JP3695070B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、補機負荷(外部負荷)に対するエンジンの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エアコン等の補機負荷の投入による駆動トルクを補償するために、吸入空気量を補正して、回転変動を防止するようにしたものがある(特開昭54−113725号公報参照)。
また、吸入空気量制御は応答性が悪いので、吸入空気量を補正する一方、その遅れを補償すべく、点火時期、空燃比等を補正するようにしたものがある。
【0003】
但し、非アイドル運転時は、アイドル運転時のように回転変動を抑制する必要性は小さく、また、空気系の特性は運転領域によって大きく変わるため、全運転領域で空気系の遅れを補償するのは困難であることから、非アイドル運転時は、空気系の遅れを点火時期や空燃比等で補償しない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アイドル運転時に空気系の遅れを点火時期や空燃比等により補償しているときに、例えば発進するためにアクセルを踏込むことで非アイドル運転状態になると、点火時期や空燃比等による空気系の遅れの補償も終了してしまい、その補正量が0になってしまうことから、これによってトルク段差が生じる可能性がある。そして、発進時にマイナス方向にトルク段差が生じてしまうと、加速が鈍り、発進性能が悪化してしまう。
【0005】
すなわち、図17を参照し、エアコン負荷の投入によりシリンダ吸入空気量が増量され、その遅れ分を補償するように、例えば空燃比の補正(リッチ化)がなされるが、かかる制御中に、非アイドル運転状態になると、空燃比補正量を一気に0に戻すので、トルク段差を生じる。従って、加速しようとアクセルを少し踏んだときに、逆にトルクが減少してしまう可能性があり、運転性を悪化させる可能性がある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、補機負荷によるトルク補正要求に応えると共に、アイドル運転状態から非アイドル運転状態に移行したときの運転性を確保することのできるエンジンの制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明では、図1に示すように、補機負荷によるトルク補正要求を発生するトルク補正要求手段と、前記トルク補正要求を受けて吸入空気量を補正する吸入空気量補正手段とを備えるエンジンの制御装置において、アイドル運転時に、前記トルク補正要求を受けての前記吸入空気量補正手段による吸入空気量制御の遅れを補償すべく、吸入空気量より高応答のパラメータを補正するアイドル時高応答補正手段と、このアイドル時高応答補正手段による補正中に、アイドル運転状態から非アイドル運転状態へ移行したときに、当該補正を継続させる非アイドル時高応答補正継続手段と、を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記高応答パラメータは、点火時期、空燃比、モータ仕事量のうちの少なくとも1つであることを特徴とする。
請求項3に係る発明では、前記エンジンは、吸気行程にて燃料を噴射して行わせる均質燃焼と圧縮行程にて燃料を噴射して行わせる成層燃焼とを切換可能な直噴火花点火式エンジンであり、前記アイドル時高応答補正手段は、均質燃焼時には点火時期を補正し、成層燃焼時には空燃比を補正するものであることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記非アイドル時高応答補正継続手段は、点火時期による補正中は点火時期補正量を徐々に0に戻し、空燃比による補正中は空燃比補正量を徐々に0に戻すものであることを特徴とする。
請求項5に係る発明では、前記非アイドル時高応答補正継続手段は、点火時期による補正中は点火時期補正量を直ちに0に戻し、空燃比による補正中のみ空燃比補正量を徐々に0に戻すものであることを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る発明では、前記非アイドル時高応答補正継続手段は、点火時期による補正中は点火時期補正量を徐々に0に戻し、空燃比による補正中は空燃比補正量の演算を継続するものであることを特徴とする。
請求項7に係る発明では、前記非アイドル時高応答補正継続手段は、点火時期による補正中は点火時期補正量を直ちに0に戻し、空燃比による補正中のみ空燃比補正量の演算を継続するものであることを特徴とする。
【0011】
請求項8に係る発明では、前記アイドル時高応答補正手段は、モータ仕事量を補正するものであり、前記非アイドル時高応答補正継続手段は、モータ仕事量補正量を徐々に0に戻すものであることを特徴とする。
請求項9に係る発明では、前記アイドル時高応答補正手段は、モータ仕事量を補正するものであり、前記非アイドル時高応答補正継続手段は、正の仕事をしているときには、モータ仕事量補正量を徐々に0に戻し、負の仕事をしているときには、モータ仕事量補正量の演算を継続するものであることを特徴とする。
【0012】
請求項10に係る発明では、前記アイドル時高応答補正手段は、モータ仕事量を補正するものであり、前記非アイドル時高応答補正継続手段は、正の仕事をしているときには、モータ仕事量補正量の演算を継続し、負の仕事をしているときには、モータ仕事量補正量を徐々に0に戻すものであることを特徴とする。
【0013】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、補機負荷によるトルク補正要求を受けて、吸入空気量を補正する一方、アイドル運転時に、吸入空気量制御の遅れを補償すべく、吸入空気量より高応答のパラメータを補正し、この高応答補正手段による補正中に、アイドル運転状態から非アイドル運転状態へ移行したときに、当該補正を継続させるので、トルク段差が小さくなり、運転性の悪化を防止できる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、点火時期、空燃比、モータ仕事量のうちの少なくとも1つを補正することで、吸入空気制御の遅れを高応答に補償することができる。
請求項3に係る発明によれば、均質燃焼時には点火時期を補正し、成層燃焼時には空燃比を補正することで、特に成層燃焼時には点火時期の操作代が極めて少ないゆえ、空燃比を補正することで、十分な補正を行うことができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、点火時期による補正中は点火時期補正量を徐々に0に戻し、空燃比による補正中は空燃比補正量を徐々に0に戻すことで、トルク段差を小さくできる。
請求項5に係る発明によれば、点火時期による補正中は点火時期補正量を直ちに0に戻すものの、空燃比による補正中は空燃比補正量を徐々に0に戻すことで、トルク段差を小さくできる。
【0016】
請求項6に係る発明によれば、点火時期による補正中は点火時期補正量を徐々に0に戻して、トルク段差を小さくし、空燃比による補正中は空燃比補正量の演算を継続することで、トルク段差がほとんどなくなる。
請求項7に係る発明によれば、点火時期による補正中は点火時期補正量を直ちに0に戻すものの、空燃比による補正中は空燃比補正量の演算を継続することで、トルク段差がほとんどなくなる。
【0017】
請求項8に係る発明によれば、モータ仕事量を補正する場合に、モータ仕事量補正量を徐々に0に戻すことで、トルク段差を小さくできる。
請求項9に係る発明によれば、モータ仕事量を補正する場合に、正の仕事をしているときには、モータ仕事量補正量を徐々に0に戻して、トルク段差を小さくし、負の仕事をしているときには、モータ仕事量補正量の演算を継続することで、トルク段差をほとんどなくせる。
【0018】
請求項10に係る発明によれば、モータ仕事量を補正する場合に、正の仕事をしているときには、モータ仕事量補正量の演算を継続して、トルク段差をほとんどなくし、負の仕事をしているときには、モータ仕事量補正量を徐々に0に戻すことで、トルク段差を小さくできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図2は実施の一形態を示す直噴火花点火式エンジンのシステム図である。先ず、これについて説明する。
車両に搭載されるエンジン1の各気筒の燃焼室には、エアクリーナ2から吸気通路3により、電制スロットル弁4の制御を受けて、空気が吸入される。
【0020】
電制スロットル弁4は、コントロールユニット20からの信号により作動するステップモータ等により開度制御される。
そして、燃焼室内に燃料(ガソリン)を直接噴射するように、電磁式の燃料噴射弁(インジェクタ)5が設けられている。
燃料噴射弁5は、コントロールユニット20からエンジン回転に同期して吸気行程又は圧縮行程にて出力される噴射パルス信号によりソレノイドに通電されて開弁し、所定圧力に調圧された燃料を噴射するようになっている。そして、噴射された燃料は、吸気行程噴射の場合は燃焼室内に拡散して均質な混合気を形成し、また圧縮行程噴射の場合は点火栓6回りに集中的に層状の混合気を形成し、コントロールユニット20からの点火信号に基づき、点火栓6により点火されて、燃焼(均質燃焼又は成層燃焼)する。尚、燃焼方式は、空燃比制御との組合わせで、均質ストイキ燃焼、均質リーン燃焼、成層リーン燃焼に分けられる。
【0021】
エンジン1からの排気は排気通路7より排出され、排気通路7には排気浄化用の触媒8が介装されている。
コントロールユニット20は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器及び入出力インターフェイス等を含んで構成されるマイクロコンピュータを備え、各種のセンサから信号が入力されている。
【0022】
前記各種のセンサとしては、エンジン1のクランク軸又はカム軸回転を検出するクランク角センサ21,22が設けられている。これらのクランク角センサ21,22は、気筒数をnとすると、クランク角720°/n毎に、予め定めたクランク角位置(各気筒の圧縮上死点前の所定クランク角位置)で基準パルス信号REFを出力すると共に、1〜2°毎に単位パルス信号POSを出力するもので、基準パルス信号REFの周期などからエンジン回転数Neを算出可能である。
【0023】
この他、吸気通路3のスロットル弁4上流で吸入空気流量Qaを検出するエアフローメータ23、アクセル開度(アクセルペダルの踏込み量)ACCを検出するアクセルセンサ24、スロットル弁4の開度TVOを検出するスロットルセンサ25(スロットル弁4の全閉位置でONとなるアイドルスイッチを含む)、エンジン1の冷却水温Twを検出する水温センサ26、排気通路7にて排気空燃比のリッチ・リーンに応じた信号を出力するO2 センサ27、更にエアコンスイッチ28などが設けられている。
【0024】
ここにおいて、コントロールユニット20は、前記各種のセンサからの信号を入力しつつ、内蔵のマイクロコンピュータにより、所定の演算処理を行って、電制スロットル弁4によるスロットル開度、燃料噴射弁5による燃料噴射量及び噴射時期、点火栓6による点火時期を制御する。
スロットル制御(電制スロットル弁4の制御)については、アクセル開度ACCとエンジン回転数Neとから設定されるエンジンの目標トルクtTRQに応じて、電制スロットル弁4のモータを駆動して、開度制御する。従って、指令信号の補正により、各種の空気量補正が可能である。
【0025】
燃料噴射制御(燃料噴射弁5の制御)については、エンジン運転条件に従って燃焼方式を設定し、これに応じて燃料噴射弁5による燃料噴射量及び噴射時期を制御する。
詳しくは、エンジン回転数Neと基本燃料噴射量Tpとをパラメータとして燃焼方式を定めたマップを、水温Tw、始動後時間などの条件別に複数備えていて、これらの条件から選択されたマップより、実際のエンジン運転状態のパラメータに従って、均質ストイキ燃焼、均質リーン燃焼又は成層リーン燃焼のいずれかに燃焼方式を設定する。
【0026】
燃焼方式の判定の結果、均質ストイキ燃焼の場合は、燃料噴射量をストイキ空燃比(14.6)相当に設定して、O2 センサ27による空燃比フィードバック制御を行う一方、噴射時期を吸気行程に設定して、均質ストイキ燃焼を行わせる。均質リーン燃焼の場合は、燃料噴射量を空燃比20〜30のリーン空燃比相当に設定して、オープン制御を行う一方、噴射時期を吸気行程に設定して、均質リーン燃焼を行わせる。成層リーン燃焼の場合は、燃料噴射量を空燃比40程度のリーン空燃比相当に設定して、オープン制御を行う一方、噴射時期を圧縮行程に設定して、成層リーン燃焼を行わせる。ここでも、各種の空燃比補正が可能である。
【0027】
点火制御(点火栓6の制御)については、燃焼方式別に、エンジン回転数Neと基本燃料噴射量Tpとをパラメータとするマップを参照するなどして、点火時期ADVを設定し、制御する。ここでも、各種の点火時期補正が可能である。
また、コントロールユニット20は、エアコンスイッチ28のON・OFFに基づいて、エアコンコンプレッサ31の作動を制御するようになっている。
【0028】
更に、コントロールユニット20は、オルタネータ32の作動をも制御しうるようになっている。オルタネータ32は、発電機としてのみならず、モータとして用いることもできる。オルタネータ32をモータと考えた場合は、モータとしてトルクを発生しているときが、正の仕事をしているとき(力行時)、発電機として電力を発生しているときが、負の仕事をしているとき(回生時)である。
【0029】
次に、エアコン等の補機負荷の投入に伴うトルク制御(トルク補正)について、第1〜第7の実施例を、フローチャートにより説明する。
〔第1の実施例〕
図3は第1の実施例のフローチャートである。
ステップ1(図にはS1と記す。以下同様)では、エアコンスイッチON又はこれに基づくエアコンコンプレッサONなどに起因するトルク補正要求を読込み、トルク補正要求有りのときは、ステップ2へ進む。
【0030】
ステップ2では、トルク補正要求に対応させて、空気補正量(シリンダ吸入空気量に対する補正量)を演算し、この分、電制スロットル弁4の開度を増減制御する。実際には、トルク補正要求に対応させて、スロットル制御上の目標トルクtTRQを補正することで、シリンダ吸入空気量を補正制御する。
ステップ3では、アイドル運転状態(アイドルスイッチON)か否かを判定し、アイドル運転状態のときは、ステップ4へ進む。
【0031】
ステップ4では、均質燃焼(均質ストイキ燃焼又は均質リーン燃焼)か成層燃焼(成層リーン燃焼)かを判定する。
均質燃焼の場合は、ステップ5へ進み、トルク補正要求に対する吸入空気量制御の遅れを補償するように、点火時期補正量を演算する。トルクアップのときが進角側、トルクダウンのときが遅角側である。そして、これにより、点火時期を補正して、トルク補正を行う。
【0032】
成層燃焼の場合は、ステップ6へ進み、トルク補正要求に対する吸入空気量制御の遅れを補償するように、空燃比補正量を演算する。トルクアップのときがリッチ側、トルクダウンのときがリーン側である。そして、これにより、空燃比すなわち燃料噴射量を補正して、トルク補正を行う。
一方、非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)のときは、ステップ7へ進む。
【0033】
ステップ7では、補正中(トルク補正要求に対する吸入空気量制御の遅れを補償するように点火時期又は空燃比を補正中)か否かを判定し、補正中の場合はステップ8へ進む。言い換えれば、トルク補正要求に対する吸入空気量制御の遅れを補償するように点火時期又は空燃比を補正中に、アイドル運転状態から非アイドル運転状態へ移行したときに、ステップ8へ進む。
【0034】
ステップ8では、均質燃焼(均質ストイキ燃焼又は均質リーン燃焼)か成層燃焼(成層リーン燃焼)かを判定する。
均質燃焼の場合は、ステップ9へ進んで、点火時期補正量を漸減する。すなわち、本ルーチンの実行毎に、点火時期補正量を現在値から補正量0方向に微小量ずつ減算することで、点火時期補正量を0になるまで、時間経過と共に減少させる。
【0035】
成層燃焼の場合は、ステップ10へ進んで、空燃比補正量を漸減する。すなわち、本ルーチンの実行毎に、空燃比補正量を現在値から補正量0方向に微小量ずつ減算することで、空燃比補正量を0になるまで、時間経過と共に減少させる。尚、ステップ1の部分がトルク補正要求手段に相当し、ステップ2の部分が吸入空気量補正手段に相当し、ステップ3,4〜6の部分がアイドル時高応答補正手段に相当し、ステップ3,7〜10の部分が非アイドル時高応答補正継続手段に相当する。
【0036】
図10は第1の実施例のタイムチャートである。
均質燃焼時は、エアコンON指令(エアコンスイッチON)をトルク補正要求として、シリンダ吸入空気量が増量補正されるが、エアコンコンプレッサの駆動を遅らせるので、シリンダ吸入空気量の増量補正によるトルク増加分を打ち消すように、エアコンコンプレッサ(エアコン負荷)ONまで、点火時期を遅角側に補正する(図示A線)。
【0037】
かかる制御中に非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)となると、その時点から点火時期補正量を漸減して、点火時期を徐々に元に戻す(図示B線)。これにより、図17との比較から明らかなように、トルクの過不足分が減少し、トルク段差を低減できる。
成層燃焼時は、エアコンON指令(エアコンスイッチON)と同時にエアコンコンプレッサを駆動し、このエアコンコンプレッサ(エアコン負荷)ONをトルク補正要求として、シリンダ吸入空気量が増量補正されるが、シリンダ吸入空気量の遅れを補償するように空燃比をリッチ側に補正する(図示A線)。
【0038】
かかる制御中に非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)となると、その時点から空燃比補正量を漸減して、空燃比を徐々に元に戻す(図示B線)。これにより、図17との比較から明らかなように、トルクの不足分が減少し、トルク段差を低減できる。
〔第2の実施例〕
図4は第2の実施例のフローチャートである。
【0039】
トルク補正要求に対する吸入空気量制御の遅れを補償するように点火時期又は空燃比を補正中に、アイドル運転状態から非アイドル運転状態へ移行したときの処理のみが異なるので、ステップ8以降を説明する。
ステップ8では、均質燃焼(均質ストイキ燃焼又は均質リーン燃焼)か成層燃焼(成層リーン燃焼)かを判定する。
【0040】
均質燃焼の場合は、ステップ9へ進んで、点火時期補正量を直ちに0とする。
成層燃焼の場合は、ステップ10へ進んで、空燃比補正量を漸減する。すなわち、本ルーチンの実行毎に、空燃比補正量を現在値から補正量0方向に微小量ずつ減算することで、空燃比補正量を0になるまで、時間経過と共に減少させる。
図11は第2の実施例のタイムチャートである。
【0041】
均質燃焼時は、エアコンON指令(エアコンスイッチON)をトルク補正要求として、シリンダ吸入空気量が増量補正されるが、エアコンコンプレッサの駆動を遅らせるので、シリンダ吸入空気量の増量補正によるトルク増加分を打ち消すように、エアコンコンプレッサ(エアコン負荷)ONまで、点火時期を遅角側に補正する(図示A線)。
【0042】
かかる制御中に非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)となると、その時点から点火時期補正量を直ちに0にする(図示B線)。これは、ベースとなる点火時期が、アイドル時は10°BTDC、非アイドル時はMBT近傍であるため、空気系の応答の遅れを正しくは補償できないとの考えに基づく。
成層燃焼時は、エアコンON指令(エアコンスイッチON)と同時にエアコンコンプレッサを駆動し、このエアコンコンプレッサ(エアコン負荷)ONをトルク補正要求として、シリンダ吸入空気量が増量補正されるが、シリンダ吸入空気量の遅れを補償するように空燃比をリッチ側に補正する(図示A線)。
【0043】
かかる制御中に非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)となると、その時点から空燃比補正量を漸減して、空燃比を徐々に元に戻す(図示B線)。これにより、図17との比較から明らかなように、トルクの不足分が減少し、トルク段差を低減できる。
〔第3の実施例〕
図5は第3の実施例のフローチャートである。
【0044】
トルク補正要求に対する吸入空気量制御の遅れを補償するように点火時期又は空燃比を補正中に、アイドル運転状態から非アイドル運転状態へ移行したときの処理のみが異なるので、ステップ8以降を説明する。
ステップ8では、均質燃焼(均質ストイキ燃焼又は均質リーン燃焼)か成層燃焼(成層リーン燃焼)かを判定する。
【0045】
均質燃焼の場合は、ステップ9へ進んで、点火時期補正量を漸減する。すなわち、本ルーチンの実行毎に、点火時期補正量を現在値から補正量0方向に微小量ずつ減算することで、点火時期補正量を0になるまで、時間経過と共に減少させる。
成層燃焼の場合は、ステップ10へ進んで、吸入空気量制御の遅れ補償のための空燃比補正量の演算を継続する。
【0046】
図12は第3の実施例のタイムチャートである。
均質燃焼時は、エアコンON指令(エアコンスイッチON)をトルク補正要求として、シリンダ吸入空気量が増量補正されるが、エアコンコンプレッサの駆動を遅らせるので、シリンダ吸入空気量の増量補正によるトルク増加分を打ち消すように、エアコンコンプレッサ(エアコン負荷)ONまで、点火時期を遅角側に補正する(図示A線)。
【0047】
かかる制御中に非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)となると、その時点から点火時期補正量を漸減して、点火時期を徐々に元に戻す(図示B線)。これにより、図17との比較から明らかなように、トルクの過不足分が減少し、トルク段差を低減できる。
成層燃焼時は、エアコンON指令(エアコンスイッチON)と同時にエアコンコンプレッサを駆動し、このエアコンコンプレッサ(エアコン負荷)ONをトルク補正要求として、シリンダ吸入空気量が増量補正されるが、シリンダ吸入空気量の遅れを補償するように空燃比をリッチ側に補正する(図示A線)。
【0048】
かかる制御中に非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)となっても、吸入空気量制御の遅れ補償のための空燃比補正量の演算を継続して、空燃比を制御する(図示A線)。これにより、トルクの過不足が略なくなり、トルク段差を低減できる。
〔第4の実施例〕
図6は第4の実施例のフローチャートである。
【0049】
トルク補正要求に対する吸入空気量制御の遅れを補償するように点火時期又は空燃比を補正中に、アイドル運転状態から非アイドル運転状態へ移行したときの処理のみが異なるので、ステップ8以降を説明する。
ステップ8では、均質燃焼(均質ストイキ燃焼又は均質リーン燃焼)か成層燃焼(成層リーン燃焼)かを判定する。
【0050】
均質燃焼の場合は、ステップ9へ進んで、点火時期補正量を直ちに0とする。
成層燃焼の場合は、ステップ10へ進んで、吸入空気量制御の遅れ補償のための空燃比補正量の演算を継続する。
図13は第4の実施例のタイムチャートである。
均質燃焼時は、エアコンON指令(エアコンスイッチON)をトルク補正要求として、シリンダ吸入空気量が増量補正されるが、エアコンコンプレッサの駆動を遅らせるので、シリンダ吸入空気量の増量補正によるトルク増加分を打ち消すように、エアコンコンプレッサ(エアコン負荷)ONまで、点火時期を遅角側に補正する(図示A線)。
【0051】
かかる制御中に非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)となると、その時点から点火時期補正量を直ちに0にする(図示B線)。これは、ベースとなる点火時期が、アイドル時は10°BTDC、非アイドル時はMBT近傍であるため、空気系の応答の遅れを正しくは補償できないとの考えに基づく。
成層燃焼時は、エアコンON指令(エアコンスイッチON)と同時にエアコンコンプレッサを駆動し、このエアコンコンプレッサ(エアコン負荷)ONをトルク補正要求として、シリンダ吸入空気量が増量補正されるが、シリンダ吸入空気量の遅れを補償するように空燃比をリッチ側に補正する(図示A線)。
【0052】
かかる制御中に非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)となっても、吸入空気量制御の遅れ補償のための空燃比補正量の演算を継続して、空燃比を制御する(図示A線)。これにより、トルクの過不足が略なくなり、トルク段差を低減できる。
〔第5の実施例〕
図7は第5の実施例のフローチャートである。
【0053】
ステップ21では、エアコンスイッチON又はこれに基づくエアコンコンプレッサONなどに起因するトルク補正要求を読込み、トルク補正要求有りのときは、ステップ22へ進む。
ステップ22では、トルク補正要求に対応させて、空気補正量(シリンダ吸入空気量に対する補正量)を演算し、この分、電制スロットル弁4の開度を増減制御する。実際には、トルク補正要求に対応させて、スロットル制御上の目標トルクtTRQを補正することで、シリンダ吸入空気量を補正制御する。
【0054】
ステップ23では、アイドル運転状態(アイドルスイッチON)か否かを判定し、アイドル運転状態のときは、ステップ24へ進む。
ステップ24では、トルク補正要求に対する吸入空気量制御の遅れを補償するように、モータ仕事量補正量を演算する。すなわち、トルクアップのときは、オルタネータ32をモータとして作動(力行)させて、正のモータ仕事量を得るように、モータ仕事量補正量を演算し、トルクダウンのときは、オルタネータ32を発電機として作動(回生)させて、負のモータ仕事量を得るように、モータ仕事量補正量を演算する。そして、これにより、オルタネータ32を制御して、トルク補正を行う。
【0055】
一方、非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)のときは、ステップ25へ進む。
ステップ25では、補正中(トルク補正要求に対する吸入空気量制御の遅れを補償するようにモータ仕事量を補正中)か否かを判定し、補正中の場合はステップ26へ進む。言い換えれば、トルク補正要求に対する吸入空気量制御の遅れを補償するようにモータ仕事量を補正中に、アイドル運転状態から非アイドル運転状態へ移行したときに、ステップ26へ進む。
【0056】
ステップ26では、モータ仕事量補正量を漸減する。すなわち、本ルーチンの実行毎に、モータ仕事量補正量を現在値から補正量0方向に微小量ずつ減算することで、モータ仕事量補正量を0になるまで、時間経過と共に減少させる。
尚、ステップ21の部分がトルク補正要求手段に相当し、ステップ22の部分が吸入空気量補正手段に相当し、ステップ23,24の部分がアイドル時高応答補正手段に相当し、ステップ23,25,26の部分が非アイドル時高応答補正継続手段に相当する。
【0057】
図14は第5の実施例のタイムチャートである。
エアコンスイッチONによるエアコンコンプレッサ(エアコン負荷)のON時は、これをトルク補正要求として、シリンダ吸入空気量が増量補正されるが、シリンダ吸入空気量の遅れを補償するように、オルタネータをモータとして作動させ、正のモータ仕事量でトルクアップを図る(図示A線)。
【0058】
かかる制御中に非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)となると、その時点からモータ仕事量補正量を漸減する(図示B線)。これにより、トルクの不足分が減少し、トルク段差を低減できる。
エアコンスイッチOFFによるエアコンコンプレッサ(エアコン負荷)のOFF時は、これをトルク補正要求として、シリンダ吸入空気量が減量補正されるが、シリンダ吸入空気量の遅れを補償するように、オルタネータを発電機として作動させ、負のモータ仕事量でトルクダウンを図る(図示A線)。
【0059】
かかる制御中に非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)となると、その時点からモータ仕事量補正量を漸減する(図示B線)。これにより、トルクの不足分が減少し、トルク段差を低減できる。
〔第6の実施例〕
図8は第6の実施例のフローチャートである。
【0060】
トルク補正要求に対する吸入空気量制御の遅れを補償するようにモータ仕事量を補正中に、アイドル運転状態から非アイドル運転状態へ移行したときの処理のみが異なるので、補正中と判定された後のステップ27以降を説明する。
ステップ27では、モータ力行中(モータとして正の仕事をしている)か、モータ回生中(発電機として負の仕事をしている)かを判定する。
【0061】
モータ力行中は、ステップ28へ進んで、モータ仕事量補正量を漸減する。すなわち、本ルーチンの実行毎に、モータ仕事量補正量を現在値から補正量0方向に微小量ずつ減算することで、モータ仕事量補正量を0になるまで、時間経過と共に減少させる。
モータ回生中は、ステップ29へ進んで、吸入空気量制御の遅れ補償のためのモータ仕事量補正量の演算を継続する。
【0062】
尚、この場合はステップ23,25,27〜29の部分が非アイドル時高応答補正継続手段に相当する。
図15は第6の実施例のタイムチャートである。
エアコンスイッチONによるエアコンコンプレッサ(エアコン負荷)のON時は、これをトルク補正要求として、シリンダ吸入空気量が増量補正されるが、シリンダ吸入空気量の遅れを補償するように、オルタネータをモータとして作動させ、正のモータ仕事量でトルクアップを図る(図示A線)。
【0063】
かかる制御中に非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)となると、モータ力行中であるので、その時点からモータ仕事量補正量を漸減する(図示B線)。これにより、トルクの不足分が減少し、トルク段差を低減できる。
エアコンスイッチOFFによるエアコンコンプレッサ(エアコン負荷)のOFF時は、これをトルク補正要求として、シリンダ吸入空気量が減量補正されるが、シリンダ吸入空気量の遅れを補償するように、オルタネータを発電機として作動させ、負のモータ仕事量でトルクダウンを図る(図示A線)。
【0064】
かかる制御中に非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)となると、モータ回生中であるので、吸入空気量制御の遅れ補償のためのモータ仕事量補正量の演算を継続して、モータ仕事量を制御する(図示A線)。これにより、トルクの過不足が略なくなり、トルク段差を低減できる。
〔第7の実施例〕
図9は第7の実施例のフローチャートである。
【0065】
トルク補正要求に対する吸入空気量制御の遅れを補償するようにモータ仕事量を補正中に、アイドル運転状態から非アイドル運転状態へ移行したときの処理のみが異なるので、補正中と判定された後のステップ27以降を説明する。
ステップ27では、モータ力行中(モータとして正の仕事をしている)か、モータ回生中(発電機として負の仕事をしている)かを判定する。
【0066】
モータ力行中は、ステップ28へ進んで、吸入空気量制御の遅れ補償のためのモータ仕事量補正量の演算を継続する。
モータ回生中は、ステップ29へ進んで、モータ仕事量補正量を漸減する。すなわち、本ルーチンの実行毎に、モータ仕事量補正量を現在値から補正量0方向に微小量ずつ減算することで、モータ仕事量補正量を0になるまで、時間経過と共に減少させる。
【0067】
図16は第7の実施例のタイムチャートである。
エアコンスイッチONによるエアコンコンプレッサ(エアコン負荷)のON時は、これをトルク補正要求として、シリンダ吸入空気量が増量補正されるが、シリンダ吸入空気量の遅れを補償するように、オルタネータをモータとして作動させ、正のモータ仕事量でトルクアップを図る(図示A線)。
【0068】
かかる制御中に非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)となると、モータ力行中であるので、吸入空気量制御の遅れ補償のためのモータ仕事量補正量の演算を継続して、モータ仕事量を制御する(図示A線)。これにより、トルクの過不足が略なくなり、トルク段差を低減できる。
エアコンスイッチOFFによるエアコンコンプレッサ(エアコン負荷)のOFF時は、これをトルク補正要求として、シリンダ吸入空気量が減量補正されるが、シリンダ吸入空気量の遅れを補償するように、オルタネータを発電機として作動させ、負のモータ仕事量でトルクダウンを図る(図示A線)。
【0069】
かかる制御中に非アイドル運転状態(アイドルスイッチOFF)となると、その時点からモータ仕事量補正量を漸減する(図示B線)。これにより、トルクの不足分が減少し、トルク段差を低減できる。
尚、第5〜第7の実施例では、モータ仕事量の補正をするために、オルタネータを利用したが、専用のモータを用いてもよい。特に、ハイブリッド車(HEV)であれば適用は更に容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の構成を示す機能ブロック図
【図2】 本発明の実施の一形態を示すエンジンのシステム図
【図3】 第1の実施例のフローチャート
【図4】 第2の実施例のフローチャート
【図5】 第3の実施例のフローチャート
【図6】 第4の実施例のフローチャート
【図7】 第5の実施例のフローチャート
【図8】 第6の実施例のフローチャート
【図9】 第7の実施例のフローチャート
【図10】 第1の実施例のタイムチャート
【図11】 第2の実施例のタイムチャート
【図12】 第3の実施例のタイムチャート
【図13】 第4の実施例のタイムチャート
【図14】 第5の実施例のタイムチャート
【図15】 第6の実施例のタイムチャート
【図16】 第7の実施例のタイムチャート
【図17】 従来例の問題点を示すタイムチャート
【符号の説明】
1 エンジン
4 電制スロットル弁
5 燃料噴射弁
6 点火栓
20 コントロールユニット
21,22 クランク角センサ
23 エアフローメータ
24 アクセルセンサ
28 エアコンスイッチ
31 エアコンコンプレッサ
32 オルタネータ

Claims (10)

  1. 補機負荷によるトルク補正要求を発生するトルク補正要求手段と、前記トルク補正要求を受けて吸入空気量を補正する吸入空気量補正手段とを備えるエンジンの制御装置において、
    アイドル運転時に、前記トルク補正要求を受けての前記吸入空気量補正手段による吸入空気量制御の遅れを補償すべく、吸入空気量より高応答のパラメータを補正するアイドル時高応答補正手段と、
    このアイドル時高応答補正手段による補正中に、アイドル運転状態から非アイドル運転状態へ移行したときに、当該補正を継続させる非アイドル時高応答補正継続手段と、
    を設けたことを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 前記高応答パラメータは、点火時期、空燃比、モータ仕事量のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
  3. 前記エンジンは、吸気行程にて燃料を噴射して行わせる均質燃焼と圧縮行程にて燃料を噴射して行わせる成層燃焼とを切換可能な直噴火花点火式エンジンであり、
    前記アイドル時高応答補正手段は、均質燃焼時には点火時期を補正し、成層燃焼時には空燃比を補正するものであることを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
  4. 前記非アイドル時高応答補正継続手段は、点火時期による補正中は点火時期補正量を徐々に0に戻し、空燃比による補正中は空燃比補正量を徐々に0に戻すものであることを特徴とする請求項3記載のエンジンの制御装置。
  5. 前記非アイドル時高応答補正継続手段は、点火時期による補正中は点火時期補正量を直ちに0に戻し、空燃比による補正中のみ空燃比補正量を徐々に0に戻すものであることを特徴とする請求項3記載のエンジンの制御装置。
  6. 前記非アイドル時高応答補正継続手段は、点火時期による補正中は点火時期補正量を徐々に0に戻し、空燃比による補正中は空燃比補正量の演算を継続するものであることを特徴とする請求項3記載のエンジンの制御装置。
  7. 前記非アイドル時高応答補正継続手段は、点火時期による補正中は点火時期補正量を直ちに0に戻し、空燃比による補正中のみ空燃比補正量の演算を継続するものであることを特徴とする請求項3記載のエンジンの制御装置。
  8. 前記アイドル時高応答補正手段は、モータ仕事量を補正するものであり、
    前記非アイドル時高応答補正継続手段は、モータ仕事量補正量を徐々に0に戻すものであることを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
  9. 前記アイドル時高応答補正手段は、モータ仕事量を補正するものであり、
    前記非アイドル時高応答補正継続手段は、正の仕事をしているときには、モータ仕事量補正量を徐々に0に戻し、負の仕事をしているときには、モータ仕事量補正量の演算を継続するものであることを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
  10. 前記アイドル時高応答補正手段は、モータ仕事量を補正するものであり、
    前記非アイドル時高応答補正継続手段は、正の仕事をしているときには、モータ仕事量補正量の演算を継続し、負の仕事をしているときには、モータ仕事量補正量を徐々に0に戻すものであることを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
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