JP2012076699A - 扉体の開閉シフト機構並びにこれを適用した貨物車輛 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明では、扉体80が回動支点84近くであって、扉体内側且つ自由端側にずれた位置に、シフトアクチュエータ81からの伸長動作が入力される受動点85を有する一方、アクチュエータが、扉体80の閉鎖基準線V1とほぼ直交するように支持部材に設けられ、且つそのアクチュエータロッド81bの作用端側には偏心押込片82が固定され、この偏心押込片82の押込作用端が受動点85において扉体80と回動自在に接続されて成り、扉体80の開放にあたっては、アクチュエータの伸長動作により、受動点85を、扉体80の回動支点84を中心に半円程度回り込むように回動させて、扉体80を全面開放させるようにしたことを特徴とする。
【選択図】図3
Description
このようなウイング式の貨物車輛T′にあっては、そもそも側部パネル7′(上部ハッチ71′)が天井パネル2′に対し90度直交した状態で一体化形成されているため、ウイング全体を90度の角度で回動(開放)させても、側部パネル7′(上部ハッチ71′)は、図7(a)の90度開放タイプよりも更に高い位置に跳ね上げられ、フォークリフトを使った荷役作業においてもマストの最上端が接触する事態は回避することができるものである。
適宜の支持部材に対し回動支点においてヒンジ接続される扉体と、
この扉体の開閉シフトを担うシフトアクチュエータとを具え、
シフトアクチュエータの伸長動作により、扉体を閉鎖姿勢からほぼ180度開放させる開閉シフト機構であって、
前記扉体は、回動支点近くであって、扉体内側且つ自由端側にずれた位置に、シフトアクチュエータからの伸長動作が入力される受動点を有し、
一方、シフトアクチュエータは、扉体の閉鎖基準線とほぼ直交するように支持部材に設けられ、且つそのアクチュエータロッドの作用端側には偏心押込片が固定され、この偏心押込片の押込作用端が前記受動点において扉体と回動自在に接続されて成り、
前記扉体を開放するにあたっては、シフトアクチュエータの伸長動作により、受動点を、扉体の回動支点を中心に半円程度回り込むように回動させて、扉体をほぼ180度開放させるようにしたことを特徴として成るものである。
前記扉体は、貨物車輛の荷台における側部パネルであり、
この側部パネルを、前記シフトアクチュエータの伸長動作によって、ほぼ180度上方に跳ね上げ状態に開放させるようにしたことを特徴として成るものである。
前記シフトアクチュエータは、荷台前後のフレーム上部を形成するフロントビームとリヤビームとに各々設けられ、扉体を閉鎖した始発姿勢では、水平線に対しシフトアクチュエータの押込端側をやや下方に向けた状態で回動自在に取り付けられることを特徴として成るものである。
前記貨物車輛は、荷台の天井パネルと後部扉のうち、いずれか一方または双方が独立して全面開放する構造であることを特徴として成るものである。
コンテナタイプの荷台が架装された貨物車輛であって、
この荷台は、開閉自在の側部パネルまたは後部扉を具えて成るものであり、また側部パネルまたは後部扉は、シフトアクチュエータの伸縮により開閉するものであり、その開閉にあたっては前記請求項1、2、3または4記載の開閉シフト機構により開閉させるようにしたことを特徴として成るものである。
まず請求項1または5記載の発明によれば、シフトアクチュエータの押込作用端側に偏心押込片を設け、この偏心押込片を介して扉体を押しながら扉体を開放させるため、扉体を単独でほぼ180度程度大開放させることができる。すなわち大型の貨物車輛の荷台を大開放できる手法としてはウイング式が知られているが、ウイング式は側部パネルと天井パネルとを一体化したウイング状の扉体を開閉する方式であるが、本発明の開閉シフト機構は、これとは異なり、例えば荷台の側部パネルだけを、天井パネルを伴わずに大きく開放させることができるものである。
また偏心押込片をシフトアクチュエータと扉体との間に設けたため、扉体の大開放を実現しながらも、扉体の開閉時にシフトアクチュエータに生じる振れ幅としては極めて小さく抑えることができる(一例として約8度程度)。
またシフトアクチュエータが常にフレーム(ビーム)内に収まる(隠れる)構造は、防犯上の効果も高いと考えられる。すなわち荷台やコンテナ等では、パネルや扉体を閉鎖しているアクチュエータが外部から見えた場合、あるいは閉鎖した扉に掛けてある鍵が外から見えた場合等には、これを破壊して荷台やコンテナ内に保管・収容した荷物を強奪しようという犯罪(犯行心理)を誘発しかねないが、本発明では側部パネル(扉体)を閉鎖しているシフトアクチュエータが閉鎖時はもちろん、開放時であっても外部からはほとんど目視できないため、このような犯罪を未然に防ぐことができる。
なお、説明にあたっては、まずコンテナタイプの荷台1を架装(装備)した貨物車輛Tについて説明し、その後、本発明の開閉シフト機構8について説明する。
荷台1は、その上面を天井パネル2によって構成するとともに、それと対向して設けられる床面3と、床面3から立ち上がる周壁パネル4とにより、内部に密閉状態の荷室Sを構成したものである。このうち周壁パネル4については、実質的には後部扉5、前部固定パネル6、側部パネル7とによって構成される。
そして、このような床枠フレーム11の四隅部から四本のピラーフレーム12が立設され、その上端後方側にリヤビーム13が設けられ、これと対向する前方側にフロントビーム14が設けられ、更にそれらを結ぶ両側部にサイドビーム15が設けられるものである。
まず後部扉5は、一例として図1、4に示すように、観音開き状に形成されるものであり、後部二方のピラーフレーム12に設けたヒンジ51によってその開閉が成される。なお、後方扉5は、常法に従ったラッチ機構52によって閉鎖状態が維持ロックされるものである。
一方、前部固定パネル6は、通常固定状態で設けられるが、もちろんパネルの一部が開放可能なものであっても構わない。
また下部あおり72は、床面3の左右両側部に対し回動自在に支持され、上方から下方に向かって開放される構造を採るものである。なお、荷台1の長手寸法が長大な場合には、下部あおり72の操作性を考慮して、下部あおり72を前後に二分割し、それらを別々に開閉できるようにすることが好ましい。
開閉シフト機構8は、開閉自在に支持された扉体80(ここでは上部ハッチ71)と、扉体80を摺動子の伸長・収縮動作によって開閉させるシフトアクチュエータ81と、シフトアクチュエータ81の押込先端に設けられる偏心押込片82とを具えて成るものであり、特に本実施例では、扉体80に、このものと一体的に回動する一体回動片80aを固定状態に取り付け、これを偏心押込片82によって押し込み、扉体80を開放するものである。
また、本実施例では、上述したように荷台1の扉体80としての側部パネル7(上部ハッチ71)を独立して跳ね上げ状態に開放・閉鎖する実施例を基本とするものである。ここで上記記載の「独立して」というのは、天井パネル2等の他の部分を伴わずに独立的に開閉させる非ウイング式を意味しており、このような非ウイング式でも扉体80としての側部パネル7(上部ハッチ71)をほぼ全面開放させ得ること(一例として約170度の開放)が本発明の大きな特徴の一つである(いわゆるフルハイオープンハッチ)。また、このため扉体80としての側部パネル7の始発閉鎖状態は、ほぼ垂直(鉛直)の状態であり、これを閉鎖基準線V1とする(図3(a)参照)。
ここでは、開閉シフト機構8によって荷台1の側部パネル7(上部ハッチ71)を開閉するため、側部パネル7のなかでも特に上部ハッチ71が扉体80に相当する。また、一体回動片80aは、略三角形状を成し、上記扉体80(上部ハッチ71)の回動支点84近くに固定状態に設けられる。ここで扉体80の回動支点84は、上部ハッチ71で言えば回動支点74が相当する(扉体80が上部ハッチ71に相当するのと同様)。なお、本実施例では、一体回動片80aは扉体80の一構成部位と捉えている(考えている)。
受動点85は、初期状態で言えば図3(a)に示すように、扉体80の内側(荷室S側)であって、且つ扉体80の自由端(上部ハッチ71の回動自由端)側にずれた位置、つまり荷室S側の回動支点74(84)の近くで、これよりも低い位置に設けられる。ここで回動支点74(84)と受動点85との間に高低差を設けたのは(受動点85を低位置にずらしたのは)、シフトアクチュエータ81の押し込みによって、受動点85を回動支点74(84)を中心としてスムーズに回転させるため、換言すれば一体回動片80aの円滑な回動を図るためである。
なお、シフトアクチュエータ81としては油圧シリンダや電動シリンダ等のシフトシリンダが適用できる他、ラックピニオンタイプのアクチュエータ、あるいはクランクタイプのアクチュエータ等も適用可能である。
一体回動片80aは、例えば図2に示すように、二枚の略三角形状の金属板材が、一定の間隔を隔てて対向的に設けられて成るものであり(言わば立体的)、偏心押込片82についても、このような一体回動片80aを挟み込むように立体的に形成される。なお、このような立体構造は、主に開閉シフト機構8としての強度を維持し、可動部材としての剛性を獲得するのための構造である。
また、図3に示す実施例では、車輛正面側から視て、偏心押込片82を湾曲状に形成するものであるが、偏心押込片82はL字形(屈曲状)に形成することも可能である。ただし偏心押込片82をL字形に形成すると、屈曲部に応力集中が起こり得るため、これを考慮すると扉体80を開閉する際、偏心押込片82やシフトアクチュエータ81に比較的大きな負荷が掛からない場合に適すると考えられる。
扉体80としての側部パネル7(上部ハッチ71)を閉鎖した初期状態は、例えば図2(a)・図3(a)に示すように、シフトアクチュエータ81のアクチュエータロッド81b(摺動子)が収縮し切った状態であり、ここから徐々にアクチュエータロッド81bを伸長させて、扉体80(上部ハッチ71)を開放して行くものである。
具体的にはアクチュエータロッド81bを伸長させると、図2・図3に示すように、偏心押込片82を介して押された一体回動片80aが回動支点74(84)を中心とした回動を行うものである。すなわち偏心押込片82に接続された受動点85が回動支点74(84)を下方側から上方側に回り込むように、一体回動片80aが回動する。もちろん、アクチュエータロッド81bの伸長動作に伴い、シフトアクチュエータ81全体も図3(a)から図3(b)に示すように、アクチュエータ遊持基点86を回動基点として、押込端側を徐々に下方(回動支点74(84)の外側)に傾けて行くものである(先端を下方に振って行くものである)。
そして、このような動作によって、扉体80としての上部ハッチ71が徐々に開放して行くものである。
また図3(d)は、上記状態から更にアクチュエータロッド81bを伸長させて行き、扉体80(上部ハッチ71)を最大開放させた状態である。なお、図3(c)〜図3(d)までの間では、今度は、受動点85が最下位置から上昇するような一体回動片80aの回動作動となるため、シフトアクチュエータ81の振れ角(傾倒角)としても徐々に小さくなって行き、図3(d)では始発姿勢線H1よりも水平線に近づくものである(これを最終姿勢線H3とする)。
また、図3(d)は、受動点85が回動支点74(84)を中心として、ほぼ180度の半円程度回動した状態であり(実質は約170度)、これにより扉体80(上部ハッチ71)もほぼ180度開放した倒立状態となる(言わばフルハイオープンハッチ)。
もちろん一体回動片80aや偏心押込片82等については多少荷室S外に露出するが、図7に示した従来手法のように、シフトアクチュエータ81′で直に開閉自在の扉体80′を押し上げる形態よりは、格段に構成部材の露出度が低く抑えられるものである。これは外観的にも部材の収まりが良いことはもちろん、扉体80の開閉作動の安定性(シフトアクチュエータ81への異物付着・噛み込みの解消)、荷役作業の作業性向上(効率向上)等に効果を奏するものである。
また、図7の従来手法では、回動支点84′から離れた扉体80′の一部分を押し上げて、あるいは支え上げて扉体80′を開放させる機構であり、これはある意味当然の着想(発想)であるが、本機構はこのような従来手法とは異なり、回動支点74(84)の近くを押して扉体80を開放させており、この点も大きな特徴(相違点)である。そして、このような構造でありながら扉体80を大開放させる機構自体、極めて新規且つ画期的な思想と言える。
加えて、上述したように、天井パネル2や後部扉5も独立して大開放可能な構造とすれば、荷台1の前部固定パネル6を除く全ての壁面(扉体80)が大開放(フルオープン)できるようになり、種々の積載物に応じた様々な荷役作業が一層行い易くなるものである。すなわちピアノや大型電源設備等の大型重量物を荷台1に積み込む場合には、天井パネル2をフルオープンにして荷台1の上方から積み込むことができ(出し入れでき)、またパレットに積んだ積載物をフォークリフトFを使って荷台1に積む込む場合には、側部パネル7(上部ハッチ71)をほぼ180度開放して荷台1の側部から積み込む荷役形態が採り得るものである。
本発明は以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず、上述した実施例では、基本的に一体回動片80aは扉体80としての側部パネル7(上部ハッチ71)に固定状態に取り付けられるものであったが、必ずしもこのような取付形態に限定されるものではない。すなわち、図5に示す実施例は、まず扉体80(上部ハッチ71)を、リヤビーム13(フレーム10)に対しヒンジ73(回動支点74)で回動自在に支持しており、この際の回動支点74(84)は一体回動片80aをも貫通しており、従って一体回動片80aもリヤビーム13に対し回動自在に接続されている(ここまでは基本の実施例と同じ)。
なお、一体回動片80aを扉体80(上部ハッチ71)に対し、二点接続形式とした場合には、一体回動片80aにおける回動支点74(84)、受動点85、接続点87がほぼ三角形の頂点となるように構成されるが(図5参照)、回動支点74と接続点87との間(三角形で言えば辺に当たる部位)は、幾分、三角形の内側にえぐられた凹陥状に形成されることが、扉体80(上部ハッチ71)をより円滑に開閉させる上で好ましいものである。
因みに、後部扉5を水平旋回状態で開閉させる場合には、シフトアクチュエータ81は、初期姿勢で、押込先端側を荷室Sのやや内側に傾倒させた状態に設けられ、受動点85についても回動支点74より荷室Sのやや内側に寄った位置に設定されるものである(図3を、車輛上方から視た平面図と考えることができる)。
また、本発明の開閉シフト機構8は、パネルトラック等の荷台後部の跳ね上げ式のキックドア(上部ドア)にも適用することが可能である。
まず、車庫正面に設置される跳ね上げ式のガレージ開閉扉(開閉)に本機構を適用することが可能である。因みに、従来、この種のガレージ開閉扉を開放させた際には、扉が上方でほぼ水平状態で待機していたが、これでは待機させた扉がガレージ前方に幾らかせり出すことがあった。しかし、本機構によりガレージ開閉扉を開閉させた場合には、待機状態の扉はほぼ180度開放したほぼ倒立姿勢となるため、ガレージ前面への扉のせり出しは解消できるものである。
また、本発明の開閉シフト機構8は、上述したように回動支点74(84)の近くに受動点85を設定しながらも扉体80をほぼ180度開放できるという極めて新規な機構であるため、このような機構そのものを評価した場合には、ロッカーや家具等の扉体80の開閉にも適用できるものである。
また、扉体80を開閉させる際のシフトアクチュエータ81の振れ幅が極めて小さく、シフトアクチュエータ81等の構成部材を外観上ほとんど目立たない状態にできることを重視すれば、本発明を適用した貨物車輛Tは、側部パネル7を開放した状態で、荷台1上でステージやイベントを行う場所として使用することができる(車輛としてはステージ用車輛もしくはイベント用車輛となる)。
2 天井パネル
3 床面
4 周壁パネル
5 後部扉
6 前部固定パネル
7 側部パネル
8 (扉体の)開閉シフト機構
10 フレーム
5 後部扉
51 ヒンジ
52 ラッチ機構
7 側部パネル
71 上部ハッチ
72 下部あおり
73 ヒンジ
74 回動支点
10 フレーム
11 床枠フレーム
12 ピラーフレーム
13 リヤビーム
14 フロントビーム
15 サイドビーム
8 (扉体の)開閉シフト機構
80 扉体
80a 一体回動片
81 シフトアクチュエータ
81a アクチュエータボディ
81b アクチュエータロッド
82 偏心押込片
84 回動支点
85 受動点
86 アクチュエータ遊持基点
87 接続点
V1 閉鎖基準線(扉体)
H1 始発姿勢線(シフトアクチュエータ)
H2 最大傾倒線(シフトアクチュエータ)
H3 最終姿勢線(シフトアクチュエータ)
C キャビン
F フォークリフト
S 荷室
T 貨物車輛
このようなウイング式の貨物車輛T′にあっては、そもそも側部パネル7′(上部ハッチ71′)が天井パネル2′に対し90度直交した状態で一体化形成されているため、ウイング全体を90度の角度で回動(開放)させても、側部パネル7′(上部ハッチ71′)は、図7(a)の90度開放タイプよりも更に高い位置に跳ね上げられ、フォークリフトを使った荷役作業においてもマストの最上端が接触する事態は回避することができるものである。
適宜の支持部材に対し回動支点においてヒンジ接続される扉体と、
この扉体の開閉シフトを担うシフトアクチュエータとを具え、
シフトアクチュエータの伸長動作により、扉体を閉鎖姿勢からほぼ180度開放させる開閉シフト機構であって、
前記扉体は、回動支点近くであって、扉体内側且つ自由端側にずれた位置に、シフトアクチュエータからの伸長動作が入力される受動点を有し、
一方、シフトアクチュエータは、扉体の閉鎖基準線とほぼ直交するように支持部材に対し回動自在に設けられ、且つそのアクチュエータロッドの作用端側には偏心押込片が固定され、この偏心押込片の押込作用端が前記受動点において扉体と回動自在に接続されて成り、
前記扉体を開放するにあたっては、シフトアクチュエータの伸長動作により、受動点を、扉体の回動支点を中心に半円程度回り込むように回動させて、扉体をほぼ180度開放させるようにしたことを特徴として成るものである。
前記扉体は、貨物車輛の荷台における側部パネルであり、
この側部パネルを、前記シフトアクチュエータの伸長動作によって、ほぼ180度上方に跳ね上げ状態に開放させるようにしたことを特徴として成るものである。
前記シフトアクチュエータは、荷台前後のフレーム上部を形成するフロントビームとリヤビームとに各々設けられ、扉体を閉鎖した始発姿勢では、水平線に対しシフトアクチュエータの押込端側をやや下方に向けた状態で回動自在に取り付けられることを特徴として成るものである。
前記貨物車輛は、荷台の天井パネルと後部扉のうち、いずれか一方または双方が独立して全面開放する構造であることを特徴として成るものである。
コンテナタイプの荷台が架装された貨物車輛であって、
この荷台は、開閉自在の側部パネルまたは後部扉を具えて成るものであり、また側部パネルまたは後部扉は、シフトアクチュエータの伸縮により開閉するものであり、その開閉にあたっては前記請求項1、2、3または4記載の開閉シフト機構により開閉させるようにしたことを特徴として成るものである。
まず請求項1または5記載の発明によれば、シフトアクチュエータの押込作用端側に偏心押込片を設け、この偏心押込片を介して扉体を押しながら扉体を開放させるため、扉体を単独でほぼ180度程度大開放させることができる。すなわち大型の貨物車輛の荷台を大開放できる手法としてはウイング式が知られているが、ウイング式は側部パネルと天井パネルとを一体化したウイング状の扉体を開閉する方式であるが、本発明の開閉シフト機構は、これとは異なり、例えば荷台の側部パネルだけを、天井パネルを伴わずに大きく開放させることができるものである。
また偏心押込片をシフトアクチュエータと扉体との間に設けたため、扉体の大開放を実現しながらも、扉体の開閉時にシフトアクチュエータに生じる振れ幅としては極めて小さく抑えることができる(一例として約8度程度)。
またシフトアクチュエータが常にフレーム(ビーム)内に収まる(隠れる)構造は、防犯上の効果も高いと考えられる。すなわち荷台やコンテナ等では、パネルや扉体を閉鎖しているアクチュエータが外部から見えた場合、あるいは閉鎖した扉に掛けてある鍵が外から見えた場合等には、これを破壊して荷台やコンテナ内に保管・収容した荷物を強奪しようという犯罪(犯行心理)を誘発しかねないが、本発明では側部パネル(扉体)を閉鎖しているシフトアクチュエータが閉鎖時はもちろん、開放時であっても外部からはほとんど目視できないため、このような犯罪を未然に防ぐことができる。
なお、説明にあたっては、まずコンテナタイプの荷台1を架装(装備)した貨物車輛Tについて説明し、その後、本発明の開閉シフト機構8について説明する。
荷台1は、その上面を天井パネル2によって構成するとともに、それと対向して設けられる床面3と、床面3から立ち上がる周壁パネル4とにより、内部に密閉状態の荷室Sを構成したものである。このうち周壁パネル4については、実質的には後部扉5、前部固定パネル6、側部パネル7とによって構成される。
そして、このような床枠フレーム11の四隅部から四本のピラーフレーム12が立設され、その上端後方側にリヤビーム13が設けられ、これと対向する前方側にフロントビーム14が設けられ、更にそれらを結ぶ両側部にサイドビーム15が設けられるものである。
まず後部扉5は、一例として図1、4に示すように、観音開き状に形成されるものであり、後部二方のピラーフレーム12に設けたヒンジ51によってその開閉が成される。なお、後方扉5は、常法に従ったラッチ機構52によって閉鎖状態が維持ロックされるものである。
一方、前部固定パネル6は、通常固定状態で設けられるが、もちろんパネルの一部が開放可能なものであっても構わない。
また下部あおり72は、床面3の左右両側部に対し回動自在に支持され、上方から下方に向かって開放される構造を採るものである。なお、荷台1の長手寸法が長大な場合には、下部あおり72の操作性を考慮して、下部あおり72を前後に二分割し、それらを別々に開閉できるようにすることが好ましい。
開閉シフト機構8は、開閉自在に支持された扉体80(ここでは上部ハッチ71)と、扉体80を摺動子の伸長・収縮動作によって開閉させるシフトアクチュエータ81と、シフトアクチュエータ81の押込先端に設けられる偏心押込片82とを具えて成るものであり、特に本実施例では、扉体80に、このものと一体的に回動する一体回動片80aを固定状態に取り付け、これを偏心押込片82によって押し込み、扉体80を開放するものである。
また、本実施例では、上述したように荷台1の扉体80としての側部パネル7(上部ハッチ71)を独立して跳ね上げ状態に開放・閉鎖する実施例を基本とするものである。ここで上記記載の「独立して」というのは、天井パネル2等の他の部分を伴わずに独立的に開閉させる非ウイング式を意味しており、このような非ウイング式でも扉体80としての側部パネル7(上部ハッチ71)をほぼ全面開放させ得ること(一例として約170度の開放)が本発明の大きな特徴の一つである(いわゆるフルハイオープンハッチ)。また、このため扉体80としての側部パネル7の始発閉鎖状態は、ほぼ垂直(鉛直)の状態であり、これを閉鎖基準線V1とする(図3(a)参照)。
ここでは、開閉シフト機構8によって荷台1の側部パネル7(上部ハッチ71)を開閉するため、側部パネル7のなかでも特に上部ハッチ71が扉体80に相当する。また、一体回動片80aは、略三角形状を成し、上記扉体80(上部ハッチ71)の回動支点84近くに固定状態に設けられる。ここで扉体80の回動支点84は、上部ハッチ71で言えば回動支点74が相当する(扉体80が上部ハッチ71に相当するのと同様)。なお、本実施例では、一体回動片80aは扉体80の一構成部位と捉えている(考えている)。
受動点85は、初期状態で言えば図3(a)に示すように、扉体80の内側(荷室S側)であって、且つ扉体80の自由端(上部ハッチ71の回動自由端)側にずれた位置、つまり荷室S側の回動支点74(84)の近くで、これよりも低い位置に設けられる。ここで回動支点74(84)と受動点85との間に高低差を設けたのは(受動点85を低位置にずらしたのは)、シフトアクチュエータ81の押し込みによって、受動点85を回動支点74(84)を中心としてスムーズに回転させるため、換言すれば一体回動片80aの円滑な回動を図るためである。
なお、シフトアクチュエータ81としては油圧シリンダや電動シリンダ等のシフトシリンダが適用できる他、ラックピニオンタイプのアクチュエータ、あるいはクランクタイプのアクチュエータ等も適用可能である。
一体回動片80aは、例えば図2に示すように、二枚の略三角形状の金属板材が、一定の間隔を隔てて対向的に設けられて成るものであり(言わば立体的)、偏心押込片82についても、このような一体回動片80aを挟み込むように立体的に形成される。なお、このような立体構造は、主に開閉シフト機構8としての強度を維持し、可動部材としての剛性を獲得するのための構造である。
また、図3に示す実施例では、車輛正面側から視て、偏心押込片82を湾曲状に形成するものであるが、偏心押込片82はL字形(屈曲状)に形成することも可能である。ただし偏心押込片82をL字形に形成すると、屈曲部に応力集中が起こり得るため、これを考慮すると扉体80を開閉する際、偏心押込片82やシフトアクチュエータ81に比較的大きな負荷が掛からない場合に適すると考えられる。
扉体80としての側部パネル7(上部ハッチ71)を閉鎖した初期状態は、例えば図2(a)・図3(a)に示すように、シフトアクチュエータ81のアクチュエータロッド81b(摺動子)が収縮し切った状態であり、ここから徐々にアクチュエータロッド81bを伸長させて、扉体80(上部ハッチ71)を開放して行くものである。
具体的にはアクチュエータロッド81bを伸長させると、図2・図3に示すように、偏心押込片82を介して押された一体回動片80aが回動支点74(84)を中心とした回動を行うものである。すなわち偏心押込片82に接続された受動点85が回動支点74(84)を下方側から上方側に回り込むように、一体回動片80aが回動する。もちろん、アクチュエータロッド81bの伸長動作に伴い、シフトアクチュエータ81全体も図3(a)から図3(b)に示すように、アクチュエータ遊持基点86を回動基点として、押込端側を徐々に下方(回動支点74(84)の外側)に傾けて行くものである(先端を下方に振って行くものである)。
そして、このような動作によって、扉体80としての上部ハッチ71が徐々に開放して行くものである。
また図3(d)は、上記状態から更にアクチュエータロッド81bを伸長させて行き、扉体80(上部ハッチ71)を最大開放させた状態である。なお、図3(c)〜図3(d)までの間では、今度は、受動点85が最下位置から上昇するような一体回動片80aの回動作動となるため、シフトアクチュエータ81の振れ角(傾倒角)としても徐々に小さくなって行き、図3(d)では始発姿勢線H1よりも水平線に近づくものである(これを最終姿勢線H3とする)。
また、図3(d)は、受動点85が回動支点74(84)を中心として、ほぼ180度の半円程度回動した状態であり(実質は約170度)、これにより扉体80(上部ハッチ71)もほぼ180度開放した倒立状態となる(言わばフルハイオープンハッチ)。
もちろん一体回動片80aや偏心押込片82等については多少荷室S外に露出するが、図7に示した従来手法のように、シフトアクチュエータ81′で直に開閉自在の扉体80′を押し上げる形態よりは、格段に構成部材の露出度が低く抑えられるものである。これは外観的にも部材の収まりが良いことはもちろん、扉体80の開閉作動の安定性(シフトアクチュエータ81への異物付着・噛み込みの解消)、荷役作業の作業性向上(効率向上)等に効果を奏するものである。
また、図7の従来手法では、回動支点84′から離れた扉体80′の一部分を押し上げて、あるいは支え上げて扉体80′を開放させる機構であり、これはある意味当然の着想(発想)であるが、本機構はこのような従来手法とは異なり、回動支点74(84)の近くを押して扉体80を開放させており、この点も大きな特徴(相違点)である。そして、このような構造でありながら扉体80を大開放させる機構自体、極めて新規且つ画期的な思想と言える。
加えて、上述したように、天井パネル2や後部扉5も独立して大開放可能な構造とすれば、荷台1の前部固定パネル6を除く全ての壁面(扉体80)が大開放(フルオープン)できるようになり、種々の積載物に応じた様々な荷役作業が一層行い易くなるものである。すなわちピアノや大型電源設備等の大型重量物を荷台1に積み込む場合には、天井パネル2をフルオープンにして荷台1の上方から積み込むことができ(出し入れでき)、またパレットに積んだ積載物をフォークリフトFを使って荷台1に積む込む場合には、側部パネル7(上部ハッチ71)をほぼ180度開放して荷台1の側部から積み込む荷役形態が採り得るものである。
本発明は以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず、上述した実施例では、基本的に一体回動片80aは扉体80としての側部パネル7(上部ハッチ71)に固定状態に取り付けられるものであったが、必ずしもこのような取付形態に限定されるものではない。すなわち、図5に示す実施例は、まず扉体80(上部ハッチ71)を、リヤビーム13(フレーム10)に対しヒンジ73(回動支点74)で回動自在に支持しており、この際の回動支点74(84)は一体回動片80aをも貫通しており、従って一体回動片80aもリヤビーム13に対し回動自在に接続されている(ここまでは基本の実施例と同じ)。
なお、一体回動片80aを扉体80(上部ハッチ71)に対し、二点接続形式とした場合には、一体回動片80aにおける回動支点74(84)、受動点85、接続点87がほぼ三角形の頂点となるように構成されるが(図5参照)、回動支点74と接続点87との間(三角形で言えば辺に当たる部位)は、幾分、三角形の内側にえぐられた凹陥状に形成されることが、扉体80(上部ハッチ71)をより円滑に開閉させる上で好ましいものである。
因みに、後部扉5を水平旋回状態で開閉させる場合には、シフトアクチュエータ81は、初期姿勢で、押込先端側を荷室Sのやや内側に傾倒させた状態に設けられ、受動点85についても回動支点74より荷室Sのやや内側に寄った位置に設定されるものである(図3を、車輛上方から視た平面図と考えることができる)。
また、本発明の開閉シフト機構8は、パネルトラック等の荷台後部の跳ね上げ式のキックドア(上部ドア)にも適用することが可能である。
まず、車庫正面に設置される跳ね上げ式のガレージ開閉扉(開閉)に本機構を適用することが可能である。因みに、従来、この種のガレージ開閉扉を開放させた際には、扉が上方でほぼ水平状態で待機していたが、これでは待機させた扉がガレージ前方に幾らかせり出すことがあった。しかし、本機構によりガレージ開閉扉を開閉させた場合には、待機状態の扉はほぼ180度開放したほぼ倒立姿勢となるため、ガレージ前面への扉のせり出しは解消できるものである。
また、本発明の開閉シフト機構8は、上述したように回動支点74(84)の近くに受動点85を設定しながらも扉体80をほぼ180度開放できるという極めて新規な機構であるため、このような機構そのものを評価した場合には、ロッカーや家具等の扉体80の開閉にも適用できるものである。
また、扉体80を開閉させる際のシフトアクチュエータ81の振れ幅が極めて小さく、シフトアクチュエータ81等の構成部材を外観上ほとんど目立たない状態にできることを重視すれば、本発明を適用した貨物車輛Tは、側部パネル7を開放した状態で、荷台1上でステージやイベントを行う場所として使用することができる(車輛としてはステージ用車輛もしくはイベント用車輛となる)。
2 天井パネル
3 床面
4 周壁パネル
5 後部扉
6 前部固定パネル
7 側部パネル
8 (扉体の)開閉シフト機構
10 フレーム
5 後部扉
51 ヒンジ
52 ラッチ機構
7 側部パネル
71 上部ハッチ
72 下部あおり
73 ヒンジ
74 回動支点
10 フレーム
11 床枠フレーム
12 ピラーフレーム
13 リヤビーム
14 フロントビーム
15 サイドビーム
8 (扉体の)開閉シフト機構
80 扉体
80a 一体回動片
81 シフトアクチュエータ
81a アクチュエータボディ
81b アクチュエータロッド
82 偏心押込片
84 回動支点
85 受動点
86 アクチュエータ遊持基点
87 接続点
V1 閉鎖基準線(扉体)
H1 始発姿勢線(シフトアクチュエータ)
H2 最大傾倒線(シフトアクチュエータ)
H3 最終姿勢線(シフトアクチュエータ)
C キャビン
F フォークリフト
S 荷室
T 貨物車輛
Claims (5)
- 適宜の支持部材に対し回動支点においてヒンジ接続される扉体と、
この扉体の開閉シフトを担うシフトアクチュエータとを具え、
シフトアクチュエータの伸長動作により、扉体を閉鎖姿勢からほぼ180度開放させる開閉シフト機構であって、
前記扉体は、回動支点近くであって、扉体内側且つ自由端側にずれた位置に、シフトアクチュエータからの伸長動作が入力される受動点を有し、
一方、シフトアクチュエータは、扉体の閉鎖基準線とほぼ直交するように支持部材に設けられ、且つそのアクチュエータロッドの作用端側には偏心押込片が固定され、この偏心押込片の押込作用端が前記受動点において扉体と回動自在に接続されて成り、
前記扉体を開放するにあたっては、シフトアクチュエータの伸長動作により、受動点を、扉体の回動支点を中心に半円程度回り込むように回動させて、扉体をほぼ180度開放させるようにしたことを特徴とする、扉体の開閉シフト機構。
- 前記扉体は、貨物車輛の荷台における側部パネルであり、
この側部パネルを、前記シフトアクチュエータの伸長動作によって、ほぼ180度上方に跳ね上げ状態に開放させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の、扉体の開閉シフト機構。
- 前記シフトアクチュエータは、荷台前後のフレーム上部を形成するフロントビームとリヤビームとに各々設けられ、扉体を閉鎖した始発姿勢では、水平線に対しシフトアクチュエータの押込端側をやや下方に向けた状態で回動自在に取り付けられることを特徴とする請求項2記載の、扉体の開閉シフト機構。
- 前記貨物車輛は、荷台の天井パネルと後部扉のうち、いずれか一方または双方が独立して全面開放する構造であることを特徴とする請求項2または3記載の、扉体の開閉シフト機構。
- コンテナタイプの荷台が架装された貨物車輛であって、
この荷台は、開閉自在の側部パネルまたは後部扉を具えて成るものであり、また側部パネルまたは後部扉は、シフトアクチュエータの伸縮により開閉するものであり、その開閉にあたっては前記請求項1、2、3または4記載の開閉シフト機構により開閉させるようにしたことを特徴とする貨物車輛。
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