JPWO2015053143A1 - 成膜装置及び成膜方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、成膜安定性及びガスバリアー性、膜面欠陥耐性に優れた機能性層を形成する成膜装置及び成膜方法を提供することである。本発明の成膜装置は、ロールtoロール方式で、ロール状の可撓性樹脂基材を繰り出すアンワインダー部と、対向する一対のローラー電極を具備し、当該ローラー電極間に形成した放電空間で、前記可撓性樹脂基材上に機能性層を形成するプラズマCVD処理部と、可撓性樹脂基材を巻き取るワインダー部を有し、前記連続搬送する可撓性樹脂基材は、裏面側に帯電防止層を有し、プラズマCVD処理部を構成する一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの少なくとも一つを、絶縁性ローラーで構成し、アンワインダー部又は前記ワインダー部に最も近接しているガイドローラーを導電性ローラーで構成していることを特徴とする。

Description

本発明は、ロールtoロール方式で、可撓性樹脂基材上に機能性層を形成するのに用いる成膜装置及び成膜方法に関し、より詳しくは、減圧下、酸素プラズマで酸化しながら可撓性樹脂基材上に成膜する化学堆積法として、プラズマCVD法(Chemical Vapor Deposition)を用い、成膜安定性及びガスバリアー性、膜面均質性に優れた機能性層を形成する成膜装置及び成膜方法に関する。
現在、各種機能を備えた機能性フィルムが広く知られている。機能性フィルムとは、主には、可撓性樹脂基材上に各種機能を備えた構成層である機能性層を設けたフィルムであり、例えば、ガスバリアー性フィルム、反射防止フィルム、防眩性フィルム、熱線遮断フィルム、透明導電性フィルム、防湿フィルム、紫外線劣化防止フィルム、光拡散フィルム、耐候性フィルム、抗菌フィルム等が挙げられる。
機能性フィルムの一例である、フィルム状の樹脂基材の表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物の薄膜(ガスバリアー層)を形成したガスバリアー性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種品質に影響を及ぼすガスの遮断に用いる有害ガス遮断フィルムや、食品、工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途フィルムとして広く用いられている。
また、上記包装用途以外にも、液晶表示素子、太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する)基板等の電子デバイス材料の、主には封止部材として使用されている。
以下、機能性フィルムの代表例として、ガスバリアー性フィルムの作製方法について説明する。
ガスバリアー性フィルムを構成するガスバリアー層の形成方法としては、一般的には、真空蒸着装置等を用い、シリカ蒸着膜を形成する方法が知られているが、この真空蒸着は、大型の真空装置を必要とし、更に、使用する設備構成の制約より、ロールtoロール方式による連続生産が難しく、経済性及び生産性の面で問題があった。
上記真空蒸着法以外の方法でガスバリアー層を形成する方法としては、例えば、特開平8−269690号公報には、ポリエステルフィルムに、パーヒドロポリシラザン又は有機ポリシラザンを含有する塗布液を塗布し、プラズマ処理によりパーヒドロポリシラザン又は有機ポリシラザンを重合及び硬化させて酸化ケイ素等より構成される高分子層を形成する方法が開示されている。しかし、特開平8−269690号公報で開示されている方法で形成される高分子層は、基材と金属蒸着層の中間層として機能し、金属蒸着層の基材との密着性や、基材の化学的安定性を付与するための層であり、ガスバリアー層としての機能は低い。
上記のような問題を踏まえ、特許文献1には、対向するローラー電極を具備したプラズマCVD装置を用い、ロールtoロール方式で1×10−4g/m・dayレベルのガスバリアー層を形成する製造方法が開示されている。特許文献1に記載された方法で製造されたガスバリアー性フィルムは、炭素原子を基材周辺に多く配置することができるCVD法を適用することを特徴とし、基材との密着性及び屈曲性を向上させているが、屋外の高温高湿の過酷な使用環境下で使用される有機EL素子をはじめとする電子デバイス用途においては、得られるガスバリアー性、密着性、屈曲性としては不十分であることが判明した。
更に、特許文献1で開示されているような、ロールtoロール方式で、樹脂基材を連続搬送させながらガスバリアー層を形成させる方法では、長尺の樹脂フィルムをロール状に積層した状態から、樹脂基材を繰り出す(以降、アンワインダー部あるいはUW部と称す。)が、この際、積層されている樹脂基材が繰り出される際に、剥離帯電が生じ、その帯電した電荷により、樹脂基材あるいは形成している機能性層がダメージを受けることがある。
このような問題を解決するため、近年、樹脂基材の一方の面側に、導電性を有する帯電防止層を形成する試みがなされている。樹脂基材に帯電防止層を形成することにより、UW部の剥離により生じた電荷は除かれるが、帯電防止層を有する樹脂基材に対し、機能性層、例えば、ガスバリアー層を形成するためにプラズマCVD処理を施すと、対向ローラー電極間に形成する放電空間におけるプラズマ強度の低下、不均一化あるいはプラズマ強度の偏りが生じ、形成する薄膜、例えば、ガスバリアー層の不均一性、あるいは特許文献1に記載されている方法では、機能性層中における元素分布プロファイル、例えば、炭素原子分布が設計する条件から変動し、所定の元素分布を有し、樹脂基材との密着性及び屈曲性に優れた機能性フィルムを得ることができないという問題が生じることが判明した。
従って、少なくとも裏面に帯電防止層を有する樹脂フィルムを用いたプラズマCVD法で、安定して、かつ所望の構成条件で樹脂基材上に機能性層を形成する薄膜形成方法において、帯電防止層を具備した樹脂フィルムによる剥離帯電防止機能と、樹脂フィルムを保持及び搬送するガイドローラーの絶縁化に伴うプラズマ強度の低下を抑制する機能を両立することができる方法の開発が切望されている。
WO2012/046767号
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、プラズマCVD法を用い、ロールtoロール方式で可撓性樹脂基材上に機能性層を形成する方法で、成膜安定性及びガスバリアー性、膜面欠陥耐性に優れた機能性層を形成する成膜装置及び成膜方法を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、ロールtoロール方式で、帯電防止層を有する可撓性樹脂基材上に、プラズマCVD処理方法により機能性層を形成す場合であっても、プラズマCVD処理部を構成する一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの少なくとも一つを電気的絶縁性ローラーとし、アンワインダー部又はワインダー部に対し、最も近い距離に位置するガイドローラーを導電性ローラーとすることにより、成膜安定性、ガスバリアー性、膜面欠陥耐性に優れた機能性層を形成することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.減圧下、ロールtoロール方式で、複数のガイドローラーで保持しながら、連続搬送する可撓性樹脂基材上に機能性層を形成する成膜装置であって、
少なくとも、ロール状に積層した可撓性樹脂基材を繰り出すアンワインダー部と、
対向する一対のローラー電極を具備し、当該ローラー電極間に形成した放電空間で、前記可撓性樹脂基材上に機能性層を形成するプラズマCVD処理部と、
機能性層を形成した可撓性樹脂基材を巻き取るワインダー部を有し、
前記連続搬送する可撓性樹脂基材は、前記機能性層を形成する面(A面)とは反対側の面(B面)に帯電防止層を有し、
前記プラズマCVD処理部を構成する前記一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの少なくとも一つを、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成し、
前記アンワインダー部又は前記ワインダー部に対し、最も近い距離に位置するガイドローラーを、電気的に導電性を備えた導電性ローラーで構成されていることを特徴とする成膜装置。
2.前記プラズマCVD処理部を構成する前記一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの全てが、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成されていることを特徴とする第1項に記載の成膜装置。
3.前記絶縁性ローラーが、ゴム被覆ローラー又は芯部にセラミックベアリングを具備したローラーであることを特徴とする第1項又は第2項に記載の成膜装置。
4.前記導電性ローラーが、金属ローラーであることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の成膜装置。
5.前記可撓性樹脂基材がA面側にクリアハードコート層を有し、当該クリアハードコート層上に、前記機能性層を形成することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の成膜装置。
6.前記可撓性樹脂基材上に、前記機能性層としてガスバリアー層を形成することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の成膜装置。
7.減圧下、ロールtoロール方式で、複数のガイドローラーで保持しながら連続搬送する可撓性樹脂基材上に、プラズマCVD処理部を有するプラズマCVD処理方法により機能性層を形成する成膜方法であって、
前記可撓性樹脂基材が、前記機能性層を形成する面(A面)とは反対側の面(B面)に帯電防止層を有し、
前記プラズマCVD処理部は、対向する一対のローラー電極間に電圧を印加してプラズマ放電空間を構成し、当該プラズマ放電空間で、前記可撓性樹脂基材上に機能性層を形成し、
前記プラズマCVD処理部を構成する前記一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの少なくとも一つを、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成し、
ロール状に積層した可撓性樹脂基材を繰り出すアンワインダー部、又は機能性層を形成した可撓性樹脂基材を巻き取るワインダー部に最も近い距離に位置するガイドローラーを、電気的に導電性を備えた導電性ローラーで構成することを特徴とする成膜方法。
8.前記プラズマCVD処理部を構成する前記一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの全てが、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成され、当該プラズマCVD処理装部で前記機能性層を形成することを特徴とする第7項に記載の成膜方法。
9.前記絶縁性ローラーとして、ゴム被覆ローラー又は芯部にセラミックベアリングを具備したローラーを用いることを特徴とする第7項又は第8項に記載の成膜方法。
10.前記導電性ローラーとして、金属ローラーを用いることを特徴とする第7項から第9項までのいずれか一項に記載の成膜方法。
11.前記可撓性樹脂基材が、前記A面側にクリアハードコート層を有し、当該クリアハードコート層上に、前記機能性層を形成することを特徴とする第7項から第10項までのいずれか一項に記載の成膜方法。
12.前記機能性層として、ガスバリアー層を形成することを特徴とする第7項から第11項までのいずれか一項に記載の成膜方法。
本発明の上記手段により、プラズマCVD法を用い、ロールtoロール方式で可撓性樹脂基材上に機能性層を形成する方法で、成膜安定性、ガスバリアー性及び膜面均質性に優れた機能性層を形成する成膜装置及び成膜方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確になっていないが、以下のように推察している。
機能性層の成膜方法で、帯電防止層を有する可撓性樹脂基材上にプラズマ処理を施す場合、微弱ながらも帯電防止層とガイドローラーを通過してアースに達する電荷の流れが生じ、この結果、プラズマ処理時のプラズマ強度が低下するという現象が生じていると推察している。一方、プラズマ処理部に最も近接しているガイドローラーを絶縁化することにより、上記プラズマ処理時のプラズマ強度が低下する現象を抑えることができ、帯電防止層を有さない可撓性樹脂基材と同等のプラズマ強度条件で、機能性層の形成を行うことが可能となる。
逆に、アンワインダー部では、剥離により可撓性樹脂基材に生じた電荷を除去する効果は、導電性を備えたガイドローラーが配置されることにより成立するものであり、ガイドローラーとして、上記のような絶縁処理を施した絶縁性ローラーを適用すると、電荷の除去効果が失われ、剥離帯電の問題が再度発生することになる。このように、アンワインダー部及びワインダー部に最も近いガイドローラーが、剥離帯電の状況に最も大きく影響を与えることになる。
なお、プラズマCVD処理部を構成する前記一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラー、及びアンワインダー部及びワインダー部に対し、最も近い距離に位置するガイドローラー以外のガイドローラーについては、プラズマ強度と剥離帯電の状況をみて、採用する素材はある程度自由に選択することが可能となる。
連続搬送する可撓性樹脂基材上に機能性層を形成する本発明の成膜装置の構成の一例を示す模式図 連続搬送する可撓性樹脂基材上に機能性層を形成する本発明の成膜装置の他の構成の一例を示す模式図 連続搬送する可撓性樹脂基材上に機能性層を形成する本発明の成膜装置の他の構成の一例を示す模式図 成膜方法に用いる可撓性樹脂基材及び形成されるガスバリアー性フィルムの構成の一例を示す断面図 成膜方法に用いる可撓性樹脂基材及び形成されるガスバリアー性フィルムの構成の他の一例を示す断面図
本発明の成膜装置は、減圧下において、ロールtoロール方式で、複数のガイドローラーで保持しながら、連続搬送する可撓性樹脂基材上に機能性層を形成する成膜装置であって、ロール状に積層した可撓性樹脂基材を繰り出すアンワインダー部と、対向する一対のローラー電極を具備し、当該ローラー電極間に形成した放電空間で、前記可撓性樹脂基材上に機能性層を形成するプラズマCVD処理部と、機能性層を形成した可撓性樹脂基材を巻き取るワインダー部を有する構成で、連続搬送する可撓性樹脂基材は、裏面側に帯電防止層を有し、プラズマCVD処理部を構成する前記一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの少なくとも一つを、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成し、アンワインダー部又はワインダー部に対し、最も近い距離に位置するガイドローラーを、電気的に導電性を備えた導電性ローラーで構成されていることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項12に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記プラズマCVD処理部を構成する前記一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの全てが、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成することが、プラズマCVD処理部におけるプラズマ放電を安定化し、所望の元素プロファイルを有する機能性層を形成することができる観点から好ましい。
また、絶縁性ローラーがゴム被覆ローラー又は芯部にセラミックベアリングを具備したローラーであること、あるいは導電性ローラーが、金属ローラーであることが、本発明の目的効果をより発現することができる観点から好ましい。
また、導電性ローラーが、金属ローラーであることが、より優れた導電効果を発現することができる点で好ましい。
また、可撓性樹脂基材がA面側にクリアハードコート層を有し、当該クリアハードコート層上に、前記機能性層を形成することが、機能性層を形成する前の搬送する可撓性樹脂基材表面に対する擦り傷等のダメージを防止することができる観点から好ましい。
また、前記可撓性樹脂基材上に、前記機能性層としてガスバリアー層を形成することが、帯電等による影響を受けることが無く、所望の元素プロファイルを精緻に設計することができ、かつガスバリアー性に優れたガスバリアーフィルムを得ることができる観点から好ましい。
又、本発明の成膜方法は、減圧下、ロールtoロール方式で、複数のガイドローラーで保持しながら連続搬送する可撓性樹脂基材上に、プラズマCVD処理部を有するプラズマCVD処理方法により機能性層を形成する成膜方法であって、前記可撓性樹脂基材が、前記機能性層を形成する面(A面)とは反対側の面(B面)に帯電防止層を有し、前記プラズマCVD処理部は、対向する一対のローラー電極間に電圧を印加してプラズマ放電空間を構成し、当該プラズマ放電空間で、前記可撓性樹脂基材上に機能性層を形成し、前記プラズマCVD処理部を構成する前記一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの少なくとも一つを、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成し、ロール状に積層した可撓性樹脂基材を繰り出すアンワインダー部、又は機能性層を形成した可撓性樹脂基材を巻き取るワインダー部に最も近い距離に位置するガイドローラーを、電気的に導電性を備えた導電性ローラーで構成することを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、以下の説明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《成膜装置》
〔成膜装置の全体構成〕
はじめに、本発明の成膜装置について、その全体構成を説明する。
本発明の成膜装置は、前述のように、減圧下、ロールtoロール方式により、複数のガイドローラーで保持しながら連続搬送している可撓性樹脂基材上に、プラズマCVD処理部により、薄膜の機能性層を形成する装置であり、主には、
(1)ロール状に積層した可撓性樹脂基材を繰り出すアンワインダー部と、
(2)対向する一対のローラー電極を具備し、当該ローラー電極間に形成した放電空間で、前記可撓性樹脂基材上に機能性層を形成するプラズマCVD処理部と、
(3)機能性層を形成した可撓性樹脂基材を巻き取るワインダー部を有する構成であり、
連続搬送する可撓性樹脂基材は、機能性層を形成する面(A面)とは反対側の面(以下、裏面側と称す。)に帯電防止層を有し、プラズマCVD処理部を構成する一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの少なくとも一つを、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成し、アンワインダー部又は前記ワインダー部に対し、最も近い距離に位置するガイドローラーを、電気的に導電性を備えた導電性ローラーで構成することを特徴とする。
本発明でいうプラズマCVD処理部を構成する一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーとは、後述の図1〜図3で示すように、プラズマCVD処理部Pを構成する成膜ローラー31及び成膜ローラー32に対し、可撓性樹脂基材ユニット2の搬送経路において搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラー21〜24をいい、この4つのガイドローラー21〜24の少なくとも一つが電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成されていることを特徴とする。
本発明においては、更には、上記最も近い距離に位置する4つのガイドローラー(図1〜図3に記載のガイドローラー21〜24)の全てが、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成されていることが好ましい態様である。
また、本発明でいうアンワインダー部又は前記ワインダー部に対し、最も近い距離に位置するガイドローラーとは、後述の図1〜図3で示すように、アンワインダー部(UW部)又はワインダー部(W部)に対し、可撓性樹脂基材ユニットユニット2の搬送経路において、最も距離的に近いガイドローラーを、「最も近い距離に位置するガイドローラー」と定義し、図1〜図3に示すガイドローラー12及びガイドローラー70が相当する。本発明の成膜装置の構成においては、アンワインダー部(UW部)の最も近い距離に位置するガイドローラー、あるいはワインダー部(W部)の最も近い距離に位置するガイドローラーは、それぞれ1本である。
(図1に例示する成膜装置)
図1に、連続搬送する可撓性樹脂基材上に機能性層を形成する本発明の成膜装置の構成及び工程フローの概略を示す。
図1に示す成膜装置1は、プラズマCVD処理部Pを有し、アンワインダー部(UW部)からワインダー部(W部)まで、可撓性樹脂基材ユニット2をロールtoロール方式で連続搬送しながら、可撓性樹脂基材ユニット2上に機能性層を形成する。ここでいう可撓性樹脂基材ユニット2は、可撓性樹脂基材101の表面側(後述の図4Aに示すA面)にクリアハードコート層102を有し、裏面側(後述の図4Aに示すB側)に帯電防止層を有する構成である。
本発明の成膜方法は、減圧下でプラズマCVD処理により、可撓性樹脂基材上へ機能性層を形成する方法であり、それに適用する図1で例示する成膜装置1は、真空チャンバー80内に収められている。真空チャンバー80には、真空排気手段である真空ポンプ82が排気口81を介して接続されており、この真空ポンプ82及び成膜ガス供給管41により真空チャンバー80内の圧力を適宜調整することが可能となっている。なお、真空ポンプ82は、真空チャンバー80の内部を真空状態又は真空に準じた低圧状態まで排気することができる。低圧状態とは真空チャンバー80内の圧力が、0.01〜20Paの範囲内にあるこという。
図1において、アンワインダー部(UW部)には、可撓性樹脂基材ユニット2をロール状に積層したロール積層体11を配置し、UW部より長尺の可撓性樹脂基材ユニット2を繰り出す。この時、可撓性樹脂基材ユニットユニット2は、後述する図4Aに示すように、可撓性樹脂基材101の裏面側(B面)には帯電防止層103を有している構成を特徴とし、更に、表面側(A面)にクリアハードコート層102を有する構成が好ましい。この可撓性樹脂基材ユニット2は、帯電防止層103を有する裏面側(B面)が、導電性のガイドローラー12に接する状態で連続搬送する。
次いで、プラズマCVD処理部Pで、可撓樹脂基材ユニット2の表面側(A面)に、機能性層として、例えば、ガスバリアー層104を連続的に形成して、図4Bに示すような構成のガスバリアー性フィルムGが作製される。
図1において、プラズマCVD処理領域は、少なくとも成膜ローラー31及び32と、成膜ガス供給管41と、プラズマ発生用電源51により構成されている。また、本発明でいうプラズマCVD処理部Pとは、対向する一対のローラー電極である成膜ローラー31及び32を具備し、当該ローラー電極間に放電空間を形成し、前記可撓性樹脂基材上に機能性層を形成する領域で、図1において破線で表示した領域をいう。
このような構成のプラズマCVD処理部Pにおいては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー31及び成膜ローラー32)を一対の対向電極として機能させるため、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源51に接続されている。一対の成膜ローラー(成膜ローラー31及び成膜ローラー32)に、プラズマ発生用電源51より電力を供給することにより、成膜ローラー31と成膜ローラー32との間の空間に放電空間を形成することが可能となり、これにより成膜ローラー31と成膜ローラー32との間の放電空間にプラズマを発生させる。なお、このように、プラズマCVD処理部Pにおいては、成膜ローラー31と成膜ローラー32を電極として利用することになるため、各ローラーは、電極として利用可能な材質を用いた構成とすればよい。また、このようなプラズマCVD処理部Pにおいては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー31及び成膜ローラー32)は、その中心軸が同一平面上で、ほぼ平行な配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラー(成膜ローラー31及び成膜ローラー32)を平行に配置することにより、成膜レートを倍にでき、かつ、同じ構造の機能性層を成膜できる。
(図2に示す磁場発生装置を備えた成膜装置)
図2は、連続搬送する可撓性樹脂基材ユニット2上に機能性層を形成する本発明の成膜装置の適用可能な成膜装置の構成の一例を示す模式図である。
図2に示すプラズマCVD処理部Pは、上記説明した図1に示すプラズマCVD処理部Pに対し、成膜ローラー31及び成膜ローラー32の内部に、各成膜ローラーが回転しても、それ自身は回転しないようにして固定された磁場発生装置61及び磁場発生装置62がそれぞれ設けられている構成である。このような構成とすることにより、形成する機能性層内の構成原子の含有プロファイルを任意に調整することができる。それ以外の成膜装置1における構成は、図1で示した構成と同様である。
(成膜装置の構成)
本発明の成膜装置1においては、成膜ローラー31及び成膜ローラー32としては、電極として利用可能な材質を用いた構成されている従来公知のローラーを適宜選択して用いることができる。成膜ローラー31及び成膜ローラー32としては、効率よく安定して薄膜(機能性層)を形成することができる観点から、直径が同一のローラーを使うことが好ましい。また、成膜ローラー31及び成膜ローラー32の直径としては、放電条件、チャンバーのスペース等の観点から、直径として100〜1000mmφの範囲内、特に100〜700mmφの範囲内が好ましい。直径が100mmφ以上であれば、プラズマ放電空間が小さくなりすぎることがないため、生産性の低下もなく、短時間でプラズマ放電の全熱量が可撓性樹脂基材にかかることを回避でき、残留応力が大きくなりにくくなる観点から好ましい。一方、直径が1000mmφ以下であれば、プラズマ放電空間の均一性等も含めて装置設計上、精緻な機能性層(例えば、ガスバリアー層)の形成条件を保持することができるため好ましい。
本発明においては、このような構成よりなるプラズマCVD処理部Pに配置されるガイドローラーとして、プラズマCVD処理部を構成する一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの少なくとも一つを、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成されていることを特徴の一つとする。図1及び図2に記載の構成では、ガイドローラー21〜24の少なくとも一つが絶縁性ローラーであることを特徴とする。
本発明においては、更には、プラズマCVD処理部Pを構成する一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの全てが、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成されていることが好ましい。すなわち、図1及び図2で示す、ガイドローラー21〜24の全てが、絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成されていることが好ましい。
なお、図3に示すように、プラズマCVD処理部Pを構成する一対のローラー電極に対し、最も近い距離に位置する4つのガイドローラー21〜24と、アンワインダー部又はワインダー部に対し、最も近い距離に位置するガイドローラー12及び70以外で、それぞれの中間位置に配置されているガイドローラー25及び26については、プラズマ強度と剥離帯電の状況をみて、その構成材料及び電気的な特性(導電性あるいは絶縁性)については、適宜変更することが可能となる。
また、プラズマCVD処理領域を構成する成膜ガス供給管41は、機能性層形成用の原料ガス等を所定の速度で、放電空間に供給、又は放電空間より排出することが可能なものを適宜用いることができる。さらに、プラズマ発生用電源51としては、従来公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源51は、これに接続された成膜ローラー31と成膜ローラー32に電力を供給して、これらを放電のための対向電極として利用することを可能とする。このようなプラズマ発生用電源51としては、より効率よくプラズマCVD処理方法を実施することが可能となることから、一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能な交流電源などを利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源51としては、より効率よくプラズマCVD法を実施することが可能となることから、印加電力を100W〜10kWの範囲とすることができ、かつ交流の周波数を50Hz〜500kHzの範囲とすることが可能な電源がより好ましい。また、磁場発生装置61及び磁場発生装置62としては、適宜公知の磁場発生装置を用いることができる。
上記のようにして、プラズマCVD処理部Pで、機能性層、例えば、ガスバリアー層を形成したガスバリアー性フィルムG(例えば、図4Bに示す構成を有している。)は、ワインダー部(W部)で、ロール状に巻き取られ、ロール積層体71とする。この時、ロール積層体71への帯電等による電荷の持込を防止する観点から、少なくともW部手前のガイドローラー70を、導電性ローラーで構成することが好ましい態様である。
導電性ローラー及び絶縁性ローラーを特定の位置に配置した構成よりなる本発明の成膜装置を用いることにより、可撓性樹脂基材ユニット上に、機能性層、例えば、ガスバリアー層を形成することにより、成膜安定性、ガスバリアー性及び膜面均質性に優れた機能性層を形成することができる。
〔ガイドローラー〕
本発明の成膜装置においては、プラズマCVD処理部を構成する一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの少なくとも一つを、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成し、アンワインダー部又はワインダー部に対し、最も近い距離に位置するガイドローラーを、電気的に導電性を備えた導電性ローラーで構成することを特徴とする。
本発明でいう「導電性」とは、25℃における体積抵抗率が1×10−4Ω・cm未満の範囲であることを意味し、「絶縁性」とは、25℃における体積抵抗率が1×1010Ω・cm以上の範囲であることを意味する。
(絶縁性ローラー)
本発明に適用可能な絶縁性ローラーとしては、電気的に絶縁性を備えた材料で構成され、上記で規定する範囲の体積抵抗率を有しているローラーであれば特に制限はないが、好ましくは、ゴムローラーあるいは軸心部にセラミックベアリングを具備したローラーを挙げることができる。
本発明に適用可能なゴムローラーとしては、ローラー全体をゴム材料で構成しても良いが、ローラーの強度、取り扱い性の観点から、軸心部は金属製の芯金で構成し、当該軸心部表面に、ゴム材料を被覆した構成であることが好ましい。
金属芯金の表面を被覆するゴム材料としては、例えば、天然ゴム(NR、1×1010〜1×1015)、イソプレンゴム(IR、1×1010〜1×1015)、ブタジエンゴム(BR、1×1014〜1×1015)、スチレンブタジエンゴム(SBR,1×1010〜1×1015)、ブチルゴム(IIR、1×1016〜1×1018)、ニトリルゴム(NBR、1×1010)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EP、EPDM、1×1012〜1×1015)、クロロプレンゴム(CR、1×1010〜1×1012)、ウレタンゴム(PUR,U、1×1010〜1×1012)、シリコーンゴム(Si、VMQ、SR、1×1011〜1×1015)、フッ素ゴム(FKM、FPM、1×1015〜1×1018)、エチレン・酢酸ビニルゴム(EVA、1×1012〜1×1014)、多硫化ゴム(T、1×1015)等を挙げることができる。なお、カッコ内の英字は略称を表し、数値は体積抵抗率(Ω・cm)を表す。
また、軸心部を構成する金属製芯金としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、鉄、銅、真鋳等の金属や合金を挙げることができる。
一方、軸心部に具備するセラミックベアリングを構成するセラミック材料としては、ファインセラミックとして、アルミナ(>1×1014)、ジルコニア(>1×1012)、窒化ケイ素(>1×1014)、窒化アルミ(>1×1014)、コージライト(1×1013)、ムライト(1×1014)、ステアタイト(1×1014)、サイアロン(>1×1015)等を挙げることができ、その中でも、ジルコニアセラミックス、窒化ケイ素セラミックスが好ましい。なお、カッコ内の数値は、体積抵抗率(Ω・cm)である。
また、セラミックベアリングの具体的な構成としては、内外輪及びベアリングを窒化ケイ素で構成し、保持具をPTFE(フッ素樹脂)で構成されているもの、内外輪及びベアリングをジルコニアで構成し、保持具をPTFE(フッ素樹脂)で構成されているもの、内外輪及びベアリングをジルコニアで構成し、保持具がSUS304で構成されているもの、等が挙げられる。
(導電性ローラー)
本発明に適用可能な導電性ローラーとしては、電気的に導電性を備えた材料で構成されているローラーであれば特に制限はないが、代表的なローラーとしては、金属ローラーが挙げられる。
金属ローラーの材質としては、導電性を有し、機械的強度や熱伝導性が良好なものであれば特に制限はなく、例えば、タングステン(5.5×10−6)、モリブデン(5.7×10−6)、タンタル(12.4×10−6)、SUS310S(90×10−6)、SUH446(60×10−6)、SUS316(74×10−6)、SUS304(71×10−6)、鉄(19.5×10−6)、アルミニウム(2.7×10−6)、銅(1.7×10−6)等を挙げることができるが、アルミニウム又は汎用的なステンレス鋼を用いることがコストの観点から好ましく、アルミニウム、SUS304、SUS316が特に好ましい。なお、カッコ内の数値は、体積抵抗率(Ω・cm)である。
〔プラズマCVD処理部による機能性層の成膜方法〕
上記図1及び図2を用いて説明した、絶縁性ローラー、導電性ローラー及び対向電極を備えたプラズマCVD処理部Pより構成される本発明の成膜装置を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、磁場発生装置の強度、真空チャンバー内の圧力、成膜ローラーの直径、並びに、可撓性樹脂基材の搬送速度を適宜調整することにより、可撓性樹脂基材上に本発明に係る機能性層、例えば、ガスバリアー層を形成した機能性フィルムを製造することができる。
本発明の成膜装置により製造することができる機能性フィルムとしては、ガスバリアー層が形成されたガスバリアー性フィルムの他に、絶縁層が形成された絶縁性フィルム、基板に対して屈折率差を有する薄膜を複数層積層した反射フィルム等が挙げられる。なかでも、ガスバリアー層は、膜欠陥が多いと当該膜欠陥を通して水、酸素等のガスが浸透し、ガスバリアー性能が著しく低下するため、膜欠陥が少ない薄膜を形成することができる本発明の成膜装置は、ガスバリアー性フィルムの製造に好適である。
以下、機能性フィルムの一例として、ガスバリアー性フィルムについて説明する。
図4Bに、本発明の成膜方法により作製するガスバリアー性フィルムの概略構成を示す。
図4Bに示すように、本発明に係るガスバリアー性フィルムGは、樹脂基材101の裏面側(B面)に帯電防止層103を有することを特徴とし、表面側(A面)にクリアハードコート層102を有し、当該クリアハードコート層102上に、ガスバリアー層104を有する構成である。
図1に示すプラズマCVD処理部P、あるいは図2に示す放電空間に磁場を印加する方式のプラズマCVD処理部Pを用いて、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバー内に供給しつつ、一対の成膜ローラー(成膜ローラー31及び成膜ローラー32)間に、プラズマ放電空間を形成することにより、成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー31上の可撓性樹脂基材ユニット2の表面上並びに成膜ローラー32上の可撓性樹脂基材ユニット2の表面上に、本発明に係るガスバリアー層がプラズマCVD法により形成される。なお、このような成膜に際しては、可撓性樹脂基材ユニット2が送り出しローラー11や成膜ローラー31等により、それぞれ搬送されることにより、ロールtoロール方式の連続的な成膜プロセスにより、可撓性樹脂基材ユニット2の表面上にガスバリアー層を連続的に形成することができる。
本発明においては、前述のように、プラズマCVD処理部Pを構成する一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの少なくとも一つを、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成することにより、プラズマCVD処理部Pにおけるプラズマ放電が安定化し、所望の元素プロファイルを有する機能性層を形成することができる。また、アンワインダー部又はワインダー部に対し、最も近い距離に位置するガイドローラーを、電気的に導電性を備えた導電性ローラーで構成することにより、可撓性樹脂基材ユニットの繰り出し時において、可撓性樹脂基材の帯電量を低減することにより、剥離帯電によるダメージを低減できる。
〔ガスバリアー性フィルムの作製方法〕
次いで、本発明の成膜装置により作製される機能性フィルムの代表例として、ガスバリアー性フィルムについて、構成材料及び形成条件について更に詳しく説明する。
(可撓性樹脂基材)
本発明に適用可能な可撓性樹脂基材(以下、単に樹脂基材ともいう。)としては、例えば、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)、ポリカーボネート(略称:PC)、ポリアリレート、ポリスチレン(略称:PS)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の各樹脂フィルム、更には上記樹脂を2層以上積層して成る積層フィルム等を挙げることができる。コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)、ポリカーボネート(略称:PC)などの各樹脂から構成されるフィルムが好ましく用いられる。
樹脂基材の厚さは、5〜500μmの範囲内が好ましく、更に好ましくは25〜250μmの範囲内である。
また、本発明に係る樹脂基材は、透明であることが好ましい。樹脂基材が透明であり、当該樹脂基材上に形成する層も同じく透明であると、透明なガスバリアー性フィルムとなるため、電子デバイス(例えば、有機EL等)等の透明基板として用いることも可能である。
(ガスバリアー層の形成)
本発明の成膜装置を用いた成膜方法においては、図4Bに示すように、可撓性樹脂基材ユニット2上に、機能性層としてガスバリアー層104を形成することが好ましい態様であり、このような構成とすることにより、本発明の効果をいかんなく発揮することができる観点から好ましい。
本発明でいうガスバリアー層は、ガスバリアー性を有する層である。具体的には、ガスバリアー層は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定される水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%)が0.01g/(m・24時間)以下のガスバリアー性を示すことが好ましい。また、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定される酸素透過度が1×10−3ml/(m・24時間・atm)以下であり、前記水蒸気透過度が1×10−5g/(m・24時間)以下であるガスバリアー性を有しているが好ましい。
本発明の成膜方法で形成するガスバリアー層の構成材料としては、例えば、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等の無機ケイ素化合物、有機ケイ素化合物等を用いることができる。
なかでも、ガスバリアー層は、有機ケイ素化合物を気化したガスを、プラズマCVD装置により、酸化又は窒化させて形成することが好ましい。
〈原料ガス〉
本発明に係るガスバリアー層の形成において、成膜ガスを構成する原料ガスとしては、少なくともケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。
本発明に適用可能な有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、成膜での取扱い及び得られるガスバリアー層のガスバリアー性等の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記成膜ガスには、原料ガスの他に反応ガスとして、酸素ガスを含有することが好ましい。酸素ガスは、前記原料ガスと反応して酸化物等の無機化合物を形成するのに用いるガスである。
上記成膜ガスは、原料ガスを図1に示すような真空チャンバー80内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるため、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガス及び放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガスや水素ガスを用いることができる。
このような成膜ガスが、ケイ素を含有する有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスを含有する場合、原料ガスと酸素ガスの比率としては、原料ガスと酸素ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる酸素ガスの量の比率よりも、酸素ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。酸素ガスの比率を過剰にし過ぎてしまうと、本発明で目的とするガスバリアー層が得られにくい。よって、所望したバリアー性フィルムとしての性能を得る上では、成膜ガス中の有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下とすることが好ましい。
(真空度)
真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5Pa〜100Paの範囲内に設定することが好ましい。
(一対の対向ローラー電極による成膜)
図1〜図3に示すような一対の対向電極により構成される成膜ローラー31及び32を具備したプラズマCVD処理部を用いた成膜方法においては、成膜ローラー31及び成膜ローラー32間に放電するために、プラズマ発生用電源51に接続された電極ドラム(図1、図2及び図3においては、成膜ローラー31及び成膜ローラー32に設置されている。)に印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるものであり一概に言えるものでないが、0.1〜10kWの範囲内とすることが好ましい。このような範囲の印加電力であれば、パーティクル(不正粒子)の発生も見られず、成膜時に発生する熱量も制御範囲内であるため、成膜時の樹脂基材の表面温度の上昇による、樹脂基材の熱変形、熱による性能劣化や成膜時の皺の発生を防止することができる。また、熱で樹脂基材が溶けて、裸の成膜ローラー間に大電流の放電が発生することによる成膜ローラーに対する損傷等を防止することができる。
樹脂基材2の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲内とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲内とすることがより好ましい。ライン速度が前記範囲内であれば、樹脂基材の熱に起因する皺も発生し難く、形成されるガスバリアー層の厚さも十分に制御可能となる。
本発明の成膜装置として、図2に示すような成膜ローラー31及び成膜ローラー32の内部に、各成膜ローラーが回転しても、それ自身は回転しないようにして固定された磁場発生装置61及び磁場発生装置62がそれぞれ設けられている構成であることが、形成するガスバリアー層における元素プロファイルを精緻に制御することができる観点からこのましい。
図2に記載のような磁場発生装置を具備した対向ローラー電極方式のプラズマCVD処理部を用いて、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有するガスバリアー層を形成する際には、ガスバリアー層としては、下記(1)〜(4)に記載の元素プロファイルの条件を満たす成膜方法で形成することが好ましい。
(1)ガスバリアー層の炭素原子比率が、層厚方向において、ガスバリアー層の表面から層厚の89%までの距離範囲内では、前記表面からの距離に対応して連続的に変化する炭素元素プロファイルであること。
(2)ガスバリアー層の炭素原子比率の最大値が、層厚方向において、ガスバリアー層の表面から層厚の89%までの距離範囲内では、20at%未満であること。
(3)ガスバリアー層の炭素原子比率が、層厚方向において、ガスバリアー層の表面から層厚の90〜95%までの距離範囲内(樹脂基材に隣接する面から5〜10%の範囲内)では、連続的に増加すること。
(4)ガスバリアー層の炭素原子比率の最大値が、層厚方向において、前記ガスバリアー層の表面から層厚の90〜95%までの距離範囲内(樹脂基材に隣接する面から5〜10%の範囲内)では、20at%以上であること。
具体的な制御方法等については、例えば、WO2012/046767A1号に記載の方法に準じて行うことができる。
〔その他の構成層〕
(帯電防止層)
本発明に係る帯電防止層103は、図4A及び図4Bに示すように、樹脂基材101の裏面側(B面側、B面側)、すなわち、導電性のガイドローラー12及びガイドローラー70に接する面側に設けられる。
帯電防止層103は、積層したロール状積層体11より、樹脂基材101を繰り出す際にフィルム表面が帯電してしまうことを防止する機能を有している。
帯電防止層に帯電防止能を付与する技術として、帯電防止層に導電性を付与し、その帯電防止層の電気抵抗値を低下させるという方法がある。
例えば、その帯電防止技術として、帯電防止層に、導電性物質である導電性フィラーを分散させて含有させる方法、導電性ポリマーを用いる方法、金属化合物を分散もしくは表面にコートする方法、有機スルホン酸及び有機リン酸のような陰イオン性化合物を利用した内部添加法、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルケニルアミン、グリセリン脂肪酸エステル等の界面活性型の低分子型帯電防止剤を用いる方法、カーボンブラック等の導電性微粒子を分散させる方法などがある。特に、導電性物質である導電性フィラーを分散させて含有させる方法を用いることが好ましい。
なお、帯電防止層の電気抵抗値に関し、塗膜における抵抗を大別すると、粒子内部抵抗と接触抵抗に分けることができる。粒子内部抵抗は、異種金属のドープ量、酸素欠陥量及び結晶性に影響される。また、接触抵抗は、粒子径や形状、塗料中の微粒子の分散性、バインダー樹脂の導電性に影響される。導電性の比較的高い膜は、粒子内部抵抗よりも接触抵抗の影響が大きいと考えられるので、粒子状態の制御により導電パスを形成することが重要である。
帯電防止層は、導電性フィラーを含有することで、帯電防止性を有することが好ましい。帯電防止層に含有する導電性フィラーとして、導電性無機微粒子が挙げられ、その中でも金属微粒子や導電性の無機酸化物微粒子等を用いることが好ましい。特に、導電性の無機酸化物微粒子を好適に用いることができる。金属微粒子としては、金、銀、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、スズ、アンチモン、インジウム等の微粒子が挙げられる。無機酸化物微粒子としては、インジウム五酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、ITO(インジウム錫酸化物)、ATO(アンチモン錫酸化物)、リンドープ型酸化物等の微粒子が挙げられる。なかでもリンドープ型酸化物などの無機複酸化物微粒子が、導電性、耐候性が高い点から好ましい。
導電性フィラーを帯電防止層中に分散させる際、帯電防止層の透明性を低下させないために、導電性フィラーの1次粒子径が1〜100nmの範囲内であることが好ましく、特に1〜50nmの範囲内であることが好ましい。導電性を確保するためには、粒子同士がある程度近接しなければならないため、粒子径が1nm以上であることが好ましい。粒子径が100nm以下であれば、光を過度に反射することなく、光透過率の低下を抑制することができる。
導電性の無機酸化物微粒子としては、市販されているものも用いることができ、具体的には、セルナックスシリーズ(日産化学工業社製)、P−30、P−32、P−35、P−45、P−120、P−130(以上、日揮触媒化成社製)、T−1、S−1、S−2000、EP SP2(以上、三菱マテリアル電子化成社製)などを用いることができる。
帯電防止層には、導電性フィラーを保持するバインダーとして有機バインダー又は無機バインダーを用いることができる。
有機バインダーとしては、樹脂を用いることができ、例えば、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。さらに、有機バインダーとして、ハードコートをバインダーとすることもでき、紫外線硬化性多官能アクリル樹脂、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、オキセタン系樹脂、多官能オキセタン系樹脂などが利用できる。また、無機バインダーとしては、無機酸化物系バインダー(ゾルゲル法を用いた無機酸化物系バインダーであってもよい)や、4官能無機バインダーを好ましい例として挙げることができる。
無機酸化物系バインダーの好ましい例としては、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム等を挙げることができる。特に好ましいものは、二酸化ケイ素である。
また、4官能無機バインダーの好ましい例としては、ポリシラザン(例えば、商品名:アクアミカ(AZエレクトロニクス社製))、シロキサン系化合物(例えば、コルコートP(株式会社コルコート社製))、アルキルシリケート及び金属アルコラートの混合であるFJ803(GRANDEX社製)、アルミナゾル(川研ファインケミカル株式会社製)、などを用いることができる。また、4官能無機バインダーとして、テトラエトキシシランを主原料とし、触媒を添加したゾルゲル液を用いてもいい。
さらに、有機と無機の両方の性質を併せ持つ材料として、例えば、ポリオルガノシロキサン、ポリシラザンなどが挙げられ、これらの材料は有機バインダーとも言えるし、無機バインダーとも言える。帯電防止層のバインダーに無機バインダーと有機バインダーの混合物を用いてもよいが、バインダーの全量が無機バインダーであることが好ましい。
バインダーが無機バインダーである場合、屋外で用いる場合、紫外線に対する耐候性を備え、長期にわたって高い帯電防止性を維持できるため望ましい。また、最表層がメタロキサン骨格を含むため、帯電防止層のバインダーが無機バインダーであると、帯電防止層と最表層の密着性が良好になり、層間の剥がれ等による反射性能の低下といった問題を防止できるため好ましい。更に、無機バインダーは、有機バインダーに比較して割れを生じやすいが、帯電防止層の上層として最表層を設けることにより、割れ防止、欠け防止、及び欠けの飛散防止効果が得られ、割れやすい無機バインダーでも問題なく使用できる。
この帯電防止層は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法によって形成できる。
なお、帯電防止層の層厚は、100nm〜1μmの範囲内であることが好ましい。帯電防止層の膜厚が100nm以上であれば、帯電防止層から導電性フィラーが浮き出ることがなく平面性を維持することができる。また、帯電防止層の膜厚が1μm以下であれば、光透過性を悪化させることがない。
また、帯電防止層は、帯電防止層全質量に対し、導電性フィラー(導電性無機微粒子)を75〜95質量%の範囲内で含有していることが好ましい。導電性フィラーの含有量が75質量%以上であれば、導電性を確保でき、また、導電性フィラーの含有量が95%以下であれば、所望の光透過性を維持することができる。
(クリアハードコート層)
本発明に係るクリアハードコート層102は、図4A及び図4Bに示すように、本発明の成膜方法によりガスバリアー層を形成する前に、樹脂基材101の表面側(A面側又はA面側)に設けられる。
本発明に係るクリアハードコート層の形成に適用可能な硬化型樹脂としては、熱硬化型樹脂や活性エネルギー線硬化型樹脂が挙げられるが、薄膜形成が容易なことから、活性エネルギー線硬化型樹脂を好ましく用いることができる。
〈熱硬化型樹脂〉
本発明に適用可能な熱硬化型樹脂としては、特に制限はなく、例えば、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ビニルベンジル樹脂等の種々の熱硬化性樹脂が挙げられる。
〈活性エネルギー線硬化型樹脂〉
本発明において好適に用いることができる活性エネルギー線硬化型樹脂とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線の照射により架橋反応等を経て硬化する特性を有する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて、活性エネルギー線硬化型樹脂層が形成される。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、紫外線硬化型樹脂や電子線硬化旗樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化型樹脂が好ましい。
〈紫外線硬化型樹脂〉
以下、本発明に係るクリアハードコート層の形成に好適な紫外線硬化型樹脂について説明する。
紫外線硬化型樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
〈各種添加剤〉
また、クリアハードコート層には、耐傷性、滑り性や屈折率を調整するため、無機化合物又は有機化合物の微粒子を含んでもよい。
これらのクリアハードコート層は、クリアハードコート層形成用塗布液を用いて、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の湿式塗布方法で塗設することができる。
ハードコート層塗布液の塗布量はウェット膜厚として0.1〜40μmの範囲内が適当で、好ましくは、0.5〜30μmの範囲内である。また、層厚としては、0.1〜30μmの範囲内が適当であり、好ましくは1〜10μmの範囲内である。
〈クリアハードコート層の硬化処理方法〉
表面に真空紫外線照射処理を施した樹脂基材上に、クリアハードコート層を形成した後、当該クリアハードコート層に活性エネルギー線、好ましくは紫外線を照射して、最終的にクリアハードコート層を硬化する。
〔その他の機能性層〕
本発明に係るガスバリアー性フィルムにおいては、上記説明した各構成層のほかに、必要に応じて、各機能性層を設けることができる。
〈オーバーコート層〉
本発明に係るガスバリアー層の上には、屈曲性を更に改善する目的で、オーバーコート層を形成しても良い。オーバーコート層の形成に用いられる材料としては、有機モノマー、オリゴマー、ポリマー等の有機樹脂、有機基を有するシロキサンやシルセスキオキサンのモノマー、オリゴマー、ポリマー等を用いた有機無機複合樹脂層を好ましく用いることができる。これらの有機樹脂又は有機無機複合樹脂は、重合性基や架橋性基を有することが好ましく、これらの有機樹脂又は有機無機複合樹脂を含有し、必要に応じて重合開始剤や架橋剤等を含有する有機樹脂組成物塗布液から塗布した層に、光照射処理や熱処理を加えて硬化させて、オーバーコート層を形成することが好ましい。
《ガスバリアー性フィルムの適用分野》
本発明の成膜方法により作製したガスバリアー性フィルムは、電子デバイス用のフィルムとして具備されることが好ましい。
電子デバイスとしては、例えば、有機エレクトロルミネッセンスパネル(有機ELパネル)、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、有機光電変換素子、液晶表示素子等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
《可撓性樹脂基材ユニットの準備》
〔可撓性樹脂基材ユニット1の作製:帯電防止層有り〕
(可撓性樹脂基材の準備)
可撓性樹脂基材101として、透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムKEL86W(帝人デュポンフィルム社製、長さ100m、幅0.35m、厚さ125μm、以下、PETフィルムと略記する。)を準備した。
このPETフィルムの表面に、コロナ放電装置AGI−080(春日電機社製)を用いてコロナ処理を施した。コロナ処理時、コロナ放電装置の放電電極とフィルムの表面との間隙を1mmに設定し、処理出力を600mW/cmの条件として、10秒間のコロナ放電を行った。
(クリアハードコート層の形成)
次いで、PETフィルムの表面側(図4Aに記載のA面)に、下記の方法に従って、クリアハードコート層102を形成した。
PETフィルムを連続搬送しながら、表面側(A面側)に、ポリウレタンアクリレート及びアクリル酸エステルを主成分とした紫外線硬化型樹脂含有塗布液(紫光UV−1700B、日本合成化学社製)を、湿式コーターを用いて、乾燥後の膜厚が4μmになるように塗布した後、80℃で3分間の乾燥を行った。乾燥した塗膜に、大気下で高圧水銀ランプを使用して、1.0J/cmの活性光線を照射して硬化させ、クリアハードコート層102を形成し、ロール状に積層した。
(帯電防止層の形成)
次いで、PETフィルムのクリアハードコート層102を形成した面とは反対側の面(図4Aに記載のB側)に、下記の方法に従って、帯電防止層を形成した。
〈帯電防止層形成用塗布液の調製〉
無機バインダーとしてシロキサン系材料であるコルコートP(コルコート社製)を14部、無機複酸化物としてリンドープ型酸化錫セルナックスCX−S501M(日産化学工業社製)85部、レベリング剤としてBYK3550(ビックケミ−ジャパン社製)1部を攪拌しながら混合して、帯電防止層形成用塗布液を調製した。
この帯電防止コート液を用いて帯電防止層を形成する。
〈帯電防止層の付与〉
PETフィルムのクリアハードコート層102を形成した面とは反対側の面(B面)に、上記調製した帯電防止層形成用塗布液を、湿式コーターを用いて、乾燥後の膜厚が300nmになるように塗布した後、80℃にて10秒間乾燥させることにより、帯電防止層103を形成し、可撓性樹脂基材ユニット1を作製した。
〔可撓性樹脂基材ユニット2の作製:帯電防止層なし〕
上記可撓性樹脂基材ユニット1の作製において、裏面(B面)に帯電防止層の形成を行わずに、可撓性樹脂基材101の両面にクリアハードコート層102を有する構成とする可撓性樹脂基材ユニット2を作製した。
〔可撓性樹脂基材ユニット3の作製:ハードコート層なし〕
上記可撓性樹脂基材ユニット1の作製において、表面側(A面)でハードコート層の形成を行わなかった以外は同様にして、可撓性樹脂基材ユニット3を作製した。
《ガスバリアー性フィルムの作製》
〔ガスバリアー性フィルム1の作製〕
図2に記載の成膜ローラー31及び成膜ローラー32の内部に、磁場発生装置61及び磁場発生装置62がそれぞれ設けられているプラズマCVD処理部Pを備え、下記に記載のガイドローラーから構成される成膜装置を用いて、ガスバリアー層を形成して、ガスバリアー性フィルム1を作製した。
具体的な作製条件は、以下の通りである。
上記作製した長さ100mの帯電防止層を裏面側(B面)に有する可撓性樹脂基材ユニット1のロール積層体11をアンワインダー部(UW部)にセットした。
次いで、ロール積層体11より、可撓性樹脂基材ユニット1を繰り出し、搬送速度10m/minで搬送した。
次いで、プラズマCVD処理部Pにより、可撓性樹脂基材ユニット1のクリアハードコート層上(A面側)に、下記の成膜条件で、厚さ300nmの酸炭化ケイ素SiOC膜をガスバリアー層として連続的に形成して、図4Bに記載の構成からなるガスバリアー性フィルム1を得た。
ガスバリアー性フィルム1の作製における成膜条件は、次のとおりである。
(成膜条件)
原料ガス1:ヘキサメチルジシロキサン(有機ケイ素化合物:HMDSO:(CHSiO)
原料ガス1の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
原料ガス2:酸素(O)ガス
原料ガス2の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
電源による印加電力:1.5kW
電源の周波数:80kHz
(ガイドローラーの構成:図2)
導電性のガイドローラー12及び70:ローラー径がφ130mmのSUS304製の金属ローラー(体積抵抗率:71×10−6Ω・cm)
絶縁性のガイドローラー21、22、23及び24:芯金がφ80mmのアルミニウム(A5052)製で、その表面に厚さ10mmのスチレンブタジエンゴム(略称:SBR、体積抵抗率:1×1012Ω・cm)を被覆したφ100mmのローラー
〔ガスバリアー性フィルム2の作製〕
ガスバリアー性フィルム1の作製において、ガイドローラー21、22、23及び24を、下記のセラミックベアリングを具備した絶縁性のガイドローラーに変更した以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム2を作製した。
絶縁性のガイドローラー21、22、23及び24:軸心部を窒化ケイ素(体積抵抗率:>1×1014Ω・cm)製のセラミックベアリングで構成し、外周部をPTFE(フッ素樹脂)で構成しているローラー
〔ガスバリアー性フィルム3の作製〕
ガスバリアー性フィルム1の作製において、絶縁性のガイドローラー21、22、23及び24の各スチレンブタジエンゴム(略称:SBR)の厚さを25mmに変更し、φ130mmのローラーに変更した以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム3を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム4の作製〕
ガスバリアー性フィルム1の作製において、絶縁性のガイドローラー21、22、23及び24のゴム材料を、スチレンブタジエンゴム(略称:SBR)に代えて、ニトリルゴム(略称:NBR、体積抵抗率:1×1010Ω・cm)を用いた以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム4を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム5の作製〕
ガスバリアー性フィルム1の作製において、絶縁性のガイドローラー21、22、23及び24のゴム材料を、スチレンブタジエンゴムに代えて、天然ゴム(略称:NR、体積抵抗率:1×1012Ω・cm)を用いた以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム5を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム6の作製〕
ガスバリアー性フィルム1の作製において、導電性のガイドローラー12及び70を、SUS304製の金属ローラーに代えて、SUS316製の金属ローラー(体積抵抗率:74×10−6Ω・cm)を用いた以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム6を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム7の作製〕
ガスバリアー性フィルム1の作製において、導電性のガイドローラー12及び70を、SUS304製の金属ローラーに代えて、アルミニウム製の金属ローラー(体積抵抗率:2.7×10−6Ω・cm)を用いた以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム7を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム8の作製〕
ガスバリアー性フィルム1の作製において、絶縁性ガイドローラー21、22、23及び24を、下記の構成のセラミックベアリングを具備した絶縁性のガイドローラーに変更した以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム8を作製した。
絶縁性のガイドローラー21、22、23及び24:軸心部をジルコニア(体積抵抗率:>1×1012Ω・cm)製のセラミックベアリングで構成し、外周部をPTFE(フッ素樹脂)で構成しているローラー
〔ガスバリアー性フィルム9の作製〕
ガスバリアー性フィルム1の作製において、絶縁性ガイドローラー21、22、23及び24を、下記の構成のセラミックベアリングを具備した絶縁性のガイドローラーに変更した以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム9を作製した。
絶縁性のガイドローラー21、22、23及び24:軸心部をジルコニア(体積抵抗率:>1×1012Ω・cm)製のセラミックベアリングで構成し、外周部をSUS304で構成しているローラー
〔ガスバリアー性フィルム10の作製〕
ガスバリアー性フィルム1の作製において、可撓性樹脂基材ユニット1を、帯電防止層を有していない可撓性樹脂基材ユニット2に変更し、更に、全てのガイドローラーを、ローラー径がφ130mmのSUS304製の金属ローラー(体積抵抗率:71×10−6Ω・cm)に変更した以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム10を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム11の作製〕
ガスバリアー性フィルム1の作製において、全てのガイドローラーを、ローラー径がφ130mmのSUS304製の導電性の金属ローラー(体積抵抗率:71×10−6Ω・cm)に変更した以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム11を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム12の作製〕
ガスバリアー性フィルム1の作製において、全てのガイドローラーを、芯金がφ80mmのアルミニウム(A5052)製で、その表面に厚さ10mmのスチレンブタジエンゴム(体積抵抗率:1×1012Ω・cm)を被覆したφ100mmの絶縁性のローラーに変更した以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム12を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム13の作製〕
ガスバリアー性フィルム1の作製において、全てのガイドローラーを、軸心部を窒化ケイ素(体積抵抗率:>1×1014Ω・cm)製のセラミックベアリングで構成し、外周部をPTFE(フッ素樹脂)で構成している絶縁性のローラーに変更した以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム13を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム14の作製〕
ガスバリアー性フィルム12の作製において、ガイドローラーを構成するスチレンブタジエンゴム(体積抵抗率:1×1012Ω・cm)の厚さを1mmに変更した以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム14を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム15の作製〕
ガスバリアー性フィルム2の作製において、可撓性樹脂基材ユニット1に代えて、ハードコート層を有していない可撓性樹脂基材ユニット3を用いた以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム15を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム16の作製〕
ガスバリアー性フィルム6の作製において、可撓性樹脂基材ユニット1に代えて、ハードコート層を有していない可撓性樹脂基材ユニット3を用いた以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム15を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム17の作製〕
ガスバリアー性フィルム6の作製において、可撓性樹脂基材ユニット1に代えて、帯電防止層を有していない可撓性樹脂基材ユニット2を用いた以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム17を作製した。
上記作製した各ガスバリアー性フィルムの構成を、表1に示す。
Figure 2015053143
《ガスバリアー性フィルムの評価》
上記作製したガスバリアー性フィルム1〜14について、下記の各評価を行った。
〔プラズマ強度の評価〕
各ガスバリアー性フィルム作製時のプラズマCVD処理部Pにおけるプラズマ強度を下記の方法により測定し、帯電防止層を有していない可撓性樹脂基材ユニット2を用いて作製したガスバリアー性フィルム10のプラズマ強度を100として、各ガスバリアー性フィルムの相対プラズマ強度を求め、下記の基準に従ってプラズマ強度を評価した。相対プラズマ強度としては、100に近いほど、ガスバリアー層形成時に、可撓性樹脂基材の帯電等によるプラズマ放電への影響が少なく、安定したプラズマ放電を行うことができることを表す。
(プラズマ強度の測定方法)
ファイバマルチチャンネル分光器:USB2000+(オーシャンオプティクス社製)を用い、プラズマからの発光強度を分光し、あるラジカル種の強度を代表して相対的に比較を行うという方法を用いた。今回は、664nm付近に見られるHラジカルの値を代表とし、帯電防止層を有していない可撓性樹脂基材ユニット2を使用したガスバリアー性フィルム10のプラズマの664nmの強度を100として、その他のガスバリアー性フィルムのプラズマ強度の相対値を求め、下記の基準に従ってプラズマ強度を判定した。
○:相対プラズマ強度が、90以上、100以下である
△:相対プラズマ強度が、80以上、90未満である
×:相対プラズマ強度が、80未満である
〔ガスバリアー性の評価〕
各ガスバリアー性フィルムについて、下記に示すCa測定法に従って、水蒸気透過係数を測定した。
(水蒸気バリアー性評価試料の作製装置)
蒸着装置:日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
〈原材料〉
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
(水蒸気バリアー性評価試料の作製)
真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE−400)を用い、作製した各ガスバリアー性フィルムのガスバリアー層形成面に、マスクを通して12mm×12mmのサイズで金属カルシウムを蒸着させた。この際、蒸着膜厚は80nmとなるようにした。
次いで、真空状態のままでマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムを蒸着させて仮封止をした。次いで、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下に移して、アルミニウム蒸着面に封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を介して厚さ0.2mmの石英ガラスを張り合わせ、紫外線を照射して樹脂を硬化接着させて本封止することで、水蒸気バリアー性評価試料を作製した。
得られた試料を60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、保存時間に対して金属カルシウムが腐食して行く様子を観察した。観察は、保存時間6時間までは1時間ごとに、それ以降24時間までは3時間ごとに、それ以降48時間までは6時間ごとに、それ以降は12時間ごとに行い、12mm×12mmの金属カルシウム蒸着面積に対する金属カルシウムが腐食した面積を%表示で算出した。金属カルシウムが腐食した面積が1%となった時間を観察結果から直線で内挿して求め、金属カルシウム蒸着面積と、面積1%分の金属カルシウムを腐食させる水蒸気量と、それに要した時間との関係から、それぞれのガスバリアー性フィルムの水蒸気透過率を算出した。
次いで、帯電防止層を有していない可撓性樹脂基材ユニット2を用いて作製したガスバリアー性フィルム10の水蒸気透過率を100として、各ガスバリアー性フィルムの相対水蒸気透過率を求め、下記の基準に従ってガスバリアー性を評価した。相対水蒸気透過率が高いほど、ガスバリアー性に優れ、安定してガスバリアー層を形成することができることを表す。本発明においては、ランクが△以上であれば、実用上許容される品質であると判定した。
○:相対水蒸気透過率が、90以上、100以下である
△:相対水蒸気透過率が、80以上、90未満である
×:相対水蒸気透過率が、80未満である
〔膜面欠陥耐性の評価〕
上記作製した各ガスバリアー性フィルムの10cm×10cmの領域について、光学倍率が10倍のルーペを用いて観察し、フィルム搬送時の剥離帯電(スパーク)により発生する、長さが100μm以上の膜面の亀裂(クラック)の発生数を計測し、下記の基準に従って、膜面欠陥耐性を評価した。
○:剥離帯電等の異常放電によるクラックの発生数が、1個以下である
△:剥離帯電等の異常放電によるクラックの発生数が、2個以上、10個以下である
×:剥離帯電等の異常放電によるクラックの発生数が、11個以上であり、実用上問題となる品質である
以上より得られた結果を、表2に示す。
Figure 2015053143
表2に記載の結果より明らかなように、本発明で規定するガイドローラーで構成した成膜装置を用いて製造した帯電防止層を有する本発明のガスバリアー性フィルム1〜9、15及び16は、プラズマCVD装置による成膜時に、比較例である帯電防止層を有していないガスバリアー性フィルム10及び17と近似のプラズマ強度を維持することができ、成膜安定性(プラズマ強度安定性)に優れた成膜方法を達成でき、加えて、比較例に対し、ガスバリアー性及び膜面欠陥耐性に優れたガスバリアー性フィルムを得ることができた。
本発明の成膜方法により、プラズマCVD法を用い、ロールtoロール方式で可撓性樹脂基材上に機能性層を形成する方法で、成膜安定性及びガスバリアー性、膜面欠陥耐性に優れた機能性層を有する機能性フィルムを形成することができ、本発明の成膜方法により作製した機能性フィルムの一つであるガスバリアー性フィルムは、電子デバイス、例えば、有機エレクトロルミネッセンスパネル、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機光電変換素子、液晶表示素子等の封止用フィルムとして好適に利用できる。
1 成膜装置
2 可撓性樹脂基材ユニット
11、71 ロール積層体
12、70 ガイドローラー(導電性)
21、22,23、24 ガイドローラー(絶縁性)
25、26 ガイドローラー
31、32 成膜ローラー
41 成膜ガス供給管
51 プラズマ発生用電源
61、62 磁場発生装置
80 真空チャンバー
81 排気口
82 真空ポンプ
G ガスバリアー性フィルム
P プラズマCVD処理部
UW部 アンワインダー部
W部 ワインダー部
101 可撓性樹脂基材
102 クリアハードコート層
103 帯電防止層
104 ガスバリアー層

Claims (12)

  1. 減圧下、ロールtoロール方式で、複数のガイドローラーで保持しながら、連続搬送する可撓性樹脂基材上に機能性層を形成する成膜装置であって、
    少なくとも、ロール状に積層した可撓性樹脂基材を繰り出すアンワインダー部と、
    対向する一対のローラー電極を具備し、当該ローラー電極間に形成した放電空間で、前記可撓性樹脂基材上に機能性層を形成するプラズマCVD処理部と、
    機能性層を形成した可撓性樹脂基材を巻き取るワインダー部を有し、
    前記連続搬送する可撓性樹脂基材は、前記機能性層を形成する面(A面)とは反対側の面(B面)に帯電防止層を有し、
    前記プラズマCVD処理部を構成する前記一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの少なくとも一つを、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成し、
    前記アンワインダー部又は前記ワインダー部に対し、最も近い距離に位置するガイドローラーを、電気的に導電性を備えた導電性ローラーで構成されていることを特徴とする成膜装置。
  2. 前記プラズマCVD処理部を構成する前記一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの全てが、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記絶縁性ローラーが、ゴム被覆ローラー又は芯部にセラミックベアリングを具備したローラーであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の成膜装置。
  4. 前記導電性ローラーが、金属ローラーであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の成膜装置。
  5. 前記可撓性樹脂基材がA面側にクリアハードコート層を有し、当該クリアハードコート層上に、前記機能性層を形成することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の成膜装置。
  6. 前記可撓性樹脂基材上に、前記機能性層としてガスバリアー層を形成することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の成膜装置。
  7. 減圧下、ロールtoロール方式で、複数のガイドローラーで保持しながら連続搬送する可撓性樹脂基材上に、プラズマCVD処理部を有するプラズマCVD処理方法により機能性層を形成する成膜方法であって、
    前記可撓性樹脂基材が、前記機能性層を形成する面(A面)とは反対側の面(B面)に帯電防止層を有し、
    前記プラズマCVD処理部は、対向する一対のローラー電極間に電圧を印加してプラズマ放電空間を構成し、当該プラズマ放電空間で、前記可撓性樹脂基材上に機能性層を形成し、
    前記プラズマCVD処理部を構成する前記一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの少なくとも一つを、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成し、
    ロール状に積層した可撓性樹脂基材を繰り出すアンワインダー部、又は機能性層を形成した可撓性樹脂基材を巻き取るワインダー部に最も近い距離に位置するガイドローラーを、電気的に導電性を備えた導電性ローラーで構成することを特徴とする成膜方法。
  8. 前記プラズマCVD処理部を構成する前記一対のローラー電極に対し、可撓性樹脂基材の搬送方向の上流側及び下流側で、それぞれ最も近い距離に位置する4つのガイドローラーの全てが、電気的に絶縁性を備えた絶縁性ローラーで構成され、当該プラズマCVD処理装部で前記機能性層を形成することを特徴とする請求項7に記載の成膜方法。
  9. 前記絶縁性ローラーとして、ゴム被覆ローラー又は芯部にセラミックベアリングを具備したローラーを用いることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の成膜方法。
  10. 前記導電性ローラーとして、金属ローラーを用いることを特徴とする第7項から第9項までのいずれか一項に記載の成膜方法。
  11. 前記可撓性樹脂基材が、前記A面側にクリアハードコート層を有し、当該クリアハードコート層上に、前記機能性層を形成することを特徴とする請求項7から請求項10までのいずれか一項に記載の成膜方法。
  12. 前記機能性層として、ガスバリアー層を形成することを特徴とする請求項7から請求項11までのいずれか一項に記載の成膜方法。
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