JP2012060599A - 音響処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】音質劣化とセンター成分の定位劣化とを抑えながら、ステレオ成分の臨場感を向上させること。
【解決手段】音響処理装置1は、入力されたLチャンネル用およびRチャンネル用のオーディオ信号を、中周波数帯域のモノラル成分からなるセンター成分信号と、低周波数帯域と高周波数帯域と中周波数帯域のステレオ成分とからなるワイド成分信号とに分離する信号分離手段2と、分離されたLチャンネル用およびRチャンネル用のワイド成分信号に対して、クロストークキャンセル処理を行うクロストークキャンセル手段3と、クロストークキャンセル手段3によりクロストークキャンセル処理が行われたLチャンネル用およびRチャンネル用のワイド成分信号のそれぞれにセンター成分信号を合成する合成手段5とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は音響処理装置に関し、より詳細には、音質劣化とセンター成分の定位劣化とを抑えながら、ステレオ成分の臨場感を向上させることが可能な音響処理装置に関する。
今日では、車室内などの一定の音響空間(音場環境)において音楽の臨場感を向上させることを目的とする音響処理方法が数多く提案されている。例えば、スピーカが聴取者の側方や後方に設置されていなくても、側方や後方から音響が連続的に聞こえてくるようなバーチャルサラウンド処理などが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなバーチャルサウンド処理を実現するためには、まず、音響信号を出力する音響空間、例えば車室内等における周波数特性を測定する。そして、測定された周波数特性の逆特性を求め、この逆特性をスピーカより出力させる音響信号に付加することにより、音響信号の出力に対して音響空間(音場環境)の特性が影響してしまうことを防止する。
さらに、音響空間に配置された各スピーカの設置位置から、聴取者の左右の耳位置までの距離と、仮想的なスピーカの設置位置から聴取者の左右の耳位置までの距離とに基づいて、音源定位処理を行う。この音源定位処理により、実際に設置されていない仮想的なスピーカから音楽が聞こえるような感覚を聴取者に与えることが可能となる。
さらに、音響信号に対してバーチャルサウンド処理が施される場合には、多くの場合、クロストークキャンセル処理も同時に施されることが多い。例えば、左側スピーカより出力された音響信号は、ユーザの左耳だけでなく右耳でも聴取される。しかしながら、一般的に、左側スピーカから左耳までの距離に対して左側スピーカから右耳までの距離の方が長いため、左右の耳において聴取される左側スピーカからの音響信号に差異が生じてしまうという問題が生ずる。また同様に、左右の耳において聴取される右側スピーカからの音響信号に差異が生じてしまうという問題が生じていた。このため、右側スピーカから左耳へと伝達される音響信号の音響効果と、左側スピーカから右耳へと伝達される音響信号の音響効果とを抑制することにより、上述するような差異による影響を抑える方法が用いられている。このような処理をクロストークキャンセル処理という。
具体的にクロストークキャンセル処理を行う場合には、音響信号を出力する音響空間において、聴取者の着座位置にダミーヘッドを設置する。ダミーヘッドの左右耳位置には、マイクロフォン(ダミーヘッドマイクロフォン)が設置されている。このため、ダミーヘッドマイクロフォンを車室内に設置し、車室内の左右スピーカからダミーヘッドに設けられる左右のマイクロフォンまでの音響特性を測定し、測定された音響特性に基づいて、左側スピーカからダミーヘッドの右耳位置のマイクロフォンまでの音響信号と、右側スピーカからダミーヘッドの左耳位置のマイクロフォンまでの音響信号との音響抑圧処理を行う。
特開2008―141524号公報
しかしながら、ダミーヘッドマイクロフォンを用いて音響測定を行う場合であっても、ダミーヘッドの左右の耳形状や左右耳間の間隔などは、聴取者の耳形状や左右耳間隔とは必ずしも一致しない。このため、ダミーヘッドマイクロフォンを用いて測定された周波数特性と、聴取者の周波数特性とに差異が生じてしまい、結果として、音響空間(音場環境)で同じ音楽を楽しむ(聴く)場合であっても、聴感上の音質に差異が生じてしまう場合があった。
さらに、クロストークキャンセル処理を用いた場合には、ボーカル音が含まれるセンター成分(モノラル成分)と、臨場感を高めるステレオ成分との双方にクロストークキャンセル効果の影響が生ずる。しかしながら、クロストークキャンセルの効果がセンター成分に影響してしまう場合には、センター成分の定位が劣化してしまうおそれがあった。一方で、クロストークキャンセル処理がステレオ成分に対して行われない場合には、全体的な音の広がり感(臨場感)などが損なわれてしまうおそれがあるという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、音質劣化とセンター成分の定位劣化とを抑えながら、ステレオ成分の臨場感を向上させることが可能な音響処理装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る音響処理装置は、入力されたLチャンネル用のオーディオ信号とRチャンネル用のオーディオ信号とを、中周波数帯域のモノラル成分からなるセンター成分信号と、低周波数帯域と高周波数帯域と中周波数帯域のステレオ成分とからなるLチャンネル用およびRチャンネル用のワイド成分信号とに分離する信号分離手段と、該信号分離手段により分離されたLチャンネル用およびRチャンネル用のワイド成分信号に対して、クロストークキャンセル処理を行うクロストークキャンセル手段と、前記クロストークキャンセル手段によりクロストークキャンセル処理が行われたLチャンネル用およびRチャンネル用のワイド成分信号のそれぞれに前記センター成分信号を合成する合成手段とを備え、前記クロストークキャンセル手段は、左側スピーカから聴取者の左耳へと伝達されるLチャンネル用のワイド成分信号に対してフィルタ処理を行う第1フィルタ手段と、左側スピーカから聴取者の右耳へと伝達されるLチャンネル用のワイド成分信号に対してフィルタ処理を行う第2フィルタ手段と、右側スピーカから聴取者の左耳へと伝達されるRチャンネル用のワイド成分信号に対してフィルタ処理を行う第3フィルタ手段と、右側スピーカから聴取者の右耳へと伝達されるRチャンネル用のワイド成分信号に対してフィルタ処理を行う第4フィルタ手段と、前記第1フィルタ手段によりフィルタ処理されたLチャンネル用のワイド成分信号と、前記第3フィルタ手段によりフィルタ処理されたRチャンネル用のワイド成分信号との合成処理とを行う第1加算手段と、前記第4フィルタ手段によりフィルタ処理されたRチャンネル用のワイド成分信号と、前記第2フィルタ手段によりフィルタ処理されたLチャンネル用のワイド成分信号との合成処理とを行う第2加算手段とを有し、ダミーヘッドの左耳側マイクロフォンで左側スピーカより出力された評価信号を検出して第1インパルス応答を求め、さらに、該第1インパルス応答の音響特性を逆フィルタリング処理することにより求められる第1補正フィルタと、前記ダミーヘッドの右耳側マイクロフォンで左側スピーカより出力された評価信号を検出して第2インパルス応答を求め、さらに、該第2インパルス応答の音響特性を逆フィルタリング処理することにより求められる第2補正フィルタと、前記ダミーヘッドの左耳側マイクロフォンで右側スピーカより出力された評価信号を検出して第3インパルス応答を求め、さらに、該第3インパルス応答の音響特性を逆フィルタリング処理することにより求められる第3補正フィルタと、前記ダミーヘッドの右耳側マイクロフォンで右側スピーカより出力された評価信号を検出して第4インパルス応答を求め、さらに、該第4インパルス応答の音響特性を逆フィルタリング処理することにより求められる第4補正フィルタと、音響空間の音響特性を測定するための測定マイクロフォンでスピーカより出力された評価信号を検出してインパルス応答を求め、さらに、該インパルス応答の音響特性を逆フィルタリング処理することにより求められる第5補正フィルタとを用いて、前記第1フィルタ手段のフィルタ係数を、前記第5補正フィルタの低域周波数成分および高域周波数成分と、前記第1補正フィルタの中域周波数成分とを用いて生成された補正フィルタAに基づいて算出し、前記第2フィルタ手段のフィルタ係数を、前記第2補正フィルタの中域周波数成分だけを用いて生成された補正フィルタBに基づいて算出し、前記第3フィルタ手段のフィルタ係数を、前記第3補正フィルタの中域周波数成分だけを用いて生成された補正フィルタCに基づいて算出し、前記第4フィルタ手段のフィルタ係数を、前記第5補正フィルタの低域周波数成分および高域周波数成分と、前記第4補正フィルタの中域周波数成分とを用いて生成された補正フィルタDに基づいて算出することを特徴とする。
本発明に係る音響処理装置では、Lチャンネル用のオーディオ信号とRチャンネル用のオーディオ信号とを、低周波数帯域と高周波数帯域と中周波数帯域のステレオ成分とからなるLチャンネル用およびRチャンネル用のワイド成分信号と、中周波数帯域のモノラル成分からなるセンター成分信号とに分離した後に、Lチャンネル用およびRチャンネル用のワイド成分信号に対してのみクロストークキャンセル処理を行い、クロストークキャンセル処理が行われたワイド成分信号と、分離されていたセンター成分信号とを合成する。
このように、ワイド成分信号に対してのみクロストークキャンセル処理を行い、センター成分信号に対しては、クロストークキャンセル処理を行わないことによって、音響信号の定位劣化を低減させつつ、音響信号の臨場感を高めることができる。
さらに、本発明に係る音響処理装置では、クロストークキャンセル処理を行うにあたって、測定マイクロフォンを用いて測定された音響空間の音響特性の逆フィルタである第5補正フィルタと、ダミーヘッドマイクロフォンを用いて測定された聴取者の顔の形状など(顔の凹凸、耳形状、左右の耳間隔など)の相異に基づく音響特性の逆フィルタである第1補正フィルタ〜第4補正フィルタとを用い、第1フィルタ手段のフィルタ係数を、第5補正フィルタの低域周波数成分および高域周波数成分と、第1補正フィルタの中域周波数成分とを用いて生成された補正フィルタAに基づいて算出し、第2フィルタ手段のフィルタ係数を、第2補正フィルタの中域周波数成分だけを用いて生成された補正フィルタBに基づいて算出し、第3フィルタ手段のフィルタ係数を、第3補正フィルタの中域周波数成分だけを用いて生成された補正フィルタCに基づいて算出する。また、第4フィルタ手段のフィルタ係数を、第5補正フィルタの低域周波数成分および高域周波数成分と、第4補正フィルタの中域周波数成分とを用いて生成された補正フィルタDに基づいて算出する。
このため、クロストークキャンセル処理が行われるワイド成分信号の低域周波数成分および高域周波数成分は、測定マイクロフォンにより測定された音響特性の逆フィルタによってフィルタ処理が行われ、クロストークキャンセル処理を目的とする補正処理ではなく、周波数補正を目的とした補正処理が行われることになる。
従って、ワイド成分信号の低域周波数成分および高域周波数成分に対してはクロストークキャンセル処理が行われないので、より一層、音響信号の定位を確実に確保することができる。また、ワイド成分信号の中周波数帯域においては、クロストークキャンセル処理の効果を付加することができるので、音響信号の臨場感を向上させることが可能となる。
また、上述した音響処理装置において、前記補正フィルタAは、低域周波数成分と中域周波数成分との間の周波数成分における周波数の増加に従って、前記第5補正フィルタの占める割合が減少すると共に前記第1補正フィルタの占める割合が増加し、前記中域周波数成分と前記高域周波数成分との間の周波数成分における周波数の増加に従って、前記第5補正フィルタの占める割合が増加すると共に前記第1補正フィルタの占める割合が減少し、前記補正フィルタDは、低域周波数成分と中域周波数成分との間の周波数成分における周波数の増加に従って、前記第5補正フィルタの占める割合が減少すると共に前記第4補正フィルタの占める割合が増加し、前記中域周波数成分と前記高域周波数成分との間の周波数成分における周波数の増加に従って、前記第5補正フィルタの占める割合が増加すると共に前記第4補正フィルタの占める割合が減少するものであってもよい。
上述したように、本発明に係る音響処理装置において、第1フィルタ手段のフィルタ係数を算出する際に用いられる補正フィルタAは、低域周波数成分と中域周波数成分との間の周波数成分における当該周波数の増加に伴って、第5補正フィルタの占める割合が減少すると共に第1補正フィルタの占める割合が増加するようにしてフィルタが生成される。また、第1フィルタ手段のフィルタ係数を算出する際に用いられる補正フィルタAは、中域周波数成分と高域周波数成分との間の周波数成分における当該周波数の増加に伴って、第5補正フィルタの占める割合が増加すると共に第1補正フィルタの占める割合が減少するようにしてフィルタが生成される。
このように、低域周波数成分と中域周波数成分との間の周波数成分、および中域周波数成分と高域周波数成分との間の周波数成分において、第1補正フィルタの占める割合と第5補正フィルタの占める割合とを互いに反比例するように増減させることにより、低域周波数成分と中域周波数成分との間の周波数成分における第1フィルタ手段のフィルタ特性が、低域および中域との中間帯域においても違和感のないものとなる。
また、第4フィルタ手段のフィルタ係数を算出する際に用いられる補正フィルタDに関しても同様に、低域周波数成分と中域周波数成分との間の周波数成分における当該周波数の増加に伴って、第5補正フィルタの占める割合が減少すると共に第4補正フィルタの占める割合が増加するようにしてフィルタが生成される。また、第4フィルタ手段のフィルタ係数を算出する際に用いられる補正フィルタDは、中域周波数成分と高域周波数成分との間の周波数成分における当該周波数の増加に伴って、第5補正フィルタの占める割合が増加すると共に第4補正フィルタの占める割合が減少するようにしてフィルタが生成される。
このように、低域周波数成分と中域周波数成分との間の周波数成分、および中域周波数成分と高域周波数成分との間の周波数成分において、第4補正フィルタの占める割合と第5補正フィルタの占める割合とを互いに反比例するように増減させることにより、低域周波数成分と中域周波数成分との間の周波数成分における第4フィルタ手段のフィルタ特性が、低域および中域との中間帯域においても違和感のないものとなる。
さらに、上述した音響処理装置は、前記第5補正フィルタを用いて前記センター成分信号に周波数補正処理を施して前記合成手段に出力する周波数補正手段を備えるものであってもよい。
このように、本発明に係る音響処理装置では、第5補正フィルタを用いてセンター成分信号に周波数補正処理を施す周波数補正手段を設置し、この周波数補正手段によって周波数補正処理されたセンター成分信号と、クロストークキャンセル処理されたLチャンネル用およびRチャンネル用のワイド成分信号とが合成手段において合成される。このため、合成処理されたオーディオ信号のセンター成分では、音響空間(音場環境)の影響を低減させるための周波数補正処理を効果的に行うことができ、出力されるオーディオ信号の音質向上を図ることが可能となる。
さらに、上述した音響処理装置は、前記第1補正フィルタの中域周波数成分における信号レベルと前記第5補正フィルタの中域周波数成分における信号レベルとのレベル差を是正するようにして前記第1補正フィルタの信号レベル調節を行った後に、前記第1フィルタ手段のフィルタ係数を算出し、前記第4補正フィルタの中域周波数成分における信号レベルと前記第5補正フィルタの中域周波数成分における信号レベルとのレベル差を是正するようにして前記第4補正フィルタの信号レベル調節を行った後に、前記第4フィルタ手段のフィルタ係数を算出するものであってもよい。
第5補正フィルタを求めるための評価音を測定した測定マイクロフォンと、第1補正フィルタを求めるために評価音を測定したダミーヘッドマイクロフォンとは、互いのマイクロフォンの集音特性に相違があるため、同じ評価音の測定を行ったとしても、測定ゲインにレベル差が生じてしまうおそれがある。一方で、低域周波数成分および高域周波数成分において測定される評価音の周波数特性は、音響空間(音場環境)における反響音の影響や、ダミーヘッドの耳形状と聴取者の耳形状との相違などにより、信号レベルにばらつきが生ずる場合があり、中域周波数成分の周波数特性に比べて検出精度が劣っている場合がある。このため、中域周波数成分におけるレベル差を求め、マイクロフォンの相違によるレベル差の是正を図ることにより、第1フィルタ手段〜第4フィルタ手段のフィルタ係数における周波数成分毎のばらつきを抑制し、補正処理を効果的に行うことが可能となる。
本発明に係る音響処理装置によれば、センター成分に対しクロストークキャンセル処理を行わないことによって、音響信号の定位劣化を防ぐことができ、また、ステレオ成分に対してクロストークキャンセル処理を行うことによって、音響信号の臨場感を高めることができる。
本実施の形態に係る音響処理装置の概略構成を示したブロック図である。 本実施の形態に係る帯域分割合成部を構成するフィルタのフィルタ特性を示した図である。 本実施の形態に係るクロストークキャンセル部の概略構成を示したブロック図である。 本実施の形態に係る第1FIRフィルタ部〜第4FIRフィルタ部と第5FIRフィルタ部とのフィルタ係数の算出手順を示したフローチャートである。 本実施の形態に係る測定マイクロフォンで測定されたインパルス応答に基づいて算出された音響特性(周波数特性)の一例を示したグラフである。 (a)は、本実施の形態に係る左右のスピーカの設置位置とダミーヘッドの設置位置との関係および音響信号の伝達経路例を示した図であり、(b)は本実施の形態に係る音響処理装置を用いて実現される音響効果を示した説明図である。 本実施の形態に係る音響処理装置において、左側スピーカより出力されたインパルス出力が、ダミーヘッドの右耳側のマイクロフォンと左耳側のマイクロフォンとで測定された場合のインパルス応答を示している。 (a)は、本実施の形態に係る左側スピーカより出力された音響信号がダミーヘッドの左耳側のマイクロフォンで測定された場合における音響特性C11と、この音響特性に対して逆フィルタリング処理を施すことにより求められる補正フィルタF11の周波数特性とを示しており、(b)は、本実施の形態に係る左側スピーカより出力された音響信号がダミーヘッドの右耳側のマイクロフォンで測定された場合における音響特性C12と、この音響特性に対して逆フィルタリング処理を施すことにより求められる補正フィルタF12の周波数特性とを示している。 本実施の形態に係るクロストークキャンセル部で音響信号に適用されるフィルタ処理において、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性が反映される比率とダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性が反映される比率との重み付けを周波数に応じて示した図であって、(a)は左側スピーカから聴取者の左耳へと伝達される音響信号に対してフィルタ処理を施す場合を示し、(b)は左側スピーカから聴取者の右耳へと伝達される音響信号に対してフィルタ処理を施す場合を示している。 (a)は、図5に示された周波数補正フィルタの周波数特性を示した図であり、(b)は、図8(a)に示された左側スピーカからダミーヘッドの左耳側のマイクロフォンに伝達される信号の音響特性に基づいて算出された補正フィルタの周波数特性を示し、(c)は、図9(a)に示した重み付け比率に基づいて、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタの補正量と、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタの補正量との重み付け合成を行って生成された、左側スピーカから左耳へと伝達されるオーディオ信号に対する補正フィルタの周波数特性を示した図である。 (a)は、図8(b)に示された左側スピーカからダミーヘッドの右耳側のマイクロフォンに伝達される信号の音響特性に基づいて算出された補正フィルタの周波数特性を示し、(b)は、図9(b)に示した重み付け比率に基づいて、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタの補正量の重み付け合成を行って生成された、左側スピーカから右耳へと伝達されるオーディオ信号に対する補正フィルタの周波数特性を示した図である。
以下、本実施の形態に係る音響処理装置について、図面を用いて詳細に説明を行う。
図1は、本実施の形態に係る音響処理装置の概略構成を示したブロック図である。音響処理装置1は、図1に示すように、帯域分割合成部(信号分離手段)2と、クロストークキャンセル部(クロストークキャンセル手段)3と、周波数補正部(第5FIRフィルタ部、周波数補正手段)4と、合成部(合成手段)5とを有している。
帯域分割合成部2には、Lチャンネル(左側)用のオーディオ信号(音響信号)とRチャンネル(右側)用のオーディオ信号(音響信号)とが、図示を省略した音源より入力される。帯域分割合成部2は、図2に示すようなフィルタ特性を備える低域用フィルタ(図2においてLowで示される特性を備えるフィルタ)、中域用フィルタ(図2においてMidで示される特性を備えるフィルタ)および高域用フィルタ(図2においてHighで示される特性を備えるフィルタ)とを備えている。
帯域分割合成部2では、入力されたLチャンネル用のオーディオ信号を、低域オーディオ信号L(Low L)と、中域オーディオ信号L(Mid L)と、高域オーディオ信号L(High L)とに帯域分割する。同様に、Rチャンネル用のオーディオ信号に対しても、帯域分割合成部2は、低域オーディオ信号R(Low R)と、中域オーディオ信号R(Mid R)と、高域オーディオ信号R(High R)とに帯域分割する。
そして、帯域分割合成部2は、次述する(1)式に基づいてLチャンネル用の低域+高域+ステレオ成分信号を生成し、(2)式に基づいてRチャンネル用の低域+高域+ステレオ成分信号を生成し、さらに、(3)式に基づいて、センター成分信号を生成する。
Low L+High L+(Mid L−Mid R)×G …(1)式
Low R+High R+(Mid R−Mid L)×G …(2)式
Mid L+Mid R …(3)式
なお、本実施の形態に係る帯域分割合成部2においては、低域通過型および高域通過型のバタワース(Butterworth)フィルタを2個カスケード接続した後に、それぞれを組み合わせることによって、上述した(1)式・(2)式に示すLチャンネルおよびRチャンネルにおける高域成分信号と低域成分信号とステレオ成分信号との合成信号(以下、高低域+ステレオ成分信号とする。ワイド成分信号)と、(3)式に示したセンター成分信号とを生成する。帯域分割合成部2における低域通過型のフィルタのカットオフ周波数は、200Hzであり、高域通過型のフィルタのカットオフ周波数は、5kHzである。
また、Gは重み付け係数であり、高低域+ステレオ成分信号に対して、センター成分信号との信号レベルの差分に相当する重み付けを行うために、(1)式および(2)式に示すようにして設けられる係数である。本実施の形態に係る帯域分割合成部2では、Gの値として0.5が設定されている。入力されるオーディオ信号がLチャンネルとRチャンネルとの間で相関のない信号、すなわちステレオ信号である場合には、(1)式および(2)式に示すようにして重み付け用の係数G(重み付け係数G)を設定することにより、合成部5で信号を合成する際に生じ得る干渉を、抑制することが可能となる。
図3は、クロストークキャンセル部3の概略構成を示したブロック図である。クロストークキャンセルとは、例えば、左側スピーカから左耳へと出力される音響信号に対して、左側スピーカから右耳へと伝達される音響信号の逆位相を合成することにより、クロストークに該当する左側スピーカから右耳への音響信号の影響をキャンセルする処理方法を意味する。
クロストークキャンセル部3は、図3に示すように、第1FIRフィルタ部(有限インパルス応答:Finite impulse response、第1フィルタ手段)10と、第2FIRフィルタ部(第2フィルタ手段)11と、第3FIRフィルタ部(第3フィルタ手段)12と、第4FIRフィルタ部(第4フィルタ手段)13と、第1加算部(第1加算手段)14と、第2加算部(第2加算手段)15とを有している。
第1FIRフィルタ部10は、左側スピーカから聴取者の左耳へと伝達される音響信号に対して適用されるフィルタであり、第2FIRフィルタ部11は、左側スピーカから聴取者の右耳へと伝達される音響信号、つまり、クロストーク成分に該当する音響信号に対して適用されるフィルタである。また、第4FIRフィルタ部13は、右側スピーカから聴取者の右耳へと伝達される音響信号に対して適用されるフィルタであり、第3FIRフィルタ部11は、右側スピーカから聴取者の左耳へと伝達される音響信号、つまり、クロストーク成分に該当する音響信号に対して適用されるフィルタである。
帯域分割合成部2より出力されたLチャンネル用の高低域+ステレオ成分信号は、第1FIRフィルタ部10および第2FIRフィルタ部11に入力される。また、帯域分割合成部2より出力されたRチャンネル用の高低域+ステレオ成分信号は、第3FIRフィルタ部12および第4FIRフィルタ部13に入力される。そして、入力されたLチャンネルおよびRチャンネル用の高低域+ステレオ成分信号は、各フィルタ部10〜13においてそれぞれフィルタ処理された後に、加算部14,15へ出力される。
第1加算部14では、第1FIRフィルタ部10においてフィルタ処理されたLチャンネル用の高低域+ステレオ成分信号と、第3FIRフィルタ部12においてフィルタ処理されたRチャンネル用の高低域+ステレオ成分信号とを合成する。このようして合成されたLチャンネル用のオーディオ信号L1は、クロストークキャンセル部3によって、周波数補正が行われる共に、クロストークキャンセル処理が行われることになる。同様に、第2加算部15では、第2FIRフィルタ部11においてフィルタ処理されたLチャンネル用の高低域+ステレオ成分信号と、第4FIRフィルタ部13においてフィルタ処理されたRチャンネル用の高低域+ステレオ成分信号とを合成する。このようにして合成されたRチャンネル用のオーディオ信号R1も、クロストークキャンセル部3によって、周波数補正が行われる共にクロストークキャンセル処理が行われた信号として出力されることになる。
第1FIRフィルタ部10〜第4FIRフィルタ部13におけるフィルタ係数は、後述する処理により算出される。その詳細については後述する。
周波数補正部4は、1つのFIRフィルタ部(以下、第5FIRフィルタ部とする)により構成されている。第5FIRフィルタ部には、帯域分割合成部2より出力されたセンター成分信号が入力される。第5FIRフィルタ部では、入力されたセンター成分信号に対してフィルタ処理を施すことにより、周波数補正を行う。そして、周波数補正が行われたセンター成分信号は、オーディオ信号C1として合成部5に出力されることになる。
ここで、周波数補正部4の第5FIRフィルタ部では、クロストークキャンセル処理を行わない。上述したように、周波数補正部4にはセンター成分信号が入力されるが、入力信号のセンター成分にクロストークキャンセル処理を施すと、センター成分の定位が損なわれてしまう傾向がある。このため、周波数補正部4の第5FIRフィルタ部においてクロストークキャンセル処理を行わないことにより、センター成分の定位を保持することが可能となる。
さらに、周波数補正部4の第5FIRフィルタ部では、音響空間の音響特性に対する逆特性を用いて周波数補正処理を行う。このように、入力されるオーディオ信号に対して、音響空間における音響特性の逆特性を施すことにより、出力されるオーディオ信号の音響特性に、音響空間における音響特性が影響されてしまって、音質劣化などが生じてしまうことを防止することが可能となる。
なお、第5FIRフィルタ部のフィルタ係数は、後述する処理により算出される。その詳細については後述する。
合成部5は、クロストークキャンセル部3によって周波数補正およびクロストークキャンセル処理が行われたオーディオ信号L1に対して、周波数補正部4において周波数補正が行われたオーディオ信号C1を合成することにより、Lチャンネル用のオーディオ信号L2を生成する処理を行う役割を有している。また、同様に、合成部5は、クロストークキャンセル部3によって周波数補正およびクロストークキャンセル処理が行われたオーディオ信号R1に対して、周波数補正部4において周波数補正が行われたオーディオ信号C1を合成することにより、Rチャンネル用のオーディオ信号R2を生成する処理を行う役割を有している。
合成部5において合成されたオーディオ信号は、中域のセンター成分についてクロストークの抑制処理が行われず、周波数補正処理だけが行われた信号であるため、定位の劣化を防ぐことができ、センター成分における定位確保を顕著なものとすることができる。また、合成部5において合成されたオーディオ信号は、低域成分、高域成分およびステレオ成分において、クロストークの抑制処理と、周波数補正処理とが行われているので、実際の聴取者の左右耳の感覚や耳形状の相異に基づく音質の劣化を抑えながら、臨場感のある音響効果を奏することが可能となる。
次に、上述した第1FIRフィルタ部10〜第4FIRフィルタ部13および第5FIRフィルタ部におけるそれぞれのフィルタ係数の算出手順について説明を行う。図4は、第1FIRフィルタ部10〜第4FIRフィルタ部13と第5FIRフィルタ部とのフィルタ係数の算出手順を示したフローチャートである。本実施の形態に係る音響処理装置1では、図4に示すようにステップS.1〜ステップS.6の処理を行うことによって、第1FIRフィルタ部10〜第4FIRフィルタ部13と、第5FIRフィルタ部とのフィルタ係数の算出を行う。
具体的には、第1の処理(ステップS.1)において、測定マイクロフォンでインパルス応答を測定し、測定されたインパルス応答に基づいて、第2の処理(ステップS.2)において周波数補正フィルタ(第5補正フィルタ)を算出する。このようにして算出された周波数補正フィルタの周波数特性に基づいて、第5FIRフィルタ部のフィルタ係数が算出されることになる。
また、第1の処理(ステップS.1)において測定された測定マイクロフォンのインパルス応答と、第3の処理(ステップS.3)において測定されたダミーヘッドマイクロフォンのインパルス応答とに基づいて、第4の処理(ステップS.4)において中域の周波数成分を基準としたレベル調節処理を行う。その後、第2の処理(ステップS.2)において求められた周波数補正フィルタと、第5の処理(ステップS.5)において求められたクロストークキャンセル用の補正フィルタ(第1補正フィルタ〜第4補正フィルタ)とに基づいて、第6の処理(ステップS.6)により、周波数帯域毎に補正量の割合を変化させて補正量の重み付け合成処理を行い、周波数補正効果とクロストークキャンセル効果とを備えた補正フィルタ(補正フィルタA〜補正フィルタD)を算出する。このようにして算出された補正フィルタの周波数特性に基づいて、第1FIRフィルタ部10〜第4FIRフィルタ部13のフィルタ係数が算出されることになる。
上述した第1の処理(ステップS.1)から第6の処理(ステップS.6)までの詳細な処理内容について説明する。
第1の処理(ステップS.1)では、まず、オーディオ信号が出力される音響空間(音場環境)において、スピーカから評価音(インパルス出力)を出力し、出力された評価音を、測定マイクロフォンを用いて測定することにより、インパルス応答を求める処理(測定マイクロフォンによる音響測定処理)を行う。具体的には、複数台のスピーカ(本実施の形態に係る音響処理装置1では、2台のスピーカ)を音響空間に設置し、聴取者の着座位置に測定マイクロフォンを設置する。このようにして音響空間にスピーカと測定マイクロフォンが設置された状況において、各スピーカから個別に、インパルス出力を出力し、測定マイクロフォンでそれぞれのインパルス応答の測定を行う。
次に、第2の処理(ステップS.2)として、測定されたインパルス応答に基づいて、音響空間の音響特性を抑制し得る周波数補正フィルタの算出処理を行う。
はじめに、測定マイクロフォンによって測定されたインパルス応答を、フーリエ変換することによって、音響空間における音響特性(周波数特性)を求める。図5に示すグラフは、測定されたインパルス応答に基づいて算出された音響特性(周波数特性)の一例を示したグラフである。図5には、測定された音響特性(周波数特性)と、測定された音響特性(周波数特性)を周波数領域で平均化処理した音響特性(平均化)と、平均化処理された音響特性(周波数特性)に対して逆フィルタリング処理を行った周波数補正フィルタの音響特性(周波数特性)とが示されている。
音響空間における音響特性(周波数特性)が求められた後に、図5に示すように測定された音響特性(周波数特性)の平均化処理を行う。音響特性(周波数特性)の平均化処理を行うことによって、インパルス応答の測定において検出される細かい信号レベルの変動を平滑化することができる。また、平均化処理を行うことによって、インパルス応答が長くなった場合に、側壁などに反射された反射音が測定マイクロフォンで測定されてしまうことを抑制する(反射音の影響が発生してしまうことを低減させる)ことができる。
その後、平均化処理が行われた音響特性に対して、逆フィルタリング処理を行う。この逆フィルタリング処理では、振幅に対してのみに逆フィルタリングを行い、位相の補正は行わない。逆フィルタリング処理により求められる周波数補正フィルタ(第5補正フィルタ)のフィルタ特性(周波数特性)を逆フーリエ変換することにより、第5FIRフィルタ部のフィルタ係数を算出する。ここで、逆フィルタリング処理により求められる周波数補正フィルタのフィルタ特性(周波数特性)は、測定マイクロフォンを用いて測定された音響空間の音響特性と反対の特性を備えている。このため、第5FIRフィルタ部のフィルタ係数を求める際に、第2の処理(ステップS.2)において算出された周波数補正フィルタのフィルタ特性(周波数特性)を用いることにより、センター成分信号に対して、音響空間の音響特性効果を抑制させるような周波数補正を行うことが可能となる。
次に、第3の処理(ステップS.3)では、オーディオ信号が出力される音響空間において、スピーカから評価音(インパルス出力)を出力し、出力された評価音を、ダミーヘッドマイクロフォンで測定することにより、インパルス応答を求める処理(ダミーヘッドマイクロフォンによる音響測定処理)を行う。
具体的には、図6(a)に示すように、聴取者の左側に設置されるスピーカLおよび右側に設置されるスピーカRの正面側にダミーヘッドMを設置する。そして、各スピーカL,Rより評価音(インパルス出力)をそれぞれ個別に出力し、出力される評価音をダミーヘッドMの左右耳位置に設置されるそれぞれのマイクロフォンで個別に測定する。
図6(a)に示すように、スピーカLにより出力された音響信号は、ダミーヘッドMの左耳側のマイクロフォンとダミーヘッドMの右耳側のマイクロフォンとで測定される。また、同様に、スピーカRにより出力された音響信号は、ダミーヘッドMの左耳側のマイクロフォンとダミーヘッドMの右耳側のマイクロフォンとで測定される。
このため、各スピーカL,Rから各マイクロフォンまでの音響信号の伝達経路は、左側スピーカLからダミーヘッドMの左耳側のマイクロフォンまでの経路と、左側スピーカLからダミーヘッドMの右耳側のマイクロフォンまでの経路と、右側スピーカRからダミーヘッドMの左耳側のマイクロフォンまでの経路と、右側スピーカRからダミーヘッドMの右耳側のマイクロフォンまでの経路との4つの経路が存在することになる。ダミーヘッドマイクロフォンでは、それぞれの伝達経路に応じて4種類のインパルス応答の測定を行う。
それぞれの伝達経路において測定されたインパルス応答をフーリエ変換することにより、各伝達経路に応じて音響特性(周波数特性)を求めることが可能となる。本実施の形態に係る音響処理装置1では、図6(a)に示すように、左側スピーカLからダミーヘッドMの左耳側のマイクロフォンまでの伝達経路において求められる音響特性をC11、左側スピーカLからダミーヘッドMの右耳側のマイクロフォンまでの伝達経路において求められる音響特性をC12、右側スピーカRからダミーヘッドMの左耳側のマイクロフォンまでの伝達経路において求められる音響特性をC21、右側スピーカRからダミーヘッドMの右耳側のマイクロフォンまでの伝達経路において求められる音響特性をC22とする。
次に、第4の処理(ステップS.4)として、測定マイクロフォンによって測定された音響信号の信号レベルと、ダミーヘッドマイクロフォンによって測定された音響信号の信号レベルとのレベル差に基づいて、レベル調節処理を行う。
具体的には、ステップS.1において測定マイクロフォンにより測定されたインパルス応答と、ステップS.3においてダミーヘッドマイクロフォンにより測定されたインパルス応答とをそれぞれフーリエ変換することにより周波数特性を求め、求められたそれぞれの周波数特性における所定帯域の信号レベルを計算する。そして、計算された信号レベルに基づいて、測定マイクロフォンによる音響測定とダミーヘッドマイクロフォンによる音響測定とのレベル差の調節を行う。
一般的に、測定マイクロフォンとダミーヘッドマイクロフォンとは、マイクロフォンの特性が異なるため、測定された信号のレベルがそれぞれ異なる値となる傾向がある。また、測定マイクロフォンとダミーヘッドマイクロフォンとはその構造が異なるため、測定マイクロフォンの設置位置とダミーヘッドマイクロフォンの設置位置が同じであっても、測定されたインパルス応答のゲインが異なる場合がある。このため、ダミーヘッドマイクロフォンの測定レベルと測定マイクロフォンの測定レベルとのレベル差がなくなるように調節を行うことによって、異なるマイクロフォンにおけるマイク感度の調節を行うことが可能となる。
なお、本実施の形態に係る音響処理装置1においては、所定帯域として、中域の周波数成分である500Hz〜1kHzの信号レベルを計算する。中域の周波数成分において求められる信号レベルは他の帯域のレベルに比べて、耳の形状や左右耳の間隔などの聴取者の耳に関する影響を受けにくいという特性が存在する。このため、本実施の形態に係る音響処理装置1では、中域の信号レベルを基準としてレベル差の調節を行う。
次に、第5の処理(ステップS.5)として、クロストークをキャンセルするための補正フィルタの算出処理を行う。具体的には、第3の処理(ステップS.3)において、ダミーヘッドマイクロフォンで測定されたインパルス応答に基づいて求められた音響特性(周波数特性)C11、C12、C21、C22(図6(a)参照)のうち、クロストークに該当するC12およびC21の音響特性を抑制する処理を行う。
図7には、左側スピーカLより出力されたインパルス出力が、ダミーヘッドマイクロフォンの右耳側のマイクロフォンと左耳側のマイクロフォンとで測定された場合のインパルス応答を示している。ここで、図7に示すグラフの横軸はサンプリング数を示している。本実施の形態に係る音響処理装置1では、サンプリング速度が44.1kHzとなっている。また、測定環境(音響空間)における反射波の影響が音響特性の算出において影響され難くするために(影響を低減させるために)、インパルス応答長(インパルス応答の測定の長さ)を256サンプルに制限している。
このようにして256サンプルに制限されたインパルス応答長に基づいて、左側スピーカLより出力された音響信号がダミーヘッドMの左耳側のマイクロフォンで測定された場合における音響特性と、左側スピーカLより出力された音響信号がダミーヘッドMの右耳側のマイクロフォンで測定された場合における音響特性を求める。さらに、それぞれの音響特性に対して逆フィルタリング処理を施すことによって、それぞれの補正フィルタ(第1補正フィルタおよび第2補正フィルタ)を求める。
図8(a)は、左側スピーカLより出力された音響信号がダミーヘッドMの左耳側のマイクロフォンで測定された場合における音響特性(周波数特性)C11と、この音響特性に対して逆フィルタリング処理を施すことにより求められる補正フィルタF11(第1補正フィルタ)の周波数特性とを示している。また、図8(b)は、左側スピーカLより出力された音響信号がダミーヘッドMの右耳側のマイクロフォンで測定された場合における音響特性(周波数特性)C12と、この音響特性に対して逆フィルタリング処理を施すことにより求められる補正フィルタF12(第2補正フィルタ)の周波数特性とを示している。
なお、上述した逆フィルタリング処理では、振幅および位相の双方についてフィルタ処理(補正処理)を行うが、図8(a)および図8(b)には、振幅のみの補正処理が行われた場合が示されている。図8(a)および図8(b)に示すように、左側スピーカLからダミーヘッドMの左右の耳位置のマイクロフォンまでの音響特性(周波数特性)C11、C12を求め、さらに求められた音響特性に対して逆フィルタリング処理を施して補正フィルタを求めることによって、図6(a)に示したC11の音響特性を打ち消し得る補正フィルタF11と、C12の音響特性を打ち消し得る補正フィルタF12とを求めることができる。
また、第5の処理(ステップS.5)においては、右側スピーカRより出力された音響信号がダミーヘッドMの左耳側のマイクロフォンで測定された場合における音響特性C21と、右側スピーカRより出力された音響信号がダミーヘッドMの右耳側のマイクロフォンで測定された場合における音響特性C22とを求め、さらに、それぞれの音響特性に対して逆フィルタリング処理を施すことによって、それぞれの補正フィルタを求める。このように補正フィルタを求めることによって、図6(a)に示したC21の音響特性を打ち消し得る補正フィルタF21と、C22の音響特性を打ち消し得る補正フィルタF22とを求めることができる。
次に、第6の処理(ステップS.6)として、補正量の重み付け処理を行う。図5に示される測定マイクロフォンの音響特性と、図8(a)および図8(b)に示されるダミーヘッドマイクロフォンの音響特性C11、C12とを比較すると、中域における特性はほぼ同等である(共通する特性を示している)。
しかしながら、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定されたインパルス応答は、第5の処理(ステップS.5)において説明したように、音響空間における反射波の影響を低減させるため、インパルス応答長が制限されている。このため、ダミーヘッドマイクロフォンの音響特性では、低域の測定精度が低下する傾向がある。また、高域においては、耳の形状等による影響が周波数特性として表れてしまうため、ダミーヘッドマイクロフォンの音響特性では、高域の特性が、測定マイクロフォンの音響特性に比べて大きく変化する傾向がある。
このため、左側スピーカLから聴取者の左耳へと伝達される音響信号に対して適用するフィルタ処理では、図9(a)に示すように、周波数帯域に応じて、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性が反映される比率と、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性が反映される比率とを調節することにより、好適なフィルタ処理が行われるようにする。
左側スピーカLから聴取者の左耳へと伝達される音響信号に対して適用するフィルタ処理(補正フィルタA)では、図9(a)に示すように、低域および高域においては、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性が反映される比率を高くし、一方で、中域においてはダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性が反映される比率を高くしている。
このように、低域において測定マイクロフォン測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性の比率を高くすることにより、インパルス応答長が制限されることにより低減された測定精度が、フィルタ処理において影響されてしまうことを避けることができる。また測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性の比率を、高域において高くすることにより、左右の耳形状の相異や、左右の耳間隔の違いなどにより生じ得る音響特性変化の影響を抑えることが可能となる。
そして、低域と中域との間の中間帯域においては、周波数が上昇するに従って、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性の比率が徐々に高まり、一方で、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性の比率が徐々に減少する。つまり、低域と中域との間の中間帯域においては、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性と、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性とが混在(クロスオーバー)した状態となる。
また、高域と中域との間の中間帯域においては、周波数が上昇するに従って、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性の比率が徐々に低下し、一方で、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性の比率が徐々に高まる。つまり、高域と中域との間の中間帯域においては、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性と、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性とが混在(クロスオーバー)した状態となる。
具体的には、図9(a)に示すように、周波数がf1〜f2の範囲と、周波数がf3〜f4の範囲とで、互いの補正量がクロスオーバーされて混在された状態となる。本実施の形態に係る音響処理装置1では、f1=150Hz、f2=300Hz、f3=5kHz、f4=6kHzに設定されている。
つまり、150Hz〜300Hzにおいて、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタの補正量の割合が減少し、その減少に反比例するようにして、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタの補正量の割合が増加する。また、5kHz〜6kHzにおいて、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタの補正量の割合が増大し、その増大に反比例するようにして、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタの補正量の割合が減少する。
このように、低域と中域と間の中間帯域、および中域と高域との間の中間帯域において、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタの補正量の割合とダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタの補正量の割合とを互いに反比例するようにして増減させることにより、これらの中間帯域においても、周波数補正フィルタによるフィルタ処理の効果とクロストークキャンセル処理による効果とを奏することができる。さらに、これらの中間帯域において奏される効果は、中間帯域に近接する低域、中域および高域との効果と比較しても違和感のないものとすることができる。
左側スピーカから聴取者の右耳へと伝達される音響信号に対して適用するフィルタ処理(補正フィルタB)では、図9(b)に示すように、中域においてのみ、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性を適用し、低域および高域においては、フィルタ処理を行わない。左側スピーカから聴取者の右耳へと伝達される音響信号は、既に説明したようにクロストークに該当する信号である。このため、聴感特性で最も感度の高い中域において積極的にクロストークの低減処理を行うことが可能となる。
図10は、図9(a)に示した重み付け比率に基づいて、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタの補正量と、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタの補正量との重み付け合成を行って、左側スピーカLから左耳へと伝達される信号に対する補正フィルタの生成過程を説明するための図である。図10(a)は、図5に示された周波数補正フィルタ(測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ)の周波数特性を示した図であり、図10(b)は、図8(a)に示された左側スピーカLからダミーヘッドの左耳側のマイクロフォンに伝達される信号の音響特性に基づいて算出された補正フィルタ(ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ)の周波数特性を示している。
上述したように、左側スピーカLから聴取者の左耳へと伝達される信号に対する補正フィルタは、低域および高域においては、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタの補正量の重み付けが高い。このため、図10(c)に示されるように、左側スピーカLから聴取者の左耳へと伝達される信号に対する補正フィルタは、低域および高域において、図10(a)に示される符号α1および符号α2の範囲のフィルタ特性を備えることになる。
同様にして、中域においては、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタの補正量の重み付けが高いため。このため、図10(c)に示されるように、左側スピーカLから聴取者の左耳へと伝達される信号に対する補正フィルタは、中域において、図10(b)に示される符号βの範囲のフィルタ特性を備えることになる。このようにして、左側スピーカLから聴取者の左耳へと伝達される信号に対する補正フィルタとして、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタのフィルタ特性と、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタのフィルタ特性とを備えた補正フィルタを求めることができる。
同様にして、右側スピーカRから聴取者の右耳へと伝達される信号に対する補正フィルタ(補正フィルタD)に対して、図9(a)に示した重み付けの割合で、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタのフィルタ特性の補正量と、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタのフィルタ特性の補正量とを合成することにより、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタのフィルタ特性と、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタのフィルタ特性とを備えた補正フィルタを求めることができる。
一方で、左側スピーカLから聴取者の右耳へと伝達される信号に対する補正フィルタ(補正フィルタB)は、上述したように、中域においてのみ、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性を適用し、低域および高域においては、フィルタ処理を行わない。図11(a)は、図8(b)に示された左側スピーカLからダミーヘッドの右耳側のマイクロフォンに伝達される信号の音響特性に基づいて算出された補正フィルタ(ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ)の周波数特性を示している。左側スピーカLから聴取者の右耳へと伝達される信号に対する補正フィルタは、中域においてのみ、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性を適用するので、図11(b)に示すように、図11(a)の符号γの範囲のフィルタ特性のみを、中域に該当する周波数の帯域で備えることとになり、高域および低域においては、フィルタ特性が付加されないことになる。
同様にして、右側スピーカRから聴取者の左耳へと伝達される信号に対する補正フィルタにおいても、中域においてのみ、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ(補正フィルタC)を求めることができる。
このようにして求められた、左側スピーカLから聴取者の左耳位置へと伝達される信号に対する補正フィルタの周波数特性を逆フーリエ変換することにより、第1FIRフィルタ部10のフィルタ係数を求めることが可能となる。また、左側スピーカLから聴取者の右耳位置へと伝達される信号に対する補正フィルタの周波数特性を逆フーリエ変換することにより、第2FIRフィルタ部11のフィルタ係数を求めることが可能となる。さらに、右側スピーカRから聴取者の左耳位置へと伝達される信号に対する補正フィルタの周波数特性を逆フーリエ変換することにより、第3FIRフィルタ部12のフィルタ係数を求めることが可能となる。また、右側スピーカRから聴取者の右耳位置へと伝達される信号に対する補正フィルタの周波数特性を逆フーリエ変換することにより、第4FIRフィルタ部13のフィルタ係数を求めることが可能となる。
同様に、図5に示した周波数補正フィルタの周波数特性を逆フーリエ変換することにより、第5FIRフィルタ部のフィルタ係数を求めることが可能となる。第5FIRフィルタ部のフィルタ係数は、上述したように、周波数補正フィルタの周波数特性を逆フーリエ変換することにより求められたものであり、周波数補正フィルタは、クロストークの低減処理を行わず、周波数補正処理だけが行われるものである。
このため、第5FIRフィルタ部を備える周波数補正部4では、主にボーカルなどの音声成分が含まれる中域のセンター成分に対してクロストークの抑制処理を行わない。従って、図6(b)に示すように、中域において音響信号の定位がクロストークキャンセル処理に伴って劣化されてしまうことを抑制することができ、センター成分の定位保持向上を図ることが可能となる。
一方で、第1FIRフィルタ部10〜第4FIRフィルタ部13を備えたクロストークキャンセル部3では、低域成分、高域成分およびステレオ成分に対して、測定マイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性により、周波数補正を行うことができ、さらに、ダミーヘッドマイクロフォンにより測定された周波数特性に基づく補正フィルタ特性により、クロストークの抑制処理とを行うことができる。このため、聴取者の左右の耳の感覚や耳の形状の差異による音質劣化を抑えながら、図6(b)に示すように、ステレオ成分の臨場感を向上させて迫力のある音響空間を実現することが可能となる。
以上、本発明に係る音響処理装置について、図面を用いて詳細に説明を行ったが、本発明に係る音響処理装置は上述した実施の形態に示される例には限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 …音響処理装置
2 …帯域分割合成部(信号分離手段)
3 …クロストークキャンセル部(クロストークキャンセル手段)
4 …周波数補正部(第5FIRフィルタ部、周波数補正手段)
5 …合成部(合成手段)
10 …第1FIRフィルタ部(第1フィルタ手段)
11 …第2FIRフィルタ部(第2フィルタ手段)
12 …第3FIRフィルタ部(第3フィルタ手段)
13 …第4FIRフィルタ部(第4フィルタ手段)
14 …第1加算部(第1加算手段)
15 …第2加算部(第2加算手段)
M …ダミーヘッド

Claims (4)

  1. 入力されたLチャンネル用のオーディオ信号とRチャンネル用のオーディオ信号とを、中周波数帯域のモノラル成分からなるセンター成分信号と、低周波数帯域と高周波数帯域と中周波数帯域のステレオ成分とからなるLチャンネル用およびRチャンネル用のワイド成分信号とに分離する信号分離手段と、
    該信号分離手段により分離されたLチャンネル用およびRチャンネル用のワイド成分信号に対して、クロストークキャンセル処理を行うクロストークキャンセル手段と、
    前記クロストークキャンセル手段によりクロストークキャンセル処理が行われたLチャンネル用およびRチャンネル用のワイド成分信号のそれぞれに前記センター成分信号を合成する合成手段と
    を備え、
    前記クロストークキャンセル手段は、
    左側スピーカから聴取者の左耳へと伝達されるLチャンネル用のワイド成分信号に対してフィルタ処理を行う第1フィルタ手段と、
    左側スピーカから聴取者の右耳へと伝達されるLチャンネル用のワイド成分信号に対してフィルタ処理を行う第2フィルタ手段と、
    右側スピーカから聴取者の左耳へと伝達されるRチャンネル用のワイド成分信号に対してフィルタ処理を行う第3フィルタ手段と、
    右側スピーカから聴取者の右耳へと伝達されるRチャンネル用のワイド成分信号に対してフィルタ処理を行う第4フィルタ手段と、
    前記第1フィルタ手段によりフィルタ処理されたLチャンネル用のワイド成分信号と、前記第3フィルタ手段によりフィルタ処理されたRチャンネル用のワイド成分信号との合成処理とを行う第1加算手段と、
    前記第4フィルタ手段によりフィルタ処理されたRチャンネル用のワイド成分信号と、前記第2フィルタ手段によりフィルタ処理されたLチャンネル用のワイド成分信号との合成処理とを行う第2加算手段と
    を有し、
    ダミーヘッドの左耳側マイクロフォンで左側スピーカより出力された評価信号を検出して第1インパルス応答を求め、さらに、該第1インパルス応答の音響特性を逆フィルタリング処理することにより求められる第1補正フィルタと、
    前記ダミーヘッドの右耳側マイクロフォンで左側スピーカより出力された評価信号を検出して第2インパルス応答を求め、さらに、該第2インパルス応答の音響特性を逆フィルタリング処理することにより求められる第2補正フィルタと、
    前記ダミーヘッドの左耳側マイクロフォンで右側スピーカより出力された評価信号を検出して第3インパルス応答を求め、さらに、該第3インパルス応答の音響特性を逆フィルタリング処理することにより求められる第3補正フィルタと、
    前記ダミーヘッドの右耳側マイクロフォンで右側スピーカより出力された評価信号を検出して第4インパルス応答を求め、さらに、該第4インパルス応答の音響特性を逆フィルタリング処理することにより求められる第4補正フィルタと、
    音響空間の音響特性を測定するための測定マイクロフォンでスピーカより出力された評価信号を検出してインパルス応答を求め、さらに、該インパルス応答の音響特性を逆フィルタリング処理することにより求められる第5補正フィルタと
    を用いて、
    前記第1フィルタ手段のフィルタ係数を、前記第5補正フィルタの低域周波数成分および高域周波数成分と、前記第1補正フィルタの中域周波数成分とを用いて生成された補正フィルタAに基づいて算出し、
    前記第2フィルタ手段のフィルタ係数を、前記第2補正フィルタの中域周波数成分だけを用いて生成された補正フィルタBに基づいて算出し、
    前記第3フィルタ手段のフィルタ係数を、前記第3補正フィルタの中域周波数成分だけを用いて生成された補正フィルタCに基づいて算出し、
    前記第4フィルタ手段のフィルタ係数を、前記第5補正フィルタの低域周波数成分および高域周波数成分と、前記第4補正フィルタの中域周波数成分とを用いて生成された補正フィルタDに基づいて算出する
    ことを特徴とする音響処理装置。
  2. 前記補正フィルタAは、低域周波数成分と中域周波数成分との間の周波数成分における周波数の増加に従って、前記第5補正フィルタの占める割合が減少すると共に前記第1補正フィルタの占める割合が増加し、前記中域周波数成分と前記高域周波数成分との間の周波数成分における周波数の増加に従って、前記第5補正フィルタの占める割合が増加すると共に前記第1補正フィルタの占める割合が減少し、
    前記補正フィルタDは、低域周波数成分と中域周波数成分との間の周波数成分における周波数の増加に従って、前記第5補正フィルタの占める割合が減少すると共に前記第4補正フィルタの占める割合が増加し、前記中域周波数成分と前記高域周波数成分との間の周波数成分における周波数の増加に従って、前記第5補正フィルタの占める割合が増加すると共に前記第4補正フィルタの占める割合が減少する
    ことを特徴とする請求項1に記載の音響処理装置。
  3. 前記第5補正フィルタを用いて前記センター成分信号に周波数補正処理を施して前記合成手段に出力する周波数補正手段
    を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音響処理装置。
  4. 前記第1補正フィルタの中域周波数成分における信号レベルと前記第5補正フィルタの中域周波数成分における信号レベルとのレベル差を是正するようにして前記第1補正フィルタの信号レベル調節を行った後に、前記第1フィルタ手段のフィルタ係数を算出し、
    前記第4補正フィルタの中域周波数成分における信号レベルと前記第5補正フィルタの中域周波数成分における信号レベルとのレベル差を是正するようにして前記第4補正フィルタの信号レベル調節を行った後に、前記第4フィルタ手段のフィルタ係数を算出する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の音響処理装置。
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