JP2012082464A - プラズマcvd成膜装置、成膜方法、ガスバリア性積層フィルム - Google Patents

プラズマcvd成膜装置、成膜方法、ガスバリア性積層フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマCVD成膜を良好に行うために適切な位置で静電気除去を行うことができるプラズマCVD成膜装置を提供する。
【解決手段】長尺の基材100を連続的に搬送しながら、該基材100上に連続的に成膜するプラズマCVD成膜装置1において、基材100を巻き掛けて搬送する第1成膜ロール61と、第1成膜ロール61と対向して配置された第2成膜ロール62と、第1成膜ロール61に巻き掛けた基材100の第2成膜ロール62に面する面を基材の成膜面100aとして、成膜面100aに帯電する静電気を除去する静電気除去装置と、を備え、第1成膜ロール61と第2成膜ロール62との間隙は、成膜面100a上にプラズマCVD成膜を行う成膜空間であり、静電気除去装置は、成膜空間に対し、基材100の搬送方向の上流側に設けられた第1静電気除去装置81を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマCVD成膜装置、成膜方法、ガスバリア性積層フィルムに関するものである。
フィルム状の基材に機能性を付与するために、基材の表面に薄膜層を積層した積層フィルムが知られている。例えば、薄膜層を積層することによりガスバリア性を付与したガスバリア性フィルムは、飲食品、化粧品、洗剤といった物品の充填包装に適する包装用容器として好適に用いることができる。近年、プラスチックフィルム等の基材フィルムの一方の表面上に、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウムといった無機酸化物の薄膜を成膜してなるガスバリア性フィルムが提案されている。
このように無機酸化物の薄膜をプラスチック基材の表面上に成膜する方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD)、減圧化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD)が知られている。
特許文献1,2には、このような成膜方法を行って形成される薄膜を保護する技術が開示されている。特許文献1には、薄膜を形成したフィルムを巻き取り、さらに巻き出すときの静電帯電の放電により成膜面に放電痕と呼ばれる不良が発生することを抑制するために、成膜後のフィルムを除電する技術が開示されている。また、特許文献2には、形成された第1の薄膜の上にさらに第2の薄膜を積層する際、第1の薄膜の上に付着した異物を除去する技術が開示されている。
特開2004−256885号公報 特開2007−277631号公報
上記特許文献では、薄膜の形成後に該薄膜を形成したフィルムに対して処理を行い、結果、薄膜への不良が発生しないようにする観点から発明された技術が開示されている。しかしながら、薄膜をガスバリア膜として用いるような高い信頼性を必要とする薄膜形成の場面では、上記特許文献に開示された技術だけでは不十分であった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、成膜不良を抑制することができ、高品質な薄膜形成を実現するプラズマCVD成膜装置を提供することを目的とする。また、本発明のプラズマCVD成膜装置を用いた成膜方法、および本発明のプラズマCVD成膜装置を用いて形成されるガスバリア性積層フィルムを提供することをあわせて目的とする。
上記課題について発明者が検討を重ねた結果、成膜反応前のフィルム表面に付着した異物が、形成される薄膜の品質に大きな影響を与えており、該異物の除去が高品質な薄膜形成には不可欠であるとの考えに至った。そして、フィルムが静電気により帯電していると、異物が基材の表面に引きつけられやすいため、フィルム表面から異物を除去し、且つ、フィルムに異物を再付着させないためには、異物付着の原因であるフィルムの静電気を除去することが重要であるとの考えに至った。
そこで、上記の課題を解決するため、本発明のプラズマCVD成膜装置は、長尺の基材を連続的に搬送しながら、該基材上に連続的に成膜するプラズマCVD成膜装置において、前記基材を巻き掛けて搬送する第1成膜ロールと、前記第1成膜ロールと対向して配置された第2成膜ロールと、前記第1成膜ロールに巻き掛けた前記基材の前記第2成膜ロールに面する面を前記基材の成膜面として、該成膜面に帯電する静電気を除去する静電気除去装置と、を備え、前記第1成膜ロールと前記第2成膜ロールとの間隙は、前記成膜面上にプラズマCVD成膜を行う成膜空間であり、前記静電気除去装置は、前記成膜空間に対し、前記基材の搬送方向の上流側に設けられた第1静電気除去装置を含むことを特徴とする。
本発明においては、前記静電気除去装置が、前記成膜空間の直前に設けられていることが望ましい。
本発明においては、前記静電気除去装置は、前記成膜空間の下流側に設けられた第2静電気除去装置を含むことが望ましい。
本発明においては、前記第1成膜ロールと前記第2成膜ロールとの間でプラズマ放電させる機構を備えていることが望ましい。
本発明においては、前記静電除去装置が電気力線放射式の機構を備えている構成を採用することが望ましい。
本発明においては、前記静電気除去装置が電気力線放射式の機構を備えていることが望ましい。
本発明においては、前記静電気除去装置がイオナイザー方式の機構を備えていことが望ましい。
本発明においては、前記静電気除去装置がプラズマ放電方式の機構を備えていることが望ましい。
また、本発明の成膜方法は、上述のプラズマCVD成膜装置を用いて、長尺の基材の一面側に、該一面側に帯電する静電気を除去しながら薄膜を形成する工程と、前記薄膜上に透明導電膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明のガスバリア性積層フィルムは、基材と、上述のプラズマCVD成膜装置を用いて、前記基材の一面側に形成されたガスバリア膜と、を有することを特徴とする。
適切な位置で静電気除去を行うことにより、静電付着する異物が原因となる成膜不良が生じにくいプラズマCVD成膜装置を提供することができる。
本実施形態のプラズマCVD成膜装置の一実施形態を示す模式図である。
以下、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係るプラズマCVD成膜装置1についてより詳細に説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。また、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態のプラズマCVD成膜装置1の一例を示す模式図である。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。図では、紙面垂直方向をX軸方向として図示している。
図1に示すプラズマCVD成膜装置1は、送り出しロール11と、搬送ロール21、22、23、24と、第1成膜ロール31、32と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源51と、第1成膜ロール31及び32の内部に設置された磁場発生装置61、62と、巻取りロール71と、静電気除去装置81,82を備えている。
また、このようなプラズマCVD成膜装置1においては、少なくとも第1成膜ロール31、32と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源51と、磁場発生装置61、62とが図示を省略した真空チャンバー内に配置されている。更に、このような製造装置において前記真空チャンバーは図示を省略した真空ポンプに接続されており、かかる真空ポンプにより真空チャンバー内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
そして、この装置においては、プラズマ発生用電源51を制御することにより、第1成膜ロール31と第2成膜ロール32との間の空間に、ガス供給管41から供給される成膜ガスのプラズマを発生させることができ、発生するプラズマを用いてプラズマCVD成膜を行うことができる。
以下、本実施形態のプラズマCVD成膜装置1を用いて基材100上にガスバリア膜を形成し、ガスバリア性積層フィルムを製造することとして、順に説明する。
送り出しロール11には、成膜前の基材100が巻き取られた状態で設置され、基材100を長尺方向に巻き出しながら送り出する。基材00としては、樹脂または樹脂を含む複合材料からなるフィルム又はシートが好適に用いられる。このような樹脂フィルムまたはシートは、透光性を有していても良く、また、不透明であっても良い。
基材100を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル樹脂;アセタール樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルサルファイド(PES)が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を組み合わせて用いることもできる。透明性、耐熱性、線膨張性等の必要な特性に合わせて、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂から選ばれることが好ましく、PET、PEN、環状ポリオレフィンがより好ましい。また、樹脂を含む複合材料としては、ポリジメチルシロキサン、ポリシルセスキオキサンなどのシリコーン樹脂、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板などが挙げられる。これらの樹脂の中でも、耐熱性及び線膨張率が高いという観点から、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板が好ましい。また、これらの樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
基材100の厚みは、基材100を製造する際の安定性等を考慮して適宜設定されるが、真空中においても基材100の搬送が容易であることから、5μm〜500μmであることが好ましい。さらに、本実施形態で採用するガスバリア膜の形成では、後述するように基材100を通して放電を行うことから、基材100の厚みは50μm〜200μmであることがより好ましく、50μm〜100μmであることが特に好ましい。
なお、基材100は、形成するガスバリア膜との密着性の観点から、その表面を清浄するための表面活性処理を施してもよい。このような表面活性処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理が挙げられる。
基材100は、搬送ロール21、22、23、24に巻き掛けられて搬送される。その途中において、搬送ロール21と搬送ロール22との間には、基材100が巻き掛けられている第1成膜ロール31が配置され、搬送ロール23と搬送ロール24との間には、基材100が巻き掛けられている第2成膜ロール32が配置されている。さらに、搬送ロール24の下流には、基材100を巻き取る巻き取りロール71が配置されている。これらの各種ロールは、いずれも円筒状の形状を有している。
第1成膜ロール31と第2成膜ロール32とは、X軸方向に平行に延在して対向配置されている。両ロールはそれぞれ、プラズマを発生する装置の電極ドラムとして用いられ、プラズマ発生用電源51が接続されている。プラズマ発生用電源51から印加すると、第1成膜ロール31と第2成膜ロール42との間の空間Sに電場が形成され、放電プラズマを生じさせる。すなわち、詳しくは後述するように、空間Sは、プラズマCVD成膜を行う成膜空間として用いられる。
さらに、第1成膜ロール31と第2成膜ロール32は、内部に磁場発生装置61,62が格納されている。磁場発生装置61,62は、空間Sに磁場を形成する部材であり、第1成膜ロール31および第2成膜ロール32と共には回転しないようにして格納されている。
空間Sの上方には、空間SにプラズマCVDの原料ガスなどの成膜ガスを供給するガス供給管41が設けられている。ガス供給管41は、第1成膜ロール31及び第2成膜ロール32の延在方向と同一方向に延在する管状の形状を有しており、複数箇所に設けられた開口部から空間Sに成膜ガスを供給する。
原料ガスは、形成するバリア膜の材質に応じて適宜選択して使用することができる。原料ガスとしては、例えばケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることができる。このような有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、化合物の取り扱い性や得られるバリア膜のガスバリア性等の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに、原料ガスとして、上述の有機ケイ素化合物の他にモノシランを含有させ、形成するバリア膜のケイ素源として使用することとしてもよい。
成膜ガスとしては、原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
成膜ガスとしては、原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガス及び放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス;水素を用いることができる。
真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、空間Sの圧力が0.1Pa〜50Paであることが好ましい。気相反応を抑制する目的により、プラズマCVDを低圧プラズマCVD法とする場合、通常0.1Pa〜10Paである。また、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.1kW〜10kWであることが好ましい。
基材100の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.1m/min〜100m/minであることが好ましく、0.5m/min〜20m/minであることがより好ましい。ライン速度が下限未満では、基材100に熱に起因する皺の発生しやすくなる傾向にあり、他方、ライン速度が上限を超えると、形成されるバリア膜の厚みが薄くなる傾向にある。
加えて、基材100の流れ方向において、第1成膜ロール31の直前には第1静電気除去装置81が設けられ、巻き取りロール71の直前には第2静電気除去装置82が設けられている。
第1静電気除去装置81は、プラズマCVD成膜が行われる空間Sの直前において、基材100の−Z方向に面している面(成膜面100a)に対向するように配置され、成膜面100aの静電気を除去する。また、第2静電気除去装置82は、空間SにおいてプラズマCVD成膜が成された成膜面100aに対向するように配置され、成膜面100aの静電気を除去する。
基材100は、送り出しロール11において基材100を巻き出す際の基材100同士の剥離や、基材100と搬送ロール21、22、23、24との接触および転がりにより帯電するおそれがある。また、プラズマCVD成膜装置1に設置された際にはすでに帯電している場合も考えられる。このようにして基材100が帯電していると、成膜面100aに異物を付着させ、空間SにおけるプラズマCVDではピンホールの原因となるおそれがある。また、成膜後であれば、ガスバリア膜を成膜した上に異物を付着させた状態で巻き取りロール71に巻き取られると、異物が基材100の間に挟み込まれ、ガスバリア膜を傷つけるおそれがある。
第1静電気除去装置81および第2静電気除去装置82は、このような不具合の原因となる基材100の静電気を除去し、付着している異物の除去を促進する。例えば、第1静電気除去装置81で基材100の静電気を除去すると、仮に成膜面100aに異物が静電的に付着していたとしても、異物は重力方向(−Z方向)に落下しやすくなり、成膜面100aに異物が付着することによる不具合を抑制することができる。
静電気除去装置81,82としては、通常知られた方式のものを採用することができる。例えば、電気力線放射式の機構を備えているもの、イオナイザー方式の機構を備えているもの、プラズマ放電方式の機構を備えているもの等を例示することができる。
以上のようなプラズマCVD成膜装置1においては、まず、真空チャンバー内を減圧環境とし、第1成膜ロール31と第2成膜ロール32内に収容された磁場発生装置61,62を用いて、第1成膜ロール31と第2成膜ロール32との間に磁場を印加する。すなわち、磁場発生装置61、62を用いて、第1成膜ロール31と第2成膜ロール32との空間Sにまたがって磁力線を生じさせる。
この際、第1成膜ロール31と第2成膜ロール32との間の磁場の強さを場所によって異ならせる。具体的には、円筒状の第1成膜ロール31と第2成膜ロール32の中心軸を含む平面と成膜ロール表面とが交差する部分付近では磁場が弱く、当該部分から離れるにつれて(上記平面から平面の法線方向に離れるにつれて)磁場が強くなるように磁場を制御する。
次いで、各成膜ロールに印加して成膜ロール間に電界を生じさせ、成膜ガスを導入することにより、ロール間にまたがる磁力線に沿うようにプラズマ発生用電源51を用いて放電プラズマを発生させる。すなわち、空間Sに形成される磁場と電場により電子が空間Sに閉じ込められることにより、空間Sに高密度のプラズマが形成される。
このプラズマ源は、数Pa近傍の低圧力で動作可能で、中性粒子やイオンの温度は低く、室温近傍になる。一方、電子の温度は高いので、ラジカルやイオンを多く生成する。また、高温の2次電子が磁場の作用で基材100に流れ込むのが防止され、よって、基材100の温度を低く抑えたままで高い電力の投入が可能となり、高速成膜が達成される。膜の堆積は、主に基材100の成膜面100aのみに起こり、成膜ロールは基材100に覆われて汚れにくいために、長時間の安定成膜ができる。
放電プラズマを用いたプラズマCVD法により、成膜ロールに巻き掛けたフィルム100の表面に対してガスバリア膜の形成を行うことができる。また、搬送ロール21、22、23、24や巻き取りロール71により基材100を連続的に搬送しながらガスバリア膜の形成を行うことで、ガスバリア膜の連続的な成膜プロセスを実現することが可能となる。
形成されるガスバリア膜は、珪素、酸素及び炭素を含むことが好ましく、さらに窒素を含むこととしても良い。
すなわち、基材100を搬送する過程で、基材100は上述のプラズマ強度の異なる領域を通過することにより、基材100の表面には、膜厚方向に組成のことなるガスバリア膜が連続的に成膜されることとなる。なお、この元素濃度は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)分析装置により測定することができる。
また、静電気除去装置81,82の機能により、成膜面100aの静電気を除去することができるため、成膜面100aに静電的に付着した異物を効果的に除去しながら成膜を行うことができる。そのため、ピンホールのような異物が原因となる成膜不良が生じにくくなり、良好な品質のガスバリア性積層フィルムを製造することができる。
なお、本実施形態では、薄膜として基材にガスバリア性を付与するガスバリア膜を形成することとしたが、これに限らない。薄膜の形成材料を選択することにより、種々の機能を有する薄膜を安定して形成することが可能である。
さらに、基材100の成膜面100aにガスバリア膜を形成した後、ガスバリア膜上にさらに他の薄膜を積層することもできる。このような薄膜としては、例えば透明導電膜が挙げられる。透明導電膜を形成する場合、具体的には下記(1)〜(3)の態様を採用することができる。
(1):本実施形態のプラズマCVD成膜装置1を用いて形成したガスバリア膜付きフィルム(ガスバリア性積層フィルム)を順に繰り出して、シート状に切断後、枚葉で透明導電膜を形成することにより、積層フィルムを得る。
(2):本実施形態のプラズマCVD成膜装置1を用いて形成したガスバリア性積層フィルムを巻出し、連続的に搬送しながら透明導電膜を形成して、積層フィルムをロール状に巻き取る。すなわち、バリア膜の形成と透明導電膜の形成とを、個別のロールツーロールで行うものである。
(3):ロール状の基材から、基材を繰り出し連続的に搬送しながら、バリア膜を形成し、次いで、透明導電膜を形成し、得られた積層フィルムをロール状に巻き取る。この態様は、バリア膜の形成と透明導電膜の形成とを、合わせて連続的にロールツーロールで行うものである。
基材上に透明導電膜を形成する方法としては、低抵抗の透明導電膜が得られることから、物理気相成長(PVD)法が好ましく用いられる。例としては、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法(パルスレーザーディポシッション、PLD法)が挙げられるが、成膜速度、成膜面積の広さ、成膜面の均一性、エッチング特性等の観点から、イオンプレーティング法、スパッタ法が好ましい。また、イオンプレーティング法としては、屈曲しても導電性が低下し難く、成膜速度が速く、陰極がガス雰囲気にさらされないため長寿命であり、安定した成膜を長時間連続して行うことが可能であることから、圧力勾配型プラズマガン(浦本ガンと呼ばれる)を用いるイオンプレーティング法が好ましい。
透明導電膜は、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)及びチタン(Ti)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいることが好ましい。特に、インジウム−スズ酸化物(ITO)、亜鉛−スズ酸化物(ZTO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO(登録商標))、インジウム−ガリウム酸化物(IGO)、インジウム−亜鉛−スズ酸化物(IZTO(登録商標))、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(IGZO)、アルミニウムドープ亜鉛酸化物(AZO)、ガリウムドープ亜鉛酸化物(GZO)、アンチモンドープスズ酸化物(ATO)、フッ素ドープスズ酸化物(FTO)、ニオブドープ酸化チタン(NTO)、タンタルドープ酸化チタン(TTO)及びバナジウムドープ酸化チタン(VTO)からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物の膜であることが好ましい。
樹脂フィルム上へのバリア膜及び透明導電膜の形成は、例えば、基材の一方の面にバリア膜を形成した後、バリア膜上に透明導電膜を形成してもよいし、基材の一方の面にバリア膜を形成した後、もう一方の面に透明導電膜を形成してもよいし、基材の一方の面に透明導電膜を形成した後、もう一方の面にバリア膜を形成してもよいし、基材の両方の面にバリア膜を形成した後、一方のバリア膜上に透明導電膜を形成してもよい。得られる積層フィルムの層構成は用途等に応じて適宜設定されるが、特に、基材の一方の面にバリア膜を形成した後、バリア膜上に透明導電膜を形成して、透明導電膜/バリア膜/基材の層構成を有する積層フィルムを製造する場合に、有利に採用される。
このように形成される積層フィルムは、樹脂フィルムを基材100として用い、フレキシブルな製品の部材として使用可能であり、また、ガスバリア膜及び透明導電膜を有するため、有機EL素子、有機薄膜太陽電池、液晶ディスプレイをはじめとするフレキシブルでガスバリア性及び導電性が必要とされる各種製品の部材として好適に用いることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
1…プラズマCVD成膜装置、61…第1成膜ロール、62…第2成膜ロール、81…第1静電気除去装置、82…第2静電気除去装置、100…基材、100a…成膜面、S…空間(成膜空間)、

Claims (9)

  1. 長尺の基材を連続的に搬送しながら、該基材上に連続的に成膜するプラズマCVD成膜装置において、
    前記基材を巻き掛けて搬送する第1成膜ロールと、
    前記第1成膜ロールと対向して配置された第2成膜ロールと、
    前記第1成膜ロールに巻き掛けた前記基材の前記第2成膜ロールに面する面を前記基材の成膜面として、該成膜面に帯電する静電気を除去する静電気除去装置と、を備え、
    前記第1成膜ロールと前記第2成膜ロールとの間隙は、前記成膜面上にプラズマCVD成膜を行う成膜空間であり、
    前記静電気除去装置は、前記成膜空間に対し、前記基材の搬送方向の上流側に設けられた第1静電気除去装置を含むことを特徴とするプラズマCVD成膜装置。
  2. 前記静電気除去装置が、前記成膜空間の直前に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマCVD成膜装置。
  3. 前記静電気除去装置は、前記成膜空間の下流側に設けられた第2静電気除去装置を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマCVD成膜装置。
  4. 前記第1成膜ロールと前記第2成膜ロールとの間でプラズマ放電させる機構を備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のプラズマCVD成膜装置。
  5. 前記静電気除去装置が電気力線放射式の機構を備えていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のプラズマCVD成膜装置。
  6. 前記静電気除去装置がイオナイザー方式の機構を備えていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のプラズマCVD成膜装置。
  7. 前記静電気除去装置がプラズマ放電方式の機構を備えていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のプラズマCVD成膜装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のプラズマCVD成膜装置を用いて、長尺の基材の一面側に、該一面側に帯電する静電気を除去しながら薄膜を形成する工程と、
    前記薄膜上に透明導電膜を形成する工程と、を有することを特徴とする成膜方法。
  9. 長尺の基材と、
    請求項1〜7の何れか1項に記載のプラズマCVD成膜装置を用いて、前記基材の一面側に帯電する静電気を除去しながら、前記一面側に形成されたガスバリア膜と、を有することを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
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