JP2012072274A - メタクリル系重合体組成物および成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メタクリル酸メチル単位を70質量%以上有するメタクリル系樹脂(A)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a1)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b1)とを有するブロック共重合体(B1)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a2)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b2)とを有するブロック共重合体(B2)及びポリオルガノシロキサンを含有し、且つメタクリル系樹脂(A)からなる連続相に平均径0.4μm未満のブロック共重合体(B1)からなる相と平均径0.4μm以上のブロック共重合体(B2)からなる相とが分散してなる重合体組成物。
【選択図】なし
Description
そこで、本発明の目的は、優れた、耐衝撃性、剛性、表面硬度、表面性および透明性を有する成形品およびそれを得るための重合体組成物を提供することにある。
ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)との合計量がメタクリル系樹脂(A)100質量部に対して1〜80質量部であり、 ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)との質量比が50/50〜95/5であり、 前記ポリオルガノシロキサンの量が、ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)との合計量100質量部に対して0.05〜0.5質量部であり;且つ
メタクリル系樹脂(A)からなる連続相に、平均径0.4μm未満のブロック共重合体(B1)からなる相と平均径0.4μm以上のブロック共重合体(B2)からなる相とが分散してなる重合体組成物。
メタクリル酸メチル単位を70質量%以上有するメタクリル系樹脂(A2)、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a2)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b2)とを有するブロック共重合体(B2)を含有し、ブロック共重合体(B2)の量がメタクリル系樹脂(A2)100質量部に対して1〜80質量部であり、メタクリル系樹脂(A2)からなる連続相に平均径0.4μm以上のブロック共重合体(B2)からなる相が分散してなる組成物(II)、ならびに
ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)の合計量100質量部に対して0.05〜0.5質量部のポリオルガノシロキサンを、
ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)との質量比が50/50〜95/5になるように混合してなる重合体組成物。
[4] ブロック共重合体(B1)およびブロック共重合体(B2)が、複数の腕重合体ブロックで構成される星型ブロック共重合体であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより算出した標準ポリスチレン換算の数平均分子量が、式:
[星型ブロック共重合体の数平均分子量]>2×[腕重合体ブロックの数平均分子量]を満たすものである、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の重合体組成物。
[5] ポリオルガノシロキサンがジメチルシロキサン単位を含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の重合体組成物。
[6] [1]〜[5]のいずれか1項に記載の重合体組成物からなる成形品。
メタクリル酸メチル単位を70質量%以上有するメタクリル系樹脂(A2)、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a2)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b2)とを有するブロック共重合体(B2)を含有し、ブロック共重合体(B2)の量がメタクリル系樹脂(A2)100質量部に対して1〜80質量部であり、メタクリル系樹脂(A2)からなる連続相に平均径0.4μm以上のブロック共重合体(B2)からなる相が分散してなる組成物(II)、ならびに
ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)の合計量100質量部に対して0.05〜0.5質量部のポリオルガノシロキサンを、
ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)との質量比が50/50〜95/5になるように混合することを含む重合体組成物の製造方法。
また、本発明の重合体組成物は、メタクリル系樹脂(A1)およびブロック共重合体(B1)を含有する組成物(I)、メタクリル系樹脂(A2)およびブロック共重合体(B2)を含有する組成物(II)、ならびにポリオルガノシロキサンを混合してなるものである。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂(A)、(A1)および(A2)は、メタクリル酸メチル単位を70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有する。
なお、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)で測定した標準ポリスチレン換算の分子量である。また、メタクリル系樹脂の分子量や分子量分布は、重合開始剤および連鎖移動剤の種類や量などを調整することによって制御できる。
ブロック共重合体(B1)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a1)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b1)とを有するものである。
ブロック共重合体(B2)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a2)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b2)とを有するものである。
なお、前記の「(メタ)アクリル」とは、「メタクリルまたはアクリル」の意である。
側鎖ビニル結合量は、重合反応系にエーテル類などの極性化合物を加えることにより増加させることができる。
側鎖ビニル結合量が少なすぎると、ブロック共重合体へのメタクリル系樹脂のグラフト量が低くなり、耐衝撃性が低下傾向になる。側鎖ビニル結合量が多すぎると、ブロック共重合体からなる分散相が凝集しやすくなり、透明性が低く且つ表面性が悪い成形品が得られやすくなる。
これらのブロック共重合体は、各々1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、重合体ブロック(a2)と重合体ブロック(b2)との質量比は、特に制限されないが、好ましくは30/70〜65/35、より好ましくは40/60〜60/40である。
(重合体ブロック(b1)―重合体ブロック(a1)―)nX
(式中、Xはカップリング残基、nは2を超える数を表す。)で表される星型ブロック共重合体であることが特に好ましい。
また、ブロック共重合体(B2)は化学構造式:
(重合体ブロック(b2)―重合体ブロック(a2)―)nX
(式中、Xはカップリング残基、nは2を超える数を表す。)で表される星型ブロック共重合体であることが特に好ましい。
なお、〔星型ブロック共重合体のMn〕の〔腕重合体ブロックのMn〕に対する比は腕数と呼ばれることがある。
工業的な生産の容易さの観点から、星型ブロック共重合体の数平均分子量は、腕重合体ブロックの数平均分子量に対して、好ましくは2倍超且つ100倍以下であり、より好ましくは2.5倍〜50倍であり、さらに好ましくは3倍〜10倍である。
星型ブロック共重合体には、カップリング残基によって連結していない腕重合体ブロック、すなわち直鎖状ブロック共重合体が含まれていてもよい。
リビング重合法の中では、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法が、比較的緩和な温度条件下で、より分子量分布が狭く且つ残存単量体が少ないブロック共重合体を製造できるのでより好ましい。
多官能性単量体は、エチレン性不飽和基を2以上有する化合物であり、具体的には、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどが挙げられる。
多官能性カップリング剤は、反応性基を3以上有する化合物であり、具体的には、トリクロロメチルシラン、テトラクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ビス(トリクロロシリル)エタン、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、テトラクロロゲルマニウムなどが挙げられる。
本発明に用いられる組成物(II)は、ブロック共重合体(B2)の量が、メタクリル系樹脂(A2)100質量部に対して、1〜80質量部、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは3〜20質量部である。
ブロック共重合体(B1)および/またはブロック共重合体(B2)の量が、上記範囲内にあると、耐衝撃性、表面硬度、耐熱性、剛性、透明性、表面平滑性に優れた成形品を得ることができる。
本発明に用いられるポリオルガノシロキサンは、式[X]で表わされる繰返し単位を含む高分子化合物であれば、特に限定されない。
本発明の重合体組成物は、必要に応じて各種の添加剤を含有していてもよい。
添加剤としては、酸化防止剤、熱劣化防止剤、熱紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、有機色素、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、蛍光剤などが挙げられる。
リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用する場合、その割合は特に制限されないが、リン系酸化防止剤のヒンダードフェノール系酸化防止剤に対する質量比で、好ましくは1/5〜2/1、より好ましくは1/2〜1/1である。
該熱劣化防止剤としては、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGM)、2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGS)などが好ましく;2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレートがより好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、ベンゾトリアゾール類、または波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤が好ましい。
波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社製;商品名サンデユボアVSU)などが挙げられる。これら紫外線吸収剤の中、紫外線被照による樹脂劣化が抑えられるという観点からベンゾトリアゾール類が好ましく用いられる。
光安定剤の量は、重合体組成物100質量部に対して、好ましくは0.001〜0.5質量部である。
離型剤の総量は、重合体組成物100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下、さらに好ましくは0.1質量部以下である。離型剤の総量が多すぎると、金型汚れによる生産性の低下もしくはシルバーやメヤニなどの発生による成形不良を引き起こす傾向がある。
該重合体粒子は、単一組成比および単一極限粘度の重合体からなる単層粒子であってもよいし、また組成比または極限粘度の異なる2種以上の重合体からなる多層粒子であってもよい。この中でも、内層に低い極限粘度を有する重合体層を有し、外層に5dL/g以上の高い極限粘度を有する重合体層を有する2層構造の粒子が好ましいものとして挙げられる。
高分子加工助剤は、剤全体としての極限粘度が3〜6dL/gであることが好ましい。極限粘度が小さすぎると成形性の改善効果が低い。極限粘度が大きすぎると重合体組成物の溶融流動性の低下を招きやすい。
高分子加工助剤を用いる場合、その量は、重合体組成物100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。高分子加工助剤の量が少なすぎると成形時の寸法精度の改善効果が低下傾向になる。逆に高分子加工助剤の量が多すぎると重合体組成物の溶融流動性が低下傾向になる。
光拡散剤や艶消し剤としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
蛍光剤として、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などが挙げられる。
本発明の重合体組成物は、ポリオルガノシロキサンを含有し、且つメタクリル系樹脂(A)からなる連続相にブロック共重合体(B1)からなる相とブロック共重合体(B2)からなる相とが分散してなるものである。
また、本発明の重合体組成物は、メタクリル系樹脂(A1)からなる連続相にブロック共重合体(B1)からなる相が分散してなる組成物(I)、メタクリル系樹脂(A2)からなる連続相にブロック共重合体(B2)からなる相が分散してなる組成物(II)、ならびにポリオルガノシロキサンを混合してなるものである。
また、ブロック共重合体(B1)からなる分散相の直径の測定値データとブロック共重合体(B2)からなる分散相の直径の測定値データとを合わせた全データに基づく径の標準偏差σを、前記径の平均値Dで除算した値(σ/D)は、好ましくは0.1〜0.45、より好ましくは0.15〜0.45である。σ/Dが、この範囲にあると、本発明の重合体組成物の耐衝撃性が向上する傾向がある。
また、前記組成物(I)および組成物(II)は、インサイチュ法によって製造することもできる。インサイチュ法とは、分散相または連続相になる物質βの存在下で連続相または分散相になる物質αの原料を反応させ、物質αを生成させるのと同時に連続相と分散相とからなる組成物を調製する方法である。
先ず、メタクリル酸メチルおよびそれと共重合可能な他のビニル系単量体を含有する単量体混合物に、ブロック共重合体(B1)を溶解させて、原料液を調製する。
なお、単量体混合物を重合するとメタクリル系樹脂(A1)が得られる。メタクリル酸メチルと他のビニル系単量体との質量比は、好ましくは70/30〜100/0、より好ましくは80/20〜99/1、さらに好ましくは90/10〜98/2である。
該溶剤としては、単量体混合物、単量体混合物の重合によって得られるメタクリル系樹脂(A1)、およびブロック共重合体(B1)を溶解することができる溶剤であれば特に制限されない。例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、などが望ましいものとして挙げられる。また、必要に応じて、2種以上の溶剤を混合して使用することができる。混合溶剤は、単量体混合物、単量体混合物の重合によって得られるメタクリル系樹脂(A1)、およびブロック共重合体(B1)を溶解することができるものであれば、単独では、単量体混合物、単量体混合物の重合によって得られるメタクリル系樹脂(A1)、およびブロック共重合体(B1)を溶解することができない溶剤、例えば、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素などを含有していてもよい。
溶剤の量は、単量体混合物100質量部に対して0〜100質量部であることが好ましい。また、溶剤の量は、メタクリル酸メチル、他のビニル単量体および溶剤の合計を100質量%とした場合に0〜90質量%の範囲であることが好ましい。
単量体混合物の重合反応は、原料液に重合開始剤を添加することによって開始される。また、必要に応じて連鎖移動剤を原料液に添加して、得られる重合体の分子量、グラフト量、架橋率などを調節できる。
本発明の重合体組成物は、成形性を良好にする点から、ISO 1133に準じて測定したメルトフローレートが1g/10分以上であるのが好ましく、2g/10分以上であるのがより好ましい。
テトラヒドロフランを溶離液に用い、東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー用カラムとして東ソー社製TSKgel G2000HHR(1本)およびGMHHR−M(2本)を直列に連結したものを繋ぎ、検出器として示差屈折率(RI)計を用いて測定した。
試料溶液は、重合体3mgを精秤し、これを3mLのテトラヒドロフランに溶解し、0.45μmのメンブランフィルターでろ過することにより調製した。測定の際の溶離液の流量は1.0mL/min.、カラム温度は40℃に設定した。
標準ポリスチレンで作製した検量線に基づいて、ポリスチレン換算分子量として重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)およびブロック共重合体の生成率を算出した。
島津製作所社製ガスクロマトグラフ GC−14Aに、カラムとしてGL Sciences Inc.製 INERT CAP 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)を繋ぎ、injection温度を180℃に、detector温度を180℃に、カラム温度を60℃(5分間保持)→昇温速度10℃/分→200℃(10分間保持)に設定して、分析を行い、それに基づいて算出した。
ブロック共重合体を重クロロホルムに溶解させて試験液を得た。1H−NMR(日本電子社製磁気共鳴装置 JNM−LA400)を用いて該試験液を分析し、化学シフト4.7〜5.2ppmの1,2−ビニルによるプロトン(=CH2)シグナルの積分強度C0と、化学シフト5.2〜5.8ppmのメチンプロトン(=CH−)シグナルの積分強度D0をそれぞれ求め、次式によって、側鎖ビニル結合量V0[mol%]を計算して求めた。
ポリアクリル酸n−ブチルのガラス転移温度(Tg)は、「POLYMER HANDBOOK FOURTH Edition」VI/199頁,Wiley Interscience社(1998年)に記載の値(ポリアクリル酸n−ブチル:−49℃)を用いた。
また、ポリ1,3−ブタジエンのガラス転移温度(Tg)は、「ANIONIC POLYMERIZATION」434頁, MARCEL DEKKER社(1996年)に記載の1,2−ビニル結合量とTgの関係より導かれる値を用いた。
ブロック共重合体(B1)またはブロック共重合体(B2)が濃度30質量%となるようにトルエンに均一に溶解させた。25℃にて当該溶液の比容V3および屈折率nD3ならびにトルエンの比容V1および屈折率nD1を測定した。該測定値に基づいて(式1)を用いてr1およびr3を算出した。また式(2)を用いてr2を算出した。質量分率w1およびw2は溶液濃度から算出した。次いで(式3)を用いて比容V2を算出した。密度ρ1およびρ3は比容V1およびV3の逆数である。算出されたr2およびV2に基づいて式(1)を用いてブロック共重合体(B)の屈折率nD2を求めた。
r3=w1×r1+w2×r2 ・・・(式2)
V2=(1/ρ1)−(1/w2)×〔(1/ρ1)−(1/ρ3)〕 ・・・(式3)
nD:屈折率、V:比容、r:分子屈折、w:質量分率 ρ:密度
下付き1:トルエン 下付き2:ブロック共重合体(B) 下付き3:溶液
実測:V3、nD3、V1、nD1
(式3)の出典元: 高分子溶液 高分子実験学 全18巻 第11巻 昭和57年8月25日 初版1刷発行 高分子学会高分子実験学編集委員長 共立出版株式会社
組成物(I)および組成物(II)の成形品からダイヤモンドナイフを用いて超薄切片を切り出した。この切片を四酸化オスミウムで染色(ポリブタジエン部が染色される。)し、透過型電子顕微鏡を用いて観察像の写真撮影を行った。無作為に全体が写っている30個の分散相を選択し、個々の分散相の径を測定した。それらの平均値(体積基準分布におけるメジアン径D50)を算出した。
島津製作所社製カルニュー精密屈折計 KPR−20を用いて、25℃における屈折率を求めた。
JIS K7136に準拠して、厚さ3mmのシートのヘーズを測定した。
ISO179−1eAに準拠して、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度を測定した。
ISO178に準拠して、曲げ弾性率を測定した。
ISO/DIS 15184に準拠して、厚さ3mmのシートの引っかき硬度を測定した。
射出成形機(M−100C;名機製作所社製)に、製品寸法40mm×200mm×2mmの金型をセットし、長辺側中央サイドゲートを用いて、シリンダー温度260℃、充填速度100mm/s、金型温度50℃、70℃および90℃の三水準で、重合体組成物を射出し、成形品を得た。各金型温度において得られた成形品の表面を目視観察して、以下の基準で表面平滑性を評価した。
A:表面が平滑で良好である。
B:部分的に表面凹凸がありやや不良である。
C:全面に表面凹凸がありすりガラス状となり不良である。
(1)攪拌機付1.5m3のオートクレーブに、トルエン801Lおよび1,2−ジメトキシエタン0.07Lを投入し、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/Lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液1.8Lを加え、次いで1,3−ブタジエン97Lを加えて、30℃で3時間反応させて、1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した。該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体は、数平均分子量Mnが51,000、分子量分布Mw/Mnが1.06、側鎖ビニル結合量が30mol%であった。重合体ブロックのガラス転移温度は−77℃と算出された。
星型ブロック共重合体は、腕重合体ブロックが腕数3.92で星型に繋がった構造のものであり、Mnが330,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.16であった。
腕重合体ブロックは、1,3−ブタジエン単位からなる重合体ブロック(b)49質量%とアクリル酸n−ブチル単位からなる重合体ブロック(a)51質量%とからなるジブロック共重合体であった。
ブロック共重合体(P1)の屈折率は1.492であった。表1にブロック共重合体(P1)の特性を示した。なお、表1中のBAはアクリル酸n−ブチル、BDは1,3−ブタジエンを意味する。
(1)攪拌機付1.5m3のオートクレーブ容器に、トルエン801Lおよび1,2−ジメトキシエタン0.07Lを投入し、その後、20分間窒素パージを行った。そこに濃度1.3mol/Lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液1.8mLを加え、次いで1,3−ブタジエン95Lを加えて、30℃で3時間反応させて、1,3−ブタジエン重合体を含む反応混合物を得た。
得られた反応混合物の一部をサンプリング分析した結果、該反応混合物中の1,3−ブタジエン重合体(重合体ブロックは、Mnが51,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.06、側鎖ビニル結合量が30mol%であった。重合体ブロックのガラス転移温度は−77℃と算出された。
本参考例で使用した製造装置は、攪拌機および採取管付オートクレーブ、100Lの槽型反応器Aと150Lの槽型反応器Bとが直列に連結された完全混合型の流通式重合反応装置、ノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した管型反応器Cとノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した管型反応器Dとが直列に連結されたプラグフロー型の流通式重合反応装置、および二軸押出機を備えている。
そして、前記オートクレーブにおいて原料液を調製した。該原料液は管経由で100Lの槽型反応器Aに供給され、100L槽型反応器Aから排出された液は管経由で150L槽型反応器Bに供給され、150L槽型反応器Bから排出された液はノリタケエンジニアリング社製スタティックミキサーを内装した配管を経て管型反応器Cに供給され、管型反応器Cから排出された液は管経由で管型反応器Dに供給され、管型反応器Dから排出された液は管経由で二軸押出機に供給されるようになっている。なお、管型反応器CおよびDは滞留時間を変更するために管の長さが異なるもので置き換えることができる。
攪拌機および採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル57質量部、アクリル酸メチル3質量部、およびトルエン30.5質量部、を仕込んだ。これにブロック共重合体(P1)9.5質量部を添加して、30℃で8時間攪拌し、ブロック共重合体(P1)を均一に溶解させた。次いで、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(「パーブチルO」 日本油脂社製、水素引抜能:26%、1時間半減期温度:92.1℃)0.025質量部およびn−オクチルメルカプタン0.11質量部を加え均一に溶解させて原料液を得た。窒素により製造装置内の酸素を追出した。
前記原料液を、オートクレーブから一定量で排出し、温度110℃に制御された100Lの槽型反応器Aに、平均滞留時間85分間となる様に、一定流量で供給した。槽型反応器Aではマックスブレンド翼にて回転数200rpmにて攪拌しながら重合を実施した。反応器Aの採取管より反応液を分取した。ガスクロマトグラフィーによって測定された重合転化率は35質量%であった。
攪拌機および採取管付オートクレーブに、精製されたメタクリル酸メチル57質量部、アクリル酸メチル3質量部およびトルエン30.5質量部を仕込んだ。これにブロック共重合体(P1)9.5質量部を添加して、30℃で8時間攪拌し、ブロック共重合体(P1)を均一に溶解させた。次いで、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(「パーブチルO」 日本油脂社製、水素引抜能:26%、1時間半減期温度:92.1℃)0.025質量部およびn−オクチルメルカプタン0.11質量部を加え均一に溶解させて原料液を得た。窒素により製造装置内の酸素を追出した。
前記原料液を、オートクレーブから一定量で排出し、温度110℃に制御された100Lの槽型反応器Aに平均滞留時間85分間となる様に一定流量で供給した。槽型反応器Aではマックスブレンド翼にて回転数200rpmにて攪拌しながら重合した。反応器Aの採取管より反応液を分取し、ガスクロマトグラフィーによって測定したところ、重合転化率は35質量%であった。
ブロック共重合体(P1)をブロック共重合体(P2)に替えた以外は、参考例4と同じ手法にて、ペレット状の組成物(Ib)を得た。
得られた組成物(Ib)は、メタクリル酸メチル単位95質量%およびアクリル酸メチル単位5質量%からなるメタクリル系樹脂(A)85質量部およびブロック共重合体(P2)15質量部を含有し、メタクリル系樹脂(A)からなる連続相に、平均径0.31μmのブロック共重合体(P2)からなる相が分散しているものであった。また、ブロック共重合体(P2)からなる分散相は、海島構造を成していた。分散相中の島相の総面積が当該分散相の面積の30%以上を占めている分散相が全分散相の30質量%以上であった。
メタクリル系樹脂50質量部に、粒径0.25μmのコアシェル型重合体粒子(コア:スチレン−アクリル酸ブチルランダム共重合体40質量%; シェル:メタクリル酸メチル重合体60質量%)50質量部を練り込み重合体組成物(III)のペレットを得た。
IR1010は、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)である。
SMGSは、2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレート(熱劣化防止剤)である。
TN329は、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(紫外線吸収剤)である。
STOHは、ステアリルアルコール(高級アルコール系離型剤)である。
STMGは、ステアリン酸モノグリセライド(グリセリン脂肪酸モノエステル系離型剤)である。
アクリル樹脂は、メタクリル酸メチル94質量%およびアクリル酸メチル6質量%からなる、重量平均分子量12万の樹脂である。
組成物(II) 10質量部、組成物(Ia) 90質量部、ポリジメチルシロキサン 0.032質量部、リン系酸化防止剤(ADHP) 0.02質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(IR1010) 0.02質量部、熱劣化防止剤(SMGS) 0.03質量部、紫外線吸収剤(TN329) 0.05質量部、高級アルコール系離型剤(STOH) 0.03質量部およびグリセリン脂肪酸モノエステル系離型剤(STMG) 0.01質量部を、スーパーミキサーにて混合した。該混合物を40φベント付き単軸押出機に入れ、240℃にてストランド状に押し出し、ペレタイザーでカットして、ペレット状の重合体組成物を得た。
このペレット状重合体組成物を射出成形して板状成形品を製造し、各種の物性値の測定を行った。測定結果を表4に示す。表4中の重合体組成物の分散相の平均径は、ブロック共重合体(B1)からなる分散相の直径の測定値データとブロック共重合体(B2)からなる分散相の直径の測定値データとを合わせた全データに基づく径の平均値であり、分散相径の標準偏差は、ブロック共重合体(B1)からなる分散相の直径の測定値データとブロック共重合体(B2)からなる分散相の直径の測定値データとを合わせた全データに基づく径の標準偏差である。
表3に示す配合処方に変えた以外は、実施例1と同じ手法で、ペレット状の重合体組成物を得、それを射出成形して板状成形品を製造し、各種の物性値の測定を行った。測定結果を表4に示す。
Claims (7)
- メタクリル酸メチル単位を70質量%以上有するメタクリル系樹脂(A)、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a1)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b1)とを有するブロック共重合体(B1)、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a2)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b2)とを有するブロック共重合体(B2)、および
ポリオルガノシロキサンを含有し;
ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)との合計量がメタクリル系樹脂(A)100質量部に対して1〜80質量部であり、
ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)との質量比が50/50〜95/5であり、
前記ポリオルガノシロキサンの量が、ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)との合計量100質量部に対して0.05〜0.5質量部であり;且つ
メタクリル系樹脂(A)からなる連続相に、平均径0.4μm未満のブロック共重合体(B1)からなる相と平均径0.4μm以上のブロック共重合体(B2)からなる相とが分散してなる重合体組成物。 - メタクリル酸メチル単位を70質量%以上有するメタクリル系樹脂(A1)、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a1)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b1)とを有するブロック共重合体(B1)を含有し、ブロック共重合体(B1)の量がメタクリル系樹脂(A1)100質量部に対して1〜80質量部であり、メタクリル系樹脂(A1)からなる連続相に平均径0.4μm未満のブロック共重合体(B1)からなる相が分散してなる組成物(I)、
メタクリル酸メチル単位を70質量%以上有するメタクリル系樹脂(A2)、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a2)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b2)とを有するブロック共重合体(B2)を含有し、ブロック共重合体(B2)の量がメタクリル系樹脂(A2)100質量部に対して1〜80質量部であり、メタクリル系樹脂(A2)からなる連続相に平均径0.4μm以上のブロック共重合体(B2)からなる相が分散してなる組成物(II)、ならびに
ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)の合計量100質量部に対して0.05〜0.5質量部のポリオルガノシロキサンを、
ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)との質量比が50/50〜95/5になるように混合してなる重合体組成物。 - ブロック共重合体(B1)からなる相の平均径が0.1μm以上0.4μm未満であり、ブロック共重合体(B2)からなる相の平均径が0.4μm以上1μm未満である、請求項1または2に記載の重合体組成物。
- ブロック共重合体(B1)およびブロック共重合体(B2)が、複数の腕重合体ブロックで構成される星型ブロック共重合体であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより算出した標準ポリスチレン換算の数平均分子量が、式:
[星型ブロック共重合体の数平均分子量]>2×[腕重合体ブロックの数平均分子量]を満たすものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体組成物。 - ポリオルガノシロキサンがジメチルシロキサン単位を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体組成物からなる成形品。
- メタクリル酸メチル単位を70質量%以上有するメタクリル系樹脂(A1)、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a1)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b1)とを有するブロック共重合体(B1)を含有し、ブロック共重合体(B1)の量がメタクリル系樹脂(A1)100質量部に対して1〜80質量部であり、メタクリル系樹脂(A1)からなる連続相に平均径0.4μm未満のブロック共重合体(B1)からなる相が分散してなる組成物(I)、
メタクリル酸メチル単位を70質量%以上有するメタクリル系樹脂(A2)、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロック(a2)と共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロック(b2)とを有するブロック共重合体(B2)を含有し、ブロック共重合体(B2)の量がメタクリル系樹脂(A2)100質量部に対して1〜80質量部であり、メタクリル系樹脂(A2)からなる連続相に平均径0.4μm以上のブロック共重合体(B2)からなる相が分散してなる組成物(II)、ならびに
ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)の合計量100質量部に対して0.05〜0.5質量部のポリオルガノシロキサンを、
ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)との質量比が50/50〜95/5になるように混合することを含む重合体組成物の製造方法。
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