の潤滑性を向上させ、得られる中心電極20(成形品)に生じる縦キズを抑制できる。
本実施形態における押出し加工は冷間鍛造であるが、金型80とワークの間の摩擦やワークの加工熱に起因して、ワークの圧入時には、金型80内が高温・高圧になる。このような状態で金型80とワーク間の摩擦抵抗が大きくなると、主として、径が小さくなるように成形した小径部形成部86において、ワークに縦キズが生じる。すなわち、製造した中心電極20の小径部25において縦キズが生じる。本実施形態のように、油だまりである第1の拡大径部83を設けることで、鍛造空間80Sのより下流側、すなわち、小径部形成部86にまでも、潤滑油を充分に行き渡らせることが可能になり、摩擦抵抗を抑えて縦キズの形成を抑制できる。また、油だまりである第1の拡大径部83を設けてワークの圧入時の摩擦抵抗を低減できることにより、金型80内へのワークの圧入動作が容易となり、圧入時に金型80にかかる負荷を低減して金型寿命(以下、金型ライフともいう)を向上させることができる。
特に、本実施形態では、第1の拡大径部83の均一径部84における圧入方向に垂直な断面の径と、棒状部材67の径との径差を、0.05mm以下としているため、大径部24における座屈や膨れ、あるいは曲がり(以下、座屈等とも呼ぶ)の発生を抑制することができる。押出し加工の際には、金型80内の潤滑油が、径が細くなっている圧入方向先端側から、第1の拡大径部83における金型側面とワークとの間に押し戻される。このとき、第1の拡大径部83における金型側面とワークとの間の空間が大きすぎると、第1の拡大径部83内において、ワークが潤滑油に押されて凹み、あるいは、一部が凹むことに起因してワークの他の部分が膨らみ、大径部24において座屈等が生じる場合がある。本実施形態では、第1の拡大径部83の均一径部84における圧入方向に垂直な断面の径と、棒状部材67の径との径差を、0.05mm以下として、ワークの周囲の空間を抑制することで、大径部24における座屈等の発生を抑制している。なお、第1の拡大径部83の均一径部84における圧入方向に垂直な断面の径と、棒状部材67の径との径差は、0.005mm以上であることが望ましく、0.02mm以上であることが、さらに望ましい。
図8は、第1の拡大径部83の均一径部84における圧入方向に垂直な断面の径と、棒状部材67の径との径差を異ならせて、成形品の小径部25に生じるキズの有無と、成形品の大径部24に生じる座屈等の有無を比較した結果を表わす説明図である。ここでは、図6に示した金型80において、押出し加工に用いた棒状部材67の径(ΦA)と、金型における第1の拡大径部83における径の径差以外の条件は同じにして、各々の条件について5個ずつの金型を用意して、押出し加工による中心電極20の製造を行なった。成形品の小径部25に生じる縦キズの発生の有無、および、成形品の大径部24に生じる座屈等の有無の判定は、目視により行なった、図8では、キズや座屈等の発生した成形品の数を記載している。なお、ここでは、ΦAは、2.6mmとした。図8に示すように、ΦAと第1の拡大径部83の径差を0.05mm以下とすることで、大径部24における座屈等の発生を抑制できることが確認された。また、ΦAと第1の拡大径部83の径差を0.02mm以上とすることで、摩擦抵抗を低減して成形品におけるキズの発生を抑制する効果をより高められることが確認された。なお、ΦAの値は、既述したように所定の範囲内で変更可能であるが、ΦAと第1の拡大径部83の径差である0.05mmという値は、ΦAの値に比べて極めて小さい。そのため、ΦAの値が既述した範囲で変更される場合であっても、ΦAと第1の拡大径部83の望ましい径差の値は、同様の値となる。
また、本実施形態の中心電極20の製造方法によれば、金型80において、小径部形成部86よりも圧入方向先端側に、第2の拡大径部87を設けているため、成形時における摩擦抵抗を軽減でき、金型内に巻き込んだ潤滑油を逃がすことができる。金型80への圧入時の抵抗が大きいと、棒状部材67の金型80内への圧入が抑制されて、抵抗がより小さいパンチ88内で鍔部が膨れ、鍔部よりも先端側の長さの伸びが抑えられる場合がある。また、摩擦抵抗が大きいと、小径部25に縦キズが発生し易くなる。本実施形態では、第2の拡大径部87を設けて摩擦抵抗を抑えているため、中心電極20において、鍔部23よりも先端側の長さの精度を高め、小径部25におけるキズの発生を抑えることができる。
図9は、小径部形成部86と第2の拡大径部87の径差を異ならせて、成形品の小径部25に生じるキズの有無と、鍔部23よりも先端側の長さのばらつきと、成形品に生じる座屈等の有無を比較した結果を表わす説明図である。ここでは、図6に示した金型80において、小径部形成部86の径(ΦB)と、第2の拡大径部87の径との径差以外の条件は同じにして、各々の条件について5個ずつの金型を用意して、押出し加工による中心電極20の製造を行なった。成形品の小径部25に生じる縦キズの発生の有無、および、成形品に生じる座屈等の有無の判定は、目視により行なった、図9では、キズや座屈等の発生した成形品の数を記載している。なお、ここでは、成形品に生じる座屈等とは、小径部25に生じる座屈等を指す。また、鍔部23よりも先端側の長さのばらつきは、同一条件で作製した5個の中心電極20について、鍔部23よりも先端側の長さを測定して平均値を求め、平均値から最もばらついた値と平均値との差として求めた。なお、ここでは、ΦBは、2.5mmとした。
図9に示すように、ΦBと第2の拡大径部87の径差を0.02mm以上とすることで、摩擦抵抗を低減して、成形品におけるキズの発生を抑制すると共に鍔部23の先端側長さの精度を高める効果を、より高められることが確認された。また、ΦBと第2の拡大径部87の径差を0.05mm以下とすることで、小径部25における座屈等の発生を抑制できることが確認された。ここで、押出し加工に用いる金型80内には、既述したように、成形後の中心電極20を金型80から取り出すためのキックアウトピン89が、中心電極20の設計上の長さに対応する位置に配置されている(図7参照)。ΦBと第2の拡大径部87の径差が大きすぎると、例えば、ワークの圧入時にワークの先端がキックアウトピン89に当接して、キックアウトピン89からワークに対して反力が加えられる際に、第2の拡大径部87において小径部25において座屈等が生じると考えられる。また、キックアウトピン89を用いて金型80から中心電極20を取り出す際に、キックアウトピン89から中心電極20に対して圧力が加えられる際に、第2の拡大径部87において小径部25において座屈等が生じると考えられる。なお、ΦBの値は、既述したように所定の範囲内で変更可能である。このようにΦBの値を変更する場合であっても、ΦBと第2の拡大径部87の径差を、0.02〜0.05mmの範囲とすることで、同様の効果が得られる。特に、ΦBの値の変化率が、例えば21%以下であれば、ΦBの値が変化することによる影響を、小さく抑えることができる。
また、本実施形態の中心電極20の製造方法によれば、金型80において、第1の拡大径部83と小径部形成部86の間に、径がΦAに等しい第1の導出部85を設けているため、大径部24の径の寸法精度を向上させることができる。例えば、径がΦAよりも大きい第1の拡大径部83と、小径部形成部86とが直接接続されている場合には、小径部形成部86における圧入時の抵抗が大きいために、第1の拡大径部83においてワークが膨らみ変形する可能性がある。これに対して、第1の拡大径部83と小径部形成部86の間に第1の導出部85を設けることで、小径部形成部86の抵抗の大きさに起因する大径部24の膨らみを抑制することができる。また、第1の拡大径部83を通過する際に、ワークに若干の膨らみが生じたとしても、第1の導出部85を通過させることにより、生じた膨らみを補正することができる。さらに、第1の導出部85を設けることで、径がΦAよりも大きい第1の拡大径部83を通過したワークの軸を、小径部形成部86への圧入に先だって、圧入方向に平行で真っ直ぐな状態に補正することができる。このように、ワークの軸を補正することによっても、大径部24の径の寸法精度を向上させることができる。
さらに、本実施形態の中心電極20の製造方法によれば、金型80において、第1の拡大径部83と圧入口81との間に、圧入方向に垂直な断面の径がΦAに等しい第2の導出部82を設けているため、大径部24の径の寸法精度を向上させることができる。例えば、第2の導出部82を設けることなく圧入口81に連続して第1の拡大径部83を設ける場合には、第1の拡大径部83の壁面とワークの間に空間が設けられていることにより、パンチ88から加えられる圧力に起因して、第1の拡大径部83においてワークが膨らみ変形する可能性がある。これに対して、本実施形態のように第2の導出部82を設ける場合には、第2の導出部82おいて、パンチ88から加えられる圧力を受け止めて、ワークの膨らみ(変形)を抑制することができ、大径部24の径の寸法精度を向上させることができる。また、第2の導出部82を設けることにより、金型80内に挿入された棒状部材67の軸を、径が大きく形成された第1の拡大径部83への挿入に先立って、圧入方向に平行で真っ直ぐな状態に補正することができる。このように、ワークの軸を補正することによっても、大径部24の径の寸法精度を向上させることができる。
なお、上記のように、第1の導出部85あるいは第2の導出部82を設けて、中心電極20の大径部24の径の寸法精度を向上させることにより、大径部24がスパークプラグ100の使用時に熱により膨らむ場合に、膨らみに起因して絶縁碍子10に割れが発生することを抑制できる。また、大径部24の径の寸法精度が向上すると、中心電極20と絶縁碍子10との面接触の信頼性が向上するため、中心電極20から絶縁碍子10への熱の伝導性を向上させることが可能になり、中心電極20の発熱が過剰となることを抑制できる。
また、本実施形態の中心電極20の製造方法によれば、金型80において、小径部形成部86の圧入方向の長さを、0.3mm〜3.0mmとしているため、金型80の金型ライフの向上と、成形時の摩擦抵抗の低減とを両立することが可能になる。すなわち、小径部形成部86の圧入方向の長さが短すぎると、金型における小径部形成部の部分の摩耗が進行して、金型ライフが低下しやすくなる。また、小径部形成部86の圧入方向の長さが長すぎると、小径部形成部86内に供給される潤滑油が不足して摩擦抵抗が大きくなり、小径部25における縦キズ発生の原因となる。小径部形成部86の圧入方向の長さを上記範囲とすることにより、これらの問題を共に抑制することが可能になる。
なお、押出し加工時には、金型80内において、ワークとの間の摩擦熱やワークの加工熱により温度が上昇するため、金属拡散により金型80とワークが一部合金化して、生じた合金が金型80の表面に付着する現象、いわゆる焼き付きが生じる。このような焼き付きの発生は、ワークにキズが生じる主要な原因の一つである。このような焼き付きは、小径部形成部86が短いほど生じにくい。本実施形態では、小径部形成部86の長さを3.0mm以下とすることで、焼き付きの発生を抑えてキズの発生を抑制している。
図10は、小径部形成部86の圧入方向の長さを異ならせて、成形品の小径部25に生じるキズの有無と、金型ライフを比較した結果を表わす説明図である。ここでは、図6に示した金型80において、小径部形成部86の圧入方向の長さ以外の条件は同じにして、各々の条件について5個ずつの金型を用意して、押出し加工による中心電極20の製造を行なった。成形品の小径部25に生じる縦キズの発生の有無の判定は、目視により行なった、図10では、キズが発生した成形品の数を記載している。また、金型ライフは、同一の金型を用いて繰り返し中心電極の作製を行ない、所定形状のものができなくなるまで、すなわち、小径部形成部86が摩耗して、作製した中心電極の形状が、許容可能な範囲として設定した数値範囲を外れるようになるまでの、作製された中心電極の数により評価した。図10では、小径部形成部86の圧入方向の長さが0.1mmである金型において、所望形状のものができなくなるまでに作製された中心電極の数を1として、相対値により表わしている。
図10に示すように、小径部形成部86の圧入方向の長さを3.0mm以下とすることで、小径部形成部86における摩擦抵抗を抑えて、小径部25に発生する縦キズを抑制できることが確認された。また、小径部形成部86の圧入方向の長さを0.3mm以上とすることで、金型ライフを向上可能になることが確認された。
C.第2の実施形態:
第1の実施形態では、多段の径を有するスパークプラグ用電極部材として、大径部24と小径部25という2段の径を有する中心電極20を作製したが、異なる段数の中心電極を作製することとしても良い。以下に、第2の実施形態として、3段の径を有する中心電極120の製造方法について説明する。
図11は、第2の実施形態の中心電極120の外観の概略を表わす説明図である。第2の実施形態において、第1の実施形態と共通する部分には、同じ参照番号を付して詳しい説明は省略する。中心電極120は、鍔部23と、大径部24と、大径部24よりも先端側の部位である第1の小径部125と、第1の小径部125よりも先端側の部位である第2の小径部126と、を備えている。本実施形態では、第1の実施形態と同様に、大径部24の径を、ΦAと呼ぶ。第1の小径部125は、大径部24よりも径が小さく形成されており、第1の小径部125の径を、ΦCと呼ぶ。第2の小径部126は、第1の小径部125よりも径が小さく形成されており、第2の小径部126の径を、ΦDと呼ぶ。第2の小径部126は、絶縁碍子10の先端よりも先端側に突出され、第1の実施形態の小径部25と同様に、既述した火花ギャップを形成する。
一般に、中心電極においては、絶縁碍子10との間の伝熱を確保するために、後端側において充分に径が大きい部位を設ける必要がある。そのため、第1および第2の実施形態の中心電極では、鍔部23の近傍に、径がΦAである大径部24を設けている。また、中心電極においては、火炎から熱を奪うことを抑制するために、火花ギャップを形成する先端部における径を充分に小さくする必要がある。第1の実施形態の中心電極20における小径部25の径(ΦB)や、第2の実施形態の中心電極120における第2の小径部126の径(ΦD)の大きさは、このような観点から設定される。ここで、スパークプラグの使用中に中心電極の熱膨張に起因して絶縁碍子が損傷することを抑制するためには、絶縁碍子と中心電極の間に隙間が確保されることが望ましい。そのため、第2の実施形態の中心電極120では、大径部24と第2の小径部126との間に、上記隙間を確保するための中間的な径を有する第1の小径部125を設けている。なお、中心電極は、3段を越える多段の径を有する形状としても良い。
図12は、第1の実施形態と同様の棒状部材67から、押出し加工により中心電極120を作製するために用いる金型90の構成を表わす断面模式図である。図12では、金型90内で製造される中心電極120の様子が、破線で示されている。金型90内には、所定の形状の鍛造空間90Sが形成されており、圧入口91から鍛造空間90S内に棒状部材67が挿入される。金型90内の鍛造空間90Sは、圧入口91側から圧入の向きに沿って順に、第2の導出部82と、第1の拡大径部83と、第1の導出部85と、第1の小径部形成部92と、第2の拡大径部93と、第3の導出部94と、第2の小径部形成部95と、第3の拡大径部96と、を備えている。これらの各部は、圧入方向に垂直な断面の径が互いに異なるものであり、以下、順次説明する。
第2の導出部82、第1の拡大径部83、第1の導出部85は、第1の実施形態と同様の構成である。第1の小径部形成部92は、圧入方向に垂直は断面の径が、第1の小径部125の径に等しく形成されている。すなわち、第1の小径部形成部92における圧入方向に垂直な断面の径は、ΦCとなっている。金型90内に圧入される棒状部材67が、その先端側から第1の小径部形成部92を通過することによって、棒状部材67の先端部の径がΦCとなる。
第2の拡大径部93は、圧入方向に垂直な断面の径が、第1の小径部形成部92よりも大きく形成されている(図12では、ΦC+αと記載している)。本実施形態では、第2の拡大径部93における圧入方向に垂直な断面の径と、第1の小径部形成部92における圧入方向に垂直な断面の径との径差は、0.02mm〜0.05mmとしている。
第3の導出部94は、圧入方向に垂直な断面の径が、第1の小径部形成部92の径に等しく形成されている。すなわち、第3の導出部94における圧入方向に垂直な断面の径は、ΦCとなっている。このような第3の導出部94を設けることで、第2の拡大径部93を通過する際に、ワークに若干の膨らみが生じたとしても、生じた膨らみを補正することができる。また、径がΦCよりも大きい第2の拡大径部93を通過したワークの軸を、第2の小径部形成部95への圧入に先だって、圧入方向に平行で真っ直ぐな状態に補正することができる。
第2の小径部形成部95は、圧入方向に垂直は断面の径が、第2の小径部126の径に等しく形成されている。すなわち、第2の小径部形成部95における圧入方向に垂直な断面の径は、ΦDとなっている。金型90内に圧入される棒状部材67が、その先端側から第2の小径部形成部95を通過することによって、棒状部材67の先端部の径がΦDとなる。
第3の拡大径部96は、圧入方向に垂直な断面の径が、第2の小径部形成部95よりも大きく形成されている(図12では、ΦD+αと記載している)。本実施形態では、第3の拡大径部96における圧入方向に垂直な断面の径と、第2の小径部形成部95における圧入方向に垂直な断面の径との径差は、0.02mm〜0.05mmとしている。
以上のように構成された本実施態様の中心電極120の製造方法においても、第1の実施の態様における中心電極20の製造方法と同様の効果が得られる。
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D1.変形例1:
第1および第2の実施の態様では、図4に示したように、第1の金属材料を備えるカップ部材60と、第1の金属材料よりも熱伝導性に優れた第2の金属材料を備える芯材62とを一体化した第1複合材63を用いて中心電極を作製したが、異なる構成としても良い。例えば、第1の金属材料を備える部材と第2の金属材料を備える部材を一体化し、さらに、第2の金属材料を備える部材の内部に、熱伝導性に優れた金属(例えば、純ニッケル)を封入して中心電極を製造する際に、本願発明を適用しても良い。あるいは、第1および第2の実施の態様とは異なり、第2の金属材料(銅、あるいは銅合金等)を省略した部材(例えば、ニッケル合金のみによって構成される部材)を用いて、中心電極を製造する際に、本願発明を適用しても良い。
D2.変形例2:
押出し加工に用いる金型を、1または複数の箇所で分割して、複数の金型部材によって構成しても良い。金型の分割面は、例えば、圧入方向に垂直な方向とすることができる。このような金型の分割面(隣り合って配置される金型部材の接続面)は、少なくとも、第1の拡大径部83や第2の拡大径部87、93のいずれかを横断する位置に配置することが望ましい。第2の実施の態様においては、第3の拡大径部96を横断する位置に配置しても良い。
このように、金型の分割部位を、金型の内壁とワークとが接触しない部位のみに設けることで、分割部位における金型内壁の段差に起因して、ワークが損傷することを抑えることができる。また、金型部材を接続する際の誤差等を考慮すると、金型内壁の段差の影響を抑制するためには、鍛造空間における圧入方向に垂直な断面の径が一定であることが望ましい。そのため、例えば、第1の拡大径部83を横断する位置に分割面を配置する場合には、均一径部84を横断するように分割面を配置することが望ましい。なお、複数の金型部材によって金型を構成する場合には、複数の金型部材は、例えば所定形状のケースの中で積み上げて、ネジ止め等により締結すればよい。
D3.変形例3:
第1および第2の実施形態では、中心電極を作製する際に本願発明を適用したが、異なるスパークプラグ用電極部材、すなわち、接地電極を製造する際に、本願発明を適用しても良い。多段の径を有する、具体的には、後端側から先端側に向かって外径が段階的に細径化された径を有するスパークプラグ用電極部材を製造する際に、本願発明を適用することで、第1および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
D4.変形例4:
第1および第2の実施形態では、棒状部材67および押出し加工により得られる中心電極20,120の断面形状を円形としたが、異なる形状としても良く、例えば、楕円としても良い。金型において、圧入方向に垂直な断面の断面寸法が棒状部材の断面寸法よりも大きい第1の拡大径部を設ける際に、中心電極の断面形状が円形の場合には、上記断面寸法を断面の直径とすれば良く、断面が楕円の場合には、上記断面寸法を断面の長径とすればよい。また、断面形状は多角形であっても良い。中心電極の大径部が、断面形状(断面の幅)が軸方向に一定であって、金型内の第1の拡大径部の断面の幅が、大径部の断面の幅よりも大きければよい。第1および第2の実施形態では、金型内の第1の拡大径部の圧入方向に垂直な断面の形状は、上記大径部の断面形状に対して、相似形としたが、必ずしも相似形である必要はない。第1の拡大径部の圧入方向に垂直な断面と、大径部(圧入されたワーク)との間に、既述した所定範囲の間隙(クリアランス)が形成される形状であればよい。具体的には、第1の拡大径部において、ワークの周りに、0.05mm以下のクリアランスが形成されればよい。
D5.変形例5:
第1および第2の実施形態では、棒状部材からスパークプラグ用電極部材を押出し加工する工程を冷間鍛造としたが、異なる鍛造加工、具体的には、温間鍛造あるいは熱間鍛造としても良い。金型を用いた圧縮成型を行なう際に、金型内の鍛造空間の形状において本願発明を適用することで、第1および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
3…セラミック抵抗
4…シール体
5…ガスケット
6,7…リング部材
8…板パッキン
9…タルク
10…絶縁碍子
12…軸孔
13…脚長部
14…軸孔内段部
15…碍子段部
17…先端側胴部
18…後端側胴部
19…中央胴部
20,120…中心電極
21…電極母材
22…芯材
23…鍔部
24…大径部
25…小径部
30…接地電極
40…端子金具
50…主体金具
51…工具係合部
52…取付ネジ部
53…加締部
54…シール部
56…金具内段部
57…先端面
58…圧縮変形部
60…カップ部材
61…頭部
62…芯材
63…第1複合材
64…押出成形体
65…軸部
66…頭部
67…棒状部材
70…金型
71…丸孔
72…パンチ
80,90…金型
80S,90S…鍛造空間
81,91…圧入口
82…第2の導出部
83…第1の拡大径部
84…均一径部
85…第1の導出部
86…小径部形成部
87…第2の拡大径部
88…パンチ
89…キックアウトピン
92…第1の小径部形成部
93…第2の拡大径部
94…第3の導出部
95…第2の小径部形成部
96…第3の拡大径部
100…スパークプラグ
120…中心電極
125…第1の小径部
126…第2の小径部
200…エンジンヘッド
201…取付ネジ孔

Claims (7)

  1. 所定の第1の断面寸法を有する大径部と、前記第1の断面寸法よりも小さい第2の断面寸法を有する小径部とを有するスパークプラグ用電極部材の製造方法であって、
    (a)棒状部材を用意する工程と、
    (b)前記棒状部材を金型に形成された鍛造空間に圧入して、前記スパークプラグ用電極部材の形状に鍛造する工程と、
    を備え、
    前記鍛造空間は、
    圧入方向に垂直な断面の断面寸法が、前記棒状部材の断面寸法よりも大きい第1の拡大径部と、
    前記第1の拡大径部よりも圧入方向下流側に配置され、圧入方向に垂直な断面の断面寸法が、前記第2の断面寸法に対応する大きさとなっている小径部形成部とを備え
    前記第1の拡大径部における圧入方向に垂直な断面の幅と、前記棒状部材の断面の幅との差は、0.05mm以下であることを特徴とする
    スパークプラグ用電極部材の製造方法。
  2. 請求項1記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法であって、
    前記鍛造空間は、前記小径部形成部よりも圧入方向下流に、圧入方向に垂直な断面の幅が、前記小径部形成部よりも0.02mm〜0.05mm大きく形成された第2の拡大径部を備える
    スパークプラグ用電極部材の製造方法。
  3. 請求項1または2記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法であって、
    前記鍛造空間は、前記第1の拡大径部と前記小径部形成部との間に、前記棒状部材が前記小径部形成部に挿入されるのを誘導するための第1の導出部を備えることを特徴とする
    スパークプラグ用電極部材の製造方法。
  4. 請求項1ないしいずれか記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法であって、
    前記鍛造空間は、前記第1の拡大径部と前記棒状部材が圧入される圧入口との間に、前記棒状部材が前記第1の拡大径部に挿入されるのを誘導するための第2の導出部を備えることを特徴とする
    スパークプラグ用電極部材の製造方法。
  5. 請求項1ないしいずれか記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法であって、
    前記小径部形成部の圧入方向の長さは、0.3mm〜3.0mmであることを特徴とする
    スパークプラグ用電極部材の製造方法。
  6. 請求項1ないしいずれか記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法であって、
    前記金型は、前記圧入方向に積層された複数の金型部材を備え、
    隣り合って配置される前記金型部材の接続面は、少なくとも前記拡大径部に配置されることを特徴とする
    スパークプラグ用電極部材の製造方法。
  7. 中心電極と、
    前記中心電極の外周に配置された絶縁体と、
    前記絶縁体の外周に配置された主体金具と、
    一端部が前記主体金具に接合され、他端部が前記中心電極と対向するように配置された接地電極と
    を備えるスパークプラグの製造方法であって、
    請求項1ないしいずれか記載のスパークプラグ用電極部材の製造方法により製造したスパークプラグ用電極部材を、前記中心電極および/または前記接地電極として用いて、前記スパークプラグを製造する
    スパークプラグの製造方法。
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