JP5905285B2 - 検査位置の検出方法,検査方法及び検査装置 - Google Patents
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Description
各伝熱管1の下側の両端は、管板2に形成された多数の孔に挿入され、それぞれ、管板2の下方に形成されている高温側水室(図示省略)と低温側水室(図示省略)に接続されている。
また、伝熱管1を製造したときに行われる製造時検査においては、図14に示すように管支持板が取り付けられていない単体の伝熱管1に、欠陥(減肉やクラック等)が発生していないか否かの欠陥検査が行われる。
図15に示すボビンコイル型の渦電流探傷プローブでは、プローブの外周を取り巻く形状のセンサCを備えている。ボビンコイル型の渦電流探傷プローブの場合は、周方向に分布をもつ計測信号は得られない。
このようなマルチセンサ型の渦電流探傷プローブでは、例えば周方向に沿い12個のセンサC1〜C12を並べて配置している場合、各センサC1〜C12により、個別に、計測信号S1〜S12が出力される。
このような回転型の渦電流探傷プローブでは、1つのセンサCが伝熱管1の内部を螺旋状に移動していく。そこで、プローブの周方向に沿う一定間隔(均等間隔)ごとに例えば12個の計測位置(周方向の計測位置)R1〜R12を規定しておけば、センサCにより出力される計測信号Sを線形補間演算することにより、計測位置R1〜R12毎に軸方向の各位置での計測信号S1〜S12を求めて出力することができる。
しかし、欠陥が存在すると判定した伝熱管1において、周方向のどの位置に欠陥が存在するかを簡単に判定することができないという問題があった。
つまり、センサC2が磁性体Mに対向する周方向位置にあり、センサC2とセンサC5の周方向位置は予めわかっているので、欠陥Dが伝熱管1aの周方向のどの位置に存在するかを判定することができるのである。
伝熱管1は、開口端から曲げ端B1,B2までの直管部1α,1αと、両曲げ端B1,B2間の曲げ管部1βとで構成されているが、目印mを付す軸方向位置は、直管部1α,1αのうち曲げ端B1,B2に近い部分にしている。
このように、目印mを付した状態で、欠陥が存在する伝熱管1に例えばマルチセンサ型の渦電流探傷プローブPを挿入して検査をする。
つまり、センサC2が目印mに対向する周方向位置にあり、センサC2とセンサC5の周方向位置は予めわかっているので、欠陥Dが伝熱管1の周方向のどの位置に存在するかを判定することができるのである。
しかも、周方向位置を特定する検査では、磁性体Mの挿入や目印mの貼付など余分な手間がかかり面倒である。
重錘センサを備えた複合プローブを、鉛直に立てた伝熱管1に挿入して曲げ管部1βに達すると、重錘センサは鉛直方向下方を向くため、この状態のときに複数のセンサのうち鉛直方向下方に位置しているセンサを特定することができる。
よって、鉛直方向下方に位置しているセンサと、欠陥を検出したセンサの周方向位置関係から、欠陥Dが伝熱管1の周方向のどの位置に存在するかを判定することができる。
特に図13に示すような蒸気発生器として組み立てられている伝熱管1を検査する場合には、ロボットにより渦電流探傷プローブを伝熱管に挿入するため、各センサの周方向位置を予め決めた周方向位置にセットしてから挿入することは、極めて困難である。
なお、簡便のため、検査目的が欠陥の検出である場合について説明したが、位置確認対象が、変形、付着物、など、欠陥以外の有意信号発生要因の場合にも適用可能である。
プローブ本体と、前記プローブ本体の周面に備えられたセンサを有し、前記プローブ本体の周方向に沿う複数箇所に規定した計測位置毎に、それぞれ計測信号を出力する渦電流探傷プローブを、
直管部と曲げ管部とからなる管内に挿入し、前記管内を移動させる走査をし、
前記走査の際に得た計測位置毎の各計測信号のいずれかに有意な信号変化が存在した場合に、前記管に有意な信号要因があると検出する検査において、
前記センサが前記曲げ管部を走査しているときに、曲げ管部通過に起因して前記計測信号に生じる信号変化の波形特徴により、曲げ管部の腹側または背側に位置する計測位置を特定し、
有意な信号変化が存在している計測信号を出力する計測位置と、曲げ管部の腹側または背側に位置していると検出した計測位置との位置関係を基に、管の周方向に関して、有意な信号変化が存在している計測信号を出力する計測位置の位置、即ち有意な信号要因の位置を検出することを特徴とする。
プローブ本体と、前記プローブ本体の周面に備えられたセンサを有し、前記プローブ本体の周方向に沿う複数箇所に規定した計測位置毎に、それぞれ計測信号を出力する渦電流探傷プローブを、
直管部と曲げ管部とからなる管内に挿入し、前記管内を移動させる走査をし、
前記走査の際に得た計測位置毎の各計測信号のいずれかに有意な信号変化が存在した場合に、前記管に有意な信号要因があると検出する検査において、
前記曲げ管部を走査したときに得た各計測信号から、前記計測位置についてのリフトオフの変化量に対応する特徴量を計算し、
前記特徴量を用いて曲げ管部の背側位置または腹側位置を通過した前記計測位置を特定し、
前記背側位置または腹側位置を通過したと特定した計測位置と、前記有意な信号変化が存在している計測位置との管周方向の角度差を基に、管の周方向に関して、有意な信号変化が存在している計測信号を出力する計測位置の位置、即ち有意な信号要因の位置を特定することを特徴とする。
前記のリフトオフの変化量に対応する特徴量の計算は、
前記曲げ管部を走査したときに得た各計測信号について、時間軸方向の各点の信号変化量の総和または平均値を求め、この信号変化量の総和または平均値を、各計測信号を出力する各計測位置についてのリフトオフの変化量に対応する特徴量とすることを特徴とする。
前記のリフトオフの変化量に対応する特徴量の計算は、
前記曲げ管部を走査したときに得た各計測信号について、有意な信号要因やノイズを示す高周波成分を除去するフィルタ処理を前処理として適用し、前記フィルタ処理をした各計測信号について、時間軸方向の各点の信号変化量の総和または平均値を求め、この信号変化量の総和または平均値を、各計測信号を出力する各計測位置についてのリフトオフの変化量に対応する特徴量とすることを特徴とする。
前記の曲げ管部の背側位置または腹位置を通過した前記計測位置を特定する方法は、
複数の前記計測位置のうち径方向で相対向する一対の計測位置ごとの前記特徴量を組み合わせた総合特徴量を求め、この総合特徴量に基いて曲げ管部の背側・腹側に位置する計測位置の組み合わせを選定し、前記特徴量に基き選定した組み合わせのうちどちらが曲げ管部の背側または腹側を通過した計測位置かを特定することを特徴とする。
前記の総合特徴量は、
複数の前記計測位置のうち径方向で相対向する一対の計測位置ごとに、一方の計測位置の前記特徴量の絶対値と他方の計測位置の前記特徴量の絶対値とを加算して、総合特徴量とすることを特徴とする。
前記管にはその軸方向に沿う複数箇所に管支持板などの構造物が配置され、かつ、前記構造物の貫通孔には周方向に沿う複数箇所に突起部が備えられている場合に、
まず、前記のいずれかの検査位置の検出方法により、管の周方向に関し有意な信号要因の位置を検出し、
次に、前記渦電流探傷プローブが前記曲げ管部を出て前記直管部を走査した際に得た計測信号から、各構造物の貫通孔の突起部の周方向位置を検出し、
前記曲げ管部に近い位置の管支持板での突起部の周方向位置と、前記有意信号に近い位置の管支持板での突起部の周方向位置のずれ量を計測し、
前記検出した有意な信号要因の周方向位置を、前記突起部の周方向のずれ量に応じて補正することを特徴とする。
前記のいずれかに記載の検査位置の検出方法を用いて、前記管に有意な信号要因があるか否かを検査すると共に、有意な信号要因がある場合には前記管の周方向に関して有意な信号要因の位置を検査することを特徴とする。
プローブ本体と、前記プローブ本体の周面に備えられたセンサを有し、前記プローブ本体の周方向に沿う複数箇所に規定した計測位置毎に、それぞれ計測信号を出力すると共に、直管部と曲げ管部とからなる管内に挿入されて前記管内を移動して走査をする渦電流探傷プローブと、
前記走査の際に得た計測位置毎の各計測信号のいずれかに有意な信号変化が存在した場合に、前記管に有意な信号要因があると検出する有意信号要因検出手段と、
前記センサが前記曲げ管部を走査しているときに、曲げ管部通過に起因して前記計測信号に生じる信号変化の波形特徴により、曲げ管部の腹側または背側に位置する計測位置を特定する計測位置特定手段と、
有意な信号変化が存在している計測信号を出力する計測位置と、曲げ管部の腹側または背側に位置していると検出した計測位置との位置関係を基に、管の周方向に関して、有意な信号変化が存在している計測信号を出力する計測位置の位置、即ち有意な信号要因の位置を検出する有意信号要因位置検出手段とを有することを特徴とする。
プローブ本体と、前記プローブ本体の周面に備えられたセンサを有し、前記プローブ本体の周方向に沿う複数箇所に規定した計測位置毎に、それぞれ計測信号を出力すると共に、直管部と曲げ管部とからなる管内に挿入されて前記管内を移動して走査をする渦電流探傷プローブと、
前記走査の際に得た計測位置毎の各計測信号のいずれかに有意な信号変化が存在した場合に、前記管に有意な信号要因があると検出する有意信号要因検出手段と、
前記曲げ管部を走査したときに得た各計測信号から、前記計測位置についてのリフトオフの変化量に対応する特徴量を計算する特徴量計算手段と、
前記特徴量を用いて曲げ管部の背側位置または腹側位置を通過した前記計測位置を特定する計測位置特定手段と、
前記背側位置または腹側位置を通過したと特定した計測位置と、前記有意な信号変化が存在している計測位置との管周方向の角度差を基に、管の周方向に関して、有意な信号変化が存在している計測信号を出力する計測位置の位置、即ち有意な信号要因の位置を特定する有意信号要因位置検出手段とを有することを特徴とする。
前記特徴量計算手段は、
前記曲げ管部を走査したときに得た各計測信号について、時間軸方向の各点の信号変化量の総和または平均値を求め、この信号変化量の総和または平均値を、各計測信号を出力する各計測位置についてのリフトオフの変化量に対応する特徴量とすることを特徴とする。
前記特徴量計算手段は、
前記曲げ管部を走査したときに得た各計測信号について、有意な信号要因やノイズを示す高周波成分を除去するフィルタ処理を前処理として適用し、前記フィルタ処理をした各計測信号について、時間軸方向の各点の信号変化量の総和または平均値を求め、この信号変化量の総和または平均値を、各計測信号を出力する各計測位置についてのリフトオフの変化量に対応する特徴量とすることを特徴とする。
前記計測位置特定手段は、
複数の前記計測位置のうち径方向で相対向する一対の計測位置ごとの前記特徴量を組み合わせた総合特徴量を求め、この総合特徴量に基いて曲げ管部の背側・腹側に位置する計測位置の組み合わせを選定し、前記特徴量に基き選定した組み合わせのうちどちらが曲げ管部の背側または腹側を通過した計測位置かを特定することを特徴とする。
前記の総合特徴量は、複数の前記計測位置のうち径方向で相対向する一対の計測位置ごとに、一方の計測位置の前記特徴量の絶対値と他方の計測位置の前記特徴量の絶対値とを加算して、総合特徴量とすることを特徴とする。
前記管にはその軸方向に沿う複数箇所に管支持板などの構造物が配置され、かつ、前記構造物の貫通孔には周方向に沿う複数箇所に突起部が備えられている場合に、
前記渦電流探傷プローブが前記曲げ管部を出て前記直管部を走査した際に得た計測信号から、各構造物の貫通孔の突起部の周方向位置を検出し、前記曲げ管部に近い位置の管支持板での突起部の周方向位置と、前記有意信号に近い位置の管支持板での突起部の周方向位置のずれ量を計測し、前記検出した有意な信号要因の周方向位置を、前記突起部の周方向のずれ量に応じて補正する補正手段を更に有することを特徴とする。
なお本発明において、「有意な信号要因」とは、管の欠陥、変形、付着物など、位置調査を目的とする信号発生要因をいう。
また「有意な信号変化」とは、管の検査をした場合に、上記の「有意な信号要因」に起因して計測信号にあらわれる信号変化をいう。
本例では例えば、プローブ本体11の周方向に沿う一定間隔(均等間隔)ごとに例えば12個の計測位置(周方向の計測位置)R1〜R12を規定し、各計測位置R1〜R12に個別にセンサC1〜C12を配置している。このため、計測位置R1〜R12毎に軸方向の各位置で検査したときの計測信号S1〜S12が、センサC1〜C12により出力される。
スタビライザ12,12は、曲げ管部1βでの渦電流探傷プローブ10の通過性を確保するため、柔軟性と弾性を有する材料で形成されており、ある規定値以上の大きい外力が加わると変形し、外力が加わった部分は径が小さくなるが、外力が無くなると再び元の形状に戻り径が元の寸法の径に戻るようになっている。
なお、図1において、13は、渦電流探傷プローブ10の信号線である。
表示方式は、色調図、鳥瞰図、マルチチャート、マルチリサージュなどのいずれかで表示される。また、各表示方式を切り替えて表示することもできる。
このようにして渦電流探傷プローブ10を、伝熱管1内で走査したときに得られた計測信号S1〜S12が、計測信号解析装置20の表示部21に表示される。
また、欠陥が存在する軸方向位置は、信号波形の軸方向(時間軸方向)の位置から特定することができる。つまり欠陥を示す信号波形が、信号波形の軸方向(時間軸方向)のどの位置にあるかを検出することにより、伝熱管1の軸方向のどの位置に欠陥が存在するのかを判定することができる。
ここにおいて、各センサC1〜C12と伝熱管1の内周面との距離を「リフトオフ」と称する。
なお、このようなマルチチャート表示をするに先立ち、渦電流探傷プローブ10が伝熱管1の直管部1αに位置して各センサC1〜C12と伝熱管1の内周面との距離が等しくなっている状態において、計測信号S1〜S12の信号値が揃えて表示されるように、信号値の調整が予めされている。
計測位置R2に位置するセンサC2により出力される計測信号S2は、その信号振幅が左側に変化してその振幅値が大きい。この検査方式での曲げ管部通過時の信号変化をあらかじめ確認しておき、例えば、背側を通過したセンサの計測値が左側に変化すると確認されている場合に、このことを検査者が見ることにより、センサC2が、背側(曲げ管部の外周側)に位置していると特定することができる。
したがって、伝熱管1の曲げ管部1βを含む区間を検査したときの計測信号S1〜S12の信号振幅の変化方向と振幅量を基に、上述したように例えば、センサC8が腹側(曲げ管部の内周側)に位置し、センサC2が背側(曲げ管部の外周側)に位置していると検出して、センサC8,C2の伝熱管1内部での周方向位置が検出できれば、このセンサC8,C2の伝熱管1内部での周方向位置は、伝熱管1の曲げ管部1βのみならず直管部1αにおいても同じになる。
つまり、センサC8が腹側(曲げ管部の内周側)に位置し、センサC2が背側(曲げ管部の外周側)に位置し、センサC8,C2とセンサC4の周方向の周方向位置関係は予めわかっているので、センサC4が検出した欠陥が、伝熱管1の周方向のどの位置に存在するかを検出することができる。
なお図5に示した計測信号S1〜S12はある伝熱管1を検査したときに得たものであり、図6に示した計測信号S1〜S12は別の伝熱管1を検査したときに得られたものである。
この検査方式での曲げ管部通過時の信号変化をあらかじめ確認しておき、例えば、腹側を通過したセンサの計測値が大きくなる方向に変化すると確認されている場合、計測信号が小さくなる側に変化するセンサが背側に位置し、計測信号が大きくなる側に変化するセンサが腹側に位置していると検出する。
なお、計測位置の数、つまりマルチセンサ型の渦電流探傷プローブの場合には、周方向に並べる複数のセンサの数は、任意に増減してもよい。
また検査対象となる伝熱管は、U字型の伝熱管のみならず、スクエア型の伝熱管であってもよい。
これに対して本実施例2では、計測信号解析装置20が信号処理演算をして、背側(曲げ管部の外周側)に位置しているセンサと、腹側(曲げ管部の内周側)に位置しているセンサを検出すると共に、欠陥を検出したセンサの位置(つまり欠陥が存在する位置)が伝熱管1の周方向のどの位置にあるかを検出するものである。
このときセンサC1〜C12により出力される計測信号S1〜S12が、図3に示すように、計測装置25から記録装置26を介して計測信号解析装置20に入力される(図8のステップ1)。
また欠陥が存在する軸方向の位置は、計測信号S5の信号波形の軸方向(時間軸方向)において、欠陥を示す信号波形が発生した位置から特定することができる。
マルチセンサ型の渦電流探傷プローブ10の代わりに、回転型の渦電流探傷プローブ(図17参照)を用いる場合には、上記のような信号値の調整は必要ない。その代わりに、1つのセンサから得られたセンサ信号を、補間して、計測位置R1〜R12毎に伝熱管1の軸方向の各位置での計測信号S1〜S12を求める。補間には、線形補間など一般的な補間方法が適用できる。
渦電流探傷プローブ10が、伝熱管1の一方の曲げ端B1の手前の直管部1αから他方の曲げ端B2を越える直管部1αに至るまで移動(走査)する間に得られる計測信号S1〜S12(図9(a)に示す計測信号)を以降の信号処理対象とする。
この信号処理対象となった計測信号S1〜S12に対して、必要に応じて、高周波成分を低減するフィルタを適用する。このフィルタとしては、ローパスフィルタ、平均値フィルタ、メディアンフィルタなどがある。高周波成分を低減するフィルタ処理を行うことにより、曲げ管部通過に伴う信号変化に比べ周波数の高い傷(欠陥)やノイズを示す高周波成分が除去される。
図9(b)は、フィルタ処理により高周波成分が低減された計測信号S1〜S12を示す。
周方向の計測位置R1〜R12毎に、伝熱管1の曲げ管部1βにおけるリフトオフの変化量に対応する特徴量を計算する。
具体的には、計測信号S1について、軸方向(時間軸方向)の各点の信号値を加算した値(積分値)を、計測位置R1での「リフトオフの変化量に対応する特徴量」とする。
他の計測信号S2〜S12についても同様に、各計測信号S2〜S12について、軸方向(時間軸方向)の各点の信号値を加算した値(積分値)を、各計測位置R2〜R12での「リフトオフの変化量に対応する特徴量」とする。
例えば計測位置R3では、計測信号S3が左側に変化する波形(負側波形)になっているので、計測位置R3の「リフトオフの変化量に対応する特徴量」は負値になり、計測位置R9では、計測信号S9が右側に変化する波形(正側波形)になっているので、計測位置R9の「リフトオフの変化量に対応する特徴量」は正値になる。
周方向に設定した複数の計測位置のうち径方向で相対向する一対の計測位置ごとに、「リフトオフの変化量に対応する総合特徴量」を計算する。
各計測位置R1〜R12での「リフトオフの変化量に対応する特徴量」としては、正値のものと負値の物があるが、周方向に設定した複数の計測位置のうち相対向する一対の計測位置のそれぞれの「リフトオフの変化量に対応する特徴量の絶対値」を加算して総合特徴量を求める。
つぎに、計測位置R1〜R12の「リフトオフの変化量に対応する特徴量の絶対値」を使って、次のようにして総合特徴量を求める。
・計測位置R1と計測位置R7の「リフトオフの変化量に対応する特徴量の絶対値」を加算して、計測位置R1,R7の総合特徴量を求め、
・計測位置R2と計測位置R8の「リフトオフの変化量に対応する特徴量の絶対値」を加算して、計測位置R2,R8の総合特徴量を求め、
・計測位置R3と計測位置R9の「リフトオフの変化量に対応する特徴量の絶対値」を加算して、計測位置R3,R9の総合特徴量を求め、
・計測位置R4と計測位置R10の「リフトオフの変化量に対応する特徴量の絶対値」を加算して、計測位置R4,R10の総合特徴量を求め、
・計測位置R5と計測位置R11の「リフトオフの変化量に対応する特徴量の絶対値」を加算して、計測位置R5,R11の総合特徴量を求め、
・計測位置R6と計測位置R12の「リフトオフの変化量に対応する特徴量の絶対値」を加算して、計測位置R6,R12の総合特徴量を求める。
なお図9(d)の破線は、計測位置R1〜R6及び計測位置R7〜R12の特徴量を示す特徴量波形である。
この例では、計測位置R3,R9の総合特徴量が最も大きいので、計測位置R3,R9を、「背側の計測位置と腹側の計測位置の組み合わせ」であるとして選択する。
ここでは計測位置R3と計測位置R9のうち、どちらが背側(曲げ管部の外周側)でどちらが腹側(曲げ管部の内周側)であるかを決定する。
図9(e)は、図9(c)に示す各計測位置R1〜R12の特徴量を示す特徴量波形に、背側と腹側の組み合わせであると選定された位置を点線で書き加えたものである。この検査方式での曲げ管部の背側と腹側それぞれを通過したセンサの信号変化の向きをあらかじめ調べておく。たとえば、腹側を通過したセンサの信号値が大きくなり、背側を通過したセンサの信号値が小さくなる方向に信号変化をする検査方式の場合、図9(e)に示す特徴量波形において、計測位置R3の特徴量と計測位置9の特徴量を比較すると計測位置9の特徴量値の方が大きいため、計測位置9が腹で、計測位置3が背側であると決定する。
上記のステップ5の処理により、例えば、計測位置R3が背側(曲げ管部の外周側)であり、計測位置R9が腹側(曲げ管部の内周側)であると決定したとき、伝熱管1の周方向の0度の位置を決める。例えば、背側に向いている計測位置R3の位置を、伝熱管1の周方向の0度の位置として決める。
なお、伝熱管1の周方向の0度の位置の決め方は、用途により異なる。
計測信号S1〜S12のうち、例えば計測信号S5に欠陥を示す信号波形があることが既に検出されて、計測位置R5に欠陥があると検出されている場合、伝熱管1の周方向に関して、計測位置R5が何度であるかを計算する。
つまり、計測位置R3が0度であり、計測位置R3と計測位置5との周方向位置の角度は予め分っているので、計測位置R5(欠陥が存在する部分)が、伝熱管1の周方向に関してどの角度であるかを計算することができる。
なお、計測位置の数、つまりマルチセンサ型の渦電流探傷プローブの場合には、周方向に並べる複数のセンサの数は、任意に増減してもよい。
また検査対象となる伝熱管は、U字型の伝熱管のみならず、スクエア型の伝熱管であってもよい。
この実施例3では、渦電流探傷プローブ10が伝熱管1内を進む間に、渦電流探傷プローブ10の各センサC1〜C12の、伝熱管1内での周方向の位置が、少しずつ変化していく場合に、周方向位置を補正する方法である。
次に、渦電流探傷プローブ10が管支持板3bの位置を通過したときには、突起部T1〜T4に対応した4つの突起部信号t(図12(b)において黒塗りした信号)が計測信号中に得られる。このとき、4つの突起部信号tについては、図12(a)の突起部信号t1,t2,t3,t4と周方向位置が近いものを、突起部信号t1,t2,t3,t4とする。
次に、渦電流探傷プローブ10が管支持板3cの位置を通過したときには、突起部T1〜T4に対応した4つの突起部信号t(図12(c)において黒塗りした信号)が計測信号中に得られる。このとき、4つの突起部信号tについては、図12(b)の突起部信号t1,t2,t3,t4と周方向位置が近いものを、突起部信号t1,t2,t3,t4とする。
次に、渦電流探傷プローブ10が管支持板3dの位置を通過したときには、突起部T1〜T4に対応した4つの突起部信号t(図12(d)において黒塗りした信号)が計測信号中に得られる。このとき、4つの突起部信号tについては、図12(c)の突起部信号t1,t2,t3,t4と周方向位置が近いものを、突起部信号t1,t2,t3,t4とする。
θ2=θ1×(X2/X1)
1α 直管部
1β 曲げ管部
2 管板
3 管支持板
10 渦電流探傷プローブ
11 プローブ本体
12 スタビライザ
13 信号線
20 計測信号解析装置
21 表示部
25 計測装置
26 記録装置
C1〜C12 センサ
S1〜S12 計測信号
R1〜R12 周方向の計測位置
Claims (15)
- プローブ本体と、前記プローブ本体の周面に備えられたセンサを有し、前記プローブ本体の周方向に沿う複数箇所に規定した計測位置毎に、それぞれ計測信号を出力する渦電流探傷プローブを、
直管部と曲げ管部とからなる管内に挿入し、前記管内を移動させる走査をし、
前記走査の際に得た計測位置毎の各計測信号のいずれかに有意な信号変化が存在した場合に、前記管に有意な信号要因があると検出する検査において、
前記センサが前記曲げ管部を走査しているときに、曲げ管部通過に起因して前記計測信号に生じる信号変化の波形特徴により、曲げ管部の腹側または背側に位置する計測位置を特定し、
有意な信号変化が存在している計測信号を出力する計測位置と、曲げ管部の腹側または背側に位置していると検出した計測位置との位置関係を基に、管の周方向に関して、有意な信号変化が存在している計測信号を出力する計測位置の位置、即ち有意な信号要因の位置を検出することを特徴とする検査位置の検出方法。 - プローブ本体と、前記プローブ本体の周面に備えられたセンサを有し、前記プローブ本体の周方向に沿う複数箇所に規定した計測位置毎に、それぞれ計測信号を出力する渦電流探傷プローブを、
直管部と曲げ管部とからなる管内に挿入し、前記管内を移動させる走査をし、
前記走査の際に得た計測位置毎の各計測信号のいずれかに有意な信号変化が存在した場合に、前記管に有意な信号要因があると検出する検査において、
前記曲げ管部を走査したときに得た各計測信号から、前記計測位置についてのリフトオフの変化量に対応する特徴量を計算し、
前記特徴量を用いて曲げ管部の背側位置または腹側位置を通過した前記計測位置を特定し、
前記背側位置または腹側位置を通過したと特定した計測位置と、前記有意な信号変化が存在している計測位置との管周方向の角度差を基に、管の周方向に関して、有意な信号変化が存在している計測信号を出力する計測位置の位置、即ち有意な信号要因の位置を特定することを特徴とする検査位置の検出方法。 - 前記のリフトオフの変化量に対応する特徴量の計算は、
前記曲げ管部を走査したときに得た各計測信号について、時間軸方向の各点の信号変化量の総和または平均値を求め、この信号変化量の総和または平均値を、各計測信号を出力する各計測位置についてのリフトオフの変化量に対応する特徴量とすることを特徴とする請求項2に記載の検査位置の検出方法。 - 前記のリフトオフの変化量に対応する特徴量の計算は、
前記曲げ管部を走査したときに得た各計測信号について、有意な信号要因やノイズを示す高周波成分を除去するフィルタ処理を前処理として適用し、前記フィルタ処理をした各計測信号について、時間軸方向の各点の信号変化量の総和または平均値を求め、この信号変化量の総和または平均値を、各計測信号を出力する各計測位置についてのリフトオフの変化量に対応する特徴量とすることを特徴とする請求項2ないし請求項3のいずれかに記載の検査位置の検出方法。 - 前記の曲げ管部の背側位置または腹位置を通過した前記計測位置を特定する方法は、
複数の前記計測位置のうち径方向で相対向する一対の計測位置ごとの前記特徴量を組み合わせた総合特徴量を求め、この総合特徴量に基いて曲げ管部の背側・腹側に位置する計測位置の組み合わせを選定し、前記特徴量に基き選定した組み合わせのうちどちらが曲げ管部の背側または腹側を通過した計測位置かを特定することを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の検査位置の検出方法。 - 前記の総合特徴量は、
複数の前記計測位置のうち径方向で相対向する一対の計測位置ごとに、一方の計測位置の前記特徴量の絶対値と他方の計測位置の前記特徴量の絶対値とを加算して、総合特徴量とすることを特徴とする請求項5に記載の検査位置の検出方法。 - 前記管にはその軸方向に沿う複数箇所に管支持板などの構造物が配置され、かつ、前記構造物の貫通孔には周方向に沿う複数箇所に突起部が備えられている場合に、
まず、請求項1ないし請求項6のいずれか一項の検査位置の検出方法により、管の周方向に関し有意な信号要因の位置を検出し、
次に、前記渦電流探傷プローブが前記曲げ管部を出て前記直管部を走査した際に得た計測信号から、各構造物の貫通孔の突起部の周方向位置を検出し、
前記曲げ管部に近い位置の管支持板での突起部の周方向位置と、前記有意信号に近い位置の管支持板での突起部の周方向位置のずれ量を計測し、
前記検出した有意な信号要因の周方向位置を、前記突起部の周方向のずれ量に応じて補正することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の検査位置の検出方法。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の検査位置の検出方法を用いて、前記管に有意な信号要因があるか否かを検査すると共に、有意な信号要因がある場合には前記管の周方向に関して有意な信号要因の位置を検査することを特徴とする検査方法。
- プローブ本体と、前記プローブ本体の周面に備えられたセンサを有し、前記プローブ本体の周方向に沿う複数箇所に規定した計測位置毎に、それぞれ計測信号を出力すると共に、直管部と曲げ管部とからなる管内に挿入されて前記管内を移動して走査をする渦電流探傷プローブと、
前記走査の際に得た計測位置毎の各計測信号のいずれかに有意な信号変化が存在した場合に、前記管に有意な信号要因があると検出する有意信号要因検出手段と、
前記センサが前記曲げ管部を走査しているときに、曲げ管部通過に起因して前記計測信号に生じる信号変化の波形特徴により、曲げ管部の腹側または背側に位置する計測位置を特定する計測位置特定手段と、
有意な信号変化が存在している計測信号を出力する計測位置と、曲げ管部の腹側または背側に位置していると検出した計測位置との位置関係を基に、管の周方向に関して、有意な信号変化が存在している計測信号を出力する計測位置の位置、即ち有意な信号要因の位置を検出する有意信号要因位置検出手段と、
を有することを特徴とする検査装置。 - プローブ本体と、前記プローブ本体の周面に備えられたセンサを有し、前記プローブ本体の周方向に沿う複数箇所に規定した計測位置毎に、それぞれ計測信号を出力すると共に、直管部と曲げ管部とからなる管内に挿入されて前記管内を移動して走査をする渦電流探傷プローブと、
前記走査の際に得た計測位置毎の各計測信号のいずれかに有意な信号変化が存在した場合に、前記管に有意な信号要因があると検出する有意信号要因検出手段と、
前記曲げ管部を走査したときに得た各計測信号から、前記計測位置についてのリフトオフの変化量に対応する特徴量を計算する特徴量計算手段と、
前記特徴量を用いて曲げ管部の背側位置または腹側位置を通過した前記計測位置を特定する計測位置特定手段と、
前記背側位置または腹側位置を通過したと特定した計測位置と、前記有意な信号変化が存在している計測位置との管周方向の角度差を基に、管の周方向に関して、有意な信号変化が存在している計測信号を出力する計測位置の位置、即ち有意な信号要因の位置を特定する有意信号要因位置検出手段と、
を有することを特徴とする検査装置。 - 前記特徴量計算手段は、
前記曲げ管部を走査したときに得た各計測信号について、時間軸方向の各点の信号変化量の総和または平均値を求め、この信号変化量の総和または平均値を、各計測信号を出力する各計測位置についてのリフトオフの変化量に対応する特徴量とすることを特徴とする請求項10に記載の検査装置。 - 前記特徴量計算手段は、
前記曲げ管部を走査したときに得た各計測信号について、有意な信号要因やノイズを示す高周波成分を除去するフィルタ処理を前処理として適用し、前記フィルタ処理をした各計測信号について、時間軸方向の各点の信号変化量の総和または平均値を求め、この信号変化量の総和または平均値を、各計測信号を出力する各計測位置についてのリフトオフの変化量に対応する特徴量とすることを特徴とする請求項10ないし請求項11のいずれかに記載の検査装置。 - 前記計測位置特定手段は、
複数の前記計測位置のうち径方向で相対向する一対の計測位置ごとの前記特徴量を組み合わせた総合特徴量を求め、この総合特徴量に基いて曲げ管部の背側・腹側に位置する計測位置の組み合わせを選定し、前記特徴量に基き選定した組み合わせのうちどちらが曲げ管部の背側または腹側を通過した計測位置かを特定することを特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれに記載の検査装置。 - 前記の総合特徴量は、複数の前記計測位置のうち径方向で相対向する一対の計測位置ごとに、一方の計測位置の前記特徴量の絶対値と他方の計測位置の前記特徴量の絶対値とを加算して、総合特徴量とすることを特徴とする請求項13に記載の検査装置。
- 前記管にはその軸方向に沿う複数箇所に管支持板などの構造物が配置され、かつ、前記構造物の貫通孔には周方向に沿う複数箇所に突起部が備えられている場合に、
前記渦電流探傷プローブが前記曲げ管部を出て前記直管部を走査した際に得た計測信号から、各構造物の貫通孔の突起部の周方向位置を検出し、前記曲げ管部に近い位置の管支持板での突起部の周方向位置と、前記有意信号に近い位置の管支持板での突起部の周方向位置のずれ量を計測し、前記検出した有意な信号要因の周方向位置を、前記突起部の周方向のずれ量に応じて補正する補正手段を更に有することを特徴とする請求項9ないし請求項14のいずれか一項に記載の検査装置。
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