JP2012083383A - 露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置全体を大型化することなく、P偏光及びS偏光の直線偏光の露光光の双方を選択的に出射可能である露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置1には、光源11からの露光光が入射されこれをP偏光の直線偏光及びS偏光の直線偏光の露光光に分割する偏光ビームスプリッタ15が設けられている。そして、この偏光ビームスプリッタ15は露光光の光軸を回転中心として回転可能に設けられていると共に、その回転中心に対する反射透過面の方向が90°相違する第1の位置と第2の位置とに設定可能に構成されている。そして、偏光ビームスプリッタ15の位置を第1の位置と第2の位置とで切り替えることにより、P偏光及びS偏光の直線偏光の露光光の双方を選択的に出射可能である。
【選択図】図1
【解決手段】露光装置1には、光源11からの露光光が入射されこれをP偏光の直線偏光及びS偏光の直線偏光の露光光に分割する偏光ビームスプリッタ15が設けられている。そして、この偏光ビームスプリッタ15は露光光の光軸を回転中心として回転可能に設けられていると共に、その回転中心に対する反射透過面の方向が90°相違する第1の位置と第2の位置とに設定可能に構成されている。そして、偏光ビームスプリッタ15の位置を第1の位置と第2の位置とで切り替えることにより、P偏光及びS偏光の直線偏光の露光光の双方を選択的に出射可能である。
【選択図】図1
Description
本発明は、露光対象部材に対して、P偏光及びS偏光の直線偏光の露光光の双方を夫々選択的に照射可能な露光装置に関し、特に3Dディスプレイ用の偏光フィルムの製造及びガラス基板表面への配向膜の形成に好適な露光装置に関する。
従来、例えば液晶ディスプレイ等に使用されている液晶としては、複数個のベンゼン又はシクロヘキサン分子と両端部の修飾基からなる棒状の分子により構成されたものが使用されており、棒状の液晶分子を均一な方向に整列させることにより、液晶ディスプレイ等の視野角及びコントラスト等を調整することが行われている。
液晶分子の整列には、従来、液晶を挟持するガラス基板の表面に例えばポリイミド等からなる配向膜を形成し、配向膜間に液晶を挟持することにより、配向膜の配向方向に合わせて液晶分子を所定の方向に整列させることが行われている。
ガラス基板の表面に配向膜を形成する際には、例えばポリイミド溶液をガラス基板上に塗布・焼成して数十nm程度のポリイミド膜(配向材料膜)を形成した後、表面に布が巻き付けられたラビングローラ(例えば特許文献1)により、ポリイミド膜(配向材料膜)の表面を一方向に擦るという製造方法が採用されている。
しかしながら、ガラス基板の表面に配向膜を形成して液晶分子を整列させる方法においては、配向膜の形成に上記のような製造方法を採用しているため、擦られてローラから離脱したラビング布及び削り取られたポリイミド膜等の塵により、配向膜が傷ついたり、塵そのものが配向膜の表面に付着してしまう。よって、液晶ディスプレイの表示ムラ及び表示不良につながりやすいという問題点がある。
この問題点を解決するために、近時、配向材料膜の配向に紫外線を使用する光配向という技術が提案されている。即ち、直線偏光又は無偏光の紫外光をポリイミド又はアゾベンゼン等の配向材料膜に照射することにより、配向材料膜は、その光分解特性により、同一方向に配向する。従って、光による非接触方式により配向性のよい配向膜を形成することができ、液晶ディスプレイ等の表示ムラ及び表示不良を防止できる。
ところで、近時、3D(Three Dimensional)ディスプレイ装置の開発がますます進んでいるが、この3Dディスプレイのガラス基板の表面に貼る偏光フィルムの製造においても、上記光配向の技術が採用されている。図9に、従来の光配向方式の露光装置の一例を示す。図9に示すように、従来の光配向方式の露光装置10においては、光源11から出射された露光光は、反射ミラー12により反射された後、フライアイレンズ(インテグレータ)13にてその強度を光軸に垂直な面内で均一化される。そして、フライアイレンズ13の透過光がコンデンサレンズ14にて平行光に変換される。コンデンサレンズ14の透過光は、マスク16を介して、フィルム基材又はガラス基板上の配向材料膜に照射される。図10(a)に示すように、マスク16には、例えばフィルム及びガラス基板等の露光対象部材のスキャン方向に長手方向を有するような光透過領域のパターン16cが一定の間隔で、例えば透過光の照射領域が画素の幅ずつ離隔するように複数本形成されて、光透過領域群が構成されており、露光光を連続的に照射しながら、露光対象部材をスキャン方向に移動させていくことにより、同一の方向に配向した配向膜をスキャン方向に帯状に形成することが行われている。そして、帯状に形成された配向膜間の未露光の領域には、照射する露光光の偏光方向を変えるか、又は異なる方向から露光光を照射することにより、図10(b)に示すように、既に形成された配向膜とは異なる方向に配向した配向膜(図10(b)における二点鎖線部)を形成する。これにより、配向方向が異なる配向膜を相互に隣接するように形成することができる。
このような構成の露光装置10を使用して3Dディスプレイ用偏光フィルムを製造する際には、例えば1回の露光による配向膜の形成領域を3Dディスプレイ装置の画素の幅ごとに離隔するように構成し、照射する露光光の偏光方向を、隣接する画素となる領域ごとに夫々P偏光及びS偏光の直線偏光にすることが行われている。
従って、図9に示すような従来の露光装置においては、コンデンサレンズ14を透過した平行光をS偏光の直線偏光又はP偏光の直線偏光とする必要がある。従って、従来の3Dディスプレイ用偏光フィルムを製造する露光装置においては、P偏光及びS偏光のいずれかの直線偏光のみがマスクを透過するように構成する必要がある。しかしながら、この場合、1つの露光装置により、P偏光又はS偏光のいずれかの露光光のみしか出射することができなくなり、2種類の露光光を使用するためには、露光装置を2台設置する必要があり、設備コストが増大するだけでなく、露光装置が大型化するという問題点がある。
1台の露光装置において、露光光の偏光状態を調整する技術としては、例えば特許文献1乃至3に開示されたものがある。特許文献1及び2の露光装置は、λ/2板及びデポラライザ等の偏光度調整部材をレーザ光路に複数個並べて配置し、夫々をレーザ光の光軸に対して回転可能に構成している。
また、特許文献3の露光装置においては、例えば偏光ビームスプリッタ等の偏光変換素子15を、各レンズ等により構成された光学系の下流に配置し、マスクに透過させるレーザ光の偏光度を偏光変換素子により調整可能に構成している。
しかしながら、上記従来技術においては、以下のような問題点がある。特許文献1及び2の露光装置は、λ/2板及びデポラライザ等の偏光度調整部材をレーザ光路に複数個並べて配置しているため、露光光の光路が長くなって装置が大型化したり、また、各偏光度調整部材の回転を制御する機構も複雑になる。
また、上記従来の露光装置10においては、マスク16の複数本の光透過領域のパターンに透過させるために、露光光を各レンズ等からなる光学系に透過させて照射領域を大きくしている。従って、偏光ビームスプリッタ等の偏光変換素子15を各レンズ等の光学系の下流に配置すると、マスク16の光透過領域の全体の大きさに対応させた大きな偏光変換素子が必要となり、露光装置が大型化するという問題点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、装置全体を大型化することなく、P偏光及びS偏光の直線偏光の露光光の双方を選択的に出射可能である露光装置を提供することを目的とする。
本発明に係る露光装置は、露光光を出射する光源と、この光源からの露光光が入射されこの入射光をP偏光の直線偏光及びS偏光の直線偏光の露光光に分割してそのいずれかの露光光を透過させる偏光ビームスプリッタと、この偏光ビームスプリッタを透過した露光光の強度を光軸に垂直な面内で均一化するフライアイレンズと、このフライアイレンズを透過した露光光を平行光にするコンデンサレンズと、所定の光透過領域のパターンが形成され前記コンデンサレンズを透過した露光光を前記パターンに対応させて透過させるマスクと、を有し、前記マスクを透過した露光光を露光対象部材に照射して露光する露光装置であって、前記偏光ビームスプリッタは、前記露光光の光軸を回転中心として回転可能に設けられていると共に、その回転中心に対する反射透過面の方向が90°相違する第1の位置と第2の位置とに設定可能であり、前記偏光ビームスプリッタが前記第1の位置にあるときに、前記P偏光及びS偏光のいずれか一方の第1の直線偏光を前記反射透過面に透過させ、他方の第2の直線偏光を前記反射透過面に反射させ、前記偏光ビームスプリッタが前記第2の位置にあるときに、前記第2の直線偏光を前記反射透過面に透過させ、前記第1の直線偏光を前記反射透過面に反射させることを特徴とする。
本発明に係る露光装置において、例えば前記偏光ビームスプリッタは、前記露光光の光軸に垂直の面に複数個並置されており、例えば前記偏光ビームスプリッタは、前記露光光の光軸に垂直の第1の方向に長手方向を有するように、前記第1の方向に沿って複数個に分割されている。
また、例えば前記マスクは、互いに平行に延びる複数本のパターンを有し、前記露光装置は、更に、前記マスクを前記パターンに垂直な方向に移動させるように駆動する駆動装置と、この駆動装置を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記第1の位置における前記偏光ビームスプリッタの透過光が前記フライアイレンズ及び前記コンデンサレンズを透過して前記マスクに透過され、この透過光により前記パターンに対応する前記露光対象部材の第1の光照射領域が露光された後、前記マスクが前記パターンに垂直な方向に移動されるように前記駆動装置を制御し、前記第2の位置における前記偏光ビームスプリッタの透過光が前記フライアイレンズ及び前記コンデンサレンズを透過して前記マスクに透過され、この透過光により前記パターンに対応する前記露光対象部材の前記第1の光照射領域とは異なる第2の光照射領域が露光される。
本発明に係る露光装置は、露光光をP偏光及びS偏光の直線偏光の露光光に分割する偏光ビームスプリッタが光軸を回転中心として回転可能に設けられており、その回転中心に対する反射透過面の方向が90°相違する第1の位置と第2の位置とに設定可能であるため、P偏光及びS偏光の直線偏光の露光光の双方を選択的に出射することができる。そして、本発明においては、偏光ビームスプリッタは、フライアイレンズ及びコンデンサレンズよりも上流の露光光の光路上に配置されているため、入射させる露光光の光束は小さく、装置全体を大型化する必要がない。また、フライアイレンズ及びコンデンサレンズは、偏光ビームスプリッタよりも下流の露光光の光路上に配置されているため、強度が均一化された良質の平行光をマスクに透過させて露光対象部材を露光することができる。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。先ず、第1実施形態の露光装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る露光装置の構成を示す模式図、図2(a)及び図2(b)は、本発明の第1実施形態に係る露光装置において、偏光変換素子を示す図である。図1に示すように、本発明の露光装置1は、従来の光配向方式の露光装置と同様に、露光光を出射する光源11と、露光光の強度を光軸に垂直な面内で均一化するフライアイレンズ13と、フライアイレンズ13の透過光を平行光にして透過させるコンデンサレンズ14と、コンデンサレンズ14の透過光を光透過領域のパターンに対応させて透過させるマスク16と、を有している。そして、マスク16を透過した光により露光対象部材2を露光する。なお、本実施形態においては、露光対象部材2がフィルムであり、フィルムの表面の配向材料膜を露光して所定の方向に配向させて3Dディスプレイ用の偏光フィルムを製造する場合について説明する。
本発明においては、偏光変換素子としての偏光ビームスプリッタ15は、フライアイレンズ13及びコンデンサレンズ14からなる光学系の上流に配置されており、露光光の光軸を回転中心として回転可能に設けられている。そして、偏光ビームスプリッタ15は、その回転中心に対する反射透過面の方向が90°相違する第1の位置と第2の位置とに設定可能に構成されている。偏光ビームスプリッタ15を回転させる構成としては、例えば、反射光の光路とならない偏光ビームスプリッタ15の側面に支持部材(図示せず)を固定し、この支持部材を偏光ビームスプリッタ15と共に回転させればよい。
偏光ビームスプリッタ15は、例えば柱状の直角プリズムを2個貼り合わせたものであり、接合面には、例えば誘電体多層膜又は金属薄膜からなるコーティングが施されている。これにより、偏光ビームスプリッタ15のコーティング膜部分は、P偏光及びS偏光のうちのいずれか一方を透過させ、他方を反射する反射透過面として構成されている。従って、偏光ビームスプリッタ15に、P偏光とS偏光とが混在した光を入射させると、P偏光及びS偏光の各偏光成分を分離できるように構成されている。本実施形態に係る偏光ビームスプリッタ15は、図2に示すように、1辺が例えば10乃至20mmの立方体形状のものである。図2に示すように、本実施形態においては、偏光ビームスプリッタ15は、直角プリズム同士の接合面(反射透過面)が例えば入射光の光軸に対して45°傾斜するように配置されており、図2(a)に示すような第1の位置において、コーティング膜部分(反射透過面)にてP偏光の露光光を透過し、S偏光の露光光を入射方向に対して90°傾斜した方向へと反射するように構成されている。また、図2(a)に示す第1の位置から、偏光ビームスプリッタ15が光軸を回転中心として90°回転された第2の位置においては、図2(b)に示すように、偏光ビームスプリッタ15の反射透過面に透過される露光光は、P偏光の直線偏光から位相が90°ずれた光、即ちS偏光の直線偏光となる。即ち、第2の位置においては、偏光ビームスプリッタ15は、反射透過面にてS偏光の露光光を透過し、P偏光の露光光を入射方向に対して90°傾斜した方向へと反射するように構成されている。
光源11は、例えば紫外光を出射する光源であり、例えば水銀ランプ、キセノンランプ、エキシマランプ及び紫外LED等であって、連続光又はパルスレーザ光を出射する光源が使用される。本実施形態においては、光源11から出射したレーザ光等の露光光の光路上には、2個の全反射ミラー12が配置されており、光源11から出射された露光光が全反射ミラー12により反射され、偏光ビームスプリッタ15に入射される。
フライアイレンズ13は、例えば同一形状及び焦点距離等を有する複数個の凸レンズが幅方向及び長さ方向に碁盤の目状に配列されて全体として略平板状に形成されたものである。そして、フライアイレンズ13の各凸レンズに入射した露光光は、夫々、焦点に集光された後、拡散し、複数本に分割された露光光が重畳的に次の光学系部材へと照射される。これにより、フライアイレンズ13への入射光が例えば光軸に垂直な面内にて不均一な強度分布を有する場合においても、この強度分布を均一化することができる。例えば光源から出射される露光光は、その強度が光軸に垂直な面内にてガウス分布を有していたり、全反射ミラー12による反射により、照度ムラが発生するが、フライアイレンズ13を設置することにより、これらを解消することができる。
コンデンサレンズ14は、例えばフライアイレンズ13とf値が同一となるように設けられた集束レンズである。即ち、本実施形態においては、フライアイレンズ13の焦点とコンデンサレンズ14の焦点とが同一の位置となるように、コンデンサレンズ14が配置されている。これにより、フライアイレンズ13からコンデンサレンズ14に入射した露光光は、平行光の透過光となるように構成されている。
本実施形態におけるマスク16は、従来と同様の形状を有している。即ち、マスク16は、枠体16aの内側のパターン形成部16bにフィルムのスキャン方向に長手方向を有するような複数本の光透過領域のパターン16cが形成されている。パターン16cは、一定の間隔で、例えば透過光の照射領域が画素の幅ずつ離隔するように形成されている。本実施形態においては、マスク16は、例えば図示しない駆動装置により駆動され、制御装置により駆動装置が制御されることによりマスク16の位置を調整できるように構成されている。これにより、マスク16のパターン16cを透過した露光光の照射領域を、例えばパターン16cに垂直な方向に調整可能に構成されている。
従来の露光装置においては、偏光変換素子をマスク16の光透過領域の全体の大きさに対応させて大型化する必要があったが、本実施形態においては、偏光変換素子としての偏光ビームスプリッタ15は、フライアイレンズ13よりも光源11側の上流の位置に配置されている。このフライアイレンズ13及びコンデンサレンズ14等の光学系よりも光源11側の位置は、露光光の光束が小さい位置であり、従って、設置する偏光ビームスプリッタ15は、従来よりも小さいものを使用することができる。よって、本発明によれば、露光装置において、P偏光及びS偏光の直線偏光の露光光の双方を選択的に照射可能に構成した場合においても、装置全体が大型化することはない。
次に、本実施形態の露光装置の動作について図2乃至図4を参照して説明する。なお、本実施形態においては、図2(a)に示すP偏光の透過光による露光は、図3に対応しており、図2(b)に示すS偏光の透過光による露光は、図4に対応している。本実施形態においては、先ず、図2(a)に示すように、P偏光の露光光を透過し、S偏光の露光光を反射させるように、露光光の光軸を回転中心とした偏光ビームスプリッタ15の位置が第1の位置となるように、支持部材を偏光ビームスプリッタ15と共に回転させる。
次に、光源11から露光光を出射させる。光源11から出射される露光光は、例えば無偏光の光であり、そのP偏光成分及びS偏光成分は大凡半分ずつである。光源11から出射された無偏光の露光光は、2枚の全反射ミラーにより反射され、図2(a)に示す偏光ビームスプリッタ15への入射光となる。この入射光は、光源11側の上流にあるため、下流側に比して光束は小さい。従って、偏光ビームスプリッタ15もこの光束に合わせて小さいものが使用されている場合においても、露光光の全てを確実に入射させることができる。そして、入射光は、偏光ビームスプリッタ15のコーティング膜部分(反射透過面)にてP偏光成分とS偏光成分とに分割され、P偏光の直線偏光の露光光のみが透過され、S偏光の直線偏光の露光光は、反射透過面に反射され、露光に使用されない。
偏光ビームスプリッタ15を透過したP偏光の露光光は、フライアイレンズ13に入射する。フライアイレンズ13は複数個の凸レンズが碁盤の目状に配列されており、入射光は、各凸レンズへの入射光として分割され、各凸レンズを透過した後、各凸レンズごとに、夫々、焦点に集光され、拡散していく。そして、複数本に分割された露光光は、重畳的にコンデンサレンズ14に照射される。これにより、フライアイレンズ13を透過し、コンデンサレンズ14に入射する露光光は、光軸に垂直な面内にて強度分布が均一化されており、照度ムラが解消される。
そして、露光光は、コンデンサレンズ14を透過し、マスク16へと向かう。コンデンサレンズ14は、フライアイレンズ13とf値が同一となるように設けられているため、コンデンサレンズ14の透過光は、平行光として、図3(a)に示すマスク16へと向かう。
図3(a)に示すように、マスク16には、パターン形成部16bにフィルムのスキャン方向に長手方向を有するような複数本の光透過領域のパターン16cが形成されており、このパターン16cを透過した光が照射されることにより、露光対象部材2の表面の配向膜材料が露光され、図3(b)に示すように、1方向に配向した(符号2aの)配向膜が形成される。なお、図3及び後述する図4において、配向膜2a及び2bの符号の横に記載した矢印は、各配向膜の配向方向を示す。この図3(b)に示す配向膜2aにおいては、その配向方向は、90°である。
連続露光の場合においては、露光光の照射を継続した状態で、図3(b)に示す状態から、露光対象部材2をスキャン方向に移動させていく。これにより、図3(c)に示すように、P偏光の露光光により露光された領域が、フィルムのスキャン方向に帯状に延びるように形成されていく。なお、パルス露光の場合においては、図3(b)に示す状態で配向膜が形成されたら、例えばフライアイレンズ13とコンデンサレンズ14との間に配置されたシャッタ(図示せず)を閉じることにより、P偏光の露光光による露光を停止する。連続露光の場合においても、P偏光の露光光により形成すべき領域に配向膜を形成したら、上記と同様にシャッタを閉じて、露光を停止する。
P偏光の露光光による露光が終了したら、図示しない制御装置によりマスク16の枠体16cに固定された駆動装置を制御することにより、図4(a)に示すように、マスク16を例えば1パターン幅だけパターン16cの幅方向(パターン16cに垂直な方向)に移動させる。そして、偏光ビームスプリッタ15については、支持部材を偏光ビームスプリッタ15と共に露光光の光軸を回転中心として90°回転させ、図2(a)に示す状態から図2(b)に示す状態とする。この図2(b)に示す第2の位置において、偏光ビームスプリッタ15の反射透過面は、S偏光の露光光を透過し、P偏光の露光光は反射する。
従って、偏光ビームスプリッタ15を回転させた後、シャッタを開け、光源11からの露光光の出射を再開すると、光源11から全反射ミラー12を介して偏光ビームスプリッタ15に入射した露光光は、偏光ビームスプリッタ15の内部のコーティング膜(反射透過面)にてP偏光成分とS偏光成分とに分割され、S偏光の直線偏光の露光光は透過し、P偏光の直線偏光の露光光は、反射透過面に反射され、露光に使用されない。
以降、偏光ビームスプリッタ15を透過した露光光は、各光学系及びマスク16を介して、露光対象部材2の表面の配向膜材料が露光され、図4(b)に示すように、P偏光の露光光により既に露光された領域に隣接するように、各露光済みの領域間の未露光の領域が露光される。これにより、配向方向が異なる(符号2bの)配向膜が形成される。図4に示すように、この露光光はS偏光の直線偏光であるため、形成される配向膜は、幅方向に隣接する帯状の領域間で、位相が相互に90°異なる配向膜となる。即ち、図4(b)に示す配向膜2bの配向方向は、0°である。よって、これらの各領域の幅を例えば画素の幅と等しくすることにより、製造されたフィルムを3Dディスプレイ用の偏光フィルムとして使用することができる。即ち、このフィルムは、1/4λ板と同様の機能を有するものとなり、直線偏光の画像表示用の光をこの偏光フィルムに透過させれば、複数個の画素により構成されフィルムの幅方向に延びる表示列ごとに、相互に回転方向が逆の円偏光の透過光が出射される。この円偏光の2つの透過光を、夫々例えば3Dディスプレイの右目用及び左目用の表示光として使用することができる。なお、本実施形態により製造される偏光フィルムは、VA(Vertical Alignment)方式の3Dディスプレイ用偏光フィルムとして好適に使用される。
以上のように、本実施形態においては、装置全体を大型化することなく、露光装置からP偏光及びS偏光の直線偏光の露光光の双方を選択的に出射して、1台の露光装置により、3Dディスプレイ用の偏光フィルムを製造することができる。
また、フライアイレンズ13及びコンデンサレンズ14は、偏光ビームスプリッタ15よりも下流の露光光の光路上に配置されているため、強度が均一化された良質の平行光をマスク16に透過させて配向材料膜を露光することができる。
なお、本実施形態においては、図2(b)に示す第1の位置における露光を図2(c)の第2の位置よりも先に行った場合を説明したが、本発明においては、S偏光の露光光による露光をP偏光の露光光による露光よりも先に行ってもよい。
また、本実施形態においては、マスク16をスキャン方向に垂直の幅方向に移動させたが、マスク16の位置を固定し、露光対象部材2をスキャン方向に垂直の幅方向に移動させてもよい。
更に、本実施形態においては、光学系として、フライアイレンズ13及びコンデンサレンズ14を設けた場合について説明したが、各レンズによる効果を必要としない場合においては、フライアイレンズ13及びコンデンサレンズ14は設けなくてもよい。
更にまた、本実施形態においては、VA方式の3Dディスプレイ用偏光フィルムを製造する場合について説明したが、例えば、P偏光及びS偏光の各露光光の照射角度を変更することにより、図5に示すように、偏光方向が夫々+45°の配向膜2a及び偏光方向が−45°の配向膜2bを形成することもできる。このように形成した偏光フィルムは、IPS(In Plane Switching)方式の3Dディスプレイ用の偏光フィルムとして好適に使用することができる。
更にまた、本実施形態においては、図1に示すように、露光装置10から出射した露光光をマスク16のパターン形成面に対して傾斜させて照射しているが、本発明においては、所定の露光光をマスク16のパターン16cに透過させることができればよく、本発明は、パターン形成面に対する露光光の照射角度により限定されるものではない。例えば、図6に示すように、露光装置10から出射した露光光をパターン形成面に対して垂直に照射してもよい。
次に、本発明の第2実施形態に係る露光装置について説明する。図7(a)及び図7(b)は、本発明の第2実施形態に係る露光装置において、偏光変換素子を示す図である。本第2実施形態においては、偏光ビームスプリッタ15は、露光光の光軸に垂直の面に複数個がその幅方向及び長さ方向に並置されている。その他の構成については、第1実施形態と同様である。
本実施形態の偏光ビームスプリッタ15は、例えば入射光の光束が第1実施形態に比して大きい場合に対応させて、立方体形状のものを複数個並置したものである。この場合には、各素子間の境界部分にも露光光が入射し、露光光の強度分布が不均一になったり、照度ムラが第1実施形態に比して大きくなることも考えられる。従来の露光装置においては、光学系の下流に偏光ビームスプリッタ15を設置しているため、露光光は、不均一な強度分布の状態、及び照度ムラが大きい状態で配向材料膜に照射される。これに対して、本実施形態においては、偏光ビームスプリッタ15は、フライアイレンズ13及びコンデンサレンズ14よりも上流の露光光の光路上に配置されている。よって、露光光は、偏光ビームスプリッタ15を透過した後に、フライアイレンズ13によって強度分布の均一化が施される。従って、第1実施形態と同様に、強度が均一化された良質の平行光をマスク16に透過させてフィルムを露光することができる。
なお、本実施形態においては、偏光ビームスプリッタ15は、露光光の光軸に垂直の面に複数個がその幅方向及び長さ方向に並置されているが、例えば、図8に示すように、露光光の光軸に垂直の1方向に長手方向を有するように、長尺の偏光ビームスプリッタ15が複数個並置されている場合についても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態においても、第1実施形態と同様の種々の変形例を適用することができる。
以上説明した実施形態においては、露光対象部材としてフィルム基材の表面に配向膜材料が形成されたフィルムを使用し、配向膜材料を光配向させて3Dディスプレイ用の偏光フィルムを製造する場合について述べたが、表面に配向材料膜が形成されたガラス基板を露光対象部材として使用した場合においても、本発明の露光装置を使用することにより、同様の効果を得ることができる。
1,10:露光装置、11:光源、12:全反射ミラー、13:フライアイレンズ、14:コンデンサレンズ、15、150:偏光ビームスプリッタ、16:マスク、16a:枠体、16b:パターン形成部、16c:パターン、2:露光対象部材、2a,2b:配向膜
Claims (4)
- 露光光を出射する光源と、この光源からの露光光が入射されこの入射光をP偏光の直線偏光及びS偏光の直線偏光の露光光に分割してそのいずれかの露光光を透過させる偏光ビームスプリッタと、この偏光ビームスプリッタを透過した露光光の強度を光軸に垂直な面内で均一化するフライアイレンズと、このフライアイレンズを透過した露光光を平行光にするコンデンサレンズと、所定の光透過領域のパターンが形成され前記コンデンサレンズを透過した露光光を前記パターンに対応させて透過させるマスクと、を有し、前記マスクを透過した露光光を露光対象部材に照射して露光する露光装置であって、前記偏光ビームスプリッタは、前記露光光の光軸を回転中心として回転可能に設けられていると共に、その回転中心に対する反射透過面の方向が90°相違する第1の位置と第2の位置とに設定可能であり、前記偏光ビームスプリッタが前記第1の位置にあるときに、前記P偏光及びS偏光のいずれか一方の第1の直線偏光を前記反射透過面に透過させ、他方の第2の直線偏光を前記反射透過面に反射させ、前記偏光ビームスプリッタが前記第2の位置にあるときに、前記第2の直線偏光を前記反射透過面に透過させ、前記第1の直線偏光を前記反射透過面に反射させることを特徴とする露光装置。
- 前記偏光ビームスプリッタは、前記露光光の光軸に垂直の面に複数個並置されていることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記偏光ビームスプリッタは、前記露光光の光軸に垂直の第1の方向に長手方向を有するように、前記第1の方向に沿って複数個に分割されていることを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
- 前記マスクは、互いに平行に延びる複数本のパターンを有し、
前記露光装置は、更に、前記マスクを前記パターンに垂直な方向に移動させるように駆動する駆動装置と、この駆動装置を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記第1の位置における前記偏光ビームスプリッタの透過光が前記フライアイレンズ及び前記コンデンサレンズを透過して前記マスクに透過され、この透過光により前記パターンに対応する前記露光対象部材の第1の光照射領域が露光された後、前記マスクが前記パターンに垂直な方向に移動されるように前記駆動装置を制御し、前記第2の位置における前記偏光ビームスプリッタの透過光が前記フライアイレンズ及び前記コンデンサレンズを透過して前記マスクに透過され、この透過光により前記パターンに対応する前記露光対象部材の前記第1の光照射領域とは異なる第2の光照射領域が露光されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の露光装置。
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