JP2012077690A - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両に搭載されたエンジンへの要求トルクを設定する設定手段と、外部負荷の変動を検出する検出手段22〜25と、前記要求トルクを補正する補正手段28〜32とを備える。また、補正手段28〜32で補正された前記要求トルクに基づき前記エンジンの目標トルクを演算する目標トルク演算手段と、前記エンジンの出力トルクを前記目標トルクに近づけるように、前記エンジンに導入される空気量を制御する制御手段と、前記エンジンの点火時期を検出する点火時期検出手段とを備える。
補正手段28〜32が、外部負荷の変動に対応するためのトルク増分を前記要求トルクに加算して増分補正要求トルクを求め、前記点火時期の所定の基準値からのずれ量に応じて前記増分補正要求トルクを増減させる。
【選択図】図7
Description
このような課題に対し、外部負荷の大小に関わらず常に点火時期を進角させ、あるいは空気量を増大させることによって安定性を確保することも考えられる。しかし、起こりうる全ての負荷変動をカバーできるような大きなエンジントルクを出力させると、エネルギーロスが増大して燃費が悪化する。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
また、前記補正手段で補正された前記要求トルクに基づき、前記エンジンの目標トルクを演算する目標トルク演算手段と、前記エンジンの出力トルクを前記目標トルク演算手段で演算された前記目標トルクに近づけるように、前記エンジンに導入される空気量を制御する制御手段と、前記エンジンの点火時期を検出する点火時期検出手段とを備える。
さらに、前記補正手段が、前記検出手段で前記外部負荷の変動が検出された時に、前記変動に対応するためのトルク増分を前記設定手段で設定された前記要求トルクに加算して増分補正要求トルクを求め、前記点火時期検出手段で検出された前記点火時期の所定の基準値からのずれ量に応じて、前記増分補正要求トルクを増減させる。
前記外部負荷装置には、例えば前記車両に搭載された変速装置,空調装置,各種電装品,油圧パワーステアリング装置等が含まれる。また、外部負荷装置の作動状態(例えば、主電源,メインスイッチのオン/オフ状態)を検出するためのセンサを設け、前記センサでの検出情報に基づいて前記外部負荷の変動を検出することが考えられる。
前記補正手段が、前記点火時期検出手段で検出された前記点火時期の前記第一基準値から進角側へのずれ量に応じて、前記増分補正要求トルクを増大させる
(3)また、開示のエンジンの制御装置は、前記所定の基準値として前記第一基準値よりも遅角側の第二基準値が設定されており、前記補正手段が、前記点火時期検出手段で検出された前記点火時期の前記第二基準値から遅角側へのずれ量に応じて、前記増分補正要求トルクを減少させる。
(5)また、開示のエンジンの制御装置は、前記制御手段が、前記エンジンに導入される空気量を増大させるとともに、前記点火時期をリタードさせて前記増分補正要求トルクを相殺する。
(8)また、開示のエンジンの制御装置は、前記補正手段が、前記アイドル検出手段で前記アイドル運転状態が検出されず、又は、前記検出手段で前記変動が検出されない場合に、前記要求トルクを減少させる。
つまり、油圧パワーステアリング装置の作動時には、操舵が中立位置に戻るまで要求トルクの補正を継続する。
例えば、変速装置,空調装置,各種電装品による負荷変動が検出された場合には、その変動が検出された直後に要求トルクを大きく補正することが考えられる。また、要求トルクを補正するのは、その変動が検出されてから所定時間が経過するまでの間とすることが考えられる。
[1.装置構成]
本実施形態の制御装置は、図1に示す車載のエンジン10に適用される。ここでは、多気筒四サイクル型のエンジン10に設けられた複数のシリンダのうち、一つのシリンダを示す。シリンダの頂部には点火プラグ13がその先端を燃焼室側に突出させた状態で設けられる。また、燃焼室のシリンダヘッド側の頂面には、吸気通路11及び排気通路12が接続される。
エンジンECU1には、要求トルク演算部2,目標トルク演算部3及び制御部4が設けられる。
要求トルク演算部2(設定手段)は、運転者から要求されるトルクや外部制御システムから要求されるトルクを集約し、アクセル要求トルクPi_APSと、制御操作に対する応答性が異なる二種類の要求トルクと、アイドル要求トルクPi_NeFBとを演算し、これらをエンジン10への要求トルクとして設定するものである。
なお、これらの要求トルク演算部2,目標トルク演算部3及び制御部4の各機能は、電子回路(ハードウェア)によって実現してもよく、あるいはソフトウェアとしてプログラミングされたものとしてもよいし、あるいはこれらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。
図2に示すように、要求トルク演算部2には、アイドル要求トルク設定部2a,アクセル要求トルク演算部2b,最終要求トルク演算部2c及び加算トルク演算部2dが設けられる。
アイドル要求トルク設定部2aは、エンジン10がアイドル運転状態である時のエンジン回転数Neの目標値として、目標アイドル回転数を設定するものである。この目標アイドル回転数は、例えばエアコン装置の負荷やエンジン冷却水温といった外部負荷装置の状態に応じて適宜設定される。また、アイドル要求トルク設定部2aは、設定された目標アイドル回転数に対応するトルク(エンジン回転数Neを目標アイドル回転数に維持するために要するトルク)をアイドル要求トルクPi_NeFBとして設定する。ここで設定されたアイドル要求トルクPi_NeFBは、目標トルク演算部3に伝達される。
加算トルクPi_ADDは、例えばCVT装置のシフトレバー操作,ステアリングホイールの操舵操作,エアコン装置や各種電装品の起動操作等に伴って発生する過渡的な負荷の変動に対応した大きさのトルクであり、その値は外部負荷装置の種類や作動状態に応じて変更される。ここで演算された加算トルクPi_ADDは、目標トルク演算部3に伝達される。
目標トルク演算部3での演算プロセスを図3に例示する。目標トルク演算部3には、要求トルク演算部2で演算又は設定されたアイドル要求トルクPi_NeFB,アクセル要求トルクPi_APS, 点火制御用要求トルクPi_EXT_SA,吸気制御用要求トルクPi_EXT及び加算トルクPi_ADDが入力される。この目標トルク演算部3には、第一選択部3a,第二選択部3b,燃料カット部3c,吸気遅れ補正部3d及び外部負荷補正部3eが設けられる。
第一選択部3a及び第二選択部3bにおけるトルクの目標値の選択条件としては、例えば外部制御システムからのトルクの要求の有無や、後述するアイドル条件判定部21での判定結果(エンジン10のアイドル運転の要否)等が考えられる。第一選択部3aで選択されたトルク値は燃料カット部3cに伝達され、第二選択部3bで選択されたトルク値は吸気遅れ補正部3dに伝達される。
図1に示すように、制御部4には点火制御部4a(点火時期検出手段)及び吸気制御部4h(制御手段)が設けられる。点火制御部4aは点火制御用目標トルクPi_TGTに基づいて点火制御を実施するものであり、吸気制御部4hは吸気制御用目標トルクPi_ETV_STDに基づいて吸気制御を実施するものである。
図3に示すように、目標トルク演算部3では、加算トルクPi_ADDが吸気制御用目標トルクPi_ETV_STDの演算プロセスのみに用いられ、点火制御用目標トルクPi_TGTの演算プロセスには用いられない。したがって、エンジン10に導入される空気量は外部負荷に応じて補正される反面、点火プラグ13での点火時期はこのような補正が加えられていない点火制御用目標トルクPi_TGTに基づいて制御される。
点火制御部4aは、制御対象の気筒に設けられた点火プラグ13を実行点火時期SA_ACTに点火させる点火制御を実施する。
加算トルク演算部2dのブロック構成を図7に示す。加算トルク演算部2dには、アイドル条件判定部21,条件判定部26,タイマー部27と、外部負荷の変動を検出する検出手段としてのP/S(Power assisted Steering)負荷判定部22,T/M(Transmission)負荷印加判定部23,A/C(Air Conditioning)負荷印加判定部24及び電気負荷印加判定部25が設けられる。また、加算トルクPi_ADDの補正演算に係る第一補正量設定部28,第二補正量設定部29,第三補正量設定部30,補正量保持設定部31及び第四補正量設定部32が設けられる。
条件1.条件Aが成立し、かつタイマーの値Tが初期値Tstである
条件2.条件Aが成立し、かつ点火指標Kが第一指標K1以上であり、かつP/S負荷がある
条件3.条件Aが成立し、かつ点火指標Kが第一指標K1以上であり、かつT>0である
条件4.条件Aが成立し、かつ点火指標Kが第一指標K1未満、第二指標K2以上であり、
かつ、P/S負荷があるかタイマーの値TがT>0である
条件5.上記の条件1〜4が何れも成立しない
第一補正量設定部28,第二補正量設定部29及び第三補正量設定部30は、加算トルクPi_ADDを増加方向に補正するものであり、第四補正量設定部32は、加算トルクPi_ADDを減少方向に補正するものである。
第二補正量設定部29は、前回の制御周期で演算された加算トルクPi_ADDに第二補正量を加算したものを今回の制御周期の加算トルクPi_ADDとして演算する。第二補正量は、P/S負荷が入力されている間は常時加算されるトルク量に対応する。
補正量保持設定部31は、前回の制御周期で演算された加算トルクPi_ADDをそのまま今回の制御周期の加算トルクPi_ADDに設定する。
また、CVT装置のシフトレバー操作やエアコン操作の場合には、操作が入力されてから所定時間が経過すれば負荷変動が安定する。つまり、油圧パワーステアリング装置以外の外部負荷装置は、時間が経過に応じて変動が安定していく傾向がある。これに対して、パワーステアリング装置の動作は運転者の操作量に依存するため、どのようなタイミングでP/S負荷が急変するかを予測することが難しい。このような特性の相違も、P/S負荷の扱いとその他の外部負荷の扱いとを区別する理由の一つである。
条件2,3に含まれる点火指標Kの条件は、トルクリザーブ量が比較的小さい点火状態であることを判定するための条件といえる。したがって、条件2,3の成立時には、トルクリザーブ量を増加させるべく加算トルクPi_ADDが加算方向に補正される。一方、点火指標Kが小さくトルクリザーブ量が十分に大きい点火状態では、条件5が成立して加算トルクPi_ADDが減少方向に補正される。
加算トルク演算部2dで実行される制御手順の例として図8にフローチャートを示す。なお、このフローチャートに含まれる各判定条件は、上記の条件1〜5に含まれる個々の条件を分解して再構成したものである。
まず、ステップA10では、条件判定に用いられる各種情報が読み込まれる。続くステップA20では、アイドル条件判定部21において、アクセルペダルの操作量θAC及び車速Vに基づいて条件Aが成立するか否か(エンジン10がアイドル運転状態であるか否か)が判定される。ここで条件Aが成立する場合にはステップA30へ進み、条件Aが成立しない場合には条件1〜4の何れも成立しないため、条件5の成立時の制御に対応するステップA140へ進む。なお、ステップA140では、第四補正量設定部32において前回の制御周期で演算された加算トルクPi_ADDから第四補正量が減算され、続くステップA150では減算後の加算トルクPi_ADDが目標トルク演算部3に伝達される。
ステップA50では、例えば操作角度θ_SASに基づき、P/S負荷の有無が判定される。P/S負荷がある場合には、条件2の成立時の制御に対応するステップA110へ進み、P/S負荷がない場合にはステップA60へ進む。なお、ステップA110では、第二補正量設定部29において前回の制御周期で演算された加算トルクPi_ADDに第二補正量が加算され、続くステップA150では加算後の加算トルクPi_ADDが目標トルク演算部3に伝達される。
ステップA80では、ステップA50と同様にP/S負荷の有無が判定される。P/S負荷がある場合には、条件4の成立時の制御に対応するステップA130へ進む。また、P/S負荷がない場合にはステップA90へ進み、ステップA60と同様にタイマー部27のタイマーの値Tが0よりも大きいか否かが判定される。ここでタイマーの値TがT>0である場合にも、条件4の成立時の制御に対応するステップA130へ進む。一方、タイマーの値TがT=0である場合には、ステップA140へ進む。
なお、本フローチャートのステップA20での条件判定は、第四補正量(ステップA140)及びそれ以外の補正量(ステップA100〜A130)の何れかへのルートを選択するための条件判定である。つまりこの制御では、エンジンがアイドル運転状態にあるか否かによって補正量が増減している。
また、本フローチャートのステップA50及びA80でのP/S負荷に関する条件判定も、ステップA110〜A140の何れかへのルートを選択するための条件判定の一つである。つまりここでは、P/S負荷の有無に基づいて補正量が増減している。
さらに、本フローチャートのステップA30,A60及びA90でのタイマーTに関する条件判定は、ステップA100〜A150の何れかへのルートを選択するための条件判定の一つである。つまりここでは、油圧パワーステアリング装置以外の外部負荷が入力されてからの経過時間に基づいて補正量が増減している。
[4−1.エアコン装置のオン操作時]
上記の制御により加算トルクPi_ADDが増加したときのトルク挙動の変化について説明する。
図9に示すように、エンジン10がアイドル運転状態であって実充填効率Ecが第一所定値Ec1であり、点火制御用目標トルクPi_TGTがTq4であるとき、点火時期は点Aに対応するT4に設定される。
点Aの制御状態では、実充填効率Ecが第一所定値Ec1であるときのMBTであるT1よりも点火時期が遅角方向に移動しており、リタード量Rtd1はT1-T4である。また、点Aでのトルクリザーブ量Rsrv1は、MBTでのトルクから点Aでのトルクを減算したTq1-Tq4である。
これにより、目標トルク演算部3で演算される吸気制御用目標トルクPi_ETV_STDが増大し、制御部4の吸気制御部4hでは、気筒内に導入される空気量が一度に増量するようにETV15の開度が制御される。また、これに伴って吸気流量Qが増大し、実充填効率Ecも増大する。図9に示すように、このときの実充填効率を第二所定値Ec2とする。
前述の通り、実充填効率Ecが増大するとエンジン10で生成されるトルクが増大するため、トルク値Tq2はTq1よりも大きい。したがって、トルクリザーブ量Rsrv2は上記のトルクリザーブ量Rsrv1よりも大きく、加算トルクPi_ADDの増大によってトルクの余裕分が増加したことになる。一方、点火制御用目標トルクPi_TGTはTq3から変化しないため、実際にエンジン10から出力されるトルクの大きさは変化せず、トルクリザーブ量のみが増大する。したがって、エアコン装置の起動時にトルクショックが発生するようなこともない。
加算トルクPi_ADDに第三補正量が加算されると、目標トルク演算部3で演算される吸気制御用目標トルクPi_ETV_STDがさらに増大し、制御部4の吸気制御部4hでは、気筒内に導入される空気量がさらに増量するようにETV15の開度が制御される。このとき、点火制御用目標トルクPi_TGTはTq4から変化しないため、制御状態は点C方向に移動する。このような制御により、トルクリザーブ量がさらに増大する。このときのトルクリザーブ量Rsrv3は上記のトルクリザーブ量Rsrv2よりもさらに大きいTq3-Tq4となる。
上記の制御は、エアコン装置の主電源がオフからオンに操作された場合だけでなく、CVT装置のシフトレバーが非走行レンジから走行レンジへと切り換えられた場合や、各種電装品のメインスイッチがオフからオンに操作された場合にも同様に実施される。
一方、エンジン10のアイドル運転時にステアリング操作が入力された場合には、エアコン装置の場合とは異なる制御が実施される。
例えば、ステアリング操作が入力されると、操作角度θ_SASがステアリング角度センサ8からエンジンECU1の要求トルク演算部2に伝達される。アイドル要求トルク設定部2aでは、外部負荷要求トルクPi_AUXを含むアイドル要求トルクPi_NeFBが演算され、これが目標トルク演算部3に伝達される。なお、アクセル要求トルクPi_APS,点火制御用要求トルクPi_EXT_SA及び吸気制御用要求トルクPi_EXTについても、上記のエアコン装置の場合と同様に演算される。
したがって、目標トルク演算部3で演算される吸気制御用目標トルクPi_ETV_STDが加算トルクPi_ADD分だけ増大し、制御部4の吸気制御部4hでは、気筒内に導入される空気量が一度に増量するようにETV15の開度が制御される。また、これに伴って吸気流量Qが増大し、実充填効率Ecも第二所定値Ec2まで増大する。
あるいは、点火指標KがK2未満になるまで点火時期が遅角した場合には、条件4が不成立となり、同時に条件5が成立する。したがって、加算トルクPi_ADDが減少補正されるのに伴って、気筒内に導入される空気量が減量するようにETV15の開度が制御される。
また、ステアリングホイールの操作位置が中立位置まで戻されると、P/S負荷判定部22においてステアリング操作に係る外部負荷が変動する可能性がないと判定され、条件5が成立する。この場合も加算トルクPi_ADDが減少補正され、吸入空気量を絞るようにETV15の開度が制御される。
このように、上述の制御装置によれば、外部負荷の状態に応じて複数のパターンの加算トルクPi_ADDが設定され、これに基づいてエンジン10に導入される空気量が制御されるため、外部負荷の変動を考慮した多様なトルクベース制御を実現することができ、エンジン10の運転状態の安定性を向上させることができるとともに、燃費を改善することができる。
また、上述の制御装置によれば、加算トルクPi_ADDが増大補正されるのは、条件判定部26で条件1〜3の何れかが成立したときのみであって、外部負荷の変動が検出された場合に限られるため、加算トルクPi_ADDが大きくなりすぎるような事態を防止することができ、燃費を改善することができる。
このように、エンジン10が不安定になりやすい状態でのみ安定性を向上させることができる。また、エンジン10が不安定になりにくい状態では加算トルクPi_ADDの値を減少させる(例えば、0にする)ことで空気量を減少させることができ、燃費を改善することができる。
このように、点火時期が進角寄りである場合に加算トルクPi_ADDを増大させることで、トルクリザーブ量を増大させることができ、エンジン10の運転状態の安定性をより向上させることができる。
さらに、点火指標Kが第一指標K1未満、かつ、第二指標K2以上である場合には、加算トルクPi_ADDの値がそのまま保持されるため、トルクリザーブ量を一定範囲内に収束させることができ、エンジン10の安定性及び燃費のバランスのよい状態を維持することができる。
なお、アイドル運転状態でないときには、上記の条件1〜条件4が成立せず、条件5が成立することになるため、加算トルクPi_ADDが減少補正され、最終的には0となる。このように、アイドル運転状態でないときや外部負荷の変動が検出されないときに加算トルクPi_ADDを減少させることにより、過剰な空気量の増大を抑制することができ、効果的に燃費を向上させることができる。
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上記の実施形態では、要求トルク演算部2,目標トルク演算部3及び制御部4の各機能を備えたエンジンECU1を例示したが、エンジンECU1の具体的な制御構成はこれに限定されない。少なくとも、外部負荷が要求する要求トルク(例えば、外部負荷要求トルクPi_AUX)をその外部負荷の状態に応じて補正する(例えば、加算トルクPi_ADDを加算補正する)手段と、補正後の要求トルクに応じたエンジン10の目標トルクを設定する手段と、その目標トルクがエンジン10から出力されるように空気量を制御する手段とを備えた電子制御装置であれば、上記の技術効果を奏するものとなる。したがって、具体的な制御構成については適宜追加、あるいは簡素化することが可能である。
また、上述の実施形態における条件1〜条件5の具体的な内容は任意に設定することができ、補正手法をさらに追加することも可能である。補正条件を追加することでより正確かつきめの細かい制御が可能となり、エンジン10の安定性をさらに向上させることができるとともに、無用なトルクリザーブ量の増大を回避することができ、燃費をさらに向上させることができる。
なお、上述の実施形態のエンジン10の燃焼形式は任意である。少なくとも、トルクベース制御が実施されるエンジン全般に適用可能であり、リーンバーンエンジンや可変バルブリフト機構を持ったエンジン等にも適用することができる。
2 要求トルク演算部(設定手段)
2a アイドル要求トルク設定部
2b アクセル要求トルク演算部(第一演算手段)
2c 最終要求トルク演算部(第二演算手段)
2d 加算トルク演算部
3 目標トルク演算部(目標トルク演算手段)
4 制御部
4a 点火制御部(点火時期検出手段)
4h 吸気制御部(制御手段)
5 アクセルペダルセンサ(アクセル操作量検出手段)
6 クランク角度センサ(エンジン回転数検出手段)
8 ステアリング角度センサ(ステアリング角度検出手段)
9 車速センサ(車速検出手段)
10 エンジン
21 アイドル条件判定部(アイドル検出手段)
22 P/S負荷判定部(検出手段)
23 T/M負荷印加判定部(検出手段)
24 A/C負荷印加判定部(検出手段)
25 電気負荷印加判定部(検出手段)
26 条件判定部
27 タイマー部
28 第一補正量設定部(補正手段)
29 第二補正量設定部(補正手段)
30 第三補正量設定部(補正手段)
31 補正量保持設定部(補正手段)
32 第四補正量設定部(補正手段)
Claims (10)
- 車両に搭載されたエンジンに対して要求トルクを設定する設定手段と、
前記エンジンに外部負荷を与える外部負荷装置の作動状態に基づいて、前記外部負荷の変動を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に応じて、前記設定手段で設定された前記要求トルクを補正する補正手段と、
前記補正手段で補正された前記要求トルクに基づき、前記エンジンの目標トルクを演算する目標トルク演算手段と、
前記エンジンの出力トルクを前記目標トルク演算手段で演算された前記目標トルクに近づけるように、前記エンジンに導入される空気量を制御する制御手段と、
前記エンジンの点火時期を検出する点火時期検出手段と、を備え、
前記補正手段が、
前記検出手段で前記外部負荷の変動が検出された時に、前記変動に対応するためのトルク増分を前記設定手段で設定された前記要求トルクに加算して増分補正要求トルクを求め、
前記点火時期検出手段で検出された前記点火時期の所定の基準値からのずれ量に応じて、前記増分補正要求トルクを増減させる
ことを特徴とする、エンジンの制御装置。 - 前記所定の基準値として第一基準値が設定されており、
前記補正手段が、前記点火時期検出手段で検出された前記点火時期の前記第一基準値から進角側へのずれ量に応じて、前記増分補正要求トルクを増大させる
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンの制御装置。 - 前記所定の基準値として前記第一基準値よりも遅角側の第二基準値が設定されており、
前記補正手段が、前記点火時期検出手段で検出された前記点火時期の前記第二基準値から遅角側へのずれ量に応じて、前記増分補正要求トルクを減少させる
ことを特徴とする、請求項2記載のエンジンの制御装置。 - 前記補正手段が、前記点火時期検出手段で検出された前記点火時期が前記第一基準値から前記第二基準値までの間にあるときに、前記増分補正要求トルクを保持する
ことを特徴とする、請求項3記載のエンジンの制御装置。 - 前記制御手段が、前記エンジンに導入される空気量を増大させるとともに、前記点火時期をリタードさせて前記増分補正要求トルクを相殺する
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。 - 前記車両の運転者によって要求されるアクセル要求トルクを演算する第一演算手段と、
前記第一演算手段で演算された前記アクセル要求トルクに基づき、点火時期制御用の第一目標トルク及び吸気量制御用の第二目標トルクのそれぞれを演算する第二演算手段とを備え、
前記目標トルク演算手段が、前記第二演算手段で演算された前記第二目標トルクに対し前記要求トルクを加算して、前記目標トルクを演算する
ことを特徴とする、請求項5記載のエンジンの制御装置。 - 前記エンジンがアイドル運転状態にあるか否かを検出するアイドル検出手段を備え、
前記補正手段が、前記アイドル検出手段で前記アイドル運転状態が検出され、かつ、前記検出手段で前記変動が検出された場合に、前記要求トルクを増大させる
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。 - 前記補正手段が、前記アイドル検出手段で前記アイドル運転状態が検出されず、又は、前記検出手段で前記変動が検出されない場合に、前記要求トルクを減少させる
ことを特徴とする、請求項7記載のエンジンの制御装置。 - 前記補正手段が、前記外部負荷装置の種類に応じて前記要求トルクを補正するものであり、前記外部負荷装置が前記車両に搭載された油圧パワーステアリング装置である場合は、当該油圧パワーステアリング装置が操作中であるときに、前記増分補正要求トルクを増減させる
ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。 - 前記補正手段が、前記外部負荷装置が前記油圧パワーステアリング装置以外の負荷装置である場合は、前記検出手段で前記変動が検出されてからの経過時間に基づいて前記増分補正要求トルクを増減させる
ことを特徴とする、請求項9記載のエンジンの制御装置。
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