JP2012083177A - ガスバリア性積層フィルムの検査方法、ガスバリア性積層フィルムの製造方法 - Google Patents

ガスバリア性積層フィルムの検査方法、ガスバリア性積層フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】短時間のうちに高精度にガスバリア性を評価することを可能とするガスバリア性積層フィルムの検査方法を提供する。
【解決手段】基材2と、該基材2に形成された絶縁性のガスバリア膜4と、を有するガスバリア性積層フィルム1の検査方法であって、基材2とガスバリア膜4との間にガスバリア膜4と接する導電膜3を形成し、ガスバリア膜4の表面4aと導電膜3との間の直流電気抵抗または交流電気抵抗を測定することにより、ガスバリア膜4の欠陥部分を検出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガスバリア性積層フィルムの検査方法およびガスバリア性積層フィルムの製造方法に関するものである。
フィルム状の基材に機能性を付与するために、基材の表面に薄膜層を積層した積層フィルムが知られている。例えば、薄膜層を積層することにより基材にガスバリア性を付与したガスバリア性フィルムは、飲食品、化粧品、洗剤といった物品の充填包装に適する包装用容器として好適に用いることができる。近年、プラスチックフィルム等の基材フィルムの表面に、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウムといった無機酸化物の薄膜を成膜してなるガスバリア性フィルムが提案されている。
このように無機酸化物の薄膜をプラスチック基材の表面上に成膜する方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD)、減圧化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD)が知られている。また、このような成膜方法を実現する成膜装置として、例えば、長尺の基材を搬送しながら基材表面に連続的にCVD法による成膜を行う成膜装置が提案されている。
例えば特許文献1では、図8に示すような成膜装置が示されている。すなわち、図に示す成膜装置9は、送り出しロール911と、搬送ロール921、922、923、924と、第1成膜ロール931、第2成膜ロール932と、ガス供給管941と、プラズマ発生用電源951と、第1成膜ロール931及び第2成膜ロール932の内部に設置された磁場発生装置961、962と、巻取りロール971と、を備えており、これらが真空チャンバー981の内部に配置されている。また、真空チャンバー981は真空ポンプ991に接続されており、かかる真空ポンプ991により真空チャンバー981内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
成膜装置9において、送り出しロール911から送り出された長尺の基材100は、搬送ロール921を介して第1成膜ロール931に達する。第1成膜ロール931と第2成膜ロール932との間では、ガス供給管941から供給される成膜ガスの放電プラズマを生じさせ、基材100が第1成膜ロール931上を通過する際に、基材100の一面(成膜面100a)に成膜ガスを形成材料として薄膜が形成される。
第2成膜ロール932においては、第1成膜ロール931と同様に、第1成膜ロール931と第2成膜ロール932との間に生じさせる放電プラズマにより成膜面100aに薄膜が形成される。成膜された基材100は、搬送ロール924を介して巻取りロール971に送られ、巻き取りロール971では、成膜が行われた後の基材100を牽引しながら巻き取り、ロール状に収容する。成膜装置9では、このようにして長尺の基材100に連続してCVD成膜を行う。
特許第4268195号公報
ところで、上述のような成膜装置を用いて形成したガスバリア性フィルムにおいて、所望のガスバリア性を発現しないことがある。ガスバリア性は、例えばカルシウム法により測定される水蒸気透過率として評価することができる。水蒸気透過率は、低いほどガスバリア性が良いという指標となる。
ここで、カルシウム法とは、ガラス基板上にカルシウム膜を成膜し、該カルシウム膜を封止剤及びガスバリア性フィルムにて封止した後に、所定の温度および湿度の雰囲気下に一定時間保存し、カルシウム膜の光透過率の変化を測定することにより、ガスバリア性フィルムを透過した水分と反応した金属カルシウム量を求める測定方法である。ガスバリア性評価のための所定の温度および湿度は、例えば温度40℃、湿度90%RHである。
このカルシウム法は、通常1ヶ月〜2ヶ月程度の測定時間を要するため、製造したガスバリア性フィルムの性能を検査し、出荷や使用の可否を判断する品質検査として採用するには試験時間が長すぎる。また、カルシウム法は、測定対象であるガスバリア性フィルムをサンプリングして行う破壊試験であり、全数検査は不可能である。そのため、製造したガスバリア性フィルムを、高いガスバリア性が要求される用途に用いる場合、品質を保証することが困難と成り得る。
これらのことから、ガスバリア性フィルムの検査方法として、カルシウム法に変わる方法が求められていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、短時間のうちに高精度にガスバリア性を評価することを可能とするガスバリア性積層フィルムの検査方法を提供することを目的とする。また、ガスバリア性積層フィルムの品質評価工程を有し、高品質なガスバリア性積層フィルムを製造することを可能とするガスバリア性積層フィルムの製造方法を提供することをあわせて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明のガスバリア性積層フィルムの検査方法は、基材と、該基材に形成された絶縁性のガスバリア膜と、を有するガスバリア性積層フィルムの検査方法であって、前記基材と前記ガスバリア膜との間に前記ガスバリア膜と接する導電膜を形成し、前記ガスバリア膜の表面と前記導電膜との間の直流電気抵抗または交流電気抵抗を測定することを特徴とする。
本発明においては、前記ガスバリア膜の表面に接する第1電極が円筒状であり、中心軸を回転軸として回転可能に設けられ、前記ガスバリア膜上を前記基材の延在方向に走査しながら複数箇所で前記直流電気抵抗または交流電気抵抗を測定することが望ましい。
本発明においては、前記ガスバリア性積層フィルムは、長尺の前記基材において前記基材の延在方向に形成された前記導電膜と、該導電膜上に形成された前記ガスバリア膜と、を有し、前記導電膜を前記基材の延在方向に沿って露出させ、露出した前記導電膜および前記ガスバリア膜の表面との間の直流電気抵抗または交流電気抵抗を、前記基材の延在方向に走査しながら複数箇所で測定することが望ましい。
本発明においては、露出した前記導電膜に接する第2電極が円筒状であり、中心軸を回転軸として回転可能に設けられ、前記導電膜上を走査することが望ましい。
本発明においては、前記ガスバリア膜の表面に接する第1電極と、露出した前記導電膜に接する第2電極とは、両者の間が絶縁された同軸の円筒状であり、前記基材の延在方向に走査しながら複数箇所で前記直流電気抵抗または交流電気抵抗を測定することが望ましい。
また、本発明のガスバリア性積層フィルムの製造方法は、少なくとも一方の面に導電膜が形成された長尺の基材を連続的に搬送しながら、前記一方の面に連続的にガスバリア膜を形成する工程と、請求項1から5の検査方法を用いて、前記ガスバリア膜の欠陥部分を検出する検査工程と、を有することを特徴とする。
本発明においては、前記ガスバリア膜を形成する工程に先だって、前記一方の面における前記基材の延在方向に対する側端部に、前記基材と前記導電膜とを覆うマスク部を形成する工程と、前記ガスバリア膜を形成する工程の後であって、前記検査工程に先だって、前記マスク部を剥離し、前記側端部における前記ガスバリア膜を除去して、前記導電膜を露出させる工程と、を有することが望ましい。
本発明においては、前記ガスバリア膜を形成する工程が、第1の前記基材が巻き掛けられる第1成膜ロールと、前記第1成膜ロールに対向し、第2の前記基材が巻き掛けられる第2成膜ロールと、の間に交流電圧を印加することで、前記第1成膜ロールと前記第2成膜ロールとの間の空間において生じる、前記ガスバリア膜の形成材料である成膜ガスの放電プラズマを用いたプラズマCVDを用いるものであることが望ましい。
本発明においては、前記ガスバリア膜を形成する工程が、前記基材が巻き掛けられる第1成膜ロールと、前記第1成膜ロールに対向し、前記1成膜ロールに対し前記基材の搬送経路の下流において前記基材が巻き掛けられる第2成膜ロールと、の間に交流電圧を印加することで、前記第1成膜ロールと前記第2成膜ロールとの間の空間において生じる、前記ガスバリア膜の形成材料である成膜ガスの放電プラズマを用いたプラズマCVDを用いるものであり、前記導電膜が、前記第1成膜ロールと前記第2成膜ロールとの間における搬送経路の距離よりも短い周期で、複数に分割されていることが望ましい。
本発明においては、前記放電プラズマが、前記第1成膜ロールと前記第2成膜ロールとの間に交流電界を形成するとともに、前記第1成膜ロールと前記第2成膜ロールとが対向する空間に膨らんだ無終端のトンネル状の磁場を形成することにより、前記トンネル状の磁場に沿って形成される第1の放電プラズマと、前記トンネル状の磁場の周囲に形成される第2の放電プラズマと、を有し、前記ガスバリア膜を形成する工程は、前記第1の放電プラズマと前記第2の放電プラズマとに重なるように前記基材を搬送することが望ましい。
本発明においては、前記ガスバリア膜が、珪素、酸素及び炭素を含有しており、且つ、 該層の膜厚方向における該層の表面からの距離と、珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の量の比率(珪素の原子比)、酸素原子の量の比率(酸素の原子比)及び炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係をそれぞれ示す珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、下記条件(i)〜(iii):
(i)珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上の領域において下記式(1):
(酸素の原子比)>(珪素の原子比)>(炭素の原子比)・・・(1)
で表される条件を満たすこと、或いは、珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上の領域において下記式(2):
(炭素の原子比)>(珪素の原子比)>(酸素の原子比)・・・(2)
で表される条件を満たすこと、
(ii)前記炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有すること、
(iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること、
を全て満たすように、前記成膜ガスに含まれる有機ケイ素化合物と酸素との混合比を制御することが望ましい。
本発明においては、前記導電膜は光透過性を有していることが望ましい。
本発明によれば、短時間のうちに高精度にガスバリア性を評価することを可能とするガスバリア性積層フィルムの検査方法を提供することができる。また、ガスバリア性積層フィルムの品質評価工程を有し、高品質なガスバリア性積層フィルムを製造することを可能とするガスバリア性積層フィルムの製造方法を提供することができる。
第1実施形態のガスバリア性積層フィルムの検査方法に係る説明図である。 第1実施形態のガスバリア性積層フィルムの検査方法に係る説明図である。 第1実施形態のガスバリア性積層フィルムの検査方法の変形例の説明図である。 第2実施形態のガスバリア性積層フィルムの検査方法に係る説明図である。 第2実施形態のガスバリア性積層フィルムの検査方法に係る説明図である。 ガスバリア性積層フィルムの説明図である。 ガスバリア性積層フィルムを製造するプラズマCVD成膜装置の説明図である。 ガスバリア性積層フィルムを製造するプラズマCVD成膜装置の説明図である。 従来のプラズマCVD成膜装置の例を示す模式図である。
[第1実施形態]
[ガスバリア性積層フィルムの評価方法]
以下、図1〜図3を参照しながら、本発明の第1実施形態に係るガスバリア性積層フィルムの検査方法について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
図1,2は、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの検査方法に係る説明図であり、図1は概略斜視図、図2は図1の線分A−Aにおける矢視断面図である。
図1に示すように、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの検査方法では、第1電極110と第2電極120とが接続された測定装置100を用い、ガスバリア性積層フィルム1Aが有する絶縁性のガスバリア膜4の直流電気抵抗または交流電気抵抗(以下、両者を合わせて電気抵抗と称することがある)を測定することで、ガスバリア膜4の欠陥部分を検出する。以下、詳細に説明する。
ガスバリア性積層フィルム1Aは、長尺の基材2には一方の面に導電膜3が形成されており、導電膜3に接して絶縁性のガスバリア膜4が形成されている。ガスバリア膜4は基材2の幅方向(短手方向)の一端側には設けられておらず、基材2の短手方向の一端側では導電膜3が露出して、取り出し部3aを成している。ガスバリア性積層フィルム1Aの構成については、後に詳述する。
第1電極110および第2電極120は、円筒状の形状を有しており、第1電極110は取り出し部3aにおいて導電膜3の表面に、第2電極120はガスバリア膜4の表面に、それぞれ円筒の曲面が接して配置される。このような状態で、第1電極110および第2電極120が接続する測定装置100を用い、ガスバリア膜4の電気抵抗を測定する。この際、ガスバリア性積層フィルム1Aを長手方向に搬送することにより、円筒状の第1電極110,第2電極120は、それぞれの接触面上を回転しながら移動してガスバリア性積層フィルム1A上を走査し、複数箇所においてガスバリア膜4の電気抵抗を測定する。
電気抵抗の測定では、通常の直流抵抗や交流抵抗(インピーダンス)を測定することができるが、合わせて交流電気抵抗は、通常知られた値を採用して測定することができ、例えば、交流インピーダンス、誘電正接(tanδ)、位相角、誘電率などの値を採用することができる。
図2に示すように、ガスバリア膜4に成膜不良部分(欠陥部分4x)が存在すると、欠陥部分4xに第2電極120が触れているときの電気抵抗は、欠陥部分4xに触れていないときと異なる値を示す。すなわち、測定装置100では、ガスバリア膜4の電気抵抗を測定するところ、欠陥部分4xではガスバリア膜4の表面と導電膜3との間に挟まれる絶縁体の量が、欠陥部分4xとは異なる部分での絶縁体の量と異なるため、電気抵抗が異なる値を示す。
例えば、ガスバリア膜4の成膜時に、導電性の材料の粒子を取り込んでしまい欠陥部分4xを成しているような場合、欠陥部分4xで測定される電気抵抗の値は、他の位置で測定される電気抵抗の値よりも小さなものとなる。また、欠陥部分がピンホールである場合、欠陥部分4xで測定される電気抵抗の値は、他の位置で測定される電気抵抗の値よりも大きくなると考えられる。したがって、測定装置100による検出値を用いて、第2電極120が接している部分に欠陥部分4xが存在するか否かを判断することができる。
以上のようなガスバリア性積層フィルムの検査方法によれば、従来用いられるカルシウム法と比べ、極めて早く評価結果を得ることができる。そのため、例えば製造したガスバリア性積層フィルムの品質評価に適用した場合、短時間のうちに高精度にガスバリア性を評価することが可能となり、出荷可否を判断するための品質確認に要する時間を短くすることができる。
なお、本実施形態においては、第1電極110と第2電極120とが別体であることとしたが、これに限らない。
図3は、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの検査方法に係る変形例を示す説明図であり、図1に対応する図である。図に示すように、変形例に係る電極130では、第1電極110と第2電極120とが同軸で一体となった円筒形状を成しており、第1電極110と第2電極120との間が絶縁部材135で絶縁されている。
このような電極130を用い、絶縁部材135を介して第1電極110が導電膜3にのみ接するように、第2電極120がガスバリア膜4の表面にのみ接するようにしてガスバリア性積層フィルム1A上を走査し、電気抵抗を測定することにより、上述の実施形態に係る検査方法と同様の効果が得られる。
なお、図では第2電極120の方が第1電極110よりも直径が大きいこととして図示しているが、このような構成には限らない。例えば、ガスバリア膜4の厚さが極薄い(数十nm〜数μm)ものであれば電極130を構成する材料の弾性変形により導電膜3とガスバリア膜4との表面に接触させることができるため、第1電極110と第2電極120とを、直径が同じ円筒状としても良い。また、第1電極110,第2電極120を導電性ゴムなど弾性変形を容易に起こす形成材料とすることとしても良い。
また、本実施形態においては、ガスバリア性積層フィルム1Aを搬送することにより、第1電極110、第2電極120を走査して電気抵抗を測定することとして説明したが、第1電極110および第2電極120に対してガスバリア性積層フィルム1Aが相対的に移動するならばこれに限らない。すなわち、ガスバリア性積層フィルム1Aを固定しておき、移動式の第1電極110および第2電極120を用いて、電気抵抗を測定することとしても構わない。
また、本実施形態においては、第1電極110、第2電極120の両方が円筒状であることとしたが、これに限らず、いずれか一方のみが円筒状で他方が例えば板状であっても構わない。さらに、両方が円筒状ではなく他の形状であっても良い。このような形状の電極を用いても、欠陥部分の検出は可能である。
また、本実施形態においては、取り出し部3aをガスバリア性積層フィルム1Aの短手方向の端部に延在して設けることとしたが、これに限らず、例えば、矩形の取り出し部3aを一箇所設けて第1電極110を取り出し部3aに露出する導電膜3と接触させて固定することとしても良い。その場合、測定装置100と第1電極110または第2電極120とを長い配線で接続することにより、電極の取り回しを可能とする構成を採用すると良い。
[第2実施形態]
図4,5は、本発明の第2実施形態に係るガスバリア性積層フィルムの検査方法の説明図である。本実施形態ガスバリア性積層フィルムの検査方法は、第1実施形態のガスバリア性積層フィルムの検査方法と一部共通しているため、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図4,5は、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの検査方法に係る説明図であり、図4は概略斜視図、図5は図4の線分B−Bにおける矢視断面図である。図4は図1に、図5は図2にそれぞれ対応する図である。
図4に示すように、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの検査方法では、ガスバリア膜4の表面に、第2導電膜5が形成されているガスバリア性積層フィルム1Bについて検査を行う。第2導電膜5は、ガスバリア性積層フィルム1Bの短手方向に設けられた複数の分割部5xを有しており、周期的に複数に分割されている。複数に分割された第2導電膜5は、互いに絶縁されている。
本実施形態のガスバリア性積層フィルムの検査方法では、このようなガスバリア性積層フィルム1Bに対し、図5に示すように、取り出し部3aに露出している導電膜3の表面に第1電極110を接触させ、第2導電膜5の表面に第2電極120を接触させることにより、分割部5xに挟まれた第2導電膜5を1つの検査単位として、ガスバリア膜4が成膜不良部分を有するか否かを検査する。
すなわち、第1電極110が導電膜3の表面(取り出し部3a)に接触し、第2電極120が第2導電膜5の表面5aに接触することにより、第2導電膜5に接続する測定装置100を用い、ガスバリア膜4の電気抵抗を測定する。
第2導電膜5の下部のガスバリア膜4に成膜不良部分(欠陥部分4x)が存在すると、第2導電膜5を介して測定する電気抵抗は、欠陥部分4xが存在しないときと異なる値を示す。したがって、第2導電膜5を1つの検査単位として、欠陥部分4xの有無を検出することが可能である。検査の結果欠陥部分4xが見つかった場合、検査単位毎に切除することにより、品質が劣る部分を容易に取り除くことが可能となる。
以上のようなガスバリア性積層フィルムの検査方法であっても、短時間のうちに高精度にガスバリア性を評価することが可能となり、出荷可否を判断するための品質確認に要する時間を短くすることが可能となる。
[ガスバリア性積層フィルムの製造方法]
図6から8は、上述のガスバリア性積層フィルムの検査方法を用いたガスバリア性積層フィルムの製造方法を説明する説明図である。以下の説明においては、まず、ガスバリア性積層フィルムについて説明した後、上述のガスバリア膜を形成する成膜装置の説明を行うことにより、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの製造方法について説明する。
図6は、ガスバリア性積層フィルム1Aを示す模式図である。図に示すように、ガスバリア性積層フィルム1Aは、基材2上に形成された導電膜3の上にガスバリア膜4が形成されている。以下の説明では、基材2上に導電膜3が形成されたものを導電基材2Aと称する。
基材2としては、樹脂または樹脂を含む複合材料からなるフィルム又はシートが好適に用いられる。このような樹脂フィルムまたはシートは、透光性を有していても良く、また、不透明であっても良い。
基材2を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル樹脂;アセタール樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルサルファイド(PES)が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を組み合わせて用いることもできる。透明性、耐熱性、線膨張性等の必要な特性に合わせて、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂から選ばれることが好ましく、PET、PEN、環状ポリオレフィンがより好ましい。また、樹脂を含む複合材料としては、ポリジメチルシロキサン、ポリシルセスキオキサンなどのシリコーン樹脂、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板などが挙げられる。これらの樹脂の中でも、耐熱性及び線膨張率が高いという観点から、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板が好ましい。また、これらの樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
基材2の厚みは、基材2を製造する際の安定性等を考慮して適宜設定されるが、後述する成膜装置における真空中においても基材2の搬送が容易であることから、5μm〜500μmであることが好ましい。さらに、本実施形態で採用するガスバリア膜の形成では、後述するように基材2を通して放電を行うことから、基材2の厚みは50μm〜200μmであることがより好ましく、50μm〜100μmであることが特に好ましい。
なお、基材2は、形成するガスバリア膜との密着性の観点から、その表面を清浄するための表面活性処理を施してもよい。このような表面活性処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理が挙げられる。
導電膜3は、蒸着やスパッタなど通常知られた方法を用いて導電性材料を基材2の表面に配置することにより形成する。導電性材料としては、金属や導電性を有する金属酸化物を好適に用いることができる。導電膜3に光透過性を付与するならば、導電性材料としてITO(インジウム錫酸化物)やIZO(登録商標)などの光透過性を有する金属酸化物を用いることができる。導電膜3が光透過性を有する場合、例えば、有機EL装置や有機薄膜太陽電池など、光透過性を必要とする装置の基板としてガスバリア性積層フィルム1Aを採用することができる。
また、導電膜3に積極的には光透過性を付与しない、または遮光性を持たせるならば、アルミニウムやクロムなどの金属材料を用いることができる。
ガスバリア膜4は、以下に説明するプラズマCVD成膜装置を用い、有機ケイ素化合物と酸素とのプラズマ反応にて形成されるものである。図では、完全酸化反応によって形成されるSiOを多く含む第1層4a、不完全酸化反応によって生じるSiOを多く含む第2層4b、で示し、ガスバリア膜4を第1層4aと第2層4bとが交互に積層された3層構造であることとして示している。
ただし、図は膜組成に分布があることを模式的に示したものであり、実際には第1層4aと第2層4bとの間は明確に界面が生じているものではなく、組成が連続的に変化している。
図7は、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの製造方法で用いるプラズマCVD成膜装置8の一例を示す模式図である。図に示すプラズマCVD成膜装置8は、送り出しロール811,812と、第1成膜ロール831、第2成膜ロール832と、ガス供給管841と、プラズマ発生用電源851と、第1成膜ロール831の内部に設置された磁場形成装置(第1磁場形成手段)861と、第2成膜ロール832の内部に設置された磁場形成装置(第2磁場形成手段)862と、巻取りロール871,872と、を備えており、これらが真空チャンバー881の内部に配置されている。また、真空チャンバー881は真空ポンプ891が接続されており、かかる真空ポンプ891により真空チャンバー881内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
この装置を用いると、プラズマ発生用電源851を制御することにより、第1成膜ロール831と第2成膜ロール832との間の空間に、ガス供給管841から供給される成膜ガスの放電プラズマを発生させることができ、発生する放電プラズマを用いてプラズマCVD成膜を行うことができる。
送り出しロール811には、成膜前の導電基材2Aが巻き取られた状態で設置され、導電基材2Aを長尺方向に巻き出しながら送り出しする。また、導電基材2Aの端部側には巻取りロール871が設けられ、成膜が行われた後の導電基材2Aを牽引しながら巻き取り、ロール状に収容する。
同様に、送り出しロール812には、成膜前の導電基材2Aと同じ基材(導電基材2B)が巻き取られた状態で設置され、導電基材2Bを長尺方向に巻き出しながら送り出しする。また、導電基材2Bの端部側には巻取りロール872が設けられ、成膜が行われた後の導電基材2Bを牽引しながら巻き取り、ロール状に収容する。
第1成膜ロール831と第2成膜ロール832とは、平行に延在して対向配置されている。両ロールは導電性材料で形成され、それぞれ回転しながら導電基材2A,2Bを搬送する。また、第1成膜ロール831と第2成膜ロール832とは、相互に絶縁されていると共に、共通するプラズマ発生用電源51に接続されている。プラズマ発生用電源51から印加すると、第1成膜ロール831と第2成膜ロール832との間の空間Sに電場が形成される。
さらに、第1成膜ロール831と第2成膜ロール832は、内部に磁場形成装置861,862が格納されている。磁場形成装置861,862は、空間Sに磁場を形成する部材であり、第1成膜ロール831および第2成膜ロール832と共には回転しないようにして格納されている。
磁場形成装置861,862は、第1成膜ロール831、第2成膜ロール832の延在方向と同方向に延在する中心磁石861a,862aと、中心磁石861a,862aの周囲を囲みながら第1成膜ロール831、第2成膜ロール832の延在方向と同方向に延在して配置される円環状の外部磁石861b,862bと、を有している。磁場形成装置861では、中心磁石861aと外部磁石861bとを結ぶ磁力線(磁界)が、無終端のトンネルを形成している。磁場形成装置862においても同様に、中心磁石862aと外部磁石862bとを結ぶ磁力線が、無終端のトンネルを形成している。
この磁力線と、第1成膜ロール831と第2成膜ロール832との間に形成される電解と、が交叉するマグネトロン放電によって、成膜ガスの放電プラズマが生成される。成膜ガスの放電プラズマを生じさせる。すなわち、詳しくは後述するように、空間Sは、プラズマCVD成膜を行う成膜空間として用いられ、導電基材2Aにおいて第1成膜ロール831に接しない面(成膜面)には、成膜ガスを形成材料とするガスバリア膜が形成される。同様に、導電基材2Bにおいて第1成膜ロール832に接しない面(成膜面)には、成膜ガスを形成材料とするガスバリア膜が形成される。
空間Sの近傍には、空間SにプラズマCVDの原料ガスなどの成膜ガスを供給するガス供給管841が設けられている。ガス供給管841は、第1成膜ロール831及び第2成膜ロール832の延在方向と同一方向に延在する管状の形状を有しており、複数箇所に設けられた開口部から空間Sに成膜ガスを供給する。図では、ガス供給管841から空間Sに向けて成膜ガスを供給する様子を矢印で示している。
原料ガスは、形成するバリア膜の材質に応じて適宜選択して使用することができる。原料ガスとしては、例えばケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることができる。このような有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、化合物の取り扱い性や得られるバリア膜のガスバリア性等の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。さらに、原料ガスとして、上述の有機ケイ素化合物の他にモノシランを含有させ、形成するバリア膜のケイ素源として使用することとしてもよい。
成膜ガスとしては、原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。
成膜ガスとしては、原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、成膜ガスとしては、放電プラズマを発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガス及び放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス;水素を用いることができる。
真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、空間Sの圧力が0.1Pa〜50Paであることが好ましい。気相反応を抑制する目的により、プラズマCVDを低圧プラズマCVD法とする場合、通常0.1Pa〜10Paである。また、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.1kW〜10kWであることが好ましい。
導電基材2A,2Bの搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.1m/min〜100m/minであることが好ましく、0.5m/min〜20m/minであることがより好ましい。ライン速度が下限未満では、導電基材2A,2Bに熱に起因する皺の発生しやすくなる傾向にあり、他方、ライン速度が上限を超えると、形成されるバリア膜の厚みが薄くなる傾向にある。
以上のようなプラズマCVD成膜装置8においては、以下のようにして導電基材2A,2Bに対し成膜が行われる。
まず、真空チャンバー881内を減圧環境とし、第1成膜ロール831,第2成膜ロール832に印加して空間Sに電界を生じさせる。第1成膜ロール831,第2成膜ロール832からは真空チャンバー881内に電子が放出される。
この際、磁場形成装置861,862では上述した無終端のトンネル状の磁場を形成しているため、成膜ガスを導入することにより、該磁場と空間Sに放出される電子とによって、該トンネルに沿ったドーナツ状の成膜ガスの放電プラズマが形成される。この放電プラズマは、数Pa近傍の低圧力で発生可能であるため、真空チャンバー881内の温度を室温近傍とすることが可能になる。
一方、磁場形成装置861,862が形成する磁場に高密度で捉えられている電子の温度は高いので、当該電子と成膜ガスとの衝突により生じる放電プラズマが生じる。すなわち、空間Sに形成される磁場と電場により電子が空間Sに閉じ込められることにより、空間Sに高密度の放電プラズマが形成される。より詳しくは、無終端のトンネル状の磁場と重なる空間においては、高密度の(高強度の)放電プラズマが形成され、無終端のトンネル状の磁場とは重ならない空間においては低密度の(低強度の)放電プラズマが形成される。これら放電プラズマの強度は、連続的に変化するものである。
放電プラズマが生じると、ラジカルやイオンを多く生成してプラズマ反応が進行し、成膜ガスに含まれる原料ガスと反応ガスとの反応が生じる。例えば、原料ガスである有機ケイ素化合物と、反応ガスである酸素とが反応し、有機ケイ素化合物の酸化反応が生じる。ここで、高強度の放電プラズマが形成されている空間では、酸化反応に与えられるエネルギーが多いため反応が進行しやすく、主として有機ケイ素化合物の完全酸化反応を生じさせることができる。一方、低強度の放電プラズマが形成されている空間では、酸化反応に与えられるエネルギーが少ないため反応が進行しにくく、主として有機ケイ素化合物の不完全酸化反応を生じさせることができる。
なお、本明細書において「有機ケイ素化合物の完全酸化反応」とは、有機ケイ素化合物と酸素との反応が進行し、有機ケイ素化合物が二酸化ケイ素(SiO)と水と二酸化炭素にまで酸化分解されることを指す。「有機ケイ素化合物の不完全酸化反応」とは、有機ケイ素化合物が完全酸化反応をせず、SiOではなく構造中に炭素を含むSiO(0<x<2,0<y<2)が生じる反応となることを指す。
上述のように放電プラズマは、第1成膜ロール831,第2成膜ロール832の表面にドーナツ状に形成されるため、第1成膜ロール831の表面を搬送される導電基材2A、第2成膜ロール832の表面を搬送される導電基材2Bは、高強度の放電プラズマが形成されている空間と、低強度の放電プラズマが形成されている空間と、を交互に通過することとなる。そのため、第1成膜ロール831,第2成膜ロール832の表面を通過する導電基材2A,2Bの表面には、完全酸化反応によって生じるSiOと不完全酸化反応によって生じるSiOとが、交互に形成される。
これらに加えて、高温の2次電子が磁場の作用で導電基材2A,2Bに流れ込むのが防止され、よって、導電基材2A,2Bの温度を低く抑えたままで高い電力の投入が可能となり、高速成膜が達成される。膜の堆積は、主に導電基材2A,2Bの成膜面のみに起こり、成膜ロールは導電基材2A,2Bに覆われて汚れにくいために、長時間の安定成膜ができる。
このようにして形成されるガスバリア膜4は、珪素、酸素及び炭素を含有するガスバリア膜4が、該層の膜厚方向における該層の表面からの距離と、珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の量の比率(珪素の原子比)、酸素原子の量の比率(酸素の原子比)及び炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係をそれぞれ示す珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、下記条件(i)〜(iii)の全てを満たしている。
(i)まず、ガスバリア膜4が、珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上(より好ましくは95%以上、特に好ましくは100%)の領域において下記式(1):
(酸素の原子比)>(珪素の原子比)>(炭素の原子比)・・・(1)
で表される条件を満たすこと、或いは、珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上(より好ましくは95%以上、特に好ましくは100%)の領域において下記式(2):
(炭素の原子比)>(珪素の原子比)>(酸素の原子比)・・・(2)
で表される条件を満たしている。
ガスバリア膜4における珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、(i)の条件を満たす場合には、得られるガスバリア性積層フィルムのガスバリア性が十分なものとなる。
(ii)次に、このようなガスバリア膜4は、炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有するものである。
このようなガスバリア膜4においては、炭素分布曲線が少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することが特に好ましい。炭素分布曲線が極値を有さない場合には、得られるガスバリア性積層フィルムのフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が不十分となる。また、このように少なくとも3つの極値を有する場合においては、炭素分布曲線の有する一つの極値及び該極値に隣接する極値におけるガスバリア膜4の膜厚方向におけるガスバリア膜4の表面からの距離の差の絶対値がいずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
なお、本実施形態において極値とは、ガスバリア膜4の膜厚方向におけるガスバリア膜4の表面からの距離に対する元素の原子比の極大値又は極小値のことをいう。また、本明細書において極大値とは、ガスバリア膜4の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比の値が増加から減少に変わる点であって且つその点の元素の原子比の値よりも、該点からガスバリア膜4の膜厚方向におけるガスバリア膜4の表面からの距離を更に20nm変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上減少する点のことをいう。さらに、本実施形態において極小値とは、ガスバリア膜4の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比の値が減少から増加に変わる点であり、且つその点の元素の原子比の値よりも、該点からガスバリア膜4の膜厚方向におけるガスバリア膜4の表面からの距離を更に20nm変化させた位置の元素の原子比の値が3at%以上増加する点のことをいう。
(iii)更に、このようなガスバリア膜4は、炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上である。
このようなガスバリア膜4においては、炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることが特に好ましい。絶対値が5at%未満では、得られるガスバリア性積層フィルムのフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が不十分となる。
本実施形態においては、ガスバリア膜4の酸素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することが好ましく、少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することが特に好ましい。酸素分布曲線が極値を有さない場合には、得られるガスバリア性積層フィルムのフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が低下する傾向にある。また、このように少なくとも3つの極値を有する場合においては、酸素分布曲線の有する一つの極値及び該極値に隣接する極値におけるガスバリア膜4の膜厚方向におけるガスバリア膜4の表面からの距離の差の絶対値がいずれも200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
また、本実施形態においては、ガスバリア膜4の酸素分布曲線における酸素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であることが好ましく、6at%以上であることがより好ましく、7at%以上であることが特に好ましい。絶対値が下限未満では、得られるガスバリア性積層フィルムのフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が低下する傾向にある。
本実施形態においては、ガスバリア膜4の珪素分布曲線における珪素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることが特に好ましい。絶対値が上限を超えると、得られるガスバリア性積層フィルムのガスバリア性が低下する傾向にある。
また、本実施形態においては、ガスバリア膜4の膜厚方向における該層の表面からの距離と珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子及び炭素原子の合計量の比率(酸素及び炭素の原子比)との関係を示す酸素炭素分布曲線において、酸素炭素分布曲線における酸素及び炭素の原子比の合計の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%未満であることが好ましく、4at%未満であることがより好ましく、3at%未満であることが特に好ましい。絶対値が上限を超えると、得られるガスバリア性積層フィルムのガスバリア性が低下する傾向にある。
ここで、珪素分布曲線、酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は膜厚方向におけるガスバリア膜4の膜厚方向におけるガスバリア膜4の表面からの距離に概ね相関することから、「ガスバリア膜4の膜厚方向におけるガスバリア膜4の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるガスバリア膜4の表面からの距離を採用することができる。また、このようなXPSデプスプロファイル測定に際して採用するスパッタ法としては、エッチングイオン種としてアルゴン(Ar)を用いた希ガスイオンスパッタ法を採用し、そのエッチング速度(エッチングレート)を0.05nm/sec(SiO熱酸化膜換算値)とすることが好ましい。
また、本実施形態においては、膜面全体において均一で且つ優れたガスバリア性を有するガスバリア膜4を形成するという観点から、ガスバリア膜4が膜面方向(ガスバリア膜4の表面に平行な方向)において実質的に一様であることが好ましい。本明細書において、ガスバリア膜4が膜面方向において実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定によりガスバリア膜4の膜面の任意の2箇所の測定箇所について酸素分布曲線、炭素分布曲線及び酸素炭素分布曲線を作成した場合に、その任意の2箇所の測定箇所において得られる炭素分布曲線が持つ極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が、互いに同じであるかもしくは5at%以内の差であることをいう。
さらに、本実施形態においては、炭素分布曲線は実質的に連続であることが好ましい。
本明細書において、炭素分布曲線が実質的に連続とは、炭素分布曲線における炭素の原子比が不連続に変化する部分を含まないことを意味し、具体的には、エッチング速度とエッチング時間とから算出されるガスバリア膜4の膜厚方向における該層の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素の原子比(C、単位:at%)との関係において、下記数式(F1):
|dC/dx|≦ 1 ・・・(F1)
で表される条件を満たすことをいう。
本実施形態の方法により製造されるガスバリア性積層フィルムは、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすガスバリア膜4を少なくとも1層備えるが、そのような条件を満たす層を2層以上を備えていてもよい。さらに、このようなガスバリア膜4を2層以上備える場合には、複数のガスバリア膜4の材質は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、このようなガスバリア膜4を2層以上備える場合には、このようなガスバリア膜4は基材の一方の表面上に形成されていてもよく、基材の両方の表面上に形成されていてもよい。また、このような複数のガスバリア膜4としては、ガスバリア性を必ずしも有しないガスバリア膜4を含んでいてもよい。
また、珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上の領域において式(1)で表される条件を満たす場合には、ガスバリア膜4中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の含有量の原子比率は、25〜45at%であることが好ましく、30〜40at%であることがより好ましい。また、ガスバリア膜4中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率は、33〜67at%であることが好ましく、45〜67at%であることがより好ましい。さらに、ガスバリア膜4中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の含有量の原子比率は、3〜33at%であることが好ましく、3〜25at%であることがより好ましい。
さらに、珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上の領域において式(2)で表される条件を満たす場合には、ガスバリア膜4中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の含有量の原子比率は、25at%〜45at%であることが好ましく、30at%〜40at%であることがより好ましい。また、ガスバリア膜4中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子の含有量の原子比率は、1at%〜33at%であることが好ましく、10at%〜27at%であることがより好ましい。さらに、ガスバリア膜4中における珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子の含有量の原子比率は、33at%〜66at%であることが好ましく、40at%〜57at%であることがより好ましい。
また、ガスバリア膜4の厚みは、5nm〜3000nmの範囲であることが好ましく、10nm〜2000nmの範囲であることより好ましく、100nm〜1000nmの範囲であることが特に好ましい。ガスバリア膜4の厚みが下限未満では、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性が劣る傾向にあり、他方、上限を超えると、屈曲によりガスバリア性が低下しやすくなる傾向にある。
また、本実施形態のガスバリア性積層フィルムが複数のガスバリア膜4を備える場合には、それらのガスバリア膜4の厚みの合計値は、通常10nm〜10000nmの範囲であり、10nm〜5000nmの範囲であることが好ましく、100nm〜3000nmの範囲であることより好ましく、200nm〜2000nmの範囲であることが特に好ましい。ガスバリア膜4の厚みの合計値が下限未満では、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性が劣る傾向にあり、他方、上限を超えると、屈曲によりガスバリア性が低下しやすくなる傾向にある。
このようなガスバリア膜4を形成するには、成膜ガスに含まれる原料ガスと反応ガスの比率としては、原料ガスと反応ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる反応ガスの量の比率よりも、反応ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。反応ガスの比率を過剰にし過ぎてしまうと、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすガスバリア膜4が得られなくなってしまう。
以下、成膜ガスとして、原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO:(CHSiO:)と反応ガスとしての酸素(O)を含有するものを用い、ケイ素−酸素系の薄膜層を製造する場合を例に挙げて、成膜ガス中の原料ガスと反応ガスの好適な比率等についてより詳細に説明する。
原料ガスとしてのHMDSOと、反応ガスとしての酸素とを含有する成膜ガスをプラズマCVDにより反応させてケイ素−酸素系の薄膜層を作製する場合、その成膜ガスにより下記反応式(1)に記載のような反応が起こり、二酸化ケイ素が製造される。
[化1]
(CHSiO+12O→6CO+9HO+2SiO …(1)
このような反応においては、HMDSO1モルを完全酸化するのに必要な酸素量は12モルである。そのため、成膜ガス中に、HMDSO1モルに対して酸素を12モル以上含有させて完全に反応させた場合には、均一な二酸化ケイ素膜が形成されてしまうため、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすガスバリア膜4を形成することができなくなってしまう。そのため、本実施形態のガスバリア膜4を形成する際には、上記(1)式の反応が完全に進行してしまわないように、HMDSO1モルに対して酸素量を化学量論比の12モルより少なくする必要がある。
なお、プラズマCVD成膜装置8の真空チャンバー881内の反応では、原料のHMDSOと反応ガスの酸素は、ガス供給部から成膜領域へ供給されて成膜されるので、反応ガスの酸素のモル量(流量)が原料のHMDSOのモル量(流量)の12倍のモル量(流量)であったとしても、現実には完全に反応を進行させることはできず、酸素の含有量を化学量論比に比して大過剰に供給して初めて反応が完結すると考えられる(例えば、CVDにより完全酸化させて酸化ケイ素を得るために、酸素のモル量(流量)を原料のHMDSOのモル量(流量)の20倍以上程度とする場合もある)。そのため、原料のHMDSOのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)は、化学量論比である12倍量以下(より好ましくは、10倍以下)の量であることが好ましい。
このような比でHMDSO及び酸素を含有させることにより、完全に酸化されなかったHMDSO中の炭素原子や水素原子がガスバリア膜4中に取り込まれ、上記条件(i)〜(iii)を全て満たすガスバリア膜4を形成することが可能となって、得られるガスバリア性積層フィルムに優れたバリア性及び耐屈曲性を発揮させることが可能となる。
なお、成膜ガス中のHMDSOのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)が少なすぎると、酸化されなかった炭素原子や水素原子がガスバリア膜4中に過剰に取り込まれるため、この場合はバリア膜の透明性が低下する。このようなガスバリア性フィルムは有機ELデバイスや有機薄膜太陽電池などのような透明性を必要とするデバイス用のフレキシブル基板には利用できなくなってしまう。このような観点から、成膜ガス中のHMDSOのモル量(流量)に対する酸素のモル量(流量)の下限は、HMDSOのモル量(流量)の0.1倍より多い量とすることが好ましく、0.5倍より多い量とすることがより好ましい。
このように、有機ケイ素化合物が完全酸化するか否かは、成膜ガス中の原料ガスと反応ガスとの混合比の他に、第1成膜ロール831,第2成膜ロール832に印加する印加電圧によっても制御することができる。
このような放電プラズマを用いたプラズマCVD法により、第1成膜ロール831,第2成膜ロール832に巻き掛けた導電基材2A,2Bの表面に対してガスバリア膜の形成を行うことができる。
なお、図1に示したガスバリア性積層フィルム1Aは、短手方向の一端に取り出し部3aが設けられているが、これは、予め導電基材2A,2Bの短手方向の一端をマスキングテープで覆い、ガスバリア膜の成膜後にマスキングテープを剥離することにより作製する。同様に、ガスバリア膜の成膜後に剥離可能であれば、レジスト樹脂などマスキングテープ以外の保護部材を用いることもできる。
得られるガスバリア性積層フィルムについて、上述の検査方法を用いてガスバリア膜の成膜不良を検査することで、品質の確認を短時間で行うことができ、生産性の高いガスバリア性積層フィルムの製造を実現することができる。すなわち、以上のようなガスバリア性積層フィルムの製造方法においては、上述の検査方法を採用して検査する工程を有することにより、高品質のガスバリア性積層フィルムを安定的に製造することが可能となる。
なお、ガスバリア性積層フィルムの製造方法に用いられるプラズマCVD成膜装置としては、図9で示した従来の成膜装置を用いることも可能である。
図8は、従来知られた成膜装置9を用いた製造方法を説明する説明図であり、図8(a)は成膜装置9を示す模式図、図8(b)は、成膜装置9で成膜する際に採用される導電基材2Cを示す模式図である。なお、成膜装置9においても、第1成膜ロール931,第2成膜ロール932に内蔵された磁場形成装置により、無終端のトンネル状の磁場を形成し、ドーナツ状の放電プラズマを発生させることにより、上述のような構造のガスバリア膜を成膜することが可能である。
成膜装置9を用いてガスバリア膜を成膜する場合、導電基材2Cを介して第1成膜ロール931と第2成膜ロール932とが短絡すると、放電プラズマが発生しない。そこで、図8(b)に示すように、導電基材2Cが有する導電膜3は、基材2の長手方向に複数に分割されている。導電膜3に係る基材2の長手方向の長さはaであり、これは図8(a)に示す、導電基材2Cの搬送経路内での第1成膜ロール931と第2成膜ロール932との間の距離Lと比べて短く設定されている(すなわちa<L)。
これにより、基材2を介して導電膜3が第1成膜ロール931,第2成膜ロール932にまたがることが無くなり、放電が安定する。
以上のようなガスバリア性積層フィルムの製造方法においては、上述のように導電膜3が分割された導電基材2Cを用いることにより、成膜時の放電プラズマが安定し、良好な成膜が可能となる。さらに、上述の検査方法を採用して検査する工程を有することにより、高品質のガスバリア性積層フィルムを安定的に製造することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、いずれも基材2の片方の面にガスバリア膜を形成したガスバリア性積層フィルムの検査方法について記載したが、基材2の両面にガスバリア膜を形成したガスバリア性積層フィルムについても、両面のガスバリア膜にそれぞれ対応する導電膜を形成し、各ガスバリア膜を介して電気抵抗を測定することにより、上述した実施形態と同様にガスバリア性積層フィルムを安定的に製造することが可能となる。
1A,1B…ガスバリア性積層フィルム、2…基材、2A〜2C…導電基材、3…導電膜、4…ガスバリア膜、5…第2導電膜、8,9…プラズマCVD成膜装置、831…第1成膜ロール、832…第2成膜ロール、851…プラズマ発生用電源、861…第1磁場形成手段、862…第2磁場形成手段、881…真空チャンバー、S…空間(成膜空間)、

Claims (12)

  1. 基材と、該基材に形成された絶縁性のガスバリア膜と、を有するガスバリア性積層フィルムの検査方法であって、
    前記基材と前記ガスバリア膜との間に前記ガスバリア膜と接する導電膜を形成し、
    前記ガスバリア膜の表面と前記導電膜との間の直流電気抵抗または交流電気抵抗を測定することを特徴とするガスバリア性積層フィルムの検査方法。
  2. 前記ガスバリア膜の表面に接する第1電極が円筒状であり、中心軸を回転軸として回転可能に設けられ、前記ガスバリア膜上を前記基材の延在方向に走査しながら複数箇所で前記直流電気抵抗または交流電気抵抗を測定することを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層フィルムの検査方法。
  3. 前記ガスバリア性積層フィルムは、長尺の前記基材において前記基材の延在方向に形成された前記導電膜と、該導電膜上に形成された前記ガスバリア膜と、を有し、
    前記導電膜を前記基材の延在方向に沿って露出させ、
    露出した前記導電膜および前記ガスバリア膜の表面との間の直流電気抵抗または交流電気抵抗を、前記基材の延在方向に走査しながら複数箇所で測定することを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア性積層フィルムの検査方法。
  4. 露出した前記導電膜に接する第2電極が円筒状であり、中心軸を回転軸として回転可能に設けられ、前記導電膜上を走査することを特徴とする請求項3に記載のガスバリア性積層フィルムの検査方法。
  5. 前記ガスバリア膜の表面に接する第1電極と、露出した前記導電膜に接する第2電極とは、両者の間が絶縁された同軸の円筒状であり、
    前記基材の延在方向に走査しながら複数箇所で前記直流電気抵抗または交流電気抵抗を測定することを特徴とする請求項3に記載のガスバリア性積層フィルムの検査方法。
  6. 少なくとも一方の面に導電膜が形成された長尺の基材を連続的に搬送しながら、前記一方の面に連続的にガスバリア膜を形成する工程と、
    請求項1から5の検査方法を用いて、前記ガスバリア膜の欠陥部分を検出する検査工程と、を有することを特徴とするガスバリア性積層フィルムの製造方法。
  7. 前記ガスバリア膜を形成する工程に先だって、前記一方の面における前記基材の延在方向に対する側端部に、前記基材と前記導電膜とを覆うマスク部を形成する工程と、
    前記ガスバリア膜を形成する工程の後であって、前記検査工程に先だって、前記マスク部を剥離し、前記側端部における前記ガスバリア膜を除去して、前記導電膜を露出させる工程と、を有することを特徴とする請求項6に記載のガスバリア性積層フィルムの製造方法。
  8. 前記ガスバリア膜を形成する工程が、第1の前記基材が巻き掛けられる第1成膜ロールと、前記第1成膜ロールに対向し、第2の前記基材が巻き掛けられる第2成膜ロールと、の間に交流電圧を印加することで、前記第1成膜ロールと前記第2成膜ロールとの間の空間において生じる、前記ガスバリア膜の形成材料である成膜ガスの放電プラズマを用いたプラズマCVDを用いるものであることを特徴とする請求項6または7に記載のガスバリア性積層フィルムの製造方法。
  9. 前記ガスバリア膜を形成する工程が、前記基材が巻き掛けられる第1成膜ロールと、前記第1成膜ロールに対向し、前記1成膜ロールに対し前記基材の搬送経路の下流において前記基材が巻き掛けられる第2成膜ロールと、の間に交流電圧を印加することで、前記第1成膜ロールと前記第2成膜ロールとの間の空間において生じる、前記ガスバリア膜の形成材料である成膜ガスの放電プラズマを用いたプラズマCVDを用いるものであり、
    前記導電膜が、前記第1成膜ロールと前記第2成膜ロールとの間における搬送経路の距離よりも短い周期で、複数に分割されていることを特徴とする請求項6または7に記載のガスバリア性積層フィルムの製造方法。
  10. 前記放電プラズマが、前記第1成膜ロールと前記第2成膜ロールとの間に交流電界を形成するとともに、前記第1成膜ロールと前記第2成膜ロールとが対向する空間に膨らんだ無終端のトンネル状の磁場を形成することにより、前記トンネル状の磁場に沿って形成される第1の放電プラズマと、前記トンネル状の磁場の周囲に形成される第2の放電プラズマと、を有し、
    前記ガスバリア膜を形成する工程は、前記第1の放電プラズマと前記第2の放電プラズマとに重なるように前記基材を搬送することを特徴とする請求項8または9に記載のガスバリア性積層フィルムの製造方法。
  11. 前記ガスバリア膜が、珪素、酸素及び炭素を含有しており、且つ、
    該層の膜厚方向における該層の表面からの距離と、珪素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する珪素原子の量の比率(珪素の原子比)、酸素原子の量の比率(酸素の原子比)及び炭素原子の量の比率(炭素の原子比)との関係をそれぞれ示す珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、下記条件(i)〜(iii):
    (i)珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上の領域において下記式(1):
    (酸素の原子比)>(珪素の原子比)>(炭素の原子比)・・・(1)
    で表される条件を満たすこと、或いは、珪素の原子比、酸素の原子比及び炭素の原子比が、該層の膜厚の90%以上の領域において下記式(2):
    (炭素の原子比)>(珪素の原子比)>(酸素の原子比)・・・(2)
    で表される条件を満たすこと、
    (ii)前記炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有すること、
    (iii)前記炭素分布曲線における炭素の原子比の最大値及び最小値の差の絶対値が5at%以上であること、
    を全て満たすように、前記成膜ガスに含まれる有機ケイ素化合物と酸素との混合比を制御することを特徴とする請求項10に記載のガスバリア性積層フィルムの製造方法。
  12. 前記導電膜は光透過性を有していることを特徴とする請求項6から11のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルムの製造方法。
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WO2024199533A1 (zh) * 2023-03-30 2024-10-03 蜂巢能源科技(无锡)有限公司 极片短路测试工装及极片生产系统

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