JP2012062928A - 免震装置、及びその設置方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上部構造体3と下部構造体1との間の上下方向隙間δに介装され、上部構造体3を免震支持するアイソレータと、前記アイソレータと並列に介装され前記構造体間の水平振動を減衰する摩擦ダンパー20とを備えた免震装置である。摩擦ダンパー20は、摩擦面22a及び滑動面24aを有する摩擦減衰力生成部21と、摩擦減衰力生成部21と直列に介装され、摩擦減衰力生成部21に弾発力を発生するばね部材30と、前記摩擦減衰力生成部21及び前記ばね部材30と直列に介装され、前記弾発力を上下方向に伝達する弾発力伝達部材40とを備える。弾発力伝達部材40は、上下方向の間隔Gをもった第1プレート42と第2プレート44とを固定、連結する。前記間隔Gは、前記弾発力を設定する際にジャッキを配置するための空間である。
【選択図】図2
Description
また、同隙間Sの大きさが、フィラプレート190,190…では補えない程度に大きい場合には、フィラプレート190,190…の挿入後に更にグラウト充填を行うことになるが、その場合には、外周に型枠を組まねばならず、これは、フィラプレート190,190…の挿入以上に手間のかかる作業であった。
しかし、かかる摩擦ダンパー110の取り外しや再設置作業も、かなり大掛かりな作業となり、手軽に行えるものではない。
上部構造体と下部構造体との間の上下方向隙間に介装され、前記上部構造体を免震支持するアイソレータと、
前記上下方向隙間に前記アイソレータと並列に介装され、前記上部構造体と前記下部構造体との間の水平振動を、摩擦力を減衰力として用いて減衰する摩擦ダンパーと、を備えた免震装置であって、
前記摩擦ダンパーは、
前記上下方向隙間に介装され、摩擦面及び該摩擦面に圧接しつつ滑動する滑動面を有する摩擦減衰力生成部と、
前記上下方向隙間に前記摩擦減衰力生成部と直列に介装され、前記摩擦減衰力生成部に圧接力を生じさせるべく弾発力を発生するばね部材と、
前記上下方向隙間に前記摩擦減衰力生成部及び前記ばね部材と直列に介装され、前記弾発力を上下方向に伝達する弾発力伝達部材と、を備え、
前記弾発力伝達部材は、第1プレートと、該第1プレートに上下方向の間隔をもって対向配置される第2プレートと、前記第1プレートと前記第2プレートとを連結する固定機構であって、前記間隔の大きさを変更することにより前記弾発力伝達部材の全長を所定値に変更するとともに、前記全長を前記所定値に固定するための前記固定機構と、を有し、
前記間隔は、前記ばね部材に対して前記圧接力に係る前記弾発力を設定する際にジャッキを配置するための空間であり、
前記ジャッキにより前記弾発力が設定値になるまで拡げられた前記間隔の大きさを、前記ジャッキの取り外し後においては、前記固定機構が保持しており、
前記水平振動に係る前記上部構造体と前記下部構造体との間の水平方向の相対変位が、前記固定機構を介して前記摩擦減衰力生成部へ伝達されることを特徴とする。
また、この長さ調整後にばね部材に対して前記圧接力に係る弾発力を設定する場合には、前記間隔にジャッキを介装するとともに、同ジャッキによって、ばね部材の弾発力が設定値になるまで前記間隔を拡げて、設定値になった状態で固定機構により前記間隔の大きさを変動不能に固定し、しかる後にジャッキを取り取り外せば、これにより、当該ばね部材に付与された弾発力を圧接力として摩擦減衰力生成部に付与することができる。
以上から、上記構成によれば、上下方向隙間のずれを補うべく当該隙間にフィラプレートの挿入やグラウト充填等を行わずとも、設定値通りの弾発力を圧接力として摩擦減衰力生成部に付与することができ、その結果、計画通りの大きさの摩擦力を減衰力として発生させることができる。
更には、前記相対変位が、固定機構を介して摩擦減衰力生成部へ伝達されるので、当該相対変位を伝達するための部材の構成の一部を小さくすること等ができて、製造コストの削減を図れる。
前記ばね部材は、上下方向の第1貫通孔を有し、
前記第2プレートは、前記第1プレートと前記摩擦減衰力生成部との間に位置しつつ、前記ばね部材に上下方向から当接し、
前記第2プレートは、上下方向の第2貫通孔を有し、
前記第1貫通孔に挿通された軸部材の一方の軸端部は、前記第2貫通孔に挿通されることにより前記第2プレートに対して水平方向の相対移動不能に係合し、前記軸部材の他方の軸端部は、前記摩擦減衰力生成部に対して相対移動不能に係合しており、
前記相対変位は、前記第1プレート、前記固定機構、前記第2プレート、及び前記軸部材を経由して、前記摩擦減衰力生成部へ伝達されることを特徴とする。
前記固定機構は、前記第1プレートと前記第2プレートとを連結する棒体を有し、
前記棒体の上端部及び下端部は、螺合構造によって前記第1プレート及び前記第2プレートに締結固定され、
前記第1プレートと前記第2プレートとの間に位置する前記棒体の部分の長さを変更することにより、前記間隔の大きさを変更することを特徴とする。
前記固定機構は、前記第1プレートに一体に固定された第1部材と、前記第2プレートに一体に固定された第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを互いの鉛直面同士において重合させて摩擦接合状態で締結固定する高力ボルトと、を有し、
前記第1部材及び前記第2部材に形成される前記高力ボルトのボルト孔は、少なくとも一方が上下方向に長い長孔に形成されていることを特徴とする。
前記摩擦ダンパーを前記下部構造体上に載置する載置工程と、
前記下部構造体上に載置された前記摩擦ダンパーの上面と前記上部構造体の下面との間の隙間がなくなるまで、前記弾発力伝達部材の前記第1プレートと前記第2プレートとの間の間隔を拡げる第1拡張工程と、
前記間隔にジャッキを配置し、前記ジャッキによって前記弾発力が前記設定値になるまで前記間隔を拡げる第2拡張工程と、
前記弾発力が前記設定値になった状態で、前記固定機構によって前記間隔の大きさを固定する間隔固定工程と、
前記間隔から前記ジャッキを取り外すジャッキ取り外し工程と、を有することを特徴とする。
<<<免震装置10>>>
図1乃至図5は、第1実施形態の免震装置10の説明図である。図1は免震装置10の側面図である。図2は摩擦ダンパー20の概略中心縦断面図であり、図3は同上面図である。また、図4は摩擦ダンパー20を斜め下方から見た斜視図であり、図5は同分解斜視図である。なお、以下の説明で用いる図においては、図の錯綜を防ぐべく、図によっては、本来断面線で示すべき断面部位の断面線を適宜省略したり、あるいは、同断面部位をグレーで着色して示したりしている。
免震装置10は、建物3を免震支持するアイソレータ7と、上下方向隙間δにアイソレータ7と並列に介装され、建物3と基礎コンクリート1との間の水平振動を減衰する摩擦ダンパー20と、を備えている。
摩擦減衰力生成部21は、摩擦材22と、摩擦材22の下面たる摩擦面22aに圧接しつつ滑動する滑り面24aを有した滑り材24と、摩擦材22の上方に配置され、下面に同摩擦材22が固定された平面視正円形状の下フランジ板26と、を有する。
すなわち、この第1実施形態では、円筒シャフト60を、その上端60eが上フランジ板42まで到達しないような短い長さにしており、これにより、上フランジ板42と中間フランジ板44との間については前記相対変位の伝達を、連結ボルト46,46…により行っている。そして、このような構成によれば、円筒シャフト60の全長を短くできるので、その減量化を通じて製造コストの削減を図れる。また、上述の参考例のように上フランジ板42の貫通孔42hに円筒シャフト60の上端部60aを嵌合させる場合には、上下方向に所定の嵌合代が必要になり、そのためには、上フランジ板42はある程度の厚みが必要になるが、この点についても、本第1実施形態によれば、設計時に上記嵌合代を考慮せずに済むので、上フランジ板42の厚みを薄くすることができて、製造コストの削減を図れる。
ここで、建物3と基礎コンクリート1との間の上下方向隙間δへの摩擦ダンパー20の設置手順について説明する。なお、以下では、説明の都合上、摩擦ダンパー20から滑り材24を取り外した構成のことも、摩擦ダンパー20と言い、また、摩擦減衰力生成部21から滑り材24を取り外した構成のことも、摩擦減衰力生成部21と言う。
次に、適宜な作業場において、摩擦ダンパー20の上下方向の全長L20を短縮することにより、当該摩擦ダンパー20を上下方向隙間δへ差し込み挿入し易い状態にする。詳しくは、弾発力伝達部材40の前記伸縮機構の上下一対のナット48a,48bを螺合回転してこれらナット48a,48bを上方に移動する。すると、弾発力伝達部材40の中間フランジ板44に対して相対的に上フランジ板42が下方へ移動して、弾発力伝達部材40の全長Lが短縮され、これにより、摩擦ダンパー20の全長L20が短縮される(第2ステップ)。
なお、これと並行して又は前後して、摩擦ダンパー20の上フランジ板42の上面42aに接着材を塗布する。接着材としては、高流動性モルタルや高流動性セメント等が使用される(第3ステップ)。
そうしたら、弾発力伝達部材40の伸縮機構の上下一対のナット48a,48bを螺合回転してこれらナット48a,48bを下方に移動する。すると、弾発力伝達部材40の中間フランジ板44に対して相対的に上フランジ板42が上方へスライド移動して、上フランジ板42と中間フランジ板44との間の間隔Gが広がり、これにより、弾発力伝達部材40が上方に伸長される。そして、この伸長作業を、基礎コンクリート1上に載置された摩擦ダンパー20の上面20u、つまり弾発力伝達部材40の上フランジ板42の上面42aと、建物3の下面3aとの間の隙間が無くなるまで続ける(第5ステップ、第1拡張工程に相当)。
そうしたら、圧接力の設計値に相当する皿ばね群30Gの撓み量(圧縮変形量)だけ下方へナット48bを移動する。また、上フランジ板42と中間フランジ板44との間の間隔Gに、ジャッキ(不図示)を介装する。なお、かかるジャッキについては、中間フランジ板44の円周方向に沿って等ピッチに複数台を配置すると良い。
そして、中間フランジ板44がナット48bに押し当たるまで、ジャッキを上下方向に伸長させる。これにより、弾発力が上記圧接力の設計値(設定値に相当)になるまで、中間フランジ板44は下方へスライド移動して間隔Gが拡げられる(第7ステップ、第2拡張工程に相当)。
例えば、先ず、基礎コンクリート1を構築し、その後、第1ステップ及び第2ステップを行い、次に、建物3の下面3aを構築し、その後、第3ステップから第9ステップを行うようにしても良い。
ところで、摩擦ダンパー20の設置後に上下方向隙間δの大きさが経時変化した場合に圧接力が変化する虞があるが、その場合についても、前記伸縮機構による弾発力伝達部材40の伸縮調整によって、前記隙間δの大きさの変化に対処可能である。つまり、当該変化分だけ弾発力伝達部材40の上下方向の全長Lを伸縮変更することにより、皿ばね群30Gの圧縮変形量を摩擦ダンパー20の設置当初の状態に戻すことができる。これにより、圧接力を速やかに設計値に戻すことができて、その結果、計画通りの大きさの摩擦力を減衰力として発生させることができる。
図6は、第2実施形態に係る摩擦ダンパー20aの側面図であり、図7は、同摩擦ダンパー20aを斜め下方から見た斜視図である。
上述の第1実施形態との相違点は、弾発力伝達部材40に係る上フランジ板42と中間フランジ板44とを連結する連結構造の構成にある。そして、これ以外の点は概ね上述の第1実施形態と同じである。よって、同じ構成については同じ符号を付し、その説明については省略する。
ここで、第1実施形態と同様に、この第2実施形態に係る連結構造70も、弾発力伝達部材40aを上下方向に伸縮する伸縮機構(固定機構に相当)として機能する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
7 アイソレータ、10 免震装置、20 摩擦ダンパー、
20a 摩擦ダンパー、20b 摩擦ダンパー、20u 上面、
21 摩擦減衰力生成部、22 摩擦材、22a 摩擦面、
24 滑り材、24a 滑り面、26 下フランジ板、26a 嵌合凹部、
30 皿ばね(ばね部材)、30h 貫通孔、
30G 皿ばね群(ばね部材)、30Gh 孔部、
40 弾発力伝達部材、40a 弾発力伝達部材、
42 上フランジ板(第1プレート)、42a 上面、42h 貫通孔、
44 中間フランジ板(第2プレート)、44Bh ボルト孔、
44a 下面、44h 貫通孔、46 連結ボルト(棒体)、
47 ロックナット、48a ナット、48b ナット、
60 円筒シャフト(軸部材)、60a 上端部(一方の軸端部)、
60b 下端部(他方の軸端部)、70 連結構造、
71 上側部材(第1部材)、71a 鉛直面、
72 下側部材(第2部材)、72a 鉛直面、
73a 高力ボルト、73b ナット、
δ 上下方向隙間、G 間隔
Claims (5)
- 上部構造体と下部構造体との間の上下方向隙間に介装され、前記上部構造体を免震支持するアイソレータと、
前記上下方向隙間に前記アイソレータと並列に介装され、前記上部構造体と前記下部構造体との間の水平振動を、摩擦力を減衰力として用いて減衰する摩擦ダンパーと、を備えた免震装置であって、
前記摩擦ダンパーは、
前記上下方向隙間に介装され、摩擦面及び該摩擦面に圧接しつつ滑動する滑動面を有する摩擦減衰力生成部と、
前記上下方向隙間に前記摩擦減衰力生成部と直列に介装され、前記摩擦減衰力生成部に圧接力を生じさせるべく弾発力を発生するばね部材と、
前記上下方向隙間に前記摩擦減衰力生成部及び前記ばね部材と直列に介装され、前記弾発力を上下方向に伝達する弾発力伝達部材と、を備え、
前記弾発力伝達部材は、第1プレートと、該第1プレートに上下方向の間隔をもって対向配置される第2プレートと、前記第1プレートと前記第2プレートとを連結する固定機構であって、前記間隔の大きさを変更することにより前記弾発力伝達部材の全長を所定値に変更するとともに、前記全長を前記所定値に固定するための前記固定機構と、を有し、
前記間隔は、前記ばね部材に対して前記圧接力に係る前記弾発力を設定する際にジャッキを配置するための空間であり、
前記ジャッキにより前記弾発力が設定値になるまで拡げられた前記間隔の大きさを、前記ジャッキの取り外し後においては、前記固定機構が保持しており、
前記水平振動に係る前記上部構造体と前記下部構造体との間の水平方向の相対変位が、前記固定機構を介して前記摩擦減衰力生成部へ伝達されることを特徴とする免震装置。 - 請求項1に記載の免震装置であって、
前記ばね部材は、上下方向の第1貫通孔を有し、
前記第2プレートは、前記第1プレートと前記摩擦減衰力生成部との間に位置しつつ、前記ばね部材に上下方向から当接し、
前記第2プレートは、上下方向の第2貫通孔を有し、
前記第1貫通孔に挿通された軸部材の一方の軸端部は、前記第2貫通孔に挿通されることにより前記第2プレートに対して水平方向の相対移動不能に係合し、前記軸部材の他方の軸端部は、前記摩擦減衰力生成部に対して相対移動不能に係合しており、
前記相対変位は、前記第1プレート、前記固定機構、前記第2プレート、及び前記軸部材を経由して、前記摩擦減衰力生成部へ伝達されることを特徴とする免震装置。 - 請求項2に記載の免震装置であって、
前記固定機構は、前記第1プレートと前記第2プレートとを連結する棒体を有し、
前記棒体の上端部及び下端部は、螺合構造によって前記第1プレート及び前記第2プレートに締結固定され、
前記第1プレートと前記第2プレートとの間に位置する前記棒体の部分の長さを変更することにより、前記間隔の大きさを変更することを特徴とする免震装置。 - 請求項2に記載の免震装置であって、
前記固定機構は、前記第1プレートに一体に固定された第1部材と、前記第2プレートに一体に固定された第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを互いの鉛直面同士において重合させて摩擦接合状態で締結固定する高力ボルトと、を有し、
前記第1部材及び前記第2部材に形成される前記高力ボルトのボルト孔は、少なくとも一方が上下方向に長い長孔に形成されていることを特徴とする免震装置。 - 請求項1乃至4の何れかに記載の免震装置の設置方法であって、
前記摩擦ダンパーを前記下部構造体上に載置する載置工程と、
前記下部構造体上に載置された前記摩擦ダンパーの上面と前記上部構造体の下面との間の隙間がなくなるまで、前記弾発力伝達部材の前記第1プレートと前記第2プレートとの間の間隔を拡げる第1拡張工程と、
前記間隔にジャッキを配置し、前記ジャッキによって前記弾発力が前記設定値になるまで前記間隔を拡げる第2拡張工程と、
前記弾発力が前記設定値になった状態で、前記固定機構によって前記間隔の大きさを固定する間隔固定工程と、
前記間隔から前記ジャッキを取り外すジャッキ取り外し工程と、を有することを特徴とする免震装置の設置方法。
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