本発明者らは、炭化水素ワックスの揮発性と炭化水素ワックスのトナー表面への染み出し性に着目して本発明の課題であるトナーの機内汚染抑制性と離型性の両立について鋭意検討した。その結果、以下の様に、トナーに含有する炭化水素ワックスの物性を制御し、且つトナーの形状、溶融粘度、更には粉体特性を制御することで、前記課題を解決できるトナーが得られることが分かった。
本発明のトナーは、平均円経度が0.960以上、1.000以下である。平均円形度が0.960未満の場合には、定着工程におけるトナーの加熱加圧溶融時にトナー表面へのワックスの染み出しが不均一となりホットオフセットの発生が抑制できない。トナーの平均円形度は、トナー製法の選択や製造条件の調整により制御可能である。
本発明のトナーは、温度110℃における溶融粘度が1.5×104以下(Pa・s)である。トナーの温度110℃における溶融粘度が1.5×104Pa・sを超える場合にはワックスのトナー表面への染み出し速度が遅いため、ワックスの定着部材への接触が十分に行われず、ホットオフセットの発生が抑制できない。トナーの温度110℃における溶融粘度はトナーに含有される結着樹脂の分子量や構成モノマー種、構成モノマー比率或いはワックス種やワックス含有量を調整することにより制御可能である。
本発明者らは、トナーに含有する炭化水素ワックスを加熱脱着装置で温度200℃で10分間加熱し、脱着させた成分のGC/MS分析において、ヘキサデカン(炭素数16)のピーク検出時間以降に検出される揮発成分量について分析した。そして、該揮発成分量が、ヘキサデカン換算で1100ppm以下であれば、機内汚染防止に有効であることを見出した。上記の様に分析条件を決定した理由は、一般的にトナーは温度200℃程度で定着し、また、10分加熱すれば炭化水素ワックスに含有される揮発成分が充分に発生することから、本分析は定着温度域でのワックスの揮発性をモニターしたものに相当すると考えているためである。また、ヘキサデカン(炭素数16)のピーク検出時間以降に検出される揮発成分量に着目した理由は、上記揮発成分は比較的高沸点であり、この様な揮発成分は、画像形成装置内の構成部材と接触することで析出し易いためである。機内汚染は、この様な析出物が堆積することで発生するため、上記揮発成分が、機内汚染に寄与する成分であると考えられる。上記の揮発成分量が1100ppmを超える場合、機内汚染を十分に抑制することができない。上記揮発成分量は、炭化水素ワックスの種類や炭化水素ワックスの製造方法、精製条件を調整することにより制御可能である。
本発明のトナーは、空隙率が0.50以下である。空隙率は、トナーの真密度とタップ密度との差を真密度で割ることによって求められるものであり、トナーをタップした際の、トナーの粒子間に存在する空隙の割合を示している。トナーをタップした際の空隙率を規定した理由は、タップしたトナーは、定着される直前のトナーの状態に近似できると考えられるためである。なお、トナーの空隙率は、ある状態におけるトナーの空隙を表現する際に当業者に慣用される物性であり、例えば特開2005−250456等にも用いられている。トナーの空隙率が0.50を超える場合は、定着時のトナー層が疎になるため、ワックスの揮発成分を溶融したトナーに十分に巻き込むことができず、揮発成分が飛散してしまうため機内汚染が抑制されない。トナーの空隙率は、0.20以上であることが、トナーの凝集を抑制する観点から好ましい。
トナーの空隙率はトナーの粒径や形状、或いは外添剤の種類や量、外添工程時の製造条件を調整することにより制御可能である。具体的には、トナーの粒径を小さく、微粉量を多くするほど空隙率は大きくなり易く、逆にトナーの粒径を大きく、微粉量を少なくするほど空隙率は小さくなり易い。また、トナー形状が球状であるほど空隙率は小さくなり易く、異形であるほど空隙率は大きくなる。更に、シリカなどの外添剤の量を多くしてトナーの流動性を良くすると空隙率は小さくなり易い。
本発明者らは、上記の様な特徴を有する本発明のトナーが、機内汚染の抑制及び高離型性を両立させることができる理由について、以下の様に考えている。本発明のトナーは、比較的、用いる炭化水素ワックスの揮発成分量及びトナーの空隙率が低く、トナーの110℃における溶融粘度も低い。この様なトナーは、定着工程において、ワックス揮発成分量そのものが少なく、トナーが定着によってより素早く密に詰まり、さらに溶融粘度も低いので、ワックスの揮発成分が溶融したトナーに巻き込まれ易い。その結果、トナーからのワックス揮発成分の飛散が抑制され、機内汚染を効果的に防止することができる。一方で、トナーの離型性を高めるためには、ワックスを効率的にトナー表面に染み出させて定着部材との接触を促進させなければならないが、揮発性の低いワックスはトナー表面への染み出し性に劣るため、トナーの離型性が低くなる傾向にある。本発明のトナーは、溶融粘度が低いことによりワックスの染み出し速度が速く、かつトナー形状を球状とすることにより、トナー表面から満遍なくワックスを染み出せることができ、高効率的に定着部材と接触させることができる。
本発明のトナーのテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、メインピークの分子量Mpが10,000以上30,000以下であり、且つ該Mpと数平均分子量Mnとの比で表される分子量分布Mp/Mnが1.05以上5.00以下であることが好ましい。Mp及びMp/Mnが上記範囲内である場合、低温定着性と耐久性の両立の点で好ましい。Mpが30,000以下であり且つMp/Mnが1.05以上の場合には、トナーの溶融粘度が低いことと相まって低温定着性が良好となる。また、Mpが10,000以上であり且つMp/Mnが5.00以下の場合には、トナー形状が球形であることによる耐ストレス性との相乗作用で耐久性が向上し、画像の濃度低下やカブリの発生が抑制される。MpやMp/Mnの値は、結着樹脂や別途添加する極性樹脂の添加量及び分子量を調整することにより制御することができる。また、重合トナーの場合には重合条件(温度、開始剤量、開始剤種)を調整することによっても制御可能である。
本発明に用いられるトナー粒子は、重合性単量体、着色剤、炭化水素ワックスを含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、水系媒体中で重合性単量体組成物を造粒して重合性単量体組成物の粒子を形成し、重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合して得られるトナー粒子であることが好ましい。上記方法により得られるトナー粒子は、水系媒体中でモノマーの重合とポリマーの析出が同時に進行するため、極性の低い炭化水素ワックスがトナー粒子表面に露出することが抑制され、トナーの帯電安定性が良好となる。更には、本発明のトナーに含有される炭化水素ワックスの揮発性が低いことから、トナー粒子の乾燥後においても炭化水素ワックスがトナー粒子表面には露出しづらくなり、より一層トナーの帯電安定性が良好となる。
また、上記重合性単量体組成物が、極性樹脂α及び極性樹脂βを含有し、極性樹脂αはカルボキシル基含有スチレン系樹脂であり、極性樹脂βはポリエステル系樹脂であり、スチレン及びスチレンに溶解させた極性樹脂α、スチレンに溶解させた極性樹脂βの懸滴法による水との界面張力をそれぞれ、XSt(mN/m)、Xα(mN/m)、Xβ(mN/m)としたとき、
2.0≦XSt−Xα≦12.0
0.5≦Xα−Xβ≦9.0
であることが好ましい。上記条件を満たすトナーは、長期放置安定性が良好なトナーとなる。カルボキシル基含有スチレン系樹脂(極性樹脂α)とポリエステル樹脂(極性樹脂β)の水に対する界面張力の序列を本発明のような関係に制御することにより各樹脂のトナー粒子中での分布を最適化することができると考えている。その際、結着樹脂としては、スチレンアクリル系樹脂が用いられることが好ましい。
ここで各樹脂の界面張力は、スチレンに各樹脂を溶解させた溶液の水に対する界面張力であり、その値が高いほど極性樹脂全体の極性が低いことを意味する。本発明に用いられるトナー粒子が、水系媒体中で造粒されることにより製造される場合、各樹脂の極性の差からトナー粒子がコアシェル構造を形成していると考えている。即ち、樹脂の界面張力の関係を上記の通りとすることにより、トナー粒子表面から極性樹脂β、極性樹脂αの順で適度な厚みを有するシェル層が形成されていると考えている。更に、トナー粒子のバインダーがスチレン−アクリル樹脂の場合は、この適当な極性勾配を有することにより、シェルとバインダーの密着性が強固なものとなる。そして、このことと炭化水素ワックスの揮発性が低いことが相まって、ワックスの遮蔽性が強固になり、炭化水素ワックスがトナー表面露出することによる帯電性の低下といったトナーの長期放置時の弊害が抑制される。
上記樹脂の界面張力の調整は、各樹脂の極性を調整することで制御可能である。具体的には、各樹脂の酸価や水酸基価を有するモノマーの含有量を調整する方法、酸素や窒素など非共有電子対を有するモノマーの含有量を調整する方法、各樹脂の分子鎖の分岐度を調整する方法等である。
水系媒体中でトナー粒子を製造する方法としては、以下の方法が挙げられる。トナー必須成分から構成される乳化液を水系媒体中で凝集させる乳化凝集法;有機溶媒中にトナー必須成分を溶解させた後、水系媒体中で造粒後有機溶媒を揮発させる懸濁造粒法;トナー必須成分を溶解させた重合性単量体を直接水系媒体中で造粒後重合する懸濁重合法や乳化重合法;その後シード重合を利用しトナーに外層を設ける方法;界面重縮合や液中乾燥に代表されるマイクロカプセル法。これらの中で、本発明の作用効果を発揮しやすいものとして、特に懸濁重合法が好ましい。この懸濁重合法においては、重合性単量体にワックス及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、帯電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて重合性単量体組成物とする。その後、この重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に適当な撹拌機を用いて分散し、そして重合反応を行い、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。上記トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要により流動性向上剤を混合し表面に付着させることで、トナーを得ることができる。この懸濁重合法でトナーを製造する場合には、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、帯電量の分布が均一となる。また外添剤への依存度が少ない高い転写性を維持するトナーが得られやすい。
トナーを懸濁重合法により製造する際に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が好ましく用いられる。前記ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンのようなビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテルが挙げられる。
前記した単官能性重合性単量体を単独で或いは2種以上組み合わせて、又は前記の単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用することができる。多官能性重合性単量体は架橋剤として使用することも可能である。
重合性単量体を重合するための重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。好ましくは、重合反応時の反応温度における半減期が0.5乃至30時間のものである。また、重合性単量体100質量部に対し0.5乃至20質量部の添加量で重合反応を行うと、通常、分子量1万乃至10万の間に極大を有する重合体が得られ、適当な強度と溶融特性を有するトナーを得ることができる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル如きのアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド如きの過酸化物系重合開始剤が挙げられる。重合性単量体の重合度を制御する為に、公知の連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
本発明に用いることができる極性樹脂αはカルボキシル含有スチレン系樹脂であり、結着樹脂と適度な極性勾配を保つ観点から、結着樹脂と同組成のものを含むことが好ましい。カルボキシル基含有スチレン系樹脂は、スチレン系のアクリル酸共重合体、スチレン系のメタクリル酸共重合体、スチレン系のマレイン酸共重合体等が好ましく、特にスチレン−アクリル−アクリル酸系共重合体が帯電量を制御し易く好ましい。また、極性樹脂αは1級または2級の水酸基を有するモノマーを含有していることがより好ましい。具体的な重合体組成物としては、スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−n−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体等を挙げることができる。1級または2級の水酸基を有するモノマーを含有した樹脂は極性が大きく、長期放置安定性がより良好となる。
本発明に用いることができる極性樹脂βは、ポリエステル系樹脂である。極性樹脂βとしてポリエステル系樹脂を用いることで、本発明のトナー表層近傍付近で適度な極性勾配を得ることができ、トナーの長期放置安定性が良好となる。極性樹脂βは、飽和ポリエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂のいずれか一方又は両方を適宜選択して使用することが可能である。
ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分と酸成分を以下に例示する。アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、また下記一般式(1)で表されるビスフェノール誘導体、
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2乃至10である。)
あるいは一般式(I)の化合物の水添物、また、下記一般式(2)で示されるジオール、
あるいは式(2)の化合物の水添物のジオール、さらには、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコール等、が挙げられる。
2価のカルボン酸としては以下のものが挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸またはその無水物、またさらに炭素数6乃至18のアルキルまたはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物、さらには、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸の如き多価カルボン酸やその無水物。
本発明に用いられる炭化水素ワックスとしては、以下のようなものが利用できる。高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン;チーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオレフィン;パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス;石炭ガス又は天然ガスを原料としてジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法により合成される合成炭化水素ワックス;炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス;水酸基、カルボキシル基の如き官能基を有する炭化水素ワックス;炭化水素ワックスと官能基を有する炭化水素ワックスとの混合物が挙げられる。また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法、融液晶析法等の手法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものが用いられる。その中でも好ましく用いられるものは、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、メタロセン触媒を用いて合成されたポリエチレン、ポリエチレン重合時に得られる低分子量副生物の蒸留精製物、メタロセン触媒を用いて合成されたポリプロピレン、ポリエチレン重合時に得られる低分子量副生物の蒸留精製物である。さらに、本発明のトナーに用いられるワックスは、特に高沸点揮発成分を効率良く取り除く必要性の観点から、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックスが特に好ましく用いられる。
これらのワックスを精製することで、高沸点揮発成分の量を低減され、上記の様な物性を持ったワックスが得られる。精製方法としては、原材料やワックス生成物を溶剤抽出や減圧蒸留法、プレス発汗法、再結晶法、真空蒸留法、分子蒸留法、超臨界ガス抽出法、融液晶析法が挙げられる。中でも、減圧蒸留法と分子蒸留法を組み合わせた精製方法が、最も好ましい。例えば、次のような方法で蒸留を行う。原料となるワックスに対して減圧蒸留を行い、初留を取り除く工程を繰り返してワックスを分取する。その後、分取したワックスに対して分子蒸留を繰り返し、低分子量成分を取り除く。
本発明においては、炭化水素ワックスに加えて、離型作用や樹脂の可塑化を補うために、エステルワックスの如き極性ワックスを併用して用いてもよい。これらの極性ワックスとしては、好ましくは吸熱メインピークのピークトップ温度が70〜110℃である。例えば次のようなワックスがあげられる。カルナバワックス及びその誘導体の如きワックスで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。その他、アルコールワックス、脂肪酸ワックス、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトンワックス、硬化ひまし油及びその誘導体、植物系ワックス、動物系ワックス、モンタンワックスである。中でも好ましく用いられるワックス極性ワックスは、カルナバワックス、直鎖状のアルコールワックス、脂肪酸ワックス、酸アミドワックス、エステルワックスあるいは、モンタン系誘導体である。これらの極性ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対し、前述本発明のワックスと併せて総量で1.0〜20.0質量部で用いることができ、好ましくは1.0〜15.0質量部で用いるのが効果的である。
本発明に用いられる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い各色に調色されたものが利用される。特に染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、128、129、138、147、150、151、154、155、168、180、185、214が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19が挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。着色剤の添加量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し1乃至20質量部添加して用いられる。
さらに本発明のトナーは、着色剤として磁性材料を含有させ磁性トナーとすることも可能である。この場合、磁性材料は着色剤の役割をかねることもできる。磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト如きの酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの如き金属の合金及びその混合物が挙げられる。磁性体は、表面改質された磁性体が好ましい。重合法により磁性トナーを調整する場合には、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤を挙げることができる。磁性体は、個数平均粒径が2μm以下、好ましくは0.1乃至0.5μmのものを用いるのが良い。トナー粒子中に含有させる磁性体の量としては、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し20乃至200質量部、好ましくは結着樹脂100質量部に対し40乃至150質量部が良い。
本発明のトナーには、帯電特性を安定化するために帯電制御剤を配合しても良い。帯電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる帯電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法にて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない帯電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、負帯電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。正帯電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。これらの帯電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではない。内添する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1乃至10質量部、より好ましくは0.1乃至5質量部の範囲で用いられる。また、外添する場合、トナー100質量部に対し、好ましくは0.005乃至1.0質量部、より好ましくは0.01乃至0.3質量部である。
懸濁重合法によりトナー粒子を製造する際に用いられる水系媒体には、分散安定剤を添加することが好ましい。分散安定剤として使用する無機化合物としては以下の、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。有機化合物としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプンが挙げられる。これらの分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2乃至20質量部を使用することが好ましい。また、これら分散安定剤の微細な分散のために、0.001乃至0.1質量部の界面活性剤を使用しても良い。分散安定剤の初期の作用を促進するためのものである。具体例としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが挙げられる。分散安定剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いても良いが、より細かい粒子を得るために、水系媒体中にて上記無機化合物を生成させて用いても良い。例えば、リン酸カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合するとよい。
本発明のトナーにおいて、トナー粒子の流動性を向上させる目的で、流動性向上剤をトナー粒子に添加しても良い。流動性向上剤としては、フッ化ビニリデン微粉未、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛の如き脂肪酸金属塩;酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末の如き金属酸化物または、上記金属酸化物を疎水化処理した粉末;及び湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如きシリカ微粉末または、それらシリカにシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルの如き処理剤により表面処理を施した表面処理シリカ微粉末が挙げられる。流動性向上剤は、トナー粒子100質量部に対して、0.01乃至5質量部を使用することが好ましい。
<加熱脱着装置を用いたワックスの揮発成分濃度の測定>
(使用する装置)
加熱脱着装置:メーカー:パーキンエルマー社製、TurboMatrixATD
GC/MS:メーカー:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、TRACE DSQ
(加熱脱着装置条件)
チューブ温度:200℃
トランスファー温度:300℃
バルブ温度:300℃
カラム圧力:150kPa
入口スプリット:25ml/min
出口スプリット:10ml/min
2次吸着管材質:TenaxTA
保持時間:10 min
脱着時2次吸着管温度:−30℃
2次吸着管脱着温度:300℃
(GC/MS条件)
カラム:ウルトラアロイ(金属製カラム)UT−5 (内径0.25mm, 液相0.25μm, 長さ30m)
カラム昇温条件:60℃(3min),350℃(20.0℃/min),350℃(10min)
なお、加熱脱着装置のトランスファーラインとGCカラムは直結させ、GC注入口は使用しない
(内部標準入りガラスチューブの作製)
あらかじめ10mg のTenaxTA吸着剤をガラスウールで挟んだ加熱脱着装置用のガラスチューブを作製し、不活性雰囲気ガスを流した状態下で、300℃−3hコンディショニングを行ったものを用意する。その後、重水素化ヘキサデカン(ヘキサデカンD34)100ppmのメタノール溶液5uLをTenaxTAに吸着させ、内部標準入りガラスチューブとする。
(ワックスの測定)
秤量したワックス約1mgをあらかじめ300℃で焼き出ししたアルミホイルに包み、(内部標準入りガラスチューブの作製)で準備した、専用チューブに入れる。このサンプルを加熱脱着装置用のテフロン(登録商標)キャップでフタをし、装置へセットする。このサンプルを上記条件で測定し、内部標準ピークおよび、重水素化ヘキサデカン以降のピークの全ピーク面積を算出する。
(解析)
上記操作で得られたピークのうち、(内部標準である重水素化ヘキサデカンのピークを除いた)ヘキサデカンのリテンションタイム以降のピークをすべて積分し、全ピークの合計値を算出する。この際、ピークとは異なるノイズピークを積分値に加えないようにする。
式1・・・ワックスの揮発性分濃度(mg/kg)=(A1/B1×0.0005*1×0.77*2)/C1×1000000
*1・・・メタノール溶液5μL中の重水素化ヘキサデカンの体積(μL)
*2・・・ヘキサデカンの密度(mg/μL)
A1 ・・・重水素化ヘキサデカン以降の全ピーク面積
B1 ・・・重水素化ヘキサデカン(内部標準)のピーク面積
C1 ・・・秤量したワックスの重量(mg)
上記で求めた値を、ワックスを加熱脱着装置で200℃で10分加熱し、脱着させた成分のGC/MS分析において、ヘキサデカンのピーク検出時間以降に検出される揮発成分量と定義する。
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行った。前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<トナーの平均円形度の測定>
本発明におけるトナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い、下記の条件で算出されたものである。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積や周囲長等が計測される。画像処理部で画像信号は、A/D変換され、画像データとして取り込まれ、記憶した画像データに対して、粒子の有無を判別するための画像処理が行われる。
次に、粒子像の輪郭を的確に抽出するための前処理として輪郭強調処理が行われる。次に、画像データをある適当なスレッシュホールドレベルで2値化する。画像データをある適当なスレッシュホールドレベルで2値化すると各粒子画像は図3に示すような2値化画像となる。次に、2値化された各粒子画像に対してエッジ点(輪郭を表す輪郭画素)かどうかを判定するとともに、着目しているエッジ点に対して隣合うエッジ点がどの方向にあるかの情報、すなわちチェインコードを生成する。
次に、各粒子像の投影面積Sと周囲長Lを求める。上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円形当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度(C)は、円形当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
粒子像が円形の時に円形度は1になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。
各粒子の円形度を算出後、円形度0.2乃至1.0の範囲を800分割し、その分割点の中心値と測定粒子数を用いて平均円形度の算出を行う。具体的な測定方法としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを容器中に用意し、その中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料0.02gを加え、均一に分散させる。分散手段としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー社製)に振動子としてφ5mmのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40度以上にならないように適宜冷却する。円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、測定粒子数をmとすると、次式から算出される。
トナーの円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナーを1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、平均円形度を求める。
<トナーの110℃における粘度の測定方法>
トナーの110℃における粘度の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。尚、本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際の温度とピストンの降下量との関係を計測する。
本発明においては、50℃から200℃までの測定を行い、110℃において算出された見かけの粘度を、トナーの110℃における粘度(Pa・s)とする。
110℃における見かけの粘度η(Pa・s)は次のようにして算出する。まず、下式(1)よりフローレートQ(cm3/s)を計算する。式中、ピストンの断面積をA(cm2)、110℃時点におけるピストンの位置に対して上下0.10mm(間隔としては0.20mm)の間をピストンが降下するのに要した時間をΔt(秒)とする。
Q=(0.20×A)/(10×Δt) ・・・ (1)
そして、得られたフローレートQを用いて、下式(2)より110℃における見かけの粘度ηを算出する。式中、ピストン荷重をP(Pa)、ダイの穴の直径をB(mm)、ダイの長さをL(mm)とする。
η=(π×B4×P)/(128000×L×Q) ・・・ (2)
測定試料は、約1.0gのトナーを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<トナーの空隙率の測定>
空隙率=(真密度−タップ密度)/真密度
真密度及びタップ密度の測定法を以下に示す。
(真密度の測定)
トナーの真密度は、島津製作所製の乾式自動密度計”アキュピック1330”により、トナーを3.5g精評して測定する。
(タップ密度の測定)
ホソカワミクロン(株)製のパウダーテスターを用い、該パウダーテスターに付属している容器を使用して、該パウダーテスターの取扱説明書の手順に従って測定する。すなわち、パウダーテスターの測定用カップ(内容積:Vcm3)にトナーをすり切り一杯入れ、タッピングを行う。タッピング終了後、余分なトナーをブレードですり切り、容器中のトナーの重量(Wg)を測定し、次の式によりタップ密度を得ることができる。なお、タップ回数は600回とする。
タップ密度=W/V(g/cm3)
<トナーのピーク分子量Mp及び数平均分子量Mnの測定>
トナーのTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<極性樹脂α、極性樹脂βの界面張力の測定>
界面張力は、以下に述べる懸滴法により測定する。具体的には温度25℃の環境下にて協和界面科学(株)製のFACE 固液界面解析装置 Drop Master700を用い、レンズ部の視野としてWIDE1にて測定する。まず、鉛直方向下向きに内径が0.4mmの細管の先端部分を測定するスチレン若しくはサンプルのスチレン溶液に入れる。次に細管はシリンジ部に接続する。シリンジ部にはイオン交換水を脱気した状態で入れる。なお、スチレンに溶解させるサンプル濃度は、0.99質量%で実施する。次にシリンジ部を協和界面科学(株)製 AUTO DISPENSER AD−31に接続してイオン交換水を細管から押し出すことにより、スチレン若しくはサンプルのスチレン溶液内で細管先端部に液滴を作成することができる。そして、この液滴の形状から水との界面張力を計算する。液滴を作成する上での制御や計算方法については協和界面科学(株)製の測定解析システムを用いて行う。なお、計算に必要な水とスチレン溶液の密度差は水とスチレンの密度差である0.1g/cm3として行う。最終的な界面張力の測定結果は10回の測定値の平均値とする。
図1に、本発明のトナーを用いることができる画像形成装置の概略構成を示す。画像形成装置は、その概略中心部に、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体、即ち、感光ドラム110を、矢印方向に回転可能に支持している。画像形成動作が開始すると、感光ドラム110の表面を帯電手段210が一様に帯電させる。その後、この感光ドラム110表面に、露光手段としてのレーザー照射ユニット310が画像情報に対応した露光を行い、感光ドラム110上に静電潜像が形成する。感光ドラム110の摩擦帯電電荷は負極性であり、レーザー照射ユニット310からの露光によってこの負極性の摩擦帯電電荷が減衰した部分が画像部を形成する。
静電潜像はその後、感光ドラム110の回転に伴って、現像装置410が供給する現像剤であるトナーにより可視化されて、感光ドラム110上に所謂トナー像が形成される。現像は反転現像にて行い、摩擦帯電電荷と同極性(負極性)のトナーが、感光ドラム110上の負極性帯電が減衰した画像部に付着する。また、現像装置410へは、現像剤収容手段としてのトナーホッパー510からトナーが逐次補給される。
一方、不図示のカセットに収容された記録材Pは、給紙ローラ910によって感光ドラム110と転写手段としての転写ローラ610とが当接する転写領域へと、感光ドラム110上のトナー像が転写領域に至るのに同期して搬送されてくる。
こうして、感光ドラム110上のトナー像と記録材Pとが転写領域に至ると、転写ローラ610によって転写領域に形成される転写電界の作用で、トナー像が記録材P上に転写される。その後、未定着トナー像を担持した記録材Pは定着装置810の備える定着手段(ヒートローラ)810aによる加熱、及び加圧手段810bによる加圧を受けて、未定着トナー像は記録材P上に定着され、画像が形成される。
また、トナー像の転写を終了した感光ドラム110は、ブレード状のクリーニング手段を備えるクリーニング装置710によって感光ドラム110表面に残留する転写残トナーの除去を受けて、続く画像形成動作に備える。
次に、現像装置410及びトナーホッパー510について更に説明する。図2は、現像装置410及びトナーホッパー510の概略構成とその近傍を示す。現像装置410は、トナー担持体としての現像ローラ411を感光ドラム110に当接させ、トナーを感光ドラム110と「接触」させた状態で現像を行う接触現像方式を採用している。
現像装置410において、現像容器416は、感光ドラム110と対向する側の一部が開口しており、この開口部から一部露出するようにトナー担持体としての現像ローラ411が矢印方向に回転可能に現像容器416に支持されている。現像ローラ411は弾性体を含み所定の当接圧にて感光ドラム110に当接している。また、現像容器416の開口部には、現像ローラ411の下部からのトナーの飛散を防止するために、吹き出し防止シート417が設けられている。現像ローラ411は、カーボンの如き導電剤を分散させたシリコーン、ウレタンの如き低硬度のゴム材或は発泡体、及びその組み合わせにより構成された半導電性弾性体ローラである。
現像容器416の開口部と反対側の上部に現像剤撹拌手段としての撹拌部材414が矢印方向に回転可能に設けられ、現像容器416内のトナーとトナーホッパー510から補給されるトナーを撹拌する撹拌領域Rを形成している。撹拌領域Rを挟んだ現像容器416及びその外側には、撹拌領域Rのトナー面の高さを検知する為の、発光部415a、透過窓415b、受光部415cからなる光学方式を用いたトナー面検知手段415が配置されている。撹拌部材414の回転に伴ってトナーの剤面が変化するときの光の透過時間の割合を測定し、撹拌領域Rにおけるトナーの面の高さ情報を得ている。
撹拌領域Rの下方には、現像剤供給及び回収手段としての供給ローラ413が現像ローラ411に当接して配置される。供給ローラ413は弾性発泡体からなる弾性ローラであり、現像ローラ411に対し当接点において逆方向に回転している。撹拌領域Rにおいて撹拌部材414により十分に撹拌され、その後、主に重力による移動により供給ローラ413近傍に供給されたトナーは、供給ローラ413により搬送され、現像ローラ411に供給される。
現像容器416には、現像ローラ411に加圧するようにトナー層厚規制部材としてのブレード412が設けられている。ブレード412は板バネ状の金属薄板412bに現像ローラ411当接面側表面に絶縁層412aを設けた弾性規制部材である。現像ローラ411上に供給されたトナーは、このブレード412によって層厚を規制され、且つ、塗布されて現像ローラ411上にトナーの薄層が形成する。更に、このときの現像ローラ411及びブレード412それぞれの表面との摩擦によって、トナーには現像に供するのに十分な摩擦電荷が付与される。
その後、現像ローラ411上のトナーの薄層は、現像ローラ411の回転に伴って、感光ドラム110と現像ローラ411とが当接する現像領域(現像ニップ)へと搬送され、トナーは感光ドラム110に接触した状態で現像に供される。即ち、感光ドラム110と現像ローラ411との間に現像電界が形成されるように、電源(図示せず)が接続されている。この現像電界の作用により現像ローラ411上のトナーは感光ドラム110上の静電潜像に転移し、感光ドラム110上には、トナー像が形成して静電潜像が可視化する。
また、現像ローラ411上に塗布され、現像ニップへと担持搬送されたが、現像には寄与せず、現像ローラ411上に更に担持されたままのトナーは、供給ローラ413による摺擦で現像ローラ411上から剥ぎ取られる。そして、その一部は新たに供給ローラ413上に供給されたトナーと共に再び供給ローラ413によって現像ローラ411上へと供給され、残りは現像容器416内へと戻される。尚、本発明では、供給ローラ403はトナー供給及び回収手段として2つの機能を兼ねているが、トナー供給手段とトナー回収手段とを別個に設けることも可能である。また、現像装置410は画像形成装置に対し着脱可能に構成されており、所定寿命(により、交換される構成となっている。
各構成要素の配置において、前記撹拌部材414は、その可動範囲の鉛直方向下端γを、供給ローラ413の鉛直方向上端α、または後述する規制手段としてのブレード412の現像ローラ411との接点βのいずれか高い方(本実施例ではブレード412の現像ローラ411との接点βである)よりも上方に配置している。また、画像形成装置は、トナー面検知手段415からのトナー面の高さ情報を得ることにより、後述する制御手順により前記撹拌部材414の可動範囲の鉛直方向下端γから現像容器416の上面の容器壁の高さδ未満の範囲内の図中γ’からδ’の一定範囲にトナー面が保たれるように、トナーホッパー510からの補給を制御している。
トナーホッパー510内には、トナーホッパー510内のトナーを解す為の撹拌部材514と、トナーホッパー510から現像装置410にトナーを補給するための補給ローラ513が配置されており、現像装置からの補給指令により、所定駆動時間当たり一定量のトナーを現像装置410に補給できるように構成されている。
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。実施例中及び比較例中の部および%は特に断りがない場合、全て質量基準である。なお、トナーの製造例に用いられる極性樹脂αの物性を表1に、極性樹脂βの物性を表2にそれぞれ示している。また、実施例9及び17は参考例である。
(トナー製造例1)
60℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸ナトリウム19質量部、1N塩酸26部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて攪拌した。次いで、13%の塩化カルシウム水溶液90部を5秒で添加してリン酸カルシウムを含有する水系媒体を作成した。また、下記の材料をアトライターにて均一に分散・溶解混合して微粒状着色剤含有単量体を調製した。
スチレン 70質量部
n−ブチルアクリレート 30質量部
極性樹脂α−1 15質量部
極性樹脂β−2 5質量部
C.I.ピグメントレッド122 6質量部
帯電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学社製) 5質量部
次に、該微粒状着色剤含有単量体を60℃に加温し、ワックス(HNP−9(日本精鑞社製)を蒸留によりその留分を20%除去した残存物)10質量部を添加して重合性単量体組成物を調整した。そして、上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、次いで重合開始剤パーブチルPV(日本油脂社製)10.0質量部を添加した。次に60℃にてTK式ホモミキサーを用いて10,000r/minで30分間攪拌し、造粒した。
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100r/minで攪拌しつつ、70℃で5時間反応させた後、80℃まで昇温し、更に5時間反応を行った。その後、98℃まで昇温し、更に3時間反応を行った。その後、内容物を25℃まで冷却し、得られた懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。湿潤着色粒子を流動層乾燥機(奈良機械製作所社製)にて温度40℃で12時間乾燥してトナー粒子1を得た。
100部のトナー粒子1に対して、流動性を向上させる外添剤として、シリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:8nm、BET比表面積:200m2/g)1.6部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)に投入した。攪拌翼の撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら混合開始から180秒間混合を継続し、減速した(混合工程1)。減速により撹拌翼最先端の周速を15m/sec以下とし、該撹拌翼最先端の周速を60秒間15m/sec以下に維持した(休止工程1)。60秒経過後直ちに混合を再開し、該撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら撹拌開始から180秒間混合を継続し、減速した(混合工程2)。減速により撹拌翼最先端の周速を15m/sec以下とし、該撹拌翼最先端の周速を60秒間15m/sec以下に維持した(休止工程2)。60秒経過後直ちに混合を再開し、該撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら混合開始から180秒間混合を継続した(混合工程3)。上記のように混合工程と休止工程を繰り返すことにより、トナー1を得た。トナー1の物性を表3に示す。
(トナー製造例2)
60℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸ナトリウム17質量部、1N塩酸21部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて攪拌した。次いで、13%の塩化カルシウム水溶液76部を5秒で添加してリン酸カルシウムを含有する水系媒体を作成した。また、下記の材料をアトライターにて均一に分散・溶解混合して微粒状着色剤含有単量体を調製した。
スチレン 83質量部
n−ブチルアクリレート 17質量部
極性樹脂α−4 15質量部
極性樹脂β−3 5質量部
C.I.ピグメントレッド122 6質量部
帯電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学社製) 5質量部
次に、該微粒状着色剤含有単量体を60℃に加温し、ワックス(HNP−51(日本精鑞社製)を蒸留によりその留分を4%除去した残存物)10質量部を添加して重合性単量体組成物を調整した。そして、上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、次いで重合開始剤パーブチルPV(日本油脂社製)7質量部を添加した。次に60℃にてTK式ホモミキサーを用いて10,000r/minで30分間攪拌し、造粒した。
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100r/minで攪拌しつつ、70℃で5時間反応させた後、80℃まで昇温し、更に5時間反応を行った。その後、内容物を25℃まで冷却し、得られた懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。湿潤着色粒子を流動層乾燥機(奈良機械製作所社製)にて温度40℃で12時間乾燥してトナー粒子2を得た。
100部のトナー粒子2に対して、流動性を向上させる外添剤として、シリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:80nm、BET比表面積:200m2/g)2.0部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)に投入した。攪拌翼の撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら混合開始から180秒間混合を継続し、減速した(混合工程1)。減速により撹拌翼最先端の周速を15m/sec以下とし、該撹拌翼最先端の周速を60秒間15m/sec以下に維持した(休止工程1)。60秒経過後直ちに混合を再開し、該撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら撹拌開始から180秒間混合を継続し、減速した(混合工程2)。減速により撹拌翼最先端の周速を15m/sec以下とし、該撹拌翼最先端の周速を60秒間15m/sec以下に維持した(休止工程2)。60秒経過後直ちに混合を再開し、該撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら混合開始から180秒間混合を継続した(混合工程3)。上記のように混合工程と休止工程を繰り返すことにより、トナー2を得た。トナー2の物性を表3に示す。
(トナー製造例3)
トナー製造例1のリン酸ナトリウムを25質量部、13%の塩化カルシウム溶液を120部、1N塩酸の量を36部とし、極性樹脂α−1を極性樹脂α−2、極性樹脂β−1を極性樹脂β−2に変更し、ワックスをHNP−51(日本精鑞社製)を蒸留によりその留分を27%除去した残存物に変更し、更には開始剤の量を20部に変更し、外添剤としてシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:80nm、BET比表面積:100m2/g)1.2部及びボントロンE−88(オリエント化学社製)0.3部を添加する以外は同様の手法によりトナー3を得た。トナー3の物性を表3に示す。
(トナー製造例4)
トナー製造例1において極性樹脂α−1を極性樹脂α−3に変更し、極性樹脂β−1を極性樹脂β−2に変更する以外は同様の方法によりトナー4を得た。トナー4の物性を表3に示す。
(トナー製造例5)
トナー製造例1において極性樹脂α−1を極性樹脂α−11に変更した以外は同様の方法によりトナー5を得た。トナー5の物性を表3に示す。
(トナー製造例6)
トナー製造例1において極性樹脂α−1を極性樹脂α−3に変更し、更に極性樹脂β−1を極性樹脂β−4変更した以外は同様の方法によりトナー6を得た。トナー6の物性を表3に示す。
(トナー製造例7)
トナー製造例1において極性樹脂α−1を極性樹脂α−10に変更し、極性樹脂β−1を極性樹脂β−4にした以外は同様の方法によりトナー7を得た。トナー7の物性を表3に示す。
(トナー製造例8)
トナー製造例1において極性樹脂α−1を極性樹脂α−7に変更し、更に極性樹脂β−1を極性樹脂β−5変更した以外は同様の方法によりトナー8を得た。トナー8の物性を表3に示す。
(トナー製造例9)
溶液重合法により製造したスチレン・アクリル酸ブチル共重合体(ガラス転移温度:35℃、ピーク分子量:22000、Mp/Mn:2.8) 100質量部
・極性樹脂α−7 15質量部
・極性樹脂β−5 5質量部
・サリチル酸アルミニウム化合物
(ボントロンE−88;オリエント化学社製) 4質量部
・C.I.ピグメントレッド122 8質量部
・トナーの製造例1で使用したワックス 10質量部
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕後、風力分級して粒径と粒度分布を調整し着色粒子を得た。次いで該着色粒子を窒素雰囲気下、スプレードライヤーを用いて90℃で1時間加熱球形化処理を行い、その後、冷却して着色粒子を得た。
上記着色粒子100部に対して、流動性を向上させる外添剤として、シリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:80nm、BET比表面積:200m2/g)1.6部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)に投入した。攪拌翼の撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら混合開始から180秒間混合を継続し、減速した(混合工程1)。減速により撹拌翼最先端の周速を15m/sec以下とし、該撹拌翼最先端の周速を60秒間15m/sec以下に維持した(休止工程1)。60秒経過後直ちに混合を再開し、該撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら撹拌開始から180秒間混合を継続し、減速した(混合工程2)。減速により撹拌翼最先端の周速を15m/sec以下とし、該撹拌翼最先端の周速を60秒間15m/sec以下に維持した(休止工程2)。60秒経過後直ちに混合を再開し、該撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら混合開始から180秒間混合を継続した(混合工程3)。上記のように混合工程と休止工程を繰り返すことにより、トナー9を得た。トナー9の物性を表3に示す。
(トナー製造例10)
トナー製造例8において極性樹脂α−7を極性樹脂α−8に変更した以外は同様の方法によりトナー10を得た。トナー10の物性を表3に示す。
(トナー製造例11)
トナー製造例8において極性樹脂α−7を極性樹脂α−6に変更した以外は同様の方法によりトナー11を得た。トナー11の物性を表3に示す。
(トナー製造例12)
トナー製造例8において極性樹脂α−7を極性樹脂α−5に変更し、開始剤の添加量を25質量部に変更した以外は同様の方法によりトナー12を得た。トナー12の物性を表3に示す。
(トナー製造例13)
トナー製造例8において極性樹脂α−7を極性樹脂α−9に変更し、開始剤の添加量を5質量部に変更した以外は同様の方法によりトナー12を得た。トナー12の物性を表3に示す。
(トナー製造例14)
トナー製造例1においてC.I.ピグメントレッド122をC.Iピグメントブルー15:3に変更する以外は同様の方法によりトナー14を得た。トナー14の物性を表3に示す。
(トナー製造例15)
トナー製造例1においてC.I.ピグメントレッド122をC.Iピグメントイエロー93に変更する以外は同様の方法によりトナー15を得た。トナー15の物性を表3に示す。
(トナー製造例16)
トナー製造例1においてC.I.ピグメントレッド122をカーボンブラック(DBP吸油量:42cm3/100g、比表面積:60m2/g)に変更する以外は同様の方法によりトナー16を得た。トナー16の物性を表3に示す。
(トナー製造例17)
・極性樹脂β−6 100質量部
・極性樹脂α−7 15質量部
・サリチル酸アルミニウム化合物
(ボントロンE−88;オリエント化学社製) 4質量部
・C.I.ピグメントレッド122 8質量部
・HNP−5(日本精鑞社製)を蒸留によりその留分を79%除去した残存物 10質量部
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕後、風力分級して粒径と粒度分布を調整し着色粒子を得た。次いで該着色粒子を窒素雰囲気下、スプレードライヤーを用いて80℃で1時間加熱球形化処理を行い、その後、冷却して着色粒子を得た。
上記着色粒子100部に対して、流動性を向上させる外添剤として、シリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:80nm、BET比表面積:200m2/g)1.6部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)に投入した。攪拌翼の撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら混合開始から180秒間混合を継続し、減速した(混合工程1)。減速により撹拌翼最先端の周速を15m/sec以下とし、該撹拌翼最先端の周速を60秒間15m/sec以下に維持した(休止工程1)。60秒経過後直ちに混合を再開し、該撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら撹拌開始から180秒間混合を継続し、減速した(混合工程2)。減速により撹拌翼最先端の周速を15m/sec以下とし、該撹拌翼最先端の周速を60秒間15m/sec以下に維持した(休止工程2)。60秒経過後直ちに混合を再開し、該撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら混合開始から180秒間混合を継続した(混合工程3)。上記のように混合工程と休止工程を繰り返すことにより、トナー17を得た。トナー17の物性を表3に示す。
(比較トナー製造例1)
60℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸ナトリウム15質量部、1N塩酸15部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて攪拌した。次いで、13%の塩化カルシウム水溶液70部を90秒で添加してリン酸カルシウムを含有する水系媒体を作成した。また、下記の材料をアトライターにて均一に分散・溶解混合して微粒状着色剤含有単量体を調製した。
スチレン 70質量部
n−ブチルアクリレート 30質量部
極性樹脂α−5 15質量部
極性樹脂β−5 5質量部
C.I.ピグメントレッド122 6質量部
帯電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学社製) 5質量部
次に、該微粒状着色剤含有単量体を60℃に加温し、ワックス(HNP−9(日本精鑞社製)を蒸留によりその留分を20%除去した残存物)10質量部を添加して重合性単量体組成物を調整した。そして、上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、次いで重合開始剤パーブチルPV(日本油脂社製)25質量部を添加した。次に60℃にてTK式ホモミキサーを用いて10,000r/minで30分間攪拌し、造粒した。
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100r/minで攪拌しつつ、70℃で5時間反応させた後、80℃まで昇温し、更に5時間反応を行った。その後、内容物を25℃まで冷却し、該懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。次に、上記粒子を流動層乾燥機(奈良機械製作所社製)にて温度40℃で12時間乾燥して比較トナー粒子1を得た。
100部の比較トナー粒子1に対して、流動性を向上させる外添剤として、シリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:8nm、BET比表面積:200m2/g)1.6部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)に投入した。攪拌翼の撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら混合開始から180秒間混合を継続し、減速した(混合工程1)。減速により撹拌翼最先端の周速を15m/sec以下とし、該撹拌翼最先端の周速を60秒間15m/sec以下に維持した(休止工程1)。60秒経過後直ちに混合を再開し、該撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら撹拌開始から180秒間混合を継続し、減速した(混合工程2)。減速により撹拌翼最先端の周速を15m/sec以下とし、該撹拌翼最先端の周速を60秒間15m/sec以下に維持した(休止工程2)。60秒経過後直ちに混合を再開し、該撹拌翼最先端を周速50m/secに10秒間で到達させた後に、同速度を維持しながら混合開始から180秒間混合を継続した(混合工程3)。上記のように混合工程と休止工程を繰り返すことにより、比較トナー1を得た。比較トナー1の物性を表3に示す。
(比較トナー製造例2)
トナー製造例12においてワックスをHNP−5(日本精鑞社製)を蒸留によりその留分を53%除去した残存物に変更した以外は同様の方法により比較トナー2を得た。比較トナー2の物性を表3に示す。
(比較トナー製造例3)
トナー製造例1において極性樹脂α−1を極性樹脂β−5に変更し、極性樹脂β−1を極性樹脂β−5に変更し、更にはスチレンを86質量部、n−ブチルアクリレートを14質量部に変更した以外は同様の方法により比較トナー3を得た。比較トナー3の物性を表3に示す。
(比較トナー製造例4)
60℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸ナトリウム28質量部、1N塩酸40部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて攪拌した。次いで、13%の塩化カルシウム水溶液134部を90秒で添加してリン酸カルシウムを含有する水系媒体を作成した。また、下記の材料をアトライターにて均一に分散・溶解混合して微粒状着色剤含有単量体を調製した。
スチレン 70質量部
n−ブチルアクリレート 30質量部
極性樹脂α−5 15質量部
極性樹脂β−5 5質量部
C.I.ピグメントレッド122 6質量部
帯電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学社製) 5質量部
次に、該微粒状着色剤含有単量体を60℃に加温し、ワックス(HNP−9(日本精鑞社製)を蒸留によりその留分を20%除去した残存物)10質量部を添加して重合性単量体組成物を調整した。そして、上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、次いで重合開始剤パーブチルPV(日本油脂社製)25質量部を添加した。次に60℃にてTK式ホモミキサーを用いて10,000r/minで30分間攪拌し、造粒した。
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100r/minで攪拌しつつ、70℃で5時間反応させた後、80℃まで昇温し、更に5時間反応を行った。更に98℃まで昇温して3時間反応を行った後、25℃まで冷却し、該懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。次に、上記粒子を流動層乾燥機(奈良機械製作所社製)にて温度40℃で12時間乾燥して比較トナー粒子4を得た。
100部の比較トナー粒子4に対して、流動性を向上させる外添剤として、シリコーンオイルで処理された疎水性シリカ微粉体(平均一次粒子径:80nm、BET比表面積:100m2/g)0.8部及びボントロンE−88(オリエント化学社製)0.5部ををヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合して比較トナー4を得た。比較トナー4の物性を表3に示す。
<実施例1>
画像形成装置はHP Color LaserJet CP6015dn(ヒューレットパッカード製)を用い、下記(a)乃至(e)の条件を変更或いは改造して使用した。
(a)画像形成装置のプロセススピードを200mm/secに変更し、これに対する、現像ローラの周速は280mm/secに変更した。
(b)プロセスカートリッジの寿命を検知しないように改造した。
(c)カートリッジ有無の検知をしないように改造し、単色でも耐久評価及び画像評価が行えるようにした。
トナー1を非磁性一成分系現像剤とし、N/N(温度23℃、相対湿度50%)環境下及びH/H(温度32℃、相対湿度83%)環境下で、A4のカラーレーザーコピア用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いて画像評価を行った。
以上の条件で、0.5%の印字比率の画像を60000枚まで間歇モード(すなわち、1枚プリントアウトする毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の現像装置の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)でプリントアウトした。評価結果を表4、5に示す。
(1)画像濃度
トナーの耐久性の指標として画像濃度の測定を行った。耐久初期(10枚目)及び60000枚耐久後に、ベタ画像を出力し、その濃度を測定(右上、右下、中心、左上、左下の5点平均)することにより評価した。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。
A;画像濃度が1.50以上である。
B;画像濃度が1.35以上1.50未満である。
C;画像濃度が1.20以上1.35未満である。
D;画像濃度が1.05以上1.20未満である。
E;画像濃度が1.05未満である。
(2)画像均一性
60000枚耐久後に、トナーの帯電安定性はベタ黒画像を一枚出力したときのベタ黒画像中の最大濃度差を測定した。なお、画像均一性は、トナーの帯電安定性を評価する指標である。なお、画像濃度は上述(1)の5点を用いる。
A;画像濃度差が0.05より小さい。
B;画像濃度差が0.05以上であり、0.1より小さい。
C;画像濃度差が0.1以上であり、0.2より小さい。
D;画像濃度差が0.2以上である。
A、B、Cならば問題なく使用できる。
(3)カブリ
耐久初期及び60000枚耐久後に、ベタ白画像を出力した。カブリの測定については、東京電色社製の反射濃度計、REFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して、標準紙及びプリントアウト画像の非画像部の反射率を測定した。測定で用いられるフィルターには、グリーンフィルターを用いた。測定結果から下記の式よりカブリを算出し、以下の基準で評価した。
カブリ(反射率:%)=標準紙上の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
A;カブリ(反射率)が0.3%未満である。
B;カブリ(反射率)が0.3%以上、0.5%未満である。
C;カブリ(反射率)が0.5%以上、1.0%未満である。
D;カブリ(反射率)が1.0%以上、1.5%未満である。
E;カブリ(反射率)が1.5%以上である。
(4)長期放置安定性
長期放置安定性を評価するために下記の評価を実施した。耐久試験前に、トナーを温度40℃、湿度95%環境下にて30日放置した。このトナーを用いて、上記耐久試験を行った。また、プリントアウトした環境にて更に30日放置後に、予め温度23℃、相対湿度50%環境下に保存していたトナーを補給用トナーとして用いた。高印字画像(印字率50%)を70枚出力して、カブリ測定を行った。カブリの評価方法及び評価基準は上記(3)と同じである。
(5)機内汚染
機内汚染性の評価は、60000枚耐久後に、加圧ローラの汚染の程度を下記の評価基準に従って、目視で評価することにより行った。
A;汚染されていない。
B;極僅かに汚染されている。
C;汚染は確認されるものの、紙裏への汚れは無い。
D;汚染が確認され、紙裏への汚れも僅かに有る。
E;汚染が確認され、紙裏の汚れも酷く使い物にならない。
A〜Cならば、実用上問題は無い。
(6)低温定着性
60000枚耐久後に、以下の定着こすり試験を実施した。A4の複写機用普通紙(105g/m2)に単位面積あたりのトナー質量が0.5mg/cm2になるように調整し、濃度測定用の10mm×10mmの3ドット3スペース(600dpi)画像を多数有する画像を出力し、得られた定着画像を、50g/cm2の加重をかけたシルボン紙で5回摺擦し、摺擦後の画像濃度の低下率から以下に基づいて評価した。なお、画像濃度の測定には、マクベス反射濃度計(マクベス社製)を用い、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、摺擦後の画像濃度の低下率を算出した。定着こすり試験による定着性は、A〜Cならば実用上問題は無い。
A:画像濃度の低下率が2%未満である。
B:画像濃度の低下率2%以上、5%未満である。
C:画像濃度の低下率5%以上、10%未満である。
D:画像濃度の低下率10%以上である。
(7)プリントアウト画像の光沢度(グロス)
耐久初期に、グロスの評価は105g/m2紙の評価画像を用いて行った。ベタ画像部(トナーの載り量が0.4mg/cm2になるように調整)5点について、画像のグロスを、グロスメーターPG−3G(日本電色工業社製)を用いて測定した。入射角は75度とした。
A:グロス値が40.0以上である。
B:グロス値が35.0以上40.0未満である。
C:グロス値が30.0以上35.0未満である。
D:グロス値が30.0未満である。
(8)耐ホットオフセット性(離型性)
60000枚耐久後に、A4の紙に単位面積あたりのトナー質量を0.6mg/cm2になるように調整した濃度測定用の10mm×10mmベタ画像を多数有する画像を出力し、プロセススピードを60mm/secに変更して定着した。この定着画像を、以下の基準に基づいて評価した。
A:定着画像が良好である。
B:僅かに定着部の乱れがある。
C:定着画像に乱れがあるものの、剥離は認められない。
D:定着部に僅かな剥離が認められる。
E:定着部分に明らかな剥離があり、使えない状態。
A〜Cならば実用上問題は無い。
<実施例2〜17>
実施例1と同条件で、トナー2〜17を評価した。詳細の結果を表4、5に示す。
<比較例1〜4>
実施例1と同条件で、比較トナー1〜4を評価した。詳細の結果を表4、5に示す。