JP2012078810A - トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 結着樹脂、炭化水素ワックス及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーにおいて、該炭化水素ワックスは、加熱脱着/GC/MS分析において、加熱温度200℃加熱時間10分間において検出される特定の炭素数の範囲の成分の総量の関係を規定したことを特徴とするトナー。
【選択図】 図1
Description
本発明におけるワックスの揮発成分濃度は以下の方法で測定する。尚、加熱脱着は、ATD(Auto Thermal Desorption)法によって行われる。測定装置としては以下の測定装置を用いる。
加熱脱着装置:TurboMatrixATD(パーキンエルマー社製)
GC/MS :TRACE DSQ(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
あらかじめ10mgのTenaxTA吸着剤をガラスウールで挟んだ加熱脱着装置用のガラスチューブを作製し、不活性雰囲気ガスを流した状態下で、温度300℃、3時間コンディショニングを行ったものを用意する。その後、重水素化n−ヘキサデカン(n−ヘキサデカンD34)100ppmのメタノール溶液5μLをTenaxTAに吸着させ、内部標準物質入りガラスチューブとする。
秤量したワックス約1mgをあらかじめ温度300℃で焼き出ししたアルミホイルに包み、(内部標準物質入りガラスチューブの作製)で準備した専用チューブに入れる。このサンプルを加熱脱着装置用のテフロン(登録商標)のキャップでフタをし、加熱脱着装置へセットする。このサンプルを下記条件で測定し、内部標準物質の揮発成分によるリテンションタイムとピーク面積、および、内部標準物質の揮発成分によるピークを除いたn−ヘキサデカン以降の全ピーク面積を算出する。
チューブ温度:200℃
トランスファー温度:300℃
バルブ温度:300℃
カラム圧力:150kPa
入口スプリット:25ml/min.
出口スプリット:10ml/min.
2次吸着管材質:TenaxTA
保持時間:10min.
脱着時2次吸着管温度:−30℃
2次吸着管脱着温度:300℃
カラム:ウルトラアロイ(金属製カラム)UT−5(内径0.25mm、液相0.25μm、長さ30m)
カラム昇温条件:60℃(保持時間3分)、60℃から350℃まで昇温(昇温速度20.0℃/min)、350℃(保持時間10分)
なお、加熱脱着装置のトランスファーラインとGCカラムは直結させ、GC注入口は使用しない。
上記操作で得られたピークのうち、内部標準物質である重水素化n−ヘキサデカンのピークを除いたn−ヘキサデカンのリテンションタイム以降のすべてのピークを積分し、全ピークの合計値を算出する。そして、下記式よりワックスの揮発成分濃度を算出する。この際、ピークとは異なるノイズピーク等を積分値に加えないよう注意する。
ワックスの揮発成分濃度(ppm)
=〔(a1/b1)×{(100×5/1000000)×0.77}/c1〕×1000000
a1・・・n−ヘキサデカン以降(重水素化n−ヘキサデカンのピークは除く)の全ピーク面積
b1・・・重水素化n−ヘキサデカン(内部標準物質)のピーク面積
c1・・・秤量したワックスの重量(mg)
0.77(g/ml)・・・重水素化n−ヘキサデカン(内部標準物質)の密度
本発明に特に適した短行程蒸留装置は、ワイプトフィルム蒸発装置が挙げられる。
本発明においては、炭化水素ワックスに加えて、離型作用や樹脂の可塑化を補うために、エステルワックスの如き極性ワックスを併用して用いてもよい。これらの極性ワックスとしては、好ましくは最大吸熱ピークのピークトップ温度が70〜110℃である。例えば次のようなワックスがあげられる。カルナバワックス及びその誘導体の如きワックスで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。その他、アルコールワックス、脂肪酸ワックス、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトンワックス、硬化ひまし油及びその誘導体、植物系ワックス、動物系ワックス、モンタンワックスである。中でも好ましく用いられる極性ワックスは、カルナバワックス、直鎖状のアルコールワックス、脂肪酸ワックス、酸アミドワックス、エステルワックスあるいは、モンタン系誘導体である。これらの極性ワックスの含有量は、結着樹脂100.0質量部に対し、前述本発明で用いられる炭化水素ワックスと併せて総量で1.0質量部以上20.0質量部以下で用いるのが効果的である。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66。
トナーおよびワックスの最大吸熱ピークのピークトップ温度、並びに、トナーの吸熱量は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
具体的には、測定試料のトナーまたはワックスを約5mg精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて温度30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークにおけるピークトップ温度を、本発明のトナーおよびワックスそれぞれのDSC測定における吸熱曲線の最大吸熱ピークのピークトップ温度とする。また、トナーに対してこの測定の際に得られた吸熱量を本発明における示差走査熱量(DSC)測定における吸熱ピークの吸熱量とする。
ワックスの分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
装置:HLC−8121GPC/HT(東ソー社製)
検出器:高温用RI
カラム:TSKgel GMHHR−H HT 2連(東ソー社製)
温度:135.0℃
溶媒:ゲルクロマトグラフ用o−ジクロロベンゼン(BHT 0.10wt/vol%添加)
流速:1.0ml/min
注入量:0.4ml
ワックスの分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。さらに、得られた測定結果をMark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
専用ソフトの標準測定方法(SOM)を変更画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。 専用ソフトのパルスから粒径への変換設定画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
天然ガス由来のフィッシャートロプシュワックス(融点77℃)を原料とし、ワイプトフィルム蒸発装置を用いて、温度180℃、圧力2Paの条件で30分保持した後、195℃まで段階的に昇温し、15質量%の軽質留分を取り除いた。続いて圧力を1Paにして280℃まで段階的に昇温し、蒸留残渣5質量%を取り除いた収率80質量%の蒸留ワックスを分取した。分取した蒸留ワックスを、分子蒸留装置を用いて温度195℃、圧力0.2Paの条件で軽質留分を取り除き、最終収率が原料に対して70質量%となるワックス1を得た。ワックス1を200℃で10分間加熱して揮発した成分のGC/MS分析の測定結果を図1に示す。
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを天然ガス由来のフィッシャートロプシュワックス(融点90℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス2を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分5質量%、蒸留残渣5質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分10質量%を除去した。最終収率は80質量%であった。
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを石炭由来のフィッシャートロプシュワックス(融点105℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス3を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分2.5質量%、蒸留残渣2.5質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分10質量%を除去した。最終収率は85質量%であった。
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを原油から得られたスラックワックス(融点75℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス4を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分15質量%、蒸留残渣5質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分20質量%除去した。最終収率は60質量%であった。
ワックス4の製造方法において、分子蒸留の蒸留時間を調整し、軽質留分の除去量を10質量%に変更する以外は同様の方法で処理を行い、最終収率70質量%のワックス5を得た。
ワックス4の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置で蒸留残渣を除去する工程を行わず、分子蒸留の蒸留時間を調整し、軽質留分の除去量を10質量%に変更する以外は同様の方法で処理を行い、最終収率75質量%のワックス6を得た。
ワックス1の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス7を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分2.5質量%、蒸留残渣2.5質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分10質量%除去した。最終収率は85質量%であった。
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを原油から得られたスラックワックス(融点54℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行い、ワックス8を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分30質量%、蒸留残渣10質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分30質量%除去した。最終収率は30質量%であった。
ワックス8の製造方法において、分子蒸留の蒸留時間を調整することで軽質留分の除去量を20質量%に変更する以外は同様の処理を行い、最終収率40質量%のワックス9を得た。
ワックス2の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置を用いた蒸留工程を行わなかったこと以外は同様の処理を行い、最終収率90質量%のワックス10を得た。
ワックス3の製造方法おいて、ワイプトフィルム蒸発装置を用いた蒸留工程を行わなかったこと以外は同様の処理を行い、最終収率90質量%のワックス11を得た。
ワックス4の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置を用いた蒸留工程を行わなかったこと以外は同様の処理を行い、最終収率80質量%のワックス12を得た。
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを原油から得られたスラックワックス(融点60℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス13を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分15質量%、蒸留残渣15質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分20質量%を除去した。最終収率は50質量%であった。
ワックス13の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置を用いた蒸留時間を調整し、蒸留残渣の除去量を10質量%に変更する以外は同様の処理を行い、最終収率55質量%のワックス14を得た。ワックス14を200℃で10分間加熱して揮発させた成分のGC/MS分析の測定結果を図3に示す。
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを低分子量ポリエチレンワックス(融点50℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス15を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分25質量%、蒸留残渣10質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分20質量%を除去した。最終収率は45質量%であった。
ワックス15の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整することで軽質留分の除去量を15質量%に変更し、更に分子蒸留時間を長くすることで軽質留分の除去量を25質量%に変更する以外は同様の処理を行い、最終収率50質量%のワックス16を得た。
ワックス15の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整することで軽質留分の除去量を15質量%に変更する以外は同様の処理を行い、最終収率55質量%のワックス17を得た。
ワックス15の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整することで、軽質留分の除去量を15質量%、蒸留残渣の除去量を15質量%変更し、分子蒸留は行わなかった。それ以外は同様の処理を行い、最終収率70質量%のワックス18を得た。
ワックス1の製造方法において、原料のワックスをマイクロクリスタリンワックス(融点82℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス19を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分30質量%、蒸留残渣10質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分30質量%を除去した。最終収率は30質量%であった。
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを低分子量ポリプロピレンワックス(融点80℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス20を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分20質量%、蒸留残渣20質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分10質量%を除去した。最終収率は50質量%であった。
ワックス20の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整することで軽質留分の除去量を10質量%、蒸留残渣の除去量を10質量%に変更する以外は同様の処理を行い、最終収率70質量%のワックス21を得た。
ワックス21の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整することで蒸留残渣の除去量を5質量%に変更する以外は同様の処理を行い、最終収率75質量%のワックス22を得た。
ワックス20の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整することで軽質留分の除去量を10質量%に変更し、蒸留残渣を除去する工程を行わず、更に分子蒸留の蒸留時間を調整することで軽質留分の除去量を5質量%に変更した。それ以外は同様の処理を行い、最終収率85質量%のワックス23を得た。
ワックス1の製造方法において、原料のワックスをポリエチレンワックス(融点105℃)に変更し、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整し、蒸留残渣を除去する工程を行わず、分子蒸留の蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス24を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分10質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分5質量%を除去した。最終収率は85質量%であった。
ワックス1の製造方法において、原料のワックスをポリエチレンワックス(融点95℃)に変更し、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整し、蒸留残渣を除去する工程を行わず、分子蒸留の蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス25を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分10質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分5質量%を除去した。最終収率は85質量%であった。
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを原油から得られたスラックワックス(融点75℃)に変更し、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整し、蒸留残渣の除去工程と分子蒸留工程を行わなかったこと以外は同様の方法で処理を行いワックス26を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分5質量%を除去した。最終収率は95質量%であった。
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを低分子量ポリプロピレンワックス(融点80℃)に変更し、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整し、蒸留残渣の除去工程と分子蒸留工程を行わなかったこと以外は同様の方法で処理を行いワックス27を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分5質量%を除去した。最終収率は95質量%であった。
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを天然ガス由来のフィッシャートロプシュワックス(融点77℃)に変更し、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整し、蒸留残渣の除去工程と分子蒸留工程を行わなかったこと以外は同様の方法で処理を行いワックス28を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分5質量%を除去した。最終収率は95質量%であった。
ワックス1の製造方法において、原料のワックスをポリエチレンワックス(融点115℃)に変更し、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整し、蒸留残渣の除去工程と分子蒸留工程を行わなかったこと以外は同様の方法で処理を行いワックス29を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分5質量%を除去した。最終収率は95質量%であった。
下記の手順によって懸濁重合法トナーを製造した。
・スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40.0質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3・・・・・・・・・・・・・・・6.5質量部
・帯電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学社製)・・・・・・1.0質量部
・帯電制御樹脂〔FCA−1001−NS(藤倉化成社製)〕・・・・・1.0質量部
からなる混合物を、スターミルLMZ2型(アジサワ・ファインテック社製)を用いて3時間分散し、顔料分散組成物を調整した。
・スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30.0質量部
・n−ブチルアクリレート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30.0質量部
・飽和ポリエステル樹脂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.0質量部
〔イソフタル酸/テレフタル酸/無水トリメリット酸/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2mol付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3mol付加物=50mol%/50mol%/0.1mol%/88mol%/22mol%から生成〕
(酸価10mgKOH/g、ピーク分子量10,000、重量平均分子量:9,900、Tg=72℃)
次に上記溶解液に、
・ワックス1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10.0質量部
・ジビニルベンゼン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.20質量部
を投入し、更に前記顔料分散組成物を加え、その後、混合液を温度65℃に加温した後にTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)にて、10,000r/minにて攪拌し、重合性単量体組成物を作成した。
トナーNo.1について、下記の様な改造を施した市販のレーザービームプリンターLBP9500C(キヤノン社製)を用いて、200,000枚の耐久試験を行った。プリンターの改造条件としては、普通紙モードのプロセススピードを360mm/secに、厚紙モードのプロセススピードを90mm/secに変更し、定着温調を200℃に設定した。耐久評価チャートは各色印字率が5%(フルカラー印字率20%)のオリジナルチャートを用い、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの全ステーションに、トナーNo.1を詰め替えたシアンカートリッジを装着し、トナーが無くなる毎にカートリッジ交換を行い、プリントを続けた。
A:定着器周辺に目立った汚染は見られない。
B:定着器周辺に微量の汚染が観察される。
C:定着ガイド部に汚染の広がりがはっきりと観察される。
D:定着器周辺にかなりの量の汚染が目立つ。
転写ベルト等への機内汚染に起因する画像上縦スジの有無を、ハーフトーン画像による目視評価と、より早期にかつ厳密にスジの発生有無を確認するために、ディザ処理を行わないハーフトーン画像(疑似中間調表現を行わず、レーザー光量の調整のみで中間調を再現した画像)を出力して、縦スジの有無を目視確認により評価した。
A:両ハーフトーン画像共に、縦スジは無く良好。
B:ハーフトーン画像にはスジが見られないが、ディザ処理を行わないハーフトーン画像において、うっすらとスジが見られる部分がある。但し画像品質上問題の無いレベル。
C:ハーフトーン画像においては縦スジが見え難いものの、ディザ処理を行わないハーフトーン画像においてははっきりとした縦スジが認められる。
D:ハーフトーン画像においても、目立った縦スジが認められる。
20mm四方のベタ黒パッチが現像域内に9箇所配置されたオリジナル画像を出力し、その9点平均濃度の初期画像濃度に対する耐久試験中の画像濃度の最大濃度差を比較することで、濃度安定性を評価した。画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。
A:最大濃度差0.15未満
B:最大濃度差0.15以上、0.25未満
C:最大濃度差0.25以上、0.30未満
D:最大濃度差0.30以上
ベタ全域画像(先端余白:5mm、トナー載り量0.45mg/cm2)をHP社製HP Color Laser Photo Paper,glossy(220g/m2)上に厚紙モード(プロセススピード90mm/sec、定着温調200℃)で出力し、定着画像内の75°グロスの最大値と最小値を測定し、その差を求めて定着画像均一性を下記基準により評価した。
A:グロス差2.0%未満
B:グロス差2.0%以上4.0%未満
C:グロス差4.0%以上6.0%未満
D:グロス差6.0%以上
下記の手順によって乳化凝集法トナーを製造した。
(樹脂粒子分散液1の調製)
・スチレン 90.0質量部
・nブチルアクリレート 20.0質量部
・アクリル酸 3.0質量部
・ドデカンチオール 6.0質量部
・四臭化炭素 1.0質量部
上記材料を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.5質量部をイオン交換水140質量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化した。この乳化液を10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム1質量部を溶解したイオン交換水10質量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が温度70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。こうして、平均粒径が0.17μm、ガラス転移点が57℃、重量平均分子量(Mw)が11,000である樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液1を調製した。
・スチレン 75.0質量部
・nブチルアクリレート 25.0質量部
・アクリル酸 2.0質量部
上記材料を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3質量部をイオン交換水140質量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化した。この乳化液を10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム0.8質量部を溶解したイオン交換水10質量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が温度70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。この様にして、平均粒径が0.1μm、ガラス転移点が61℃、重量平均分子量(Mw)が550,000である樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液2を調製した。
・ワックス2(融点92℃) 50.0質量部
・アニオン性界面活性剤 5.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200.0質量部
上記材料を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が0.5μmのワックスを分散させてなるワックス粒子分散液を調製した。
・C.I.ピグメントブルー15:3 20.0質量部
・アニオン性界面活性剤 2.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0質量部
上記材料を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この着色剤粒子分散液1における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 20.0質量部
(帯電制御剤、ボントロンE−88、オリエント化学工業社製)
・アニオン性界面活性剤 2.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0質量部
上記材料を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この帯電制御粒子分散液における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる帯電制御粒子の平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
・樹脂粒子分散液1 250.0質量部
・樹脂粒子分散液2 110.0質量部
・着色剤粒子分散液1 50.0質量部
・ワックス粒子分散液 80.0質量部
上記材料を、撹拌装置,冷却管,温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し撹拌した。この混合液を1N−水酸化カリウムを用いてpH=5.2に調整した。
この混合液に凝集剤として、10%塩化ナトリウム水溶液150質量部を滴下し、加熱用オイルバス中でフラスコ内を撹拌しながら温度57℃まで加熱した。この温度の時、3質量部の樹脂粒子分散液2と10質量部の帯電制御剤粒子分散液を加えた。温度50℃で1時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると重量平均粒径が約5.3μmである凝集粒子(A)が形成されていることが確認された。
その後、ここにアニオン製界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3質量部を追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら温度105℃まで加熱し、1時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、重量平均粒径(D4)が6.0μmのトナー粒子(2)を得た。このトナー粒子(2)100質量部に対し、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)で処理された、負極性に帯電する疎水性シリカ微粉体(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m2/g)1.8質量部をヘンシェルミキサーに投入し、3000r/minで15分間混合してトナーNo.2を得た。得られたトナーNo.2の物性を表2に示す。また、トナーNo.2について、実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
下記の手順によって粉砕法によるトナーを製造した。
・結着樹脂 100.0質量部
・C.I.Pigment Blue15:3 6.0質量部
・帯電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学社製) 1.0質量部
・ワックス 34.0質量部
ワックスの種類及び含有量を表2に示すように変更し、それ以外は実施例1と同様にして懸濁重合法トナーNo.4乃至13、16乃至27を得た。トナーNo.4乃至13、16乃至27の物性を表2に示す。また、トナーNo.4乃至13、16乃至27について、実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
ワックス2の代わりにワックス10、24、25を用い、ワックスの含有量を各々表2に示すように変更する以外は、実施例2と同様にして乳化凝集法トナーNo.14、28、29を得た。トナーNo.14、28、29の物性を表2に示す。また、トナーNo.14、28、29について、実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
ワックス3の代わりにワックス11を用いる以外は実施例3と同様にして粉砕法トナーNo.15を得た。トナーNo.15の物性を表2に示す。また、トナーNo.15について、実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
ワックス1の代わりにワックス26乃至28を用い、ワックスの含有量を17.0質量部に変更する以外は実施例1と同様にして懸濁重合法トナーNo.30乃至32を得た。トナーNo.30乃至32の物性を表2に示す。また、トナーNo.30乃至32について、実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
ワックス2の代わりにワックス29を用い、ワックスの含有量を17.0質量部に変更する以外は実施例2と同様にして乳化凝集法トナーNo.33を得た。トナーNo.33の物性を表2に示す。また、トナーNo.33について、実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
Claims (6)
- 結着樹脂、炭化水素ワックス及び着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該炭化水素ワックスを200℃で10分間加熱して揮発した成分のGC/MS分析において、
i)炭素数16の炭化水素のピーク検出時間以降に検出される成分の総量(A)が1500ppm以下であり、
ii)炭素数30の炭化水素のピーク検出時間以降に検出される成分の総量(B)が570ppm以下であり、
iii)該総量(B)と、炭素数16の炭化水素のピーク検出時間以降であり、炭素数29の炭化水素のピーク検出時間以前に検出される成分の総量(C)との関係が、
(B)/(C)≧2.0
である、
ことを特徴とするトナー。 - 前記総量(C)が200ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 前記炭化水素ワックスの含有量が、前記結着樹脂100.0質量部に対して1.0質量部以上17.0質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記トナーは、示差走査熱量(DSC)測定における吸熱ピークの吸熱量が、2.0J/g以上20.0J/g以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
- 前記炭化水素ワックスは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.0以上5.0以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
- 前記炭化水素ワックスは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるピーク分子量が4.0×102以上、1.4×103以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
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