JP2012129365A - 露光装置及びこの露光装置を使用した露光方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】画素数、絵素数及び/又は露光パターン形成用領域の大きさが異なる複数の露光対象部材を露光する場合においても、画素数、絵素数及び/又は露光パターン形成用領域の大きさに対応させてマスクを取り換える必要がない露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置1には、露光光源11、コンデンサレンズ14、マスク12が設けられており、露光光源11から出射した露光光をコンデンサレンズ14及びマスク12に透過させる。マスク12と露光対象部材2との間の露光光の光路上には、露光対象部材2における露光光の照射領域の大きさを調節可能なズームレンズ16が設けられている。露光装置1には、必要に応じて、フライアイレンズ13、偏光変換素子15が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】露光装置1には、露光光源11、コンデンサレンズ14、マスク12が設けられており、露光光源11から出射した露光光をコンデンサレンズ14及びマスク12に透過させる。マスク12と露光対象部材2との間の露光光の光路上には、露光対象部材2における露光光の照射領域の大きさを調節可能なズームレンズ16が設けられている。露光装置1には、必要に応じて、フライアイレンズ13、偏光変換素子15が設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、1絵素又は1画素に対応する領域をその幅方向に2分割して露光する露光装置、及びこの露光装置を使用した露光方法に関し、特に、絵素数、画素数及び/又は露光パターン形成用領域の大きさが異なる複数の露光対象部材を露光する場合においても、1又は2個のマスクにより露光可能な露光装置、及びこの露光装置を使用した露光方法に関する。
従来、例えば液晶ディスプレイ等に使用されている液晶としては、複数個のベンゼン又はシクロヘキサン分子と両端部の修飾基からなる棒状の分子により構成されたものが使用されており、棒状の液晶分子を均一な方向に整列させることにより、液晶ディスプレイ等の視野角及びコントラスト等を調整することが行われている。
液晶分子の整列には、従来、液晶を挟持するガラス基板の表面に例えばポリイミド等からなる配向膜を形成し、配向膜間に液晶を挟持することにより、配向膜の配向方向に合わせて液晶分子を所定の方向に整列させることが行われている。
ガラス基板の表面に配向膜を形成する際には、例えばポリイミド溶液をガラス基板上に塗布・焼成して数十nm程度のポリイミド膜(配向材料膜)を形成した後、表面に布が巻き付けられたラビングローラにより、ポリイミド膜(配向材料膜)の表面を一方向に擦るという製造方法が採用されている。
しかしながら、ガラス基板の表面に配向膜を形成して液晶分子を整列させる方法においては、配向膜の形成に上記のような製造方法を採用しているため、擦られてローラから離脱したラビング布及び削り取られたポリイミド膜等の塵により、配向膜が傷ついたり、塵そのものが配向膜の表面に付着してしまう。よって、液晶ディスプレイの表示ムラ及び表示不良につながりやすいという問題点がある。
この問題点を解決するために、近時、配向材料膜の配向に紫外線を使用する光配向という技術が提案されている。即ち、直線偏光又は無偏光の紫外光をポリイミド又はアゾベンゼン等の配向材料膜に照射することにより、配向材料膜は、その光分解特性により、同一方向に配向する。従って、光による非接触方式により配向性のよい配向膜を形成することができ、液晶ディスプレイ等の表示ムラ及び表示不良を防止できる。
ところで、近時、3D(Three Dimensional)ディスプレイ装置の開発がますます進んでいるが、この3Dディスプレイのガラス基板の表面に貼る偏光フィルムの製造においても、上記光配向の技術が採用されている。図12に、従来の光配向方式の露光装置の一例を示す。図12に示すように、従来の配向膜の形成に使用される露光装置10においては、光源11から出射された露光光は、例えば反射ミラー17により反射された後、フライアイレンズ(インテグレータ)13にてその強度を光軸に垂直な面内で均一化される。そして、フライアイレンズ13の透過光がコンデンサレンズ14にて平行光に変換される。コンデンサレンズ14の透過光は、マスク12を介して、フィルム基材又はガラス基板上の配向材料膜に照射される。図13(a)に示すように、マスク12には、例えばフィルム及びガラス基板等の露光対象部材のスキャン方向に長手方向を有するような光透過領域のパターン121aが、例えば透過光の照射領域が画素の幅ずつ離隔して複数本形成されるように、一定の間隔で設けられており、各光透過領域のパターン121aは、その幅が表示装置の1絵素分の長さ(又は1画素の半分の長さ)に対応するように構成されている。そして、露光光を連続的に照射しながら、露光対象部材をスキャン方向に移動させていくことにより、同一の方向に配向した配向膜をスキャン方向に帯状に形成することが行われている。そして、帯状に形成された配向膜間の未露光の領域には、照射する露光光の偏光方向を変えるか、又は異なる方向から露光光を照射することにより、図13(b)に示すように、既に形成された配向膜とは異なる方向に配向した配向膜(図13(b)における二点鎖線部)を形成する。これにより、配向方向が異なる配向膜を相互に隣接するように形成することができ、隣接する配向膜間で配向方向が90°異なる配向膜を表示装置の1絵素分の長さ又は1画素の半分の長さに対応する幅で形成することにより、製造されたフィルムを3Dディスプレイ用の偏光フィルムとして使用することができる。また、各配向膜を1絵素(若しくは1画素の半分)の長さ又は1絵素の半分の長さに対応する幅で形成すれば、2種類のプレチルト角を有する配向膜の透過光により、表示装置の視野角を広げることができる。
又は、マスク12が、露光パターン形成用領域の全域を覆う大きさで設けられている場合には、例えば1絵素に対応する領域、又は1絵素若しくは1画素に対応する領域をその幅方向に2分割した領域を露光した後、マスク12を1パターン幅移動させると共に、露光光の偏光方向又は照射方向を変更して、未露光の領域を露光する。この場合にも、上記連続露光の場合と同様の配向膜を形成することができる。
上記のような構成の露光装置10により3Dディスプレイ用の偏光フィルムを製造する際には、例えば1回の露光による配向膜の形成領域を3Dディスプレイ装置の1絵素分の長さ(又は1画素の半分の長さ)ごとに離隔するように構成し、照射する露光光の偏光方向を、隣接する画素となる領域ごとに夫々P偏光及びS偏光の直線偏光にすることが行われている。これにより、製造されたフィルムを3Dディスプレイ装置のガラス基板等の所定の位置に貼り付けることにより、各領域を透過する表示光は、2種類の偏光方向を有することになる。そして、帯状に形成された各配向膜を例えば行方向に並ぶ絵素に対応させて配置することにより、各配向膜を透過した2種類の表示光を、夫々、例えば右目用及び左目用の表示光として使用することができる。
1台の露光装置において、露光光の偏光状態を調整する技術としては、例えば特許文献1乃至6に開示されたものがある。特許文献1乃至5の露光装置は、λ/2板及びデポラライザ等の偏光度調整部材をレーザ光路に複数個並べて配置し、夫々をレーザ光の光軸に対して回転可能に構成している。そして、特許文献3乃至5の露光装置においては、露光光の光路上における各偏光度調整部材とマスクとの間にズームレンズを設け、マスクに対する露光光の照射領域の大きさを変更可能に構成している。
また、特許文献6の露光装置においては、図12に示すように、例えば偏光ビームスプリッタ等の偏光変換素子15を、各レンズ等により構成された光学系の下流に配置し、マスク12に透過させるレーザ光の偏光度を偏光変換素子により調整可能に構成している。
例えばフルHD(High Definition)方式の表示装置に使用される偏光フィルムを製造する場合、1,920×1,080(横×縦)の画素数に対応したものを製造する必要がある。この画素数は、表示装置の大きさが異なる場合においても、フルHD方式であれば同一である。従って、例えば、同色の絵素が表示装置の縦方向(列方向)に並び、横方向(行方向)に3原色の絵素が配列されて2列×3行の絵素群により1画素が構成されている場合、1絵素(1画素の半分)に対応する幅は、例えば50インチサイズの表示装置において577μm、32インチサイズの表示装置において369μmである。よって、従来の露光装置においては、異なる幅の画素に対応する偏光フィルムを製造する場合には、図14に示すように、各画素の幅に対応したマスクを使用することが行われている。
しかしながら、上記従来技術においては、以下のような問題点がある。特許文献1乃至5の露光装置は、λ/2板及びデポラライザ等の偏光度調整部材をレーザ光路に複数個並べて配置しているため、露光光の光路が長くなって装置が大型化したり、また、各偏光度調整部材の回転を制御する機構も複雑になる。
また、大きさは異なるが画素数が同一の表示装置に使用される例えば偏光フィルム等を製造する場合、上記のように、表示装置の大きさ及び画素数に対応するマスクを設ける必要があり、露光装置の導入コストが増大する。また、この場合、製造するフィルムごとにマスクを取り換える必要があり、生産性が低い。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、画素数、絵素数及び/又は露光パターン形成用領域の大きさが異なる複数の露光対象部材を露光する場合においても、画素数、絵素数及び/又は露光パターン形成用領域の大きさに対応させてマスクを取り換える必要がなく、生産性を高めた露光装置、及びこの露光装置を使用した露光方法を提供することを目的とする。
本発明に係る露光装置は、露光光を出射する光源と、この光源からの露光光の光路上に配置され前記露光光を平行光にするコンデンサレンズと、所定の光透過領域のパターンが形成され前記コンデンサレンズを透過した露光光を前記パターンに対応させて透過させるマスクと、このマスクと露光対象部材との間における前記露光光の光路上に配置され前記露光対象部材における前記露光光の照射領域の大きさを調節可能なズームレンズと、を有することを特徴とする。なお、本発明の露光装置は、ズームレンズにより、露光光の照射領域の大きさを拡大する、縮小する又は等倍に調節することができる。この場合の拡大、縮小、等倍とは、ズームレンズが設置されない場合における露光光の照射領域の大きさに対する拡大、縮小又は等倍を意味する。
上記露光装置は、例えば、更に、前記ズームレンズによって調節された前記露光対象部材上の前記露光光の照射領域の大きさを検出するカメラを有する。
また、露光装置は、例えば、更に、前記光源と前記コンデンサレンズとの間における前記露光光の光路上に、前記露光光の強度を光軸に垂直な面内で均一化するフライアイレンズを有し、このフライアイレンズを透過した露光光が前記コンデンサレンズに入射される。露光装置は、例えば、更に、前記光源と前記フライアイレンズとの間の前記露光光の光路上又は前記コンデンサレンズと前記マスクとの間の前記露光光の光路上に、前記露光光をP偏光の直線偏光及びS偏光の直線偏光の露光光に分割してそのいずれかの露光光を透過させる偏光ビームスプリッタを有する。この場合に、例えば前記偏光ビームスプリッタは、前記露光光の光軸を回転中心として回転可能に設けられていると共に、その回転中心に対する反射透過面の方向が90°相違する第1の位置と第2の位置とに設定可能であり、前記偏光ビームスプリッタが前記第1の位置にあるときに、前記P偏光及びS偏光のいずれか一方の第1の直線偏光を前記反射透過面に透過させ、他方の第2の直線偏光を前記反射透過面に反射させ、前記偏光ビームスプリッタが前記第2の位置にあるときに、前記第2の直線偏光を前記反射透過面に透過させ、前記第1の直線偏光を前記反射透過面に反射させる。
例えば、前記マスクは、互いに平行に延びる複数本のパターンを有し、前記露光装置は、更に、前記マスクを前記パターンに垂直な方向に移動させるように駆動する駆動装置と、この駆動装置を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記マスクに透過された第1の露光光により前記パターンに対応する前記露光対象部材の第1の光照射領域を露光した後、前記マスクを前記パターンに垂直な方向に移動させるように前記駆動装置を制御し、前記マスクに前記第1の露光光とは偏光方向又は照射方向が異なる第2の露光光を透過させることにより前記露光対象部材の前記第1の光照射領域とは異なる第2の光照射領域に前記第2の露光光を照射して露光する。
又は、前記マスクは、互いに平行に伸びる複数本のパターンを備えた第1のマスク、及び前記露光対象部材の露光パターン形成用領域の全域に透過光が照射される開口部を備えた第2のマスクにより構成されており、前記露光装置は、更に、前記第1のマスク及び前記第2のマスクのいずれかが前記露光光の光路上に配置されるように、前記第1のマスク及び前記第2のマスクを入れ換える駆動装置と、この駆動装置を制御する制御装置と、を有する。そして、前記露光対象部材の露光パターン形成用領域に露光光の照射により硬化量が変化する露光材料が形成されている場合に、前記制御装置は、前記第2のマスクが前記露光光の光路上に配置されるように前記駆動装置を制御し、前記第2のマスクの開口部を透過した第1の露光光により前記露光パターン形成用領域の全域を第1の硬化量となるまで露光した後、前記露光光の光路上に配置されるマスクを前記第1のマスクに入れ換えるように前記駆動装置を制御し、前記第1のマスクに前記第1の露光光とは偏光方向又は照射方向が異なる第2の露光光を透過させることにより前記第1の露光光により露光された領域に前記第2の露光光を照射して前記第1の硬化量より大きい第2の硬化量となるまで露光する。又は、前記制御装置は、前記第1のマスクが前記露光光の光路上に配置されるように前記駆動装置を制御し、前記第1のマスクのパターンを透過した第1の露光光により前記露光パターン形成用領域の第1の光照射領域を第3の硬化量となるまで露光した後、前記露光光の光路上に配置されるマスクを前記第2のマスクに入れ換えるように前記駆動装置を制御し、前記第2のマスクの開口部に前記第1の露光光とは偏光方向又は照射方向が異なる第2の露光光を透過させることにより前記露光パターン形成用領域の全域に前記第2の露光光を照射して第3の硬化量となるまで露光する。
本発明に係る露光方法は、露光光を出射する光源と、この光源からの露光光の光路上に配置され前記露光光を平行光にするコンデンサレンズと、所定の光透過領域のパターンが互いに平行に延びるように複数本形成され前記コンデンサレンズを透過した露光光を前記パターンに対応させて透過させるマスクと、このマスクと露光対象部材との間における前記露光光の光路上に配置され前記露光対象部材における前記露光光の照射領域の大きさを調節可能なズームレンズと、前記マスクを前記パターンに垂直な方向に移動させるように駆動する駆動装置と、を有する露光装置を使用し、前記マスクに透過された第1の露光光を照射して前記パターンに対応する前記露光対象部材の第1の光照射領域を露光する工程と、前記第1の露光光の照射を停止した後、前記駆動装置により前記マスクを前記パターンに垂直な方向に移動させる工程と、前記マスクに前記第1の露光光とは偏光方向又は照射方向が異なる第2の露光光を透過させて、前記露光対象部材の前記第1の光照射領域とは異なる第2の光照射領域に前記第2の露光光を照射して露光する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る他の露光方法は、露光光を出射する光源と、この光源からの露光光の光路上に配置され前記露光光を平行光にするコンデンサレンズと、所定の光透過領域のパターンが互いに平行に延びるように複数本形成され前記コンデンサレンズを透過した露光光を前記パターンに対応させて透過させる第1のマスクと、前記露光対象部材の露光パターン形成用領域の全域に透過光が照射される開口部を備え前記第1のマスクとの間で前記露光光の光路上に入れ換えて配置可能な第2のマスクと、前記第1のマスク及び前記第2のマスクを入れ換える駆動装置と、前記第1のマスク又は前記第2のマスクと露光対象部材との間における前記露光光の光路上に配置され前記露光対象部材における前記露光光の照射領域の大きさを調節可能なズームレンズと、を有する露光装置を使用し、露光光の照射により硬化量が変化する露光材料が形成された露光対象部材に対して、前記第2のマスクの開口部を透過した第1の露光光により前記露光パターン形成用領域の全域を第1の硬化量となるまで露光する工程と、前記第1の露光光の照射を停止した後、前記駆動装置により前記露光光の光路上に配置されるマスクを前記第2のマスクから前記第1のマスクに入れ換える工程と、前記第1のマスクに前記第1の露光光とは偏光方向又は照射方向が異なる第2の露光光を透過させて、前記第1の露光光により露光された領域に前記第2の露光光を照射して前記第1の硬化量より大きい第2の硬化量となるまで露光する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る更に他の露光方法は、露光光を出射する光源と、この光源からの露光光の光路上に配置され前記露光光を平行光にするコンデンサレンズと、所定の光透過領域のパターンが互いに平行に延びるように複数本形成され前記コンデンサレンズを透過した露光光を前記パターンに対応させて透過させる第1のマスクと、前記露光対象部材の露光パターン形成用領域の全域に透過光が照射される開口部を備え前記第1のマスクとの間で前記露光光の光路上に入れ換えて配置可能な第2のマスクと、前記第1のマスク及び前記第2のマスクを入れ換える駆動装置と、前記第1のマスク又は前記第2のマスクと露光対象部材との間における前記露光光の光路上に配置され前記露光対象部材における前記露光光の照射領域の大きさを調節可能なズームレンズと、を有する露光装置を使用し、露光光の照射により硬化量が変化する露光材料が形成された露光対象部材に対して、前記第1のマスクを透過した第1の露光光により前記露光パターン形成用領域の第1の光照射領域を第3の硬化量となるまで露光する工程と、前記第1の露光光の照射を停止した後、前記駆動装置により前記露光光の光路上に配置されるマスクを前記第1のマスクから前記第2のマスクに入れ換える工程と、前記第2のマスクの開口部に前記第1の露光光とは偏光方向又は照射方向が異なる第2の露光光を透過させて、前記露光パターン形成用領域の全域に前記第2の露光光を照射して第3の硬化量となるまで露光する工程と、を有することを特徴とする。上述の露光方法において、例えば前記露光装置は、更に、前記光源と前記コンデンサレンズとの間における前記露光光の光路上に、前記露光光の強度を光軸に垂直な面内で均一化するフライアイレンズを有し、このフライアイレンズを透過した露光光が前記コンデンサレンズに入射される。
本発明に係る露光装置は、光源、コンデンサレンズ及びマスクを有する露光装置において、マスクと露光対象部材との間における露光光の光路上に、露光対象部材における露光光の照射領域の大きさを調節可能なズームレンズが配置されている。これにより、マスクを透過した露光光は、ズームレンズによりその照射領域の大きさが調節され、マスクを取り換えることなく、画素数、絵素数及び/又は露光パターン形成用領域の大きさが異なる複数の露光対象部材を露光することができ、生産性が高い。
よって、本発明の露光方法は、生産性が高い。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。先ず、第1実施形態の露光装置の構成について説明する。図1(a),図1(c)は、本発明の第1実施形態に係る露光装置を示す模式図、図1(b),図1(d)は図1(a),図1(c)の露光装置によって形成される配向膜の一例を示す図である。また、図2(a)及び図2(b)は、本発明の実施形態に係る偏光変換素子を示す図である。図1に示すように、露光装置1は、露光光を出射する光源11と、露光光の強度を光軸に垂直な面内で均一化するフライアイレンズ13と、フライアイレンズ13の透過光を平行光にして透過させるコンデンサレンズ14と、コンデンサレンズ14の透過光を光透過領域のパターンに対応させて透過させるマスク12と、を有している。本実施形態においては、露光装置1は、コンデンサレンズ14とマスク12との間の露光光の光路上に偏光ビームスプリッタ15が設けられており、露光光をP偏光の直線偏光及びS偏光の直線偏光の露光光に分割可能に構成されており、そのいずれかの露光光をマスク12に向けて透過させるように構成されている。また、本発明においては、露光装置1には、マスク12と露光対象部材2の例えばフィルム又はガラス基板との間に、ズームレンズ16が設けられており、マスク12を透過した露光光をズームレンズ16を介して露光対象部材2に照射して露光対象部材2を露光する。これにより、本発明においては、露光対象部材2に照射される露光光の照射領域の大きさをズームレンズ16により拡大又は縮小できるため、露光光の照射面積を、露光パターン形成用領域の大きさに合わせて調節可能に構成されている。また、露光装置1にはカメラ18が設けられており、露光対象部材2の裏側から、ズームレンズによって調節された露光対象部材2上の露光光の照射領域の大きさを検出する。カメラ18は、例えば図示しない制御装置に接続されており、例えば検出した配向膜21aの幅を制御装置に送信する。そして、制御装置は、露光光の照射領域が所定の倍率で拡大又は縮小されているかを判定し、所定の倍率からずれている場合には、例えばズームレンズ16の各レンズ群の位置を調節することにより、倍率を補正できるように構成されている。なお、本実施形態においては、露光対象部材2がフィルムであり、フィルム基材20の表面に形成された配向材料膜21を露光して所定の方向に配向させた配向膜21a,21bを形成し、3Dディスプレイ用の偏光フィルムを製造する場合について説明する。
露光光源11は、例えば紫外光を出射する光源であり、例えば水銀ランプ、キセノンランプ、エキシマランプ及び紫外LED等であって、連続光又はパルスレーザ光を出射する光源が使用される。本実施形態においては、露光光源11から出射したレーザ光等の露光光は、フライアイレンズ13に入射される。なお、露光光の光路上には、図12に示す従来の露光装置と同様に、例えば全反射ミラー17等が配置され、露光光源11から出射された露光光が全反射ミラー17により反射されてからフライアイレンズ13に入射されるように構成されていてもよい。
フライアイレンズ13は、例えば同一形状及び焦点距離等を有する複数個の凸レンズが幅方向及び長さ方向に碁盤の目状に配列されて全体として略平板状に形成されたものである。そして、フライアイレンズ13の各凸レンズに入射した露光光は、夫々、焦点に集光された後、拡散し、複数本に分割された露光光が重畳的に次の光学系部材へと入射される。これにより、フライアイレンズ13への入射光が例えば光軸に垂直な面内にて不均一な強度分布を有する場合においても、この強度分布を均一化することができる。例えば光源から出射される露光光は、その強度が光軸に垂直な面内にてガウス分布を有していたり、例えば全反射ミラー17等による反射により、照度ムラが発生する場合があるが、フライアイレンズ13を設置することにより、これらを解消することができる。しかし、露光光の強度分布が、十分に均一化されている場合においては、フライアイレンズ13は設けなくてもよい。
コンデンサレンズ14は、例えばフライアイレンズ13とf値が同一となるように設けられた集束レンズである。即ち、本実施形態においては、フライアイレンズ13の焦点とコンデンサレンズ14の焦点とが同一の位置となるように、コンデンサレンズ14が配置されている。これにより、フライアイレンズ13からコンデンサレンズ14に入射した露光光は、平行光の透過光となるように構成されている。なお、フライアイレンズ13が設けられていない場合においては、コンデンサレンズ14は、露光光源11(光路上の全反射ミラー17等も含む)とf値が同一となるように配置されている。
偏光変換素子としての偏光ビームスプリッタ15は、フライアイレンズ13及びコンデンサレンズ14からなる光学系の下流に配置されており、露光光の光軸を回転中心として回転可能に設けられている。そして、偏光ビームスプリッタ15は、その回転中心に対する反射透過面の方向が90°相違する第1の位置と第2の位置とに設定可能に構成されている。偏光ビームスプリッタ15を回転させる構成としては、例えば、反射光の光路とならない偏光ビームスプリッタ15の側面に支持部材(図示せず)等が固定されており、この支持部材が偏光ビームスプリッタ15と共に回転できるように構成されている。
図2に示すように、偏光ビームスプリッタ15は、例えば柱状の直角プリズムを2個貼り合わせたものであり、接合面には、例えば誘電体多層膜又は金属薄膜からなるコーティングが施されている。これにより、偏光ビームスプリッタ15のコーティング膜部分は、P偏光及びS偏光のうちのいずれか一方を透過させ、他方を反射する反射透過面として構成されている。従って、偏光ビームスプリッタ15に、P偏光とS偏光とが混在した光を入射させると、P偏光及びS偏光の各偏光成分を分離できるように構成されている。本実施形態に係る偏光ビームスプリッタ15は、例えば1辺が10乃至20mmの立方体形状のものである。図2に示すように、本実施形態においては、偏光ビームスプリッタ15は、直角プリズム同士の接合面(反射透過面)が例えば入射光の光軸に対して45°傾斜するように配置されており、図2(a)に示すような第1の位置において、コーティング膜部分(反射透過面)にてP偏光の露光光を透過し、S偏光の露光光を入射方向に対して90°傾斜した方向へと反射するように構成されている。また、図2(a)に示す第1の位置から、偏光ビームスプリッタ15が光軸を回転中心として90°回転された第2の位置においては、図2(b)に示すように、偏光ビームスプリッタ15の反射透過面に透過される露光光は、P偏光の直線偏光から位相が90°ずれた光、即ちS偏光の直線偏光となる。即ち、第2の位置においては、偏光ビームスプリッタ15は、反射透過面にてS偏光の露光光を透過し、P偏光の露光光を入射方向に対して90°傾斜した方向へと反射するように構成されている。
これにより、本実施形態においては、露光対象部材2にS偏光及びP偏光の直線偏光の露光光を照射する場合においても、各露光光を照射するための専用の露光装置を設けることなく、1台の露光装置により、2種類の露光光を選択的に出射できるように構成されている。
本実施形態におけるマスク12は、従来と同様の形状を有している。即ち、図3に示すように、マスク12は、枠体120の内側のパターン形成部121にフィルムのスキャン方向に長手方向を有するような複数本の光透過領域のパターン121aが形成されている。パターン121aは、一定の間隔で、例えば透過光の照射領域が1絵素の幅ずつ離隔するように形成されている。本実施形態においては、マスク12は、例えば図示しない駆動装置により駆動され、制御装置により駆動装置が制御されることによりマスク12の位置を調整できるように構成されている。これにより、マスク12のパターン121aを透過した露光光の照射領域を、例えばパターン121aに垂直な方向に調整可能に構成されている。
ズームレンズ16は、複数枚の凸レンズ及び凹レンズを組み合わせたものであり、焦点距離を所定の範囲で変化させることができ、且つピントがずれないように構成されたレンズである。図1に示すように、ズームレンズ16は、例えば2枚の凸レンズ又は平凸レンズ(16a,16b)と、その間に配置された凹レンズ16cとが組み合わされたものであり、例えばマスク12側の凸レンズ16aの位置が固定された状態で露光対象部材2側の凸レンズ16b及び凹レンズ16cが移動可能に構成されている。又は、ズームレンズ16は、露光対象部材2側の凸レンズ16bの位置が固定された状態でマスク12側の凸レンズ16a及び凹レンズ16cが移動可能に構成されている。なお、ズームレンズ16におけるピントのずれの補正は、機械補正式、光学補正式及び電子補正式のいずれによって行ってもよく、複数の方式の補正を組み合わせてもよい。
本実施形態においては、マスク12を透過した露光光は、図1に示すように、例えば平行光としてズームレンズ16に入射され、ズームレンズ16にて、露光光の光軸に垂直な面における照射面積を拡大又は縮小された後、平行光としてズームレンズ16から出射される。即ち、露光装置1は、露光対象部材2に対する露光光の照射面積を、ズームレンズ16による拡大又は縮小により、調整可能に構成されている。よって、例えば大きさは異なるが画素数が同一の表示装置に使用される偏光フィルムを製造する場合においては、マスク12を取り換えずに、ズームレンズ16によるズーム倍率を調整するだけで、露光対象部材2に対する露光光の照射面積を広げたり、狭く調整することができる。なお、上記の例においては、1画素に対応する領域を1方向に2分割する場合について説明したが、1絵素に対応する領域を1方向に2分割して例えば視野角を広げるためのフィルムを製造する場合についても、同様である。
このように構成された露光装置1による露光領域と表示装置の画素又は絵素との対応について、図4を参照して説明する。図4は、3D表示機能を有する液晶ディスプレイパネル等の表示装置における絵素及び画素の配列を一例として示す図である。3D表示機能を有しない表示装置の場合、通常、1画素は、R(赤),G(緑),B(青)の3個の絵素により構成されているが、3D表示機能を有する表示装置においては、1画素内に右目用及び左目用の各絵素を設ける必要があることから、図4に示すように、1画素は、2個のR(赤),2個のG(緑),2個のB(青)の6個の絵素により構成されている。図4(a)に示す配列は、ストライプ配列と称されており、行方向にR(赤),G(緑),B(青)の絵素が交互に配列され、列方向に並ぶ絵素は、同色となるように配置されている。図4(b)に示す配列は、ダイアゴナル配列と称されており、行方向及び列方向に3原色の絵素が交互に配列され、行方向に並ぶ3原色の絵素からなる絵素群が列方向に対をなして、6個の絵素により1画素が構成されている。又は、列方向に並ぶ3原色の絵素が行方向に対をなして、6個の絵素により1画素が構成されている。図4(c)に示す配列は、デルタ配列と称されており、行方向に3原色の絵素が交互に配列され、行方向の絵素同士の境界は、列方向に隣接する絵素群同士で、絵素の半分の長さだけずれている。そして、デルタ形状に配列された3原色の絵素が行方向に対をなして、6個の絵素により1画素が構成されている。
画素及び絵素の配列が、図4(a)に示すようなストライプ配列の場合には、各パターン121aによる露光領域の幅を1絵素の列方向の長さ(又は1画素の列方向の半分の長さ)に対応させると共に、各パターン121aの長手方向を表示装置の画素行に対応する領域と平行にする。これにより、表示装置の行方向に配向方向が揃った配向膜を、隣接する配向膜間で配向方向が異なるように形成し、各配向膜の透過光により、表示装置の視野角を広げたり、各透過光を3Dディスプレイ装置の右目用及び左目用の表示光として使用することができる。
なお、画素及び絵素の配列が図4(b)に示すようなダイアゴナル配列の場合においては、各パターン121aにより形成される配向膜の幅を1絵素の行方向又は列方向の長さ(1画素の行方向又は列方向の半分の長さ)に対応するように調節する。そして、行方向に並ぶ絵素に対応するように配向膜を形成するか、又は列方向に並ぶ絵素に対応するように配向膜を形成する。画素及び絵素の配列が図4(c)に示すようなデルタ配列であって、デルタ形状に配列された3つの絵素からなる絵素群が行方向に対をなして、6個の絵素により1画素が構成されている場合には、各パターン121aにより形成される配向膜の幅を1絵素の列方向の長さ(又は1画素の列方向の半分の長さ)に対応するように調整すると共に、各パターン121aの長手方向を列方向に並ぶ絵素に対応する領域と平行になるように、マスク12の向きを調節する。
本実施形態の露光装置は、上記のような配列の画素及び絵素の配列に対応させて配向膜を形成する際に、マスク12のパターン121aの幅が形成予定の配向膜の幅に比して大きい場合においても、ズームレンズ16により、露光光の照射領域の幅を縮小することができる。即ち、本実施形態においては、マスク12のパターン121aの幅は例えば0.01乃至10.00mmであり、図4(a)に示すようなストライプ配列を採用した表示装置において、1画素の大きさは、例えば行方向の幅が102乃至1153μmであり、1画素内には絵素が2列に配列されているので、列方向の幅は204乃至2306μmである。そして、1画素内には、R,G,Bの3絵素が行方向に配列されているので、1絵素の(行方向の)幅は、例えば34乃至384μmである。よって、例えば幅が10mmのパターン121aの透過光により、34μm幅の配向膜を形成する場合には、ズームレンズ16により、露光光の照射領域の幅を0.0034倍に縮小する。これとは逆に、露光装置は、パターン121aの大きさが形成予定の配向膜の大きさに比して小さい場合においても、ズームレンズ16により、各露光光の照射領域の大きさを拡大することもできる。なお、上記マスク12のパターン121aの幅は一例であり、マスク12にパターン121aを形成する描画機の性能によっては、0.01mm以下の幅のパターンを形成することもできる。
カメラ18は、例えばCCDカメラであり、露光対象部材2の裏側から、ズームレンズ16によって調節された露光対象部材2上の露光光の照射領域の大きさを検出する。又は、カメラ18は、例えば露光対象部材2における露光光の照射領域側(ズームレンズ16側)からその大きさを検出するように構成されていてもよい。図5に示すように、カメラ18は、例えばP偏光の露光光によって形成された配向膜21a間の距離を検出することができる。又は、形成された配向膜21aの幅を検出することができる。これにより、例えば、ズームレンズ16による拡大により、配向膜21a間の距離が大きくなった場合には、その距離を検出することにより、ズームレンズ16による拡大倍率を確認することができる。カメラ18は、例えば露光対象部材2のパターン形成用領域のうち、特定の領域のみを観察できるものであってもよく、パターン形成用領域の全体を観察できるものであってもよい。
本実施形態の露光装置1には、図6に示すように、例えばマスク12の位置を調節するために使用されるアライメントマーク検出用のカメラ19(例えばCCDカメラ)が設けられている。図6(a)に示すように、マスク12には、例えば、パターン121aの外側に十字形状の光透過領域のアライメントマーク122が設けられており、このアライメントマーク122を透過した光をアライメントマーク検出用カメラ19で観察することにより、マスク12の位置が所定の位置にあるかどうかを確認することができる。アライメントマーク検出用カメラ19は、露光対象部材2の裏側からアライメントマーク122の位置を検出できるように構成されていてもよく、露光対象部材2における露光光の照射領域側(ズームレンズ16側)からアライメントマーク122の位置を検出できるように構成されていてもよい。アライメントマーク検出用カメラ19は、図示しない制御装置に接続されており、制御装置は、マスク12の位置が所定の位置からずれている場合には、例えばマスク12を支持しているマスクステージを移動させ、これにより、マスク位置を補正できるように構成されている。
本発明においては、露光光の照射領域を調節するズームレンズ16が設けられているため、例えば図6(b)に示す状態から図6(c)に示す状態へと露光光の照射領域が大きくなった場合、アライメントマーク122を透過した光がカメラ19により検出される位置は、一定ではなく、ズームレンズ16の倍率により移動する。そこで、例えば、ズームレンズ16の倍率により、予めアライメントマーク122の透過光が検出される位置を演算し、図6(c)に示すように、カメラ19の位置を移動させておく。なお、アライメントマーク検出用カメラ19としては、例えばラインCCDを使用することができ、露光対象部材2よりも幅方向に長いラインCCDを設けることにより、例えばズームレンズ16の倍率によるカメラ19の移動が不要となる。この場合には、例えば露光光の照射領域の大きさを検出するカメラ18とアライメントマーク検出用カメラ19は、ラインCCDにより兼用することができる。
露光装置1には、例えば露光光の照射領域の調整を自動的に行える制御装置が設けられている。図7は、この生産計画用制御装置が設けられた露光装置を示す模式図である。露光対象部材2には、例えばパターン形成用領域の大きさを示すバーコード等の指標が付されている。図7に示すように、露光装置には、露光光の照射位置よりも上流側にセンサ31が設けられており、露光対象部材2に付された前記バーコード等の指標を検出する。センサ31は、生産計画用の制御装置30に接続されており、生産計画用制御装置30には、パターン形成用領域の大きさの信号がセンサ31から送信される。生産計画用制御装置30は、この信号に基づいて、ズームレンズ16の倍率を決定し、例えば図示しない駆動装置により、ズームレンズ16の各レンズ群の位置を調整する。また、生産計画用制御装置30は、図示しない駆動装置により、アライメントマーク検出用カメラ19の位置を、決定したズームレンズ16の倍率に応じて調節する。このように、露光装置1に生産計画用の制御装置30を設けることにより、複数種類の露光対象部材2に対して、順次、露光を行うことができ、生産性を高めることができる。
以上のように構成された露光装置1により、露光対象部材2を露光する際には、露光対象部材2に対する露光光の照射方向は、例えば図12に示すように、マスク12のパターン形成面に対して傾斜させて照射してもよく、マスク12のパターン形成面に対して垂直に照射してもよい。即ち、本発明においては、所定の露光光をマスク12のパターン121aに透過させることができればよく、本発明は、パターン形成面に対する露光光の照射角度により限定されるものではない。
本実施形態においては、露光対象のフィルムは、フィルム基材20の表面に、露光光の照射により光配向する特性を有する材料が塗布・乾燥されて、配向材料膜21が形成されている。この配向材料膜21は、表示装置に組み立てられたときにその表示領域となる領域の全域に塗布されている。配向材料膜21としては、例えば露光光の照射により硬化量が変化する露光材料を形成することができる。このような配向材料膜21用の露光材料としては、例えばアゾベンゼン誘導体、ベンゾフェノン、桂皮酸エステル、ポリイミド、クマリン及びカルコン等を使用することができる。
次に、本実施形態の露光装置の動作について図1乃至図3を参照して説明する。なお、本実施形態においては、露光対象部材2であるフィルムは、フィルム基材20上に、露光光の照射により硬化量が変化する露光材料からなる配向材料膜21が形成されていても、露光光の照射により配向方向が一意的に定まり、更に露光光を照射しても配向方向が変化しない露光材料からなる配向材料膜21が形成されていてもよい。
本実施形態においては、表示装置の2列×3行の6個の絵素からなる各画素をその列方向に並ぶ絵素間の境界で配向方向が分かれるように、フィルムの各画素に対応する領域を例えば列方向に2分割する。そして、一方の分割領域をP偏光の直線偏光の露光光により露光して光配向させた後、マスク12を移動させると共に、露光光をS偏光の直線偏光の露光光に変えて、他方の分割領域をS偏光の直線偏光の露光光により露光して光配向させ、露光光の偏光方向により配向方向が異なる配向膜を形成する。
よって、先ず、図2(a)に示すように、偏光ビームスプリッタ15がP偏光の露光光を透過し、S偏光の露光光を反射させるように、露光光の光軸を回転中心とした偏光ビームスプリッタ15の位置が第1の位置となるように、支持部材を偏光ビームスプリッタ15と共に回転させる。
次に、露光光源11から露光光を出射させる。露光光源11から出射される露光光は、例えば無偏光の光であり、そのP偏光成分及びS偏光成分は大凡半分ずつである。光源11から出射された無偏光の露光光は、例えば全反射ミラーにより反射された後、フライアイレンズ13に入射する。フライアイレンズ13は複数個の凸レンズが碁盤の目状に配列されており、入射光は、各凸レンズへの入射光として分割され、各凸レンズを透過した後、各凸レンズごとに、夫々、焦点に集光され、拡散していく。そして、複数本に分割された露光光は、重畳的にコンデンサレンズ14に照射される。これにより、フライアイレンズ13を透過し、コンデンサレンズ14に入射する露光光は、光軸に垂直な面内にて強度分布が均一化されており、照度ムラが解消される。
そして、露光光は、コンデンサレンズ14を透過し、偏光ビームスプリッタ15へと向かう。コンデンサレンズ14は、フライアイレンズ13とf値が同一となるように設けられているため、コンデンサレンズ14の透過光は、平行光として、偏光ビームスプリッタ15へと向かう。本実施形態においては、偏光ビームスプリッタ15の位置は、第1の位置となるように調整されているため、入射光は、偏光ビームスプリッタ15のコーティング膜部分(反射透過面)にてP偏光成分とS偏光成分とに分割され、P偏光の直線偏光の露光光のみが透過され、S偏光の直線偏光の露光光は、反射透過面に反射され、露光に使用されない。偏光ビームスプリッタ15を透過したP偏光の直線偏光の露光光は、平行光のまま図3(a)に示すマスク12へと向かう。
図3(a)に示すように、マスク12には、パターン形成部121にフィルムのスキャン方向に長手方向を有するような複数本の光透過領域のパターン121aが形成されており、このパターン121aを透過した光は、ズームレンズ16に入射する。ズームレンズ16は、露光対象部材2の露光対象領域の大きさに合わせて各レンズの位置が調整されている。例えば、大きさは異なるが、画素数が同一のフィルムを露光する場合においては、1画素の幅が異なっており、図1(a)に示すように、露光対象領域が狭い場合においては、画素の幅は狭く(図1(b))、図1(c)に示すように、露光対象領域が広い場合においては、画素の幅も広い(図1(d))。よって、画素の幅を広げるためには、例えば図1(a)の状態から図1(c)の状態へと、ズームレンズ16の3つのレンズのうち、マスク12側の平凸レンズ16aの位置を固定した状態で、露光対象部材2側の平凸レンズ16bを露光対象部材2側に移動させ、平凸レンズ間の凹レンズ16bをマスク12側へと移動させる。これにより、複数枚の凸レンズ及び凹レンズが組み合わされて構成されたズームレンズ16の透過光は、その光軸に垂直な照射領域の面積が相似的に拡大される。そして、ズームレンズ16の透過光は、マスクのパターン121aに対応する形状で大きさのみが拡大されて露光対象部材2に照射される。なお、本発明においては、マスク12と露光対象部材2との間には、ズームレンズ16が設けられ、露光光の照射領域の大きさを調節可能に構成されているため、図3において、マスクのパターン121aと配向膜21a,21bとの間に付した一点鎖線は、パターン121aと配向膜21a,21bとの対応を示すものであり、大きさの関係を示すものではない。
ズームレンズ16を透過したP偏光の露光光が照射されることにより、フィルム(露光対象部材2)の表面の配向材料膜21は露光により、所定の方向に光配向する。これにより、図3(a)に示すように、1方向に配向した配向膜21aが形成される。なお、図面において、配向膜21a,21bの符号の横に記載した矢印は、各配向膜の配向方向を示す。この図3(a)に示す配向膜21aにおいては、その配向方向は、90°である。そして、配向膜21a間には、未露光の配向材料膜21が残された状態となる。パターン121aの長さが露光対象部材2のパターン形成用領域に対応するように十分長く形成されたマスク2を使用する場合においては、露光対象部材2を露光光の照射領域に配置するだけで、図3に示すような配向膜21aが形成される。図3(a)に示す状態で配向膜が形成されたら、例えばフライアイレンズ13とコンデンサレンズ14との間に配置されたシャッタ(図示せず)を閉じることにより、P偏光の露光光による露光を停止する。
本実施形態においては、露光装置1にはカメラ18が設けられており、露光対象部材2の裏側から、ズームレンズによって調節された露光対象部材2上の露光光の照射領域の大きさを検出する。カメラ18は、例えば配向膜21aの幅を検出し、検出結果を図示しない制御装置に送信する。そして、制御装置は、露光光の照射領域が所定の倍率で拡大又は縮小されているかを判定し、所定の倍率からずれている場合には、例えば図示しない駆動装置により、ズームレンズ16の各レンズ群の位置を調節することにより、倍率を補正する。
連続露光の場合においては、露光光の照射を継続した状態で、露光対象部材2を図3に示すスキャン方向に移動させて、露光光の照射領域に連続的に供給する。これにより、フィルム(露光対象部材2)は、露光光の照射領域に連続的に供給されて、その表面の配向材料膜21は、順次、1方向に光配向していき、P偏光の露光光により配向膜21aがスキャン方向に沿って帯状に延びるように形成されていく。P偏光の露光光により所定の領域に配向膜21aが形成されたら、シャッタを閉じて、露光を停止する。
P偏光の露光光による露光が終了したら、図示しない制御装置によりマスク12の枠体120に固定された駆動装置を制御することにより、図3(b)に示すように、マスク12を例えば1パターン幅だけパターン121aの幅方向(パターン121aの長手方向に垂直な方向)に移動させる。そして、偏光ビームスプリッタ15については、支持部材を偏光ビームスプリッタ15と共に露光光の光軸を回転中心として90°回転させ、図2(a)に示す状態から図2(b)に示す状態とする。この図2(b)に示す第2の位置において、偏光ビームスプリッタ15の反射透過面は、S偏光の露光光を透過し、P偏光の露光光は反射する。
従って、偏光ビームスプリッタ15を回転させた後、シャッタを開け、露光光源11からの露光光の出射を再開すると、露光光源11からフライアイレンズ13及びコンデンサレンズ14を介して偏光ビームスプリッタ15に入射した露光光は、偏光ビームスプリッタ15の内部のコーティング膜(反射透過面)にてP偏光成分とS偏光成分とに分割され、S偏光の直線偏光の露光光は透過され、P偏光の直線偏光の露光光は、反射透過面に反射され、露光に使用されない。
以降、偏光ビームスプリッタ15を透過したS偏光の直線偏光の露光光は、上記P偏光の露光光の照射の場合と同様に、マスクに透過され、ズームレンズ16によって光照射領域の大きさが調節された後、フィルム(露光対象部材2)の表面の配向材料膜21に照射される。そして、このS偏光の露光光の照射により、図3(b)に示すように、P偏光の露光光により既に露光された領域に隣接するように、各露光済みの領域間の未露光の領域が露光される。これにより、配向膜21aとは配向方向が異なる配向膜21bが形成される。この露光光はS偏光の直線偏光であるため、形成される配向膜は、幅方向に隣接する帯状の領域間で、位相が相互に90°異なる配向膜となる。即ち、図3(b)に示す配向膜21bの配向方向は、0°である。よって、これらの各領域の幅を例えば1絵素の列方向の長さと等しくすることにより、製造されたフィルムを3Dディスプレイ用の偏光フィルムとして使用することができる。即ち、このフィルムは、1/4λ板と同様の機能を有するものとなり、直線偏光の画像表示用の光をこの偏光フィルムに透過させれば、複数個の画素により構成されフィルムの幅方向に並ぶ絵素列ごとに、相互に回転方向が逆の円偏光の透過光が出射される。この円偏光の2つの透過光を、夫々例えば3Dディスプレイの右目用及び左目用の表示光として使用することができる。なお、本実施形態により製造される偏光フィルムは、VA(Vertical Alignment)方式の3Dディスプレイ用偏光フィルムとして好適に使用される。
以上のような露光装置の動作において、図7に示すように、露光装置1に生産計画用の制御装置30が設けられている場合には、露光対象部材2が露光光の照射位置に供給される前に、センサ31により、露光対象部材2に付された前記バーコード等の指標を検出させる。センサ31は、パターン形成用領域の大きさの信号を生産計画用制御装置30に送信し、生産計画用制御装置30は、この信号に基づいて、ズームレンズ16の倍率を決定し、図示しない駆動装置により、ズームレンズ16の各レンズ群の位置を調整する。また、生産計画用制御装置30は、図示しない駆動装置により、アライメントマーク検出用カメラ19の位置を、決定したズームレンズ16の倍率に応じて調節する。これにより、パターン形成用領域の大きさがバーコード等の指標により、露光光の照射領域の調整を自動的に行えるように構成することにより、複数種類の露光対象部材2に対して、順次、露光を行うことができ、露光装置による生産性を高めることができる。
従来の露光装置においては、露光すべきパターンの形状及び大きさを、マスクを取り換えることにより変更しており、露光装置の導入コストが増大したり、生産性が低下するという問題点があった。しかしながら、本実施形態においては、露光装置1には、マスク12とフィルム(露光対象部材2)との間にズームレンズ16が設けられており、パターン121aにより配向膜の形状が決定した後に、露光光の照射領域の大きさを調節可能に構成されている。よって、画素数又は絵素数が等しいが、露光パターン形成用領域の大きさが異なる複数の露光対象部材を、マスク12を取り換えることなく露光することができ、生産性が高い。また、本実施形態の露光装置は、ズームレンズ16を設けただけのものであり、その構成も単純であるため、露光装置の導入コストが増大することもない。
なお、マスク12に設けられたパターン数以下の画素数の露光対象部材2を露光する場合においても、本実施形態の露光装置を使用して、上記の効果を得ることができる。即ち、この場合、露光光の照射領域は、露光対象部材2の露光パターン形成用領域の大きさよりも大きくなるため、例えばマスク12の透過光の一部は、配向材料膜の露光に使用されない。しかし、少なくとも、露光パターン形成用領域には、その全体に露光光が照射されるため、マスク12を変更することなく所定の配向膜を形成することができる。また、マスク12に設けられたパターン数よりも多い画素数に対応した偏光フィルムを製造する場合には、1回の露光が終わったら、例えばマスク12又は露光対象部材2をスキャン方向に垂直な方向に移動させて、複数回の露光を繰り返すことにより、本実施形態と同様の配向膜を形成できる。
また、本実施形態においては、1回目の露光と2回目の露光との間で、マスク12をスキャン方向に垂直の幅方向に移動させたが、マスク12の位置を固定し、露光対象部材2をスキャン方向に垂直の幅方向に移動させてもよい。
更に、本実施形態においては、図2(a)に示す第1の位置における露光を図2(b)の第2の位置よりも先に行った場合を説明したが、本発明においては、S偏光の露光光による露光をP偏光の露光光による露光よりも先に行ってもよい。
更にまた、本実施形態においては、露光装置1には、偏光ビームスプリッタ15が設けられているが、露光光源11がP偏光及びS偏光の直線偏光の露光光を選択的に出射できるように構成されている場合には、偏光ビームスプリッタ15は設けられていなくてもよい。そして、2種類の露光光は、P偏光及びS偏光の直線偏光の露光光のみに限定されない。例えば、露光対象部材2に対して露光光を異なる角度から照射することによっても、本実施形態と同様に、隣接する分割領域間で配向方向が異なる配向膜を形成することができる。
更にまた、本実施形態においては、VA方式の3Dディスプレイ用偏光フィルムを製造する場合について説明したが、例えば、P偏光及びS偏光の各露光光の照射角度を変更することにより、図8に示すように、偏光方向が夫々+45°の配向膜21a及び偏光方向が−45°の配向膜21bを形成することもできる。このように形成した偏光フィルムは、IPS(In Plane Switching)方式の3Dディスプレイ用の偏光フィルムとして好適に使用することができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る露光装置について説明する。図9は本発明の第2実施形態に係る露光装置を示す模式図である。本実施形態の露光装置が第1実施形態と異なるのは、偏光ビームスプリッタ15が露光光源11とフライアイレンズ13との間に設けられている点にあり、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
第1実施形態においては、偏光ビームスプリッタ15は、コンデンサレンズ14とマスク12との間に設けられているため、偏光ビームスプリッタ15は、マスク12の光透過領域の全体の大きさに対応できるものを使用する必要がある。しかし、本実施形態においては、偏光変換素子としての偏光ビームスプリッタ15は、フライアイレンズ13よりも光源11側の上流の位置に配置されている。このフライアイレンズ13及びコンデンサレンズ14等の光学系よりも光源11側の位置は、露光光の光束が小さい位置であり、従って、設置する偏光ビームスプリッタ15は、従来よりも小さいものを使用することができる。よって、本実施形態においては、第1実施形態に比して、装置全体を小型化できる。
また、フライアイレンズ13及びコンデンサレンズ14は、偏光ビームスプリッタ15よりも下流の露光光の光路上に配置されているため、強度が均一化された良質の平行光をマスク12に透過させて配向材料膜を露光することができる。
次に、本発明の第3実施形態に係る露光装置について説明する。図10(a)及び図10(b)は本発明の第3実施形態に係る露光装置による露光工程を示す図である。本実施形態においては、露光対象部材2は、フィルム基材20の表面上に露光光の照射により硬化量が変化する露光材料からなる配向材料膜21が形成されたものである。また、露光装置は、第1及び第2実施形態と同様に、互いに平行に伸びる複数本のパターン121aを備えた(第1の)マスク12aが設けられているが、本実施形態においては、露光装置には、露光対象部材2の露光パターン形成用領域(配向材料膜の塗布領域)の全域に透過光が照射されるパターンを備えた第2のマスク12bも設けられている。即ち、第2のマスク12bは、パターン形成用領域121に所定の大きさの開口部121bが設けられている。そして、露光装置には、露光光の光路上に配置するマスクを第1のマスクと第2のマスクとの間で入れ換える駆動装置(図示せず)と駆動装置を制御する制御装置が設けられている。
本実施形態においては、制御装置は、以下のように駆動装置を制御する。即ち、偏光ビームスプリッタ15が第1の位置にあって、P偏光の直線偏光の露光光を透過させる際には、制御装置は、第2のマスク12bが露光光の光路上に配置されるように、駆動装置を制御する。そして、P偏光の直線偏光の露光光が第2のマスク12bの開口部121bに透過される。また、偏光ビームスプリッタ15が第2の位置にあって、S偏光の直線偏光の露光光を透過させる際には、制御装置は、第1のマスク12aが露光光の光路上に配置されるように、駆動装置を制御する。そして、S偏光の直線偏光の露光光が第1のマスク12aのパターン121aに透過される。その他の構成は、第1実施形態及び第2実施形態と同様である。
次に、本第3実施形態に係る露光装置の動作について説明する。本実施形態においては、露光対象部材2は、フィルム基材20の表面上に露光光の照射により硬化量が変化する露光材料からなる配向材料膜21が形成されている。本実施形態においては、先ず、P偏光の直線偏光の露光光により、フィルム基材20の表面に形成された配向材料膜の全域を所定の第1の硬化量となるまで露光した後、S偏光の露光光を第1のマスク12aのパターン121aに対応させて配向材料膜に照射して第1の硬化量より大きい第2の硬化量となるまで露光する。これにより、第1実施形態及び第2実施形態と同様の配向膜を形成する。例えば配向膜が所定の配向方向で形成され、露光光を更に照射しても配向方向が変化しないときの硬化量を100%とした場合に、P偏光の露光光による露光により、配向材料膜を硬化量が50%になるまで硬化させる。そして、S偏光の露光光による露光により、配向材料膜を第1のマスク12aのパターン121aに対応させて、硬化量が100%になるまで硬化させる。このとき、S偏光の露光光が照射されない領域は、硬化量が50%のままであるが、例えば露光後にポストベークを施す(材料塗布後の乾燥(プリベーク)温度よりも高い温度で熱硬化させる)ことにより、硬化量が100%となるまで硬化させて配向方向を固定する。
よって、先ず、図2(a)に示すように、偏光ビームスプリッタ15がP偏光の露光光を透過し、S偏光の露光光を反射させるように、露光光の光軸を回転中心とした偏光ビームスプリッタ15の位置が第1の位置となるように、支持部材を偏光ビームスプリッタ15と共に回転させる。そして、制御装置は、第2のマスク12bが露光光の光路上に配置されるように、駆動装置を制御する。
次に、露光光源11から露光光を出射させると、露光光は、フライアイレンズ13、コンデンサレンズ14及び偏光ビームスプリッタ15を透過することにより、P偏光の直線偏光の平行光として、第2のマスク12bへと向かう。図10(a)に示すように、第2のマスク12bには、パターン形成用領域121に所定の大きさの開口部121bが設けられており、開口部121を透過した光は、ズームレンズ16に入射する。このズームレンズ16の動作は、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるため、省略する。
ズームレンズ16を透過したP偏光の露光光は、配向材料膜21の全域に照射される。これにより、配向材料膜21は、全域で光配向し、配向方向が同一の配向膜21aがフィルム基材20上に形成される。このときの硬化量は50%である。図10(a)に示す状態で配向膜が形成されたら、例えばフライアイレンズ13とコンデンサレンズ14との間に配置されたシャッタ(図示せず)を閉じることにより、P偏光の露光光による露光を停止する。
連続露光の場合においては、露光光の照射を継続した状態で、露光対象部材2を図10に示すスキャン方向に移動させて、露光光の照射領域に連続的に供給する。これにより、フィルム(露光対象部材2)は、露光光の照射領域に連続的に供給されて、その表面に、全域で配向方向が同一の配向膜21aが、その硬化量が50%となるように形成される。P偏光の露光光により所定の領域に配向膜21aが形成されたら、シャッタを閉じて、露光を停止する。
P偏光の露光光による露光が終了したら、支持部材を偏光ビームスプリッタ15と共に露光光の光軸を回転中心として90°回転させ、図2(a)に示す状態から図2(b)に示す状態とする。この図2(b)に示す第2の位置において、偏光ビームスプリッタ15の反射透過面は、S偏光の露光光を透過し、P偏光の露光光は反射する。また、制御装置は、第1のマスク12aが露光光の光路上に配置されるように、駆動装置を制御する。
従って、偏光ビームスプリッタ15を回転させた後、シャッタを開け、露光光源11からの露光光の出射を再開すると、露光光は、フライアイレンズ13、コンデンサレンズ14及び偏光ビームスプリッタ15を透過することにより、S偏光の直線偏光の平行光として、第1のマスク12aへと向かう。図10(b)に示すように、第1のマスク12aには、パターン形成用領域121に、互いに平行に伸びる複数本のパターン121aが設けられており、パターン121aを透過した光は、ズームレンズ16に入射する。このズームレンズ16の動作は、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるため、省略する。
ズームレンズ16を透過したS偏光の露光光は、P偏光の露光光により形成された硬化量が50%の配向膜21a上に照射される。露光光は、複数本のパターン121aを透過することにより、1画素に対応する幅ずつ離隔するように、複数の照射領域が並ぶように照射される。この露光光の照射領域は、例えば2列×3行の6個の絵素により1画素が構成され、行方向に1方向に並ぶ複数個の画素に対応する領域がその幅方向(列方向)に2分割された一方の領域であり、各照射領域の幅は、1絵素の列方向の長さに対応している。
本実施形態においては、フィルム基材20上に形成された配向材料膜21は、露光光の照射により硬化量が変化する露光材料から形成されている。よって、P偏光の露光光の照射により硬化量が50%となるまで硬化した配向膜21aは、S偏光の露光光の照射領域において、再度、配向方向が変化し、S偏光の露光光の照射により特定される配向方向となる。そして、第1のマスク12aのパターン121aを透過したS偏光の露光光による露光により、配向材料膜を硬化量が例えば100%になるまで硬化させて、配向膜21aとは配向方向が異なる配向膜21bを形成する。このとき、S偏光の露光光が照射されない領域は、硬化量が50%のままであるが、この領域については、露光が終了した後、例えばポストベークを施す。これにより、図10(b)に示すように、第1実施形態及び第2実施形態と同様の配向膜が形成される。
本実施形態においても、マスク12(12a,12b)と露光対象部材2との間にズームレンズ16を設けているので、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の第4実施形態に係る露光装置について説明する。図11(a)及び図11(b)は本発明の第4実施形態に係る露光装置による露光工程を示す図である。本実施形態においても、第3実施形態と同様に、露光対象部材2は、フィルム基材20の表面上に露光光の照射により硬化量が変化する露光材料からなる配向材料膜21が形成されたものである。また、マスクについても、第3実施形態と同様に第1のマスク12a及び第2のマスク12bが設けられている。
本実施形態においては、制御装置は、マスク用の駆動装置を以下のように制御する。即ち、偏光ビームスプリッタ15が第1の位置にあって、P偏光の直線偏光の露光光を透過させる際には、制御装置は、第1のマスク12aが露光光の光路上に配置されるように、駆動装置を制御する。そして、P偏光の直線偏光の露光光が第1のマスク12aのパターン121aに透過される。また、偏光ビームスプリッタ15が第2の位置にあって、S偏光の直線偏光の露光光を透過させる際には、制御装置は、第2のマスク12bが露光光の光路上に配置されるように、駆動装置を制御する。そして、S偏光の直線偏光の露光光が第2のマスク12bの開口部121bに透過される。その他の構成は、第3実施形態と同様である。
本実施形態においては、図11(a)に示すように、先ず、P偏光の露光光による露光を行うことにより、露光対象部材2には、第1実施形態と同様に、第1のマスク12aのパターン121aに対応した配向膜21aが形成され、配向膜21a間の領域には、未露光の部分が残される。本実施形態においては、P偏光の露光光による露光により、配向材料膜を硬化量が100%となるまで硬化させ、形成される配向膜21aの配向方向をP偏光の露光光により特定される配向方向に固定する。従って、形成された配向膜21aに更に他の露光光を照射しても、その配向方向は変わることがない。
従って、配向材料膜21の全域に第2のマスク12bの開口部121bを透過したS偏光の露光光を照射すると、P偏光の露光光が照射されず未露光であった領域にはS偏光の露光光の照射により、配向膜21aとは配向方向が異なる配向膜21bが形成される。そして、P偏光の露光光の照射により形成された配向膜21aは、S偏光の露光光を照射されても配向方向が変化しない。これにより、第1乃至第3実施形態と同様の配向膜が形成される。なお、S偏光の露光光により形成される配向膜21bの硬化量は100%未満であってもよいが、配向方向を固定するためには、露光が終了した後、例えばポストベークを施す。
本実施形態においても、マスク12(12a,12b)と露光対象部材2との間にズームレンズ16を設けているので、第1乃至第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上説明した実施形態においては、露光対象部材としてフィルム基材の表面に配向膜材料が形成されたフィルムを使用し、配向膜材料を光配向させて3Dディスプレイ用の偏光フィルムを製造する場合について述べたが、表面に配向材料膜が形成されたガラス基板を露光対象部材として使用した場合においても、本発明の露光装置を使用することにより、同様の効果を得ることができる。
1,10:露光装置、11:露光光源、12:マスク、12a:第1のマスク、12b:第2のマスク、120:枠体、121:パターン形成用領域、121a:パターン、121b:開口部、13:フライアイレンズ、14:コンデンサレンズ、15:偏光ビームスプリッタ、16:ズームレンズ、17:反射ミラー、18:カメラ、19:(アライメントマーク検出用)カメラ、16a,16b:平凸レンズ、16c:凹レンズ、2:露光対象部材、20:フィルム基材、21:配向材料膜、21a,21b:配向膜、30:生産計画用制御装置、31:センサ
Claims (13)
- 露光光を出射する光源と、この光源からの露光光の光路上に配置され前記露光光を平行光にするコンデンサレンズと、所定の光透過領域のパターンが形成され前記コンデンサレンズを透過した露光光を前記パターンに対応させて透過させるマスクと、このマスクと露光対象部材との間における前記露光光の光路上に配置され前記露光対象部材における前記露光光の照射領域の大きさを調節可能なズームレンズと、を有することを特徴とする露光装置。
- 更に、前記ズームレンズによって調節された前記露光対象部材上の前記露光光の照射領域の大きさを検出するカメラを有することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 更に、前記コンデンサレンズと前記マスクとの間の前記露光光の光路上に、前記露光光をP偏光の直線偏光及びS偏光の直線偏光の露光光に分割してそのいずれかの露光光を透過させる偏光ビームスプリッタを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。
- 更に、前記光源と前記コンデンサレンズとの間における前記露光光の光路上に、前記露光光の強度を光軸に垂直な面内で均一化するフライアイレンズを有し、このフライアイレンズを透過した露光光が前記コンデンサレンズに入射されることを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。
- 更に、前記光源と前記フライアイレンズとの間の前記露光光の光路上に、前記露光光をP偏光の直線偏光及びS偏光の直線偏光の露光光に分割してそのいずれかの露光光を透過させる偏光ビームスプリッタを有することを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
- 前記偏光ビームスプリッタは、前記露光光の光軸を回転中心として回転可能に設けられていると共に、その回転中心に対する反射透過面の方向が90°相違する第1の位置と第2の位置とに設定可能であり、前記偏光ビームスプリッタが前記第1の位置にあるときに、前記P偏光及びS偏光のいずれか一方の第1の直線偏光を前記反射透過面に透過させ、他方の第2の直線偏光を前記反射透過面に反射させ、前記偏光ビームスプリッタが前記第2の位置にあるときに、前記第2の直線偏光を前記反射透過面に透過させ、前記第1の直線偏光を前記反射透過面に反射させることを特徴とする請求項3又は5に記載の露光装置。
- 前記マスクは、互いに平行に延びる複数本のパターンを有し、
前記露光装置は、更に、前記マスクを前記パターンに垂直な方向に移動させるように駆動する駆動装置と、この駆動装置を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記マスクに透過された第1の露光光により前記パターンに対応する前記露光対象部材の第1の光照射領域を露光した後、前記マスクを前記パターンに垂直な方向に移動させるように前記駆動装置を制御し、前記マスクに前記第1の露光光とは偏光方向又は照射方向が異なる第2の露光光を透過させることにより前記露光対象部材の前記第1の光照射領域とは異なる第2の光照射領域に前記第2の露光光を照射して露光することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の露光装置。 - 前記マスクは、互いに平行に伸びる複数本のパターンを備えた第1のマスク、及び前記露光対象部材の露光パターン形成用領域の全域に透過光が照射される開口部を備えた第2のマスクにより構成されており、
前記露光装置は、更に、前記第1のマスク及び前記第2のマスクのいずれかが前記露光光の光路上に配置されるように、前記第1のマスク及び前記第2のマスクを入れ換える駆動装置と、この駆動装置を制御する制御装置と、を有し、
前記露光対象部材の露光パターン形成用領域に露光光の照射により硬化量が変化する露光材料が形成されている場合に、前記制御装置は、前記第2のマスクが前記露光光の光路上に配置されるように前記駆動装置を制御し、前記第2のマスクの開口部を透過した第1の露光光により前記露光パターン形成用領域の全域を第1の硬化量となるまで露光した後、前記露光光の光路上に配置されるマスクを前記第1のマスクに入れ換えるように前記駆動装置を制御し、前記第1のマスクに前記第1の露光光とは偏光方向又は照射方向が異なる第2の露光光を透過させることにより前記第1の露光光により露光された領域に前記第2の露光光を照射して前記第1の硬化量より大きい第2の硬化量となるまで露光することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の露光装置。 - 前記マスクは、互いに平行に伸びる複数本のパターンを備えた第1のマスク、及び前記露光対象部材の露光パターン形成用領域の全域に透過光が照射される開口部を備えた第2のマスクにより構成されており、
前記露光装置は、更に、前記第1のマスク及び前記第2のマスクのいずれかが前記露光光の光路上に配置されるように、前記第1のマスク及び前記第2のマスクを入れ換える駆動装置と、この駆動装置を制御する制御装置と、を有し、
前記露光対象部材の露光パターン形成用領域に露光光の照射により硬化量が変化する露光材料が形成されている場合に、前記制御装置は、前記第1のマスクが前記露光光の光路上に配置されるように前記駆動装置を制御し、前記第1のマスクのパターンを透過した第1の露光光により前記露光パターン形成用領域の第1の光照射領域を第3の硬化量となるまで露光した後、前記露光光の光路上に配置されるマスクを前記第2のマスクに入れ換えるように前記駆動装置を制御し、前記第2のマスクの開口部に前記第1の露光光とは偏光方向又は照射方向が異なる第2の露光光を透過させることにより前記露光パターン形成用領域の全域に前記第2の露光光を照射して第3の硬化量となるまで露光することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の露光装置。 - 露光光を出射する光源と、この光源からの露光光の光路上に配置され前記露光光を平行光にするコンデンサレンズと、所定の光透過領域のパターンが互いに平行に延びるように複数本形成され前記コンデンサレンズを透過した露光光を前記パターンに対応させて透過させるマスクと、このマスクと露光対象部材との間における前記露光光の光路上に配置され前記露光対象部材における前記露光光の照射領域の大きさを調節可能なズームレンズと、前記マスクを前記パターンに垂直な方向に移動させるように駆動する駆動装置と、を有する露光装置を使用し、
前記マスクに透過された第1の露光光を照射して前記パターンに対応する前記露光対象部材の第1の光照射領域を露光する工程と、前記第1の露光光の照射を停止した後、前記駆動装置により前記マスクを前記パターンに垂直な方向に移動させる工程と、前記マスクに前記第1の露光光とは偏光方向又は照射方向が異なる第2の露光光を透過させて、前記露光対象部材の前記第1の光照射領域とは異なる第2の光照射領域に前記第2の露光光を照射して露光する工程と、を有することを特徴とする露光方法。 - 露光光を出射する光源と、この光源からの露光光の光路上に配置され前記露光光を平行光にするコンデンサレンズと、所定の光透過領域のパターンが互いに平行に延びるように複数本形成され前記コンデンサレンズを透過した露光光を前記パターンに対応させて透過させる第1のマスクと、前記露光対象部材の露光パターン形成用領域の全域に透過光が照射される開口部を備え前記第1のマスクとの間で前記露光光の光路上に入れ換えて配置可能な第2のマスクと、前記第1のマスク及び前記第2のマスクを入れ換える駆動装置と、前記第1のマスク又は前記第2のマスクと露光対象部材との間における前記露光光の光路上に配置され前記露光対象部材における前記露光光の照射領域の大きさを調節可能なズームレンズと、を有する露光装置を使用し、
露光光の照射により硬化量が変化する露光材料が形成された露光対象部材に対して、前記第2のマスクの開口部を透過した第1の露光光により前記露光パターン形成用領域の全域を第1の硬化量となるまで露光する工程と、前記第1の露光光の照射を停止した後、前記駆動装置により前記露光光の光路上に配置されるマスクを前記第2のマスクから前記第1のマスクに入れ換える工程と、前記第1のマスクに前記第1の露光光とは偏光方向又は照射方向が異なる第2の露光光を透過させて、前記第1の露光光により露光された領域に前記第2の露光光を照射して前記第1の硬化量より大きい第2の硬化量となるまで露光する工程と、を有することを特徴とする露光方法。 - 露光光を出射する光源と、この光源からの露光光の光路上に配置され前記露光光を平行光にするコンデンサレンズと、所定の光透過領域のパターンが互いに平行に延びるように複数本形成され前記コンデンサレンズを透過した露光光を前記パターンに対応させて透過させる第1のマスクと、前記露光対象部材の露光パターン形成用領域の全域に透過光が照射される開口部を備え前記第1のマスクとの間で前記露光光の光路上に入れ換えて配置可能な第2のマスクと、前記第1のマスク及び前記第2のマスクを入れ換える駆動装置と、前記第1のマスク又は前記第2のマスクと露光対象部材との間における前記露光光の光路上に配置され前記露光対象部材における前記露光光の照射領域の大きさを調節可能なズームレンズと、を有する露光装置を使用し、
露光光の照射により硬化量が変化する露光材料が形成された露光対象部材に対して、前記第1のマスクを透過した第1の露光光により前記露光パターン形成用領域の第1の光照射領域を第3の硬化量となるまで露光する工程と、前記第1の露光光の照射を停止した後、前記駆動装置により前記露光光の光路上に配置されるマスクを前記第1のマスクから前記第2のマスクに入れ換える工程と、前記第2のマスクの開口部に前記第1の露光光とは偏光方向又は照射方向が異なる第2の露光光を透過させて、前記露光パターン形成用領域の全域に前記第2の露光光を照射して第3の硬化量となるまで露光する工程と、を有することを特徴とする露光方法。 - 前記露光装置は、更に、前記光源と前記コンデンサレンズとの間における前記露光光の光路上に、前記露光光の強度を光軸に垂直な面内で均一化するフライアイレンズを有し、このフライアイレンズを透過した露光光が前記コンデンサレンズに入射されることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の露光方法。
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