JP2012078810A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】 プロセススピードの速い定着プロセスに対しても、プロセススピードの遅い定着プロセスに対しても、いずれも良好な定着画像品質を示し、度重なる使用においても機内汚染を抑制でき、長期にわたって優れた画像品質を維持できるトナーを提供する。
【解決手段】 結着樹脂、炭化水素ワックス及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーにおいて、該炭化水素ワックスは、加熱脱着/GC/MS分析において、加熱温度200℃加熱時間10分間において検出される特定の炭素数の範囲の成分の総量の関係を規定したことを特徴とするトナー。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、及び、トナージェット法の如き画像形成方法に用いられるトナーに関する。
多機能化の進んだ今日の複写機やプリンターにおいて、高速プロセスにおいて普通紙へのプリントの定着性が良好なトナーが求められている。一方で、低速プロセスで行われるグロス紙の如き厚紙への出力においては、均一で高い光沢度を示すトナーが望まれている。この様に、多様で苛酷な定着条件であっても良好な画像形成を行うために、トナーに用いられるワックスの改良が行われている。しかしながら、高速プリントや厚紙への出力を繰り返し行った場合、トナーに含有されているワックスが原因で、画像形成装置の機内汚染が発生するという新たな課題が生じている。そこで、高速プリント及び厚紙出力における長期間の使用においても、機内汚染(特に定着器付近)を防止することができるトナーが求められている。
特許文献1では、n−パラフィン含有率の高い低融点シャープメルトワックスを用いることで、定着性に優れるトナーが提案されている。特許文献2では、ワックスの炭化水素成分の平均炭素数を規定することで、耐ホットオフセット性に優れたトナーが提案されている。特許文献3では、DSCにより測定される吸熱ピークが特定の領域にあるワックスを用いることで、厚紙においても定着性に優れたトナーが提案されている。
特開2000−321815号公報 特開2006−84661号公報 特開2001−249486号公報
しかし、特許文献1及び2に記載のトナーは、定着性には優れているものの、定着プロセスにおける機内汚染の防止については、依然改善の余地がある。また、特許文献3に記載のトナーは、定着ローラに対する汚染は抑制できるものの、定着器周辺部材の機内汚染に関しては十分な改善効果が得られていない。
本発明の目的は、高速プロセス及び厚紙への出力のいずれにおいても良好な定着特性を示し、且つ長期間の使用においても機内汚染を抑制し、長期間にわたって画像品質を維持できるトナーを提供することにある。
本発明は、結着樹脂、炭化水素ワックス及び着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該炭化水素ワックスを200℃で10分間加熱して揮発した成分のGC/MS分析において、i)炭素数16の炭化水素のピーク検出時間以降に検出される成分の総量(A)が1500ppm以下であり、ii)炭素数30の炭化水素のピーク検出時間以降に検出される成分の総量(B)が570ppm以下であり、iii)該総量(B)と、炭素数16の炭化水素のピーク検出時間以降であり、炭素数29の炭化水素のピーク検出時間以前に検出される成分の総量(C)との関係が、(B)/(C)≧2.0である、ことを特徴とするトナーに関する。
本発明によれば、高速プロセス及び厚紙への出力のいずれにおいても良好な定着特性を示し、且つ長期間の使用においても機内汚染を抑制し、長期間にわたって画像品質を維持できるトナーを提供することができる。
本発明の実施例で用いたワックス1を200℃で10分間加熱して揮発した成分のGC/MS分析の測定結果を示す図である。 本発明の比較例で用いたワックス26を200℃で10分間加熱して揮発した成分のGC/MS分析の測定結果を示す図である。 本発明の比較例で用いたワックス14を200℃で10分間加熱して揮発した成分のGC/MS分析の測定結果を示す図である。
本発明者らは、複写機やプリンターにおける機内汚染の要因について鋭意検討を行った。その結果、トナー粒子に含有されるワックスの高沸点揮発成分量と画像形成装置内部汚染(以下、機内汚染と称す)の状態との間に高い相関があることを見出した。更に、高沸点揮発成分の組成比と汚染物質の堆積状態の関係や、定着プロセス条件における汚染発生メカニズムを詳細に検討し、機内汚染防止に有効なワックスを見出した。以下、ワックスの作用と機内汚染発生のメカニズムを説明し、続いて本発明のトナーを詳細に説明する。
ワックスを含有するトナーが定着プロセスで加熱されると、ワックスが溶融し、ワックスによる可塑効果及び離型効果があらわれる。その結果、トナーの定着性が向上し、定着部材へのトナーのオフセットや汚染が防止され、定着器での巻き付きや紙詰まりの如きトラブルも回避できる。
プロセススピードの速い定着プロセスにおいては、定着ニップ内でトナーを瞬時に溶融させる必要性から、定着温度を高めに設定するため、過剰な熱量がトナーに加わるケースが多い。本発明者らの検討によると、過剰な熱量がトナーに加わった状態で連続印字を続けた場合、画像形成装置内でワックス由来の高沸点揮発成分の濃度が高くなる現象が見られる。高沸点揮発成分は、画像形成装置内の構成部材と接触すると、瞬時に冷却されて析出し、析出物が堆積することで、機内汚染が起こる。機内汚染が進行すると、各種制御センサーの感度を鈍らせたり、機能部材の能力低下を引き起こす。その結果、画像品質が徐々に低下していき、メンテナンスや部材交換の必要にせまられ、画像形成装置の使用可能期間が短くなることがある。
一方、グロス紙への出力されるプリント画像は、写真に近い高い光沢度が求められる。そのため、グロス紙への出力の際には、プロセススピードを低速にして、トナーを十分溶融し、且つワックス成分を溶融樹脂表面に均一にしみ出させることで、平滑な定着面に仕上げられる。この様な定着プロセス条件においては、ワックスが十分にしみ出した状態で、トナーへの加熱時間が長くなるため、ワックス由来の高沸点揮発成分濃度が高くなり、部材汚染が進行する傾向にある。
本発明のトナーは、炭化水素ワックスを含有するトナー粒子を有する。一般に炭化水素ワックスは無極性であるため、トナーの結着樹脂によく用いられるスチレン−アクリル樹脂やポリエステル樹脂への相溶性が小さい。そのため、炭化水素ワックスを用いたトナーは、結着樹脂の過度な可塑化が抑えられるので、耐久性が求められる高速プロセスにおいても、現像性や耐オフセット性に優れる。また、炭化水素ワックスは、炭素数にある程度分布を持った炭化水素成分より構成されている。そのため、炭化水素ワックスは、定着プロセスにおいて発生し得る高沸点揮発成分において、そのワックス特有の炭素数分布を有している。
本発明者らは、トナーに炭化水素ワックス用いた際に発生する機内汚染成分を詳細に分析した結果、炭化水素ワックスを200℃で10分間加熱して揮発した成分のGC/MS分析を行った際のピークパターンと機内汚染進行具合に関係性があることを見出した。上記分析における200℃で10分間という加熱条件が、一般的な画像形成装置内における高沸点揮発成分の発生状況と近いためであると推察している。また、検討の結果、炭素数30以上の成分が、揮発して装置内にて析出し易く、この成分が機内汚染の大きな要因になっていることが分かった。
以上のような検討から、機内汚染を低減するためには、トナー粒子に含有される炭化水素ワックスの高沸点揮発成分の総量及びその中の炭素数30以上の成分の総量が少ないことが必要である。そこで、本発明のトナーが含有する炭化水素ワックスは、200℃で10分間加熱して揮発した成分のGC/MS分析において、炭素数16の炭化水素のピーク検出時間以降に検出される成分の総量(A)が1500ppm以下であり、炭素数30の炭化水素のピーク検出時間以降に検出される成分の総量(B)が570ppm以下であることを特徴としている。なお、本発明において、「炭素数16の炭化水素のピーク検出時間以降」には、炭素数16の炭化水素のピーク検出時間が含まれており、また、「炭素数30の炭化水素のピーク検出時間以降」には、炭素数30の炭化水素のピーク検出時間が含まれている。
本発明では、炭化水素ワックスが加熱されたときに発生する炭素数16以上の揮発成分が粒子として析出して機内を汚染することに着目した。ここで、総量(A)は、炭化水素ワックス中に存在する、機内汚染の要因となる高沸点揮発成分の総量の割合を表している。総量(A)を1500ppm以下にすることで、炭化水素ワックスから発生する高沸点揮発成分の量が少なくなるので、定着部材等の画像形成装置の機内への高沸点揮発成分の付着量を抑えることができる。また、さらに本発明では、炭化水素ワックスが加熱されたときに発生する炭素数30以上の揮発成分は、高沸点揮発成分の中でも特に析出し易く、機内汚染の大きな要因となる成分であることに着目した。そして、総量(B)の発生濃度を570ppm以下にすることで、機内汚染の原因となる粒子の生成を抑えることができることを見出した。総量(A)及び総量(B)を上記の範囲内にすることで、プロセススピードの速いマシーンで連続出力を長期間行った場合や、厚紙等に低速定着モードで多数枚のプリントを繰り返し行った場合においても、画像形成装置の機内汚染を効果的に抑制することが可能となる。
また、本発明のトナーに用いられる炭化水素ワックスは、200℃で10分間加熱して揮発した成分のGC/MS分析において、炭素数16の炭化水素のピーク検出時間以降、炭素数29の炭化水素のピーク検出時間以前に検出される成分は、分子量が比較的低いため、冷却されると液体、又は粘着性の高いペースト状の物体として析出すると考えられる。このような液体、又は粘着性の高いペースト状の析出物は、更なる付着や析出を引き起こしてしまいやすいため、この総量(C)も低減することが重要である。
本発明のトナーに用いられる炭化水素ワックスは、上述した総量(C)と総量(B)との関係が(B)/(C)≧2.0である必要がある。高沸点揮発成分のうち、炭素数30以上の成分に対して、炭素数が16以上29以下の成分の存在割合が大きくなると、析出物の粘着性が高くなり、画像形成装置内への高沸点揮発成分の付着の程度がひどくなってしまう。また、炭素数が16以上29以下の成分は比較的揮発性が高いため、高沸点揮発成分においてこの成分の割合が多くなると、機内汚染が広範囲に拡大してしまう。(B)/(C)が上記の関係を満たせば、実際の定着プロセスで発生する高沸点揮発成分の拡散を抑制し、析出物の付着性も低下するので、長期的な汚染物質の堆積抑制効果が大きくなる。
また、総量(C)は、200ppm以下である場合、特にグロス紙モードにおいて、多数枚の出力を繰り返し行った場合に発生する定着部材等の画像形成装置の機内汚染の発生が抑制される。又、高温高湿環境や、低温低湿環境といった苛酷な環境においても、突発的に発生する高沸点揮発成分の付着を低減できる。なお、本発明において、「炭素数29の炭化水素のピーク検出時間以前」には、炭素数29の炭化水素のピーク検出時間が含まれている。
<加熱脱着装置を用いたワックスの揮発成分濃度の測定>
本発明におけるワックスの揮発成分濃度は以下の方法で測定する。尚、加熱脱着は、ATD(Auto Thermal Desorption)法によって行われる。測定装置としては以下の測定装置を用いる。
加熱脱着装置:TurboMatrixATD(パーキンエルマー社製)
GC/MS :TRACE DSQ(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
(内部標準物質入りガラスチューブの作製)
あらかじめ10mgのTenaxTA吸着剤をガラスウールで挟んだ加熱脱着装置用のガラスチューブを作製し、不活性雰囲気ガスを流した状態下で、温度300℃、3時間コンディショニングを行ったものを用意する。その後、重水素化n−ヘキサデカン(n−ヘキサデカンD34)100ppmのメタノール溶液5μLをTenaxTAに吸着させ、内部標準物質入りガラスチューブとする。
尚、本発明においては、上記のようにワックスが含有するn−ヘキサデカンのピークと区別するために、リテンションタイムの異なる重水素化n−ヘキサデカンを内部標準物質として用いた。本発明における揮発成分濃度はすべて重水素化n−ヘキサデカンによる換算値を示す。なお、揮発成分濃度の換算方法については以下に示す。
(ワックスの測定)
秤量したワックス約1mgをあらかじめ温度300℃で焼き出ししたアルミホイルに包み、(内部標準物質入りガラスチューブの作製)で準備した専用チューブに入れる。このサンプルを加熱脱着装置用のテフロン(登録商標)のキャップでフタをし、加熱脱着装置へセットする。このサンプルを下記条件で測定し、内部標準物質の揮発成分によるリテンションタイムとピーク面積、および、内部標準物質の揮発成分によるピークを除いたn−ヘキサデカン以降の全ピーク面積を算出する。
(加熱脱着装置条件)
チューブ温度:200℃
トランスファー温度:300℃
バルブ温度:300℃
カラム圧力:150kPa
入口スプリット:25ml/min.
出口スプリット:10ml/min.
2次吸着管材質:TenaxTA
保持時間:10min.
脱着時2次吸着管温度:−30℃
2次吸着管脱着温度:300℃
(GC/MS条件)
カラム:ウルトラアロイ(金属製カラム)UT−5(内径0.25mm、液相0.25μm、長さ30m)
カラム昇温条件:60℃(保持時間3分)、60℃から350℃まで昇温(昇温速度20.0℃/min)、350℃(保持時間10分)
なお、加熱脱着装置のトランスファーラインとGCカラムは直結させ、GC注入口は使用しない。
(解析)
上記操作で得られたピークのうち、内部標準物質である重水素化n−ヘキサデカンのピークを除いたn−ヘキサデカンのリテンションタイム以降のすべてのピークを積分し、全ピークの合計値を算出する。そして、下記式よりワックスの揮発成分濃度を算出する。この際、ピークとは異なるノイズピーク等を積分値に加えないよう注意する。
ワックスの揮発成分濃度(ppm)
=〔(a1/b1)×{(100×5/1000000)×0.77}/c1〕×1000000
a1・・・n−ヘキサデカン以降(重水素化n−ヘキサデカンのピークは除く)の全ピーク面積
b1・・・重水素化n−ヘキサデカン(内部標準物質)のピーク面積
c1・・・秤量したワックスの重量(mg)
0.77(g/ml)・・・重水素化n−ヘキサデカン(内部標準物質)の密度
上記解析方法で求めた値を、炭素数16の炭化水素のピーク検出時間以降に検出される成分の総量(A)と定義する。また、炭素数30の炭化水素の検出ピークを同定し、該ピークの検出時間以降に存在する全てのピークを積分した合計値a2を算出し、上記の式におけるa1をa2に変更して求めた値を、総量(B)と定義する。さらに、炭素数16の炭化水素の検出ピーク以降(但し、重水素化n−ヘキサデカンの検出ピークは除く。)、炭素数29の検出ピーク以前(炭素数29の検出ピークを含む。)の全てのピークを積分した合計値a3を算出し、上記の式におけるa1をa3に変更して求めた値を、総量(C)と定義する。なお、炭素数30の炭化水素成分を含有しないワックスに関しては、予め炭素数30の炭化水素標準物質を用いて、リテンションタイムを測定しておき、その値を用いて(B)を求める。炭素数16や29の炭化水素成分を含有しないワックスについても同様である。
本発明のトナーは、示差走査熱量(DSC)測定における最大吸熱ピークのピークトップ温度が50℃以上、110℃以下にあることが好ましい。トナーのDSC測定における最大吸熱ピークのピークトップ温度が50℃以上である場合、機内部材へ付着する汚染ドメインの形成を小さくすることができ、画像形成装置を長期間使用することができる。トナーの最大吸熱ピークのピークトップ温度が110℃以下である場合、高速機においてもオフセット防止効果に優れる。
本発明のトナーは、DSC測定における吸熱ピークの吸熱量が、2.0J/g以上20.0J/g以下であることが好ましい。トナーの吸熱ピークの吸熱量を上記範囲内とすることで、グロスが均一で安定した定着品質に優れると共に、現像安定性や機内汚染の抑制効果も高まる。
本発明のトナーが含有する炭化水素ワックスは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)でのピーク分子量が4.0×10以上、1.4×10以下であることが好ましい。また、前記炭化水素ワックスは、GPCでの分子量分布(Mw/Mn)が1.0以上5.0以下であることが好ましい。炭化水素ワックスのピーク分子量が4.0×10以上の場合、機内汚染の悪化の進行が抑制され、1.4×10以下の場合、定着効果が十分に発揮されるため好ましい。ワックスの分子量分布(Mw/Mn)が1.0以上の場合、高速プロセスにおける定着条件において、ワックスがより効果的に機能する。5.0以下である場合、厚紙への低速プロセスから普通紙への高速プロセスに至るまで、安定した定着可能温度域を示す。
本発明のトナーの炭化水素ワックス含有量は、トナー中の結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上17.0質量部以下であることが好ましく、2.0質量部以上17.0質量部以下であることがより好ましく、4.0質量部以上17.0質量部以下であることが更に好ましい。ワックスの含有量を上記範囲内とすることで、効果的な定着特性が示せ、また耐久現像品質も十分に満足できるトナーが得られる。
本発明に用いられる炭化水素ワックスとしては、以下のようなものが利用できる。高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン;チーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオレフィン;パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス;石炭ガス又は天然ガスを原料としてジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法により合成される合成炭化水素ワックス;炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス;水酸基、カルボキシル基の如き官能基を有する炭化水素ワックス;炭化水素ワックスと官能基を有する炭化水素ワックスとの混合物が挙げられる。また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法、融液晶析法等の手法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものが用いられる。その中でも好ましく用いられるものは、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、メタロセン触媒を用いて合成されたポリエチレン、ポリエチレン重合時に得られる低分子量副生物の蒸留精製物、メタロセン触媒を用いて合成されたポリプロピレンである。さらに、本発明のトナーに用いられるワックスは、特に高沸点揮発成分を効率良く取り除く必要性の観点から、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックスが特に好ましく用いられる。これらのワックスについて、蒸留操作を行うことで、高沸点揮発成分が発生する量を低減され、顕著な機内汚染の抑制効果が得られる。ワックスの蒸留方法として、特に短行程蒸留と分子蒸留を組み合わせた方法が好ましい。
例えば、次のような方法で蒸留を行う。原料となるワックスに対して、圧力1〜10Pa、温度180〜200℃の条件で短行程蒸留を行い、初留を取り除く工程を繰り返してワックスを分取する。続いて分取したワックスに対して圧力0.1〜0.5Pa、温度190〜220℃の条件で分子蒸留を行い、機内汚染の原因となる炭化水素成分を取り除く。
本発明者らの検討によると、予め短行程蒸留で、初留成分に加えて蒸留残渣を除去しておくと、分子蒸留で高沸点揮発成分を効率的に除去できることが分かった。
本発明に特に適した短行程蒸留装置は、ワイプトフィルム蒸発装置が挙げられる。
本発明においては、炭化水素ワックスに加えて、離型作用や樹脂の可塑化を補うために、エステルワックスの如き極性ワックスを併用して用いてもよい。これらの極性ワックスとしては、好ましくは最大吸熱ピークのピークトップ温度が70〜110℃である。例えば次のようなワックスがあげられる。カルナバワックス及びその誘導体の如きワックスで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。その他、アルコールワックス、脂肪酸ワックス、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトンワックス、硬化ひまし油及びその誘導体、植物系ワックス、動物系ワックス、モンタンワックスである。中でも好ましく用いられる極性ワックスは、カルナバワックス、直鎖状のアルコールワックス、脂肪酸ワックス、酸アミドワックス、エステルワックスあるいは、モンタン系誘導体である。これらの極性ワックスの含有量は、結着樹脂100.0質量部に対し、前述本発明で用いられる炭化水素ワックスと併せて総量で1.0質量部以上20.0質量部以下で用いるのが効果的である。
トナーに用いられる結着樹脂としては、下記の重合体が挙げられる。ポリスチレン;ポリビニルトルエンの如きスチレン置換体の単重合体;スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体;アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、石油系樹脂が挙げられる。好ましい結着樹脂としては、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂が挙げられる。結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、好ましくは45〜65℃、より好ましくは50〜55℃である。
本発明のトナーは、着色力を付与するために着色剤を含有する。本発明に好ましく使用される着色剤として、以下の有機顔料または染料、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、及び上記イエロー系/マゼンタ系/シアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。磁性体以外の着色剤は、結着樹脂100質量部に対し1質量部以上、20質量部以下添加されることが好ましい。また、磁性体は個数平均粒径が2μm以下、好ましくは0.1μm以上、0.5μm以下のものが好ましい。磁性体は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し20質量部以上、200質量部以下添加されることが好ましく、結着樹脂100質量部に対し40質量部以上、150質量部以下添加されることが特に好ましい。
本発明のトナーは、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子と混合して用いることも可能である。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化し、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。トナーを負荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下の化合物が挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤。また、荷電制御剤で、トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。本発明のトナーは、これら荷電制御剤を単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。これら荷電制御剤の中でも、帯電の立ち上がり特性及び帯電安定性の観点から、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムが好ましい。特に好ましい荷電制御剤は、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物である。荷電制御剤の好ましい配合量は、結着樹脂100質量部に対して0.01質量部以上、5質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上、4.5質量部以下である。
更に、本発明においては、帯電保持能力を補う上で、必要に応じて荷電制御樹脂を含有することも好ましい。帯電制御樹脂としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を側鎖に持つ高分子が用いられることが好ましい。その中でも特にスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基の重合体又は共重合体を用いることが好ましい。帯電制御樹脂を製造するための、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する単量体は、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸やそれらのアルキルエステルがある。スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を含有する重合体は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であっても構わない。上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、先の結着樹脂成分の説明で例示した単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。スルホン酸基を有する重合体は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し0.01質量部以上、5.00質量部以下添加されることが好ましい。より好ましくは、0.10質量部以上、3.00質量部以下である。スルホン酸基等を有する重合体の添加量が上記の範囲内であれば、トナー粒子の十分な帯電安定効果を発揮するため、環境特性や耐久特性に優れる。
本発明のトナーにおいては、摩擦帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上の為、シリカ、アルミナ、チタニアの如き無機微粉体を添加することが好ましい。添加する無機微粉体の主成分としては、シリカが好ましく、個数平均一次粒径が4nm以上、80nm以下のシリカ微粉体が好ましい。本発明において個数平均一次粒径が上記範囲にあることで、トナーの流動性が向上すると共に、トナーの保存安定性も良好になる。無機微粉体の個数平均一次粒径は、次のようにして測定される。個数平均一次粒子径は、透過電子顕微鏡(倍率50,000倍、1.0nm以上1,000nm以下の粒子を対象とする。)で観察し、視野中の100個の無機微粉体の長径を測定して平均粒子径を求める。トナー粒子上の無機微粉体の粒子径は、走査電子顕微鏡を用い、上記と同様の方法で個数平均一次粒子径を求める。また、シリカと酸化チタン、アルミナまたはそれらの複酸化物の如き微粉体を併用することができる。シリカと併用する無機微粉体の中でも酸化チタンが好ましい。
トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナーとしての摩擦帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。そこで、無機微粉体の吸湿を抑え、トナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上の機能を付与するために、無機微粉体が疎水化処理されていることが好ましい。無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、以下のものが挙げられる。未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物。これらの如き処理剤は単独で或いは併用して用いられても良い。その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粉体が好ましい。より好ましくは、無機微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したシリコーンオイル処理された疎水化処理無機微粉体が高湿環境下でもトナー粒子の摩擦帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上でよい。
本発明のトナーを構成するトナー粒子は、従来の粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法のいずれによっても製造できるが、ワックス成分を多量に添加しても現像安定性に優れたトナー粒子を得ることができる、水系分散媒体中でトナー粒子を製造する方法が好ましい。水系分散媒体中でトナー粒子を製造する方法としては、以下の方法が挙げられる。トナー必須成分から構成される乳化液を水系分散媒体中で凝集させる乳化凝集法;有機溶媒中にトナー必須成分を溶解させた後、水系分散媒体中で造粒後有機溶媒を揮発させる懸濁造粒法;トナー必須成分を溶解させた重合性単量体を直接水系分散媒体中で造粒後重合する懸濁重合法や乳化重合法;その後シード重合を利用しトナーに外層を設ける方法;界面重縮合や液中乾燥に代表されるマイクロカプセル法。
本発明のトナー粒子は、懸濁重合法によって製造されることが好ましい。懸濁重合法においては、重合性単量体にワックス及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、帯電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散して、重合性単量体組成物を作成する。この重合性単量体組成物を分散安定剤を含有する水系分散媒体中に加え、適当な撹拌器を用いて分散し、造粒を行う。そして、重合性単量体組成物中の重合性単量体を重合し、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。上記トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要により流動性向上剤を混合し表面に付着させて、トナーを得ることができる。
懸濁重合法でトナー粒子を製造する場合において、重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒する際に、造粒性を良好にするためには、DSC測定における最大吸熱ピークのピークトップ温度が85℃以下のワックスを用いる必要がある。なお、ワックスの最大吸熱ピークのピークトップ温度は、ワックスの融点に相当するものである。
しかし、このような比較的低融点のワックスを用いた場合、それを含有するトナーは機内汚染が発生し易い傾向にあった。この様な、懸濁重合法によりトナー粒子を得る際に発生する特有の課題を解決するためには、上述した炭化水素ワックスを用いることが特に有効である。すなわち、上述した様な総量(A)、総量(B)、及び、総量(C)の要件を満足する低融点の炭化水素ワックスを用いれば、造粒性が良好であり、且つ機内汚染が発生しにくいトナーを得ることが可能になる。
水系分散媒体調製時に使用する分散剤としては、公知の無機系及び有機系の分散剤を用いることができる。具体的には、無機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。また、有機系の分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。この様な界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム。本発明のトナーに用いられる水系分散媒体調製時に使用する分散剤としては、無機系の難水溶性の分散剤が好ましく、しかも酸に可溶性である難水溶性無機分散剤を用いることが好ましい。
また、本発明においては、難水溶性無機分散剤を用い、水系分散媒体を調製する場合に、これらの分散剤の使用量は重合性単量体100質量部に対して、0.2質量部以上、2.0質量部以下であることが好ましい。また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して300質量部以上、3,000質量部以下の水を用いて水系分散媒体を調製することが好ましい。
本発明において、上記のような難水溶性無機分散剤が分散された水系分散媒体を調製する場合には、市販の分散剤をそのまま用いて分散させてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散剤粒子を得るために、水の如き液媒体中で、高速撹拌下、上記したような難水溶性無機分散剤を生成させて水系分散媒体を調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散剤を得ることができる。本発明のトナーは、キャリアと併用して二成分現像剤として用いることができ、二成分現像方法に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものが使用可能である。具体的には、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属及びそれらの合金または酸化物の平均粒径20〜300μmの粒子が使用される。また、磁性体が樹脂に分散された磁性体分散型キャリア、ポーラスな酸化鉄に樹脂を埋め込んだ低比重キャリアなども好ましく用いられる。
また、それらキャリア粒子の表面に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂の如き樹脂を付着または被覆させたものが好ましく使用される。
以下に、本発明にかかる物性値の測定方法について説明する。
〔1〕トナーおよびワックスの最大吸熱ピークのピークトップ温度、並びに、トナーの吸熱量
トナーおよびワックスの最大吸熱ピークのピークトップ温度、並びに、トナーの吸熱量は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、測定試料のトナーまたはワックスを約5mg精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて温度30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークにおけるピークトップ温度を、本発明のトナーおよびワックスそれぞれのDSC測定における吸熱曲線の最大吸熱ピークのピークトップ温度とする。また、トナーに対してこの測定の際に得られた吸熱量を本発明における示差走査熱量(DSC)測定における吸熱ピークの吸熱量とする。
〔2〕ワックスのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
ワックスの分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
ゲルクロマトグラフ用のo−ジクロロベンゼンに、特級2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を濃度が0.10%(mass/volume)となるように添加し、室温で溶解する。サンプルビンにワックスと上記のBHTを添加したo−ジクロロベンゼンとを入れ、温度150℃に設定したホットプレート上で加熱し、ワックスを溶解する。ワックスが溶けたら、予め加熱しておいたフィルターユニットに入れ、本体に設置する。フィルターユニットを通過させたものをGPCサンプルとする。尚、サンプル溶液は、濃度が約0.15質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC−8121GPC/HT(東ソー社製)
検出器:高温用RI
カラム:TSKgel GMHHR−H HT 2連(東ソー社製)
温度:135.0℃
溶媒:ゲルクロマトグラフ用o−ジクロロベンゼン(BHT 0.10wt/vol%添加)
流速:1.0ml/min
注入量:0.4ml
ワックスの分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。さらに、得られた測定結果をMark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
〔3〕トナーの重量平均粒径(D4)
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの標準測定方法(SOM)を変更画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。 専用ソフトのパルスから粒径への変換設定画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。本実施例においては特に断りがないかぎり、部数は全て質量基準である。
(ワックス1の製造方法)
天然ガス由来のフィッシャートロプシュワックス(融点77℃)を原料とし、ワイプトフィルム蒸発装置を用いて、温度180℃、圧力2Paの条件で30分保持した後、195℃まで段階的に昇温し、15質量%の軽質留分を取り除いた。続いて圧力を1Paにして280℃まで段階的に昇温し、蒸留残渣5質量%を取り除いた収率80質量%の蒸留ワックスを分取した。分取した蒸留ワックスを、分子蒸留装置を用いて温度195℃、圧力0.2Paの条件で軽質留分を取り除き、最終収率が原料に対して70質量%となるワックス1を得た。ワックス1を200℃で10分間加熱して揮発した成分のGC/MS分析の測定結果を図1に示す。
(ワックス2の製造方法)
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを天然ガス由来のフィッシャートロプシュワックス(融点90℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス2を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分5質量%、蒸留残渣5質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分10質量%を除去した。最終収率は80質量%であった。
(ワックス3の製造方法)
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを石炭由来のフィッシャートロプシュワックス(融点105℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス3を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分2.5質量%、蒸留残渣2.5質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分10質量%を除去した。最終収率は85質量%であった。
(ワックス4の製造方法)
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを原油から得られたスラックワックス(融点75℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス4を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分15質量%、蒸留残渣5質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分20質量%除去した。最終収率は60質量%であった。
(ワックス5の製造方法)
ワックス4の製造方法において、分子蒸留の蒸留時間を調整し、軽質留分の除去量を10質量%に変更する以外は同様の方法で処理を行い、最終収率70質量%のワックス5を得た。
(ワックス6の製造方法)
ワックス4の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置で蒸留残渣を除去する工程を行わず、分子蒸留の蒸留時間を調整し、軽質留分の除去量を10質量%に変更する以外は同様の方法で処理を行い、最終収率75質量%のワックス6を得た。
(ワックス7の製造方法)
ワックス1の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス7を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分2.5質量%、蒸留残渣2.5質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分10質量%除去した。最終収率は85質量%であった。
(ワックス8の製造方法)
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを原油から得られたスラックワックス(融点54℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行い、ワックス8を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分30質量%、蒸留残渣10質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分30質量%除去した。最終収率は30質量%であった。
(ワックス9の製造方法)
ワックス8の製造方法において、分子蒸留の蒸留時間を調整することで軽質留分の除去量を20質量%に変更する以外は同様の処理を行い、最終収率40質量%のワックス9を得た。
(ワックス10の製造方法)
ワックス2の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置を用いた蒸留工程を行わなかったこと以外は同様の処理を行い、最終収率90質量%のワックス10を得た。
(ワックス11の製造方法)
ワックス3の製造方法おいて、ワイプトフィルム蒸発装置を用いた蒸留工程を行わなかったこと以外は同様の処理を行い、最終収率90質量%のワックス11を得た。
(ワックス12の製造方法)
ワックス4の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置を用いた蒸留工程を行わなかったこと以外は同様の処理を行い、最終収率80質量%のワックス12を得た。
(ワックス13の製造方法)
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを原油から得られたスラックワックス(融点60℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス13を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分15質量%、蒸留残渣15質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分20質量%を除去した。最終収率は50質量%であった。
(ワックス14の製造方法)
ワックス13の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置を用いた蒸留時間を調整し、蒸留残渣の除去量を10質量%に変更する以外は同様の処理を行い、最終収率55質量%のワックス14を得た。ワックス14を200℃で10分間加熱して揮発させた成分のGC/MS分析の測定結果を図3に示す。
(ワックス15の製造方法)
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを低分子量ポリエチレンワックス(融点50℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス15を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分25質量%、蒸留残渣10質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分20質量%を除去した。最終収率は45質量%であった。
(ワックス16の製造方法)
ワックス15の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整することで軽質留分の除去量を15質量%に変更し、更に分子蒸留時間を長くすることで軽質留分の除去量を25質量%に変更する以外は同様の処理を行い、最終収率50質量%のワックス16を得た。
(ワックス17の製造方法)
ワックス15の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整することで軽質留分の除去量を15質量%に変更する以外は同様の処理を行い、最終収率55質量%のワックス17を得た。
(ワックス18の製造方法)
ワックス15の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整することで、軽質留分の除去量を15質量%、蒸留残渣の除去量を15質量%変更し、分子蒸留は行わなかった。それ以外は同様の処理を行い、最終収率70質量%のワックス18を得た。
(ワックス19の製造方法)
ワックス1の製造方法において、原料のワックスをマイクロクリスタリンワックス(融点82℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス19を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分30質量%、蒸留残渣10質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分30質量%を除去した。最終収率は30質量%であった。
(ワックス20の製造方法)
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを低分子量ポリプロピレンワックス(融点80℃)に変更し、蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス20を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分20質量%、蒸留残渣20質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分10質量%を除去した。最終収率は50質量%であった。
(ワックス21の製造方法)
ワックス20の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整することで軽質留分の除去量を10質量%、蒸留残渣の除去量を10質量%に変更する以外は同様の処理を行い、最終収率70質量%のワックス21を得た。
(ワックス22の製造方法)
ワックス21の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整することで蒸留残渣の除去量を5質量%に変更する以外は同様の処理を行い、最終収率75質量%のワックス22を得た。
(ワックス23の製造方法)
ワックス20の製造方法において、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整することで軽質留分の除去量を10質量%に変更し、蒸留残渣を除去する工程を行わず、更に分子蒸留の蒸留時間を調整することで軽質留分の除去量を5質量%に変更した。それ以外は同様の処理を行い、最終収率85質量%のワックス23を得た。
(ワックス24の製造方法)
ワックス1の製造方法において、原料のワックスをポリエチレンワックス(融点105℃)に変更し、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整し、蒸留残渣を除去する工程を行わず、分子蒸留の蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス24を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分10質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分5質量%を除去した。最終収率は85質量%であった。
(ワックス25の製造方法)
ワックス1の製造方法において、原料のワックスをポリエチレンワックス(融点95℃)に変更し、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整し、蒸留残渣を除去する工程を行わず、分子蒸留の蒸留時間を調整する以外は同様の方法で処理を行いワックス25を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分10質量%を除去した後に、分子蒸留装置で軽質留分5質量%を除去した。最終収率は85質量%であった。
(ワックス26の製造方法)
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを原油から得られたスラックワックス(融点75℃)に変更し、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整し、蒸留残渣の除去工程と分子蒸留工程を行わなかったこと以外は同様の方法で処理を行いワックス26を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分5質量%を除去した。最終収率は95質量%であった。
ワックス26を200℃で10分間加熱して揮発した成分のGC/MS分析の測定結果を図2に示す。
(ワックス27の製造方法)
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを低分子量ポリプロピレンワックス(融点80℃)に変更し、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整し、蒸留残渣の除去工程と分子蒸留工程を行わなかったこと以外は同様の方法で処理を行いワックス27を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分5質量%を除去した。最終収率は95質量%であった。
(ワックス28の製造方法)
ワックス1の製造方法において、原料のワックスを天然ガス由来のフィッシャートロプシュワックス(融点77℃)に変更し、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整し、蒸留残渣の除去工程と分子蒸留工程を行わなかったこと以外は同様の方法で処理を行いワックス28を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分5質量%を除去した。最終収率は95質量%であった。
(ワックス29の製造方法)
ワックス1の製造方法において、原料のワックスをポリエチレンワックス(融点115℃)に変更し、ワイプトフィルム蒸発装置の蒸留時間を調整し、蒸留残渣の除去工程と分子蒸留工程を行わなかったこと以外は同様の方法で処理を行いワックス29を得た。その際、ワイプトフィルム蒸発装置で軽質留分5質量%を除去した。最終収率は95質量%であった。
ワックス1〜29についての測定結果を表1に示す。
Figure 2012078810
〔実施例1〕
下記の手順によって懸濁重合法トナーを製造した。
温度60℃に加温したイオン交換水1300質量部に、リン酸三カルシウム9質量部、10%塩酸11質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000r/minにて撹拌し、pH5.2の水系媒体を調製した。
一方、
・スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40.0質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3・・・・・・・・・・・・・・・6.5質量部
・帯電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学社製)・・・・・・1.0質量部
・帯電制御樹脂〔FCA−1001−NS(藤倉化成社製)〕・・・・・1.0質量部
からなる混合物を、スターミルLMZ2型(アジサワ・ファインテック社製)を用いて3時間分散し、顔料分散組成物を調整した。
さらに、別容器にて、下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて100r/minで溶解して溶解液を調製した。
・スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30.0質量部
・n−ブチルアクリレート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30.0質量部
・飽和ポリエステル樹脂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.0質量部
〔イソフタル酸/テレフタル酸/無水トリメリット酸/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2mol付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3mol付加物=50mol%/50mol%/0.1mol%/88mol%/22mol%から生成〕
(酸価10mgKOH/g、ピーク分子量10,000、重量平均分子量:9,900、Tg=72℃)
次に上記溶解液に、
・ワックス1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10.0質量部
・ジビニルベンゼン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.20質量部
を投入し、更に前記顔料分散組成物を加え、その後、混合液を温度65℃に加温した後にTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)にて、10,000r/minにて攪拌し、重合性単量体組成物を作成した。
続いて、上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤として8.0質量部のパーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃(日本油脂製))を加え、温度70℃にてTK式ホモミキサーを用いて10,000r/minで20分間攪拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
この重合性単量体の水分散液をプロペラ式攪拌装置に移して120r/minで攪拌しつつ、温度70℃で5時間反応させた後、温度80℃まで昇温し、更に5時間反応を行い、トナー粒子を製造した。重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子を得た。
上記トナー粒子100質量部に対して、流動性向上剤として、シリカ微粉体に対して20質量%のジメチルシリコーンオイルで処理された、負極性に摩擦帯電する疎水性シリカ微粉体(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m/g)1.7質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で3000r/minで15分間混合して、重量平均粒径(D4)が6.5μmのトナーNo.1を得た。トナーNo.1の物性を表2に示す。トナーNo.1について、下記の評価を行った。評価結果を表3に示す。なお、表2におけるワックスの含有量は結着樹脂100.0質量部に対するワックスの含有量である。
[機内汚染評価]
トナーNo.1について、下記の様な改造を施した市販のレーザービームプリンターLBP9500C(キヤノン社製)を用いて、200,000枚の耐久試験を行った。プリンターの改造条件としては、普通紙モードのプロセススピードを360mm/secに、厚紙モードのプロセススピードを90mm/secに変更し、定着温調を200℃に設定した。耐久評価チャートは各色印字率が5%(フルカラー印字率20%)のオリジナルチャートを用い、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの全ステーションに、トナーNo.1を詰め替えたシアンカートリッジを装着し、トナーが無くなる毎にカートリッジ交換を行い、プリントを続けた。
耐久試験の条件は、高温高湿環境(温度30℃,湿度80%RH)、常温常湿環境(温度23℃,湿度50%RH)、低温低湿環境(温度15℃,湿度10%RH)の各環境下において、普通紙モードで坪量68g/m(A4サイズ)の用紙を8,000枚通紙し、厚紙モードで坪量220g/m(LETTERサイズ)の用紙を2,000枚通紙するパターンを繰り返し、合計200,000枚のプリント試験を行った。
耐久後の定着器周りの汚染状態を、目視により以下の基準で評価した。
A:定着器周辺に目立った汚染は見られない。
B:定着器周辺に微量の汚染が観察される。
C:定着ガイド部に汚染の広がりがはっきりと観察される。
D:定着器周辺にかなりの量の汚染が目立つ。
[ハーフトーン画像再現性]
転写ベルト等への機内汚染に起因する画像上縦スジの有無を、ハーフトーン画像による目視評価と、より早期にかつ厳密にスジの発生有無を確認するために、ディザ処理を行わないハーフトーン画像(疑似中間調表現を行わず、レーザー光量の調整のみで中間調を再現した画像)を出力して、縦スジの有無を目視確認により評価した。
尚、サンプリングのタイミングは、前記機内汚染評価で説明した耐久試験において、1,000枚おきにハーフトーン画像及びディザ処理を行わないハーフトーン画像を出力し、耐久試験を通しての最悪画像をもって下記基準により評価した。
A:両ハーフトーン画像共に、縦スジは無く良好。
B:ハーフトーン画像にはスジが見られないが、ディザ処理を行わないハーフトーン画像において、うっすらとスジが見られる部分がある。但し画像品質上問題の無いレベル。
C:ハーフトーン画像においては縦スジが見え難いものの、ディザ処理を行わないハーフトーン画像においてははっきりとした縦スジが認められる。
D:ハーフトーン画像においても、目立った縦スジが認められる。
[濃度安定性]
20mm四方のベタ黒パッチが現像域内に9箇所配置されたオリジナル画像を出力し、その9点平均濃度の初期画像濃度に対する耐久試験中の画像濃度の最大濃度差を比較することで、濃度安定性を評価した。画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。
尚、サンプリングのタイミングは、前記機内汚染評価で説明した高温高湿環境(温度30℃,湿度80%RH)下での試験において、1,000枚おきにオリジナル画像を出力して評価した。
A:最大濃度差0.15未満
B:最大濃度差0.15以上、0.25未満
C:最大濃度差0.25以上、0.30未満
D:最大濃度差0.30以上
[厚紙グロス均一性]
ベタ全域画像(先端余白:5mm、トナー載り量0.45mg/cm)をHP社製HP Color Laser Photo Paper,glossy(220g/m)上に厚紙モード(プロセススピード90mm/sec、定着温調200℃)で出力し、定着画像内の75°グロスの最大値と最小値を測定し、その差を求めて定着画像均一性を下記基準により評価した。
なお、出力は低温低湿環境(温度15℃,湿度10%RH)で行い、グロスの測定には、日本電色工業(株)製のPG−3D(入射角θ=75°)を使用し、標準面は光沢度96.9の黒色ガラスを使用した。
A:グロス差2.0%未満
B:グロス差2.0%以上4.0%未満
C:グロス差4.0%以上6.0%未満
D:グロス差6.0%以上
〔実施例2〕
下記の手順によって乳化凝集法トナーを製造した。
(樹脂粒子分散液1の調製)
・スチレン 90.0質量部
・nブチルアクリレート 20.0質量部
・アクリル酸 3.0質量部
・ドデカンチオール 6.0質量部
・四臭化炭素 1.0質量部
上記材料を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)2.5質量部をイオン交換水140質量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化した。この乳化液を10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム1質量部を溶解したイオン交換水10質量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が温度70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。こうして、平均粒径が0.17μm、ガラス転移点が57℃、重量平均分子量(Mw)が11,000である樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液1を調製した。
(樹脂粒子分散液2の調製)
・スチレン 75.0質量部
・nブチルアクリレート 25.0質量部
・アクリル酸 2.0質量部
上記材料を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)1.5質量部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3質量部をイオン交換水140質量部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化した。この乳化液を10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム0.8質量部を溶解したイオン交換水10質量部を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が温度70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。この様にして、平均粒径が0.1μm、ガラス転移点が61℃、重量平均分子量(Mw)が550,000である樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液2を調製した。
(ワックス粒子分散液の調製)
・ワックス2(融点92℃) 50.0質量部
・アニオン性界面活性剤 5.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 200.0質量部
上記材料を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が0.5μmのワックスを分散させてなるワックス粒子分散液を調製した。
(着色剤粒子分散液1の調製)
・C.I.ピグメントブルー15:3 20.0質量部
・アニオン性界面活性剤 2.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0質量部
上記材料を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この着色剤粒子分散液1における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
(帯電制御粒子分散液の調製)
・ジ−アルキル−サリチル酸の金属化合物 20.0質量部
(帯電制御剤、ボントロンE−88、オリエント化学工業社製)
・アニオン性界面活性剤 2.0質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 78.0質量部
上記材料を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この帯電制御粒子分散液における粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定したところ、含まれる帯電制御粒子の平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
(混合液調製)
・樹脂粒子分散液1 250.0質量部
・樹脂粒子分散液2 110.0質量部
・着色剤粒子分散液1 50.0質量部
・ワックス粒子分散液 80.0質量部
上記材料を、撹拌装置,冷却管,温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し撹拌した。この混合液を1N−水酸化カリウムを用いてpH=5.2に調整した。
(凝集粒子形成)
この混合液に凝集剤として、10%塩化ナトリウム水溶液150質量部を滴下し、加熱用オイルバス中でフラスコ内を撹拌しながら温度57℃まで加熱した。この温度の時、3質量部の樹脂粒子分散液2と10質量部の帯電制御剤粒子分散液を加えた。温度50℃で1時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると重量平均粒径が約5.3μmである凝集粒子(A)が形成されていることが確認された。
(融着工程)
その後、ここにアニオン製界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3質量部を追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら温度105℃まで加熱し、1時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、重量平均粒径(D4)が6.0μmのトナー粒子(2)を得た。このトナー粒子(2)100質量部に対し、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)で処理された、負極性に帯電する疎水性シリカ微粉体(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m/g)1.8質量部をヘンシェルミキサーに投入し、3000r/minで15分間混合してトナーNo.2を得た。得られたトナーNo.2の物性を表2に示す。また、トナーNo.2について、実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
〔実施例3〕
下記の手順によって粉砕法によるトナーを製造した。
懸濁重合法によって、重合開始剤として2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを用いたスチレン−ブチルアクリレート共重合体A(St/BA=80/20、Tg=67℃、Mw=820,000)を作製した。ついで、溶液重合法によって、重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイドを用いたスチレン−ブチルアクリレート共重合体B(St/BA=85/15、Tg=61℃、Mw=15,800)を作製した。共重合体Bを70質量部に対し共重合体Aを30質量部を溶液中で混合したものを結着樹脂1とした。
・結着樹脂 100.0質量部
・C.I.Pigment Blue15:3 6.0質量部
・帯電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学社製) 1.0質量部
・ワックス 34.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、温度110℃に設定した二軸混練押出機にて混練した。得られた混練物を冷却しカッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた粉砕機を用いて微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径6.5μmのトナー粒子を得た。上記トナー粒子100質量部に、流動性向上剤として、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)で処理された、負極性に帯電する疎水性シリカ微粉体(1次粒子径:7nm、BET比表面積:130m/g)1.7質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で3000r/minで15分間混合して、重量平均粒径(D4)が6.7μmのトナーNo.3を得た。得られたトナーNo.3の物性を表2に示す。また、トナーNo.3について、実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
〔実施例4乃至10、比較例1乃至4、及び、比較例7乃至17〕
ワックスの種類及び含有量を表2に示すように変更し、それ以外は実施例1と同様にして懸濁重合法トナーNo.4乃至13、16乃至27を得た。トナーNo.4乃至13、16乃至27の物性を表2に示す。また、トナーNo.4乃至13、16乃至27について、実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
〔比較例5、18及び19〕
ワックス2の代わりにワックス10、24、25を用い、ワックスの含有量を各々表2に示すように変更する以外は、実施例2と同様にして乳化凝集法トナーNo.14、28、29を得た。トナーNo.14、28、29の物性を表2に示す。また、トナーNo.14、28、29について、実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
〔比較例6〕
ワックス3の代わりにワックス11を用いる以外は実施例3と同様にして粉砕法トナーNo.15を得た。トナーNo.15の物性を表2に示す。また、トナーNo.15について、実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
〔比較例20乃至22〕
ワックス1の代わりにワックス26乃至28を用い、ワックスの含有量を17.0質量部に変更する以外は実施例1と同様にして懸濁重合法トナーNo.30乃至32を得た。トナーNo.30乃至32の物性を表2に示す。また、トナーNo.30乃至32について、実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
〔比較例23〕
ワックス2の代わりにワックス29を用い、ワックスの含有量を17.0質量部に変更する以外は実施例2と同様にして乳化凝集法トナーNo.33を得た。トナーNo.33の物性を表2に示す。また、トナーNo.33について、実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
Figure 2012078810
Figure 2012078810

Claims (6)

  1. 結着樹脂、炭化水素ワックス及び着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該炭化水素ワックスを200℃で10分間加熱して揮発した成分のGC/MS分析において、
    i)炭素数16の炭化水素のピーク検出時間以降に検出される成分の総量(A)が1500ppm以下であり、
    ii)炭素数30の炭化水素のピーク検出時間以降に検出される成分の総量(B)が570ppm以下であり、
    iii)該総量(B)と、炭素数16の炭化水素のピーク検出時間以降であり、炭素数29の炭化水素のピーク検出時間以前に検出される成分の総量(C)との関係が、
    (B)/(C)≧2.0
    である、
    ことを特徴とするトナー。
  2. 前記総量(C)が200ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記炭化水素ワックスの含有量が、前記結着樹脂100.0質量部に対して1.0質量部以上17.0質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記トナーは、示差走査熱量(DSC)測定における吸熱ピークの吸熱量が、2.0J/g以上20.0J/g以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記炭化水素ワックスは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.0以上5.0以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
  6. 前記炭化水素ワックスは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるピーク分子量が4.0×10以上、1.4×10以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
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