JP2012072376A - 青色蛍光体及びその製造方法並びに青色発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】賦活剤を必須とせず青色に発光する青色蛍光体及びその製造方法並びにその青色蛍光体を用いた青色発光素子を提供すること。
【解決手段】立方晶の結晶構造を有する第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する青色蛍光体の前駆体と発熱分解性化合物を容器内に投入する(ステップS1)。次に、この密閉容器を封止して密閉する(ステップS2)。次に、発熱分解性化合物を加熱する(ステップS3)。次に、発熱分解性化合物を分解して、密閉容器内を1MPa以上50MPa以下に加圧する(ステップS4)。
【選択図】なし

Description

本発明は、青色蛍光体の製造方法及び青色蛍光体並びに青色発光素子に関し、より詳細には、第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物からなる青色蛍光体の製造方法及び青色蛍光体並びに青色発光素子に関する。
近年、環境問題や資源問題を解決するため照明や各種モニターのバックライトといった光源の固体化が急速に進んでいる。これらの光源は白色であることが必要であるために、高いエネルギーを有する紫外から青色の発光光源を用い、蛍光体を用いて白色に変換される。通常は、発光光源として青色光源を用い、黄色蛍光体を単独で、或いは、緑色蛍光体と赤色蛍光体とを組み合わせることによって白色化したり、発光光源として紫外光源を用い、青色、緑色、赤色の蛍光体を組み合わせて白色化する。そのため、青色の発光光源や、紫外線を受けて青色に発光する蛍光体は白色光源を得るために重要である。
紫外線を受けて青色に発光する蛍光体としては、硫化亜鉛を母材とし銀を賦活剤として用いる方法が広く知られ、例えば、特許文献1には立方晶(閃亜鉛鉱型構造)の硫化亜鉛に銀と共にツリウムを増感剤として使用する方法が、例えば、特許文献2には、銀と共にイッテルビウムやサマリウムを増感剤として使用する方法が提案されている。
しかしながら、これらの方法は、貴金属の銀に加え希土類元素を必要とするため高価であり、かつ資源枯渇などの問題も抱えていた。そのため、銀に変えてゲルマニウムを用いる方法(例えば、特許文献3参照)が提案されているが、希少金属を用いることが必須であることには変わりが無い。また、これらの方法は、いずれも、硫化亜鉛が閃亜鉛鉱型構造からウルツ鉱型構造へ相転移する温度(1020℃)より低温で焼成しているため、賦活剤の反応が十分ではなかった。そのため、高温、高圧下で岩塩構造を含むウルツ鉱型の硫化亜鉛にイリジウムで賦活する方法(例えば、特許文献4参照)が提案されているが、依然希少金属が必須であり、更に、蛍光体の粒径の増大を抑制することは困難であった。
そのため、蛍光体の発光輝度を高めることを目的として段階的に焼成して蛍光体の粒子の成長を抑える試み(例えば、特許文献5参照)や、加熱と加圧を交互に行って蛍光体の粒径を抑制する試み(例えば、特許文献6参照)がなされているが、未だ粒子成長を十分に抑えるには至っていない。
このような蛍光体は、上述した特許文献1,特許文献2,特許文献5に見られるように、通常、電気炉の如くの加熱装置にその前駆体を投入して焼成して製造される。この方法を用いれば、簡便に蛍光体を製造できる反面、上述したように、蛍光体の結晶構造や粒子サイズを制御することが困難であり、高輝度の蛍光体を製造するには適さない場合があった。そのため、加圧した後に焼成する方法(上述した特許文献3参照)や、加圧しながら加熱する方法(上述した特許文献4参照)などが提案されている。しかしながら、これらの方法を用いても、蛍光体の焼結は進行し、粒子サイズを制御するのは以前困難であった。
特開平4−183780号公報 特開平4−183781号公報 特開平6−207171号公報 特開2010−31154号公報 特開2005−281380号公報 特開平8−283711号公報 国際公開WO2008/013243号公報 特表2009−511645号公報 国際公開WO2009/099250号公報
このような状況の中、瞬時に高いエネルギーを蛍光体前駆体に与えて、蛍光体を製造する試みがなされている。例えば、特許文献7には、蛍光体の前駆体に常温で0.1GPa以上の衝撃を与える方法が提案されているが、常温で実施するために、高い圧力を付与する必要があった。また、例えば、特許文献8には、火薬や爆薬と共に蛍光体の前駆体を密閉容器内に投入し、火薬又は爆薬を爆破することによって500気圧或いは0.1GPa〜50GPaの圧力を付与する方法が提案されている。
この方法であれば、爆破による熱と圧力を同時に付与できるが、密閉容器内で極めて高い圧力を生じさせるため、容器の破壊などの問題があり、更には、圧力が高すぎるため、粒径が増大したり、結晶が再転移する(仮にウルツ鉱型構造が形成してもが圧力によって閃亜鉛鉱型構造に戻る転移が起る)などの問題を有していた。そのため、ウルツ鉱型構造の粒子を得る試みが、例えば、特許文献9に開示されている。この方法では、原料の亜鉛と硫化剤を密閉容器に投入し、パルスプラズマを付与してウルツ鉱型構造の硫化亜鉛が得られているが、双晶構造になるため結晶性が低く、かつ粒子サイズを制御するのが困難であった。更に、金属原料を用いるために、金属亜鉛が混在してしまう問題を有していた。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物からなり、賦活剤を必須とせず青色に発光する青色蛍光体の製造方法及び青色蛍光体並びにその青色蛍光体からなる発光層を用いた青色発光素子を提供することにある。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討した結果、第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する蛍光体のウルツ鉱型の結晶構造を有し、かつ、平均粒径が50ナノメートル以上5マイクロメートル以下である場合、とりわけ、蛍光体が賦活剤を含有しない場合、あるいは、賦活剤を含有し、特定範囲の結晶構造を有する場合、更には、第2族元素及び/又は第12族元素が第12族元素を含む場合であって、第12族元素が亜鉛を主成分として含み、第16族元素が硫黄を主成分として含む場合に、あるいは、第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する蛍光体の前駆体と発熱分解性化合物を密閉容器内に投入して封止し、発熱分解性化合物を分解させて加圧し、該密閉容器内の到達圧力を1MPa以上、50MPa以下にして製造されたウルツ鉱型の蛍光体である場合に優れた発光特性を有する青色蛍光体が得られることを見出し本発明に至った。
本発明は、上述した目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、青色蛍光体の製造方法であって、立方晶の結晶構造を有する第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する青色蛍光体の前駆体と、ニトロ化物,ニトロソ化合物,過酸化物,アゾ化合物,ジアゾ化合物、ヒドラジン誘導体,ヒドロキシルアミン及びその塩,アジ化物,過塩素酸塩,硝酸化合物及びこれらの変性体から選ばれる発熱分解性化合物とを密閉容器内に投入して封止する工程と、前記発熱分解性化合物を加熱により分解させて加圧する工程とを有し、前記密閉容器内の到達圧力を1MPa以上50MPa以下にすることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記青色蛍光体が、前記第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する青色蛍光体であって、ウルツ鉱型の結晶構造を有し、平均粒径が50ナノメートル以上5マイクロメートル以下であることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記青色蛍光体が、賦活剤を含有しないことを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記青色蛍光体が、賦活剤を含有し、かつ、前記ウルツ鉱型の結晶構造のX線回折法で得られる(002)面の面間隔を反映したX線回折ピーク面積に対する(100)面の面間隔を反映したX線回折ピーク面積の比が、1.5以上3.5以下であることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記青色蛍光体が、前記第12族元素として亜鉛を主成分として含み、前記第16族元素として硫黄を主成分として含むことを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の青色蛍光体の製造方法によって製造されたことを特徴とする青色蛍光体である。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の青色蛍光体からなる発光層を挟持するように、対向する一対の電極間を設けた青色発光素子である。
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記発光層の少なくとも一方の面と前記電極のいずれかの間に無機誘電体層を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、立方晶の結晶構造を有する第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する青色蛍光体の前駆体と、ニトロ化物,ニトロソ化合物,過酸化物,アゾ化合物,ジアゾ化合物、ヒドラジン誘導体,ヒドロキシルアミン及びその塩,アジ化物,過塩素酸塩,硝酸化合物及びこれらの変性体から選ばれる発熱分解性化合物とを密閉容器内に投入して封止する工程と、前記発熱分解性化合物を加熱により分解させて加圧する工程とを有し、前記密閉容器内の到達圧力を1MPa以上50MPa以下にするので、賦活剤を必須とせず青色に発光する青色蛍光体の製造方法及び青色蛍光体並びに青色蛍光体からなる発光層を用いた青色発光素子を実現することができる。
本発明に係る青色蛍光体の製造方法を説明するための工程図である。 本発明に係る青色蛍光体からなる発光層を用いた青色発光素子を説明するための構成図である。 本発明に係る青色蛍光体からなる発光層を用いた他の青色発光素子を説明するための構成図である。 発熱分解性化合物を加熱して分解し、発熱させたときの温度プロファイルを示す図である。 X線回折法で分析した結果の回折角2θに対する回折強度を示す図である。 X線回折で測定されたW(100)/W(002)面積比に対する青色発光の相対強度を示す図である。 (a)乃至(c)は、実施例1,2及び7のエレクトロルミネッセンスの写真を示す図である。
本発明の青色蛍光体は、第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物からなる。このような化合物は、後述するウルツ鉱型構造になれば特に限定されないが、第2族元素及び/又は第12族元素としては、マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム,亜鉛,カドミウムなどが例示でき、第16族元素としては、酸素,硫黄,セレン,テルルなどが例示でき、これらが結合して化合物を形成した化合物である。具体的には、MgS,CaS,SrS,ZnS,CdSなどの二価金属硫化物及びそれらを主成分とする化合物、MgSe,CaSe,SrSe,ZnSe,CdSeなどの二価金属セレン化物及びそれらを主成分とする化合物、MgTe,CaTe,SrTe,ZnTe,CdTeなどの二価金属テルル化物及びそれらを主成分とする化合物、さらにはそれらの混晶及びそれらを主成分とする化合物が例示できる。
これらの化合物の中で、第2族元素及び/又は第12族元素として、第12族元素を含む場合であって第12族元素が亜鉛又はカドミウムを主成分として含み、第16族元素として硫黄を主成分として含む化合物及びそれらの混晶からなる化合物は、ウルツ鉱型構造をとりやすく好ましい。更に、第12族元素として、亜鉛を主成分として含み、第16族元素として硫黄を主成分として含む化合物は、毒性が低くより好ましく用いられる。このような化合物は、しばしば表面が酸化する等して、部分酸化物のような構造になるが、後述する分析によってその成分や構造を特定して用いられる。
本発明において、主成分として含むとは、分析に供された蛍光体の平均値として、その比較される対象元素の分析値の50原子%以上含むことを意味する。
また、本発明の青色蛍光体が第2族元素及び第12族元素を含む場合、第2族元素や第12族元素の主成分の判定を、第2族元素及び第12族元素の総和を対象元素として行うことが好ましい。そのようにすることによって、より組成由来の発光の特徴が明確になる。即ち、第12族元素として亜鉛を主成分として含む場合、分析によって検出された第2族元素及び第12族元素の総量に対して、亜鉛が50原子%以上であることが好ましい。
なお、第16族元素が硫黄を主成分として含むとは、分析によって検出された第16族元素の総量に対して、硫黄が50原子%以上であることを意味する。
これらの分析は、蛍光X線分光分析法(XRF法)や、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP法)などによって求めることができる。
本発明の青色蛍光体の結晶構造は、通常、X線回折法を用いて分析される。
本発明の青色蛍光体は、上述のように、賦活剤を含まないで青色発光することが、1つの特徴であり、その場合の青色蛍光体の結晶構造は、ウルツ鉱型であれば特に制約されないが、好ましくは、X線回折法で得られる(002)面由来のピーク面積に対する(100)面由来のピーク面積の比が、1.0以上3.5以下である。上限に関しては、後述する賦活剤を含む場合と同様の理由により、より好ましくは、3.0以下であり、更に好ましくは2.4以下である。ここで「(002)面由来のピーク面積」というのは、「(002)面の面間隔を反映したX線回折ピーク面積」を意味している。結晶構造と発光特性の関係は定かではないが、本発明の結晶構造を有する青色蛍光体は、450nm付近の純度の高い青色の発光が高輝度で観測される。
一方、上述のように、少量の賦活剤を含有する場合は、ウルツ鉱型の結晶構造が特定範囲になることによって、青色発光が実現される。
その場合、本発明の蛍光体は、ウルツ鉱型構造の結晶構造を有し、X線回折法で得られる(002)面由来のピーク面積に対する(100)面由来のピーク面積の比が、1.5以上3.5以下であることが特徴である。このピーク面積比は、発光輝度が高くなるため、好ましくは1.6以上3.0以下であり、より好ましくは1.65以上2.9以下である。
なお、このように賦活剤を含む場合と含まない場合で、好ましいウルツ鉱型の結晶構造の特定範囲が異なるのは、前述のように賦活剤が本発明の青色の発光の阻害になる場合があることによると推察される。
本発明の青色蛍光体は、そのウルツ鉱型構造由来と推定される青色の発光を妨げない限りにおいて閃亜鉛鉱型構造や岩塩構造を含んでいてもよいが、好ましくは、これらの結晶構造を含まない方が純度の高い青色の高輝度な発光が実現できて好ましい。なお、閃亜鉛鉱型構造の(111)面のピークとウルツ鉱型構造の(100)面のピークは極めて近い位置に観測されるため、一般に分離することが困難である。本発明において、青色蛍光体が閃亜鉛鉱型構造を含み、その(111)面のピークがウルツ鉱型構造の(100)面のピークと重なって分離できない場合は、閃亜鉛鉱構造の(111)面のピーク面積分をウルツ鉱型構造の(100)面のピーク面積に含んで、ウルツ鉱型構造の(002)面由来のピーク面積に対する(100)面由来のピーク面積の比(W(100)/W(002))を算出する。なお、このような結晶構造は、分析に供された蛍光体の平均値として得られる測定値を用いて特定される。
以下、硫化亜鉛(ZnS)の結晶構造を用いてより詳細に説明する。
ウルツ鉱型の硫化亜鉛をX線回折法で分析した場合、2θ=26.9°付近に(100)面、2θ=28.5°付近に(002)面、2θ=30.6°付近に(101)面に由来するピークが観測される。これらの3種のピークが観測されることによって、ウルツ鉱型構造であると判別できる。
一方、閃亜鉛鉱型構造を有する場合には、2θ=33°付近に(200)面に由来するピークが観測され、岩塩構造を有する場合には、2θ=34°付近に(200)面に由来するピークが観測される。従って、閃亜鉛鉱型構造あるいは岩塩構造を含まないとは、これらのピークがノイズレベル以下で実質的に観測されないことを意味する。
本発明において、青色蛍光体の結晶性は特に制限は無いが、結晶性が悪いと発光輝度が低くなるため好ましくない。結晶性の程度は、X線回折法で観測されたピークの半値幅で判断できるが、本発明の蛍光体は、ウルツ鉱型の結晶構造を有するので、(100)面(硫化亜鉛の場合は2θ=26.9°付近に観測される)の半値幅で評価すればよく、好ましくは2θで°0.3°以下、より好ましくは0.25°以下である。下限に関しては特に制約は無いが、装置の測定限界以上である。
本発明の青色蛍光体には、塩化ナトリウム,塩化リチウムといった焼結助剤由来の成分や、塩素,フッ素の如くのハロゲン元素に代表されるドナーやリン,砒素,アンチモンといった15族元素に代表されるアクセプターになる成分を含んでいても良い。
さらには、マンガン,銅,銀,金,イリジウム,イットリウム,ユーロピウム,プラセオジム,テルビウムなどの希土類などの賦活剤(発光中心元素)を含んでいてもよいが、その濃度が高すぎると本発明の青色の発光の阻害になる場合がある。そのため、賦活剤の好ましい濃度は、蛍光体の重量に対して、0.5重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下、更に好ましくは0.2重量%以下であり、最も好ましくは、含まないことである。
本発明の青色蛍光体には、上記のように様々な材料を混合して用いることが可能であるが、蛍光体と化合物を形成していない単体の金属の混合は好ましくない。このような成分は発光に寄与しないため発光輝度を低下させるばかりか、後述する発光素子の発光層に蛍光体を用いる際、金属が混合していると短絡して電場を加えることができないためである。このような、結合していない金属の存在は、X線回折法で金属由来のピークの有無を観察することによって確認できる。
本発明の青色蛍光体は、平均粒径が50nm以上5μm以下であることが特徴である。粒子サイズが大きくなると、対向する一対の電極間に挟持して電気的に発光せしめるときに、発光輝度が低下し好ましくない。より好ましい平均粒径は4μm以下であり、より好ましくは3.5μm以下である。一方、粒径が小さすぎると結晶性が低下して発光輝度が低下するため、50nm以上であることが必要で、好ましくは100nm以上、より好ましくは500nm、更に好ましくは1μm以上である。
このような平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて蛍光体の10個の粒子の直径を測定し、その平均として求められる。
なお、本発明において純度の高い青色発光とは、450nm±15nmにピークをもつ発光のことであり、好ましくは、450±10nmにピークをもつ発光であり、より好ましくは450±5nmにピークをもつ発光であり、更に好ましくは450±3nmにピークをもつ発光である。
次に、本発明の青色蛍光体の製造方法について説明する。
図1は、本発明に係る青色蛍光体の製造方法を説明するための工程図である。まず、立方晶の結晶構造を有する第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する青色蛍光体の前駆体と発熱分解性化合物を容器内に投入する(ステップS1)。次に、この密閉容器を封止して密閉する(ステップS2)。次に、発熱分解性化合物を加熱する(ステップS3)。次に、発熱分解性化合物を分解して、密閉容器内を1MPa以上50MPa以下に加圧する(ステップS4)。
つまり、本発明の青色蛍光体の製造方法は、立方晶の結晶構造を有する第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する蛍光体の前駆体と、ニトロ化物、ニトロソ化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジアゾ化合物、ヒドラジン誘導体、ヒドロキシルアミン及びその塩、アジ化物、過塩素酸塩、硝酸化合物及びこれらの変性体から選ばれる発熱分解性化合物を密閉容器内に投入して封止し、発熱分解性化合物を加熱して分解し、蛍光体の前駆体に熱と圧力を加えることによって製造されることを特徴とする。
本発明の青色蛍光体の前駆体は、立方晶の結晶構造を有する第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する。第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物は、蛍光体のところで説明した化合物と同様であるが、青色蛍光体の前駆体は立方晶の結晶構造を有することが必要である。立方晶の結晶構造を有する蛍光体の前駆体に、発熱分解性化合物の分解によって発生した熱と圧力を加えることにより、本発明の特徴ある構造の青色蛍光体が得られ、優れた発光特性が実現できる。なお、青色蛍光体の前駆体は、六方晶に代表される立方晶以外の構造を含んでいてもよい。
本発明の青色蛍光体の前駆体には、賦活剤の原料、焼結助剤、ドナー性元素含有化合物、アクセプター性元素含有化合物などを所望に応じて混合できる。賦活剤の原料とは、上述した賦活剤となる元素を含む、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩などの無機酸塩、塩化物、フッ化物などのハロゲン化物である。焼結助剤とは、融点を有する無機化合物で、塩化ナトリウム、塩化リチウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物、塩化マグネシウム、フッ化バリウムなどのアルカリ土類金属ハロゲン化物などが例示できる。
ドナー性元素含有化合物とは、第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物に対しドナー性を有する元素を含有する化合物で、具体的には、第3族元素含有化合物、第13族元素含有化合物、第17族元素含有化合物である。アクセプター性元素含有化合物とは、第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物に対しアクセプター性を有する元素を含有する化合物で、具体的には、第1族元素含有化合物、第11族元素含有化合物、第15族元素含有化合物である。
本発明において発熱分解性化合物とは、加熱などの衝撃によって自発的に分解して発熱する化合物である。このような化合物が分解して発熱することによって蛍光体の前駆体を加熱し、また、分解によって生じたガスが密閉容器内に閉じ込められることによって蛍光体の前駆体を加圧することができる。
本発明の発熱分解性化合物は、ニトロ化物,ニトロソ化合物,過酸化物,アゾ化合物,ジアゾ化合物,ヒドラジン誘導体,ヒドロキシルアミン及びその塩,アジ化物,過塩素酸塩,硝酸化合物及びこれらの変性体から選ばれる。これらの化合物は、加熱などの衝撃が与えられると、分解して発熱する機能を有する。
より具体的には、トリニトロトルエン,ジニトロトルエン,ニトロセルロース,ニトログリセリンなどのニトロ化合物、過酸化ベンゾイル,過酸化アセトンなどの過酸化物類、過塩素酸アンモニウムに代表される過塩素酸類、アゾビスイソブチロニトリルに代表されるアゾ化合物類、硝酸アンモニウム及びその変性体、四硝酸ペンタエリスリットなどの硝酸化合物類などが例示できる。これらの中で、トリニトロトルエン,ニトロセルロースのような火薬類は、発熱が大きく好ましいが、爆破すると衝撃波が生じて容器が破損するため生産性が低いので、爆破させないように徐々に加熱するなどの方法で用いる必要がある。
また、密閉容器内で上記発熱分解性化合物が分解発熱する際に、蛍光体の前駆体とよく混合していることが好ましいため、上述した化合物の中で、分解温度より低い融点を有する化合物が好ましく用いられる。
密閉容器内の上記発熱分解性化合物を加熱によって分解発熱させる場合は、容器を外部から加熱しても良いし、容器の内部に電熱線などの加熱源を投入して行っても良い。外部から加熱する場合は、発熱分解性化合物が蛍光体前駆体と混合しやすいため好ましく、電熱線などの加熱源を投入する方法は、速やかに発熱分解性化合物を加熱できるので好ましい。
なお、密閉容器内に蛍光体前駆体と発熱分解性化合物を投入する方法は、特に制限は無いが、上述のように、両者がよく混合していることが好ましいため、発熱分解性化合物と蛍光体前駆体を交互に積層して混合する方法、予めよく混合しておく方法などが好ましい。
密閉容器内の到達圧力は、50MPa以下であることが必要である。すなわち、容器内の到達圧力が高すぎると容器の設計が困難になるばかりか、ウルツ鉱型の結晶構造の完全性が低下するためである。容器内の到達圧力は、容器の設計の容易さなどのから、より好ましくは、40MPa以下であり更に好ましくは35MPa以下である。下限に関しては、常圧では高い結晶性の蛍光体が得られないので、1MPa以上であることが必要であり、好ましくは5MPa以上、更に好ましくは10MPa以上である。なお、容器の内圧は、発熱分解性化合物の分解反応式から特定される発生ガス量と容器の体積と後述の方法で測定した内温を用いて、算出して求めてもよいし、例えば、破裂板に代表される一定圧力で破壊する部材を容器に接続して、実験的に測定することもできる。
このような圧力に達したときの容器の内温は、蛍光体前駆体の相変化などと強く関連する。そのため、好ましくは850℃以上、より好ましくは900℃以上である。上限に関しては特に制限は無いが、高温になると容器の強度が不足したり、容器からの不純物の拡散が発生したりするので、好ましくは1600℃以下、より好ましくは1500℃以下、更に好ましくは1400℃以下、最も好ましくは1300℃以下である。なお、容器の内温は、容器の内部に圧力が漏れないように設置された熱電対によって測定できる。
容器内の圧力や温度が高い状態で保持される時間は、長いと粒子サイズが大きくなるので好ましくなく、粒子サイズの成長を伴う700℃以上に保持される時間は、好ましくは20分以下、より好ましくは10分以下、更に好ましくは5分以下である。下限に関しては特に制限は無いが、短すぎると相転移が不十分な場合があるので、好ましくは1秒以上、より好ましくは10秒以上、更に好ましくは30秒以上である。
なお、本発明の青色蛍光体の製造に用いられる密閉容器は、上述した圧力で漏れたり破壊したりしない容器であることが必要である。すなわち、容器が破壊すると製造の度に新しい容器を用いる必要が生じて生産性が悪くなり、更に蛍光体の回収が困難になるためである。また、漏れが発生すると、急速に内圧、内温が低下し、ウルツ鉱型への相転移が十分に進行せず発光輝度が低下するためである。このような容器は、水熱合成用容器に代表される高圧容器やその部品、高圧配管の部品などを用いて製作できる。特に、密閉容器のシール方式は重要で、コーン方式やグレイロック方式(グレイロック:商標登録済)が例示できる。これらの中で、グレイロック方式は大口径の密閉容器のシール方式に適し、本発明の青色蛍光体の生産性が向上するので好ましい。
上述したように製造された本発明の青色蛍光体は、そのまま用いることもできるが、通常、カーボンに代表される発熱分解性化合物の分解残渣が蛍光体表面に付着しているため、好ましくは洗浄してから用いられる。
洗浄方法は、発熱分解性化合物の分解残渣を取り除くことができれば特に限定されないが、水や希酸などの水性媒体を用いて、ろ過や遠心分離を用いて洗浄する方法、水性媒体を用いて、超音波を付与して洗浄する方法、水性媒体と、水性媒体とは混合しない油性溶剤との界面を利用して分離して洗浄する方法やこれらを組み合わせた方法で洗浄できる。
これらの方法で、十分にカーボンを除去することができない場合は、600℃以下の温度で酸素が混在する雰囲気下、1時間から3時間焼成し、カーボンを酸化して消失させる方法が好ましく用いられる。
なお、600℃より高い温度で焼成すると粒径が増大するので好ましくない。また、酸素の分圧や焼成時間にもよるが、粒子の酸化が進行して発光を損なう場合があるので、より好ましくは500℃以下である。また、この際、蛍光体の表面が酸化する場合があり、発光特性に悪影響を与えるときは、焼成後に希酸で洗浄する方法が好ましく用いられる。
図2は、本発明に係る青色蛍光体からなる発光層を用いた青色発光素子を説明するための構成図で、図中符号1は発光層、2a,2bは、一対の電極を示している。この青色発光素子は、上述した青色蛍光体の製造方法によって得られた青色蛍光体からなる発光層1を挟持するように、対向する一対の電極2a,2b間を設けたものである。
図3は、本発明に係る青色蛍光体からなる発光層を用いた他の青色発光素子を説明するための構成図で、図中符号11は発光層、12a,12bは、一対の電極、13は無機誘電体層を示している。この青色発光素子は、上述した青色蛍光体の製造方法によって得られた青色蛍光体からなる発光層11を挟持するように、対向する一対の電極12a,12bを設けるとともに、発光層11の少なくとも一方の面と電極12a,12bのいずれかの間に無機誘電体層13を設けたものである。この無機誘電体層13は、本発明の発光素子の発光層により高い電場を付与するために好ましく設置される層であり、チタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛のようなチタン酸塩に代表される誘電率が硬い無機誘電体からなる層であることが好ましい。
本発明において、無機誘電体層は、スパッタや蒸着といった真空成膜法で形成されてもよいし、粒子状の無機誘電体を誘電体高分子などと共に塗布して設置してもよい。これらの中で、真空成膜法を用いれば、より光透過性が高い誘電体層が設置できるので好ましい。一方、塗布法を用いれば、より耐電圧の高い誘電体層を容易に設置できるので好ましい。
本発明の発光素子に用いられる電極は、銅,アルミ,銀,金といった導電性の金属電極であっても、銀ペースト,カーボンペーストといったペースト状の導電粒子の固化物であっても、更には錫をドープした酸化インジウム(ITO),フッ素をドープした酸化錫(FTO),アルミやガリウムをドープした酸化亜鉛などの透明導電膜電極であってもよく、これらを組み合わせて使用しても良い。
それらの組み合わせは、コストや光の透過性を考慮して適宜選択できるが、光を取り出すために、対向する一対の電極のいずれか片方は透明導電膜電極であることが好ましい。
本発明において発光層とは、電場をかけた際に発光する層のことであり、本発明の青色蛍光体から形成される。
発光層を形成する方法は、特に限定されないが、有機バインダーや無機バインダーと共にコーティングや印刷などによって形成する塗布法,真空蒸着,スパッタなどによって成膜する真空成膜法,プレス機や圧延機などを用いて加圧して形成するプレス法などが例示できる。
これらの中で、有機バインダーや無機バインダーと共にコーティングや印刷などによって形成する塗布法は、生産性が高く、本発明の蛍光体の優れた発光特性を維持した発光素子を作製しやすいので好ましい。
バインダーとしては、フッ化物やシアノ化物の強誘電性化合物が好ましく使用され、具体的にはフッ化セルロースやシアノエチル化セルロースが例示できる。このような強誘電性化合物と共に用いられることによって、粒子に高い電場を加えることが可能となる。なお、このような、強誘電性化合物は、溶剤に溶解するなどして市販されている材料を使用できる。
一方、本発明の青色蛍光体は、結晶構造が熱的に安定である特徴も有するので、真空成膜法によって成膜した際、特徴のある薄膜を形成することができるので、真空成膜法は好ましい発光層の形成方法である。特に、電子線蒸着や抵抗加熱蒸着法などの真空蒸着法は、本発明の蛍光体の熱的な構造安定性による薄膜の特徴ある構造発現の効果が高く好ましい。
また、真空成膜法を用いる場合は、本発明の蛍光体と混晶を形成できる化合物や、上述したドナー性元素含有化合物やアクセプター性元素含有化合物と共蒸着して所望の電気特性を有する発光層を形成することも可能である。このようにすることによって、電気特性の優れた、直流駆動や交流駆動の薄膜型エレクトロルミネッセンス素子を作製することが可能になる。
更には、本発明の発光層をn型,p型の半導体に狭持し、直流駆動のエレクトロルミネッセンス素子を作製することも可能である。
なお、本発明の青色蛍光体は、蛍光寿命が短いという特徴も有しているので、高周波数の交流駆動や、直流駆動の発光素子を作製するのに適している。
以下、本発明を実施例、比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されない。
本発明で用いられる測定法は、以下のとおりである。
(1)結晶構造
蛍光体を2mmの深さを有する粉末試料ホルダーに詰めて固定し、X線回折装置を用い、ターゲットとしてCuを用い、励起電圧40kV、励起電流40mAとし、操作軸は2θ/θとして測定した。検出器には、高速1次元X線検出器D/teX Ultraを用いた。
(2)結晶性
結晶構造の測定と同様の測定を行い、ウルツ鉱型構造の(100)面のピークの半値幅を評価した。
(3)粒子サイズ
蛍光体をホルダーに導電性両面テープで固定し、走査型電子顕微鏡を用いて、電子顕微鏡写真を撮影し、10個の粒子のサイズを測定して平均化し平均粒径として求めた。粒子の形状が球状でない場合は、最も長い部位と最も短い部位の平均をその粒子の粒径とした。
(4)発光特性(フォトルミネッセンス特性)
蛍光分光光度計を用い、光源側、検出器側ともスリット幅1nmに設定し、励起波長250nmで評価した。
(5)発光特性(エレクトロルミネッセンス特性)
Multifunction Synthesizerを用いて正弦波を発生させ、High Voltage Power Amplifierを用いて増幅し、発光素子に電場をかけて発光特性を評価した。
(6)成分分析
蛍光体を錠剤成型した後、株式会社リガク製ZSX−100eを用いて測定した。管球にはロジウム管球を用い、X線照射径はφ3mmとした。定量には、簡易FP法を用いた。
<蛍光体前駆体の調製>
閃亜鉛鉱型の結晶構造を有する硫化亜鉛100重量部と酸化亜鉛0.5重量部と焼結助剤としてフッ化バリウム3重量部、塩化マグネシウム・6水和物6.4重量部、塩化ナトリウム2重量部を乳鉢で1時間混合し、蛍光体前駆体Aとした。
<蛍光体の合成、洗浄>
直径10cmで円筒状の容積800mlの耐圧容器の円筒部に蛍光体前駆体Aを108g投入し、次いで発熱分解性化合物として2,4,6−トリニトロトルエン(以下、TNTと略す)51.2gを積層して投入した。容器を密閉した後、容器を50Pa以下まで減圧して封止した。容器の外部に設置された電熱線を用いて容器を加熱し、内温が213℃に達したところで、発熱分解性化合物が分解して発熱したことが容器内部に設置した熱電対の温度上昇によって確認された。
図4は、発熱分解性化合物を加熱して分解し、発熱させたときの温度プロファイルを示す図である。その際に到達した内温は1140℃であり、算出された内圧は31MPaであり、700℃以上の保持時間は、約4分間であった。この際、圧力の漏れは観測されなかった。容器を冷却後開封し、内部の粉体を取り出し、254nmの波長のブラックライトを照射したところ青色の発光が観測された。この粉体には多くのTNTの燃焼残渣が付着していたので、超音波ホモジナイザーを用いた水洗とデカンテーションを繰り返した後、大気雰囲気下500℃で3時間焼成してTNTの燃焼残渣成分を取り除いた。次いで、15重量%の酢酸水溶液を用いて洗浄し、水洗、乾燥して蛍光体A1を得た。
<蛍光体の分析>
蛍光体A1をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造であり、閃亜鉛鉱型構造、岩塩構造ともに観測されなかった。ウルツ鉱型構造の2θ=26.9°付近の(100)面のピーク面積の2θ=28.5°付近の(002)面のピーク面積に対する比は、2.29であり、純度の高いウルツ鉱型構造を有することが確認された。
図5は、X線回折法で分析した結果の回折角2θに対する回折強度を示す図である。2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=0.126°であり、結晶性が高いことが確認された。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は2.8μmであった。
蛍光体A1を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。また、賦活剤の成分は検出されなかった。
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体A1のフォトルミネッセンス特性を評価したところ448nmに純度の高い青色発光が観測された。この発光輝度を100として以下比較する。
図6は、X線回折で測定されたW(100)/W(002)面積比に対する青色発光の相対強度を示す図で、本発明の青色蛍光体の、ウルツ鉱型構造の2θ=26.9°付近の(100)面のピーク面積の2θ=28.5°付近の(002)面のピーク面積に対する比に対する450nm付近の発光輝度の相対値を示す図であり、蛍光体A1のデータを、他の実施例、比較例と共にプロットした。蛍光体A1の発光輝度が高いことが分かる。
蛍光体A1を250nmで励起した場合の448nmの発光の蛍光寿命は、0.12msであった。
<発光素子の作製と評価>
蛍光体A1の1重量部を誘電体ポリマー溶液1重量部と混合し、透明導電膜ITO付ガラスに約25μmのギャップに調整したブレードコーターを用いてコーティングし、ホットプレートを用いて130℃で1分間加熱してベーキングして、蛍光体A1から形成された発光層を設置した。次いで、チタン酸バリウム粒子分散液を約50μmのギャップに調整したブレードコーターを用いてコーティングし、ホットプレートを用いて130℃で1分間加熱してベーキングした。さらに、ブレードコーターのギャップを約75μmに調整し、同様にベーキングする工程を、2回繰り返し誘電体層を設置した。次いで、カーボン導電性ペーストを約100μmのギャップに調整したブレードコーターを用いてコーティングし、ホットプレートを用いて130℃で1分間加熱してベーキングして発光素子を作製した。この発光素子を120V、5kHzの条件で評価したところ青色の面発光が観測された。発光の写真を、同条件で撮影した実施例2、7と共に図7(a)に示した。
<蛍光体の合成、洗浄>
TNTの投入量を32gに変更した以外は実施例1と同様にして蛍光体を合成した。合成の際、内温が182℃に達した時に、発熱分解性化合物が分解して発熱したことが容器内部に設置した熱電対の温度上昇によって確認された。その際に到達した内温は920℃であり、算出された内圧は17MPaであり、700℃以上の保持時間は、約2分間であった。この際、圧力の漏れは観測されなかった。容器を冷却後開封し、内部の粉体を取り出し、254nmの波長のブラックライトを照射したところ青色の発光が観測された。この粉体には多くのTNTの燃焼残渣が付着していたので、実施例1と同様にして洗浄、乾燥し蛍光体A2を得た。
<蛍光体の分析>
蛍光体A2をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造であり、閃亜鉛鉱型構造の(200)面由来のピークが僅かに観測されたが、岩塩構造は観測されなかった。ウルツ鉱型構造の2θ=26.9°付近の(100)面のピーク面積の2θ=28.5°付近の(002)面のピーク面積に対する比は、1.68であり、純度の高いウルツ鉱型構造を有することが確認された。2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=0.134°であり、結晶性が高いことが確認された。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は2.2μmであった。
蛍光体A2を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。また、賦活剤の成分は検出されなかった。
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体A2のフォトルミネッセンス特性を評価したところ450nmに純度の高い青色発光が観測された。この発光輝度は実施例1記載の評価で170であった。上述した図6に蛍光体A2のデータを、他の実施例、比較例と共にプロットした。
<発光素子の作製と評価>
蛍光体A1に代えて蛍光体A2を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を120V、5kHzの条件で評価したところ青色の面発光が観測された。発光の写真を、同条件で撮影した実施例1、7と共に図7(b)に示した。
<蛍光体前駆体の調製>
閃亜鉛鉱型の結晶構造を有する硫化亜鉛100重量部と酸化亜鉛0.5重量部と焼結助剤としてフッ化バリウム3重量部、塩化マグネシウム・6水和物6.4重量部、塩化ナトリウム2重量部と賦活剤として硫酸マンガン(II)・5水和物0.43重量部、塩化イリジウム(III)0.012重量部を乳鉢で1時間混合し、蛍光体前駆体Bとした。
<蛍光体の合成、洗浄>
蛍光体前駆体Aに代えて蛍光体前駆体Bを108g投入した以外は実施例1と同様にして蛍光体を合成した。合成の際、内温が212℃に達した時に、発熱分解性化合物が分解して発熱したことが容器内部に設置した熱電対の温度上昇によって確認された。その際に到達した内温は1050℃であり、算出された内圧は29MPaであり、700℃以上の保持時間は、約3分間であった。この際、圧力の漏れは観測されなかった。容器を冷却後開封し、内部の粉体を取り出し、254nmの波長のブラックライトを照射したところ青色の発光が観測された。この粉体には多くのTNTの燃焼残渣が付着していたので、実施例1と同様にして洗浄、乾燥し蛍光体B1を得た。
<蛍光体の分析>
蛍光体B1をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造であり、閃亜鉛鉱型構造、岩塩構造ともに観測されなかった。ウルツ鉱型構造の2θ=26.9°付近の(100)面のピーク面積の2θ=28.5°付近の(002)面のピーク面積に対する比は、2.19であり、純度の高いウルツ鉱型構造を有することが確認された。2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=0.118°であり、結晶性が高いことが確認された。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は2.4μmであった。
蛍光体B1を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/または第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。また、賦活剤の成分は、約0.1重量%であった。
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体B1のフォトルミネッセンス特性を評価したところ450nmに純度の高い青色発光が観測された。この発光輝度は実施例1記載の評価で50であった。上述した図6に蛍光体B1のデータを、他の実施例、比較例と共にプロットした。
<発光素子の作製と評価>
蛍光体A1に代えて蛍光体B1を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を120V、5kHzの条件で評価したところ橙色の混ざった青色の面発光が観測された。
<蛍光体の合成、洗浄>
TNTの投入量を32gに変更した以外は実施例3と同様にして蛍光体を合成した。合成の際、内温が210℃に達した時に、発熱分解性化合物が分解して発熱したことが容器内部に設置した熱電対の温度上昇によって確認された。その際に到達した内温は1010℃であり、算出された内圧は18MPaであり、700℃以上の保持時間は、約3分間であった。この際、圧力の漏れは観測されなかった。容器を冷却後開封し、内部の粉体を取り出し、254nmの波長のブラックライトを照射したところ青色の発光が観測された。この粉体には多くのTNTの燃焼残渣が付着していたので、実施例1と同様にして洗浄、乾燥し蛍光体B2を得た。
<蛍光体の分析>
蛍光体B2をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造であり、閃亜鉛鉱型構造、岩塩構造ともに観測されなかった。ウルツ鉱型構造の2θ=26.9°付近の(100)面のピーク面積の2θ=28.5°付近の(002)面のピーク面積に対する比は、2.85であり、純度の高いウルツ鉱型構造を有することが確認された。2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=0.19°であり、結晶性が高いことが確認された。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は2.0μmであった。
蛍光体B2を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。また、賦活剤の成分は、約0.1重量%であった。
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体B2のフォトルミネッセンス特性を評価したところ448nmに純度の高い青色発光が観測された。この発光輝度は実施例1記載の評価で44であった。上述した図6に蛍光体B2のデータを、他の実施例、比較例と共にプロットした。
<発光素子の作製と評価>
蛍光体A1に代えて蛍光体B2を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を120V、5kHzの条件で評価したところ橙色の混ざった青色の面発光が観測された。
<蛍光体前駆体の調製>
閃亜鉛鉱型の結晶構造を有する硫化亜鉛を他の試薬に変更した以外は実施例3と同様にして蛍光体前駆体Cを得た。
<蛍光体の合成、洗浄>
蛍光体前駆体Aに代えて蛍光体前駆体Cを114g投入した以外は実施例4と同様にして蛍光体を合成した。合成の際、内温が213℃に達した時に、発熱分解性化合物が分解して発熱したことが容器内部に設置した熱電対の温度上昇によって確認された。その際に到達した内温は970℃であり、算出された内圧は17MPaであり、700℃以上の保持時間は、約2分間であった。この際、圧力の漏れは観測されなかった。容器を冷却後開封し、内部の粉体を取り出し、254nmの波長のブラックライトを照射したところ青色の発光が観測された。この粉体には多くのTNTの燃焼残渣が付着していたので、実施例1と同様にして洗浄、乾燥し蛍光体C1を得た。
<蛍光体の分析>
蛍光体C1をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造であり、閃亜鉛鉱型構造の(200)面由来のピークが僅かに観測されたが、岩塩構造は観測されなかった。ウルツ鉱型構造の2θ=26.9°付近の(100)面のピーク面積の2θ=28.5°付近の(002)面のピーク面積に対する比は、1.67であり、純度の高いウルツ鉱型構造を有することが確認された。2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=0.118°であり、結晶性が高いことが確認された。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は1.9μmであった。
蛍光体C1を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。また、賦活剤の成分は、約0.1重量%であった。
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体C1のフォトルミネッセンス特性を評価したところ448nmに純度の高い青色発光が観測された。この発光輝度は実施例1記載の評価で32であった。
上述した図6に蛍光体C1のデータを、他の実施例、比較例と共にプロットした。
<発光素子の作製と評価>
蛍光体A1に代えて蛍光体C1を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を120V、5kHzの条件で評価したところ橙色の混ざった青色の面発光が観測された。
<蛍光体前駆体の調製>
硫酸マンガン(II)・5水和物の量を3重量部とし、塩化イリジウム(III)の量を0.084重量部とした以外は実施例3と同様にして蛍光体前駆体Dを得た。
<蛍光体の合成、洗浄>
蛍光体前駆体Aに代えて蛍光体前駆体Dを110g投入した以外は実施例1と同様にして蛍光体を合成した。合成の際、内温が210℃に達した時に、発熱分解性化合物が分解して発熱したことが容器内部に設置した熱電対の温度上昇によって確認された。その際に到達した内温は1100℃であり、算出された内圧は31MPaであり、700℃以上の保持時間は、約4分間であった。この際、圧力の漏れは観測されなかった。容器を冷却後開封し、内部の粉体を取り出し、254nmの波長のブラックライトを照射したところ橙色の発光が観測された。この粉体には多くのTNTの燃焼残渣が付着していたので、実施例1と同様にして洗浄、乾燥し蛍光体D1を得た。
<蛍光体の分析>
蛍光体D1をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造であり、閃亜鉛鉱型構造、岩塩構造ともに観測されなかった。ウルツ鉱型構造の2θ=26.9°付近の(100)面のピーク面積の2θ=28.5°付近の(002)面のピーク面積に対する比は、2.87であり、ウルツ鉱型構造を有することが確認された。
2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=0.155°であり、結晶性が高いことが確認された。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は3.1μmであった。
蛍光体D1を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。また、賦活剤の成分は、約0.6重量%であった。
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体D1のフォトルミネッセンス特性を評価したところ450nmに純度の高い青色発光が観測された。この発光輝度は実施例1記載の評価で8であった。上述した図6に蛍光体D1のデータを、他の実施例、比較例と共にプロットした。
<発光素子の作製と評価>
蛍光体A1に代えて蛍光体D1を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を120V、5kHzの条件で評価したところ発光しなかった。
<蛍光体の合成、洗浄>
TNTの投入量を22gに変更した以外は実施例1と同様にして蛍光体を合成した。合成の際、内温が212℃に達した時に、発熱分解性化合物が分解して発熱したことが容器内部に設置した熱電対の温度上昇によって確認された。その際に到達した内温は950℃であり、算出された内圧は11MPaであり、700℃以上の保持時間は、約2分間であった。この際、圧力の漏れは観測されなかった。容器を冷却後開封し、内部の粉体を取り出し、254nmの波長のブラックライトを照射したところ青色の発光が観測された。この粉体には多くのTNTの燃焼残渣が付着していたので、実施例1と同様にして洗浄、乾燥し蛍光体A3を得た。
<蛍光体の分析>
蛍光体A3をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造であり、閃亜鉛鉱型構造の(200)面由来のピークが僅かに観測されたが、岩塩構造は観測されなかった。ウルツ鉱型構造の2θ=26.9°付近の(100)面のピーク面積の2θ=28.5°付近の(002)面のピーク面積に対する比は、1.03であった。2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=0.210°であり、結晶性が高いことが確認された。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は2.7μmであった。
蛍光体A3を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。また、賦活剤の成分は検出されなかった。
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体A3のフォトルミネッセンス特性を評価したところ450nmに純度の高い青色発光が観測された。この発光輝度は実施例1記載の評価で37であった。上述した図6に蛍光体A3のデータを、他の実施例、比較例と共にプロットした。
<発光素子の作製と評価>
蛍光体A1に代えて蛍光体A3を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を120V、5kHzの条件で評価したところ青色の面発光が観測された。発光の写真を、同条件で撮影した実施例2、7と共に図7(c)に示した。
[比較例1]
<蛍光体の合成、洗浄>
蛍光体前駆体Aを25gアルミナ製ルツボに入れ、タンマン管式電気炉にセットした。電気炉の扉を閉めた後、電気炉内を減圧し、雰囲気ガスを窒素に置換した後、窒素を0.5ml/分で流しながら1230℃で2時間焼成した。冷却後、ルツボを電気炉から取り出し、ルツボから粉体を取り出し、254nmの波長のブラックライトを照射したところ僅かに青色の発光が観測された。この粉体を水洗、乾燥して蛍光体A3を得た。
<蛍光体の分析>
蛍光体A3をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造であり、閃亜鉛鉱型構造の(200)面由来のピークが観測されたが、岩塩構造は観測されなかった。ウルツ鉱型構造の2θ=26.9°付近の(100)面のピーク面積の2θ=28.5°付近の(002)面のピーク面積に対する比は、0.99であった。
2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=0.125°であった。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は12.5μmであった。
蛍光体A3を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。また、賦活剤の成分は検出されなかった。
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体A3のフォトルミネッセンス特性を評価したところ450nm付近の純度の高い青色発光は観測されず、変わって、466nmに青白い発光が観測された。この発光輝度は実施例1記載の評価で14であった。
<発光素子の作製と評価>
蛍光体A1に代えて蛍光体A3を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を120V、5kHzの条件で評価したところ発光しなかった。
[比較例2]
<蛍光体の合成、洗浄>
蛍光体前駆体Aを蛍光体前駆体Bに代えた以外は比較例1と同様にして蛍光体B3を成した。得られた粉体に254nmの波長のブラックライトを照射したところ橙色の発光が観測された。この粉体を水洗、乾燥して蛍光体B3を得た。
<蛍光体の分析>
蛍光体B3をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造であり、閃亜鉛鉱型構造、岩塩構造ともに観測されなかった。ウルツ鉱型構造の2θ=26.9°付近の(100)面のピーク面積の2θ=28.5°付近の(002)面のピーク面積に対する比は、1.41であった。2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=0.119°であった。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は10.9μmであった。
蛍光体B3を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。また、賦活剤の成分は、約0.1重量%であった。
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体B3のフォトルミネッセンス特性を評価したところ450nm付近の純度の高い青色発光は観測されず、変わって、466nmに青白い発光が観測された。この発光輝度は実施例1記載の評価で14であった。
<発光素子の作製と評価>
蛍光体A1に代えて蛍光体B3を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を120V、5kHzの条件で評価したところ発光しなかった。
[比較例3]
<蛍光体の合成、洗浄>
閃亜鉛鉱型の結晶構造を有する硫化亜鉛を他の試薬に変更し、焼成温度を1050℃とした以外は、比較例2と同様にして蛍光体を合成した。得られた粉体に254nmの波長のブラックライトを照射したところ僅かに青みを帯びた橙色の発光が観測された。この粉体を水洗、乾燥して蛍光体C2を得た。
<蛍光体の分析>
蛍光体C2をX線回折法で分析した結果、僅かにウルツ鉱型化しており、閃亜鉛鉱型構造の(200)面由来のピークが強く観測されたが、岩塩構造は観測されなかった。ウルツ鉱型構造の2θ=26.9°付近の(100)面のピーク面積の2θ=28.5°付近の(002)面のピーク面積に対する比は、0.15であった。2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=0.111°であった。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は8.2μmであった。
蛍光体C2を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。また、賦活剤の成分は、約0.1重量%であった。
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体C2のフォトルミネッセンス特性を評価したところ450nm付近の純度の高い青色発光は観測されず、変わって、466nmに青白い発光が観測された。この発光輝度は実施例1記載の評価で41であった。
<発光素子の作製と評価>
蛍光体A1に代えて蛍光体C2を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を120V、5kHzの条件で評価したところ発光しなかった。
[比較例4]
<蛍光体の合成、洗浄>
強度が無く加圧によって容易に破壊する容器を用いた以外は実施例5と同様にして蛍光体を合成した。合成の際、容器が破壊して火炎が噴出すのが観察され、発熱分解性化合物が分解して発熱したことが確認された。その際に到達した内温は容器の破壊によって測定できず、圧力を算出することもできなかった。粉体の大半は回収できなかったが、飛び散った粉体を集めて254nmの波長のブラックライトを照射したところ僅かに青色の発光が観測された。この粉体には多くのTNTの燃焼残渣が付着していたので、実施例1と同様にして洗浄、乾燥し蛍光体C3を得た。
<蛍光体の分析>
蛍光体C3をX線回折法で分析した結果、僅かにウルツ鉱型構造を示しているが、閃亜鉛鉱型構造が残存していた。岩塩構造は観測されなかった。ウルツ鉱型構造の2θ=26.9°付近の(100)面のピーク面積の2θ=28.5°付近の(002)面のピーク面積に対する比は、0.20であった。2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=141°であった。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は1.5μmであった。
蛍光体C3を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/または第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。また、賦活剤の成分は、約0.1重量%であった。
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体C3のフォトルミネッセンス特性を評価したところ450nmの青色発光が観測された。この発光輝度は実施例1記載の評価で9であった。上述した図6に蛍光体C3のデータを、他の実施例、比較例と共にプロットした。
<発光素子の作製と評価>
蛍光体A1に代えて蛍光体C3を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を120V、5kHzの条件で評価したところ僅かに橙色の発光し、青色の発光は観測されなかった。
[比較例5]
<蛍光体の合成、洗浄>
TNTの投入量を85.3gに変更した以外は実施例3と同様にして蛍光体を合成した。合成の際、内温が285℃に達した時に、発熱分解性化合物が分解して発熱したことが容器内部に設置した熱電対の温度上昇によって確認された。その際に到達した内温は1370℃であり、算出された内圧は61MPaであった。この際、圧力の漏れは観測されなかった。容器を冷却後開封し、内部の粉体を取り出し、254nmの波長のブラックライトを照射したところ僅かに青色の発光が観測された。この粉体には多くのTNTの燃焼残渣が付着していたので、実施例1と同様にして洗浄、乾燥し蛍光体B6を得た。
<蛍光体の分析>
蛍光体B6をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造であり、閃亜鉛鉱型構造、岩塩構造ともに観測されなかった。ウルツ鉱型構造の2θ=26.9°付近の(100)面のピーク面積の2θ=28.5°付近の(002)面のピーク面積に対する比は、1.46であった。2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=0.186であった。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は2.8μmであった。
蛍光体B6を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。また、賦活剤の成分は、約0.1重量%であった。
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体B6のフォトルミネッセンス特性を評価したところ450nmに純度の高い青色発光が観測された。この発光輝度は実施例1記載の評価で5であった。上述した図6に蛍光体B6のデータを、他の実施例、比較例と共にプロットした。
<発光素子の作製と評価>
蛍光体A1に代えて蛍光体B6を用いた以外は実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を120V、5kHzの条件で評価したところ僅かに橙色の発光し、青色の発光は観測されなかった。
本発明の青色蛍光体は、紫外線を受光して青色に発光する波長変換材料として好適であり、また、青色発光素子の原料として好適である。更に、本発明の青色発光素子は、面発光光源として好適である。
1,11 発光層
2a,2b,12a,12b 電極
13 無機誘電体層

Claims (8)

  1. 立方晶の結晶構造を有する第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する青色蛍光体の前駆体と、ニトロ化物,ニトロソ化合物,過酸化物,アゾ化合物,ジアゾ化合物、ヒドラジン誘導体,ヒドロキシルアミン及びその塩,アジ化物,過塩素酸塩,硝酸化合物及びこれらの変性体から選ばれる発熱分解性化合物とを密閉容器内に投入して封止する工程と、
    前記発熱分解性化合物を加熱により分解させて加圧する工程とを有し、
    前記密閉容器内の到達圧力を1MPa以上50MPa以下にすることを特徴とする青色蛍光体の製造方法。
  2. 前記青色蛍光体が、前記第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する青色蛍光体であって、ウルツ鉱型の結晶構造を有し、平均粒径が50ナノメートル以上5マイクロメートル以下であることを特徴とする請求項1に記載の青色蛍光体の製造方法。
  3. 前記青色蛍光体が、賦活剤を含有しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の青色蛍光体の製造方法。
  4. 前記青色蛍光体が、賦活剤を含有し、かつ、前記ウルツ鉱型の結晶構造のX線回折法で得られる(002)面の面間隔を反映したX線回折ピーク面積に対する(100)面の面間隔を反映したX線回折ピーク面積の比が、1.5以上3.5以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の青色蛍光体の製造方法。
  5. 前記青色蛍光体が、前記第12族元素として亜鉛を主成分として含み、前記第16族元素として硫黄を主成分として含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の青色蛍光体の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の青色蛍光体の製造方法によって製造されたことを特徴とする青色蛍光体。
  7. 請求項6に記載の青色蛍光体からなる発光層を挟持するように、対向する一対の電極間を設けたことを特徴とする青色発光素子。
  8. 前記発光層の少なくとも一方の面と前記電極のいずれかの間に無機誘電体層を設けたことを特徴とする請求項7に記載の青色発光素子。
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