以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本明細書では、特に断らない限り、前後、上下、左右の方向は、それぞれ、直進走行時の車両Vの前後、上下、左右の方向と一致する。
実施形態のフード跳ね上げ装置(以下「跳ね上げ装置」と省略する)U1は、図1〜3に示すように、車両Vにおけるフードパネル16の後端16c側に、配設されるもので、作動時に、後述するアクチュエータ25のピストンロッド27を上昇させて、フードパネル16の後端16cを跳ね上げる構成とされている。実施形態の場合、車両Vのフロントバンパ12には、図1,2に示すように、歩行者との衝突を検知若しくは予測可能なセンサ13が、配設されており、センサ13からの信号を入力させている図示しない作動回路が、センサ13からの信号に基づいて車両Vと歩行者との衝突を検知若しくは予測した際に、跳ね上げ装置U1のアクチュエータ25における駆動源としての図示しないガス発生器を作動させるように、構成されている。
フードパネル16は、図1,2に示すように、車両VにおけるエンジンルームERの上方を覆うように配設されるもので、左右方向の両縁側における後端16c近傍に配置されるヒンジ部17により、車両Vのボディ1側に対して、前開きで開閉可能に連結されている。フードパネル16は、実施形態の場合、アルミニウム(アルミニウム合金)等の板材からなり、図4に示すように、上面側のアウタパネル16aと、下面側に位置してアウタパネル16aより強度を向上させたインナパネル16bと、から構成されている。フードパネル16は、歩行者を受け止めた際に、歩行者の運動エネルギーを吸収できるように、塑性変形可能に構成されている。そして、実施形態では、車両Vと歩行者との衝突時に、アクチュエータ25が作動されて、図12に示すように、フードパネル16の後端16cが上方に押し上げられ、フードパネル16の後端16cと、フードパネル16の下方のエンジンルームERと、の間に、変形スペースを形成できることから、塑性変形時のフードパネル16の塑性変形量を増大させることができる。さらには、実施形態の場合、フードパネル16の後端16cを上昇移動させたピストンロッド27における後述する支持ロッド部28の軸部29が、歩行者の受け止め時に、フードパネル16の下降移動に伴って、上端27a側の頭部30を後方側に向けるように曲げ塑性変形されることとなる(図13参照)。そのため、実施形態の場合、歩行者の運動エネルギーが大きくとも、フードパネル16自体の塑性変形と、ピストンロッド27における軸部29の曲げ塑性変形と、により、歩行者の運動エネルギーを多く吸収することができる。
ヒンジ部17は、フードパネル16の後端16c側における左縁16dと右縁16eとに配設され(図1,2参照)、それぞれ、ボディ1側の部材であるフードリッジリインホース2に連結される取付フランジ3に固定されるヒンジベース18と、フードパネル16側に固定されるヒンジアーム20と、を備えて構成されている(図3,4参照)。各ヒンジアーム20は、図4に示すように、板金製のアングル材を下向きに突出させるように略半円弧状に湾曲させた形状として構成され、ヒンジベース18側の元部端20aが、支持軸19を利用してヒンジベース18に対して回動可能に連結されている。また、各ヒンジアーム20は、図3,4に示すように、元部端20aから離れる先端20b側に、先端20bからフードパネル16の下面に略沿うように延びる連結板部21を備える構成とされ、この連結板部21が、フードパネル16の後端16cにおける下面側に溶接等を利用して結合されている。また、ヒンジアーム20の先端20b付近には、図4に示すように、下縁を略円形状に切り欠くように構成される切欠凹部20cが、形成されており、この切欠凹部20cの周囲の部位が、アクチュエータ25の作動時においてピストンロッド27がフードパネル16の後端16cを押し上げた際に、塑性変形する塑性変形部20dとされて、フードパネル16の上昇を許容することとなる(図12参照)。
各支持軸19は、図3に示すように、それらの軸方向を、車両Vの左右方向に沿わせるように、配設されている。そして、フードパネル16を開く際には、図4の実線から二点鎖線で示すように、フードパネル16の前端16f側(図1参照)を前開きで上昇させれば、図2に示すように、フードパネル16を前開きで開くことができる。ちなみに、フードパネル16の後端16cの上昇時には、フードパネル16の前端16f側は、前端16fに配置されている通常閉塞用のフードロックストライカ(図符号省略、図2参照)を係止するラッチ機構により、ボディ1側から外れることはない。
フードパネル16の後方には、図1,4に示すように、ボディ1側の剛性の高いカウルパネル14aと、カウルパネル14aの上方の合成樹脂製のカウルルーバ14bと、からなるカウル14が、配設されている。カウルルーバ14bは、後端側をフロントウィンドシールド10の下部10a側に連ならせるように、配設されている。また、フロントウィンドシールド10の左右には、図1に示すように、フロントピラー11,11が、配設されている。
跳ね上げ装置U1は、図1,4に示すように、フードパネル16における左右のヒンジ部17の近傍に配設されるもので、フードパネル16の後端16cの下方に配設されるアクチュエータ25と、各アクチュエータ25に対応してアクチュエータ25の上方のフードパネル16側に配設される受け座22と、各アクチュエータ25をボディ側部材であるフードリッジリインホース2に固定させる取付ブラケット33と、フードリッジリインホース2に取付ブラケット33を取り付けるための上側取付座4,下側取付座5と、を備えて構成されている。実施形態の場合、詳細には、車両Vの右側に配置される跳ね上げ装置U1を例に採り、説明する。
受け座22は、実施形態の場合、フードパネル16の後端16cの下面に配設されたヒンジアーム20の先端20b側に設けられた連結板部21の下面から、構成されている(図4参照)。
アクチュエータ25は、図1〜3に示すように、フードパネル16の後端16c側における左縁16d及び右縁16eの下方となる各ヒンジ部17の下方に配設されている。各アクチュエータ25は、駆動源として、図示しないガス発生器を使用しており、シリンダ26と、シリンダ26から上方へ突出するように配設されるピストンロッド27と、を備えている。なお、図示を省略するが、実施形態のアクチュエータ25では、シリンダ26の下端側に内蔵されるガス発生器が作動して発生する作動用ガスにより、シリンダ26内に収納されるピストンロッド27の図示しないピストンを押し上げて、ピストンロッド27を上昇移動させる構成である。また、アクチュエータ25は、上昇移動後のピストンロッド27の下降移動を規制する図示しないロック機構も、備えている。
シリンダ26は、軸方向を上下方向に略沿わせた略筒状として、下端側に、上述した図示しないガス発生器を配設されている。詳細には、シリンダ26は、図4〜6に示すように、略円筒状の本体26aと、本体26aの上下端にそれぞれ固定されるとともに本体26aより大径のキャップ26b,26cと、を備えて構成されている。シリンダ26の上端側に配置されるキャップ26bは、ピストンロッド27における支持ロッド部28の後述する軸部29を挿通可能として、軸部29の上端側(ピストンロッド27の上端27a側)に配設される頭部30を突出させるように、構成されている。
ピストンロッド27は、中心軸を、シリンダ26の中心軸と一致させて構成され、シリンダ26内を摺動可能な図示しないピストンと、ピストンから上方に延びる支持ロッド部28と、を備えて構成されている。ピストンは、シリンダ26の下端側におけるキャップ26cの領域に内蔵されるガス発生器から発生する作動用ガスの押圧力を受けて、シリンダ26内を上昇移動し、上昇移動後に、図示しないロック機構により、下降移動を規制される構成である。
支持ロッド部28は、ピストンから延びるようにシリンダ26の軸方向(上下方向)に沿って配設される丸棒状の軸部29と、軸部29の上端側(ピストンロッド27の上端27a側)に配設されて軸部29より外径寸法を大径とした略円柱状の頭部30と、を備えている(図12参照)。実施形態の場合、支持ロッド部28は、軸部29の部位を曲げ塑性変形可能とするような鋼等の金属材から構成されている。実施形態では、支持ロッド部28の軸部29は、フードパネル16の後端16cが斜め後下向きに移動してくる歩行者を受け止めて下降移動する際に、図13に示すごとく、頭部30を後方に向けるように、曲げ塑性変形されることとなる。頭部30は、図4に示すように、シリンダ26の上方においてシリンダ26から突出するように形成されており、ピストンロッド27の上昇移動時に、図12に示すように、フードパネル16側に設けられる受け座22の下面に当接して、フードパネル16の後端16cを上方に押し上げることとなる。
アクチュエータ25を固定させるボディ側部材としてのフードリッジリインホース2は、図2に示すように、エンジンルームERの左右両側において、軸方向を前後方向に略沿わせて配置される略四角筒形状の板金素材からなるもので、上面側に配置される上壁部2aと、左右方向(車幅方向)の内側面側(エンジンルームER側)に配置される内壁部2bと、を備えている。
上壁部2aは、水平方向に略沿うように、配置されるもので、実施形態の場合、この上壁部2aに、取付ブラケット33の後述する取付片部38を固定させる上側取付座4が、形成されている。詳細には、上壁部2aは、水平方向に対して僅かに前下がりで傾斜して構成されている(図4参照)。上側取付座4は、図6に示すように、後述する取付ボルト51を挿通可能に上下に貫通した略円形の取付孔4aと、取付孔4a周縁に固着されるナット4bと、を備えている。また、上側取付座4において、取付孔4aの車外側O(右側)となる位置には、取付片部38の車外側端側(右端側)から突出するように形成される挿入片39を挿入可能な挿入孔4cが、形成されている(図3,6参照)。この挿入孔4cは、略長方形状に開口して形成されるもので、前後左右の開口幅寸法を、図6に示すように、取付片部38から段差状に一段下方に下がって右方(車外側O)に突出するように形成される略長方形板状の挿入片39を挿通可能な寸法に設定されている。
内壁部2bは、鉛直方向に略沿うように、配置されるもので、実施形態の場合、上壁部2a側となる上端側を車外側Oに位置させ、下端側を車内側Iに位置させるように、鉛直方向に対して僅かに傾斜して構成されている(図6参照)。内壁部2bにおいて、上側取付座4より下方となる領域には、図6,10に示すように、取付ブラケット33の後述する係止片部41を差し込んで係止するための下側取付座5が、形成されている。下側取付座5は、実施形態の場合、上側取付座4と前後で略一致した位置に形成されるもので(図10参照)、内壁部2bから車内側Iに向かって突出するように形成されて係止片部41を押えて係止する押え片部6と、内壁部2bにおける押え片部6の周囲の領域である支持面部7と、から構成されている(図6,10参照)。押え片部6は、金属製として、図6〜10に示すように内壁部2b(支持面部7)から車内側Iに向かって突出する円柱状の軸部6aと、軸部6aから上下前後に膨出するように鉛直方向に沿って配置される略長方形板状の押え片本体6bと、を備えている。軸部6aは、外径寸法を、後述する車外側壁部35の下端側の係止片部41に形成される切欠凹部41bに挿通可能な寸法に設定され、押え片本体6bは、図7に示すように、前後方向の幅寸法を、係止片部41(カバー材44)の前後方向の幅寸法より若干大きくするように、構成されている。そして、下側取付座5は、この押え片本体6bと、内壁部2bにおける軸部6aの周囲の領域からなる支持面部7と、の間の隙間に、係止片部41を上方から差し込んで、押え片本体6bにより係止片部41を係止することとなる。
アクチュエータ25をボディ側部材としてのフードリッジリインホース2に固定させる取付ブラケット33は、図5,10に示すように、アクチュエータ25のシリンダ26を保持する保持部34と、保持部34の上端近傍に配置される取付片部38と、保持部34の下端近傍に配置される係止片部41と、を備えて構成されている。また、実施形態の場合、取付ブラケット33は、板金素材を曲げ加工して形成されるとともに、幅方向を前後方向に略沿わせるように配置される本体片部33aと、本体片部33aの前後両側において本体片部33aと略直交するように本体片部33aから突出して形成される補強リブ部33b,33cと、から構成されている。本体片部33aは、保持部34における後述する車外側壁部35と、取付片部38と、係止片部41(係止片本体42)と、を構成している。後側の補強リブ部33bは、保持部34における後側壁部36を構成するとともに、幅寸法を後側壁部36の1/3程度に狭められた状態で、取付片部38と車外側壁部35との境界部位を越えて取付片部38の車外側端(右端)まで、連続的に、形成されている。前側の補強リブ部33cは、車外側壁部35と取付片部38の前縁側の略全域に、形成されている。
保持部34は、シリンダ26における左右方向(車幅方向)の一方側と前後方向の一方側とを覆うように、水平方向に沿った断面形状を略L字形状とされるもので(図10参照)、実施形態の場合、シリンダ26の車外側Oを覆う車外側壁部35と、シリンダ26の後方側を覆う後側壁部36と、を備えており、車外側壁部35に、取付片部38と係止片部41とが配設されている。また、実施形態の場合、保持部34は、各車外側壁部35,後側壁部36に、シリンダ26側に略半球状に突出する突起部(ビード)35a,36aを配設させ、この突起部(ビード)35a,36aの部位で、シリンダ26の本体26aに溶接させることにより、シリンダ26を保持する構成とされている。詳細に説明すれば、車外側壁部35と後側壁部36とは、図6,7に示すように、ともに、幅寸法を、シリンダ26における本体26aの外径寸法より若干大きくして構成されている。また、車外側壁部35は、シリンダ26における本体26aの上側1/2程度の領域の車外側を覆うような長尺板状として構成され、後側壁部36は、車外側壁部35より下方となる位置において、本体26aの中間部位における全長の1/2程度の領域の後方を覆うような長尺板状として構成されており、車外側壁部35は、下側半分程度の領域で、後側壁部36と連結されている。そして、車外側壁部35に形成される突起部35aは、車外側壁部35の上端近傍となる一箇所に配置され、後側壁部36に形成される突起部36aは、車外側壁部35の突起部35aより下方にずれるようにして、後側壁部36の上下両端近傍となる二箇所に配置されている。すなわち、実施形態では、保持部34は、シリンダ26の車外側Oにおける上端付近の一箇所と、シリンダ26の後側における上下に離れた二箇所と、の計三点で、シリンダ26を保持するように構成されている。また、実施形態の取付ブラケット33では、保持部34を構成する車外側壁部35と後側壁部36とは、上下方向側から見て略直交するように、形成されている(図3参照)。
取付片部38は、図4,5,10に示すように、保持部34における車外側壁部35の上端35bからフードリッジリインホース2側(車外側O)に向かって、水平方向に略沿って延びるように、形成されている。実施形態の場合、取付片部38は、フードリッジリインホース2の上壁部2a(上側取付座4)に沿うように、水平方向に対して僅かに前下がりで傾斜して構成されるもので、図10に示すように、前後方向の幅寸法を車外側壁部35と一致させつつ、車外側壁部35と連続的に形成されている。取付片部38には、取付片部38を上側取付座4に取り付けるための取付ボルト51を挿通可能に、略円形に開口した取付孔38aが、形成されている(図6,10参照)。また、取付片部38における車外側Oの端部(図6,10における右端)には、段差状に一段下がって右方(車外側O)に突出するように形成される挿入片39が、形成されている(図6,10参照)。この挿入片39は、図3に示すように、前後方向の幅寸法を取付片部38より狭幅として構成されるもので、上側取付座4に形成される挿入孔4cに挿入されて、取付ボルト51の締結作業時に、アクチュエータ25(シリンダ26)を保持させた取付ブラケット33が取付孔38aを中心として回転することを防止するための部位である。なお、実施形態の取付ブラケット33では、図6,10に示すように、車外側壁部35と取付片部38との境界部位付近の幅方向の中央(前後の中央)に、曲げ剛性を高めるように、フードリッジリインホース2から離れるように上方と車内側とに突出する補強用のリブ(図符号省略)が、形成されている。
係止片部41は、保持部34における車外側壁部35の下端35c側に配置されるもので、図5〜10に示すように、係止片本体42と、係止片本体42の外周側を覆うカバー材44と、を備えている。係止片部41は、図7に示すように、幅寸法を車外側壁部35より狭幅として、車外側壁部35から連なるように形成されるとともに、実施形態の場合、車外側壁部35より車外側Oに位置するように、段差状に車外側Oに突出し、かつ、下方に延びるように形成されている(図6参照)。そして、係止片部41は、下端41a側の中央に、下側取付座5における押え片部6の軸部6aを挿通可能に(図6,9参照)、下側から略逆U字形状に切り欠くような切欠凹部41bを有しており、下端41a側を前後で二股に分岐させるように構成されている(図10参照)。そして、実施形態では、係止片部41の下端41a側における切欠凹部41bの前側の領域と後側の領域とが、係止片部41の下側取付座5への係止時に、図9に示すように、軸部6aの前後両側において、それぞれ、下側取付座5における支持面部7と押え片本体6bとの間に配置される係止片本体42を構成している。実施形態の場合、切欠凹部41bは、アクチュエータ25の車両搭載時に、周縁と軸部6aとの間に隙間を有して、軸部6aと接触しないような大きさに、切り欠かれている(図6,7,9参照)。また、実施形態の場合、係止片本体42は、係止片部41の下側取付座5への係止時に、下縁を、押え片部6における押え片本体6bの下縁と略一致させるように、構成されている。さらに、係止片部41において、切欠凹部41bの上方の領域には、カバー材44の後述する係止突起45aを周縁で係止可能な係止孔41cが、形成されている(図6,10参照)。
カバー材44は、ポリアセタール樹脂(POM)等からなる合成樹脂製とされるもので、図6〜10に示すように、係止片部41に取り付けられる取付基部45と、取付基部45から延びる2つの撓み片47,47と、を備えている。取付基部45は、下端側の外形形状を係止片部41の下端側と一致させて、係止片部41の下端側の領域の車外側Oを全域にわたって覆うとともに、上端側に、係止片部41の係止孔41c周縁に車外側Oから挿入させて係止させるような係止突起45aを、有する構成とされて、この係止突起45aを係止片部41の係止孔41c周縁に係止させることにより(図6参照)、車内側面を係止片部41に接触させた状態で、係止片部41に取り付けられている(図11のA参照)。すなわち、取付基部45は、図10に示すごとく、係止片部41と同様に、下端側の中央に、押え片部6の軸部6aを挿通させるための切欠凹部45bを、下側から略逆U字形状に切り欠くようにして、配設させている。このカバー材44の取付基部45に形成される切欠凹部45bも、アクチュエータ25の車両搭載時に、周縁と軸部6aとの間に隙間を有して、軸部6aと接触しないような大きさに、切り欠かれている(図6,7,9参照)。そして、取付基部45において切欠凹部45bの前側の領域と後側の領域とが、それぞれ、車外側カバー部46,46として、各係止片本体42の車外側Oを全域にわたって覆うとともに、係止片部41の下側取付座5への係止時に、係止片本体42と支持面部7との間に介在されることとなる。
各撓み片47は、各係止片本体42の下端側から車内側Iにかけてを覆うように、各車外側カバー部46の下端側から反転して、車外側カバー部46に対して車内側Iに離隔されるように鉛直方向に対して傾斜しつつ、先端を上方に向けるように、形成されている。この撓み片47は、上下方向の幅寸法を、係止片本体42の車内側Iを全域にわたって覆い可能な寸法に設定し、かつ、左右方向の幅寸法を、係止片本体42の前後方向の内側(切欠凹部41bの周縁)の領域のみ若干露出可能に、係止片本体42の左右の方向より若干小さく設定されている。また、各撓み片47は、下側取付座5への取付前の状態において、元部側(下端側)となる元部側部位48を、上側を車内側Iに向けるように鉛直方向に対して傾斜させ、元部側部位48から連なるように構成されて先端側(上端側)に位置する先端側部位49を、係止片本体42から離隔させた状態で係止片本体42に略沿わせる(鉛直方向に略沿わせる)ようにして、配置される構成とされている(図11のA参照)。そして、各撓み片47は、係止片部41の下側取付座5への係止時に、先端側部位49の元部端(下端)49aを、押え片本体6bの車外側面6cにおける上下の中央付近に当接させつつ、先端(上端)49bを車外側Oに向けるように、元部側部位48の下端48a近傍の領域で、左右方向(車幅方向)に撓み可能に、構成されている(図8,図11のB参照)。
詳細に説明すれば、カバー材44は、各撓み片47を撓ませる前の状態の先端側部位49の領域での左右方向の幅寸法T1(図11のA参照)を、下側取付座5における支持面部7と押え片本体6bとの間の隙間H1(図11のA参照)より大きく設定されて、係止片部41の下側取付座5への係止時に、元部側部位48の下端48a近傍の領域を起点として撓み可能に構成されている。また、各撓み片47は、先端側部位49の長さ寸法(上下方向の幅寸法)L1(図11のA参照)を、係止片部41を下側取付座5に係止させて、カバー材44における車外側カバー部46を支持面部7に当接させた状態で撓み片47を撓ませた際に、図8に示すように、撓み片47における先端側部位49の先端(上端)49bを係止片本体42の車内側面42aに当接可能とし、かつ、この上端49bを押え片本体6bより僅かに上方へ突出させるような寸法に、設定されている。また、実施形態の取付ブラケット33では、係止片部41の下側取付座5への係止時に、係止片本体42の下縁が、押え片部6における押え片本体6bの下縁と略一致するように配置されており、カバー材44は、撓みの起点となる元部側部位48の下端48aを、押え片本体6bより下方に突出させるように、配置されることとなる。
そして、実施形態の取付ブラケット33では、図11のAに示すように、係止片部41を、各切欠凹部41b,45bに押え片部6の軸部6aを挿入させるようにして、下側取付座5における押え片本体6bと支持面部7との間の隙間に、上方側から差し込めば、各撓み片47が、押え片部6における押え片本体6bの車外側面6cにガイドされつつ、先端側部位49の先端(上端49b)を車外側Oに向けるように、元部側部位48の下端48a近傍の部位を起点として、撓むこととなる。そして、取付ブラケット33における取付片部38が下面を上側取付座4の上面に当接させれば、係止片部41の下降移動も停止されることとなり、係止片本体42が、押え片本体6bに対して左右方向(車幅方向)で重なるように、押え片本体6bの車外側Oに配置されることとなって、係止片部41(係止片本体42)が、車内側Iへの移動を抑制されるように、下側取付座5に係止されることとなる(図11のB参照)。
このとき、実施形態の取付ブラケット33では、係止片本体42と支持面部7との間には、係止片部41に取り付けられるカバー材44の車外側カバー部46が、車外側面46aを支持面部7に当接させるようにして介在され、各係止片本体42と押え片部6の押え片本体6bとの間には、カバー材44の各撓み片47が、元部側部位48の下端48aを起点として撓んだ状態で、先端側部位49の元部端(下端)49aを押え片本体6bの車外側面6cに当接させ、先端(上端)49bを係止片本体42の車内側面42aに当接させるようにして、介在されることとなる。すなわち、係止片本体42は、板金製であっても、金属からなる押え片部6及び支持面部7に直接接触することを抑制され、かつ、カバー材44により左右方向(車幅方向)への揺動を抑制された状態で、車内側Iへの移動を抑制されるように、下側取付座5に係止されることとなる。また、実施形態では、前後で並設される係止片本体42,42の間に、押え片部6の軸部6aが介在されることから、係止片部41は、この軸部6aによって、前後方向側への移動も規制されることとなる。
この実施形態の取付ブラケット33は、予め保持部34によりアクチュエータ25(シリンダ26)を保持させた状態で、上側取付座4に形成される挿入孔4cに取付片部38の挿入片39を挿入させつつ、係止片部41を下側取付座5における支持面部7と押え片本体6bとの間の隙間に上方から差し込むように、車内側上方から車外側下方に向かって移動させれば、係止片部41を下側取付座5に係止させることができて、取付ブラケット33を、ボディ側部材としてのフードリッジリインホース2に仮固定することができる。その後、取付ボルト51を、アクチュエータ25におけるシリンダ26の軸方向に略沿わせるように、上方から、取付片部38の取付孔38aを挿通させつつ、ナット4bに締結させれば、取付片部38をフードリッジリインホース2に取り付けることができて、アクチュエータ25をフードリッジリインホース2に固定させることができる。
実施形態の跳ね上げ装置U1では、センサ13からの信号により、図示しない作動回路が、車両Vと歩行者との衝突を検知若しくは予測した際に、アクチュエータ25の駆動源である図示しないガス発生器が作動されることとなり、発生した作動用ガスが、シリンダ26からピストンロッド27を突出させるように、ピストンロッド27を押し上げることとなる。そして、ピストンロッド27の上端27a側を構成する支持ロッド部28の頭部30が、上面を、ヒンジアーム20の連結板部21から構成される受け座22に当接させて、図12に示すように、フードパネル16の後端16cを、下方のカウル14との間の隙間を広げるように上昇させることとなる。そして、図示しないロック機構により、ピストンロッド27の下降移動を規制された後、上昇移動したフードパネル16の後端16cが、図12に示すように、支持ロッド部28の頭部30により下面側を支持された状態で、上方から斜め後下方向に移動する歩行者を受け止めれば、歩行者の運動エネルギーFを受けて、フードパネル16の後端16cが塑性変形しつつ下降移動するとともに、このフードパネル16の後端16cの下降移動に伴って、受け座22に頭部30を当接させている支持ロッド部28の軸部29が、歩行者の運動エネルギーFを吸収しつつ、頭部30を後方に向けるように、曲げ塑性変形されることとなる(図13参照)。
そして、実施形態の跳ね上げ装置U1では、アクチュエータ25のシリンダ26をボディ1側に固定させる取付ブラケット33は、シリンダ26を保持している保持部34における一方の壁部(車外側壁部35)の上端35b側を、取付片部38によりボディ側部材としてのフードリッジリインホース2に形成される上側取付座4に固定させるとともに、下端35c側を、係止片部41によってフードリッジリインホース2に形成される下側取付座5に係止させて、下端側のフードリッジリインホース2からの離隔(車内側Iへの移動)を抑制された状態で、フードリッジリインホース2に取り付けられる構成である。そして、取付片部38は、水平方向に略沿って延びるように形成されるとともに、一本の取付ボルト51を上方から締結させることにより、一箇所で、フードリッジリインホース2の上側取付座4に取り付けられている。すなわち、実施形態の跳ね上げ装置U1では、保持部34によりシリンダ26を保持させた取付ブラケット33を、下端側を自由端とするように、上側に形成される取付片部38のみで、取付ボルト51を使用して上側取付座4に強固に取り付ける一点止めとして、かつ、この取付ボルト51を、上側取付座4に対して、シリンダ26の軸方向に略沿わせるように上方から締結させる構成であっても、シリンダ26を保持させている保持部34の下端側(車外側壁部35の下端35c側)を、フードリッジリインホース2からの離隔を抑制するように、フードリッジリインホース2に形成される下側取付座5に係止させていることから、アクチュエータ25を、シリンダ26の下端側(キャップ26c側)をフードリッジリインホース2から大きく離隔させるような動きを抑制された状態(実施形態では、殆ど停止させることができる)で、車両Vに搭載させることができる。なお、実施形態の跳ね上げ装置U1では、アクチュエータ25の下端側のフードリッジリインホース2(ボディ側部材)への接近するような動きは、アクチュエータ25の下端側(シリンダ26の下端側)がフードリッジリインホース2自体にあたって抑制されることとなる。
また、実施形態の跳ね上げ装置U1では、取付ブラケット33の保持部34は、アクチュエータ25のシリンダ26を、軸直交方向側で異なる二方向側(実施形態の場合、車外側と後側)から保持する構成であり、また、保持部34自体がL字状断面となって剛性を確保した状態で、シリンダ26を保持することができることから、作動時に、アクチュエータ25が捩れるように動くことも、抑制できる。
さらに、実施形態の跳ね上げ装置U1では、アクチュエータ25を保持部34に保持させた状態の取付ブラケット33の係止片部41を、フードリッジリインホース2の下側取付座5に係止させた状態で、取付ボルト51を上方から差し込むようにして、フードリッジリインホース2の上側取付座4に配置されるナット4bに締結させれば、取付ブラケット33を車両Vのボディ1側であるフードリッジリインホース2に固定させることができることから、組付作業が容易であり、また、固定に必要な取付ボルト51も一本であることから、組付工数を低減させることも可能となり、製造工数を低減させることもできる。特に、実施形態の場合、作業用の空間を確保しやすい上方から工具を差し込んで、取付ボルト51の締結作業を行えばよいことから、ボルト締結用の工具をエンジンルーム内に差し込み、取付ボルトを、軸方向を左右方向(車幅方向)に沿わせるように締結させて、取付ブラケットをボディ側の部材と取り付ける場合と比較して、組付作業が一層容易である。
したがって、実施形態の跳ね上げ装置U1では、簡便な構成として、作動時の変形を抑制して、容易にボディ側部材としてのフードリッジリインホース2に固定させることができる。
さらに、実施形態の跳ね上げ装置U1では、係止片部41は、係止片部41側に配置される合成樹脂製のカバー材44を間に介在させた状態で、下側取付座5に介在される構成である。そのため、金属製の係止片部41(係止片本体42)が、金属製のフードリッジリインホース2(ボディ側部材)及び下側取付座5を構成する押え片部6と直接接触することを防止できることから、走行時等に異音が発生することを防止できる。なお、このような点を考慮しなければ、係止片部及び下側取付座を、後述する跳ね上げ装置U3のように構成してもよい。
特に、実施形態の跳ね上げ装置U1では、係止片部41の外周側を覆っているカバー材44は、左右方向(車幅方向)に撓み可能な撓み片47を、係止片部41における係止片本体42の車内側I(係止片本体42と下側取付座5を構成する押え片本体6bとの間)に配設させ、この撓み片47を撓ませた状態で、係止片本体42と押え片本体6bとの間に介在させている構成である(図8参照)。そのため、車両の走行時等において、係止片部41が、支持面部7と押え片本体6bとの間の隙間内において、左右方向(車幅方向)に揺動することも抑制することができる。勿論、このような点を考慮しなければ、カバー材として、撓み片を備えず、単に係止片本体の車内側と車外側とを覆うような構成のものを使用してもよい。なお、実施形態では、カバー材44は、係止片部41側に取り付けられているが、勿論、係止片部と下側取付座との間に介在させるようにして、カバー材を下側取付座側に取り付ける構成としてもよい。さらには、カバー材を、下側取付座側と、係止片部側と、の両方に取り付ける構成としてもよい。
なお、実施形態の跳ね上げ装置U1では、下側取付座5を構成する押え片部6が、軸部6aと押え片本体6bとを備える構成とされ、取付ブラケット33の係止片部41及びカバー材44が、軸部6aを跨ぐように構成されているが、押え片部,係止片部,カバー材の形状はこれに限られるものではなく、図14に示す跳ね上げ装置U2のごとく構成してもよい。なお、跳ね上げ装置U2は、図14に示すように、下側取付座5Aにおける押え片部54及び取付ブラケット33Aにおける係止片部41A以外は、前述の跳ね上げ装置U1と同様の構成であり、同一の部材には、同一の図符号を付して詳細な説明を省略する。
この跳ね上げ装置U2においても、下側取付座5Aは、図14〜17に示すように、内壁部2bから車内側Iに向かって突出するように形成される押え片部54と、内壁部2bにおける押え片部54の周囲の領域である支持面部7Aと、から構成されている。下側取付座5Aの押え片部54は、板金製として、フードリッジリインホース2の内壁部2bから車内側Iに突出するように形成されるとともに、左右両縁側を内壁部2bに固着させるような断面略コ字形状として、上下方向に貫通して構成されている。換言すれば、押え片部54は、図15〜17に示すように、略長方形板状として内壁部2bにおける支持面部7Aとの間に隙間を設けるように配置される押え片本体55と、押え片本体55の前後両側から車外側Oに向かって延びる縦壁部56,56と、各縦壁部56,56から相互に離隔するように延びて内壁部2bに固着される固着部57,57と、を備える構成とされており、押え片本体55と支持面部7Aとの間の隙間に係止片部41Aを上方から挿入させて、押え片本体55により係止片部41Aを係止する構成である。
取付ブラケット33Aは、係止片部41Aの外形形状以外は、前述の跳ね上げ装置U1における取付ブラケット33と同様の構成であり、同一の部材には、同一の図符号を付して詳細な説明を省略する。取付ブラケット33Aに形成される係止片部41Aは、図14〜17に示すごとく、前述の跳ね上げ装置U1における係止片部41と同様に、係止片本体42Aと、係止片本体42Aの外周側を覆うカバー材44Aとを備える構成である。係止片部41Aは、下端側に切欠凹部を備えず、下端側の領域を全域にわたって一つの係止片本体42Aとしている。また、カバー材44Aも、係止片本体42Aの外形形状に併せて、切欠凹部を備えず、撓み片47Aを一つとしている以外は、前述の係止片部41と同様の構成であり、同様の部材には、同一の図符号の末尾に「A」を付して、詳細な説明を省略する。なお、係止片部41Aの係止片本体42Aは、幅寸法(前後方向の幅寸法)を、押え片本体55の前後方向の幅寸法(縦壁部56,56間の離隔距離)より小さくして、押え片部54内に挿入可能で、かつ、係止片部41Aの下側取付座5Aへの係止時に、縦壁部56,56との間に隙間を有して縦壁部56,56と接触しないような寸法に、設定されている。係止片本体42Aの外周側を覆うカバー材44の幅寸法(前後方向の幅寸法)は、押さえ片本体55の前後方向の幅寸法(縦壁部56,56間の離隔距離)より小さくして、押え片部54内に挿入可能で、かつ、係止片本体42Aの外周側を覆い可能に係止片本体42Aの前後方向の幅寸法より若干大きく設定されている。
この取付ブラケット33Aにおいても、係止片部41Aを、下側取付座5Aにおける押え片本体55と支持面部7Aとの間の隙間に、上方側から差し込めば、撓み片47Aが、押え片部54における押え片本体55の車外側面55aにガイドされつつ、先端側部位49Aの先端(上端49b)を車外側Oに向けるように、元部側部位48Aの下端48a近傍の部位を起点として、撓むこととなる。そして、取付ブラケット33Aにおける取付片部38が下面を上側取付座4の上面に当接させれば、係止片部41Aの下降移動も停止されることとなり、係止片本体42Aが、押え片本体55に対して左右方向(車幅方向)で重なるように、押え片本体55の車外側Oに配置されることとなって、係止片部41A(係止片本体42A)が、車内側Iへの移動を抑制されるように、下側取付座5Aに係止されることとなる。このとき、この取付ブラケット33Aにおいても、係止片本体42Aと支持面部7Aとの間には、係止片部41Aに取り付けられるカバー材44Aの車外側カバー部46Aが、車外側面46aを支持面部7Aに当接させるようにして介在され、各係止片本体42Aと押え片部54の押え片本体55との間には、カバー材44Aの撓み片47Aが、元部側部位48Aの下端48aを起点として撓んだ状態で、先端側部位49Aの元部端(下端)49aを押え片本体55の車外側面55aに当接させ、先端(上端)49bを係止片本体42Aの車内側面42aに当接させるようにして、介在されることとなる。すなわち、このような構成の取付ブラケット33Aにおいても、係止片部41Aは、板金製であっても、金属からなる押え片部54及び支持面部7Aに直接接触することを抑制され、かつ、カバー材44Aにより左右方向(車幅方向)への揺動を抑制された状態で、車内側I(左側)への移動を抑制(防止)されるように、下側取付座5Aに係止されることとなる。また、この跳ね上げ装置U2では、係止片部41A(係止片本体42A)の前後に、押え片部54の縦壁部56,56が配置されていることから、係止片部41Aは、この縦壁部56,56によって、前後方向側への移動も規制されることとなる。
次に、係止片部41Bと下側取付座5Bとの間にカバー材を介在させない構成の跳ね上げ装置U3について説明をする。跳ね上げ装置U3は、図18に示すように、下側取付座5B及び取付ブラケット33B以外は、前述の跳ね上げ装置U1と同様の構成であり、同一の部材には、同一の図符号を付して詳細な説明を省略する。
この跳ね上げ装置U3では、下側取付座5Bは、図18,19に示すように、フードリッジリインホース2の内壁部2bにおいて、左右方向(左右方向)に貫通して形成される係止孔58から、構成されている。この係止孔58は、取付ブラケット33Bの係止片部41Bにおける後述する係止片本体60及び係止首部59を挿通可能として、かつ、下縁58a側により係止片本体60を係止可能に略長方形状に開口して形成されている。
取付ブラケット33Bは、車外側壁部35Bの上下の長さを長く設定して、車外側壁部35Bの下端側にも突起部35aを配設させている構成と、係止片部41B以外は、前述の跳ね上げ装置U1における取付ブラケット33と同様の構成であり、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「B」を付して詳細な説明を省略する。取付ブラケット33Bに形成される係止片部41Bは、カバー材を備えず、先端側を車外側に位置させつつ下方に向けるように、段差状に屈曲させて構成されている。すなわち、係止片部41Bは、車外側に向かって突出するように左右方向(車幅方向)に略沿って形成される係止首部59と、係止首部59の先端から下方に向かって延びる係止片本体60と、を備える構成とされている。係止首部59及び係止片本体60は、図19に示すように、幅寸法(前後方向の幅寸法)を、一致させて構成されるとともに、係止孔58の前後方向の開口幅寸法より小さくして、係止孔58に挿通可能に構成されている。また、係止片本体60の上下方向の幅寸法は、図18に示すように、係止孔58に挿通可能で、かつ、係止片部41Bの下側取付座5Bへの係止時に、先端を係止孔58の下縁58aより下方に位置させるような寸法に、設定されている。
このような構成の取付ブラケット33Bを用いた跳ね上げ装置U3では、予め保持部34によりアクチュエータ25(シリンダ26)を保持させた状態で、上側取付座4に形成される挿入孔4cに取付片部38の挿入片39を挿入させつつ、係止片部41Bを、先端側の係止片本体60を係止孔58に挿入させるようにして、取付ブラケット33Bを車内側上方から車外側下方に向かって移動させ、取付ブラケット33Bにおける取付片部38が下面を上側取付座4の上面に当接させれば、係止片部41Bの下降移動も停止されて、係止片部41Bが下側取付座5Bに係止されることとなる。このとき、実施形態の取付ブラケット33Bでは、係止首部59が、係止孔58の下縁58a近傍に位置することとなり、係止片本体60は、係止孔58の下縁58aより下方の領域と、左右方向(車幅方向)で重なるように配置されることとなる。
そして、このような構成の取付ブラケット33Bを使用した場合にも、仮にアクチュエータ25のシリンダ26を保持させた取付ブラケット33Bが、下端側をフードリッジリインホース2から離隔させるように移動しようとしても、車外側壁部35の下端35c側に形成される係止片部41Bの係止片本体60が、下側取付座5Bより車外側Oに位置して、係止孔58の下縁58a側の領域により係止されて、取付ブラケット33Bの下端側の車内側への移動を抑制することとなる。すなわち、上記構成の跳ね上げ装置U3においても、保持部34Bによりシリンダ26を保持させた取付ブラケット33Bを、下端側を自由端とするように、上側に形成される取付片部38のみで、取付ボルト51により上側取付座4に強固に取り付ける一点止めとして、かつ、この取付ボルト51を、上側取付座4に対して、シリンダ26の軸方向に略沿わせるように上方から締結させる構成であっても、シリンダ26を保持させている保持部34の下端側を、フードリッジリインホース2からの離隔を抑制するように、フードリッジリインホース2に形成される下側取付座5Bに係止させていることから、アクチュエータ25を、シリンダ26の下端側(キャップ26c側)を車内側I(左側)へ大きく移動させるような動きを抑制されて、強固にフードリッジリインホース2に固定された状態で、車両Vに搭載させることができる。
なお、上記構成の跳ね上げ装置U3においても、係止片部41Bにおける係止首部59の前後に、係止孔58の周縁が配置されることから、係止片部41Bは、係止孔58の周縁によって、前後方向側への移動も規制されることとなる。
また、実施形態の跳ね上げ装置U1,U2,U3では、アクチュエータ25と取付ボルト51とを、取付ボルト51をアクチュエータ25の車外側Oに位置させるように、左右方向に略沿って並設させている。すなわち、実施形態の跳ね上げ装置U1,U2,U3では、アクチュエータ25におけるシリンダ26が、車外側O(右側)を、下端側をフードリッジリインホース2に係止させた取付ブラケット33,33A,33Bの保持部34,34Bにより直接的に支持させることができ、作動時に、アクチュエータ25が、下端側(キャップ26b側)をフードリッジリインホース2から離れた車内側I(左側)に向けるように傾斜することを的確に防止することができる。また、実施形態の跳ね上げ装置U1,U2,U3では、アクチュエータ25の車外側O(右側)にフードリッジリインホース2が位置していることから、作動時に、仮にアクチュエータ25が、下端側(キャップ26b側)を車外側O(右側)に向けるように動いても、フードリッジリインホース2に当たることとなり、アクチュエータ25が、下端側を車外側Oに向けるように傾斜することも、的確に防止することができる。そのため、ピストンロッド27がフードパネル16の歩行者の受け止め時において上端27a側の頭部30を後方側に向けるように曲げ塑性変形される際に、上端27aを車内側I若しくは車外側Oに向けるように傾くことを抑制できて、ピストンロッド27を、確実に上端27aを後方側に向けるように曲げ塑性変形させることができる。その結果、実施形態の跳ね上げ装置U1,U2,U3では、ピストンロッド27の曲げ塑性変形により、歩行者の運動エネルギーを安定して吸収することができる。
勿論、このような点を考慮しなければ、取付ブラケットの保持部により、シリンダの車外側を覆う構成としなくともよく、取付ブラケットを、保持部により、シリンダの車内側と前方側、あるいは、シリンダの車内側と後方側を保持させるように構成してもよい。また、取付ブラケットを固定させる車両のボディ側部材も、フードリッジリインホース2に限られるものではなく、例えば、カウルパネル14aから、二つの面(上面と側面)を有するような取付ブラケットを延ばし、この取付ブラケットを介して、カウルパネル14aに取付ブラケットを取り付ける構成としてもよい。
また、実施形態の跳ね上げ装置U1,U2,U3では、取付ブラケット33,33A,33Bに、保持部34,34における後側壁部36,36Bから連なるように形成される補強リブ部33bを、取付片部38,38Bと車外側壁部35,35Bとの境界部位を越えて取付片部38,38Bまで、連続的に配設させている。そのため、取付ブラケット33,33A,33B自体が、保持部34,34Bだけでなく、取付片部38,38Bから保持部34,34Bにかけての境界部位付近を捩られるように変形することも抑制できて、作動時におけるアクチュエータ25の捩れるような動きを一層的確に防止できる。特に、実施形態の取付ブラケット33,33A,33Bには、取付片部38,38Bと車外側壁部35,35Bの前縁側にも、連続的に全域にわたって形成される補強リブ部33cが、形成されていることから、取付片部38,38Bから保持部34,34Bにかけての境界部位が捩れるように変形することを確実に防止することができる。勿論、このような点を考慮しなければ、取付ブラケットとして、補強リブを備えない構成のものを使用してもよい。
なお、実施形態では、取付ブラケット33,33A,33Bにおける保持部34,34Bを構成する車外側壁部35,35Bと後側壁部36,36Bとが、上下方向側から見て略直交するように、形成されているが、これらの壁部の交差角度は90°に限られるものではなく、2つの壁部によりシリンダを的確に保持可能であれば、鈍角であっても、鋭角であってもよい。