JP2013136988A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラッチ係合前に燃費の悪化や運転者に違和感を与えるのを防止しつつ、クラッチ係合時にエンジンストールが発生するのを防止することができる内燃機関の制御装置を提供すること。
【解決手段】エンジンECU50が、クラッチの係合前に、アクセル開度に応じて設定されるエンジン1の目標回転数N2となるときの要求トルクに、点火時期の制御によるリザーブトルクを加えて最終要求トルクを設定することにより、スロットルバルブ6の開度を調整し、エンジン1の実回転数が目標回転数を超えたことを条件として実回転数が目標回転数となるように点火遅角を実施する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関し、特に、アクセル開度に応じて吸入空気量を調整するスロットルバルブを有し、クラッチの係合時に手動変速機に連結される内燃機関の制御装置に関する。
一般に、自動車等の車両に搭載される内燃機関の駆動力は、変速機、最終減速機等を介して路面に伝達される。変速機は、内燃機関の駆動力を変化させるものであり、オートマティックトランスミッションと、マニュアルトランスミッション(以下、「MT」と称する)とがある。
MTは、MTと内燃機関との間に介在するクラッチが係合することにより、内燃機関の駆動力が伝達されるものであり、運転者は、車両の発進時にクラッチペダルを踏み込んでクラッチペダルを踏み込んだまま、シフトレバーを操作し、MTの変速段を変更した後に、クラッチペダルの踏み込みを解除してクラッチを係合させ、内燃機関の駆動力をMTに伝達するようにしている。
したがって、シフトチェンジする際に、シフトチェンジ時の機関回転数が、MTのシフトチェンジ後の変速段において、必要な機関回転数でないと、エンジンストールを起こしてしまう。特に、車両の発進時には機関回転数を大きくしてエンジンストールが発生するのを防止する必要がある。
従来、クラッチ係合のエンジンストールを防止することができる内燃機関のスロットル装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この内燃機関のスロットル装置は、クラッチの係合の解除時に検知されたアクセル開度に応じたスロットル開度を、クラッチの係合時に検知された同一のアクセル開度に応じたスロットル開度よりも大きくすることにより、エンジンストールを防止するようにしている。
特開2005−330868号公報
しかしながら、このような従来の内燃機関のスロットル装置にあっては、クラッチの係合の解除時に検知されたアクセル開度に応じたスロットル開度を、クラッチの係合時に検知された同一のアクセル開度に応じたスロットル開度よりも大きくしているため、クラッチの係合前にクラッチの係合後と同じ踏み込み量でアクセルペダルを踏み込んだときに、機関回転数が過度に上昇して、所謂、吹き上がりが発生してしまい、燃費が悪化するとともに、運転者に違和感を与えてしまう。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、クラッチ係合前に燃費の悪化や運転者に違和感を与えるのを防止しつつ、クラッチ係合時にエンジンストールが発生するのを防止することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る内燃機関の制御装置は、上記目的を達成するため、(1)内燃機関に導入される吸入空気量をアクセル開度に応じて調整するスロットルバルブを有し、クラッチの係合時に手動変速機に連結される内燃機関の制御装置であって、前記クラッチの係合前に、前記アクセル開度に応じて設定される前記内燃機関の目標回転数となるときの要求トルクに、点火時期の制御による付加トルクを加えて最終要求トルクを設定することにより前記スロットルバルブの開度を調整し、前記内燃機関の実回転数が前記目標回転数を超えたことを条件として前記実回転数が前記目標回転数となるように点火遅角を実施することにより、前記実回転数を前記目標回転数に収束させる機関制御手段を備えたものから構成されている。
この内燃機関の制御装置は、クラッチの係合前に、アクセル開度に応じて設定される内燃機関の目標回転数となるときの要求トルクに、点火時期の制御による付加トルクを加えて最終要求トルクを設定することにより、スロットルバルブの開度を調整するので、アクセル開度に応じて設定される要求トルクに付加トルクを追加している分だけ、クラッチ係合時の機関トルクを大きくすることができ、エンジンストールが発生するのを防止することができる。
また、車両の発進時にアクセル開度に応じてスロットルバルブを開いたときに吸入空気の吸入の応答性が悪く、特に、スロットルバルブの開度が小さく充填効率が低い状況下にあっては、目標回転数に到達する前にクラッチが係合してエンジンストールが発生する可能性がある。
本発明では、点火時期を制御することによって付加トルクを得るようにしているため、目標回転数に到達する時間を短くしてクラッチの係合時の機関トルクを大きくすることができ、エンジンストールが発生するのを確実に防止することができる。
また、エンジンストールを防止するために機関トルクに付加トルクを追加している分だけ、内燃機関の実回転数が目標回転数以上に過度に上昇して、所謂、吹き上がりが発生するおそれがある。
本発明では、内燃機関の実回転数が目標回転数を超えたことを条件として実回転数が目標回転数となるように点火遅角を実施することにより、実回転数を目標回転数に収束させるようにしたので、内燃機関の吹き上がりが発生するのを防止することができる。この結果、燃費を向上させることができるとともに、運転者に違和感を与えるのを防止することができる。
上記(1)に記載の内燃機関の制御装置において、(2)前記機関制御手段は、前記内燃機関が失火しない範囲で前記内燃機関の最大トルクから点火遅角で低下できるトルク量を付加トルクとして算出し、前記付加トルクを前記内燃機関の回転数に応じて設定するものから構成されている。
この内燃機関の制御装置は、内燃機関が失火しない範囲で内燃機関の最大トルクから点火遅角で低下できるトルク量を付加トルクとして算出しているので、点火時期が最大トルクとなるように点火進角させることにより、付加トルクを得ることができる。
上記(1)または(2)に記載の内燃機関の制御装置において、(3)前記要求トルクが、少なくとも前記目標回転数に応じて設定される前記内燃機関のフリクショントルクから構成してもよい。
この内燃機関の制御装置は、要求トルクが、少なくとも目標回転数に応じて設定される内燃機関のフリクショントルクであるため、アクセル開度に応じてフリクショントルクを確保するためのスロットル開度を設定し、このフリクショントルクに加算される付加トルクを算出することにより、最終要求トルクを求めることができ、エンジンストールを防止するための付加トルクを確保することができる。
本発明によれば、クラッチ係合前に燃費の悪化や運転者に違和感を与えるのを防止しつつ、クラッチ係合時にエンジンストールが発生するのを防止することができる内燃機関の制御装置を提供することができる。
本発明に係る内燃機関の制御装置の一実施の形態を示す図であり、内燃機関の制御装置を備えた車両の概略構成図である。 本発明に係る内燃機関の制御装置の一実施の形態を示す図であり、目標回転数算出マップを示す図である。 本発明に係る内燃機関の制御装置の一実施の形態を示す図であり、要求トルク算出マップを示す図である。 本発明に係る内燃機関の制御装置の一実施の形態を示す図であり、点火時期算出マップを示す図である。 本発明に係る内燃機関の制御装置の一実施の形態を示す図であり、リザーブトルク算出マップを示す図である。 本発明に係る内燃機関の制御装置の一実施の形態を示す図であり、トルクマップを示す図である。 本発明に係る内燃機関の制御装置の一実施の形態を示す図であり、遅角量算出マップを示す図である。 本発明に係る内燃機関の制御装置の一実施の形態を示す図であり、発進制御処理プログラムのフローチャートである。 本発明に係る内燃機関の制御装置の一実施の形態を示す図であり、発進制御のタイミングチャートである。
以下、本発明に係る内燃機関の制御装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図9は、本発明に係る内燃機関の制御装置の一実施の形態を示す図である。
まず、構成を説明する。
図1において、車両は、例えば、ガソリンエンジン等である内燃機関としてのエンジン1と、このエンジン1と手動変速機としてのMT2との連結を行うクラッチ3と、このクラッチ3の係合時にエンジン1に連結されるMT2とが搭載されている。
エンジン1は、吸気カム、排気カム、吸気バルブおよび排気バルブ等が収容されたシリンダヘッドと、ピストン、コネクティングロッドおよびクランクシャフト等が収容されたシリンダブロックと、オイルが貯留されたオイルパンとを含んで構成されている。
エンジン1のシリンダヘッドには吸気管4が接続されており、吸気管4は、エアクリーナ4aによって浄化された空気を取り込んでシリンダヘッドに形成された吸入ポートを介してシリンダ内に吸入空気を導入するようになっている。
エンジン1には排気管5が設けられており、この排気管5は、シリンダヘッドの排気ポートから排気された排気ガスを外部に排出するようになっている。また、排気管5には三元触媒5aが設けられており、この三元触媒5aは、排気ガスを浄化するようになっている。
吸気管4にはスロットルバルブ6が設けられており、このスロットルバルブ6は、アクチュエータ7によって駆動されて開度が調整されることにより、エンジン1に吸入される空気量を調整するようになっている。このアクチュエータ7は、エンジンECU(Electronic Control Unit)50から出力されるスロットル開度信号に基づいてスロットルバルブ6の開度を調整するようになっている。
また、排気管5にはエアフローメータ8が設けられており、このエアフローメータ8は、吸気管4を流れる吸入空気量を検知して吸入空気量に応じた信号をエンジンECU50に出力するようになっている。
また、エンジン1にはシリンダ内の燃焼室に向かって燃料を噴射する燃料噴射弁9やシリンダに導入されたシリンダ燃料と空気との混合気に点火する点火プラグ10が設けられており、燃料噴射弁9の噴射タイミングや噴射量および点火プラグ10の点火時期は、エンジンECU50から出力される点火信号および噴射信号によって制御されるようになっている。
エンジンECU50は、入力信号や出力信号の入出力を行う入出力ポート(I/O)51と、CPU(Central Processing Unit)52、RAM(Random Access Memory)53、ROM(Read Only Memory)54等を備えたマイクロコンピュータを含んで構成されている。
CPU52は、RAM53の一時記憶機能を利用しつつ、予めROM54に記憶されたプログラムや各種マップに従って信号処理を行うことにより、エンジン1の発進制御を含んだ制御を実行する。
ROM54には図2に示すエンジン1の目標回転数とアクセル開度とが関連付けられた目標回転数算出マップが記憶されている。
エンジンECU50は、運転者が踏み込むアクセルペダル11の踏み込み量を検知するアクセル開度センサ12からの検知情報に基づいて、アクセル開度を取得するようになっている。アクセル開度は、アクセルペダル11を解放する状態を0%とし、最後まで踏み込まれた状態を100%とする。
エンジンECU50のCPU52は、アクセル開度センサ12からの検知情報に基づいて目標回転数算出マップを参照することにより、エンジン1の目標回転数を取得するようになっている。
また、ROM54には図3に示すエンジン1の回転数とエンジン1のフリクショントルクとが関連付けられた要求トルク算出マップが記憶されている。フリクショントルクは、エンジン1のピストン、クランクシャフト、カムシャフト等の回転要素のフリクションにより生じるトルクである。
また、ROM54には図4に示す充填効率に応じて点火プラグ10の点火時期とエンジントルクが関連付けられた点火時期算出マップが記憶されている。なお、エンジントルクとは、クランクシャフトから出力されるトルクである。
この点火時期算出マップは、エンジン1が失火しない範囲で充填効率(シリンダの燃焼室に空気が充填される効率)に応じた最大のエンジントルクから点火遅角で低下できる点火時期とエンジントルクとが関連付けられている。
CPU52は、例えば、スロットルバルブ6の開度を検知するスロットルセンサ14の検知情報に基づいてスロットル開度に応じた充填効率を求め、充填効率に応じてエンジントルクが最大となる点火時期を求める。
また、ROM54には図5に示すエンジン回転数と付加トルクとしてのリザーブトルクとが関連付けられたリザーブトルク算出マップが記憶されており、このリザーブトルク算出マップは、エンジン回転数が低回転領域において所定の大きさのリザーブトルクが設定されている。CPU52は、このリザーブトルク算出マップに基づいてエンジン回転数に応じたリザーブトルクを設定する。具体的には、CPU52は、リザーブトルクに相当する分だけ点火プラグ10の点火時期を進角させる。
また、ROM54には図6に示すエンジン回転数Na、Nb、Nc(rpm)に応じて点火効率と点火時期とが関連付けられたトルクマップが記憶されている。点火効率は、トルクが最大となる点火時期のトルク、すなわち、MBT(Minimum advance for Best Torque)トルクをエンジントルクで除したものであり、トルク感度である。このトルクマップは、充填効率毎に複数設けられており、点火時期を遅角させたときのトルクの低下量を表している。
また、ROM54には図7に示す遅角量算出マップが設けられており、この遅角量算出マップは、エンジン回転数と充填効率とに応じて点火効率が関連付けられている。
また、ROM54にはエアコン、オルタネータ、オイルポンプ等のようにエンジンによって駆動される補機の負荷トルク、すなわち、補機負荷トルクマップが格納されており、この補機負荷トルクは、エンジン回転数と補機の負荷トルクとが関連付けられて記憶されている。
また、エンジンECU50には、水温センサ15の検知情報が入力されるようになっており、この水温センサ15は、エンジン1を流れる冷却水の温度を検知するようになっている。
また、ROM54には水温とフリクショントルクとが関連付けられた水温特性マップが記憶されている。この水温特性マップは、水温が低温となる程、オイルの温度が低く、高いフリクショントルクに設定され、水温が高温となる程、オイルの温度が高く、低いフリクショントルクになるように設定されている。
また、エンジンECU50には車速センサ16からの検知情報が入力されるようになっており、エンジンECU50は、車速センサ16からの検知情報に基づいて車両の走行中の速度や停止状態を検知することができる。
また、ROM54には、エンジン回転数および吸入空気量にエンジントルクが関連付けられたトルク算出マップが格納されており、CPU52は、このトルク算出マップに基づいてエンジン回転数および吸入空気量に基づいてエンジントルクを算出する。
本実施の形態では、エンジンECU50、エアフローメータ7、アクセル開度センサ12、クランクポジションセンサ13、スロットルセンサ14、水温センサ15および車速センサ16が機関制御手段を構成している。
次に、図8、図9に基づいて車両の発進制御処理を説明する。なお、図8は、発進制御処理プログラムのフローチャートであり、この発進制御プログラムは、ROM54内に記憶され、CPU52によって実行されるプログラムである。
CPU52は、車速センサ16によって車速が「0」の状態を検知すると、車両が低下状態であるものと判定して停止判定フラグを立てる。CPU52は、停止判定フラグが立っている状態でアクセル開度センサ12からの検知情報に基づいてアクセルペダル11の開度が「0%」以上であるか否かを判別し(ステップS1)、アクセル開度が「0%」であるものと判断した場合には、今回の処理を終了する。
CPU52は、アクセル開度が「0%」以上であるものと判断した場合には(図9(A)参照)、発進時のレーシング動作であるものと判断し、アクセル開度に応じてエンジン1の目標回転数を設定する(ステップS2)。
具体的には、図2に示す目標回転数算出マップを参照し、アクセル開度に応じた目標回転数を設定することにより、図9(B)に示すようにレーシング時の目標回転数を設定する。
次いで、CPU52は、図3に示す要求トルク算出マップに基づいて現在のエンジン回転数N1と目標回転数N2との要求差分トルクを算出する(ステップS3)。このため、CPU52は、目標回転数となるときの要求トルクであるフリクショントルクを設定することができる。
次いで、CPU52は、図5に示すリザーブトルク算出マップに基づいて現在のエンジン回転数N1に応じたリザーブトルクを算出する(ステップS4)。なお、リザーブトルクは、エンジンストールが発生し難い高回転数域に設定されておらず、エンジンストールが発生し易い低回転数域に設定されている。すなわち、低回転数域からアクセルペダル11を踏み込んだ場合にリザーブトルクが設定される。
次いで、CPU52は、補機負荷トルクマップを参照して現在のエンジン回転数に対応する補機負荷トルクを算出するとともに、水温センサ15からの検知情報に基づいて水温特性マップを参照して水温に応じたフリクショントルクを算出する(ステップS5)。
次いで、CPU52は、要求差分トルク、リザーブトルク、補機負荷トルクおよび水温に基づくフリクショントルクを加算して最終要求トルクを設定する(ステップS6、図9(E)のe参照)。
次いで、CPU52は、エンジン回転数および吸入空気量にエンジントルクが関連付けられたトルク算出マップを参照して、現在のエンジン回転数と吸入空気量とによって求められる現在のエンジントルクと最終要求トルクとの差分に応じてスロットルバルブ6の開度と点火プラグ10の点火時期を制御する(ステップS7)。
具体的には、CPU52は、要求差分トルクと補機負荷トルクとを合計したエンジントルクを得るためのスロットルバルブ6の開度を設定する(図9(C)のc参照)。さらに、図4の点火時期算出マップに基づいて点火プラグ10の点火時期の進角量を設定して(図9(D)のd参照)、リザーブトルクを要求差分トルクと補機負荷トルクに付加する。
ここで、エンジン回転数N1の時点のスロットルバルブ6の開度から目標回転数N2となる開度にスロットルバルブ6を開いたときに、目標回転数に到達する量の吸入空気がシリンダの燃焼室に導入されるまでに時間がかかり、目標回転数に到達する前に、クラッチが係合されてエンジンストールが発生するおそれがある。
これに対して、本実施の形態では、図4の点火時期算出マップに基づいて点火時期の進角量を設定し、リザーブトルクを得られるように点火時期の制御を行うことにより、クラッチが係合されたときのエンジントルクを十分に大きくして、エンジンストールが発生するのを防止する。すなわち、リザーブトルクは、エンジンストール防止のために点火進角を行うことで得られるトルクの増大代である。
次いで、CPU52は、現在のエンジントルク(但し、この現在とは、発進時にアクセルペダル11を踏み込んだ時点ではない)と最終要求トルクとの差分を求める(ステップS8)。
本実施の形態では、フリクショントルクや補機負荷トルク等にリザーブトルクを追加しているため、リザーブトルクの追加分だけエンジン回転数が目標回転数N2から上昇してエンジン1の吹き上がりが発生してしまうおそれがある。
このため、CPU52は、現在のエンジントルクが最終要求トルクよりも大きいか否かを判断し(ステップS9)、現在のエンジントルクが最終要求トルクよりも大きいものと判断した場合には、エンジン1の実回転数が目標回転数を超えたものと判断して、遅角制御を実行して実回転数を目標回転数に収束させる(ステップS10)。
具体的には、CPU52は、図7に示す遅角量算出マップを参照し、クランクポジションセンサ13によって検知される現在のエンジン回転数とスロットルセンサ14によって検知されたスロットル開度によって求められる充填効率とを比較する。
CPU52は、現在のエンジン回転数と充填効率とに基づいて点火効率を算出し、現在のエンジントルクと最終要求トルクとの差分に、算出した点火効率を乗算して実回転数が目標回転数に収束するための遅角量を算出して点火遅角を行う(図9(D)のd1参照)。この結果、CPU52は、点火プラグ10の点火時期を算出された遅角量だけ遅角させることができ、実回転数を目標回転数に収束することができる。
また、現在のエンジントルクが最終要求トルクよりも小さいものであると判断した場合には、実回転数が目標回転数に収束されているものと判断して今回の処理を終了する。
このように本実施の形態では、エンジンECU50が、クラッチの係合前に、アクセル開度に応じて設定されるエンジン1の目標回転数N2となるときの要求トルクに、点火時期の制御によるリザーブトルクを加えて最終要求トルクを設定することにより、スロットルバルブ6の開度を調整するので、アクセル開度に応じて設定される要求トルクにリザーブトルクを追加している分だけ、クラッチ係合時のエンジントルクを大きくすることができ、エンジンストールが発生するのを防止することができる。
また、本実施の形態では、エンジンECU50が点火時期を制御することによってリザーブトルクを得るようにしているため、目標回転数に到達する時間を短くしてクラッチの係合時のエンジントルクを大きくすることができ、エンジンストールが発生するのを確実に防止することができる。
また、エンジンECU50が、エンジン1の実回転数が目標回転数を超えたことを条件として実回転数が目標回転数となるように点火遅角を実施することにより、実回転数を目標回転数に収束させているので、エンジン1の吹き上がりが発生するのを防止することができる。この結果、燃費を向上させることができるとともに、運転者に違和感を与えるのを防止することができる。
また、本実施の形態では、エンジンECU50が、エンジン1が失火しない範囲でエンジン1の最大トルクから点火遅角で低下できるトルク量をリザーブトルクとして算出し、リザーブトルクをエンジン1の回転数に応じて設定しているので、点火時期が最大トルクとなるように点火進角させることにより、リザーブトルクを得ることができる。
本実施の形態では、特に、リザーブトルクをエンジン1の低回転域に設定しているため、スロットルバルブ6の開度が小さい場合であっても、リザーブトルクを追加している分だけクラッチ係合時のエンジントルクを大きくすることができ、アクセルペダル11の踏み込み量を大きくしなくてもクラッチ係合時にエンジンストールが発生するのを防止することができる。
また、本実施の形態では、エンジンECU50が、目標回転数に応じて設定されるエンジン1のフリクショントルク、補機付加トルク等を要求トルクとして設定するので、アクセル開度に応じてフリクショントルクを確保するためのスロットル開度を設定し、このフリクショントルク、補機付加トルク等に加算されるリザーブトルクを算出することにより、最終要求トルクを求めることができ、エンジンストールを防止するためのリザーブトルクを確保することができる。
以上のように、本発明に係る内燃機関の制御装置は、クラッチ係合前に燃費の悪化や運転者に違和感を与えるのを防止しつつ、クラッチ係合時にエンジンストールが発生するのを防止することができるという効果を有し、アクセル開度に応じて吸入空気量を調整するスロットルバルブを有し、クラッチの係合時に手動変速機に連結される内燃機関の制御装置等として有用である。
1 エンジン(内燃機関)
2 MT(手動変速機)
3 クラッチ
7 エアフローメータ(機関制御手段)
11 アクセルペダル
12 アクセル開度センサ(機関制御手段)
13 クランクポジションセンサ(機関制御手段)
14 スロットルセンサ(機関制御手段)
15 水温センサ(機関制御手段)
16 車速センサ(機関制御手段)
50 エンジンECU(機関制御手段)

Claims (3)

  1. 内燃機関に導入される吸入空気量をアクセル開度に応じて調整するスロットルバルブを有し、クラッチの係合時に手動変速機に連結される内燃機関の制御装置であって、
    前記クラッチの係合前に、前記アクセル開度に応じて設定される前記内燃機関の目標回転数となるときの要求トルクに、点火時期の制御による付加トルクを加えて最終要求トルクを設定することにより前記スロットルバルブの開度を調整し、前記内燃機関の実回転数が前記目標回転数を超えたことを条件として前記実回転数が前記目標回転数となるように点火遅角を実施することにより、前記実回転数を前記目標回転数に収束させる機関制御手段を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記機関制御手段は、前記内燃機関が失火しない範囲で前記内燃機関の最大トルクから点火遅角で低下できるトルク量を付加トルクとして算出し、前記付加トルクを前記内燃機関の回転数に応じて設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記要求トルクが、少なくとも前記目標回転数に応じて設定される前記内燃機関のフリクショントルクであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
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