JP2012081951A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】タイヤ1は、タイヤ幅方向断面内において、サイドウォール部6及びビード部7の少なくとも一方の外側面に、カーカス5よりタイヤ幅方向外側に中心を有する一つ以上の円弧からなる凹部8を形成してなり、ビードコア2のタイヤ径方向外側に、サイドウォール部6を構成するゴムよりもゴム硬度が大きいゴムからなる硬スティフナー9を具え、硬スティフナー9のタイヤ径方向外側端は、凹部8のタイヤ径方向の幅中心位置よりもタイヤ径方向内側にある。また、カーカス本体部3及びカーカス折返し部4に沿って、タイヤ径方向に対し傾斜して延びるコードをゴム被覆してなる少なくとも一層のスチールコード補強層12を具え、スチールコード補強層12のタイヤ径方向外側端13は、硬スティフナー9のタイヤ径方向外側端10よりもタイヤ径方向内側にある。
【選択図】図1
Description
ここで、「サイドウォール部及びビード部の少なくとも一方の外側面」とは、サイドウォール部もしくはビード部のいずれか一方のみならず、それらの両者にわたる外側面をも含む意である。また、「一つ以上の円弧により区画される凹部」とは、複数の円弧の組み合わせにより区画される凹部をも含む意である。
また、かかるカーカス5に沿って巻回してなる、スチールコードをゴム被覆してなる少なくとも一層のスチールコード補強層12を具え、図2に示すように、該スチールコード12aの各々は、タイヤの回転軸を中心とする円周Oと該スチールコード12aとの交点における該円周Oの法線nに対して傾斜している。
更に、スチールコード補強層12のカーカス5及びビード部7のタイヤ幅方向外側にあるタイヤ径方向外側端13は、硬スティフナー9のタイヤ径方向外側端10よりもタイヤ径方向内側に位置している。なお、上記タイヤ1は、適用リム14のリムフランジ15に組み付けたタイヤ1と適用リム14の組立体となっている。
このとき、硬スティフナー9のモジュラスは11.27〜15.20MPaの範囲にあり、軟スティフナー18のモジュラスは1.56〜5.49MPaの範囲にあり、かつ、中間スティフナー19のモジュラスは3.23〜7.15MPaの範囲にあることが好ましい。なぜなら、硬スティフナー9のモジュラスを11.27〜15.20MPaの範囲とすることで、ビード部の倒れ込みを防止することができるからである。また、軟スティフナー18のモジュラスを1.56〜5.49MPaの範囲とすることで、軟スティフナー18のスティフナー割れを防止することができるからである。また、中間スティフナー19のモジュラスを3.23〜7.15MPaの範囲とすることで、ビード部の耐久性の低下を防ぐとともに、スティフナー割れの発生を防止することができるからである。
このように分割して各部品を製造することにより、製造が困難なWIND構造を作ることができ、また、プライの巻き込み不良の発生を回避することができる。
ここで、上記の有機繊維コード補強層20は、ビードコア2の周りで巻き返さずに、スチールコード補強層12(又はカーカス5)のタイヤ幅方向外側かつ折り返し部側のみに具えるようにする、すなわち、有機繊維コード補強層20のタイヤ径方向内側端22は、スチールコード補強層12のタイヤ幅方向外側かつ折り返し部側に位置させることにより、タイヤ全体の重量を低減することができる。この場合、ビード部7の倒れ込み変形の抑制効果は、ビードコア2の周囲で巻き返した場合と同等である。
まず、ビード部に硬スティフナーを具える従来技術に従うタイヤ(従来例タイヤ1)、ビード部に硬スティフナー及びスチールコード補強層を具える従来技術に従うタイヤ(従来例タイヤ2)、ビード部に凹部を具える従来技術に従うビード部を具えるタイヤ(従来例タイヤ3)、ビード部に凹部及びスチールコード補強層を具える比較のためのタイヤ(比較例タイヤ1)、ビード部に凹部及び硬スティフナーを具える比較のためのタイヤ(比較例タイヤ2)、並びに、この発明に従うビード部を具えるこの発明のタイヤ(発明例タイヤ1及び2)をタイヤサイズ11R22.5にて、夫々試作し、性能評価を行ったので、以下に説明する。
表3の有機繊維コードの傾斜角度θは、図2に示したように、タイヤの回転軸を中心とする円周Oと有機繊維コード20との交点における円周Oの法線nに対して傾斜した角度であり、法線nに対して右に傾斜している場合にはRが、左側に傾斜している場合にはLが、角度の前に付されている。例えば、発明例タイヤ3は、第1の補強層の有機繊維コードが法線nに対して右に45°、第2の補強層の有機繊維コードが法線nに対して左に45°傾斜している。
こうして用意された各タイヤに対して、ビード部のへたり量の評価(試験1)を行った。すなわち、表3に示すタイヤを、それぞれリムサイズ11.75×22.5のリムに装着し、内圧を900kPaとし、オゾンドラム試験機上に取り付け、試験荷重37.24kN、試験速度60km/hで3万km走行させた。そして、デプスゲージを用いてビード部のへたり量を測定し、比較例タイヤ3のへたり量の程度を100として、指数評価した。ここで、値が小さい程へたり量が小さいことを示している。
次いで、上記試験1に供した各タイヤのビード部のオゾンクラック数を測定した。この場合についても、比較例タイヤ3のオゾンクラック数を100として指数評価し、値が小さい程、オゾンクラック数が小さいことを示している。得られたビード部のへたり量及びオゾンクラック数を表4に示す。
この表4から明らかなように、有機繊維コードが法線となす角が45°の場合に、リムフランジ付近のゴム流動領域の軽減と、有機繊維コード補強層端での故障抑制を両立できることが分かる。
2 ビードコア
3 カーカス本体部
4 カーカス折返し部
5 カーカス
6 サイドウォール部
7 ビード部
8 凹部
9 硬スティフナー
10 硬スティフナーのタイヤ径方向外側端
11 幅中心位置
12 スチールコード補強層
12a スチールコード
13 スチールコード補強層のタイヤ径方向外側端
14 適用リム
15 リムフランジ
16 ビードコアのタイヤ径方向外側端
17 凹部のタイヤ径方向内側端
18 軟スティフナー
19 中間スティフナー
20 有機繊維コード補強層
20a 有機繊維コード
21 有機繊維コード補強層のタイヤ径方向外側端
22 有機繊維コード補強層のタイヤ径方向内側端
Claims (13)
- 一対のビードコア間にわたってトロイダル状に跨りタイヤ径方向に延びるコードをゴム被覆したプライからなるカーカス本体部と、該カーカス本体部から各ビードコアの周りに巻き返してカーカス折返し部を有するカーカスを骨格とし、タイヤ幅方向断面内において、サイドウォール部及びビード部の少なくとも一方の外側面に、カーカスよりタイヤ幅方向外側に中心を有する一つ以上の円弧により区画される凹部を有し、該ビードコアのタイヤ径方向外側に、サイドウォール部を構成するゴムよりもゴム硬度が大きいゴムからなる硬スティフナーを具え、該硬スティフナーのタイヤ径方向外側端は、前記凹部のタイヤ径方向の幅中心位置よりもタイヤ径方向内側にある空気入りタイヤにおいて、
前記カーカス本体部及びカーカス折返し部に沿って巻回してなる、スチールコードをゴム被覆してなる少なくとも一層のスチールコード補強層を具え、該スチールコードの各々は、タイヤの回転軸を中心とする円周と該スチールコードとの交点における該円周の法線に対して傾斜しており、前記スチールコード補強層のカーカス及びビード部のタイヤ幅方向外側にあるタイヤ径方向外側端は、該硬スティフナーのタイヤ径方向外側端よりもタイヤ径方向内側に位置してなることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記スチールコード補強層のタイヤ径方向外側端から前記タイヤのビード・トウと前記硬スティフナーの径方向外側端とを通る直線に降ろした垂線と、前記ビードコアのタイヤ幅方向外側端から前記ビード・トウと前記硬スティフナーの径方向外側端とを通る直線に降ろした垂線との間の距離は、7〜20mmの範囲にある、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記硬スティフナーのタイヤ径方向外側端と、前記スチールコード補強層のタイヤ幅方向外側端から前記ビード・トウと前記硬スティフナーの径方向外側端とを通る直線に降ろした垂線との間の距離は、5〜10mmの範囲にある、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記凹部のタイヤ径方向内側端から前記ビード・トウと前記硬スティフナーの径方向外側端とを通る直線に降ろした垂線と、前記ビードコアのタイヤ幅方向外側端から前記ビード・トウと前記硬スティフナーの径方向外側端とを通る直線に降ろした垂線との間の距離は、20〜40mmの範囲にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 適用リムへの組付け前の、前記凹部の曲率半径が、30〜200mmの範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカス折り返し部の少なくとも一部を前記ビードコアの周りに塑性変形させて巻き回してなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記スチールコードは、タイヤの回転軸を中心とする円周と該スチールコードとの交点における該円周の法線に対し50〜70°の範囲で傾斜してなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記硬スティフナーのタイヤ径方向外側に、該硬スティフナーに隣接し、該硬スティフナーのモジュラスよりも小さなモジュラスを有する軟スティフナーと、
前記硬スティフナー及び前記軟スティフナーのタイヤ幅方向外側に、該硬スティフナー及び軟スティフナーに隣接し、前記硬スティフナーのモジュラスよりも小さく、前記軟スティフナーのモジュラスよりも大きなモジュラスを有する中間スティフナーとを具える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。 - 前記硬スティフナーのモジュラスは、11.27〜15.20MPaの範囲にあり、前記軟スティフナーのモジュラスは、1.56〜5.49MPaの範囲にあり、前記中間スティフナーのモジュラスは、3.23〜7.15MPaの範囲にある、請求項1〜8のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記スチールコード補強層のタイヤ幅方向外側かつ折り返し部側に有機繊維コードをゴム被覆してなる少なくとも二層の有機繊維コード補強層を更に具え、
該有機繊維コードの各々は、タイヤの回転軸を中心とする円周と該有機繊維コードとの交点における該円周の法線に対して傾斜しており、前記有機繊維コード補強層のタイヤ径方向外側端は前記凹部のタイヤ径方向内側端よりもタイヤ径方向外側に位置する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。 - 前記有機繊維コードは、前記法線に対し30〜60°の範囲で傾斜してなる、請求項10に記載の空気入りタイヤ。
- 前記有機繊維コード補強層を構成する有機繊維コードは、前記少なくとも二層の有機繊維コード補強層間で互いに交差する、請求項10又は11に記載の空気入りタイヤ。
- 前記有機繊維コード補強層のタイヤ径方向外側端から前記タイヤのビード・トウと前記硬スティフナーの径方向外側端とを通る直線に降ろした垂線と、前記凹部のタイヤ径方向内側端から前記ビード・トウと前記硬スティフナーの径方向外側端とを通る直線に降ろした垂線との間の距離は、10〜40mmの範囲にある、請求項10〜12のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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