JP6888623B2 - ガスバリア性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、プラズマ化学気相蒸着法によるガスバリア性フィルムの製造方法に関する。
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物を含む薄膜(ガスバリア層)を形成したガスバリア性フィルムが、食品、医薬品等の分野で物品を包装する用途に用いられている。ガスバリア性フィルムを用いることによって、水蒸気や酸素等のガスによる物品の変質を防止することができる。
ところで、近年、上記のような水蒸気や酸素等の透過を防ぐガスバリア性フィルムが、液晶表示素子(LCD)、太陽電池(PV)、有機エレクトロルミネッセンス(EL)などの電子デバイスの分野にも利用されつつある。電子デバイスにガスバリア性フィルムを適用するためには、特に高いガスバリア性が要求される。
ガスバリア性フィルムの製造方法としては、基材フィルム上に蒸着法、スパッタ法、CVD法等の気相成膜法によって無機バリア層を形成する方法が知られている。気相成膜法は、一般的には、形成されるガスバリア層のバリア性能が特に優れるという点において利点がある。例えば、特開2011−73430号公報(米国特許出願公開第2012/040107号に相当)には、ガスバリア層の珪素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線が所定の条件を満たす薄膜層を、プラズマ化学気相成長法により形成したガスバリア性積層フィルムに係る発明が開示されている。当該文献に記載のガスバリア性積層フィルムは十分なガスバリア性を有しており、しかもフィルムを屈曲させた場合においてもガスバリア性の低下を十分に抑制することが可能であると記載されている。
ガスバリア性フィルムを液晶表示素子(LCD)や有機エレクトロルミネッセンス(EL)などの画像表示装置に使用する場合、高度なガスバリア性と透明性(可視光透過性)との両立が要求される。しかしながら、本発明者らは、特開2011−73430号公報に記載される発明では、ガスバリア性と光学特性とを両立することが困難であることを見出した。
そこで、本発明は、優れたガスバリア性を有し、かつ、透明性に優れるガスバリア性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、Sn、Pt、およびAuからなる群から選択される少なくとも一つの金属元素を所定量、ならびに有機シロキサン化合物を含む組成物を原料として用いて、プラズマ化学気相蒸着(プラズマCVD)法によりケイ素含有層(ガスバリア層)を形成することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の一側面は、Sn、Pt、およびAuからなる群から選択される少なくとも一つの金属元素を0.1〜10μg/L、ならびに有機シロキサン化合物を含む組成物を用いて、プラズマ化学気相蒸着法によりガスバリア層を基材上に形成することを含む、ガスバリア性フィルムの製造方法に関する。このようなガスバリア性フィルムの製造方法によれば、得られたガスバリア性フィルムが優れたガスバリア性を有し、かつ、透明性に優れたものとなる。かような効果が得られる理由の詳細は不明であるが、下記のようなメカニズムが考えられる。なお、下記のメカニズムは推測によるものであり、本発明は下記メカニズムに何ら制限されるものではない。
本発明者らは、有機シロキサン化合物を原料としてプラズマCVD法によりケイ素含有層を形成すると、得られたガスバリア性フィルムの透明性が十分なものにならないという課題が存在することを見出した。プラズマCVD法による成膜時においては、有機シロキサン化合物の有機基に由来する副生物であって、不飽和結合(例えば、二重結合等)を含有する副生物が生成し得る。このことから、本発明者らは、当該副生物によって光が吸収され、透明性が十分なものにならないのではないかと推測した。特に、内部に磁場発生部を備える対向ロール電極を有するプラズマCVD装置によりガスバリア層を形成する手法は、生産性に優れる反面、磁力線で電子をトラップしてプラズマを発生させるという原理上、対向するロール電極(成膜ロール)間の成膜ゾーンにおいてプラズマ密度に分布が生じる。このため、かような製造装置で成膜を行うと特に、プラズマ密度が低い部分は結合分解エネルギーが小さいため不飽和結合を含有する副生物が生じやすいと考えられる。上記のような課題に対し、プラズマCVD原料として、有機シロキサン化合物に加えて一定量以上の金属元素を含む組成物を用いることで、得られたガスバリア性フィルムの透明性が優れたものになることを本発明者らは見出した。これは、当該金属元素が触媒作用を発揮してガス化前の有機シロキサン化合物を活性化し、不飽和結合の生成を抑制したり、生じた不飽和結合の切断が進行したりするため、副生物による光の吸収が低減し、透明性に優れたガスバリア性フィルムが得られるものと考えられる。また、本発明者らは、上記組成物に含まれる金属元素が過剰に多いと、ガスバリア性フィルムのガスバリア性がかえって低下してしまうことを見出した。これは、上記組成物に含まれる金属元素が過剰に多いと、有機シロキサン化合物の分解およびポリマー化が進行して、得られるガスバリア層の緻密性が低下するためであると考えられる。本発明では、プラズマCVD原料として有機シロキサン化合物に加えて適切な量の金属元素を含む組成物を用いることで、ガスバリア性と透明性とが両立されたガスバリア性フィルムが得られる。
以下、本発明のガスバリア性フィルムの好ましい形態について述べる。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
本発明に用いられ得る基材としては、特に制限されないが、具体例としては、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂を含む基材が挙げられる。該熱可塑性樹脂は、単独で、または2種以上組み合わせても用いることができる。これらの中でも、ポリエステル樹脂を含む基材(ポリエステルフィルム)であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)であることがより好ましい。また、該基材は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
熱可塑性樹脂を含む基材において、熱可塑性樹脂の含有量は、基材の総質量に対して、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい(上限100質量%)。
本発明に係る製造方法により得られるガスバリア性フィルムは、太陽電池や有機EL等の電子デバイスとして利用され得ることから、基材は透明であることが好ましい。すなわち、好ましくは、基材の光線透過率が通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは91%以上である。光線透過率は、JIS K7105:1981に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
また、上記に挙げた基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。当該基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。これらの基材の製造方法については、国際公開第2013/002026号の段落「0051」〜「0055」の記載された事項を適宜採用することができる。
基材の表面は、密着性向上のための公知の種々の処理、例えば易接着処理、コロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、またはプラズマ処理等を行っていてもよく、必要に応じて上記処理を組み合わせて行っていてもよい。
該基材は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。該基材が2層以上の積層構造である場合、各基材は同じ種類であってもよいし異なる種類であってもよい。
本発明に係る基材の厚さ(2層以上の積層構造である場合はその総厚)は、10〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。
本発明に係る製造方法では、下記の有機シロキサン化合物に加えて、Sn、Pt、およびAuからなる群から選択される少なくとも一つの金属元素(以下、「Sn、Pt、およびAuからなる群から選択される少なくとも一つの金属元素」を、単に「金属元素」とも称する。)を0.1〜10μg/L含む組成物を、プラズマ化学気相蒸着法による成膜に用いる。Sn、Pt、およびAu以外の金属元素(例えば、AgやCu)では、ガスバリア性能と透明性との両立が困難である。また、組成物中における金属元素の含有量が0.1μg/L未満であったり10μg/Lを超えたりすると、ガスバリア性能と透明性との両立が困難となる。組成物中の金属元素の量(組成物全体の体積中の金属元素の総量)は0.1〜10μg/Lであればよいが、ガスバリア性能と透明性との更なるバランスの観点から、1〜8μg/Lであることが好ましく、2〜5μg/Lであることがより好ましく、3〜5μg/Lであることがさらに好ましい。これらの中でも、金属元素としてはSnが好ましい。なお、本発明では、プラズマ化学気相蒸着法によるガスバリア層の形成に用いる原料ガス供給のための組成物に金属元素が含まれていればよく、形成されたガスバリア層には金属元素が存在していなくともよい。
組成物はSn、Pt、およびAuからなる群から選択される金属元素を1種単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。組成物が2種以上の金属元素を含む場合、上記の金属元素の量は、これら2種以上を合計した量である。
金属元素は、Sn、Pt、および/またはAuの金属単体として組成物中に存在してもよいが、組成物の均一性の観点から、金属イオン等の形態として存在してもよい。例えば、Sn、Pt、および/またはAuの塩または錯体を有機シロキサン化合物に添加して組成物を調製してもよく、かような塩または錯体としては、例えば、ジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレアート、ジオクチルスズチオカルボキシレート、オクテン酸スズ、モノブチルスズオキシド等のスズ化合物;テトラクロロ白金(II)酸、ヘキサクロロ白金(IV)酸、ヘキサクロロ白金(IV)酸アンモニウム、塩化白金(II)、塩化白金(IV)、酸化白金(II)、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、酸化白金(IV)、二硫化白金(IV)、硫化白金(IV)、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム等の白金化合物;塩化金(I)、塩化金(III)、臭化金(III)、四塩化金酸、四臭化金酸、四塩化金酸ナトリウム、クロロ(トリメチルホスフィン)金(I)、クロロ(トリエチルホスフィン)金(I)、クロロ(トリフェニルホスフィン)金(I)、クロロジメチルスルフィド金(I)、クロロ(トリス(p−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン)金、テトラクロロ金(III)酸等の金化合物が例示できるが、これらに限定されない。ここで、スズ化合物としては、ジブチルスズジラウリレートが、白金化合物としては、ヘキサクロロ白金(IV)酸が、金化合物としては、クロロ(トリフェニルホスフィン)金(I)がそれぞれ好ましい。これらの塩または錯体は、単独で、または2種以上組み合わせても用いることができる。
なお、組成物中に含まれる金属元素の量は、ICP質量分析により測定することができる。
組成物への金属化合物の添加は、例えば、下記の有機シロキサン化合物に所定量の金属化合物を加え、必要に応じて加熱や撹拌等、従来公知の方法により実施できる。
本発明に係る製造方法では、ガスバリア層の形成をプラズマ化学気相蒸着法により行う。ガスバリア層の形成方法であるプラズマ化学気相蒸着法(plasma−enhanced chemical vapor deposition)としては、特に制限されないが、国際公開第2006/033233号に記載の大気圧または大気圧近傍でのプラズマCVD法、対向ロール電極を持つプラズマCVD装置を用いたプラズマCVD法が挙げられる。
中でも、生産性が高いことから、プラズマCVD法によるガスバリア層の形成を、対向ロール電極を有するプラズマCVD装置により行うことが好ましく、内部に磁場発生部を備える対向ロール電極を有するプラズマCVD装置により行うことがより好ましい。なお、プラズマCVD法はペニング放電プラズマ方式のプラズマCVD法であってもよい。
以下、対向ロール電極を有するプラズマCVD装置を用いたプラズマCVD法によりガスバリア層を形成する方法について説明するが、本発明の技術的範囲が当該形態に限定されるものでは無い。
プラズマCVD法においてプラズマを発生させる際には、複数の成膜ローラーの間の空間にプラズマ放電を発生させることが好ましく、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラーのそれぞれにフィルムを配置して、一対の成膜ローラー間に放電してプラズマを発生させることがより好ましい。このようにして、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラー上にフィルムを配置して、かかる一対の成膜ローラー間に放電することにより、成膜時に一方の成膜ローラー上に存在するフィルムを成膜しつつ、もう一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分も同時に成膜することが可能となって効率よく薄膜を製造できるばかりか、通常のローラーを使用しないプラズマCVD法と比較して成膜レートを倍にでき、なおかつ、略同一である構造の膜を成膜できる。
また、このようにして一対の成膜ローラー間に放電する際には、一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが好ましい。さらに、このようなプラズマCVD法に用いる成膜ガスとしては、有機シロキサン化合物と、酸素とを含むものが好ましい。
以下、プラズマ化学気相蒸着法によりガスバリア層を形成するための装置の好ましい一具体例として図1を参照しながら説明を行うが、本発明をなんら制限するものでは無い。以下の説明および図面中、同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示す製造装置31は、送り出しローラー32と、搬送ローラー33、34、35、36と、成膜ローラー39、40と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源42と、成膜ローラー39および40の内部に設置された磁場発生部43、44と、巻取りローラー45とを備えている。また、このような製造装置においては、少なくとも成膜ローラー39、40と、ガス供給管41と、プラズマ発生用電源42と、磁場発生部43、44とが図示を省略した真空チャンバ内に配置されている。さらに、このような製造装置31において前記真空チャンバは図示を省略した真空ポンプに接続されており、かかる真空ポンプにより真空チャンバ内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39と成膜ローラー40)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源42に接続されている。そのため、このような製造装置31においては、プラズマ発生用電源42により電力を供給することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の空間を放電することが可能であり、これにより成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の空間にプラズマを発生させることができる。なお、このように、成膜ローラー39と成膜ローラー40とを電極としても利用する場合には、電極としても利用可能なようにその材質や設計を適宜変更すればよい。また、このような製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)は、その中心軸が同一平面上において略平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)を配置することにより、成膜レートを倍にでき、なおかつ、同じ構造の膜を成膜できる。そして、このような製造装置によれば、CVD法によりガスバリア層を形成することが可能であり、成膜ローラー39上においてガスバリア層成分を堆積させつつ、さらに成膜ローラー40上においてもガスバリア層成分を堆積させることもできるため、効率よくガスバリア層を形成することができる。
成膜ローラー39および成膜ローラー40の内部には、成膜ローラーが回転しても回転しないようにして固定された磁場発生部43および44がそれぞれ設けられている。
成膜ローラー39および成膜ローラー40にそれぞれ設けられた磁場発生部43および44は、一方の成膜ローラー39に設けられた磁場発生部43と他方の成膜ローラー40に設けられた磁場発生部44との間で磁力線がまたがらず、それぞれの磁場発生部43、44がほぼ閉じた磁気回路を形成するように磁極を配置することが好ましい。このような磁場発生部43、44を設けることにより、各成膜ローラー39、40の対向側表面付近に磁力線が膨らんだ磁場の形成を促進することができ、その膨出部にプラズマが収束され易くなるため、成膜効率を向上させることができる点で優れている。
また、成膜ローラー39および成膜ローラー40にそれぞれ設けられた磁場発生部43、44は、それぞれローラー軸方向に長いレーストラック状の磁極を備え、一方の磁場発生部43と他方の磁場発生部44とは向かい合う磁極が同一極性となるように磁極を配置することが好ましい。このような磁場発生部43、44を設けることにより、それぞれの磁場発生部43、44について、磁力線が対向するローラー側の磁場発生部にまたがることなく、ローラー軸の長さ方向に沿って対向空間(放電領域)に面したローラー表面付近にレーストラック状の磁場を容易に形成することができ、その磁場にプラズマを収束させることができため、ローラー幅方向に沿って巻き掛けられた幅広の基材等に効率的に蒸着膜を形成することができる点で優れている。
成膜ローラー39および成膜ローラー40としては適宜公知のローラーを用いることができる。このような成膜ローラー39および40としては、より効率よく薄膜を形成せしめるという観点から、直径が同一のものを使うことが好ましい。また、このような成膜ローラー39および40の直径としては、放電条件、チャンバのスペース等の観点から、直径が300〜1000mmφの範囲、特に300〜700mmφの範囲であることが好ましい。成膜ローラーの直径が300mmφ以上であれば、プラズマ放電空間が小さくなることがないことから、生産性の劣化がより生じ難いため、また、短時間でプラズマ放電の全熱量が基材等にかかることを回避できることから、基材等へのダメージを軽減することができるため好ましい。一方、成膜ローラーの直径が1000mmφ以下であれば、プラズマ放電空間の均一性等も含めて装置設計上、実用性を保持することができるため好ましい。
このような製造装置31においては、基材等の表面がそれぞれ対向するように、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39と成膜ローラー40)上に、基材等が配置されている。このようにして基材等を配置することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間に放電を行ってプラズマを発生させる際に、一対の成膜ローラー間に存在する基材等のそれぞれの表面を同時に成膜することが可能となる。すなわち、このような製造装置によれば、プラズマCVD法により、成膜ローラー39上にて基材等の表面上にガスバリア層成分を堆積させ、さらに成膜ローラー40上にてガスバリア層成分を堆積させることができるため、基材等の表面上にガスバリア層を効率よく形成することが可能となる。
このような製造装置に用いる送り出しローラー32および搬送ローラー33、34、35、36としては適宜公知のローラーを用いることができる。また、巻取りローラー45としても、基材等の上にガスバリア層を形成したフィルムを巻き取ることが可能なものであればよく、特に制限されず、適宜公知のローラーを用いることができる。
また、ガス供給管41および真空ポンプとしては、原料ガス等を所定の速度で供給または排出することが可能なものを適宜用いることができる。
また、ガス供給手段であるガス供給管41は、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間(放電領域;成膜ゾーン)の一方に設けることが好ましく、真空排気手段である真空ポンプ(図示せず)は、前記対向空間の他方に設けることが好ましい。このようにガス供給手段であるガス供給管41と、真空排気手段である真空ポンプを配置することにより、成膜ローラー39と成膜ローラー40との間の対向空間に効率良く成膜ガスを供給することができ、成膜効率を向上させることができる点で優れている。
さらに、プラズマ発生用電源42としては、適宜公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源42は、これに接続された成膜ローラー39と成膜ローラー40とに電力を供給して、これらを放電のための対向電極として利用することを可能とする。このようなプラズマ発生用電源42としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、前記一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源など)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源42としては、より効率よくプラズマCVDを実施することが可能となることから、印加電力を100W〜10kWとすることができ、かつ交流の周波数を50Hz〜500kHzとすることが可能なものであることがより好ましい。また、磁場発生部43、44としては適宜公知の磁場発生部を用いることができる。
このような図1に示す製造装置31を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、真空チャンバ内の圧力、成膜ローラーの直径、ならびにフィルム(基材等)の搬送速度を適宜調整することにより、ガスバリア層を形成することができる。すなわち、図1に示す製造装置31を用いて、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバ内に供給しつつ、一対の成膜ローラー(成膜ローラー39および40)間に放電を発生させることにより、前記成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー39上の基材等の表面上および成膜ローラー40上の基材等の表面上に、ガスバリア層がプラズマCVD法により形成される。この際、成膜ローラー39、40のローラー軸の長さ方向に沿って対向空間(放電領域)に面したローラー表面付近にレーストラック状の磁場が形成して、磁場にプラズマを収束させる。このため、基材等が、図1中の成膜ローラー39のA地点および成膜ローラー40のB地点を通過する際に、ガスバリア層で炭素分布曲線の極大値が形成される。これに対して、基材等が、図1中の成膜ローラー39のC1およびC2地点、ならびに成膜ローラー40のC3およびC4地点を通過する際に、ガスバリア層で炭素分布曲線の極小値が形成される。このため、2つの成膜ローラーに対して、通常、5つの極値が生成する。また、ガスバリア層の極値間の距離(炭素分布曲線の有する1つの極値および該極値に隣接する極値におけるガスバリア層の膜厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離(L)の差の絶対値)は、成膜ローラー39、40の回転速度(基材等の搬送速度)によって調節できる。なお、このような成膜に際しては、基材等が送り出しローラー32や成膜ローラー39等により、それぞれ搬送されることにより、ロールツーロール方式の連続的な成膜プロセスにより基材等の表面上にガスバリア層3が形成される。
ガス供給管41から対向空間に供給される成膜ガス(原料ガス等)としては、原料ガス、反応ガス、キャリアガス、放電ガスが単独または2種以上を混合して用いることができる。本発明では、ガスバリア層の形成に用いる成膜ガス中の原料ガスが、有機シロキサン化合物を含む。なお、原料ガスは、後述のSn、Pt、およびAuからなる群から選択される少なくとも一つの金属元素を含んでいてもよい。
上記の有機シロキサン化合物は有機基およびシロキサン結合(Si−O)を有する化合物である。シロキサン化合物が含む有機基は特に限定されないが、例えば、炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、シクロヘキシル基)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)等が例示でき、これらの有機基は、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、アシル基等のさらなる置換基で置換されていてもよい。
有機シロキサン化合物としては、より具体的には、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン(DMTSO)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、およびエチルトリエトキシシラン等の非環状シロキサン化合物;1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、およびテトラデカメチルシクロテトラデカンヘプタシロキサン等の、シロキサン結合(Si−O)により環化した構造を有する環状シロキサン化合物(環状有機シロキサン化合物)などが例示できるが、これらに限定されない。有機シロキサン化合物としては、透明性の観点から分子内にアルケニレン基、アルキニレン基やビニル基等の炭素−炭素間不飽和結合を有しないものが好ましい。また、有機シロキサン化合物としては、ガスバリア性の観点から、分子内にSi−O−Si構造を有するものが好ましい。さらに、ガスバリア性と透明性との両立の観点から、有機シロキサン化合物が、環状シロキサン化合物であることがより好ましい。これは、環状シロキサン化合物(環状有機シロキサン化合物)の場合、非環状有機シロキサン化合物と比べて1分子あたりのシロキサン結合が多いため、小さい結合分解エネルギーであってもガスバリア層が緻密になりやすく、また金属元素による有機シロキサン化合物の活性化効果がより大きくなるためであると推測される。これらの有機シロキサン化合物は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができる。
また、原料ガスとしては、例えば、メタン、エタン、エチレン、アセチレンの有機化合物ガスを上記の有機シロキサン化合物と併用してもよい。
原料ガスの供給量は、任意に設定することができるが、例えば、好ましくは1〜1000sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)であり、より好ましくは10〜200sccmである。
また、成膜ガスとしては、原料ガスの他に反応ガスを用いてもよい。このような反応ガスとしては、原料ガスと反応して酸化物、窒化物等の無機化合物となるガスを適宜選択して使用することができる。酸化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、酸素、オゾンを用いることができる。また、窒化物を形成するための反応ガスとしては、例えば、窒素、アンモニアを用いることができる。これらの反応ガスは、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができる。例えば酸窒化物を形成する場合には、酸化物を形成するための反応ガスと窒化物を形成するための反応ガスとを組み合わせて使用することができる。原料ガスに対する反応ガスのガス流量比率は、例えば、好ましくは原料ガス:反応ガス=1:1〜20、より好ましくは1:1〜10である。
成膜ガスとしては、原料ガスを真空チャンバ内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガスおよび放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス;水素を用いることができる。
また、真空チャンバ内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが0.1〜50Paの範囲とすることが好ましい。
フィルムの搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバ内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲とすることがより好ましい。
上記したように、本実施形態のより好ましい態様としては、ガスバリア層を、図1に示す内部に磁場発生部を備える対向ロール電極を有するプラズマCVD装置(ロール・トゥ・ロール方式)を用いたプラズマCVD法によって成膜するものである。これは、上記のようなプラズマCVD装置(ロール・トゥ・ロール方式)を用いて量産する場合に、可撓性(屈曲性)に優れ、機械的強度、特にロール・トゥ・ロールでの搬送時の耐久性と、バリア性能とが両立するガスバリア層を効率よく製造することができるためである。このような製造装置は、太陽電池や電子部品などに使用される温度変化に対する耐久性が求められるガスバリア性フィルムを、安価でかつ容易に量産することができる点でも優れている。
ガスバリア層は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。ガスバリア層が2層以上の積層構造である場合、それぞれのガスバリア層に含まれる金属は同じものであってもよいし異なるものであってもよい。ガスバリア層が2層以上の積層構造である場合は、ガスバリア層の厚さとしてはその総厚をガスバリア層の厚さとする。
ガスバリア層の厚さ(2層以上の積層構造である場合はその総厚)は、ガスバリア性能の観点から、第2のガスバリア層の厚さ(2層以上の積層構造である場合はその総厚)は、10〜1000nmであることが好ましく、25〜600nmであることがより好ましく、50〜300nmであることがさらに好ましい。この範囲であれば、ガスバリア性と耐久性とのバランスが良好となり好ましい。ガスバリア層の厚さは、TEM観察により測定することができる。
ガスバリア層の組成分析はX線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)を用いて、デプス(Depth)プロファイルを行うことで膜の深さ方向の組成を分析できる。すなわち、ガスバリア性フィルムのガスバリア層の表面をエッチングしながら、その表面からの深さ(厚さ)方向の組成を測定する。
ガスバリア層の組成分析は、XPSデプスプロファイル測定により得られる。得られるケイ素、酸素、炭素等の分布曲線は、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は膜厚方向におけるガスバリア層の膜厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離(L)に概ね相関することから、「ガスバリア層の膜厚方向におけるガスバリア層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるガスバリア層の表面からの距離を採用することができる。
《XPS分析条件》
・装置:QUANTERASXM(アルバック・ファイ株式会社製)
・X線源:単色化Al−Kα
・測定領域:Si2p、Al2p、Nb3d、Ta4d、Hf4d、Ti2p、Zr3d、Ru3d、Y3p、C1s、N1s、O1s
・照射X線:単結晶分光AlKα
・X線のスポットおよびそのサイズ:800×400μmの楕円形
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:1分間のスパッタ後に測定を繰り返す。
・装置:QUANTERASXM(アルバック・ファイ株式会社製)
・X線源:単色化Al−Kα
・測定領域:Si2p、Al2p、Nb3d、Ta4d、Hf4d、Ti2p、Zr3d、Ru3d、Y3p、C1s、N1s、O1s
・照射X線:単結晶分光AlKα
・X線のスポットおよびそのサイズ:800×400μmの楕円形
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:1分間のスパッタ後に測定を繰り返す。
スパッタ条件;
エッチング速度(SiO2熱酸化膜換算値):0.05nm/sec;
エッチング間隔(SiO2換算値):10nm;
・データ処理:MultiPak(アルバック・ファイ株式会社製)
・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量する。
エッチング速度(SiO2熱酸化膜換算値):0.05nm/sec;
エッチング間隔(SiO2換算値):10nm;
・データ処理:MultiPak(アルバック・ファイ株式会社製)
・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量する。
本発明に係る製造方法では、ガスバリア性フィルムに種々の機能を有する層(機能層)を設けてもよい。
なお、ガスバリア性フィルムに機能層を設ける場合は、太陽電池や有機EL素子等の電子デバイスとして利用されることから、機能層も透明であることが好ましい。すなわち、好ましくは、機能層の光線透過率が通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは91%以上である。
(アンカーコート層)
ガスバリア層を形成する側の基材の表面には、基材とガスバリア層との密着性の向上を目的として、アンカーコート層を形成してもよい。
ガスバリア層を形成する側の基材の表面には、基材とガスバリア層との密着性の向上を目的として、アンカーコート層を形成してもよい。
アンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により支持体上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりアンカーコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5.0g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
また、アンカーコート層は、物理蒸着法または化学蒸着法といった気相法により形成することもできる。例えば、特開2008−142941号公報に記載のように、接着性等を改善する目的で酸化珪素を主体とした無機膜を形成することもできる。あるいは、特開2004−314626号公報に記載されているようなアンカーコート層を形成することで、その上に気相法により無機薄膜を形成する際に、基材側から発生するガスをある程度遮断して、無機薄膜の組成を制御するといった目的でアンカーコート層を形成することもできる。
また、アンカーコート層の厚さは、特に制限されないが、0.5〜10μm程度が好ましい。
(ハードコート層)
基材の表面(片面または両面)には、ハードコート層を有していてもよい。ハードコート層に含まれる材料の例としては、例えば、熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられるが、成形が容易なことから、活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましい。このような硬化性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
基材の表面(片面または両面)には、ハードコート層を有していてもよい。ハードコート層に含まれる材料の例としては、例えば、熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられるが、成形が容易なことから、活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましい。このような硬化性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することによって硬化させて、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物を含む層、すなわちハードコート層が形成される。活性エネルギー線硬化性樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化性樹脂が好ましい。予めハードコート層が形成されている市販の基材を用いてもよい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系の紫外線硬化性樹脂であるZ−731L(アイカ工業株式会社製)、オプスター(登録商標)Z7527(JSR株式会社製)等が好ましく用いられる。
ハードコート層の形成方法は、特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法(塗布法)、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
ハードコート層を形成する際の塗膜の乾燥温度は、特に制限されないが、40〜120℃であることが好ましい。
ハードコート層を硬化する際に用いる活性エネルギー線としては、紫外線が好ましい。
紫外線照射装置としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀ランプ等が挙げられる。紫外線照射条件は、特に制限されないが、例えば、空気下で行うことが挙げられる。紫外線照射エネルギー量は、特に制限されないが、0.3〜5J/cm2であることが好ましい。
紫外線照射装置としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀ランプ等が挙げられる。紫外線照射条件は、特に制限されないが、例えば、空気下で行うことが挙げられる。紫外線照射エネルギー量は、特に制限されないが、0.3〜5J/cm2であることが好ましい。
また、ハードコート層の厚さは、特に制限されないが、0.5〜10μm程度が好ましい。
(平滑層)
ガスバリア性フィルムは、基材とガスバリア層との間に、平滑層を形成してもよい。平滑層は、突起等が存在する基材の粗面を平坦化し、あるいは、基材に存在する突起により透明無機化合物層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。このような平滑層は、基本的には感光性材料、または、熱硬化性材料を硬化させて作製される。
ガスバリア性フィルムは、基材とガスバリア層との間に、平滑層を形成してもよい。平滑層は、突起等が存在する基材の粗面を平坦化し、あるいは、基材に存在する突起により透明無機化合物層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。このような平滑層は、基本的には感光性材料、または、熱硬化性材料を硬化させて作製される。
平滑層の感光性材料としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。具体的には、JSR株式会社製のUV硬化性有機/無機ハイブリッドハードコート材 オプスター(登録商標)シリーズを用いることができる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
熱硬化性材料として具体的には、クラリアント社製のトゥットプロムシリーズ(有機ポリシラザン)、セラミックコート株式会社製のSP COAT耐熱クリアー塗料、株式会社アデカ製のナノハイブリッドシリコーン、DIC株式会社製のユニディック(登録商標)V−8000シリーズ、EPICLON(登録商標) EXA−4710(超高耐熱性エポキシ樹脂)、信越化学工業株式会社製の各種シリコン樹脂、日東紡株式会社製の無機・有機ナノコンポジット材料SSGコート、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。この中でも特に耐熱性を有するエポキシ樹脂ベースの材料であることが好ましい。
平滑層の形成方法は、特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法(塗布法)、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
平滑層の形成では、上述の感光性樹脂に、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、平滑層の積層位置に関係なく、いずれの平滑層においても、成膜性向上および膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
平滑層の厚さとしては、フィルムの耐熱性を向上させ、フィルムの光学特性のバランス調整を容易にする観点から、1〜10μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、2μm〜7μmの範囲にすることが好ましい。
平滑層の平滑性は、JIS B 0601:2001で規定される表面粗さで表現される値で、十点平均粗さRzが、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。この範囲であれば、バリア層を塗布形式で塗布した場合であっても、ワイヤーバー、ワイヤレスバー等の塗布方式で、平滑層表面に塗工手段が接触する場合であっても塗布性が損なわれることが少なく、また、塗布後の凹凸を平滑化することも容易である。
ガスバリア性フィルムの水蒸気透過度は、5×10−3g/(m2・day)未満であることが好ましく、1×10−3g/(m2・day)未満であることがより好ましく、5×10−4g/(m2・day)未満であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、「水蒸気透過度」の値は、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された値を採用するものとする。なお、測定条件は、温度:38±0.5℃、相対湿度(RH):90±2%である。
ガスバリア性フィルムの波長450nmにおける光透過率は、88%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、91%以上であることがさらに好ましい(上限100%)。なお、本明細書において、「波長450nmにおける光透過率」の値は、分光測色計CM−3700A(コニカミノルタ株式会社製)を用いてガスバリア性フィルムの透過スペクトルを測定した値を採用するものとする。
本発明に係る製造方法によって得られたガスバリア性フィルムは、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく適用できる。電子デバイス本体の例としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、液晶表示素子(LCD)、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池(PV)等を挙げることができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。以下の実施例においては、特記しない限り、「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を意味し、各操作は、室温(25℃)で行われる。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<試料1の作製>
(基材の準備)
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラー(登録商標)(U48))を基材として用いた。この基材のガスバリア層を形成する面とは反対の面に、厚さ0.5μmのアンチブロック機能を有するハードコート層を形成した。すなわち、紫外線(UV)硬化性樹脂(アイカ工業株式会社製、品番:Z731L)を乾燥膜厚が0.5μmになるように基材に塗布した後、80℃で乾燥し、その後、空気下、高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量0.5J/cm2の条件で硬化を行った。
<試料1の作製>
(基材の準備)
両面に易接着処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラー(登録商標)(U48))を基材として用いた。この基材のガスバリア層を形成する面とは反対の面に、厚さ0.5μmのアンチブロック機能を有するハードコート層を形成した。すなわち、紫外線(UV)硬化性樹脂(アイカ工業株式会社製、品番:Z731L)を乾燥膜厚が0.5μmになるように基材に塗布した後、80℃で乾燥し、その後、空気下、高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量0.5J/cm2の条件で硬化を行った。
次に、基材のガスバリア層を形成する側の面に厚さ2μmのハードコート層を以下のようにして形成した。JSR株式会社製、UV硬化性樹脂オプスター(登録商標)Z7527を、乾燥膜厚が2μmになるように基材に塗布した後、80℃で乾燥し、その後、空気下、高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量0.5J/cm2の条件で硬化を行った。このようにして、ハードコート層付基材を得た。以降、本実施例および比較例においては、便宜上、このハードコート層付基材を単に基材と称する。
(CVD原料の準備)
2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)に、ジブチルスズジラウリレートを混合し、スズ(Sn)濃度が1μg/L(混合物全体の体積に対するスズの割合)となるように調製したプラズマCVD原料を準備した。
2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)に、ジブチルスズジラウリレートを混合し、スズ(Sn)濃度が1μg/L(混合物全体の体積に対するスズの割合)となるように調製したプラズマCVD原料を準備した。
(ガスバリア層の形成)
上記基材を、図1の模式図で表されるようなプラズマCVD装置にセットして真空排気した。その後、当該基材の一方の面上(上記で形成した厚さ2μmのハードコート層上)に、上記のプラズマCVD原料を用いてSiOCを主成分とするガスバリア層を膜厚60nmで形成して、プラズマCVD法で試料1を作製した。この際、上記プラズマCVD原料をベーキングして気化した原料ガス100sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)と酸素ガス300sccmとを装置内に供給し、成膜時の装置内圧力を1Paに設定した。またプラズマ発生用電源として、100kHzの高周波電源を用いた。また、フィルムの搬送速度(ライン速度)は、5m/minとした。
上記基材を、図1の模式図で表されるようなプラズマCVD装置にセットして真空排気した。その後、当該基材の一方の面上(上記で形成した厚さ2μmのハードコート層上)に、上記のプラズマCVD原料を用いてSiOCを主成分とするガスバリア層を膜厚60nmで形成して、プラズマCVD法で試料1を作製した。この際、上記プラズマCVD原料をベーキングして気化した原料ガス100sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)と酸素ガス300sccmとを装置内に供給し、成膜時の装置内圧力を1Paに設定した。またプラズマ発生用電源として、100kHzの高周波電源を用いた。また、フィルムの搬送速度(ライン速度)は、5m/minとした。
[実施例2]
<試料2の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が0.1μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例1と同様にして試料2を作製した。
<試料2の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が0.1μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例1と同様にして試料2を作製した。
[実施例3]
<試料3の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が3μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例1と同様にして試料3を作製した。
<試料3の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が3μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例1と同様にして試料3を作製した。
[実施例4]
<試料4の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が5μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例1と同様にして試料4を作製した。
<試料4の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が5μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例1と同様にして試料4を作製した。
[実施例5]
<試料5の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が10μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例1と同様にして試料5を作製した。
<試料5の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が10μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例1と同様にして試料5を作製した。
[比較例1]
<試料6の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が11μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例1と同様にして試料6を作製した。
<試料6の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が11μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例1と同様にして試料6を作製した。
[実施例6]
<試料7の作製>
TMCTSとヘキサクロロ白金(IV)酸とを混合し、白金(Pt)濃度が3μg/L(混合物全体の体積に対する白金の割合)となるように調製したプラズマCVD用原料を用いた以外は実施例1と同様にして試料7を作製した。
<試料7の作製>
TMCTSとヘキサクロロ白金(IV)酸とを混合し、白金(Pt)濃度が3μg/L(混合物全体の体積に対する白金の割合)となるように調製したプラズマCVD用原料を用いた以外は実施例1と同様にして試料7を作製した。
[実施例7]
<試料8の作製>
TMCTSとクロロ(トリフェニルホスフィン)金(I)とを混合し、金(Au)濃度が3μg/L(混合物全体の体積に対する金の割合)となるように調製したプラズマCVD用原料を用いた以外は実施例1と同様にして試料8を作製した。
<試料8の作製>
TMCTSとクロロ(トリフェニルホスフィン)金(I)とを混合し、金(Au)濃度が3μg/L(混合物全体の体積に対する金の割合)となるように調製したプラズマCVD用原料を用いた以外は実施例1と同様にして試料8を作製した。
[比較例2]
<試料9の作製>
プラズマCVD原料を、金属化合物を添加しないTMCTSに変更した以外は実施例1と同様にして試料9を作製した。
<試料9の作製>
プラズマCVD原料を、金属化合物を添加しないTMCTSに変更した以外は実施例1と同様にして試料9を作製した。
[比較例3]
TMCTSと酢酸銀(I)とを混合し、銀(Ag)濃度が3μg/L(混合物全体の体積に対する銀の割合)となるように調製したプラズマCVD用原料を用いた以外は実施例1と同様にして試料10を作製した。
TMCTSと酢酸銀(I)とを混合し、銀(Ag)濃度が3μg/L(混合物全体の体積に対する銀の割合)となるように調製したプラズマCVD用原料を用いた以外は実施例1と同様にして試料10を作製した。
[比較例4]
TMCTSとテトラクロロ銅(II)と酸を混合し、銅(Cu)濃度が3μg/L(混合物全体の体積に対する銅の割合)となるように調製したプラズマCVD用原料を用いた以外は実施例1と同様にして試料11を作製した。
TMCTSとテトラクロロ銅(II)と酸を混合し、銅(Cu)濃度が3μg/L(混合物全体の体積に対する銅の割合)となるように調製したプラズマCVD用原料を用いた以外は実施例1と同様にして試料11を作製した。
[実施例8]
<試料12の作製>
HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)にジブチルスズジラウリレートを混合し、スズ濃度が1μg/L(混合物全体の体積に対するスズの割合)となるように調製したプラズマCVD原料に変更したこと以外は実施例1と同様にして試料12を作製した。
<試料12の作製>
HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)にジブチルスズジラウリレートを混合し、スズ濃度が1μg/L(混合物全体の体積に対するスズの割合)となるように調製したプラズマCVD原料に変更したこと以外は実施例1と同様にして試料12を作製した。
[実施例9]
<試料13の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が3μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例8と同様にして試料13を作製した。
<試料13の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が3μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例8と同様にして試料13を作製した。
[実施例10]
<試料14の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が5μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例8と同様にして試料14を作製した。
<試料14の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が5μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例8と同様にして試料14を作製した。
[実施例11]
<試料15の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が10μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例8と同様にして試料15を作製した。
<試料15の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が10μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例8と同様にして試料15を作製した。
[比較例5]
<試料16の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が11μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例8と同様にして試料16を作製した。
<試料16の作製>
プラズマCVD原料を、スズ濃度が11μg/Lとなるように調製したこと以外は実施例8と同様にして試料16を作製した。
[実施例12]
<試料17の作製>
HMDSOとヘキサクロロ白金(IV)酸とを混合し、白金濃度が3μg/Lとなるように調製したプラズマCVD用原料を用いた以外は実施例8と同様にして試料17を作製した。
<試料17の作製>
HMDSOとヘキサクロロ白金(IV)酸とを混合し、白金濃度が3μg/Lとなるように調製したプラズマCVD用原料を用いた以外は実施例8と同様にして試料17を作製した。
[実施例13]
<試料18の作製>
HMDSOとクロロ(トリフェニルホスフィン)金(I)とを混合し、金濃度が3μg/Lとなるように調製したプラズマCVD用原料を用いた以外は実施例8と同様にして試料18を作製した。
<試料18の作製>
HMDSOとクロロ(トリフェニルホスフィン)金(I)とを混合し、金濃度が3μg/Lとなるように調製したプラズマCVD用原料を用いた以外は実施例8と同様にして試料18を作製した。
[比較例6]
<試料19の作製>
プラズマCVD原料を、金属化合物を添加しないHMDSOに変更した以外は実施例8と同様にして試料19を作製した。
<試料19の作製>
プラズマCVD原料を、金属化合物を添加しないHMDSOに変更した以外は実施例8と同様にして試料19を作製した。
[実施例14]
<試料20の作製>
DMTSO(デカメチルテトラシロキサン)にジブチルスズジラウリレートを混合し、スズ濃度が3μg/Lとなるように調製したプラズマCVD原料に変更したこと以外は実施例1と同様にして試料20を作製した。
<試料20の作製>
DMTSO(デカメチルテトラシロキサン)にジブチルスズジラウリレートを混合し、スズ濃度が3μg/Lとなるように調製したプラズマCVD原料に変更したこと以外は実施例1と同様にして試料20を作製した。
[実施例15]
<試料21の作製>
TEOS(テトラエトキシシラン)にジブチルスズジラウリレートを混合し、スズ濃度が3μg/Lとなるように調製したプラズマCVD原料に変更したこと以外は実施例1と同様にして試料21を作製した。
<試料21の作製>
TEOS(テトラエトキシシラン)にジブチルスズジラウリレートを混合し、スズ濃度が3μg/Lとなるように調製したプラズマCVD原料に変更したこと以外は実施例1と同様にして試料21を作製した。
[評価方法]
<ガスバリア性評価>
水蒸気透過率測定装置AQUATRAN2(MOCON社製)を用いて、試料1〜21の温度38℃、相対湿度90%RHにおける水蒸気透過度[g/(m2・24h)]([g/(m2・day)])を測定した。
<ガスバリア性評価>
水蒸気透過率測定装置AQUATRAN2(MOCON社製)を用いて、試料1〜21の温度38℃、相対湿度90%RHにおける水蒸気透過度[g/(m2・24h)]([g/(m2・day)])を測定した。
測定した水蒸気透過度から、下記評価基準にしたがってガスバリア性をランク評価した。水蒸気透過度は数値が小さいほどガスバリア性が高く、ランク1〜3が実用可能なガスバリア性である。
(評価基準)
ランク1 ◎ :水蒸気透過度が、5×10−4g/(m2・24h)未満
ランク2 〇 :水蒸気透過度が、5×10−4g/(m2・24h)以上1×10−3g/(m2・24h)未満
ランク3 〇△:水蒸気透過度が、1×10−3g/(m2・24h)以上5×10−3g/(m2・24h)未満
ランク4 △ :水蒸気透過度が、5×10−3g/(m2・24h)以上1×10−2g/(m2・24h)未満
ランク5 △×:水蒸気透過度が、1×10−2g/(m2・24h)以上5×10−2g/(m2・24h)未満
ランク6 × :水蒸気透過度が、5×10−2g/(m2・24h)以上。
ランク1 ◎ :水蒸気透過度が、5×10−4g/(m2・24h)未満
ランク2 〇 :水蒸気透過度が、5×10−4g/(m2・24h)以上1×10−3g/(m2・24h)未満
ランク3 〇△:水蒸気透過度が、1×10−3g/(m2・24h)以上5×10−3g/(m2・24h)未満
ランク4 △ :水蒸気透過度が、5×10−3g/(m2・24h)以上1×10−2g/(m2・24h)未満
ランク5 △×:水蒸気透過度が、1×10−2g/(m2・24h)以上5×10−2g/(m2・24h)未満
ランク6 × :水蒸気透過度が、5×10−2g/(m2・24h)以上。
<光学特性>
分光測色計CM−3700A(コニカミノルタ株式会社製)を用いて透過スペクトルを測定し、試料1〜21の波長450nmにおける光透過率(%)から下記評価基準にしたがって透明性をランク評価した。ランク1〜3が実用可能な透明性である。
ランク1 ◎ :波長450nmにおける光透過率が、91%以上
ランク2 〇 :波長450nmにおける光透過率が、90%以上91%未満
ランク3 〇△:波長450nmにおける光透過率が、88%以上90%未満
ランク4 △ :波長450nmにおける光透過率が、85%以上88%未満
ランク5 △×:波長450nmにおける光透過率が、80%以上85%未満
ランク6 × :波長450nmにおける光透過率が、80%未満。
分光測色計CM−3700A(コニカミノルタ株式会社製)を用いて透過スペクトルを測定し、試料1〜21の波長450nmにおける光透過率(%)から下記評価基準にしたがって透明性をランク評価した。ランク1〜3が実用可能な透明性である。
ランク1 ◎ :波長450nmにおける光透過率が、91%以上
ランク2 〇 :波長450nmにおける光透過率が、90%以上91%未満
ランク3 〇△:波長450nmにおける光透過率が、88%以上90%未満
ランク4 △ :波長450nmにおける光透過率が、85%以上88%未満
ランク5 △×:波長450nmにおける光透過率が、80%以上85%未満
ランク6 × :波長450nmにおける光透過率が、80%未満。
本出願は、2016年6月28日に出願された日本特許出願番号2016−127952号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として組み入れられている。
1 ガスバリア性フィルム、
2 基材、
3 ガスバリア層、
31 製造装置、
32 送り出しローラー、
33、34、35、36 搬送ローラー、
39、40 成膜ローラー、
41 ガス供給管、
42 プラズマ発生用電源、
43、44 磁場発生部、
45 巻取りローラー。
2 基材、
3 ガスバリア層、
31 製造装置、
32 送り出しローラー、
33、34、35、36 搬送ローラー、
39、40 成膜ローラー、
41 ガス供給管、
42 プラズマ発生用電源、
43、44 磁場発生部、
45 巻取りローラー。
Claims (5)
- Sn、Pt、およびAuからなる群から選択される少なくとも一つの金属元素を0.1〜10μg/L、ならびに有機シロキサン化合物を含む組成物を用いて、プラズマ化学気相蒸着法によりガスバリア層を基材上に形成することを含む、ガスバリア性フィルムの製造方法。
- 前記有機シロキサン化合物が、分子内にSi−O−Si構造を有する、請求項1に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
- 前記有機シロキサン化合物が、環状シロキサン化合物である、請求項2に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
- 前記組成物中の金属元素の量が、2〜5μg/Lである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
- 前記プラズマ化学気相蒸着法によるガスバリア層の形成を、内部に磁場発生部を備える対向ロール電極を有するプラズマCVD装置により行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
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JP2016127952 | 2016-06-28 | ||
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- 2017-04-27 WO PCT/JP2017/016809 patent/WO2018003274A1/ja active Application Filing
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