JP2004197723A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アイドルおよび他の運転時の双方で、パワーステアリングの作動状態に応じて目標トルクを適切に設定でき、ドライバビリティを良好に維持でき、燃焼モードを最適に切換えできる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】筒内噴射式の内燃機関の制御装置であって、少なくとも内燃機関3の回転数NEに基づいて要求トルクPMFBN、PMEMAPを算出する要求トルク算出手段2と、パワーステアリング20の作動状態に応じてパワーステアリング要求トルク#PMPSINTSを算出する算出手段2と、パワーステアリング要求トルクを回転数NEに応じて補正する補正手段2と、要求トルクおよび補正後のパワーステアリング要求トルクPMPSに基づいて、目標トルクPMCMDREGを設定する目標トルク設定手段2と、目標トルクに応じて燃焼モードを決定する燃焼モード決定手段2と、を備える。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気筒内に燃料を直接、噴射するとともに、燃焼モードを均一燃焼モードと成層燃焼モードに切り換えて運転される筒内噴射式の内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の筒内噴射式の内燃機関の制御装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この制御装置は、アイドル回転数をエアコンなどの補機の作動状態に応じて制御するものである。具体的には、アイドル運転時、補機の負荷が作用していない状態では、燃料噴射量およびスロットル開度は、基本燃料噴射量および基本スロットル開度にそれぞれ設定される。これらの基本燃料噴射量および基本スロットル開度は、所定のアイドル回転数および空燃比が得られるよう、あらかじめ実験によってそれぞれ所定値に設定されるか、または、いずれか一方が、アイドル運転中の回転数偏差に基づくフィードバック制御によって決定される。
【0003】
一方、補機のスイッチが入ったときには、燃料増量分を、スイッチ入力後の経過時間に応じ、所定の時系列パターンに従って決定するとともに、決定した燃料増量分を基本燃料噴射量に加算することによって、燃料噴射量を算出する。この燃料増量分の時系列パターンは、補機の作動時に目標回転数が実現されるよう学習によって変更される。スロットル開度についても同様の制御が行われ、すなわち、補機のスイッチが入ったときに、その開度増量分を所定の時系列パターンに従って決定し、この開度増量分を基本スロットル開度に加算することによって、スロットル開度を設定する。以上のような制御によって、アイドル運転時における補機の作動に伴う回転数の落込みが防止され、アイドル回転数が目標回転数に維持される。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−303184号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、この従来の制御装置では、アイドル運転時、補機が作動したときに、燃料噴射量およびスロットル開度が所定の時系列パターンに従って増量補正され、この時系列パターンは、アイドル回転数を目標回転数に維持するように設定されている。このため、この時系列パターンをアイドル運転以外の運転時には適用できず、例えば、アイドル運転以外の運転時にパワーステアリングが転舵された場合、その負荷に応じたトルク補正を適切に行えず、回転数の変動などによってドライバビリティが悪化するおそれがある。また、この制御装置では、補機の作動状態に応じて燃料噴射量とスロットル開度制御するにすぎないため、パワーステアリングの負荷に応じて燃焼モードを適切に切り換えることができず、その結果、燃焼モードに応じて設定される燃料噴射量やスロットル開度などのエンジン制御パラメータもまた適切に制御できないため、最良の燃費および排気ガス特性が得られなくなってしまう。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、アイドル運転時およびアイドル運転以外の運転時のいずれにおいても、パワーステアリングの作動状態に応じて目標トルクを適切に設定でき、それにより、ドライバビリティを良好に維持できるとともに、燃焼モードを最適に切り換えることができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1に係る発明は、気筒C内に燃料を直接、噴射するとともに、燃焼モードを均一燃焼モードと成層燃焼モードに切り換えて運転される筒内噴射式の内燃機関の制御装置であって、内燃機関3の回転数NEを含む運転状態(実施形態における(以下、この項において同じ)エンジン回転数NE、アクセル開度AP)を検出する運転状態検出手段(ECU2、クランク角センサ11、アクセル開度センサ15)と、検出された内燃機関3の運転状態のうちの少なくとも回転数NEに基づいて、内燃機関3に対する要求トルク(フィードバック補正項PMFBN、要求トルクPMEMAP)を算出する要求トルク算出手段(ECU2、ステップ20、30、ステップ71)と、内燃機関3によって駆動されるパワーステアリング20の作動状態を検出するパワーステアリング作動状態検出手段(パワステスイッチ18)と、検出されたパワーステアリング20の作動状態に応じて、パワーステアリング20から内燃機関3に要求されるパワーステアリング要求トルク(基本値#PMPSINTS、#PMPSINTD、#PMPSNS、#PMPSND)を算出するパワーステアリング要求トルク算出手段(ECU2、ステップ61、62、64、65)と、算出されたパワーステアリング要求トルクを、内燃機関3の回転数NEに応じて補正するパワーステアリング要求トルク補正手段(ECU2、補正係数KPMPS、ステップ57、ステップ61、62、63、64)と、要求トルクおよび補正されたパワーステアリング要求トルク(パワステ負荷補正項PMPS)に基づいて、目標トルクPMCMDREGを設定する目標トルク設定手段(ECU2、ステップ31、32、ステップ81、82)と、設定された目標トルクPMCMDREGに応じて、燃焼モードを均一燃焼モードおよび成層燃焼モードのいずれかに決定する燃焼モード決定手段(ECU2、ステップ1、図3)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この内燃機関の制御装置によれば、検出された内燃機関の運転状態のうちの少なくとも回転数に基づいて、内燃機関に対する要求トルクが算出されるとともに、検出されたパワーステアリングの作動状態に応じて、パワーステアリングから内燃機関に要求されるパワーステアリング要求トルクが算出される。算出したパワーステアリング要求トルクは、内燃機関の回転数に応じて補正される。そして、要求トルクおよび補正されたパワーステアリング要求トルクに基づいて、目標トルクが設定されるとともに、この目標トルクに応じて、内燃機関の燃焼モードが均一燃焼モードまたは成層燃焼モードに決定される。
【0009】
以上のように、この制御装置では、パワーステアリングの作動状態に応じてパワーステアリング要求トルクが算出され、算出したパワーステアリング要求トルクと、回転数に基づいて算出した要求トルクをパラメータとして、目標トルクが設定される。すなわち、パワーステアリングの負荷が「トルク」として把握され、パワーステアリングの負荷に応じたトルク補正が行われる。また、パワーステアリングを駆動するのに必要な内燃機関の出力は馬力であり、必要なトルクは回転数に応じて変化するので、上述したように、パワーステアリング要求トルクを内燃機関の回転数で補正することによって、回転数が変化した場合でも、パワーステアリング要求トルクを適正に算出することができる。
【0010】
したがって、そのように補正されたパワーステアリング要求トルクと、回転数に基づく要求トルクをパラメータとすることにより、アイドル運転時およびアイドル運転以外の運転時のいずれにおいても、パワーステアリングの負荷を正しく反映させながら、目標トルクを適切に設定することができる。それにより、回転の落込みや吹き上がりを防止できるなど、ドライバビリティを良好に維持することができる。また、そのように設定された目標トルクに応じて、燃焼モードを決定することによって、燃焼モードを最適に切り換えることができる。その結果、燃料噴射量などのエンジン制御パラメータを、燃焼モードに応じて最適に設定でき、したがって、燃費および排気ガス特性の最適化を図ることができる。
【0011】
本発明の請求項2は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、パワーステアリング要求トルク算出手段は、パワーステアリング20が作動したときに、所定の移行期間(第1所定値#NPSOPMS、第2所定値#NPSOPMD)が経過するまでは、パワーステアリング要求トルクを移行期間用の要求トルク値(基本値#PMPSINTS、#PMPSINTD)に設定し、移行期間が経過した後には、パワーステアリング要求トルクを移行期間用の要求トルクよりも小さな移行期間終了後用の要求トルク値(基本値#PMPSNS、#PMPSND)に設定することを特徴とする。
【0012】
一般に、パワーステアリングによる負荷は、特にすえ切り状態では、転舵の初期に最も大きく、転舵が進むにつれて減少する。本発明によれば、パワーステアリング要求トルクを、パワーステアリングの作動後、所定の移行期間が経過するまでは、移行期間用の要求トルク値に設定し、その後は、より小さな移行期間終了後用の要求トルク値に設定するので、パワーステアリング要求トルクを、パワーステアリングの負荷の時間的な変化に応じて適正に算出でき、したがって、パワーステアリングの負荷に応じたトルク補正をより適切に行うことができる。
【0013】
本発明の請求項3は、請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置において、パワーステアリング要求トルク算出手段は、内燃機関3の燃焼モードに応じて、パワーステアリング要求トルクを算出する(ステップ60〜65)ことを特徴とする。
【0014】
成層燃焼モードと均一燃焼モードでは回転特性が異なり、例えば、成層燃焼モードでは、アイドル運転時の目標回転数がより低く設定されることで、パワーステアリングの作動に伴って回転が落ち込みやすいなど、パワーステアリングの負荷が回転に及ぼす影響が大きい。この構成によれば、パワーステアリング要求トルクを燃焼モードに応じて算出するので、各燃焼モードの回転特性に応じて、パワーステアリング要求トルクを適正に算出でき、したがって、パワーステアリングの負荷に応じたトルク補正をより適切に行うことができる。
【0015】
本発明の請求項4は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、パワーステアリング作動状態検出手段は、パワーステアリング20の作動油の油圧P_PSACTを検出する油圧検出手段(油圧センサ23)を有し、パワーステアリング要求トルク算出手段は、検出された油圧P_PSACTに応じて、パワーステアリング要求トルク(基本値PMPS_map)を算出する(ステップ93、図12)ことを特徴とする。
【0016】
パワーステアリングが油圧式の場合、その負荷は作動油の油圧が増大するほど、大きくなる。本発明によれば、パワーステアリング要求トルクを、作動油の油圧に応じて算出するので、パワーステアリングの負荷に応じたトルク補正をより適切に行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態による制御装置およびこれを適用した内燃機関の概略構成を示している。同図に示すように、この制御装置1はECU2を備えており、このECU2は、後述するように、内燃機関(以下「エンジン」という)3のトルク制御を実行する。
【0018】
エンジン3は、例えば車両用の4気筒(1つのみ図示)ガソリンエンジンであり、各気筒Cのピストン3aとシリンダヘッド3bとの間に、燃焼室3cが形成されている。ピストン3aの上面の中央部には、凹部3dが形成されている。また、シリンダヘッド3bには、燃焼室3cに臨むように燃料噴射弁(以下「インジェクタ」という)4、点火プラグ5、吸気バルブ6および排気バルブ7が取り付けられている。すなわち、このエンジン3は、燃料を燃焼室3c内に直接、噴射する筒内噴射式のものである。
【0019】
インジェクタ4は、燃焼室3cの天壁中央部に配置されており、燃料パイプ4aを介して高圧の燃料ポンプ4bに接続されている。燃料は、図示しない燃料タンクから供給され、この燃料ポンプ4bで高圧に昇圧された後、レギュレータ(図示せず)により調圧された状態で、インジェクタ4に供給される。そして、燃料がインジェクタ4からピストン3aの上面の凹部3dに向かって噴射され、これに衝突することによって、燃料噴流が形成される。特に、後述する成層燃焼モードのときには、インジェクタ4から噴射された燃料の大部分が凹部3dに衝突することで、燃料噴流が形成される。
【0020】
インジェクタ4はECU2に接続されており、その開弁時間である燃料噴射時間Tout、および燃料噴射時期θinj(開弁タイミングおよび閉弁タイミング)は、ECU2からの駆動信号によって制御される。点火プラグ5も、ECU2に接続されており、ECU2から点火時期θigに応じたタイミングで高電圧が加えられることで放電し、それにより燃焼室3c内で混合気が燃焼される。また、エンジン3の吸気管9に設けられたスロットルバルブ9aには、これを駆動する電動モータ21が連結されており、ECU2からの駆動信号により電動モータ21を制御することによって、スロットルバルブ9aの開度、すなわち吸入空気量が制御される。
【0021】
エンジン3のクランクシャフト3eの付近には、クランク角センサ11(運転状態検出手段)が設けられている。このクランク角センサ11は、マグネットロータ11aとMREピックアップ11bを組み合わせたものであり、クランクシャフト3eの回転に伴い、パルス信号であるCRK信号およびTDC信号を出力する。CRK信号は、所定のクランク角(例えば30゜)ごとに出力され、ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを求める。また、TDC信号は、各気筒においてピストン3aが吸入行程開始時のTDC(上死点)付近の所定クランク角度位置にあることを表す信号であり、4気筒タイプの本例では、クランク角180゜ごとに出力される。
【0022】
また、エンジン3の本体には、エンジン水温センサ12が取り付けられている。エンジン水温センサ12は、エンジン3の本体内を循環する冷却水の温度であるエンジン水温TWを検出し、その検出信号をECU2に出力する。一方、エンジン3の吸気管9のスロットルバルブ9aよりも下流側には、吸気管内絶対圧センサ13が取り付けられている。吸気管内絶対圧センサ13は、吸気管9内の絶対圧である吸気管内絶対圧PBAを検出し、その検出信号をECU2に出力する。
【0023】
また、排気管10には、排気ガスを浄化する三元触媒22が設けられており、その上流側にはLAFセンサ14が配置されている。LAFセンサ14は、理論空燃比よりもリッチなリッチ領域から極リーン領域までの広範囲な空燃比A/Fの領域において、排気ガス中の酸素濃度をリニアに検出し、その検出信号をECU2に出力する。さらに、ECU2には、アクセル開度センサ15(運転状態検出手段)から、アクセルペダル(図示せず)の操作量(以下「アクセル開度」という)APを表す検出信号が、大気圧センサ16から大気圧PAを表す検出信号が、エアコンスイッチ17およびパワステスイッチ18(パワーステアリング作動状態検出手段)から、エアコンディショナ(以下「エアコン」という)19およびパワーステアリング(以下「パワステ」という)20の各作動・停止状態を表す検出信号が、それぞれ出力される。なお、パワステ20は、油圧式または電気式のものであり、油圧式の場合には、その作動油の圧力(以下「パワステ油圧」という)P_PSACTが油圧センサ23(油圧検出手段)で検出され、その検出信号がECU2に出力される。
【0024】
ECU2は、本実施形態において、運転状態検出手段、要求トルク算出手段、パワーステアリング要求トルク算出手段、パワーステアリング要求トルク補正手段、目標トルク設定手段および燃焼モード決定手段を構成するものである。ECU2は、CPU、RAM、ROMおよび入出力インターフェースなどから成るマイクロコンピュータ(いずれも図示せず)で構成されている。前述したセンサ11〜16やスイッチ17および19などの検出信号は、それぞれ入力インターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。
【0025】
CPUは、これらの入力信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラムなどに従って、エンジン3の運転状態を判別するとともに、後述するようにして、エンジン3の燃焼モードを成層燃焼モードおよび均一燃焼モードのいずれかに決定する。また、決定した燃焼モードおよびエンジン3の運転状態に応じ、インジェクタ4の燃料噴射時間Toutおよび燃料噴射時期θinj、点火プラグ5の点火時期θig、ならびにスロットル弁9aの開度などを含むエンジン制御パラメータを、最適値になるように決定する。
【0026】
成層燃焼モードは、アイドル運転などの極低負荷運転時に実行される。この成層燃焼モードでは、スロットルバルブ9aを非常に大きな開度に制御することで、混合気の空燃比A/Fを理論空燃比よりも極リーンな値(例えば27〜60)に制御するとともに、燃料をインジェクタ4から圧縮行程中に燃焼室3c内に噴射し、混合気を点火プラグ5の付近に偏在させながら、成層燃焼が行われる。
【0027】
一方、均一燃焼モードは、極低負荷運転以外の運転時に実行される。この均一燃焼モードでは、スロットルバルブ9aをより小さな開度に制御することで、混合気の空燃比A/Fを成層燃焼モードよりもリッチな値(例えば12〜27)に制御するとともに、燃料を吸気行程中に燃焼室3c内に噴射し、混合気を燃焼室3c内に均一に分散させながら、均一燃焼が行われる。なお、均一燃焼モードには、空燃比A/Fを理論空燃比付近に制御する均一ストイキ燃焼モードと、空燃比A/Fを理論空燃比よりもリーンに制御する均一リーン燃焼モードが含まれる。
【0028】
図2は、CPUで実行される、エンジン3の燃焼モードを決定するための処理を示している。この処理では、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、後述するようにして設定した目標トルクPMCMDREGとエンジン回転数NEに基づき、図3に示すマップを検索することによって、燃焼モードを決定する。このマップに示すように、目標トルクPMCMDREGおよびエンジン回転数NEがともに低い成層燃焼域では、エンジン3の燃焼モードが成層燃焼モードに決定されるとともに、燃焼モードモニタST_EMOD0が「2」にセットされる。また、PMCMDREG値およびNE値がともに成層燃焼域よりも高い均一リーン燃焼域では、燃焼モードが均一リーン燃焼モードに決定されるとともに、燃焼モードモニタST_EMOD0が「1」にセットされる。さらに、PMCMDREG値およびNE値がともにさらに高い均一ストイキ燃焼域では、燃焼モードが均一ストイキ燃焼モードに決定されるとともに、燃焼モードモニタST_EMOD0が「0」にセットされる。
【0029】
図4および図5は、アイドル運転時の目標トルク(以下「アイドル時目標トルク」という)PMEIDLEの算出処理を示す。このアイドル時目標トルクPMEIDLEは、アイドル運転時のエンジン回転数NEを目標回転数NOBJに維持するアイドル回転数制御のために設定されるものである。
【0030】
まず、そのステップ2およびステップ3では、アイドル時目標トルクPMEIDLEの水温補正項PMTWおよび始動後補正項PMASTを、エンジン水温TWに応じて、それぞれのテーブル(図示せず)から検索し、算出する。始動後補正項PMASTは、エンジン3の始動中にのみ設定され、水温補正項PMTWは、エンジン3の暖機が完了した後には、値0に設定される。次に、ジェネレータ負荷補正項PMACGを算出する(ステップ4)。このジェネレータ負荷補正項PMACGは、図示しないジェネレータの作動時には所定値に、停止時には値0に設定される。次いで、エアコン負荷補正項PMHACを算出する(ステップ5)。このエアコン負荷補正項PMHACは、エアコンスイッチ17の検出信号に応じ、エアコン19の作動時には所定値に、停止時には値0に設定される。
【0031】
次に、トルクショット補正項PMSAを算出する(ステップ6)。このトルクショット補正項PMSAは、エンジン回転数NEのダウンシュートを防止するための一時的なトルク増加(トルクショット)を実行するときに算出される。次いで、パワステ負荷補正項PMPSを算出する(ステップ7)。このパワステ負荷補正項PMPSは、パワステ20の作動に伴う要求トルクを表すものであり、パワステスイッチ18で検出されるパワステ20の作動状態に応じて算出される。その詳細については後述する。
【0032】
次に、ATフラグF_ATが「1」であるか否かを判別する。この答がYESで、エンジン3に接続された変速機が自動変速機(AT)のときには、ATインギヤフラグF_PMATが「0」であるか否かを判別する(ステップ10)。このATインギヤフラグF_PMATは、ATのギヤが接続されているとき(インギヤ状態)に、「1」にセットされるものである。この答がNOで、ATがインギヤ状態のときには、AT補正項PMATをエンジン水温TWに応じて算出する(ステップ11)。次いで、アイドル時目標トルクPMEIDLEのオープン制御を実行するために、フィードバック許可フラグF_PMFBを「0」にセットする(ステップ12)とともに、フィードバック補正項PMFBNを値0に設定した(ステップ13)後、後述するステップ31に進む。また、前記ステップ10の答がYESで、ATがインギヤ状態でないときには、前記ステップ6で算出したトルクショット補正項PMSAが、値0であるか否かを判別する(ステップ14)。この答がNOで、トルクショットの実行中のときには、オープン制御を実行するものとして、前記ステップ11〜13に進む。
【0033】
上記ステップ14の答がYESで、トルクショットの実行中でないときには、前記ステップ11と同様、AT補正項PMATを算出した(ステップ15)後、エンジン水温TWがフィードバック制御実行用の判定値#TWPMFB(例えば−10℃)よりも高いか否かを判別する(ステップ16)。この答がNOで、TW≦#TWPMFBのときには、エンジン3が十分に暖機されていないとして、フィードバック制御を禁止し、前記ステップ12および13と同様、フィードバック許可フラグF_PMFBを「0」にセットし(ステップ17)、フィードバック補正項PMFBNを値0に設定した(ステップ18)後、ステップ31に進む。
【0034】
一方、上記ステップ16の答がYESで、TW>#TWPMFBのときには、エンジン3の暖機が完了し、アイドル時目標トルクPMREGORGのフィードバック制御の実行条件が成立しているとして、フィードバック許可フラグF_PMFBを「1」にセットし(ステップ19)、フィードバック補正項PMFBNを算出した(ステップ20)後、ステップ31に進む。この場合のフィードバック補正項PMFBNは、詳細は省略するが、実際のエンジン回転数NEが、燃焼モードやエンジン水温TWなどに応じて設定した目標回転数NOBJになるよう、PIDフィードバック制御によって算出される。また、目標回転数NOBJは、燃焼モードが成層燃焼モードの場合には、均一燃焼モードの場合よりも低い回転数に設定される。
【0035】
前記ステップ9の答がNOで、変速機が手動変速機(MT)のときには、前記ステップ14と同様、トルクショット補正項PMSAが値0であるか否かを判別する(ステップ21)。この答がNOで、トルクショットの実行中のときには、AT補正項PMATを値0に設定する(ステップ22)とともに、フィードバック許可フラグF_PMFBを「0」にセットし(ステップ23)、フィードバック補正項PMFBNを値0に設定した(ステップ24)後、ステップ31に進む。
【0036】
上記ステップ21の答がYESで、トルクショットの実行中でないときには、AT補正項PMATを値0に設定する(ステップ25)。次いで、前記ステップ16〜20と同様、エンジン水温TW>判定値#TWPMFBの判別を行い(ステップ26)、この答がNOのときには、フィードバック制御を禁止するものとして、フィードバック許可フラグF_PMFBを「0」にセットし(ステップ27)、フィードバック補正項PMFBNを値0に設定した(ステップ28)後、ステップ31に進む。一方、上記ステップ25でTW>#TWPMFBのときには、フィードバック制御の実行条件が成立しているとして、フィードバック許可フラグF_PMFBを「1」にセットし(ステップ29)、前記ステップ20と同様、フィードバック補正項PMFBNを算出した(ステップ30)後、ステップ31に進む。
【0037】
このステップ31では、アイドル時目標トルクPMEIDLEを、次式(1)によって算出する。
Figure 2004197723
ここで、KPMPA、PMPAはそれぞれ、大気圧PAに応じて設定される大気圧補正係数および大気圧補正項である。この式(1)から明らかなように、アイドル時目標トルクPMEIDLEは、前述したフィードバック補正項PMFBNおよびパワステ負荷補正項PMPSを含む各種の補正項の和に、大気圧補正係数KPMPAを乗算し、さらに大気圧補正項PMPAを加算した値として算出される。次いで、算出したアイドル時目標トルクPMEIDLEを、目標トルクPMCMDREGとして設定し(ステップ32)、本プログラムを終了する。このようにして設定された目標トルクPMCMDREGは、前述した図2の燃焼モード決定処理において、燃焼モードを決定するのに用いられる。
【0038】
図6は、パワステ負荷補正項PMPSによる補正(以下「パワステ負荷補正」という)の実行条件が成立しているか否かを判定する処理を示している。まず、そのステップ41では、始動モードフラグF_STMODが「1」であるか否かを判別する。この答がYESで、エンジン3が始動中のときには、パワステ負荷補正の実行条件が成立していないとして、そのことを表すために補正許可フラグF_PSONを「0」にセットし(ステップ42)、本プログラムを終了する。前記ステップ41の答がNOで、エンジン3の始動が終了しているときには、エンジン水温TWがパワステ負荷補正実行用の判定値#TWPS(例えば0℃)よりも高いか否かを判別する(ステップ43)。この答がNOで、TW≦#TWPSのときには、エンジン水温TWが低いことで、水温補正項PMTWがかなり大きな値に設定され、目標回転数NOBJも高い値に設定されていることから、パワステ負荷補正を実行する意義が乏しいとして、前記ステップ42に進み、補正許可フラグF_PSONを「0」にセットする。
【0039】
前記ステップ43の答がYESで、TW>#TWPSのときには、パワステ作動フラグF_PSSWが「1」であるか否かを判別する(ステップ44)。このパワステ作動フラグF_PSSWは、パワステスイッチ18によりパワステ20の作動(転舵)状態が検出されているときに、「1」にセットされるものである。このステップ44の答がNOで、パワステ20が転舵されていないときには、前記ステップ42に進み、パワステ負荷補正を実行しないものとする。
【0040】
一方、前記ステップ44の答がYESで、パワステ20が転舵されているときには、パワステ負荷補正の実行条件が成立しているとして、そのことを表すために補正許可フラグF_PSONを「1」にセットし(ステップ45)、本プログラムを終了する。
【0041】
図7は、図4のステップ7で実行されるパワステ負荷補正項PMPSの算出処理のサブルーチンを示している。まず、ステップ51では、パワステタイプフラグF_SWEPSが「1」であるか否かを判別する。このパワステタイプフラグF_SWEPSは、パワステ20が電気式のときに「1」に、油圧式のときに「0」にそれぞれセットされるものである。ステップ51の答がYESで、パワステ20が電気式のときには、パワステ20がエンジン3の直接の負荷にならないことから、パワステ負荷補正項PMPSを値0に設定する(ステップ52)。
【0042】
一方、ステップ51の答がNOで、パワステ20が油圧式のときには、補正許可フラグF_PSONが「1」であるか否かを判別する(ステップ53)。この答がNOで、パワステ負荷補正の実行条件が成立していないときには、燃焼モードモニタST_EMOD0が「2」であるか否かを判別する(ステップ54)。この答がNOで、燃焼モードが均一燃焼モードのときには、パワステ負荷補正の移行期間を計時するためのカウンタNPSPMを、均一燃焼モード用の第1所定値#NPSOPMS(例えば750ms相当)にセットした(ステップ55)後、前記ステップ42に進み、パワステ負荷補正項PMPSを値0に設定する。
【0043】
一方、前記ステップ54の答がYESで、燃焼モードが成層燃焼モードのときには、カウンタNPSPMを、上記第1所定値#NPSOPMSよりも大きな成層燃焼モード用の第2所定値#NPSOPMD(例えば1000ms相当)にセットした(ステップ56)後、前記ステップ42に進む。
【0044】
一方、前記ステップ53の答がYES(F_PSON=1)で、パワステ負荷補正の実行条件が成立しているときには、エンジン回転数NEに応じ、図8に示すテーブルを検索することによって、パワステ負荷補正項PMPSの補正係数KPMPSを求める(ステップ57)。同図に示すように、このテーブルでは、補正係数KPMPSは、エンジン回転数NEに応じ、これに反比例するように設定されている。補正係数KPMPSがこのように設定されるのは、パワステ20を駆動するのに必要なエンジン3の出力は馬力であり、必要なトルクはエンジン回転数NEに反比例するためであり、そうしないと、パワステ負荷補正項PMPSが過大になり、エンジン3が吹き上がってしまうからである。
【0045】
次いで、前記ステップ55または56でセットしたカウンタNPSPMが、値値0に等しいか否かを判別する(ステップ58)。この答がNOのときには、カウンタNPSPMをデクリメントした(ステップ59)後、前記ステップ54と同様、燃焼モードモニタST_EMOD0=2であるか否かを判別する(ステップ60)。そして、この答がNOで、燃焼モードが均一燃焼モードのときには、均一燃焼モード/移行期間用の所定の基本値#PMPSINTSに、前記ステップ57で求めた補正係数KPMPSを乗算した値(=#PMPSINTS*KPMPS)を、パワステ補正項PMPSとして設定し(ステップ61)、本プログラムを終了する。
【0046】
また、ステップ60の答がYESで、燃焼モードが成層燃焼モードのときには、成層燃焼モード/移行期間用の所定の基本値#PMPSINTDに補正係数KPMPSを乗算した値(=#PMPSINTD*KPMPS)を、パワステ補正項PMPSとして設定する(ステップ62)。なお、この成層燃焼モード用の基本値#PMPSINTDは、均一燃焼モード用の基本値#PMPMINTSよりも大きな値に設定されている。
【0047】
一方、前記ステップ58の答がYES(NPMPS=0)のとき、すなわちパワステ負荷補正の実行条件の成立後、前記第1または第2所定値#NPSOPMS、#NPSOPMDに相当する所定時間が経過したときには、パワステ負荷補正の移行期間が終了したとして、前記ステップ60と同様、燃焼モードモニタST_EMOD0=2であるか否かを判別する(ステップ63)。そして、この答がNOで、燃焼モードが均一燃焼モードのときには、均一燃焼モード/移行期間終了後用の所定の基本値#PMPSNSに補正係数KPMPSを乗算した値(=#PMPSNS*KPMPS)を、パワステ補正項PMPSとして設定し(ステップ64)、本プログラムを終了する。また、ステップ63の答がYESで、燃焼モードが成層燃焼モードのときには、成層燃焼モード/移行期間終了後用の所定の基本値#PMPSNDに補正係数KPMPSを乗算した値(=#PMPSND*KPMPS)を、パワステ補正項PMPSとして設定する(ステップ65)。
【0048】
図9は、図7の算出処理によって得られるパワステ負荷補正項PMPSの算出例を、燃焼モードが成層燃焼モード(実線)および均一燃焼モード(破線)の双方の場合について示している。同図において、パワステ負荷補正の実行条件が時刻t1で成立するものとする。まず、均一燃焼モードの場合には、時刻t1以前では、パワステ負荷補正項PMPSが値0に設定され(ステップ52)、カウンタNPSPMは第1所定値#NPSOPMSにセットされる(ステップ55)。時刻t1において実行条件が成立すると、補正許可フラグF_PSONが「1」にセットされるのに伴い、カウンタNPSPMのデクリメントとパワステ負荷補正が開始され、パワステ負荷補正項PMPSが、移行期間用の#PMPSINTS*KPMPSに設定される(ステップ61)。その後、カウンタNPSPMの値が0になると(時刻t2)、パワステ負荷補正の移行期間が終了したとして、パワステ負荷補正項PMPSが、移行期間用よりも小さな移行期間終了後用の#PMPSNS*KPMPSに設定される(ステップ64)。そして、パワステ負荷補正の実行条件が不成立になると(時刻t4)、補正許可フラグF_PSONが「0」にセットされるのに伴い、パワステ負荷補正項PMPSが再び値0に設定され、パワステ負荷補正が終了する。
【0049】
これに対して、実線で示す成層燃焼モードの場合には、時刻t1以前では、カウンタNPSPMが、第1所定値#NPSOPMSよりも大きな第2所定値#NPSOPMDにセットされる(ステップ56)ことで、パワステ負荷補正の移行期間が均一燃焼モードの場合よりも長く設定される。また、時刻t1において実行条件が成立すると、パワステ負荷補正が開始され、移行期間用のパワステ負荷補正項PMPSが、均一燃焼モードの場合よりも大きな#PMPSINTD*KPMPSに設定される(ステップ62)。その後、時刻t3においてカウンタNPSPMの値が0になると(t3>t2)、移行期間終了後用のパワステ負荷補正項PMPSが、移行期間用よりも小さく且つ均一燃焼モードの場合よりも大きな#PMPSND*KPMPSに設定される(ステップ65)。そして、パワステ負荷補正の実行条件が不成立になると(時刻t4)、パワステ負荷補正項PMPSが再び値0に設定され、パワステ負荷補正が終了する。
【0050】
以上のように、アイドル運転時には、目標回転数OBJとエンジン回転数NEとの偏差に基づきフィードバック制御されたフィードバック補正項PMFBN(要求トルク)に、パワステ負荷補正項PMPSなどを加算することによって、アイドル時目標トルクPMEIDLEが算出される。また、パワステ負荷補正項PMPSは、補正係数KPMPSによりエンジン回転数NEに応じて補正された値として算出される。したがって、パワステ20の負荷を正しく反映させながら、アイドル時目標トルクPMEIDLEを適切に設定でき、それにより、アイドル回転数の落込みや吹き上がりを確実に防止でき、安定したアイドル運転を達成することができる。
【0051】
また、そのように設定されたアイドル時目標トルクPMEIDLE(=目標トルクPMCMDREG)に応じて、燃焼モードを最適に決定することができる。その結果、最適な燃焼モードに応じて、燃料噴射時間Tout、燃料噴射タイミングθinj、点火時期θigやスロットル弁9の開度などのエンジン制御パラメータを、最適に設定することができ、したがって、燃費および排気ガス特性の最適化を図ることができる。
【0052】
また、パワステ負荷補正項PMPSの基本値を、パワステ20の作動後の所定の移行期間内では、移行期間用の基本値#PMPSINTS、#PMPSINTDに設定し、その後には、より小さな移行期間終了後用の基本値#PMPSNS、#PMPSNDに設定するので、パワステ負荷補正を、パワステ20の負荷の時間的な変化に応じて適切に行うことができる。
【0053】
さらに、パワステ負荷補正項PMPSの基本値は、燃焼モードに応じ、均一燃焼モードでは、均一燃焼モード用の基本値#PMPSINTS、#PMPSNSに設定され、成層燃焼モードでは、より大きな成層燃焼モード用の基本値#PMPSINTD、#PMPSNDに設定される。前述したように、成層燃焼モードでは均一燃焼モードよりも目標回転数NOBJが小さな回転数に設定されるので、パワステ負荷補正項PMPSの基本値を上述したように設定することによって、成層燃焼モード時にも回転の落込みを防止できるなど、パワステ負荷補正を、各燃焼モードにおける回転特性に応じて、より適切に行うことができる。同様に、パワステ負荷補正の移行期間を定めるカウンタNPSPMの均一および成層燃焼モード用の第1および第2所定値#NPSOPMS、#NPSOPMDもまた、成層燃焼モード用のものがより大きな値に設定されるので、成層燃焼モード時における回転の落込みをより確実に防止できるなど、パワステ負荷補正を燃焼モードに応じてさらに適切に行うことができる。
【0054】
図10は、車両の通常走行時の目標トルク(以下「走行時目標トルク」という)PMEDRIVEの算出処理を示す。まず、ステップ71では、要求トルクPMEMAPを算出する。この要求トルクPMEMAPは、運転者から要求されている、エンジン3が出力すべきトルクを表すものであり、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じ、要求トルクマップ(図示せず)を検索することによって算出される。
【0055】
次いで、要求トルクPMEMAPの平滑化処理を行う(ステップ72)。詳細は省略するが、この平滑化処理では、要求トルクの今回値PMEMAPnを含み、今回以前に算出され、RAMに記憶されている所定数のPMEMAP1〜nを加算平均することによって、平滑化後要求トルクPMCMDAVEが算出される。平滑化後要求トルクPMCMDAVEを、このように過去の所定数の要求トルクPMEMAPの平均値として求めるとともに、後述するように、走行時目標トルクPMEDRIVEを設定する際の基本値とすることによって、要求トルクの変動に対するドライバビリティが確保される。
【0056】
次に、ステップ73〜79において、走行時目標トルクPMEDRIVEの水温補正項PMTW、始動後補正項PMAST、ジェネレータ負荷補正項PMACG、エアコン負荷補正項PMHAC、トルクショット補正項PMSA、パワステ負荷補正項PMPSおよびAT補正項PMATを算出する。これらの算出は、前述したアイドル時目標トルクの算出処理の場合と同様にして行われ、特にパワステ負荷補正項PMPSの算出は、図7の算出処理によって行われる。
【0057】
次に、移行時補正項PMIDOPMを算出する(ステップ80)。この移行時補正項PMIDOPMは、アイドル運転から通常走行運転へ移行した際のトルク段差や回転の落込みなどを防止するために設定されるものであり、詳細は省略するが、アイドル運転時にフィードバック制御によって得られたフィードバック補正項PMFBNを、所定の条件のもとで学習することによって算出される。
【0058】
次いで、ステップ81に進み、次式(2)により、前記ステップ72で算出した平滑化後要求トルクPMCMDAVEに、前述したパワステ負荷補正項PMPSを含む各種の補正項を加算することによって、走行時目標トルクPMEDRIVEを算出する。
Figure 2004197723
次いで、算出した走行時目標トルクPMEDRIVEを、目標トルクPMCMDREGとして設定し(ステップ82)、本プログラムを終了する。このようにして設定された目標トルクPMCMDREGもまた、燃焼モード決定処理において燃焼モードを決定するのに用いられる。
【0059】
以上のように、通常走行時には、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じて要求トルクPMEMAPを算出するとともに、これを平滑化処理した平滑化後要求トルクPMCMDAVEに、パワステ負荷補正項PMPSなどを加算することによって、走行時目標トルクPMEDRIVEが算出される。また、アイドル運転時と同様、パワステ負荷補正項PMPSは、補正係数KPMPSによりエンジン回転数NEに応じて補正された値として算出される。したがって、通常走行時においても、パワステ20の負荷を正しく反映させながら、走行時目標トルクPMEDRIVEを適切に設定でき、それにより、回転の落込みや吹き上がりを防止でき、ドライバビリティを良好に維持することができる。
【0060】
また、そのように設定された走行時目標トルクPMEDRIVE(=目標トルクPMCMDREG)に応じて、燃焼モードを最適に切り換えることができ、その結果、最適な燃焼モードに応じて、燃料噴射時間Toutなどのエンジン制御パラメータを最適に設定でき、したがって、燃費および排気ガス特性の最適化を図ることができる。さらに、パワステ負荷補正項PMPSは、アイドル運転時とまったく同様にして算出されるので、それによる前述した効果を、アイドル運転時の場合と同様に得ることができる。
【0061】
図11は、本発明の第2実施形態によるパワステ負荷補正項PMPSの算出処理を示す。この算出処理では、まずステップ91において、前記ステップ51と同様、パワステタイプフラグF_SWEPSが「1」であるか否かを判別する。この答がYESで、パワステ20が電気式のときには、パワステ負荷補正項PMPSを値0に設定する(ステップ92)。
【0062】
ステップ91の答がNOで、パワステ20が油圧式のときには、油圧センサ23で検出されたパワステ油圧P_PSACTに応じ、図12に示すテーブルを検索することによって、パワステ負荷補正項PMPSの基本値PMPS_mapを算出する(ステップ93)。同図に示すように、このテーブルでは、基本値PMPS_mapは、パワステ油圧P_PSACTに比例し、その増減に伴ってリニアに増減するように設定されている。
【0063】
次いで、算出した基本値PMPS_mapが、値0に近い所定の下限値#PMLMTL以上であるか否かを判別する(ステップ94)。この答がNOで、基本値PMPS_mapが値0にほぼ等しいときには、前記ステップ92に進み、パワステ負荷補正項PMPSを値0に設定する。
【0064】
一方、前記ステップ93の答がYESで、PMPS_map≧#PMLMTLのときには、前記ステップ57と同様、エンジン回転数NEに応じ、図8のテーブルを検索することによって、補正係数KPMPSを求める(ステップ95)。そして、ステップ93で算出した基本値PMPS_mapに補正係数KPMPSを乗算することにより補正した値(=PMPS_map*KPMPS)を、パワステ負荷補正項PMPSとして設定し(ステップ96)、本プログラムを終了する。
【0065】
以上のように、この第2実施形態によれば、パワステ負荷補正項PMPSの基本値PMPS_mapを、パワステ油圧P_PSACTに応じて算出し、さらに補正係数KPMPSで補正するので、パワステ20の負荷およびエンジン回転数NEに応じて、パワステ負荷補正項PMPSを適正に算出でき、パワステ負荷補正を適切に行うことができる。
【0066】
なお、本発明は、クランクシャフトを鉛直方向に配置した船外機などの船舶推進機用の内燃機関の制御にも適用可能である。
【0067】
【発明の効果】
以上のように、本発明の内燃機関の制御装置は、アイドル運転時およびアイドル運転以外の運転時のいずれにおいても、パワーステアリングの作動状態に応じて目標トルクを適切に設定でき、それにより、ドライバビリティを良好に維持できるとともに、燃焼モードを最適に切り換えることができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による制御装置およびこれを適用した内燃機関の概略構成を示す図である。
【図2】燃焼モードの決定処理を示すフローチャートである。
【図3】燃焼モードを決定するためのマップである。
【図4】アイドル運転時の目標トルクPMEIDLEの算出処理を示すフローチャートである。
【図5】図4の算出処理の残りの部分を示すフローチャートである。
【図6】パワステ負荷補正の実行条件の判定処理を示すフローチャートである。
【図7】パワステ負荷補正項PMPSの算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】パワステ負荷補正項PMPSの補正係数KPMPSを求めるためのテーブルの一例である。
【図9】図7のパワステ負荷補正項PMPSの算出処理によって得られる動作例を示すタイミングチャートである。
【図10】通常走行時の目標トルクPMEDRIVEの算出処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態によるパワステ負荷補正項PMPSの算出処理を示すフローチャートである。
【図12】パワステ負荷補正項PMPSの基本値PMPS_mapを求めるためのテーブルの一例である。
【符号の説明】
1 制御装置
2 ECU(運転状態検出手段、要求トルク算出手段、パワーステアリング要求トルク算出手段、パワーステアリング要求トルク補正手段、目標トルク設定手段および燃焼モード決定手段)
3 内燃機関
11 クランク角センサ(運転状態検出手段)
15 アクセル開度センサ(運転状態検出手段)
18 パワステスイッチ(パワーステアリング作動状態検出手段)
20 パワーステアリング
23 油圧センサ(油圧検出手段)
C 気筒
NE エンジン回転数(運転状態)
AP アクセル開度(運転状態)
PMFBN フィードバック補正項(要求トルク)
#NPSOPMS 第1所定値(移行期間)
#NPSOPMD 第2所定値(移行期間)
#PMPSINTS 基本値(移行期間用の要求トルク値)
#PMPSINTD 基本値(移行期間用の要求トルク値)
#PMPSNS 基本値(移行期間終了後用の要求トルク値)
#PMPSND 基本値(移行期間終了後用の要求トルク値)
KPMPS 補正係数
PMPS パワステ補正項(補正されたパワーステアリング要求トルク)
PMEIDLE アイドル運転時の目標トルク
PMCMDREG 目標トルク
PMEMAP 要求トルク
PMEDRIVE 通常走行時(アイドル運転以外の運転時)の目標トルク

Claims (4)

  1. 気筒内に燃料を直接、噴射するとともに、燃焼モードを均一燃焼モードと成層燃焼モードに切り換えて運転される筒内噴射式の内燃機関の制御装置であって、
    当該内燃機関の回転数を含む運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    当該検出された内燃機関の運転状態のうちの少なくとも前記回転数に基づいて、前記内燃機関に対する要求トルクを算出する要求トルク算出手段と、
    前記内燃機関によって駆動されるパワーステアリングの作動状態を検出するパワーステアリング作動状態検出手段と、
    当該検出されたパワーステアリングの作動状態に応じて、当該パワーステアリングから前記内燃機関に要求されるパワーステアリング要求トルクを算出するパワーステアリング要求トルク算出手段と、
    当該算出されたパワーステアリング要求トルクを、前記内燃機関の回転数に応じて補正するパワーステアリング要求トルク補正手段と、
    前記要求トルクおよび前記補正されたパワーステアリング要求トルクに基づいて、目標トルクを設定する目標トルク設定手段と、
    当該設定された目標トルクに応じて、前記燃焼モードを前記均一燃焼モードおよび前記成層燃焼モードのいずれかに決定する燃焼モード決定手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記パワーステアリング要求トルク算出手段は、前記パワーステアリングが作動したときに、所定の移行期間が経過するまでは、前記パワーステアリング要求トルクを移行期間用の要求トルク値に設定し、前記移行期間が経過した後には、前記パワーステアリング要求トルクを前記移行期間用の要求トルク値よりも小さな移行期間終了後用の要求トルク値に設定することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記パワーステアリング要求トルク算出手段は、前記内燃機関の前記燃焼モードに応じて、前記パワーステアリング要求トルクを算出することを特徴とする、請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記パワーステアリング作動状態検出手段は、前記パワーステアリングの作動油の油圧を検出する油圧検出手段を有し、
    前記パワーステアリング要求トルク算出手段は、前記検出された油圧に応じて、前記パワーステアリング要求トルクを算出することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
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