JP2012083110A - 校正方法、校正用治具および管検査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】管の内部に挿入される曲折可能なケーブル5と、ケーブル5の軸線方向に間隔を空けて取り付けられた、少なくとも管の状況を検査するセンサ9およびケーブル5の軸線中心位置を調整するスタビライザ11と、を有する管検査装置1を、管の直線部分を模擬するとともに貫通孔19を有する校正用試験片15の内部に挿入して貫通孔19の検出信号によってセンサ9の校正を行う校正方法であって、管検査装置1を挿入する前に、校正用試験片15の内面に検出信号に影響を与えない材質で構成された所定厚さの管状部材17を装着する。
【選択図】図3
Description
これらの伝熱管は、たとえば、蒸気発生器では内部を原子炉で加圧された高温の冷却材が流れ高温に加熱される。
この検査は、曲折可能なケーブルの先端部分に、管の状況を検査するセンサの軸線中心位置を調整する調芯部材を備えた管検査装置を伝熱管の内部に挿入して行われる(特許文献1、特許文献2参照)。センサとしては超音波、渦電流を用いたものが用いられる。
評価に先立ち、センサが管と略同径を持つ直管に所定形状のキズを形成した校正用試験片の内部に挿入され、このキズの検出信号が所定の振幅、または位相角になるように感度または位相角の調整を行う。言い換えれば、管検査装置は、校正用試験片によって位相や感度の校正が行なわれている。
このため、管と略同径を持つ直管である校正用試験片を用いて校正を行うと、校正用試験片の内径は調芯部材の外径よりも大きいので、校正用試験片の内部でセンサが揺動する。このようにセンサが揺動すると、検出信号が変動するので、基準データが不良となる可能性が高い。
たとえば、所定形状のキズとして校正用試験片の円周上に1箇所に設けられた貫通穴を用いるものでは、センサの偏りによって感度の変動が大きくなる。また、たとえば、周方向に複数のセンサを備えるマルチセンサ型の管検査装置では、センサの偏心によって均一な校正がおこなえない。
また、管検査装置は、通過性向上のために、センサ周辺にガイド玉等の種々の周辺機構を配置しているが、これらは校正用試験片の入り口で引っかかりやすい。センサがキズ部分を通過している時に、周辺機構が校正用試験片の入り口で引っかかると、センサが振れるので、検出信号が乱れることになる。
すなわち、本発明の第一態様は、管の内部に挿入される曲折可能な線状部材と、該線状部材の軸線方向に間隔を空けて取り付けられた、前記管の状況を検査する検査部材および該検査部材の軸線中心位置を調整する調芯部材と、を有する管検査装置を、前記管の直線部分を模擬するとともに校正用信号源を有する校正用試験片の内部に挿入して前記校正用信号源の検出信号によって前記検査部材の校正を行う校正方法であって、前記管検査装置を挿入する前に、前記校正用試験片の内面に前記検出信号に影響を与えない材質で構成された所定厚さの管状部材を装着する校正方法である。
また、管状部材は検査部材の検出信号に影響を与えない材質で構成されているので、検査部材の検出信号の外乱とならない。
したがって、安定した校正を行うことができる。
管状部材の厚さは、管状部材の外径が、校正用試験片の内径と略等しく、内径が調芯部材の外径と略等しくなる厚さとするのが、検査部材の横断面内における移動および偏心がほぼ無くなるので、好ましい。
管状部材は、校正用試験片への挿入時、外周面が校正用試験片の内周面と摺動し、校正作業中には、内周面が調芯部材等と摺動するので、摩擦係数が低い材料で形成することが好ましい。
管状部材の長さは、検査部材が校正用信号源の近傍に位置している際、検査部材および線状部材の前後の線状部材に取り付けられた周辺機構が収容される大きさとされているので、検査部材が校正用信号源の近傍に位置している際、周辺機構は全て管状部材の内部に位置していることになる。
したがって、検査部材が校正用信号源の近傍を通過する際、周辺機構が管状部材の入口に引っかかって検査部材が振れるのを防止できるので、校正作業時の検出信号の乱れを防止することができる。
したがって、管状部材の外径を小さくした状態で校正用試験片の内部に挿入することができるので、挿入作業を容易に行うことができる。
たとえば、通常状態で管状部材は、その外径が校正用試験片の内径よりも大きくなるようにしておけば、管状部材は校正用試験片に確実に固定した状態で装着することができる。
また、管状部材は検査部材の検出信号に影響を与えない材質で構成されているので、検査部材の検出信号の外乱とならない。
したがって、安定した校正を行うことができる。
管状部材の厚さは、管状部材の外径が、校正用試験片の内径と略等しく、内径が調芯部材の外径と略等しくなる厚さとするのが、検査部材の横断面内における移動および偏心がほぼ無くなるので、好ましい。
管状部材は、校正用試験片への挿入時、外周面が校正用試験片の内周面と摺動し、校正作業中には、内周面が調芯部材等と摺動するので、摩擦係数が低い材料で形成することが好ましい。
管状部材の長さは、検査部材が校正用信号源の近傍に位置している際、検査部材および線状部材の前後の線状部材に取り付けられた周辺機構が収容される大きさとされているので、検査部材が校正用信号源の近傍に位置している際、周辺機構は全て管状部材の内部に位置していることになる。
したがって、検査部材が校正用信号源の近傍を通過する際、周辺機構が管状部材の入口に引っかかって検査部材が振れるのを防止できるので、校正作業時の検出信号の乱れを防止することができる。
したがって、管状部材の外径を小さくした状態で校正用試験片の内部に挿入することができるので、挿入作業を容易に行うことができる。
たとえば、通常状態で管状部材は、その外径が校正用試験片の内径よりも大きくなるようにしておけば、管状部材は校正用試験片に確実に固定した状態で装着することができる。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施例にかかる校正方法について図1〜図3を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態にかかる校正方法で校正される管検査装置1の構成を示す側面図である。図2は、図1の管検査装置1の校正を行う校正用治具3を示す斜視図である。図3は、校正作業中における校正用治具3の縦断面である。
管検査装置1には、伝熱管に沿って挿入されるケーブル(線状部材)5と、ケーブル5の先端に取り付けられた先端ガイド7と、ケーブル5に取り付けられたセンサ(検査部材)9と、センサ9の前後に取り付けられたスタビライザ(調芯部材、周辺機構)11と、スタビライザ11の前後に間隔を空けて複数取り付けられたガイド玉(周辺機構)13と、が備えられている。
スタビライザ11は、外周部が伝熱管の内周面に案内されることによって伝熱管内でのケーブル5、すなわち、センサ9の軸線中心位置を調整するものである。
ガイド玉13は、略球形状をし、ケーブル5に回転可能に取り付けられている。ガイド玉13は、ケーブル5が曲部を通過しやすくする通過支援機構である。通過支援機構としては、ガイド玉13に限定されず、種々の機構が用いられる。
校正用試験片15は、伝熱管の直線部分を模擬するものであり、円筒形状をしている。校正用試験片15は、検査対象となる伝熱管と同じ材料、たとえば、オーステナイト系ステンレス鋼で形成され、かつ、内外径が同じとされている。たとえば、校正用試験片15の外径は、19mm、内径は、略16mmとされている。校正用試験片15の肉厚は略1.5mmである。校正用試験片15の長さは、仕様される環境に応じて制限されるが、300〜800mmとされる。図2では、300mmとされている。
管状部材17の長さは、校正用試験片15と略同じである300mmとされている。
管状部材17は、渦電流に影響を与えない材質である樹脂、たとえば、ポリテトラフルオロエチレンで形成されている。ポリテトラフルオロエチレンは、摩擦係数が低い材料である。
校正用試験片15の内面に管状部材17を挿入して、校正用治具3を完成させる。この作業は、管検査装置1の校正作業の前であればいつでもよく、校正作業の直前であっても、校正用試験片15が製造された時点であっても、この間の任意の時点であってもよい。
管状部材17は摩擦係数が低い材料で形成されているので、校正用試験片15の内面に管状部材17を挿入する作業は、校正用試験片15の内面と管状部材17の外面の摩擦抵抗が少なく、容易に行うことができる。
センサ9のコイルに電流が流され、磁界が形成された状態で、管検査装置1を管状部材17の内部に挿入する。センサ9が挿入されると、校正用試験片15に渦電流が励起される。センサ9が貫通孔19の位置を通過すると、渦電流が貫通孔19の影響を受けて変化する。その変化に応じてその渦電流に依存する磁界も変化するので、磁界の変化に伴い変化するコイルの誘起電力の変化を検出信号として検出する。
したがって、センサ9は、軸線方向に交差する方向で移動することもないし、校正用試験片15の軸線中心から偏心した位置に位置することもないので、センサ11から校正用試験片15の内周面までの距離を一定とすることができる。
したがって、安定した校正を行うことができる。
なお、センサ9のコイルに供給する電流は、時分割で周波数を変化させ、複数の周波数に対応する検出信号を取得する。
貫通孔19の大きさは所定の大きさとされているので、この検出信号は、実際のキズの大きさを判定する時の、基準信号として用いることができる。
次に、本発明の第二実施形態にかかる校正方法について、図4を用いて説明する。
本実施形態は、管状部材17の構成が第一実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
本実施形態では、管状部材17は、その長さが校正用試験片15の長さよりも長くされている。管状部材17の長さは、図4に示されているように、センサ9が貫通孔19の位置にあるとき、全てのガイド玉13が管状部材17の内部に位置する程度の長さとされている。
このため、たとえば、管検査装置1が校正用試験片15から管状部材17に移動する際の径変動による影響を排除することができる。
本実施形態では、管状部材17の長さは、センサ9が貫通孔19の位置にあるとき、全てのガイド玉13が管状部材17の内部に位置する程度の長さとされているので、センサ9が貫通孔19の近傍に位置している際、ケーブル5から径方向に突出しているスタビライザ11およびガイド玉13は全て管状部材17の内部に位置していることになる。
なお、校正作業および管検査作業については、第一実施形態と同様であるので、ここでは重複した説明を省略する。
次に、本発明の第三実施形態にかかる校正方法について、図5を用いて説明する。
本実施形態は、管状部材17の構成が第二実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、上述の実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
本実施形態では、管状部材17に、全長に亘って(全通するように)軸線方向に延在するように、一定の幅を有する貫通スリット(切欠部)21が形成されている。管状部材17の外径は、校正用試験片15の内径よりも少し大きくされている。
管状部材17を校正用試験片15に装着する場合、管状部材17の外径を小さくした状態で校正用試験片15の内部に挿入できるので、管状部材17の挿入作業を容易に行うことができる。
これにより、管状部材17は、厚さを設定するだけで、外径の寸法精度に気を付ける必要を少なくできる。
校正作業および管検査作業については、第一実施形態と同様であるので、ここでは重複した説明を省略する。
次に、本発明の第四実施形態にかかる校正方法について、図6〜図9を用いて説明する。
本実施形態は、校正用治具3の構成が第三実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、上述の実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
このように管状部材17を拡径すると、突起部23が凹部25に収容されるので、管状部材17を校正用試験片15に装着することができる(図9参照)。
次に、本発明の第五実施形態にかかる校正方法について、図10および図11を用いて説明する。
本実施形態は、校正用治具3の構成が第二実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、上述の実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
本実施形態の校正用試験片15には、第四実施形態と同様に突起部23が備えられている。突起部23の高さは、管状部材17(17A,17B)の厚さと同等以上の大きさとされている。
管状部材17は軸線方向で2つに分割され、2つの管状部材17A,17Bとされている。
この場合、管状部材17A,17Bの端部と突起部23との隙間は、スタビライザ11およびガイド玉13が落ち込まない程度の大きさにしておくことが望ましい。
次に、本発明の第六実施形態にかかる校正方法について、図12〜図14を用いて説明する。
本実施形態は、管状部材17の構成が第二実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、上述の実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
本実施形態では、管状部材17の一端部に、校正用試験片15の外径よりも大きな外径の拡径部27が備えられている。
拡径部27には、拡径部27の他端側に開口した校正用試験片15が挿入される形状の溝29が全周に亘って設けられている。
これにより、管状部材17は校正用試験片15に固定した状態で取り付けられることになる。
このように、管状部材17は校正用試験片15に固定した状態で取り付けられるので、管状部材17と校正用試験片15とが分離することはなく、管状部材15の抜け落ちが許容されない環境であっても管検査装置1の校正を行うことができる。
3 校正用治具
5 ケーブル
9 センサ
11 スタビライザ
13 ガイド玉
15 校正用試験片
17(17A,17B) 管状部材
19 貫通孔
21 貫通スリット
23 突起部
25 凹部
Claims (15)
- 管の内部に挿入される曲折可能な線状部材と、該線状部材の軸線方向に間隔を空けて取り付けられた、前記管の状況を検査する検査部材および該検査部材の軸線中心位置を調整する調芯部材と、を有する管検査装置を、前記管の直線部分を模擬するとともに校正用信号源を有する校正用試験片の内部に挿入して前記校正用信号源の検出信号によって前記検査部材の校正を行う校正方法であって、
前記管検査装置を挿入する前に、前記校正用試験片の内面に前記検出信号に影響を与えない材質で構成された所定厚さの管状部材を装着することを特徴とする校正方法。 - 前記管状部材の長さは、前記校正用試験片の長さよりも長くされていることを特徴とする請求項1に記載の校正方法。
- 前記管状部材の長さは、前記検査部材が前記校正用信号源の近傍に位置している際、前記検査部材および前記線状部材の前後の前記線状部材に取り付けられた周辺機構が収容される大きさとされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の校正方法。
- 前記管状部材は、軸方向に全通した切欠部が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の校正方法。
- 前記管状部材は、外周面に凹部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の校正方法。
- 前記管状部材は、軸線方向に複数に分割されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の校正方法。
- 前記管状部材の一端部には、前記校正用試験片の外径よりも大きな外径の拡径部が備えられ、
該拡径部の他端側に前記校正用試験片が挿入される溝部が形成されており、
前記管状部材は、他端側から前記校正用試験片に挿入され、前記溝部が前記校正用試験片を受け入れている状態で、前記拡径部の外周を固定部材によって締め付けられて装着されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の校正方法。 - 管の内部に挿入される曲折可能な線状部材と、該線状部材の軸線方向に間隔を空けて取り付けられた、少なくとも前記管の状況を検査する検査部材および該検査部材の軸線中心位置を調整する調芯部材と、を有する管検査装置の校正を行う校正方法に用いられる校正用治具であって、
前記管の直線部分を模擬するとともに校正用信号源を有する校正用試験片と、
該校正用試験片の内面に装着される前記検出信号に影響を与えない材質で構成された所定厚さの管状部材と、が備えられていることを特徴とする校正用治具。 - 前記管状部材の長さは、前記校正用試験片の長さよりも長くされていることを特徴とする請求項8に記載の校正用治具。
- 前記管状部材の長さは、前記検査部材が前記校正用信号源の近傍に位置している際、前記検査部材および前記線状部材の前後の前記線状部材に取り付けられた周辺機構が収容される大きさとされていることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の校正用治具。
- 前記管状部材は、軸方向に全通した切欠部が備えられていることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の校正用治具。
- 前記管状部材は、外周面に凹部が形成されていることを特徴とする請求項11に記載の校正用治具。
- 前記管状部材は、軸線方向に複数に分割されていることを特徴とする請求項8から請求項12のいずれかに記載の校正用治具。
- 前記管状部材の一端部には、前記校正用試験片の外径よりも大きな外径の拡径部が備えられ、
該拡径部の他端側に前記校正用試験片が挿入される溝部が形成され、
前記管状部材の前記溝部に前記校正用試験片が挿入されている状態で、前記拡径部の外周を締め付ける固定部材が備えられていることを特徴とする請求項8から請求項13のいずれかに記載の校正用治具。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の校正方法によって校正された管検査装置を用いて管の検査を行う管検査方法。
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