JP2012074337A - リチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、リチウムと合金化する負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、負極集電体の耐力(引張強さ)とビッカース硬さとを自由に調整できる構成とすることにより、負極活物質の脱落を抑制しつつ、負極の変形を抑えることができるリチウム二次電池を提供することにある。
【解決手段】負極集電体の少なくとも一方の面に負極合剤層が形成された負極と、正極と、セパレータとを有し、上記負極合剤層中にはシリコンから成る負極活物質が含まれたリチウム二次電池において、上記負極集電体は、Cu−Fe−P合金箔から成る基材と、この基材の両面に設けられ純銅から成る表面層とから成り、この表面層のビッカース硬さは120で、且つ上記基材のビッカース硬さよりも低く構成され、しかも、上記負極集電体の耐力が308MPaである。
【選択図】 図1
【解決手段】負極集電体の少なくとも一方の面に負極合剤層が形成された負極と、正極と、セパレータとを有し、上記負極合剤層中にはシリコンから成る負極活物質が含まれたリチウム二次電池において、上記負極集電体は、Cu−Fe−P合金箔から成る基材と、この基材の両面に設けられ純銅から成る表面層とから成り、この表面層のビッカース硬さは120で、且つ上記基材のビッカース硬さよりも低く構成され、しかも、上記負極集電体の耐力が308MPaである。
【選択図】 図1
Description
本発明はリチウムイオン二次電池に関し、特に、リチウムと合金化する負極活物質を用いた円筒型リチウムイオン二次電池に関する。
近年、携帯電話機、ノート型パソコン、PDA(Personal Digital Assistant)等のモバイル機器の消費電力が急速に増大しつつある。それに伴い、リチウムイオン二次電池に対する高容量化の要望が高まってきている。しかしながら、従来広く用いられてきた黒鉛材料を負極活物質として用いた場合、リチウムイオン二次電池の容量を十分に大きくすることが困難である。そこで、黒鉛材料よりも高い容量を有する負極活物質の研究が盛んに行われている。
現在提案されている新たな負極活物質の代表的な例としては、ケイ素、ゲルマニウム、スズ等のリチウムと合金を形成する材料が挙げられる。これらの中でも、ケイ素は1g当り約4000mAhの高い理論容量を示すことから、高容量化を実現し得る負極活物質として、ケイ素やケイ素合金が大いに注目されている(例えば、下記特許文献1参照)。
しかしながら、ケイ素等のリチウムと合金化する負極活物質は、リチウムの吸蔵、放出に伴い、体積が大きく変化する。このため、リチウムと合金化する負極活物質を用いた電池を充放電させた場合、負極活物質の体積変化に伴って負極活物質と負極集電体との間に応力が生じる。このため、負極活物質が負極集電体から脱落し、充放電可能な容量がサイクルとともに減少するという課題を有していた。その一方、負極活物質が負極集電体から脱落しない構成とした場合には、負極活物質の体積変化に伴う応力によって、折れ、シワ、たわみ等の変形が負極に生じ、巻取電極体のズレやセパレータの損傷等により、正極と負極とが短絡することがあるという課題を有していた。
このようなことを考慮して、例えば、負極集電体として、引張強度が400N/mm2以上であり、表面粗さRaが0.01〜1μmである銅合金箔を用いることが提案されている(下記特許文献2参照)。また、当該文献には、引張強度が400N/mm2以上である負極集電体を用いることにより、負極の変形を抑制でき、また、表面粗さRaが0.01〜1μmである負極集電体を用いることで、負極活物質の脱落を抑制できる旨が記載されている。
更に、引張強さが150N/mm2以上400N/mm2以下で、且つ、ビッカース硬さが100HV以上300HV以下である負極集電体を用いる提案がなされている(下記特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献2に記載の提案の如く、表面粗さRaが0.01〜1μmである負極集電体を用いた場合には、負極活物質の脱落を十分に防止することはできない。なぜなら、負極集電体に凹凸がある場合、負極集電体と負極活物質との間の接触は負極集電体の凸部のみとなるため、両者の接触面積を十分に確保できないからである。
また、特許文献3に記載の提案では、負極集電体は、例えば、銅(Cu)箔あるいはニッケル箔等の金属箔、又は銅合金箔、ニッケル合金箔或いはステンレス箔等の合金箔により構成される(即ち、負極集電体を単一の材料で構成している)。ところが、引張強さとビッカース硬さとは、各材料で固有の値を有しており、しかも、両者間の相関関係は極めて高い(具体的には、引張強さが大きくなればビッカース硬さが高くなるという関係にある)。したがって、負極集電体の引張強さとビッカース硬さとを自由に選択することができない。このため、負極活物質の脱落を十分に防止したり、負極の変形を抑制するという効果を十分に発揮することができないという課題を有していた。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、リチウムと合金化する負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、負極集電体の耐力(引張強さ)とビッカース硬さとを自由に調整できる構成とすることにより、負極活物質の脱落を抑制しつつ、負極の変形を抑えることができるリチウム二次電池を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、負極集電体の少なくとも一方の面に負極合剤層が形成された負極と、正極と、セパレータとを有し、上記負極合剤層中には、リチウムと合金化する金属元素から成る負極活物質が含まれたリチウム二次電池において、上記負極集電体は、箔状の基材と、この基材の両面のうち、少なくとも上記負極合剤層が形成される面に設けられた表面層とから成り、この表面層のビッカース硬さは120以下で、且つ上記基材のビッカース硬さよりも低く構成され、しかも、上記負極集電体の耐力が300MPa以上に規制されることを特徴とする。
上述したように、耐力(引張強さ)とビッカース硬さとは、各材料で固有の値を有しており、しかも、両者間の相関関係は極めて高い(具体的には、耐力が大きくなればビッカース硬さが高くなるという関係にある)。具体的には、負極集電体の材質を変えていった場合、耐力とビッカース硬さとは、図1の線分A又はその近傍になるように規制され、線分Aから大きく離れるように設計することはできない。したがって、負極集電体の耐力とビッカース硬さとを自由に選択することができない。
そこで、上記構成の如く、負極集電体を基材と表面層とから構成し、基材により耐力を調整し、表面層によりビッカース硬さを調整する構成とした。このような構成であれば、耐力とビッカース硬さとを自由に設定することが可能となる(具体的には、図1の領域Bに示す範囲[負極活物質の脱落を抑制しつつ、負極の変形を抑えることができる範囲]内で、耐力とビッカース硬さとを自由に規定できる)。このように、耐力とビッカース硬さとを自由に規定できれば、負極活物質の種類や負極作製時における圧延時の圧力等に応じて負極集電体を作製することができるので、負極活物質の脱落を抑制しつつ、負極の変形を抑えることができるという作用効果を十分に発揮できる。
ここで、表面層のビッカース硬さは120以下に規制するのは、ビッカース硬さが120以下であれば、負極集電体の表面の形状が負極活物質の粒子の形状に変形し易い。したがって、負極活物質を負極集電体上に塗布後、圧延する際に、負極集電体の表面は負極活物質の形状に沿って変形し、負極集電体と負極活物質とが接触面積が大きくなる。この結果、充放電に伴って、負極活物質の体積変化による応力が生じても、負極活物質が負極集電体から脱落するのを抑制できるからである。
また、負極集電体の耐力を300MPa以上に規定するのは、耐力が300MPa以上であれば、充放電に伴う負極活物質の体積変化により応力が生じても、負極集電体に折れやシワ等の変形が生じるのを抑えられるので、電池内での短絡を抑制できるからである。尚、本明細書において、耐力とは、JIS Z 2241の全伸び法で測定したσε(1%)のことをいう。
更に、表面層のビッカース硬さを基材のビッカース硬さよりも低く構成するのは、上述の如く、耐力が大きくなればビッカース硬さが高くなるという関係にあるので、耐力を維持するための基材のビッカース硬さが、耐力に関与しない表面層のビッカース硬さより低くなると、負極集電体の耐力を300MPa以上に規制できなくなるからである。換言すれば、表面層のビッカース硬さを基材のビッカース硬さよりも低く構成するという要件は、基材により耐力を調整するということを明確化するものである。
更に、表面層のビッカース硬さを基材のビッカース硬さよりも低く構成するのは、上述の如く、耐力が大きくなればビッカース硬さが高くなるという関係にあるので、耐力を維持するための基材のビッカース硬さが、耐力に関与しない表面層のビッカース硬さより低くなると、負極集電体の耐力を300MPa以上に規制できなくなるからである。換言すれば、表面層のビッカース硬さを基材のビッカース硬さよりも低く構成するという要件は、基材により耐力を調整するということを明確化するものである。
上記負極集電体の基材が銅合金から成り、上記負極集電体の表面層が純銅から成ることが望ましい。
純銅に他の金属を添加した銅合金は、純銅と比較して耐力が大きく、ビッカース硬さが高くなる。したがって、負極集電体の基材に耐力が大きな銅合金を用いる一方、表面層にビッカース硬さが低い純銅を用いれば、表面層のビッカース硬さを120以下に規制しつつ、負極集電体の耐力を300MPa以上に規制することが容易となる。尚、銅及び銅合金は共に導電率が高いので、負極集電体としての基本的な機能は十分に発揮できる。
純銅に他の金属を添加した銅合金は、純銅と比較して耐力が大きく、ビッカース硬さが高くなる。したがって、負極集電体の基材に耐力が大きな銅合金を用いる一方、表面層にビッカース硬さが低い純銅を用いれば、表面層のビッカース硬さを120以下に規制しつつ、負極集電体の耐力を300MPa以上に規制することが容易となる。尚、銅及び銅合金は共に導電率が高いので、負極集電体としての基本的な機能は十分に発揮できる。
上記負極集電体の表面層の空隙率が30%以上であることが望ましい。
空隙率が大きくなるほど、材料中の空隙が大きくなったり、材料表面の凹凸が大きくなったりするので、同じ元素であっても、空隙率が大きくなればビッカース硬さは低くなる傾向にある。したがって、空隙率を30%以上にすれば、ビッカース硬さを容易に低下させることができる。
空隙率が大きくなるほど、材料中の空隙が大きくなったり、材料表面の凹凸が大きくなったりするので、同じ元素であっても、空隙率が大きくなればビッカース硬さは低くなる傾向にある。したがって、空隙率を30%以上にすれば、ビッカース硬さを容易に低下させることができる。
尚、本明細書において空隙率とは、材料の最大厚みに対する空隙が占める割合のことをいう。具体的には、下記(1)式により算出できる。
空隙率=(表面層の単位面積あたりの重量)/{(表面層のマイクロメータ厚み)×(表面層の材料の密度)}・・・(1)
空隙率=(表面層の単位面積あたりの重量)/{(表面層のマイクロメータ厚み)×(表面層の材料の密度)}・・・(1)
上記負極集電体の表面層は上記負極活物質よりモース硬度が低いことが望ましい。
負極集電体の表面層のモース高度が負極活物質のモース硬度より高いと、負極活物質を負極集電体上に塗布した後、圧延する際に、負極活物質粒子に割れ、微粉化等の破壊を起こすことがあるからである。
尚、このようなことを考慮すれば、負極活物質のモース硬度は7以上であることが好ましい。このような構成であれば、圧延時に、負極活物質粒子に割れたり、微粉化したりすることなく、負極集電体の表面の形状を負極活物質の粒子の形状に沿って変形させることが容易となる。また、表面層として、多様な材質のものを選択することができる。
負極集電体の表面層のモース高度が負極活物質のモース硬度より高いと、負極活物質を負極集電体上に塗布した後、圧延する際に、負極活物質粒子に割れ、微粉化等の破壊を起こすことがあるからである。
尚、このようなことを考慮すれば、負極活物質のモース硬度は7以上であることが好ましい。このような構成であれば、圧延時に、負極活物質粒子に割れたり、微粉化したりすることなく、負極集電体の表面の形状を負極活物質の粒子の形状に沿って変形させることが容易となる。また、表面層として、多様な材質のものを選択することができる。
上記負極活物質がシリコンを主成分としていることが望ましい。
このように規制するのは、シリコンは理論容量が大きく、且つ、モース硬度が7と高いので、本発明を実施する上で最適であると考えられるからである。尚、シリコンを主成分とするとは、シリコンが50原子%以上含まれることを意味する。
このように規制するのは、シリコンは理論容量が大きく、且つ、モース硬度が7と高いので、本発明を実施する上で最適であると考えられるからである。尚、シリコンを主成分とするとは、シリコンが50原子%以上含まれることを意味する。
本発明によれば、リチウムと合金化する負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、負極集電体の耐力とビッカース硬さとを自由に調整できる構成とすることにより、負極活物質の脱落を抑制しつつ、負極の変形を抑えることができるといった優れた効果を奏する。
以下、本発明を下記形態に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
[負極の作製]
先ず、負極活物質を以下の要領で作製した。即ち、還元炉内に設置されたケイ素芯を800℃まで通電加熱した。その後、還元炉内に高純度のモノシランガス(SiH4)と水素ガスとを混合させた混合ガスを供給することにより、ケイ素芯の表面に多結晶ケイ素を析出させて、多結晶ケイ素塊を作製した。この多結晶ケイ素塊を粉砕後、分級することにより、負極活物質である多結晶ケイ素粒子(純度:99%)を作製した。
先ず、負極活物質を以下の要領で作製した。即ち、還元炉内に設置されたケイ素芯を800℃まで通電加熱した。その後、還元炉内に高純度のモノシランガス(SiH4)と水素ガスとを混合させた混合ガスを供給することにより、ケイ素芯の表面に多結晶ケイ素を析出させて、多結晶ケイ素塊を作製した。この多結晶ケイ素塊を粉砕後、分級することにより、負極活物質である多結晶ケイ素粒子(純度:99%)を作製した。
尚、上記多結晶ケイ素粒子の結晶子サイズは32nmであり、多結晶ケイ素粒子の平均粒子径は10μmであった。上記結晶子サイズは、粉末X線回折によりケイ素の(111)面のピークの半値幅を求め、scherrerの式により算出した。また上記平均粒子径はレーザー回折法により求めた。
次いで、上記負極活物質と、導電剤としての黒鉛粉末(平均粒子径:3.5μm)と、バインダーとしてのワニスとを、質量比で100:3:8.6となるように、分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに加えて混合することにより、負極合剤スラリーを調製した。上記ワニスは熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体であって、下記化1で表される分子構造を有するもの(ガラス転移温度は約300℃、重量平均分子量は約50000)を使用した。
上記負極合剤スラリーの調製と並行して、負極集電体を作製した。先ず、基材としてのCu−Fe−P合金箔(厚さ:18μm)を用意した後、電解銅メッキ法を用いて、この基材の両面に、純銅から成る表面層を形成した。尚、この表面層の厚み(片面当たりの厚み)は1.0μmであり、表面層の空隙率は30%であった。表面層の厚みは、メッキ前後のマイクロメータ厚みの差から算出し、表面層の空隙率は、前記(1)式から算出した。
次に、25℃の空気雰囲気中において、上記負極集電体の両面に、上記負極合剤スラリーを塗布後、120℃の空気雰囲気中で乾燥させた。その後、25℃の空気雰囲気中において圧延し、さらに、400℃のアルゴン雰囲気中において10時間熱処理した。尚、圧延時の圧力は1tonf/cmである。その後、得られた構造体を、幅35.7mmの帯状に切り出し、これにニッケルで構成された負極集電タブを取り付けて負極を作製した。
[正極の作製]
まず、乳鉢を用いて、Li2CO3とCoCO3とを、LiとCoとのモル比が1:1になるように混合した後、800℃の空気雰囲気中において24時間熱処理し、更に、粉砕することにより、正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)の粉末を作製した。このコバルト酸リチウム粉末の平均粒子径は11μmであり、また、コバルト酸リチウム粉末のBET比表面積は0.37m2/gであった。
まず、乳鉢を用いて、Li2CO3とCoCO3とを、LiとCoとのモル比が1:1になるように混合した後、800℃の空気雰囲気中において24時間熱処理し、更に、粉砕することにより、正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)の粉末を作製した。このコバルト酸リチウム粉末の平均粒子径は11μmであり、また、コバルト酸リチウム粉末のBET比表面積は0.37m2/gであった。
次に、上記正極活物質と、導電剤としての炭素材料粉末(平均粒子径:2μm)と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデンとを、質量比で95:2.5:2.5となるように、分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドンに加え、混練することにより正極合剤スラリーを調製した。次いで、この正極合剤スラリーを、アルミニウム箔から成る正極集電体(厚さ15μm)の両面に塗布して、乾燥した後、圧延を行った。この後、得られた部材を、幅33.7mmの帯状に切り出し、アルミニウム製の正極集電タブを取り付けることにより、正極を作製した。
[非水電解液の調製]
先ず、4−フルオロエチレンカーボネート(FEC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)とを2:8の体積比で混合した混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0mol/lの濃度になるように溶解させた。その後、この溶液に0.4質量%の二酸化炭素ガスを溶解させて、非水電解液を調製した。
先ず、4−フルオロエチレンカーボネート(FEC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)とを2:8の体積比で混合した混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0mol/lの濃度になるように溶解させた。その後、この溶液に0.4質量%の二酸化炭素ガスを溶解させて、非水電解液を調製した。
[電池の作製]
上記正負両極をセパレータを介して対向させ、外径4mmの巻芯で巻き取った後、巻芯を抜き取ることにより、渦巻き状電極体を作製した。尚、セパレータとしては、リチウムイオン透過性のポリエチレン製微多孔膜(厚さ:20μm)を用いた。
次に、上記渦巻き状電極体を円筒状の電池缶内に収容し、正極に設けた正極集電タブを正極蓋の正極外部端子に接続すると共に、負極に設けた負極集電タブを電池缶に接続した。その後、電池缶内に上記の非水電解液を注液した後、電池缶と正極蓋とを絶縁パッキンを介して接合することにより、円筒型のリチウムイオン二次電池を作製した。
尚、上記リチウムイオン二次電池の直径は12.8mmであり、高さは37.7mmであった。また、電池の組み立てに際し、4.2Vの充電終止電圧を基準とした場合の設計容量は900mAhである。
上記正負両極をセパレータを介して対向させ、外径4mmの巻芯で巻き取った後、巻芯を抜き取ることにより、渦巻き状電極体を作製した。尚、セパレータとしては、リチウムイオン透過性のポリエチレン製微多孔膜(厚さ:20μm)を用いた。
次に、上記渦巻き状電極体を円筒状の電池缶内に収容し、正極に設けた正極集電タブを正極蓋の正極外部端子に接続すると共に、負極に設けた負極集電タブを電池缶に接続した。その後、電池缶内に上記の非水電解液を注液した後、電池缶と正極蓋とを絶縁パッキンを介して接合することにより、円筒型のリチウムイオン二次電池を作製した。
尚、上記リチウムイオン二次電池の直径は12.8mmであり、高さは37.7mmであった。また、電池の組み立てに際し、4.2Vの充電終止電圧を基準とした場合の設計容量は900mAhである。
〔予備実験〕
負極集電体として用いられることがある材料について、ビッカース硬さと耐力とを調べたので、その結果を表1及び図1に示す。
負極集電体として用いられることがある材料について、ビッカース硬さと耐力とを調べたので、その結果を表1及び図1に示す。
ビッカース硬さと耐力とは各材料に固有の値であり、しかも、材料表1及び図1から明らかなように、ビッカース硬さと耐力とは略比例関係にある(ビッカース硬さが高くなれば、耐力が大きくなる)ことがわかる。したがって、負極集電体を単一の材料で構成した場合には、当該負極集電体のビッカース硬さと耐力とは、図1の線分A又は線分Aの近傍の値となってしまい、線分Aから大きく離れるような設計とすることはできない。
〔本実験〕
(実施例1)
上記発明を実施するための形態で示す方法と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池A1と称する。
(実施例1)
上記発明を実施するための形態で示す方法と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池A1と称する。
(実施例2〜6)
負極集電体の基材としてCu−Zr合金箔を用い、且つ、表面層の厚みと表面層の空隙率とを、それぞれ、表面層の厚みが1.3μmで表面層の空隙率が40%、表面層の厚みが2.0μmで表面層の空隙率が33%、表面層の厚みが2.8μmで表面層の空隙率が30%、表面層の厚みが3.5μmで表面層の空隙率が38%、表面層の厚みが3.9μmで表面層の空隙率が32%とした以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。尚、表面層の厚みや表面層の空隙率は、メッキ時間や電流密度等を調整することにより調整することができる。このことは、下記の実施例7、8や比較例2、4、7、10においても同様である。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、電池A2〜A6と称する。
負極集電体の基材としてCu−Zr合金箔を用い、且つ、表面層の厚みと表面層の空隙率とを、それぞれ、表面層の厚みが1.3μmで表面層の空隙率が40%、表面層の厚みが2.0μmで表面層の空隙率が33%、表面層の厚みが2.8μmで表面層の空隙率が30%、表面層の厚みが3.5μmで表面層の空隙率が38%、表面層の厚みが3.9μmで表面層の空隙率が32%とした以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。尚、表面層の厚みや表面層の空隙率は、メッキ時間や電流密度等を調整することにより調整することができる。このことは、下記の実施例7、8や比較例2、4、7、10においても同様である。
このようにして作製した電池を、以下それぞれ、電池A2〜A6と称する。
(実施例7)
負極集電体の基材としてCu−Cr−Zr合金箔を用い、且つ、表面層の厚みを2.8μm、表面層の空隙率を30%とした以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池A7と称する。
負極集電体の基材としてCu−Cr−Zr合金箔を用い、且つ、表面層の厚みを2.8μm、表面層の空隙率を30%とした以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池A7と称する。
(実施例8)
負極集電体の基材としてコルソン合金箔を用い、且つ、表面層の厚みを3.9μm、表面層の空隙率を32%とした以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池A8と称する。
負極集電体の基材としてコルソン合金箔を用い、且つ、表面層の厚みを3.9μm、表面層の空隙率を32%とした以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池A8と称する。
(比較例1)
負極集電体の基材として電解銅箔を用い、且つ、表面層を形成しない以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z1と称する。
負極集電体の基材として電解銅箔を用い、且つ、表面層を形成しない以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z1と称する。
(比較例2)
厚みが2.0μmで空隙率が33%の純銅から成る表面層を、基材の両面に電解メッキ法で形成した以外は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z2と称する。
厚みが2.0μmで空隙率が33%の純銅から成る表面層を、基材の両面に電解メッキ法で形成した以外は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z2と称する。
(比較例3)
負極集電体の基材としてCu−Sn合金箔を用い、且つ、表面層を形成しない以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z3と称する。
負極集電体の基材としてCu−Sn合金箔を用い、且つ、表面層を形成しない以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z3と称する。
(比較例4)
厚みが1.0μmで、空隙率が33%の純銅から成る表面層を、基材の両面に電解メッキ法で形成した以外は、上記比較例3と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z4と称する。
厚みが1.0μmで、空隙率が33%の純銅から成る表面層を、基材の両面に電解メッキ法で形成した以外は、上記比較例3と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z4と称する。
(比較例5)
基材の両面に表面層を形成しない以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z5と称する。
基材の両面に表面層を形成しない以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z5と称する。
(比較例6)
基材の両面に表面層を形成しない以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z6と称する。
基材の両面に表面層を形成しない以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z6と称する。
(比較例7)
表面層の厚みを0.7μm、空隙率を36%とした以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z7と称する。
表面層の厚みを0.7μm、空隙率を36%とした以外は、上記実施例2と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z7と称する。
(比較例8)
基材の両面に表面層を形成しない以外は、上記実施例7と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z8と称する。
基材の両面に表面層を形成しない以外は、上記実施例7と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z8と称する。
(比較例9)
基材の両面に表面層を形成しない以外は、上記実施例8と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z9と称する。
基材の両面に表面層を形成しない以外は、上記実施例8と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z9と称する。
(比較例10)
表面層の厚みを2.8μm、空隙率を30%とした以外は、上記実施例8と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z10と称する。
表面層の厚みを2.8μm、空隙率を30%とした以外は、上記実施例8と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、電池Z10と称する。
(実験1)
上記電池A1〜A8、Z1〜Z10に用いられる負極板のうち、負極集電体が露出している部分について、耐力とビッカース硬さとを測定したので、それらの結果を下記表2に示す。
上記電池A1〜A8、Z1〜Z10に用いられる負極板のうち、負極集電体が露出している部分について、耐力とビッカース硬さとを測定したので、それらの結果を下記表2に示す。
(実験2)
上記電池A1〜A8、Z1〜Z10を下記条件で充放電し、下記(2)式に示す容量維持率について調べたので、その結果を下記表2に示す。
上記電池A1〜A8、Z1〜Z10を下記条件で充放電し、下記(2)式に示す容量維持率について調べたので、その結果を下記表2に示す。
容量維持率=(51サイクル目の放電容量/初期放電容量)×100(%)・・・(2)
・1サイクル目の充放電条件
各電池を、45mAの電流で4時間定電流充電を行った後、180mAの電流で電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電を行った。次に、4.2Vの電圧で電流値が45mAになるまで定電圧充電することにより初期充電を行った。
次いで、初期充電完了後の各電池を、180mAの電流で電池電圧が2.75Vになるまで定電流放電させた(初期放電)。そして、この放電時に、各電池の初期放電容量を求めた。
各電池を、45mAの電流で4時間定電流充電を行った後、180mAの電流で電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電を行った。次に、4.2Vの電圧で電流値が45mAになるまで定電圧充電することにより初期充電を行った。
次いで、初期充電完了後の各電池を、180mAの電流で電池電圧が2.75Vになるまで定電流放電させた(初期放電)。そして、この放電時に、各電池の初期放電容量を求めた。
・2サイクル目から51サイクル目の充放電条件
上記初期充放電した各電池を、900mAの電流で電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電を行った後、4.2Vの電圧で電流値が45mAになるまで定電圧充電した。次に、各電池を900mAの電流で電池電圧が2.75Vになるまで定電流放電させた。この充放電を1サイクルとして、充放電を50サイクル行った。そして、最終サイクルの放電時に、各電池の51サイクル目の放電容量を求めた。
(実験3)
上記実験1で充放電を繰り返して行った後の各電池について、CTによる断面観察を行い、渦巻き状電極体に折れ込みが発生しているか否かを確認した。そして、折れ込みが発生しているものを不良とし、不良率を算出したので、その結果を下記表2に示す。尚、試料数は、各電池20個である。
上記初期充放電した各電池を、900mAの電流で電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電を行った後、4.2Vの電圧で電流値が45mAになるまで定電圧充電した。次に、各電池を900mAの電流で電池電圧が2.75Vになるまで定電流放電させた。この充放電を1サイクルとして、充放電を50サイクル行った。そして、最終サイクルの放電時に、各電池の51サイクル目の放電容量を求めた。
(実験3)
上記実験1で充放電を繰り返して行った後の各電池について、CTによる断面観察を行い、渦巻き状電極体に折れ込みが発生しているか否かを確認した。そして、折れ込みが発生しているものを不良とし、不良率を算出したので、その結果を下記表2に示す。尚、試料数は、各電池20個である。
表2から明らかなように、負極集電体表面のビッカース硬さが120以下である電池A1〜A8及び電池Z1〜Z4では容量維持率が88.9〜91.2%であって、容量維持率が高くなっている。これに対して、負極集電体表面のビッカース硬さが120を超える電池Z5〜Z9では容量維持率が74.7〜86.6%であって、容量維持率が低くなっていることが認められる。この結果から、負極集電体表面のビッカース硬さが120以下であれば、サイクル特性が向上することがわかる。
この理由としては、ビッカース硬さが低いと、負極集電体の表面の形状が負極活物質の粒子の形状に変形し易い。したがって、負極活物質を負極集電体上に塗布した後に圧延する際に、負極集電体の表面は負極活物質の形状に沿って変形するため、負極集電体と負極活物質とが十分な面積で接触することが可能となる。この結果、充放電に伴って負極活物質の体積変化による応力が生じても、負極活物質が負極集電体から脱落するのを抑制することができるからである。
この理由としては、ビッカース硬さが低いと、負極集電体の表面の形状が負極活物質の粒子の形状に変形し易い。したがって、負極活物質を負極集電体上に塗布した後に圧延する際に、負極集電体の表面は負極活物質の形状に沿って変形するため、負極集電体と負極活物質とが十分な面積で接触することが可能となる。この結果、充放電に伴って負極活物質の体積変化による応力が生じても、負極活物質が負極集電体から脱落するのを抑制することができるからである。
また、負極集電体の耐力が300MPa未満である電池Z1〜Z4では、負極集電体の変形不良が発生しているのに対して、負極集電体の耐力が300MPa以上である電池A1〜A8及び電池Z5〜Z9では変形不良が発生していないことが認められる。この結果から、負極集電体の耐力を300MPa以上に規制することにより、充放電に伴う負極活物質の体積変化によって、負極板の変形を抑制できることがわかる。
負極集電体に表面層を備えていない電池Z1、Z3、Z5、Z6、Z8から明らかなように、耐力が大きい材料ほどビッカース硬さが大きくなっており、表面層を備えていない負極集電体では、耐力が300MPa以上で、かつビッカース硬さが120以下に規制とすることが困難であることがわかる(このことは、上述の予備実験で述べた)。これに対して、負極集電体に表面層を備えた電池A1〜A8では、耐力が300MPa以上で、且つビッカース硬さが120以下となっている。これにより、容量維持率の確保を図りつつ、変形不良の発生を抑制できる。
ここで、負極集電体の耐力は基材の材質により決定されることがわかる(例えば、負極集電体の基材が電解銅箔である場合、表面層が存在しない電池Z1と表面層が存在する電池Z2とでは、耐力はともに185MPaとなっている。このことは、表2から明らかなように、他の電池でも同様である)。
一方、ビッカース硬さは、表面層の厚み及び表面層の空隙率と関連していることが認められる。先ず、表面層の空隙率について考察すると、基材(電解銅箔)のみから成る負極集電体を備えた電池Z1と、基材と同一材質の表面層が基材(電解銅箔)の両面に形成された電池Z2とを比較した場合、電池Z2の方が電池Z1よりも表面層のビッカース硬さが低くなっていることが認められる。電池Z1と電池Z2との負極集電体を比較すると、表面層の有無という点で異なるが、表面層は基材と同一材料で構成されているので、ビッカース硬さに影響しないとも考えられる。しかし、表面層と基材とは同一材料であるが、両者の空隙率は異なる。即ち、表面層の空隙率は30%であるのに対して、基材の空隙率は0%である。このように負極集電体表面の空隙率の差異によって、ビッカース硬さが異なったものと考えられる。尚、電池Z2に用いた負極集電体の他、表面層を形成した全ての電池(電池A1〜A8、Z4、Z7、Z10)の負極集電体における表面層の空隙率は全て30%以上としている。このように表面層の空隙率を30%以上に規制することで、ビッカース硬さを容易に低下させうるからである。
ビッカース硬さを低下させる方法としては、表面層の空隙率を高める方法の他に、表面層の厚みを大きくする方法がある。例えば、電池A2〜A6、Z7を比較した場合、表面層の厚みを大きくすれば、ビッカース硬さが低下していることが認められる。尚、このことは、空隙率が低下した場合であっても、厚みが大きくなればビッカース硬さが低下していることから明らかである(例えば、電池A3と電池A4との対比)。但し、ビッカース硬さを低下させる方法としては、表面層の空隙率をできるだけ上げて、それでも低下しない場合にのみ表面層の厚みを大きくするのが好ましい。なぜなら、表面層の厚みを大きくすると負極集電体の厚みが大きくなり、その分だけ負極合剤層の厚みを小さくせざるを得ないため、単位体積当たりの負極活物質の充填密度が低下するからである。また、表面層の厚みを大きくするには、メッキ時間を長くする必要等があるため、製造コストの高騰を招くことがあるからである。
更に、負極集電体の耐力が大きくなるほどビッカース硬さを低下させ難くなる。電池A4、A7、Z10を比較した場合、表面層の厚みは全て2.8μmで、表面層の空隙率は全て30%であるにも関わらず、負極集電体の耐力が385MPaの電池A4ではビッカース硬さが97、負極集電体の耐力が414MPaの電池A7ではビッカース硬さが111、負極集電体の耐力が496MPaの電池Z10ではビッカース硬さが141となっていることから明らかである。したがって、負極集電体の耐力が大きくなった場合には、表面層の空隙率を低下させたり、表面層の厚みを大きくすることにより、ビッカース硬さを低下させる必要がある。
(その他の事項)
(1)基材としての銅合金箔としては、上記のものに限定するものではなく、銅と、鈴、鉄、リン、ジルコニウム、クロム、ニッケル、ケイ素、マグネシウム、コバルト、亜鉛、銀、ベリリウム、マンガン、及び、アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属との合金等であれば良い。具体的には、下記表3に示す銅合金箔が例示される。
(1)基材としての銅合金箔としては、上記のものに限定するものではなく、銅と、鈴、鉄、リン、ジルコニウム、クロム、ニッケル、ケイ素、マグネシウム、コバルト、亜鉛、銀、ベリリウム、マンガン、及び、アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属との合金等であれば良い。具体的には、下記表3に示す銅合金箔が例示される。
(2)電池材料として用いられることがある各種材料のモース硬さを下記表4に示す。これら材料のうち、リチウムと合金化する材料としては、ケイ素(モース硬さは7)、ゲルマニウム(モース硬さは6.5)であるので、負極集電体の表面層に用いる材料としては、表5に示すものを用いることが可能である。これらの中でも、モース硬さが低い銅、ニッケル、金が好ましく、特に、導電率が高い銅、金が好ましい。更に、コスト面を考慮すると、銅を用いるのが最も好ましい。
(3)負極集電体に負極合剤スラリーを塗布、乾燥後、圧延を行う際の圧力は、上記実施例の如く1.0tonf/cmに限定するものではないが、0.5〜3.0tonf/cmの範囲であることが望ましい。これは、当該圧力が0.5tonf/cm未満だと、負極活物質が負極集電体に十分にめり込まないので、両者の接触面積が小さくなる。一方、3.0tonf/cmを超えると、集電体表面の変形が飽和し、負極活物質粒子にかかる応力が大きくなるので、負極活物質粒子が割れることがあるという理由による。
(4)表面層の形成法としては、上記電解めっき法に限定するものではなく、無電解めっき法、蒸着法、スパッタリング法、又は、CVD法であっても良い。但し、生産性を考慮すると電解めっき法を用いることが最も望ましい。
本発明は、例えば携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の駆動電源や、HEVや電動工具といった高出力向けの駆動電源に展開が期待できる。
Claims (5)
- 負極集電体の少なくとも一方の面に負極合剤層が形成された負極と、正極と、セパレータとを有し、上記負極合剤層中には、リチウムと合金化する金属元素から成る負極活物質が含まれたリチウム二次電池において、
上記負極集電体は、箔状の基材と、この基材の両面のうち、少なくとも上記負極合剤層が形成される面に設けられた表面層とから成り、この表面層のビッカース硬さは120以下で、且つ上記基材のビッカース硬さよりも低く構成され、しかも、上記負極集電体の耐力が300MPa以上に規制されることを特徴とするリチウム二次電池。 - 上記負極集電体の基材が銅合金から成り、上記負極集電体の表面層が純銅から成る、請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 上記負極集電体の表面層の空隙率が30%以上である、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池。
- 上記負極集電体の表面層は上記負極活物質よりモース硬度が低い、請求項1〜3の何れか1項に記載のリチウム二次電池。
- 上記負極活物質がシリコンを主成分としている、請求項4に記載のリチウム二次電池。
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Legal Events
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