JP5238638B2 - 車両用フード構造 - Google Patents
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Description
ストライカが車体側のフードロックに係合されることでフードが閉位置に保持される。このフードロックは、車体側の部材として剛性の高いバルクヘッドに設けられている。
この車両用フード構造によれば、フードの前部に衝突荷重が前方から作用した場合にレインフォースが後方に変形して衝突エネルギーを吸収し、フードの前部に衝突荷重が上方から作用した場合にレインフォースが座屈変形して衝突エネルギーを吸収することが可能である(例えば、特許文献1参照。)
このため、レインフォースの変形をストライカで規制することが考えられ、特許文献1のレインフォースで衝突エネルギーを効率よく吸収することが難しいとされていた。
前記フードの前部に前後の頂部が設けられるとともに底部に前記ストライカを設け、前記フードの前部に車体前方から作用した前方衝突荷重で前記前後の頂部が車体後方へ移動するように変形可能な衝撃吸収ブラケットと、前記前方衝突荷重で前記フードの後部を車体後方へスライド移動可能なスライド手段と、を備えたことを特徴とする。
加えて、スライド手段を設けることで、ストライカを車体に係合した状態において、前方衝突荷重でフードの後部を車体後方へスライド移動可能とした。
このように、フードの後部を車体後方へスライド移動させるとともに、衝撃吸収ブラケットを変形させることで、前方衝突荷重(すなわち、衝突エネルギー)を効率よく吸収することができる。
これにより、フードの形状を比較的コンパクトに抑えた状態で衝突エネルギーを効率よく吸収することが可能になり、車両のデザイン性や設計の自由度を高めることができる。
これにより、上方衝突荷重が作用した場合に、衝撃吸収ブラケットの前後の頂部が下方に移動するように衝撃吸収ブラケットを変形させて衝突エネルギーを吸収することができる。
そして、前方衝突荷重が作用した場合に、前後の壁部が底部側の部位を支点として車体後方にスイング移動することで前後の頂部を車体後方に変形可能とした。
ここで、多角形開断面は平板を曲げ成形するだけで形成できる簡素な構成である。
このように、衝撃吸収ブラケットを簡素な構成とすることで車両用フード構造のコストを抑えることができる。
これにより、衝突初期や衝突中期において前方衝突荷重の衝突エネルギーを効率よく吸収することができる。
このように、フードを車体後方へスライド移動させ、かつ、衝撃吸収ブラケットを下方へ変形させることができるので、衝突エネルギーを効率よく吸収することができる。
加えて、衝突中期の後、フードに作用する荷重が前方衝突荷重から上方衝突荷重に変換した場合、衝突終期において前脆弱部および後脆弱部を変形させてフードを車体後方へスライド移動するとともに、衝撃吸収ブラケットを下方へ変形させることができる。
したがって、衝突初期、衝突中期や衝突終期において前方衝突荷重や上方衝突荷重の衝突エネルギーを効率よく吸収することができる。
これにより、フードまたはヒンジにフード取付孔を形成するだけの簡素な構成でフードを車体後方へスライド移動させることができる。
さらに、フード取付孔をフードまたはヒンジに設ける構成とすることで、通常の車両と同様に、フードをヒンジを介して車体に開閉自在に支持することができる。
これにより、ヒンジまたは車体にヒンジ取付孔を形成するだけの簡素な構成でフードを車体後方へスライド移動させることができる。
さらに、ヒンジ取付孔をヒンジまたは車体に設ける構成とすることで、通常の車両と同様に、フードをヒンジを介して車体に開閉自在に支持することができる。
そして、移動調整/フード係止部にフードストッパ部に当接させて、フードをヒンジに対して車体前後方向に位置決めするようにした。
このように、移動調整/フード係止部およびフードストッパ部を用いてフードをヒンジに対して車体前後方向に位置決めさせることで、フードをヒンジに容易に取り付けることができる。
これにより、移動調整/フード係止部を用いるだけの簡素な構成で、フードの車体後方へのスライド移動量や衝突エネルギーの吸収量を調整することができる。
そして、移動調整/ヒンジ係止部にヒンジストッパ部に当接させて、ヒンジを車体に対して車体前後方向に位置決めするようにした。
このように、移動調整/ヒンジ係止部およびフードストッパ部を用いてヒンジを車体に対して車体前後方向に位置決めさせることで、ヒンジを介してフードを車体に容易に取り付けることができる。
これにより、移動調整/ヒンジ係止部を用いるだけの簡素な構成で、フードの車体後方へのスライド移動量や衝突エネルギーの吸収量を調整することができる。
図1に示すように、車両10は、車体11の前部に設けられたフロントバンパー12と、フロントバンパー12の車体後方(エンジンルーム側)に設けられたフロントバルクヘッド13と、フロントバルクヘッド13の後左右側に設けられた左右のフロントフェンダ14と、フロントバンパー12の後側で左右のフロントフェンダ14の間に設けられた車両用フード構造20とを備えている。
また、左右のスライド手段24は左右対称の部材なので、以下、右スライド手段24について説明して左スライド手段24の説明を省略する。
フードアーム32は、後端部41から車体前方に向けて延出され、前半部42にフード23の右後部(後部)23bがボルト(フード締結部材)44・ナット45で取り付けられている。
これにより、フード23の右後部23bが右ヒンジ22を介して車体11のピラー前部位11aに回動自在に設けられ、車体11のピラー前部位11aにフード23が開閉可能に支持される。
インナパネル52の右後部(後部)52bおよび右ヒンジ22に右スライド手段24を備えている。
すなわち、右スライド手段24は、インナパネル52の右後部52bに設けられた前後のフード取付孔(フード取付孔)54と、フードアーム32の前半部42に設けられたフードストッパ部56と、インナパネル52の右後部52bに設けられてフードストッパ部56に当接可能な移動調整/フード係止部57とを備えている。
前後のフード取付孔54にボルト44を貫通させた状態において、インナパネル52の右後部52bがボルト44・ナット45でフードアーム32の前半部42に取り付けられている。
前後のフード取付孔54を長孔に形成することで、フード23の前部23a(図1参照)に車体前方から前方衝突荷重F1(図1参照)が作用した場合に、フード23の右後部52bが車体後方へ矢印の如くスライド移動することを許容する。
さらに、フード23(インナパネル52の右後部52b)に前後のフード取付孔54を設ける構成とすることで、通常の車両と同様に、フード23を右ヒンジ22を介して車体11に開閉自在に支持することができる。
具体的には、フードストッパ部56は、前半部42からインナパネル52の右後部52bに向けて突出するように立ち上げられた切起爪61と、切起爪61の基部61aに連結されて切起爪61を支える支え片62とを有する。
このフードストッパ部56は、図4に示すように、切起爪61および支え片62で平面視において略L字状に形成されている。
切起爪61は、図2に示すように、後述する開口部68に差し込まれている。
フード係止片64を折り曲げることで、前述した開口部68が形成されている。
このように、フード係止片64および切起爪61を用いてフード23を右ヒンジ22に対して車体前後方向に位置決めすることで、フード23を右ヒンジ22に容易に取り付けることができる。
破断用孔71は、一例として、打抜き加工(パンチング加工)などで形成された丸孔を示す。
これにより、複数の破断用孔71を形成するだけの簡単な構成で後方移動調整部65を得ることができる。
フード23の車体後方へのスライド移動量を調整することで、衝突エネルギーの吸収量を調整することができる。
これにより、移動調整/フード係止部57(具体的には、後方移動調整部65)を用いるだけの簡素な構成で、フード23の車体後方へのスライド移動量や衝突エネルギーの吸収量を調整することができる。
衝撃吸収ブラケット25は、側面視において前後の頂部75,76が開口した状態となるように多角形開断面(略U字状断面)に形成されている。
前壁部77は、上前壁部81および下前壁部82が下端部81aで折り曲げられることで略く字状に形成されている。
複数の上前補強ビード86は、車体前方に向けて膨出され、前上折曲部75a近傍から前脆弱折曲部81a近傍まで連続的に延びることで略矩形状に形成されている。
これにより、上前壁部81の略全域に亘って複数の上前補強ビード86が設けられ、複数の上前補強ビード86で上前壁部81の剛性が高められている。
複数の下前補強ビード87は、複数の上前補強ビード86と同様に、車体前方に向けて膨出され、前脆弱折曲部81a近傍から下端部77a近傍まで連続的に延びることで略矩形状に形成されている。
これにより、下前壁部82の略全域に亘って複数の下前補強ビード87が設けられ、複数の下前補強ビード87で下前壁部82の剛性が高められている。
すなわち、前壁部77は、前頂部75を底部79の前部79aに連結する壁部である。
後壁部78は、上後壁部91および中央後壁部92が第1後中央折曲部91aで折り曲げられ、中央後壁部92および下後壁部93が第2後中央折曲部92aで折り曲げられることで、略クランク状に形成されている。
中央後壁部92は、底部79に対して略平行に第1後中央折曲部91aから車体前方に向けて下り勾配に折り曲げられている。
そして、下後壁部93の下端部(すなわち、後脆弱折曲部)78aから車体前方に向けて傾斜角αの下り勾配で底部79が折り曲げられている。
すなわち、後壁部78は、後頂部76を底部79の後部79bに連結する壁部である。
複数の後補強ビード95は、車体後方に向けて膨出され、略矩形状に形成されている。
また、中央後壁部92の略全域に亘って複数の後補強ビード95が設けられ、複数の後補強ビード95で中央後壁部92の剛性が高められている。
さらに、第2後中央折曲部92aの車幅方向略全域に亘って複数の後補強ビード95が設けられ、複数の後補強ビード95で第2後中央折曲部92aの剛性が高められている。
なお、後脆弱折曲部78aおよび前脆弱折曲部81aについては後で詳しく説明する。
このように、衝撃吸収ブラケット25を簡素な構成とすることで車両用フード構造20のコストを抑えることができる。
また、前上折曲部75aおよび前下折曲部77aを結ぶ直線99が、底部79に直交する基準線84に対して傾斜角θ6で傾斜されている。
ストライカ27は、側面視略コ字状に形成され、前後の上端部27a,27bがストライカ補強板28の前後の取付孔に加締めた状態で設けられている。
この状態で、ストライカ27の底ロッド部27cが、水平面に対して傾斜角αになるように、車体後方に向けて上り勾配に配置されている。
フードロック97のフック98にストライカ27を係合することで、フード23の前部23aがストライカ27を介してフロントバルクヘッド13(すなわち、車体11)に係合される。
よって、フードロック97のフック98にストライカ27を係合することで、ストライカ27を強固に支えることができる。
また、前述した前下折曲部77aは、ストライカ27の前側に設けられて、フード23の前部23aに車体前方から作用した前方衝突荷重F1や、上方衝突荷重F2で変形可能な部位である。
さらに、前述した後脆弱折曲部78aは、ストライカ27の後側に設けられるとともに前脆弱折曲部81aより剛性が低く形成され、前方衝突荷重F1や上方衝突荷重F2で変形可能な部位である。
よって、前方衝突荷重F1が作用した場合に、後脆弱折曲部78aを変形させてフード23を車体後方へスライド移動させることができる。
このように、フード23を車体後方へスライド移動させた後、衝撃吸収ブラケット25を下方へ変形させることができるので、衝突エネルギーを効率よく吸収することができる。
また、上前壁部81の長さ寸法、下前壁部82の長さ寸法、下後壁部93の長さ寸法などは、フード23の車体後方へのスライド移動量や下方への移動量などに応じて設定される。
図9(a)に示すように、フード23を閉じた状態でフードロック97のフック98にストライカ27が係合されている。ストライカ27が係合されることで、フード23の前部23aがストライカ27を介してフロントバルクヘッド13(すなわち、車体11)に係合されている。
フード23の先端部23cに前方衝突荷重F3が作用することで衝突エネルギーE1が発生する。
フード23の先端部23cが変形することで、衝突初期において衝突エネルギーE1の一部が吸収されて衝突エネルギーE2が残留する。
この状態で、衝突中期にフード23の先端部23cに前方衝突荷重F4が継続して作用する。
フード23の右後部23bに前方衝突荷重F4が作用することで、フード23の右後部23bが車体後方に向けて矢印Bの如くスライド移動を開始する。
よって、フード係止片64の折曲部67に切起爪61から反力R1が車体前方に向けて作用し、後方移動調整部65の前後の破断用孔71間の部位69が破断する。
これにより、フード23の右後部23bが静止位置P1から移動位置P2まで車体後方に矢印Bの如くスライド移動量Lだけスライド移動する。
後壁部78が車体後方にスイング移動することで後頂部76が車体後方に移動する。
同様に、第2後中央折曲部92aをある程度変形させて中央後壁部92および下後壁部93を略く字状の形状から僅かに広がる方向に変形させることが好ましい。
このように、第1、第2の後中央折曲部91a,92aをある程度変形させることで、後頂部76を円滑に車体後方に移動させることが可能である。
前壁部77が車体後方にスイング移動することで、前頂部75が車体後方に移動する。
このように、前脆弱折曲部81aをある程度変形させることで、前頂部75を円滑に車体後方に移動させることが可能である。
フード23の前部23aが車体後方へ移動するように、衝撃吸収ブラケット25が変形することで、衝突中期において衝突エネルギーE2の一部が吸収されて衝突エネルギーE3が残留する。
このように、フード23の右後部23bを車体後方へスライド移動させるとともに、衝撃吸収ブラケット25を変形させることで、前方衝突荷重F4(すなわち、衝突エネルギーE2の一部)を効率よく吸収することができる。
前方衝突荷重の上方衝突荷重への変換中に、変換中の上方衝突荷重で、前脆弱折曲部81aおよび後脆弱折曲部78a(すなわち、衝撃吸収ブラケット25)を変形させてフード23を車体後方へスライド移動させる。
ここで、フード23は、図10(a)〜(c)で説明した作用と同様に車体後方へスライド移動する。
また、前頂部75の車体後方への移動に対応させて、前壁部77の前脆弱折曲部81aを変形させることが好ましい。
衝撃吸収ブラケット25の後壁部78が後脆弱折曲部78aを支点として車体後方に矢印Gの如くスイング移動することで後頂部76が下方に移動する。
このとき、後頂部76の下方への移動に対応させて、後壁部78の第1後中央折曲部91aおよび第2後中央折曲部92aを変形させることが好ましい。
よって、上前壁部81および下前壁部82が前脆弱折曲部81aで略く字状に大きく折れ曲がることにより前頂部75が下方に移動する。
後頂部76および前頂部75が下方に移動するとともに、後頂部76および前頂部75が車体後方に移動する。
フード23の前部23aが下方へ移動することで、衝撃吸収ブラケット25が下方に潰れるように変形する。
さらに、変換後の上方衝突荷重F5で衝撃吸収ブラケット25を下方に潰すように変形することができる。
よって、衝突後期において、衝撃吸収ブラケット25を好適に変形させて衝突エネルギーE3を効率よく吸収することができる。
図13に示すように、車両用フード構造110は、実施例1の衝撃吸収ブラケット25を衝撃吸収ブラケット111に代えたもので、その他の構成は実施例1の車両用フード構造20と同様である。
膨出部113は、側面視において前後の頂部114,115が開口した状態となるように逆台形状に形成されている。
すなわち、膨出部113は、前後の頂部114,115がアウタパネル51の前部51bに設けられ、前頂部114から車体後方に向けて下り勾配に張り出された前壁部116と、後頂部115から車体前方に向けて下り勾配に張り出された後壁部117と、後壁部117および前壁部116を連結する底部118とを有する。
衝撃吸収ブラケット111は、側面視において前頂部75および後頂部121が開口した状態となるように多角形開断面(略U字状断面)に形成されている。
そして、後壁部123の下端部(すなわち、後脆弱折曲部)123aから車体前方に向けて傾斜角αの下り勾配で底部79が折り曲げられている。
すなわち、後壁部123は、後頂部121を底部79の後部79bに連結する壁部である。
複数の後補強ビード124は、車体後方に向けて膨出され、略矩形状に形成されている。
このように、後頂部121および後壁部123の連結部126の剛性を高めることで、後脆弱折曲部123aを比較的折り曲げやすい脆弱部とすることができる。
後脆弱折曲部123aは、ストライカ27の後側に設けられるとともに前脆弱折曲部81aより剛性が低く形成され、前方衝突荷重F1や上方衝突荷重F2で変形可能な部位である。
図14(a)に示すように、フード23を閉じた状態でフードロック97のフック98にストライカ27が係合されている。ストライカ27が係合されることで、フード23の前部23aがストライカ27を介してフロントバルクヘッド13(すなわち、車体11)に係合されている。
フード23の先端部23cに前方衝突荷重F6が作用することで衝突エネルギーE4が発生する。
フード23の先端部23cが変形することで、衝突初期において衝突エネルギーE4の一部が吸収されて衝突エネルギーE5が残留する。
この状態で、衝突中期にフード23の先端部23cに前方衝突荷重F7が継続して作用する。
フード23に前方衝突荷重F7が作用することで、図10(a)〜(c)で説明したように、フード23の右後部23bが車体後方にスライド移動する。
後壁部123が車体後方にスイング移動することで膨出部113の後頂部115が車体後方に移動する。
前壁部77が車体後方にスイング移動することで、膨出部113の前頂部114および衝撃吸収ブラケット111の前頂部75が車体後方に移動する。
フード23の前部23aが車体後方へ矢印Lの如く移動するように、衝撃吸収ブラケット111が変形することで、衝突中期において衝突エネルギーE5の一部が吸収されて衝突エネルギーE6が残留する。
このように、フード23の右後部23bを車体後方へスライド移動させるとともに、衝撃吸収ブラケット111を変形させることで、前方衝突荷重F7(すなわち、衝突エネルギーE5の一部)を効率よく吸収することができる。
前方衝突荷重の上方衝突荷重への変換中に、変換中の上方衝突荷重で、前脆弱折曲部81aおよび後脆弱折曲部123a(すなわち、衝撃吸収ブラケット111)を変形させてフード23を車体後方へスライド移動させる。
ここで、フード23は、図10(a)〜(c)で説明した作用と同様に車体後方へスライド移動する。
膨出部113の後壁部117および衝撃吸収ブラケット111の後壁部123が、後脆弱折曲部123aを支点として車体後方に矢印Pの如くスイング移動することで膨張部113の後頂部115が下方に移動する。
よって、上前壁部81および下前壁部82が前脆弱折曲部81aで略く字状に大きく折れ曲がることにより膨出部113の前頂部114および衝撃吸収ブラケット111の前頂部75が下方に移動する。
後頂部115および前頂部114,75が下方に移動するとともに、後頂部115および前頂部114,75が車体後方に移動する。
フード23の前部23aが下方へ移動することで、衝撃吸収ブラケット111が下方に潰れるように変形する。
さらに、変換後の上方衝突荷重F8で衝撃吸収ブラケット111を下方に潰すように変形することができる。
よって、衝突後期において、衝撃吸収ブラケット111を好適に変形させて衝突エネルギーE6を効率よく吸収することができる。
すなわち、実施例2の車両用フード構造110によれば、実施例1の車両用フード構造20と同様の効果を得ることができる。
図17〜図18に示すように、車両用フード構造140は、実施例1の右スライド手段24を右スライド手段(スライド手段)141に代えたもので、その他の構成は実施例1の車両用フード構造20と同様である。
すなわち、右スライド手段141は、支持ブラケット31の基部34に設けられた前後のヒンジ取付孔(ヒンジ取付孔)143と、基部34の後端部34aに設けられたヒンジストッパ部145と、車体11のピラー前部位11aに設けられてヒンジストッパ部145に当接可能な移動調整/ヒンジ係止部146とを備えている。
前後のヒンジ取付孔143にボルト36を貫通させた状態において、支持ブラケット31の基部34がボルト36・ナット37で車体11のピラー前部位11aに取り付けられている。
前後のヒンジ取付孔143を長孔に形成することで、フード23の前部23a(図1参照)に車体前方から前方衝突荷重F1(図1参照)が作用した場合に、フード23の右後部23bが車体後方へ矢印の如くスライド移動することを許容する。
さらに、右ヒンジ22(支持ブラケット31の基部34)に前後のヒンジ取付孔143を設ける構成とすることで、通常の車両と同様に、フード23を右ヒンジ22を介して車体11に開閉自在に支持することができる。
このヒンジストッパ部145は、実施例1のフードストッパ部56と同様に、切起爪147および支え片148で底面視において略L字状に形成されている。
切起爪147は、図17に示すように、後述する開口部155に差し込まれている。
ヒンジ係止片151を折り曲げることで、前述した開口部155が形成されている。
このように、ヒンジ係止片151および切起爪147を用いてフード23を右ヒンジ22に対して車体前後方向に位置決めすることで、フード23を右ヒンジ22に容易に取り付けることができる。
破断用孔157は、一例として、打抜き加工(パンチング加工)などで形成された丸孔を示す。
これにより、複数の破断用孔157を形成するだけの簡単な構成で後方移動調整部152を得ることができる。
フード23の車体後方へのスライド移動量を調整することで、衝突エネルギーの吸収量を調整することができる。
これにより、移動調整/ヒンジ係止部146(具体的には、後方移動調整部152)を用いるだけの簡素な構成で、フード23の車体後方へのスライド移動量や衝突エネルギーの吸収量を調整することができる。
例えば、前後のフード取付孔54や前後のヒンジ取付孔143を図19に示す変形例のように形成することも可能である。
この取付孔160は前後のフード取付孔や前後のヒンジ取付孔に適用可能である。
スリット162を幅広に変形させることで衝突エネルギーを吸収することができ、衝突エネルギーをさらに効率よく吸収することができる。
例えば、前記実施例1,2では、前後のフード取付孔54をフード23(インナパネル52)に設けた例について説明したが、これに限らないで、前後のフード取付孔54を右ヒンジ22に設けることも可能である。
例えば、フードストッパ部56をフード23に設け、移動調整/フード係止部57を右ヒンジ22に設けることも可能である。
例えば、ヒンジストッパ部145を車体11に設け、移動調整/ヒンジ係止部146を右ヒンジ22に設けることも可能である。
Claims (8)
- フードの後部がヒンジを介して車体に回動自在に設けられ、前記フードの前部がストライカを介して前記車体に係合可能な車両用フード構造において、
前記フードの前部に前後の頂部が設けられるとともに底部に前記ストライカを設け、前記フードの前部に車体前方から作用した前方衝突荷重で前記前後の頂部が車体後方へ移動するように変形可能な衝撃吸収ブラケットと、
前記前方衝突荷重で前記フードの後部を車体後方へスライド移動可能なスライド手段と、
を備えたことを特徴とする車両用フード構造。 - 前記衝撃吸収ブラケットは、
前記フードの前部に上方から作用した上方衝突荷重で、前記前後の頂部が下方に移動するように変形可能に形成されたことを特徴とする請求項1記載の車両用フード構造。 - 前記衝撃吸収ブラケットは、
側面視において前記前後の頂部が開口した状態となるように多角形開断面に形成され、
前記前頂部を前記底部の前部に連結する前壁部と、前記後頂部を前記底部の後部に連結する後壁部とを有し、
前記前方衝突荷重が作用した場合に、前記前後の壁部が前記底部側の部位を支点として車体後方にスイング移動することで前記前後の頂部が車体後方に変形可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用フード構造。 - 前記衝撃吸収ブラケットは、
前記ストライカの前側に設けられ、前記フードの前部に上方から作用した上方衝突荷重で変形可能な前脆弱部と、
前記ストライカの後側に設けられるとともに前記前脆弱部より剛性が低く形成され、前記前方衝突荷重および前記上方衝突荷重で変形可能な後脆弱部と、
を有し、
前記上方衝突荷重が作用した場合に、前記前脆弱部および前記後脆弱部が変形して前記フードを車体後方へスライド移動することを特徴とする請求項3記載の車両用フード構造。 - 前記スライド手段は、
前記フードまたは前記ヒンジに設けられ、前記フードおよび前記ヒンジを締結するフード締結部材が貫通するフード取付孔を有し、
前記フード取付孔は、
前記フード締結部材を貫通させた状態において、前記前方衝突荷重で前記フードの車体後方へのスライド移動が許容可能に形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両用フード構造。 - 前記スライド手段は、
前記ヒンジまたは前記車体に設けられ、前記ヒンジおよび前記車体を締結するヒンジ締結部材が貫通するヒンジ取付孔を有し、
前記ヒンジ取付孔は、
前記ヒンジ締結部材を貫通させた状態において、前記前方衝突荷重で前記フードの車体後方へのスライド移動が許容可能に形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両用フード構造。 - 前記スライド手段は、
前記フードおよび前記ヒンジの一方に設けられるとともに他方に向けて突出されたフードストッパ部と、
前記フードおよび前記ヒンジの他方に設けられ、前記フードストッパ部に当接させて前記ヒンジに対して前記フードを車体前後方向に位置決め可能で、かつ、前記前方衝突荷重による前記フードの車体後方へのスライド移動量を調整可能な移動調整/フード係止部と、
を備えたことを特徴とする請求項5記載の車両用フード構造。 - 前記スライド手段は、
前記ヒンジおよび前記車体の一方に設けられるとともに他方に向けて突出されたヒンジストッパ部と、
前記ヒンジおよび前記車体の他方に設けられ、前記ヒンジストッパ部に当接させて前記車体に対して前記ヒンジを車体前後方向に位置決め可能で、かつ、前記前方衝突荷重による前記ヒンジの車体後方へのスライド移動量を調整可能な移動調整/ヒンジ係止部と、
を備えたことを特徴とする請求項6記載の車両用フード構造。
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