JP2012079523A - 非水電解質二次電池及び組電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極活物質の主材料としてリン酸鉄リチウム化合物を含む非水電解質二次電池において、密閉式の電池筐体5内の流体圧が設定圧力に達するに伴って前記電池筐体5内の発電要素3から電極端子に至る電流路を遮断する電流遮断装置1が備えられている。又、上記の非水電解質二次電池と、正極活物質の主材料としてリン酸鉄リチウム化合物以外の材料を含む非水電解質二次電池とを直列接続して組電池CBを構成している。
【選択図】図1
Description
一方、近年、 正極活物質としてリン酸鉄リチウム化合物を使用する非水電解質二次電池の研究及び実用化が進んでいる。
正極活物質としてリン酸鉄リチウム化合物を使用する非水電解質二次電池は、正極活物質としてコバルト酸リチウム化合物等のリン酸鉄リチウム化合物以外の化合物を使用する非水電解質二次電池に比較してエネルギー密度は低いものの、下記特許文献2にも記載のように、熱安定性に優れているという特質を有している。
従って、正極活物質としてリン酸鉄リチウム化合物を使用する非水電解質二次電池では、その熱安定性の高さもあって、リン酸鉄リチウム化合物以外の活物質を使用する電池について使用する上記電流遮断装置の使用は考慮されなかった。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、正極活物質としてリン酸鉄リチウム化合物を使用する非水電解質二次電池を、より一層有効に活用できるようにする点にある。
本発明は、リン酸鉄リチウム化合物を正極活物質として使用する非水電解質二次電池は、それの電池電圧−残存電池容量の特性において、充電による残存電池容量(以下において、単に「残存容量」と称する場合がある)の増加に対して急激に電池電圧が上昇する特性、及び、リン酸鉄リチウム化合物は熱安定性が優れており、過充電状態においても安定しているという特性に着目してなされたものである。
従って、リン酸鉄リチウム化合物を正極活物質として使用する非水電解質二次電池を過充電状態とした場合、急激に電解液の分解反応が進行して、電池筐体内の流体圧(通常、ガス圧)が急激に上昇し、それを検出して動作する電流遮断装置は、電池の充放電の状態の変化に対して、動作する位置が極めて安定することになる。又、電流遮断装置が動作する時点においては過充電状態になっているものの、そのような状態でも正極活物質の熱安定性が高いので連鎖的な発熱反応(いわゆる熱暴走)が生じる可能性が極めて低い。更に又、電池電圧が上昇し始めると直ちに電流遮断装置が動作する関係となるので、過充電状態の期間が短く、その結果、電池温度の上昇を抑制できる。
ちなみに、活物質としてコバルト酸リチウム等のリン酸鉄リチウム以外の化合物を使用する非水電解質二次電池では、上記電流遮断装置を備えても、電池電圧−残存電池容量の特性において、残存電池容量の増加に対して電池電圧の変化がそれほど極端には大きくない状態の領域が上記電流遮断装置の動作域となり、又、電解液の分解反応が生じる正極電位が温度によって変化するために、残存電池容量の変化に対して電流遮断装置が動作するタイミングが不安定となり易い。
上記電流遮断装置が作動する時点では既に過充電状態であり、そして上記の電池電圧−残存容量特性から、その過充電状態になってからいくらかの充電時間が経過しているので、熱によって正極の安定性が低下した状態となっている。そのような状態の正極は、電解液や電解液に含まれる添加剤と化学反応しやすく、周囲の温度によっては当該反応が連鎖的に進行する、いわゆる熱暴走が生じやすいこととなる。
このような状態で、電流遮断装置の動作タイミングが不安定であるということは、装置の信頼性を著しく低下させてしまう虞がある。
そこで、複数の非水電解質二次電池を直列接続して組電池を構成する場合、その非水電解質二次電池の中に、上記電流遮断装置を備えると共に、活物質の主材料をリン酸鉄リチウム化合物とした非水電解質二次電池を含めることで、他のリチウム化合物を活物質とする非水電解質二次電池と直列に接続して組電池を構成すれば、組電池全体として極めて安定して電流遮断装置を動作させ得ることとなり、電池温度の上昇も抑制できる。
尚、上記の「正極活物質の主材料」とは、電池の電池電圧−残存容量特性において、少なくとも「主材料」として規定する化合物に固有の特性が現れる程度の割合で、「主材料」として規定する化合物を含むことを意味するものとし、以下において同様である。
従って、電流遮断装置が動作しても、適正な処理がなされて電池筐体の内圧が低下すると再度使用可能な状態に復帰するので、非水電解質二次電池を有効利用できる。
すなわち、上記非復帰式の電流遮断装置は、電池筐体の内圧の上昇に伴って電流路を遮断するだけの機能であるので、装置構成を単純化することができる。
すなわち、上述のように、リン酸鉄リチウム化合物を正極活物質として使用する非水電解質二次電池は、それの電池電圧−残存電池容量の特性において、残存電池容量の増加に対して急激に電池電圧が上昇する特性を有することが良く知られている。
従って、使用するガス発生材の分解電位(ガス発生電位)を適切に設定することで、電解液の分解反応がそれほど進行しない状態で、電流遮断装置を動作させるのに十分なガスを発生させることが可能となる。
これによって、過充電等によって電流遮断装置が作動する状況となっても、電解液の分解がそれほど進行せずとも流体圧を十分上昇させうるので、より低い温度で確実に遮断装置を作動させることができる。
又、これによって、過充電等によって電流遮断装置が作動する状況となっても、正極活物質の安定性が高いので連鎖的な発熱反応(いわゆる熱暴走)が生じる可能性が一層低くなる。そのため、本願の電池を高温条件下で使用して電流遮断装置が作動させたとしても、安全に使用することができる。
一方、活物質としてコバルト酸リチウム等のリン酸鉄リチウム以外の化合物を使用する非水電解質二次電池では、上述のような目的でガス発生材を使用すると、二次電池を高温に放置したときに電池性能が低下しやすくなるという問題が生じる。当該二次電池にガス発生剤を添加することによって電流遮断装置が作動するタイミングを早めることで過充電状態のまま充電される時間を短くすることができるのではあるが、このような設計のとおりに確実に作動させるためには所定の満充電電圧よりわずかに高い電圧で作動するガス発生材を選択する必要があるところ、そのようなガス発生剤を添加した電池は、高温放置したときにガス発生材が分解するという副反応が生じやすく、その結果として容量保持率が低下しやすいという問題が生じる。
すなわち、上述のように、正極活物質の主材料としてリン酸鉄リチウム化合物を使用している非水電解質二次電池では、満充電付近の電池電圧の急激な立ち上がりに伴って急激に電解液の分解反応が進行して、電池筐体内の流体圧(通常、ガス圧)が急激に上昇する。これによって、電池電圧が上昇し始めると直ちに電流遮断装置が動作する。
そこで、非水電解質二次電池を直列接続して組電池を構成する場合に、上記電流遮断装置を備えると共に、活物質の主材料をリン酸鉄リチウム化合物とした非水電解質二次電池で構成される第1の電池と、リン酸鉄リチウム化合物以外のリチウム化合物を活物質の主材料とする非水電解質二次電池で構成される第2の電池とを直列に接続して組電池を構成することで、残存電池容量の変化に対して上記第1の電池に備えられた電流遮断装置が的確に動作し、しかも電池の温度上昇を抑制できる。
又、本発明の組電池においては、第2の電池には電流遮断装置を備えないようにすることによって電池の内部抵抗を低減することができるとともに、部品点数削減によって製造コストを低減することができる。
前記複合酸化物としては、化学式Lix1MO2−δ1 (ただし、Mは、Co、NiまたはMnの群から選ばれる1種または2種以上の元素を表し、0.4≦x1≦1.2、0≦δ1≦0.5)を用いることができる。尚、x1は,リチウム欠損,リチウム過剰,リチウム挿入脱離等により変化する。δ1は酸素欠損等により変化する。前記複合酸化物は、Al、Mn、Fe、Ni、Co、Cr、Ti、Zn、Zrから選ばれる少なくとも一種の元素、または、P、Bなどの非金属元素を含有してもよい。また、前記複合酸化物としては、リチウムとニッケルとの複合酸化物を用いることが好ましい。リチウムとニッケルとの複合酸化物としては、化学式Lix2NipM1qM2rO 2−δ2 で表される正極活物質(ただし、M1、M2はAl、Mn、Fe、Co、Cr、Ti、Zn、Zrから選ばれる少なくとも一種の元素、または、P、Bであり、0.4≦x2≦1.2、0.8≦p+q+r≦1.2、0≦δ2≦0.5である)などを用いることができる。
すなわち、これらの化合物を活物質の主材料とする非水電解質二次電池では、上述のように、上記電流遮断装置を備えても、電池電圧−残存電池容量の特性において、残存電池容量の増加に対して電池電圧の変化がそれほど極端には大きくない状態の領域が上記電流遮断装置の動作域となるために、残存電池容量の変化に対して電流遮断装置が動作するタイミングが不安定となり易い。
そこで、これらの非水電解質二次電池と上記第1の電池とを直列に接続して組電池を構成することで、組電池全体として、過充電状態となったとき等に的確に通電電流を遮断することができ、電池温度の上昇も抑制することができる。
第2の電池の満充電電圧は、所望の仕様に応じて適宜設定される電圧であり、通常は、目的の充放電容量が得られるように設定される。例えば、電池電圧4V〜4.3Vである。そのほか、電池の劣化を考慮して、高温条件下で使用される場合には、残存電池容量が減少するというデメリットがあるものの、いくらか低めの満充電電圧が設定されることもある。つまり、上記の発明は、第2の電池が通常の方法で設定された充電および放電のセットを設計の通りに繰り返している場合には、第1の電池の電流遮断装置が遮断作動しないようにするというものである。
従って、上記第2の電池の電池電圧が例えば4.3Vとなってほぼ満充電の状態となったときでも、上記第1の電池は、それの電池電圧が急激に立ち上がる状態には至っておらず、上記第2の電池容量を確実に活用しながら、満充電時の容量を越えて充電反応が進んでしまった時、上記第1の電池によって過充電状態等の場合に的確に電流遮断させることができる。
又、上記第2の発明によれば、電流遮断装置が動作しても、適正な処理がなされて電池筐体の内圧が低下すると再度使用可能な状態に復帰するので、非水電解質二次電池を有効利用でき、非水電解質二次電池を備える設備(装置)の管理コストの低減に寄与できる。
又、電流遮断装置が作動した後の電池を廃棄する場合には、充電された状態にある電池を放電させてから処理することが容易であるため,好適である。
又、上記第3の発明によれば、電流遮断装置の装置構成を単純化することができるので、装置コストの低減を図れる。
又、上記第4の発明によれば、過充電等によって電流遮断装置が作動する状況となっても、電解液の分解がそれほど進行せずとも流体圧が上昇するので、電池温度の上昇を抑制できる。又、正極活物質の安定性が高いので連鎖的な発熱反応(いわゆる熱暴走)が生じる可能性がいっそう低くなる。そのため、本願の電池を高温条件下で使用して電流遮断装置が作動させたとしても、安全に使用することができる。
又、上記第6の発明の構成によれば、組電池全体として、過充電状態となったとき等に的確に通電電流を遮断することができ、電池温度の上昇も抑制することができる。
又、上記第7の発明の構成によれば、上記第2の電池容量を確実に活用しながら、上記第1の電池によって過充電状態等の場合に的確に電流遮断させることができる。尚、電池の劣化や自己放電量の違いによって第2の電池の満充電までに第1の電池電圧の上昇が生じる場合は、第2の電池を適度に放電させる制御回路を設けることにより、常に第1の残存電池容量が大きくなるように調整すれば良い。
本実施の形態では、2つの非水電解質二次電池(具体的には、リチウムイオン電池)を直列接続して組電池を構成する場合を例示して説明する。
本実施の形態の組電池CBは、図1に概略的に示すように、電流遮断装置1を備えていない非水電解質二次電池A(以下において、単に「電池A」と称する)と、電流遮断装置1を備えている非水電解質二次電池B(以下において、単に「電池B」と称する)とを直列接続している。
電池Aでは、発電要素2の両極が電池筐体4に取り付けられた電極端子4a,4bに接続されている。
一方、電池Bでは、発電要素3の両極が電池筐体5に取り付けられた電極端子5a,5bに接続されているのであるが、発電要素3から電極端子5aに至る電流路の途中箇所に電流遮断装置1が設置されている。
又、詳細な説明は省略するが、各電池A,Bの電池筐体4,5には安全弁が取り付けられている。
電流遮断装置1は、詳細な説明を省略するが、流体圧によって変位する弁体等の動きと連動させて、操作対象の電気回路の通電を遮断する装置であり、密閉式の電池筐体5内の流体圧(具体的には、気圧)が設定圧力に達するに伴って、発電要素3から電極端子5aに至る電流路を遮断する。
電流遮断装置1には、電流路を遮断した後、電流遮断装置に作用する流体圧が低下すると電流路の遮断を解除して通電を許容する状態に復帰する復帰式の電流遮断装置と、電流路を遮断した後、電流遮断装置に作用する流体圧が低下しても電流路の遮断を維持する非復帰式の電流遮断装置とがあるが、本実施の形態では、電池筐体内の流体圧が低下するに伴って、発電要素3から電極端子5aに至る電流路の遮断を解除する復帰式の電流遮断装置1を使用している。
もちろん、電池筐体内の流体圧が低下しても、発電要素3から電極端子5aに至る電流路の遮断を維持する非復帰式の電流遮断装置を使用して、構成の簡素化を図っても良い。
上記ガス発生材としては、炭酸リチウム(LiCO3)あるいはビフェニルの他、シクロヘキシルベンゼン、クメン、ナフタレン、トルエン、ベンゼン、キシレン、フルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、2−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、ジフェニルエーテル、tert−ブチルベンゼン、オルトターフェニル、メタターフェニル、フルオロナフタレン、フルオロベンゼン、2,4−ジフルオロアニソールなどの芳香族化合物等を使用できる。
尚、電池Bについても、ガス発生材の添加は必須のものではなく、添加しなくても良い。後述の試験結果で明らかなように、電池Bにガス発生材を添加しなくても良好な結果を示している。
具体的には、電池Bは、正極活物質の主材料としてリン酸鉄リチウム化合物を使用している。より具体的には、正極活物質をリン酸鉄リチウム化合物のみで構成している。
一方、電池Aは、正極活物質の主材料として、リン酸鉄リチウム化合物以外の化合物を使用している。電池Aの正極活物質に使用するリン酸鉄リチウム化合物以外の化合物としては、コバルト、ニッケルおよびマンガンのうちの少なくとも一つとリチウムとを有する複合酸化物で良い。
すなわち、複数の非水電解質二次電池を直列接続した組電池CBにおいて、その非水電解質二次電池として、正極活物質の主材料としてリン酸鉄リチウム化合物を含む電池B(第1の電池)と、正極活物質の主材料としてリン酸鉄リチウム化合物以外の材料を含む電池A(第2の電池)とが備えられている。
電池Aと電池Bとは、上記のように正極活物質として使用している材料が異なることで、電池電圧−残存容量特性(残存電池容量に対する電池電圧の変化特性)が、図3に示すように、かなり異なる特性を示している。
図3では、電池Aの特性を曲線Pで示し、電池Bの特性を曲線Qで示している。
正極活物質にリン酸鉄リチウム化合物を使用している電池Bは、満充電付近で残存容量の増加に対して電池電圧が急激に立ち上がる特性を示すのが特徴的である。
本実施の形態では、電池Aにおいては、電池電圧が4.3Vのときを満充電として取り扱うものとする。
図3においては、電池Aが満充電のときの残存容量を「a」で示し、電池Bにおける電池電圧が急激に立ち上がる位置の残存容量を「b」で示しており、b>aの関係となるように各電池A,Bの正極活物質の量等を設定している。尚、残存容量「a」および「b」の位置は、正極活物質の量を変更することによって任意に調整することができる。
すなわち、残存容量「a」と残存容量「b」との対比でわかるように、電池B(第1の電池)についての残存電池容量に対する電池電圧の変化特性における満充電付近において電池電圧が急激に上昇する位置の残存電池容量が、電池電圧が4.3Vのときの電池B(第2の電池)の残存電池容量よりも大きくなるように設定されている。尚、図3の電池Aの特性は、正極活物質としてコバルト酸リチウム化合物を使用した場合のものであるが、上記したニッケル酸リチウム化合物等の他の材料でも同様の特性である。
従って、組電池CBに対する充放電制御は、電池Aの充電状態に基づいて制御されることになり、適正に制御されている状態においては、上記の残存容量差がマージンとなって、電池電圧が急速に立ち上がる残存容量まで電池Bが充電されることはなく、電池Bに備えられた電流遮断装置1が動作して上記電流路を遮断してしまうことはない。
この大電流過充電試験は、組電池CBに対して1CAの電流を流して充電する試験であり、この試験を行った後の電池温度を測定した。又、この試験を行った組電池とは別の組電池CBを準備し、高温で放置したときの容量保持率の測定も行った。容量保持率は、高温放置したあとの組電池の放電容量を放置前の組電池の放電容量で割った数字に100をかけることによって計算した。組電池の放電容量は、電池Aが満充電になるまで1CAで充電した組電池を電池Aが完全に放電するまで1CAで放電したときの放電容量とした。高温放置したあとの組電池の放電容量は、高温放置処理の後、一旦完全に放電させてから放電容量を測定した。放置条件は、55℃で30日間とし、組電池を充電した状態で放置した。このときの充電は、充電電流1CAにて電池Aの電池電圧が4.2V(この電圧はSOCが約90%になっていることを意味する)になるまで行った。尚、電池Aおよび電池Bの容量は約15Ahとし、負極はグラファイトを活物質として備えたものを用いた。
試験結果を、比較試験の結果と共に、表1に示している。
比較試験の表1の「遮断機構の有無」は、電池Bでの電流遮断装置1の有無を示し、「添加剤」は上記ガス発生材として使用している材料を示している。「添加剤」の欄が「−」となっているものはガス発生材を添加していないことを示している。ガス発生材としてビフェニルを添加する場合は、電解液に添加する方法でビフェニルを筺体内に含ませた。ビフェニルの添加量は、電解質と溶媒とビフェニルの合計質量に対するビフェニルの質量の割合が2質量%となるように調整した。炭酸リチウム(Li2CO3)を用いる場合は、正極の活物質に添加する方法で炭酸リチウムを筺体内に含ませた。炭酸リチウムの添加量は、正極活物質、導電材、バインダおよび炭酸リチウムの合計質量に対する炭酸リチウムの質量が4質量%となるように調整した。なお、ガス発生材の添加量は、所望のガス発生量に応じて適宜変更することができる。
電池Aの構成については、いずれも正極活物質としてLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2を使用したものであり、上述のように電流遮断装置1は備えていない。
左端欄の通し番号で「4」〜「10」の比較試験に関しては、本実施の形態の組電池CBと同様に2つの非水電解質二次電池を直列接続した構成で、本実施の形態の電池Aに相当するものは全く共通であり、本実施の形態の電池Bと比較して、正極活物質の構成材料が異なる物、及び、電流遮断装置1の有無が異なるもので比較試験用の組電池を構成している。
「最高温度」の欄は、電池A及び電池Bのうちの温度が高い方の電池を示している。
表1において、本発明を適用した組電池CBである「1」〜「3」の試験組電池では、「過充電試験結果」が良好であるのはもちろんのこと、「最高温度」も非常に低く、「容量保持率」も問題のない値を示している。
特に、「添加剤」として炭酸リチウム(LiCO3)あるいはビフェニルというガス発生材を添加したものは、「最高温度」が更に低くなり、より早い段階で電流遮断装置1が動作する流体圧(気圧)に達したことを示している。
更に、正極活物質を「LiFePO4」ではなく「LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2」として、炭酸リチウムあるいはビフェニルというガス発生材を添加した場合は、添加しない場合に比べて電池温度は低下しているものの、「容量保持率」が小さくなり、電池が劣化していることを示している。
これを、図2に示す電池電圧−残存容量特性によって説明する。
尚、図2の電池電圧−残存容量特性は、図3のものと異なり、残存容量は正極活物質1gあたりの残存容量で表示している。
図2の曲線Rは、正極活物質をコバルト酸リチウム化合物としたものを示しているが、「LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2」を正極活物質とした場合もほぼ同様である。
炭酸リチウムやビフェニル等のガス発生材は、それらが正極で電気化学的に反応して分解されることに起因して炭酸ガスや水素ガスを発生させるものと考えられており、ガスの発生は正極電位に依存する。
曲線Rで示すような電池電圧−残存容量特性を有する場合は、満充電に相当する電池電圧(例えば、4.3V)よりも高い電圧領域(図2において矢印Eで指し示す斜線領域)でガスを発生させるように設定する。
ガス発生材は、温度が高くなるにしたがって分解し易くなるという性質が有るので、電池温度が高い場合には、矢印Eで指し示す斜線領域よりも低い電池電圧においても分解反応が進むことがある。この現象は、曲線Rで示すような電圧特性の電池、つまり、通常使用の電池電圧範囲(残存容量ゼロのときの電池電圧から満充電に相当する電池電圧までの範囲)とガス発生材を作動させたい電池電圧とが比較的近い電池において避けられないものである。放置試験時の電池電圧下でこのような分解反応が進行した場合、電池の容量保持率が低下することになる。表1左端欄の通し番号で「5」及び「6」のものにおいて、容量保持率が他と比べて低かったのは、そのような劣化モードが作用したためと考えられる。
これに対して、本発明を適用した表1左端欄の通し番号で「2」及び「3」の組電池CBは、同じ炭酸リチウムあるいはビフェニルをガス発生材として添加していても、電解液の分解はそれほどには進行せず、電池の劣化を抑制できるものとなっている。これは、正極活物質としてリン酸鉄リチウム化合物を使用しているため、通常使用の電池電圧範囲が大幅に低く、ガス発生剤が分解する電池電圧とのマージンが大きいためと考えられる。つまり、高温放置によってガス発生剤の分解反応の生じる電位が卑になった(低下した)としても、放電試験中の電池の正極電位まで至ることはなく、結果的にガス発生材の分解反応が抑制されたためと考えられる。
図2においては、正極活物質を「LiFePO4」とした場合の非水電解質二次電池の電池電圧−残存容量特性を曲線Sにて示しているが、その曲線S上において、矢印Fで指し示す斜線領域のように、更に低い電池電圧でガス発生動作するガス発生材を使用することも可能であり、その場合には、ガス発生材の選択肢が増えるばかりでなく、更に電池温度の上昇の抑制に寄与できる。
従って、電池温度も高温となっており、電流遮断装置1を有していないので、ガス発生材の添加と電池温度との関連性も見られない。
更に又、表1左端欄の通し番号で「10」の、電池Bに相当する電池について、電流遮断装置1を備えず、更に正極活物質を「LiFePO4」ではなく「LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2」としている組電池は、電池温度が更に高温となっている。
上記実施の形態では、2つの非水電解質二次電池を直列接続して組電池CBを構成する場合を例示しているが、3つ以上の非水電解質二次電池を直列接続して組電池CBを構成しても良い。
この場合、組電池CBを構成する非水電解質二次電池のうちの少なくとも1つが、上記実施の形態における電池Bの構成を有するものであれば良い。
3 発電要素
5 電池筐体
5a,5b 電極端子
A 第2の電池
B 第1の電池
Claims (7)
- 正極活物質の主材料としてリン酸鉄リチウム化合物を含む非水電解質二次電池であって、
密閉式の電池筐体内の流体圧が設定圧力に達するに伴って前記電池筐体内の発電要素から電極端子に至る電流路を遮断する電流遮断装置が備えられている非水電解質二次電池。 - 前記電流遮断装置は、前記電池筐体内の流体圧が低下するに伴って前記電流路の遮断を解除する復帰式に構成されている請求項1記載の非水電解質二次電池。
- 前記電流遮断装置は、前記電池筐体内の流体圧が低下しても前記電流路の遮断を維持する非復帰式に構成されている請求項1記載の非水電解質二次電池。
- 前記電池筐体内に電池電圧の上昇に伴ってガスを発生するガス発生材を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
- 複数の電池を直列接続した組電池であって、
前記電池として、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池で構成される第1の電池と、正極活物質の主材料としてリン酸鉄リチウム化合物以外の材料を含む非水電解質二次電池で構成される第2の電池とが備えられている組電池。 - 前記第2の電池は、正極活物質として、コバルト、ニッケルおよびマンガンのうちの少なくとも一つとリチウムとを有する複合酸化物を含む非水電解質二次電池である請求項5記載の組電池。
- 前記第1の電池についての、残存電池容量に対する電池電圧の変化特性における満充電付近において電池電圧が急激に上昇する位置の残存電池容量が、電池電圧が満充電電圧のときの前記第2の電池の残存電池容量よりも大きくなるように設定されている請求項5又は6記載の組電池。
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