JP2006205834A - 自動車のフロントピラーの補強構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】インパネリインホースメントに作用した荷重のフロントピラーのインナパネルへの入力を低減させることができる自動車のフロントピラーの補強構造を提供する。
【解決手段】フロントピラー11は、サイドアウタパネル12とインナパネル13とが閉断面を形成するように接合され、閉断面内においてインナパネル13と閉断面を形成するFRピラーR/F14を備えている。フロントピラー11の内部には、車両の前後方向に作用する荷重を担う第1の補強部材19及び第2の補強部材20が設けられ、第1の補強部材19に対して連結部材を介してインパネリインホースメント21が連結されている。第1の補強部材19及び第2の補強部材20は断面崩れし難い形状に形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】フロントピラー11は、サイドアウタパネル12とインナパネル13とが閉断面を形成するように接合され、閉断面内においてインナパネル13と閉断面を形成するFRピラーR/F14を備えている。フロントピラー11の内部には、車両の前後方向に作用する荷重を担う第1の補強部材19及び第2の補強部材20が設けられ、第1の補強部材19に対して連結部材を介してインパネリインホースメント21が連結されている。第1の補強部材19及び第2の補強部材20は断面崩れし難い形状に形成されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自動車のフロントピラーの補強構造に関する。
フロントピラーを補強するためフロントピラーの内部に補強部材を設けたものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。特許文献1に開示された補強部材は、アウタパネルに接合しドア用支持部材を補強する第1の補強面と、第1の補強面に連設面を介して連設されインナパネルに接合してステアリング用支持部材(インパネリインホースメント)を補強する第2の補強面と、前記両補強面及び連設面の上方に向けて連設された第3の補強面とを備えている。そして、第2の補強面と第3の補強面との連設部に段差部を設け、第3の補強面の前記段差部に連続する面を、前記インナパネル及びアウタパネルの接合フランジ間に挟持されて支持される支持フランジと面平行な平行面に形成し、第3の補強面を下から上に行くにしたがって徐々に平板状に形成している。
特許文献2のフロントピラー構造は、図9に示すように、閉断面を形成するサイドアウタパネル61及びフロントピラーインナパネル(FRピラーインナパネル)62と、両パネル61,62の閉断面内においてFRピラーインナパネル62と閉断面を形成するフロントピラーリインホースメント(FRピラーR/F)63とを備えている。両パネル61,62の前端部はカウルインナパネル64の側端部と溶接により結合されている。両パネル61,62の後端部はFRピラーR/F63の後端部とともに溶接により結合されている。FRピラーR/F63は、FRピラーR/F63がFRピラーインナパネル62とにより形成する閉断面がその断面と交差する方向に略一定の大きさに形成されるとともに、前端部63aがFRピラーインナパネル62の中間部に対して、インパネリインホースメントブラケット65の前端部と共に溶接によって結合されている。インパネリインホースメントブラケット65の後端部には後面取付部65aが形成され、後面取付部65aの先端は、FRピラーインナパネル62の後面取付部62aに溶接によって結合されている。インパネリインホースメントブラケット65の後面取付部65aには、ステアリングを支持するインパネリインホースメント66の端部がインパネリインホースメントブレース67及びボルト68により締結されている。カウルインナパネル64とインパネリインホースメントブラケット65との間にはカウルブレース69が溶接により結合されている。
特開平4−38276号公報(第2頁、図1,2)
特開平11−115801号公報(明細書の段落[0022]〜[0030]、図1〜3)
特許文献1及び特許文献2の構造では、ステアリングを支持するインパネリインホースメントは、フロントピラーのインナパネルに連結されている。そして、インパネリインホースメントに荷重(力)が入力されると、インナパネルを介してその荷重がフロントピラーリインホースメントに伝達される。衝突時にインパネリインホースメントに車両の後方へ荷重が入力されると、その荷重がフロントピラーリインホースメントに伝達される。インパネリインホースメントの移動量を現状より低減させるには、従来の構成ではフロントピラーリインホースメントをより高い荷重に耐えるように全体を肉厚にする等の対策が必要になる。
また、インパネリインホースメントの軸方向に荷重が作用する場合、インナパネルに対してアウタパネルとの結合部を開こうとする力が作用し、結合部がスポット溶接で結合されている場合は、剥がれるのを防止するためスポット溶接点の数を多くする必要がある。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、インパネリインホースメントに作用した荷重のフロントピラーのインナパネルへの入力を低減させることができる自動車のフロントピラーの補強構造を提供することにある。
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、サイドアウタパネルとフロントピラーインナパネルとが閉断面を形成するように接合されたフロントピラーを備えた自動車のフロントピラーの補強構造である。そして、前記フロントピラーの内部には、車両の前後方向に作用する荷重を担う補強部材が設けられ、前記補強部材に対してインパネリインホースメントが連結されている。
この発明では、車両の前後方向に作用する荷重を担う補強部材がフロントピラー内に設けられ、その補強部材にインパネリインホースメントが連結されているため、衝突時にインパネリインホースメントに車両の前後方向への荷重が作用した際、その荷重が補強部材で担われる。従って、従来構成に比較してフロントピラーインナパネルへの荷重の入力を低減できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記フロントピラーは、前記閉断面内において前記フロントピラーインナパネルと閉断面を形成するフロントピラーリインホースメントを備えている。この発明では、フロントピラー内にフロントピラーインナパネルと閉断面を形成するフロントピラーリインホースメントを備えているため、フロントピラーインナパネルが担う荷重をより低減できる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記補強部材は複数に分割され、その内の一つが前記インパネリインホースメントに連結されている。この発明では、補強部材が1個の場合に比較して成形性が良くなる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記インパネリインホースメントは、連結部材を介して前記補強部材に連結されている。この発明では、補強部材を直接インパネリインホースメントに連結する場合に比較して、連結作業が容易になる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記補強部材は、前記連結部材に2箇所以上で固定されている。補強部材が1箇所で固定された構成では、補強部材に外力が作用した際、固定箇所を中心に回転しようとする。しかし、この発明では、2箇所以上で固定されているため、補強部材の回転が拘束され、固定箇所が一箇所の場合に比較して、外力を担う効果が向上する。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記補強部材の前記連結部材に対する固定箇所は、2個の固定箇所を通る仮想平面がインパネリインホースメントを軸方向に切断する位置となるように設定されている。この発明では、外力を担う効果がより向上する。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記補強部材は、前記連結部材に対する連結部として連結方向が異なる連結部を備えている。この発明では、連結部が一平面上に存在する場合に比較して、該平面と交差する方向からの力を受けた場合に外力を担う効率が良くなる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明において、前記補強部材は断面崩れし難い形状に形成されている。この発明では、補強部材の剛性が向上し、フロントピラーの補強効果がより向上する。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の発明において、前記補強部材は、車両衝突時の入力をベルトラインリインホースメントに伝達可能な位置に配置されている。この発明では、車両の衝突時に補強部材を車両後方に移動させる荷重が加わった場合、その荷重がベルトラインリインホースメントで担われるため、ベルトラインリインホースメントに前記荷重が伝達されない構成に比較して、より高い荷重に耐えることができる。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の発明において、前記補強部材は、前記サイドアウタパネルの前端から後端にかけて延びる直線状の板部を有している。ここで「サイドアウタパネルの前端から後端にかけて延びる直線状の板部を有している」とは、補強部材が1個の場合は、サイドアウタパネルのほぼ前端から後端まで延びる一つの平面状の板部が存在することを意味し、補強部材が複数個に分割された構成の場合は、分割された各補強部材がサイドアウタパネルのほぼ前端から後端まで延びる仮想平面上に存在する平面状の板部を有し、各板部が隣接して配置されていることを意味する。
本発明によれば、インパネリインホースメントに作用した荷重のフロントピラーのインナパネルへの入力を低減させることができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。
図1はフロントピラーの補強構造の断面図であり、補強部材が配設される車両のベルトラインの高さにおける断面図である。より詳しく言えば、図5においてインパネリインホースメントの中心付近を通る水平面で切断した断面図である。但し、インパネリインホースメントは断面とせずに示している。図2はフロントピラーリインホースメントと補強部材との関係を示す模式側面図、図3及び図4は補強部材の斜視図である。図5はフロントピラーインナパネルと補強部材等の関係を示す側面図、図6はインパネリインホースメントの支持状態を示す概略斜視図である。
図1はフロントピラーの補強構造の断面図であり、補強部材が配設される車両のベルトラインの高さにおける断面図である。より詳しく言えば、図5においてインパネリインホースメントの中心付近を通る水平面で切断した断面図である。但し、インパネリインホースメントは断面とせずに示している。図2はフロントピラーリインホースメントと補強部材との関係を示す模式側面図、図3及び図4は補強部材の斜視図である。図5はフロントピラーインナパネルと補強部材等の関係を示す側面図、図6はインパネリインホースメントの支持状態を示す概略斜視図である。
図1に示すように、フロントピラー11は、サイドアウタパネル12とフロントピラーインナパネル(以下、インナパネルと称す)13とが閉断面を形成するように接合され、前記閉断面内においてインナパネル13と閉断面を形成するフロントピラーリインホースメント14とを備えている。以下、フロントピラーリインホースメント14をFRピラーR/F14と記す場合もある。両パネル12,13の前端部(前側フランジ)は溶接により結合され、両パネル12,13の後端部(後側フランジ)はFRピラーR/F14の後端部(後側フランジ)と共に溶接により結合されている。FRピラーR/F14の前端部(前側フランジ)14aはインナパネル13の前後方向の中間部に溶接により結合されている。この実施形態においては、前端部14aはインナパネル13のほぼ中央部に結合され、フロントピラー11は少なくともベルトラインの高さにおいてはフロントピラーリインホースメント14によって二つの閉断面部15a,15bに区画されている。なお、図1において、サイドアウタパネル12及びインナパネル13の肉厚をFRピラーR/F14の肉厚より厚く図示しているが、実際はFRピラーR/F14の肉厚の方が厚い。
図1に示すように、フロントピラー11の後方(図1の右方)には、フロントドア16(一部のみ図示)を構成するドアインナパネル16a、ドア内装パネル16b、ドアリインホースメント17、ベルトラインリインホースメントとしてのドアリインホースメント18が配設されている。ドアリインホースメント18はドアインナパネル16aに溶接で結合されるとともに、その前端部18aはフロントドア16の外側方向(図1の上側)に屈曲されている。
図2に示すように、FRピラーR/F14には車両のベルトラインの高さ、即ちドアリインホースメント18の高さと対応する位置に、車両の前後方向に作用する荷重を担う補強部材として、第1の補強部材19及び第2の補強部材20が設けられている。即ち、この実施形態では2個の(複数の)補強部材が設けられている。そして、第1の補強部材19が後側に配設され、第2の補強部材20が前側に配設されている。
第1及び第2の補強部材19,20は鋼板により断面崩れし難い形状に形成されている。第1及び第2の補強部材19,20は、基本形状はほぼ同じ箱状に形成され、第1の補強部材19はインパネリインホースメント21を支持する後記する連結部材との連結部を備えている点が第2の補強部材20と大きく異なっている。
図3に示すように、第1の補強部材19は、一方が開放された略箱状に形成され、開放部と対向する壁の中央には車両の前後方向(図3の左右方向)に延びる凸部19aが内側に向かって突設されている。第1の補強部材19は、FRピラーR/F14に取り付けられた状態で下側となる壁の後側寄りに第1の連結部19bが形成され、後側の壁に第2の連結部19cが形成されている。また、第1の補強部材19は、後側上部に、孔を有する取付片19dを備えている。取付片19dは、第1の補強部材19をFRピラーR/F14に精度良く位置決めした状態で取り付けるためのものである。第1の補強部材19において、開放部と対向する壁がサイドアウタパネル12の前端から後端にかけて延びる直線状の板部を構成する。
第1の連結部19bは、取付状態において車幅方向に水平状態で延びる部分と、その先端から下方に垂直に屈曲された部分とを有する形状に形成され、垂直に屈曲された部分に孔が形成されるとともに、孔を貫通するボルト22a(図1に図示)が螺合されるウェルドナット22bを備えている。第2の連結部19cは、取付状態において車幅方向に垂直状態で延びる部分を有し、その部分に孔が形成されるとともに、孔を貫通するボルト27(図6に図示)が螺合されるウェルドナット22bを備えている。即ち、第1の補強部材19は、後記する連結部材に対する連結部として連結方向が異なる連結部として第1の連結部19b及び第2の連結部19cを備えている。この実施形態では両連結部19b,19cは前記連結方向が直交する方向となるように形成されている。
図4に示すように、第2の補強部材20は、一方が開放された略箱状で、FRピラーR/F14に取り付けられた状態で前側となる壁、即ち前壁20aの幅が、後壁20bの幅より狭く形成されている。また、開放部と対向する壁にはFRピラーR/F14に取り付けられた状態で上側となる部分に段差部が形成されている。第2の補強部材20において、開放部と対向する壁がサイドアウタパネル12の前端から後端にかけて延びる直線状の板部を構成する。
図1に示すように、第1の補強部材19は、開放部がインナパネル13と対向する状態で閉断面部15aにおけるFRピラーR/F14の内側に配置された状態でFRピラーR/F14に取り付けられている。また、第2の補強部材20は、開放部がインナパネル13と対向する状態で閉断面部15bにおけるFRピラーR/F14の外側に配置された状態でFRピラーR/F14に取り付けられている。第1の補強部材19は、後壁がFRピラーR/F14にスポット溶接で結合され、前壁が第2の補強部材20の後壁20bと共にFRピラーR/F14にスポット溶接で結合されている。第2の補強部材20の前壁20aはサイドアウタパネル12に溶接で結合されている。
インパネリインホースメント21を精度良く所定の位置に取り付けるためには、第1の補強部材19を精度良くFRピラーR/F14に取り付ける必要がある。そのため、第1の補強部材19をFRピラーR/F14に取り付ける場合は、先ず第1の補強部材19の位置決めを行った状態で、ナット及び取付片19dの孔を貫通するボルトによって第1の補強部材19をFRピラーR/F14に固定する。その後、第1の補強部材19とFRピラーR/F14との溶接、第1の補強部材19と第2の補強部材20とFRピラーR/F14との溶接、第2の補強部材20とサイドアウタパネル12との溶接が行われる。
図1、図5及び図6に示すように、インパネリインホースメント21は、連結部材23を介して第1の補強部材19に連結されている。連結部材23は第1部品24及び第2部品25の二つの部品で構成され、両部品24,25はそれぞれ円弧状の湾曲面で構成された挟持部を有し、その挟持部でインパネリインホースメント21の端部を挟持可能に構成されている。そして、図6に示すように、両部品24,25はボルト26及びナットによって締め付け固定されることによりインパネリインホースメント21を挟持する。
第1の補強部材19は、連結部材23に2箇所以上(この実施形態では2箇所)で固定される。図5に示すように、第1の補強部材19の連結部材23に対する固定箇所は、両固定箇所を通る仮想平面がインパネリインホースメント21を軸方向に切断する位置となるように設定されている。詳述すると、第1部品24は、第2部品25と当接する面に対して直角に折り曲げられた面24aを有し、面24aには第1部品24をインナパネル13及び第1の補強部材19に固定するボルト24b,22aを挿通する孔が形成されている。孔は2箇所に形成されており、一方の孔に挿通されるボルト24bがインナパネル13の内面に設けられたウェルドナット(図示せず)に螺合されて、第1部品24をインナパネル13に締め付け固定する。他方の孔に挿通されるボルト22aがインナパネル13に形成された孔を貫通するとともに第1の補強部材19の第1の連結部19bに設けられたウェルドナット22bに螺合されて、第1部品24、インナパネル13及び第1の補強部材19の第1の連結部19bを締め付け固定する。
図6に示すように、第2部品25は、第1部品24と当接する面に対して直交する面内において延びるように形成されるとともに孔を有する支持片25aを備えている。支持片25aは、連結部材23がインナパネル13の所定位置に固定された状態で、インナパネル13を挟んで、第1の補強部材19の第2の連結部19cと対応する状態となるように形成されている。そして、支持片25aの孔に挿通されるボルト27がインナパネル13に形成された孔を貫通するとともに第1の補強部材19の第2の連結部19cに設けられたウェルドナット22b(図1,3に図示)に螺合されて、第2部品25、インナパネル13及び第1の補強部材19の第2の連結部19cを締め付け固定する。なお、インナパネル13の支持片25aと対応する部分13aには、第2の連結部19cの先端側を収容する凹部(図示せず)が連結部材23側(外側)に突出するように設けられ、第2の連結部19cのウェルドナット22bが支持片25aと対応するようになっている。
従って、図5において、ボルト22aによる第1部品24に対する固定箇所と、ボルト27による第2部品25に対する固定箇所とが第1の補強部材19の連結部材23に対する固定箇所となり、両固定箇所は両固定箇所を通る仮想平面がインパネリインホースメント21を軸方向に切断する位置となるように設定されている。
図5に示すように、インナパネル13には、連結部材23が固定された箇所と対応する位置の前側に、インナパネル13を図示しないカウルパネルに連結する部材28,29が固定されている。
次に前記のように構成されたフロントピラー11の補強構造の作用を説明する。車両の前面衝突時において、インパネリインホースメント21に車両の前後方向への荷重が作用した際、その荷重が連結部材23を介してインナパネル13に伝達される。連結部材23は従来の構成と異なり、第1の補強部材19にも固定されており、第1の補強部材19はFRピラーR/F14を介して第2の補強部材20にも連結されているため、前記荷重の多くが第1の補強部材19及び第2の補強部材20で担われる。
また、連結部材23を介して第1の補強部材19に伝達された荷重により、第1の補強部材19がFRピラーR/F14及びフロントピラー11を変形させて後方へ移動すると、ベルトラインの位置に存在するドアリインホースメント18にその荷重が担われ、第1の補強部材19等の後方への移動が抑制される。
車両の前面衝突時において、カウルアウタに作用した衝撃荷重が部材28,29を介してフロントピラー11に伝達されると、その荷重は第1の補強部材19及び第2の補強部材20により主として担われるため、フロントピラー11の変形量が少なくなる。
また、衝突時にインパネリインホースメント21に対してその軸方向への力が作用する状態となる場合がある。インパネリインホースメント21が第1の補強部材19に連結されていない構成の場合、インパネリインホースメント21の軸方向へ作用する荷重をインナパネル13が殆ど担うことになる。その荷重はインナパネル13及びサイドアウタパネル12の結合部を開くように作用するため、前記結合部をスポット溶接で構成する場合は溶接点の数を多くして結合部の剥離を防止する必要がある。しかし、この実施形態ではインパネリインホースメント21は連結部材23を介して第1の補強部材19に連結されているため、インパネリインホースメント21の軸方向へ作用する荷重を第1の補強部材19が主として担い、インナパネル13に作用する荷重が小さくなる。従って、前記結合部を開くように作用する荷重が小さくなり、前記結合部をスポット溶接で構成する場合、溶接点の数が少なくても結合部の剥離が防止される。
この実施形態では以下の効果を有する。
(1)フロントピラー11の内部には、車両の前後方向に作用する荷重を担う第1の補強部材19及び第2の補強部材20が設けられ、第1の補強部材19に対してインパネリインホースメント21が連結されている。従って、車両の衝突時にインパネリインホースメント21に車両の前後方向への荷重が作用した際、その荷重が第1の補強部材19及び第2の補強部材20で担われ、従来構成に比較してインナパネル13への荷重の入力を低減できる。また、第1の補強部材19がなく、インパネリインホースメント21を連結部材を介してインナパネル13に連結する従来の構成では、インナパネル13の内面にリテーナを設ける必要があるが、第1の補強部材19に連結することにより、リテーナが不要になる。
(1)フロントピラー11の内部には、車両の前後方向に作用する荷重を担う第1の補強部材19及び第2の補強部材20が設けられ、第1の補強部材19に対してインパネリインホースメント21が連結されている。従って、車両の衝突時にインパネリインホースメント21に車両の前後方向への荷重が作用した際、その荷重が第1の補強部材19及び第2の補強部材20で担われ、従来構成に比較してインナパネル13への荷重の入力を低減できる。また、第1の補強部材19がなく、インパネリインホースメント21を連結部材を介してインナパネル13に連結する従来の構成では、インナパネル13の内面にリテーナを設ける必要があるが、第1の補強部材19に連結することにより、リテーナが不要になる。
(2)補強部材は第1及び第2の補強部材19,20の2個(複数)に分割され、その内の一つである第1の補強部材19がインパネリインホースメント21に連結されている。従って、補強部材が1個の場合に比較して、補強部材の形状が複雑な場合に成形性が良くなる。また、補強部材が1個の場合に比較して、車室内のこもり音が低減する。
(3)インパネリインホースメント21は、連結部材23を介して補強部材(第1の補強部材19)に連結されている。従って、補強部材を直接インパネリインホースメント21に連結する場合に比較して、連結作業が容易になる。
(4)第1の補強部材19は、連結部材23に2箇所で固定されている。第1の補強部材19が1箇所で固定された構成では、第1の補強部材19に外力が作用した際、固定箇所を中心に回転しようとする。しかし、2箇所で固定されているため、第1の補強部材19の回転が拘束され、固定箇所が一箇所の場合に比較して、外力を担う効果が向上する。
(5)連結部材23の第1の補強部材19に対する2箇所の固定箇所は、両固定箇所を通る仮想平面がインパネリインホースメント21を軸方向に切断する位置となるように設定されている。従って、インパネリインホースメント21に外力が作用した際、固定箇所が前記仮想平面がインパネリインホースメント21を軸方向に切断しない位置となる場合に比較して、外力を担う効果が向上する。
(6)第1の補強部材19は、連結部材23に対する連結部として連結方向が異なる第1及び第2の連結部19b,19cを備えている。従って、両連結部19b,19cが一平面上に存在する場合に比較して、該平面と交差する方向からの力を受けた場合に外力を担う効率が良くなる。即ち、インパネリインホースメント21に対して軸方向の荷重が作用する場合でも、軸方向と直交する方向への荷重が作用する場合でも荷重を効率良く担うことができる。
(7)第1及び第2の補強部材19,20は断面崩れし難い形状である箱状に形成されている。従って、第1及び第2の補強部材19,20の剛性が向上し、フロントピラー11の補強効果がより向上する。
(8)第1及び第2の補強部材19,20は、車両衝突時の入力をベルトラインリインホースメントとしてのドアリインホースメント18に伝達可能な位置に配置されている。従って、車両の衝突時に両補強部材19,20を車両後方に移動させる荷重が加わった場合、その荷重がベルトラインリインホースメントで担われるため、ベルトラインリインホースメントに前記荷重が伝達されない構成に比較して、より高い荷重に耐えることができる。その結果、インパネリインホースメント21の後方への移動量を低減できる。
(9)第1の補強部材19は第1及び第2の連結部19b,19cの他に取付片19dを備え、取付片19dを介してFRピラーR/F14に正確に位置決め固定された状態で、溶接によりFRピラーR/F14に固定される。従って、第1の補強部材19に設けられたウェルドナット22bに螺合するボルト22a,27により連結部材23を介して第1の補強部材19と連結されるインパネリインホースメント21を精度良く所定の位置に固定するのが容易になる。
(10)連結部材23は、第1部品24及び第2部品25で構成され、両部品24,25がボルト26及びナットにより締結されてインパネリインホースメント21を挟持するようになっている。従って、連結部材23が1部品で構成される場合に比較して、インパネリインホースメント21を連結部材23にがたつきなく固定するのが容易になる。
(11)フロントピラー11は、サイドアウタパネル12及びインナパネル13により形成される閉断面内においてインナパネル13と閉断面を形成するFRピラーR/Fを備えているため、インナパネル13が担う荷重をより低減できる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 補強部材は第1の補強部材19及び第2の補強部材20の2個に分割された構成に限らない。例えば、図7に示すように、フロントピラー11内に1個の補強部材30を設ける構成としてもよい。補強部材30は、例えば、第1の補強部材19を延長した形状に形成される。そして、FRピラーR/F14には補強部材30の配設位置と対応する部分に補強部材30の貫通を許容する孔が形成される。この場合、第1の補強部材19及び第2の補強部材20を設ける構成に比較して、車両の衝突時に補強部材30に作用する荷重がドアリインホースメント18に伝達され易くなる。補強部材30において、開放部と対向する壁がサイドアウタパネル12の前端から後端にかけて延びる直線状の板部を構成する。
○ 補強部材は第1の補強部材19及び第2の補強部材20の2個に分割された構成に限らない。例えば、図7に示すように、フロントピラー11内に1個の補強部材30を設ける構成としてもよい。補強部材30は、例えば、第1の補強部材19を延長した形状に形成される。そして、FRピラーR/F14には補強部材30の配設位置と対応する部分に補強部材30の貫通を許容する孔が形成される。この場合、第1の補強部材19及び第2の補強部材20を設ける構成に比較して、車両の衝突時に補強部材30に作用する荷重がドアリインホースメント18に伝達され易くなる。補強部材30において、開放部と対向する壁がサイドアウタパネル12の前端から後端にかけて延びる直線状の板部を構成する。
○ 補強部材を3個以上に分割された構成としてもよい。
○ 第1の補強部材19及び補強部材30の取付片19dを省略してもよい。
○ 補強部材の連結部材23に対する固定箇所は2箇所に限らず、1箇所で固定したり、3箇所以上の複数箇所で固定したりしてもよい。しかし、1箇所で固定する構成に比較して、複数箇所で固定する構成の方が外力を担う効果が向上するため好ましい。
○ 第1の補強部材19及び補強部材30の取付片19dを省略してもよい。
○ 補強部材の連結部材23に対する固定箇所は2箇所に限らず、1箇所で固定したり、3箇所以上の複数箇所で固定したりしてもよい。しかし、1箇所で固定する構成に比較して、複数箇所で固定する構成の方が外力を担う効果が向上するため好ましい。
○ 第1の補強部材19又は補強部材30と連結部材23との結合はボルト及びナットによる締結に限らない。例えば、インナパネル13の第1及び第2の連結部19b,19cと対応する箇所に孔を形成し、第1及び第2の連結部19b,19cと、連結部材23とを接着剤で結合してもよい。
○ インパネリインホースメント21は連結部材23を介さずに、インナパネル13を挟んで第1の補強部材19又は補強部材30に連結される構成としてもよい。例えば、インパネリインホースメント21の端部に孔を有する連結部を突設し、その孔に挿通されるボルトでインパネリインホースメント21を第1の補強部材19又は補強部材30に連結する。
○ インパネリインホースメント21を第1の補強部材19又は補強部材30に連結部材23を介さずに連結する場合も、ボルト及びナットによる締結に代えて接着剤で結合してもよい。
○ 連結部材23は2個の部品24,25をボルト及びナットで締結する構成に限らない。例えば、インパネリインホースメント21の端部が嵌合される筒部と、第1及び第2の連結部19b,19cに対応するように筒部から突設された連結部とが一体の構成としてもよい。また、第1及び第2の連結部19b,19cに対応する連結部をインパネリインホースメント21の端部に溶接で接合した構成としてもよい。
○ 第1の補強部材19及び第2の補強部材20は、FRピラーR/F14あるいはサイドアウタパネル12との間で荷重の伝達が円滑に行われる構成、例えば互いに当接した状態あるいは近い状態に配置されていればよく、強固に結合されている必要はない。例えば、第1の補強部材19はインナパネル13に連結されているため、FRピラーR/F14との溶接を省略してもよい。また、第2の補強部材20はサイドアウタパネル12及びFRピラーR/F14との溶接の一方を省略してもよい。
○ 第1の補強部材19、第2の補強部材20及び補強部材30は、断面崩れし難い形状であればよく、一方が開放された箱状に限らない。例えば、図8(a)に示すように、波状に屈曲する部分が前後方向に延びるように形成された基本形状の部分を備えた形状や、図8(b)に示すように、基本形状の部分を渦巻き状としてもよい。また、厚い一枚板であってもよい。なお、図8(a),(b)は第2の補強部材20を示しており、図8(b)では前壁20a及び後壁20bの図示を省略している。
○ 第1の補強部材19、第2の補強部材20及び補強部材30は、一般に鋼板で形成される。しかし、鋼板製ではなく他の金属製や繊維強化樹脂製、例えば炭素繊維強化樹脂製としてもよい。繊維強化樹脂製の部材と他の部材間の接合はボルトとナットによる締結あるいは接着剤による接着で行われる。
○ フロントピラー11は内部にFRピラーR/F14を備えていなくてもよい。その場合、第1の補強部材19、第2の補強部材20及び補強部材30の一部は、FRピラーR/F14に代えてサイドアウタパネル12に結合される。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項2〜請求項10のいずれか一項に記載の発明において、前記複数に分割された補強部材の内、少なくとも前記インパネリインホースメントに連結されていない補強部材は前記サイドアウタパネル及びフロントピラーリインホースメントの少なくとも一方に連結されている。
(1)請求項2〜請求項10のいずれか一項に記載の発明において、前記複数に分割された補強部材の内、少なくとも前記インパネリインホースメントに連結されていない補強部材は前記サイドアウタパネル及びフロントピラーリインホースメントの少なくとも一方に連結されている。
(2)請求項3〜請求項10のいずれか一項に記載の発明において、前記連結部材は円弧状の湾曲面で構成された挟持部を有し、その挟持部でインパネリインホースメントを挟持する。
11…フロントピラー、12…サイドアウタパネル(アウタパネル)、13…フロントピラーインナパネル(インナパネル)、14…フロントピラーリインホースメント(FRピラーR/F)、18…ベルトラインリインホースメントとしてのドアリインホースメント、19…第1の補強部材、19b,19c…連結部、20…第2の補強部材、21…インパネリインホースメント、23…連結部材、30…補強部材。
Claims (10)
- サイドアウタパネルとフロントピラーインナパネルとが閉断面を形成するように接合されたフロントピラーを備えた自動車のフロントピラーの補強構造であって、
前記フロントピラーの内部には、車両の前後方向に作用する荷重を担う補強部材が設けられ、前記補強部材に対してインパネリインホースメントが連結されている自動車のフロントピラーの補強構造。 - 前記フロントピラーは、前記閉断面内において前記フロントピラーインナパネルと閉断面を形成するフロントピラーリインホースメントを備えている請求項1に記載の自動車のフロントピラーの補強構造。
- 前記補強部材は複数に分割され、その内の一つが前記インパネリインホースメントに連結されている請求項1又は請求項2に記載の自動車のフロントピラーの補強構造。
- 前記インパネリインホースメントは、連結部材を介して前記補強部材に連結されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の自動車のフロントピラーの補強構造。
- 前記補強部材は、前記連結部材に2箇所以上で固定されている請求項4に記載の自動車のフロントピラーの補強構造。
- 前記補強部材の前記連結部材に対する固定箇所は、2個の固定箇所を通る仮想平面がインパネリインホースメントを軸方向に切断する位置となるように設定されている請求項5に記載の自動車のフロントピラーの補強構造。
- 前記補強部材は、前記連結部材に対する連結部として連結方向が異なる連結部を備えている請求項5又は請求項6に記載の自動車のフロントピラーの補強構造。
- 前記補強部材は断面崩れし難い形状に形成されている請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の自動車のフロントピラーの補強構造。
- 前記補強部材は、車両衝突時の入力をベルトラインリインホースメントに伝達可能な位置に配置されている請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の自動車のフロントピラーの補強構造。
- 前記補強部材は、前記サイドアウタパネルの前端から後端にかけて延びる直線状の板部を有している請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の自動車のフロントピラーの補強構造。
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JP2005018785A JP2006205834A (ja) | 2005-01-26 | 2005-01-26 | 自動車のフロントピラーの補強構造 |
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JP2013226929A (ja) * | 2012-04-25 | 2013-11-07 | Toyota Motor Corp | フロントピラー構造 |
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2005
- 2005-01-26 JP JP2005018785A patent/JP2006205834A/ja active Pending
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