JP2012057708A - 車両のクリープトルク制御装置 - Google Patents

車両のクリープトルク制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2012057708A
JP2012057708A JP2010201111A JP2010201111A JP2012057708A JP 2012057708 A JP2012057708 A JP 2012057708A JP 2010201111 A JP2010201111 A JP 2010201111A JP 2010201111 A JP2010201111 A JP 2010201111A JP 2012057708 A JP2012057708 A JP 2012057708A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
creep torque
vehicle
clutch
target
creep
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010201111A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5653694B2 (ja
Inventor
Atsushi Kumazawa
厚 熊沢
Toshio Mizuno
年雄 水野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mercedes Benz Group AG
Original Assignee
Daimler AG
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daimler AG filed Critical Daimler AG
Priority to JP2010201111A priority Critical patent/JP5653694B2/ja
Publication of JP2012057708A publication Critical patent/JP2012057708A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5653694B2 publication Critical patent/JP5653694B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Mechanical Operated Clutches (AREA)
  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

【課題】車両に作用する制動力に応じて的確に且つ応答性よくクリープトルクを制御でき、もって燃料消費の低減やクラッチの消耗抑制を十分に達成できる車両のクリープトルク制御装置を提供する。
【解決手段】クラッチ回転速度Ncの増加に伴って目標クリープトルクを低下させ、且つブレーキ液圧の増加に伴って目標クリープトルクを低下させる通常時クリープトルク特性A〜Dをマップとして予め記憶させる。そして、このマップに基づきクラッチ回転速度Nc及びブレーキ液圧から目標クリープトルクを算出することで、クラッチ回転速度Ncやブレーキ液圧が変化したときに直ちに目標クリープトルクを増減させてクラッチの半クラッチ制御に反映させる。
【選択図】図5

Description

本発明は車両のクリープトルク制御装置に係り、詳しくは手動変速機をベースとして変速操作及び変速に伴うクラッチ操作をアクチュエータにより自動化した自動変速機において、クラッチの半クラッチ状態を制御してエンジンの微小トルクを伝達することで所謂クリープ現象を生起させる車両のクリープトルク制御装置に関する。
近年では乗用車のみならずトラックやバスなどの大型車両においても、運転者のアクセル操作量や車速などから求めた目標変速段に基づき変速段を自動的に切り換える自動変速機が普及している。この種の自動変速機の一つとして、従来からの手動変速機をベースとして変速操作及び変速に伴うクラッチ操作をアクチュエータにより自動化した自動変速機が実用化されている。
この手動変速機をベースとした自動変速機は、流体継手であるトルクコンバータを介することなくエンジントルクを伝達するため、一般的なトルコン式自動変速機に比較して動力伝達効率が高いという特徴を有するが、その反面、トルコン式自動変速機のように車両停止時などにエンジンの微小トルクを駆動輪側に伝達する所謂クリープ現象は得られない。そして、このクリープ現象はアクセル操作せずにブレーキ操作を解除するだけで車両を微速走行(クリープ走行)できることから渋滞時などでの運転操作に便利な上に、一般の運転者は既にクリープ現象の操作感に慣れている。
そこで、上記手動変速機をベースとした自動変速機においても、クラッチを半クラッチ状態に制御することにより微小トルクを伝達させて車両をクリープ走行させるようにしたクリープトルク制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
当該特許文献1に記載されたクリープ制御装置は、ブレーキペダルが踏込み状態から開放されないときにカウンタAをカウントアップし、それ以外のときにカウンタAをクリアする一方、ブレーキペダルが踏まれず、かつ車速が閾値Vf、Vr以下のときにカウンタBをカウントアップし、それ以外のときにカウンタBをクリアしている。
そして、これらのカウンタA,Bに基づき演算したクリープトルク上限値Tとクリープトルク下限値Tとの間にクリープトルクの目標値を設定し、そのクリープトルクの目標値に基づきクラッチの半クラッチ状態を制御している。
以上のブレーキペダルの踏込みや車速の変化に応じたクリープトルク制御により、クリープトルクは車両に作用する制動力の大きさに応じて漸減するように制御される。クリープ走行中にブレーキペダルが踏込み操作されると、発生した制動力に拮抗してクリープトルクの一部が無駄に消費されるが、このような無駄なクリープトルクの消費を抑制することで、燃料消費の低減及びクラッチの消耗抑制を図っている。
特開2005−337432号公報
しかしながら、特許文献1の車両のクリープトルク制御装置によるクリープトルク制御は、応答性の点で問題があった。
即ち、特許文献1の車両のクリープトルク制御装置では、ブレーキペダルの踏込みや車速の変化に応じてカウンタA,Bをカウントアップ或いはクリアし、そのカウンタA,Bに基づいてクリープトルク上限値T及びクリープトルク下限値T、ひいてはクリープトルクの目標値を演算している。
このため、ブレーキペダルの踏込みや車速が変化しても、カウンタA,Bがカウントアップ或いはクリアした後でなければクリープトルクの目標値に反映されず、結果として目標値に基づくクラッチ制御も遅れてしまう。従って、車両に作用する制動力に応じた応答性のよいクリープトルク制御は到底望めず、当該クリープトルク制御による燃料消費の低減やクラッチの消耗抑制なども十分に達成することができなかった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、車両に作用する制動力に応じて的確に且つ応答性よくクリープトルクを制御でき、もって燃料消費の低減やクラッチの消耗抑制を十分に達成することができる車両のクリープトルク制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、変速機の変速操作及び該変速に伴うクラッチ操作をアクチュエータにより行うと共に、クラッチの半クラッチ状態を制御してエンジンの微小トルクを伝達することでクリープ現象を生起させる車両のクリープトルク制御装置において、車両の車速と相関する車速相関値を検出する車速相関値検出手段と、運転者のブレーキ操作に応じて車両に作用する制動力を検出する制動力検出手段と、車速相関値の増加に伴って目標クリープトルクを低下させ、且つ制動力の増加に伴って目標クリープトルクを低下させるように予め設定された通常時クリープトルク特性を記憶するクリープトルク特性記憶手段と、クリープ現象を生起させるべき状況と判定したときに、クリープトルク特性記憶手段に記憶された通常時クリープトルク特性に基づき、制動力検出手段により検出された制動力及び車速相関値検出手段により検出された車速相関値から目標クリープトルクを算出し、目標クリープトルクに基づきクラッチの半クラッチ状態を制御するクリープトルク制御手段とを備えたものである。
従って、例えば走行レンジの選択、アクセル操作中止、所定車速未満などのクリープ現象を生起させるべき状況では、クリープトルク特性記憶手段に記憶された通常時クリープトルク特性に基づき、車速相関値の増加に伴って低下し且つ制動力の増加に伴って低下するように目標クリープトルクが算出され、この目標クリープトルクに基づくクラッチ制御によりクリープ現象が生起される。クリープ走行中に行われるブレーキ操作はクリープトルクの一部を無駄に消費し、ひいてはエンジンの燃料消費の増大やクラッチ消耗の要因になるが、制動力の増加に伴って目標クリープトルクを低下させることにより、これらの不具合が未然に防止される。
そして、本発明では、予めクリープトルク記憶手段に記憶された通常時クリープトルク特性に基づき、車速相関値及び制動力から目標クリープトルクを算出しているため、車速相関値や制動力が変化すれば直ちに目標クリープトルクが増減してクラッチの半クラッチ制御に反映され、車両に作用する制動力に応じて応答性のよいクリープトルク制御を実現可能となる。
請求項2の発明は、請求項1において、クリープトルク特性記憶手段が、エンジンのアイドル回転速度よりも低い回転領域に対応する車速相関値の所定領域では、車速相関値の増加に関わらず目標クリープトルクを略一定値に保持するように予め設定された通常時クリープトルク特性を記憶するものである。
従って、エンジンをアイドル運転させた車両のクリープ走行は主に上記車速相関値の所定領域で行われることになり、この所定領域では、車速相関値の増加に関わらず目標クリープトルクが略一定値に保持される。このため、仮に運転者による制動力の変化に応じて車速相関値が増減したとしても目標クリープトルクが略一定値に保たれ、ハンチングの発生が未然に抑制される。
請求項3の発明は、請求項1または2において、クリープトルク特性記憶手段が、車速相関値が0のとき、制動力の低下に伴って目標クリープトルクを増加させるように予め設定された通常時クリープトルク特性を記憶するものである。
従って、停止中の車両を発進させるべくフットブレーキの踏力が弱められると、車両を停止状態に保持したまま制動力が低下するに従って目標クリープトルクが徐々に増加する。このため、登坂路で発進したときの車両の後退(後ずさり)を防止可能となる。
請求項4の発明は、請求項1乃至3において、変速機の変速段と車両の進行方向とが整合しているか否かを判定する進行方向判定手段をさらに備え、クリープトルク特性記憶手段が、通常時クリープトルク特性とは別に、通常時クリープトルク特性に基づき設定される目標トルクに比較して同一車速相関値でより大きな目標クリープトルクを算出する非常時クリープトルク特性を記憶し、クリープトルク制御手段が、進行方向判定手段により変速機の変速段と車両の進行方向とが整合していると判定されたときに、通常時クリープトルク特性に基づき目標クリープトルクを算出する一方、進行方向判定手段により変速機の変速段と車両の進行方向とが整合していないと判定されたときには、非常時クリープトルク特性に基づき目標クリープトルクを算出するものである。
従って、変速機の変速段と車両の進行方向とが整合していないときには、急な登坂路で変速機が前進段であるにも拘わらず車両が後退したり、或いは急な降坂路で変速機が後退段であるにも拘わらず車両が前進したりする場合が考えられるが、このときには通常時クリープトルク特性に代えて非常時クリープトルク特性に基づきより大きな目標クリープトルクが算出されるため、車両は道路勾配に起因する後退や前進を阻止されて変速機の変速段と整合する正規の方向に進行し始める。
以上説明したように請求項1の発明の車両のクリープトルク制御装置によれば、クリープ現象を生起させるべき状況で、クリープトルク特性記憶手段に記憶された通常時クリープトルク特性に基づき、車速相関値の増加に伴って低下し且つ制動力の増加に伴って低下するように目標クリープトルクを算出してクリープ現象を生起させているため、ブレーキ操作に起因するクリープトルクの無駄な消費を抑制してエンジンの燃料消費の増大やクラッチ消耗を未然に防止できる。そして、このように予めクリープトルク記憶手段に記憶された通常時クリープトルク特性に基づき、車速相関値及び制動力から目標クリープトルクを算出しているため、車速相関値や制動力が変化すれば直ちに目標クリープトルクが増減してクラッチの半クラッチ制御に反映され、車両に作用する制動力に応じて応答性のよいクリープトルク制御を実現することができる。
請求項2の発明の車両のクリープトルク制御装置によれば、請求項1に加えて、車速相関値の所定領域において、車速相関値の増加に関わらず目標クリープトルクを略一定値に保持するため、仮に運転者による制動力の変化に応じて車速相関値が増減したとしても目標クリープトルクが略一定値に保たれ、ハンチングの発生を未然に抑制することができる。
請求項3の発明の車両のクリープトルク制御装置によれば、請求項1または2に加えて、車速相関値が0のとき、制動力の低下に伴って目標クリープトルクを増加させるため、停止中の車両を発進させるべくフットブレーキの踏力が弱められると、車両を停止させたまま制動力を低下させながらクリープトルクを徐々に増加でき、もって登坂路で発進したときの車両の後退を防止することができる。
請求項4の発明の車両のクリープトルク制御装置によれば、請求項1乃至3に加えて、変速機の変速段と車両の進行方向とが整合していないときに通常時クリープトルク特性に代えて非常時クリープトルク特性に基づきより大きな目標クリープトルクを算出するため、道路勾配に起因する車両の後退や前進を阻止して変速機の変速段と整合する正規の方向に進行させることができる。
実施形態の車両のクリープトルク制御装置が適用されたトラックの駆動系を示す全体構成図である。 チェンジレバーのレンジ配置を示す模式図である。 ECUが実行するクリープトルク制御ルーチンを示すフローチャートである。 ブレーキ非作動時マップを示す説明図である。 ブレーキ作動時マップを示す説明図である。
以下、本発明を具体化した車両のクリープトルク制御装置の一実施形態を説明する。
図1は本実施形態の車両のクリープトルク制御装置が適用されたトラックの駆動系を示す全体構成図である。但し、本発明のクリープトルク制御装置の適用対象はトラックに限ることはなく、例えばバスや乗用車に適用してもよい。
車両には走行用動力源としてディーゼルエンジン(以下、エンジンという)1が搭載されている。エンジン1は、加圧ポンプによりコモンレールに蓄圧した高圧燃料を各気筒の燃料噴射弁に供給し、各燃料噴射弁の開弁に伴って筒内に噴射する所謂コモンレール式機関として構成されている。
なお、エンジン1の形式はこれに限ることはなく、コントロールラックの作動に応じて各気筒への燃料噴射を制御する従来形式のディーゼル機関としてもよいし、ガソリンエンジンとしてもよい。
エンジン1の出力軸1bにはクラッチ装置2を介して自動変速機(以下、単に変速機という)3の入力軸3aが接続され、クラッチ装置2の接続時にエンジン1の回転が変速機3に伝達されるようになっている。当該変速機3は、前進12段(1速段〜12速段)及び後退1段を備えた手動式変速機をベースとしたものであり、以下に述べるように、その変速操作及び変速に伴うクラッチ装置2の断接操作を自動化したものである。言うまでもないが、変速機3の変速段は上記に限ることなく任意に変更可能である。
クラッチ装置2は、フライホイール4にクラッチ板5をプレッシャスプリング6により圧接させて接続される一方、フライホイール4からクラッチ板5を離間させることにより切断される乾式摩擦クラッチとして構成されている。但し、クラッチ装置2の構成はこれに限ることはなく、例えば湿式摩擦クラッチとしてもよい。クラッチ板5にはアウタレバー7を介してエアシリンダ8(アクチュエータ)が連結され、エアシリンダ8には電磁弁9が介装されたエア通路10を介して圧縮エアを充填したエアタンク11が接続されている。
電磁弁9の開弁時にはエアタンク11からエア通路10を介してエアシリンダ8に圧縮エアが供給され、エアシリンダ8が作動してアウタレバー7を介してクラッチ板5をフライホイール4から離間させ、これによりクラッチ装置2が接続状態から切断状態に切り換えられる。一方、電磁弁9が閉弁すると、圧縮エアの供給中止によりエアシリンダ8が作動しなくなることから、クラッチ板5はプレッシャスプリング6によりフライホイール4に圧接され、これによりクラッチ装置2は切断状態から接続状態に切り換えられる。このように電磁弁9の開閉に応じてエアシリンダ8が作動して、クラッチ装置2を自動的に断接操作可能になっている。
車両の運転席にはチェンジレバー13が設けられ、このチェンジレバー13のレンジ配置を図2に従って説明する。Pレンジ(パーキングレンジ)、Nレンジ(ニュートラルレンジ)、Rレンジ(リバースレンジ)は前後方向に一直線上に配置され、Nレンジの左側にDレンジ(ドライブレンジ)が設けられている。これらのPレンジ、Nレンジ、Rレンジ及びDレンジ間においてチェンジレバー13は任意に移動操作でき、移動操作後のレンジに保持されるようになっている。
なお、一般的なチェンジレバー装置と同様に、エンジン始動はPレンジ及びNレンジでのみ可能となっている。
Dレンジの前側には+レンジ(アップシフトレンジ)が設けられ、Dレンジの後側には−レンジ(ダウンシフトレンジ)が設けられ、Dレンジの左側にはA/Mレンジ(モード切換レンジ)が設けられている。そして、これらの+レンジ、−レンジ及びA/Mレンジは、Dレンジをバネによる復帰位置として傾動操作可能となっており、傾動操作後にはバネの付勢力により自動的にDレンジに戻るようになっている。
A/Mレンジは自動変速モードと手動変速モードとを切り換えるためのモード切換レンジとして機能し、チェンジレバー13をDレンジからA/Mレンジに傾動操作する毎に、自動変速モードと手動変速モードとの間で切換が行われるようになっている。また、+レンジ及び−レンジは手動変速モードにおいてアップシフトやダウンシフトを行うためのレンジであり、チェンジレバー13をDレンジから+レンジまたは−レンジに傾動操作する毎に、現在の変速段から1段アップシフトまたは1段ダウンシフトされるようになっている。
変速機3には変速段を切り換えるためのギヤシフトユニット14(アクチュエータ)が設けられ、図示はしないがギヤシフトユニット14は、変速機3内の各変速段に対応するシフトフォークを作動させる複数のエアシリンダ、及び各エアシリンダを作動させる複数の電磁弁を内蔵している。ギヤシフトユニット14はエア通路12を介して上記したエアタンク11と接続されており、各電磁弁の開閉に応じてエアタンク11からの圧縮エアが対応するエアシリンダに供給され、そのエアシリンダが作動して対応するシフトフォークを切換操作すると、切換操作に応じて変速機3の変速段が切り換えられる。このようにギヤシフトユニット14の電磁弁の開閉に応じてエアシリンダが作動して、変速機3を自動的に変速操作可能になっている。
車室内には、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAMなど)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタなどを備えたECU(制御ユニット)21が設置されており、エンジン1、クラッチ装置2、変速機3の総合的な制御を行う。
ECU21の入力側には、エンジン1の回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ22、変速機3の入力軸3aの回転速度(クラッチ回転速度Ncであり、本発明の車速相関値に相当)を検出するクラッチ回転速度センサ23(車速相関値検出手段)、チェンジレバー13の切換位置を検出するレバー位置センサ24、変速機3の変速段を検出するギヤ位置センサ25、アクセルペダル26の操作量Accを検出するアクセルセンサ27、変速機3の出力軸3bに設けられて車速Vを検出する車速センサ28、及びフットブレーキ(サービスブレーキ)操作により発生したブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧センサ29(制動力検出手段)などのセンサ類が接続されている。
また、ECU21の出力側には、上記したクラッチ装置2の電磁弁9、ギヤシフトユニット14の各電磁弁などが接続されると共に、図示はしないが、コモンレール蓄圧用の加圧ポンプや各気筒の燃料噴射弁などが接続されている。
なお、このように単一のECU21で総合的に制御することなく、例えばECU21とは別にエンジン制御専用のECUを備えるようにしてもよい。
そして、例えばECU21は、エンジン回転速度センサ22により検出されたエンジン回転速度Ne及びアクセルセンサ27により検出されたアクセル操作量Accに基づき、図示しないマップから加圧ポンプにより蓄圧されるコモンレールのレール圧や各気筒への燃料噴射量を算出すると共に、エンジン回転速度Ne及び燃料噴射量Qに基づき図示しないマップから燃料噴射時期を算出する。そして、これらの算出値に基づき加圧ポンプを駆動制御すると共に、各気筒の燃料噴射弁を駆動制御しながらエンジン1を運転させる。
また、ECU21は、レバー位置センサ24によりチェンジレバー13のDレンジへの切換が検出されているとき、アクセル操作量Acc及び車速センサ28により検出された車速Vに基づき、図示しないシフトマップから目標変速段tgtGを算出する。そして、電磁弁9を開閉してエアシリンダ11によりクラッチ装置2を断接操作させながら、ギヤシフトユニット14の所定の電磁弁を開閉してエアシリンダにより対応するシフトフォークを切換操作して目標変速段tgtGを達成し、これにより常に適切な変速段をもって車両を走行させる。
また、ECU21は、レバー位置センサ24によりチェンジレバー13のDレンジからA/Mレンジへの切換が検出されたとき、その検出毎に自動変速モードと手動変速モードとの間で変速制御モードを切り換える。そして、自動変速モードでは上記のように目標変速段tgtGに基づき変速制御を実行し、手動変速モードではシフトマップとは関係なくDレンジで達成されていた現在の変速段を維持する。
また、ECU21は、レバー位置センサ24によりチェンジレバー13のDレンジから+レンジまたは−レンジへの切換が検出されたとき、その検出毎に現在の変速段から1段アップシフトまたはダウンシフトする。
また、ECU21は、例えばDレンジやRレンジでアクセル操作することなくブレーキ操作により車両を停止させているとき、目標変速段tgtGとして発進段(例えば、2速段)や後退段を達成して車両発進に備えると共に、クラッチ装置2を半クラッチ状態に制御するクリープトルク制御を実行し、微小トルクを駆動輪側に伝達することによりクリープ現象を生起させる。ブレーキ操作の加減により車両はクリープ走行を開始して前進または後退し、ECU21はブレーキ操作により発生した制動力に応じてクラッチ装置2の半クラッチ状態、ひいてはクリープトルクを最適制御する。
本実施形態では、このようなクラッチ装置2を半クラッチ状態に制御してクリープ現象を生起させるときのECU21がクリープトルク制御手段として機能する。
ここで、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、特許文献1のクリープトルク制御装置では、カウンタ処理に起因する制御遅れにより応答性の良好なクリープトルク制御は望めなかったが、本実施形態では、このような不具合を鑑みた対策を講じており、以下、当該対策を含むECU21によるクリープトルク制御について詳述する。
ECU21は、DレンジまたはRレンジの選択、アクセル操作中止、所定車速未満などの予め設定されたクリープトルク制御の実行条件が成立すると、図3に示すクリープトルク制御ルーチンを所定の制御インターバルで実行する。
まず、ステップS2でクラッチ回転速度センサ23から入力される検出信号がエラー情報を含むか否かを判定する。判定がYes(肯定)のときには、センサ故障によりクラッチ回転速度Ncに基づく適切なクリープ制御が望めないと見なし、続くステップS4でクリープトルク制御を禁止した後、ルーチンを終了する。これにより、不適切なクリープトルクの発生により運転者に違和感を与えるなどの不具合が未然に防止される。
また、ステップS2の判定がNo(否定)のときにはステップS6に移行し、変速機3の変速段と車両の進行方向とが整合しているか否かを判定する。具体的には、ギヤ位置センサ25により検出された変速機3の変速段が前進段(このときは発進段)であるか後退段であるか、及び車速センサ28からの検出信号に基づき実際に車両が前進しているか後退しているかを比較する。
通常時であれば、変速機3の前進段への切換時には半クラッチによりクリープ現象が生起されると車両は前進し、後退段への切換時には同じくクリープ現象で車両は後退する。よって、このときの変速機3の変速段と車両の進行方向とは整合し、ECU21はステップS6でYesの判定を下してステップS8に移行して、クラッチ回転速度センサ23により検出されたクラッチ回転速度Ncに補正係数+1を乗算(Nc×(+1))することにより正の値として確定する。
一方、例えば急な登坂路や降坂路では路面勾配に応じた後退力や前進力が車両に作用し、これらの後退力や前進力が半クラッチにより発生したクリープトルクを上回る場合がある。このときには、変速機3が前進段に切り換えられているにも拘わらず車両が後退したり、後退段に切り換えられているにも拘わらず車両が前進したりし、変速機3の変速段と車両の進行方向とが整合しない非常時となる。ECU21はステップS6でNoの判定を下してステップS10に移行して、クラッチ回転速度センサ23により検出されたクラッチ回転速度Ncに補正係数−1を乗算(Nc×(−1))することにより負の値として確定する。
ステップS6の判定に基づくステップS8,10でのクラッチ回転速度Ncの設定状況を下表1にまとめて示す。
Figure 2012057708
本実施形態では、以上のステップS6〜10で変速機3の変速段と車両の進行方向とが整合しているか否かに応じてクラッチ回転速度Ncの正負を確定するときのECU21が進行方向判定手段として機能する。
その後、ステップS12に移行してフットブレーキまたはパーキングブレーキが作動しているか否かを判定する。ステップS12の判定がNoのときにはステップS14に移行して、予め設定されたブレーキ非作動時マップから目標クリープトルクを設定し、判定がYesのときにはステップS16に移行して、同じく予め設定されたブレーキ作動時マップから目標クリープトルクを設定する。
続くステップS18では、上記ステップS14またはステップS16で設定された目標クリープトルクを達成すべく、電磁弁9の開閉に応じてエアシリンダ8を作動させてクラッチ装置2を半クラッチ状態に制御し、その後にルーチンを終了する。
次に、上記ステップS14,16で用いられるブレーキ非作動時マップ及びブレーキ作動時マップの特性について述べる。
ここで、ブレーキ非作動時マップ及びブレーキ作動時マップは予め実施した試験により特性(クリープトルク特性)を設定されたものであり、ECU21の記憶装置内に記憶されている。そして、これらのクリープトルク特性が設定されたマップを記憶しているときのECU21がクリープトルク特性記憶手段として機能する。
図4はブレーキ非作動時マップを示す説明図であり、フットブレーキ及びパーキングブレーキが共に作動していないときの単一のクリープトルク特性が設定されている。横軸は0を境界とした正側及び負側のクラッチ回転速度Ncであり、縦軸は目標クリープトルクである。
クラッチ回転速度Ncの正側の領域は本発明の通常時クリープトルク特性に相当し、当該領域においては、全体としてクラッチ回転速度Ncの増加に伴って目標クリープトルクが低下する特性に設定されている。即ち、目標クリープトルクは、0を起点としたクラッチ回転速度Ncの増加に伴って低下した後に一定値に保持され、さらに低下して0に至る特性に設定されている。
また、クラッチ回転速度Ncの負側の領域は本発明の非常時クリープトルク特性に相当し、当該領域において目標クリープトルクは、0を起点としたクラッチ回転速度Ncの低下に伴って急激に増加した後に一定値に保持される特性に設定されている。
また、図5はブレーキ作動時マップを示す説明図であり、ブレーキ液圧センサ29により検出されたブレーキ液圧に応じてクリープトルク特性を変化させている。同図では、ブレーキ液圧の増減に応じた4種のクリープトルク特性A〜D(ブレーキ液圧ではA<B<C<Dの関係となる)を示している。なお、実際のECU21の処理では、各クリープトルク特性の間を補完して現在のブレーキ液圧に正確に対応する値を導き出している。
図4のマップと同様に図5のマップ中の各クリープトルク特性A〜Dも、本発明の通常時クリープトルク特性に相当する正側の領域と、本発明の非常時クリープトルク特性に相当する負側の領域とからなる。
各クリープトルク特性を順次説明すると、まず、実線で示すクリープトルク特性Aはフットブレーキが作動していない場合(=0MPa)であり、図4に示すクリープトルク特性の条件との相違はパーキングブレーキが作動している点にある。そして、クリープトルク特性Aは図4のクリープトルク特性と全体的な傾向は同様であるが、正側の領域において同一クラッチ回転速度Ncで常に若干低い目標クリープトルクが算出されるように設定されている。
破線で示すクリープトルク特性Bは、クラッチ回転速度Ncの正側の領域でクリープトルク特性Aの特性よりも目標クリープトルクがさらに低くなるように設定され、加えてクラッチ回転速度Ncの負側の領域ではクラッチ回転速度Ncの低下に伴う目標クリープトルクの増加がより緩やかになっている。
一点鎖線で示すクリープトルク特性Cは、クリープトルク特性Bに比較してクラッチ回転速度Ncの正側及び負側の領域で共に目標クリープトルクがさらに低くなるように設定されている。
二点鎖線で示すクリープトルク特性Dは、クラッチ回転速度Ncの正側の全領域で目標クリープトルクとして0が算出され、クリープトルクを発生しないように設定されている。
次に、このようにして設定されたクリープトルク特性のマップに基づくクリープトルク制御について説明する。
ここで、説明の便宜上、まず変速機3の変速段と車両の進行方向とが整合する通常時であるとして、図3のステップS8で正側のクラッチ回転速度Ncが確定しているものとし、停止中の車両がクリープ走行を開始した後に再び停止する場合を例に挙げて述べる。
このときには図4,5の何れのマップでも、正側のクラッチ回転速度Ncに基づき通常時クリープトルク特性が目標クリープトルクの算出に適用される。
DレンジまたはRレンジのまま車両を停止させている状態では、停止保持のために運転者によりフットブレーキが比較的強く操作されている。このためブレーキ液圧センサにより検出されたブレーキ液圧に基づき、図5に示すブレーキ作動時マップ中のブレーキ液圧が最も高いクリープトルク特性Dが適用される。このクリープトルク特性Dでは、車両停止時に対応するクラッチ回転速度Nc=0では目標クリープトルクとして0が算出され、クラッチ装置2の半クラッチ制御が行われないことからクリープトルクは発生しない。
車両を発進させるべく運転者によりフットブレーキの踏力が弱められると、それに応じてブレーキ液圧は順次低下し、クリープトルク特性D→C→B→Aの順に目標クリープトルクの算出処理に適用される。なお、パーキングブレーキの非作動時にはクリープトルク特性Aは選択されない。そして、フットブレーキ操作が中止されると、図4に示すブレーキ非作動時マップのクリープトルク特性が目標クリープトルクの算出処理に適用される。
図5ではブレーキ液圧が低下するに従って、同一のクラッチ回転速度Ncであってもより大きな目標クリープトルクが算出され、図4のクリープトルク特性では図5のブレーキ液圧Aの場合よりもさらに大きな目標クリープトルクが算出される。このため、フットブレーキの踏力が弱められてブレーキ液圧が次第に低下すると、図4,5のマップから算出される目標クリープトルクは次第に増加し、この目標クリープトルクに基づくクラッチ装置2の半クラッチ制御により実際のクリープトルクも次第に増加する。
よって、車両は発進してクリープ走行し始め、車速Vを徐々に増加させる。車速Vの増加と共にクラッチ回転速度Ncが増加すると、その時点のブレーキ液圧に対応するクリープトルク特性に倣って目標クリープトルクが次第に低下するため、クリープトルクと走行抵抗とが均衡する車速Vで制限を受けながら車両はクリープ走行を継続することになる。
また、このような状態から車両を停止させるべくフットブレーキ操作が再開されて踏力が強められると、ブレーキ液圧は順次増加し、クリープトルク特性A→B→C→Dの順に目標クリープトルクの算出処理に適用される。従って、フットブレーキの踏力が強められてブレーキ液圧が次第に増加すると、図4,5のマップから算出される目標クリープトルクは次第に低下し、この目標クリープトルクに基づくクラッチ装置2の半クラッチ制御により実際のクリープトルクも次第に低下する。よって、クリープ走行中の車両は車速Vを徐々に低下させ、クリープトルク特性Dに基づき目標クリープトルクとして0が算出された時点で停止する。
クリープ走行中に行われるブレーキ操作はクリープトルクの一部を無駄に消費し、ひいてはエンジンの燃料消費の増大やクラッチ消耗の要因になるが、このように制動力と相関するブレーキ液圧の増加に伴って目標クリープトルクを低下させることにより、これらの不具合が未然に防止される。
そして、以上の説明から明らかなように本実施形態では、クラッチ回転速度Ncから目標クリープトルクを算出するためのクリープトルク特性をブレーキ液圧毎に図4,5のマップとして予め設定しておき、これらのマップに基づき目標クリープトルクを算出してクラッチ装置2の半クラッチの制御に適用している。
従って、ブレーキ液圧やクラッチ回転速度Ncが変化すれば直ちに目標クリープトルクが増減してクラッチ装置2の半クラッチ制御に反映されることから、車両に作用する制動力に応じて応答性のよいクリープトルク制御を実現でき、ひいては当該クリープトルク制御による利点である燃料消費の低減やクラッチの消耗抑制を十分に達成することができる。
一方、車両停止を意図したクリープトルク特性Dを除く、図4,5に示すマップの通常時クリープトルク特性A〜Cでは、クラッチ回転速度Ncの増加に関わらず目標クリープトルクを一定に保持する領域が設定されている。当該回転領域は、クリープ走行時に多用されるエンジン1のアイドル回転速度よりも若干低いエンジン回転領域に対応して設定されたものであり、何れのクリープトルク特性でもクラッチ回転速度Ncが約100〜400rpmの範囲で設定されている。従って、車両のクリープ走行は主に上記したクラッチ回転速度Ncの回転領域で行われることになる。
このようなクリープトルク特性の設定は、クリープ走行中のハンチング抑制を目的としたものである。即ち、例えば特許文献1の技術では、その図2に示されるように制動力に対してクリープトルクを反比例関係で設定するため、クリープ走行中に制動力が変化するとクリープトルクが常に増減し、それに応じて車速Vも増減する。そして、この現象が繰り返されるとハンチングが発生し、クリープ走行中の一定車速の保持が困難になるという問題がある。
本実施形態では、上記のようにクリープ走行中に多用されるクラッチ回転速度Ncの回転領域で目標クリープトルクを一定値としているため、仮にブレーキ液圧(制動力)の変化に応じてクラッチ回転速度Nc(車速V)が増減したとしても目標クリープトルクは一定値に保たれ、結果としてハンチングの発生を未然に抑制することができる。
加えて、特許文献1の技術のクリープトルク特性を図5中に示すと、例えば破線で示すA’のようになり、実線で示す本来のクリープトルク特性Aに比較して余分なクリープトルクを発生させていることが判る。このため、本実施形態のクリープトルク特性によれば、クリープ走行中のハンチング抑制のみならず、無用なクリープトルクの発生を抑制できることから、燃料消費の低減やクラッチの消耗抑制を一層低減できるという利点もある。
また、図5のマップにおいてクラッチ回転速度Ncが0のとき、各クリープトルク特性A〜Dでは、ブレーキ液圧が低下する順に大きな目標クリープトルクが算出されるようになっている。この特性のため、停止中の車両を発進させるべくフットブレーキの踏力が次第に弱められると、車両を停止状態に保持したままブレーキ液圧が低下するに従って目標クリープトルクが徐々に増加することになる。
このような目標クリープトルクの設定は、クリープトルクを緩やかに増加させて発進ショックを抑制できるだけでなく、例えば登坂路で車両を発進させる際の後退(後ずさり)を防止する作用も奏する。即ち、登坂路での発進で車両の後ずさりを防止するためには、車両を停止させたままの状態(クラッチ回転速度Nc=0)で制動力を低下させながら、それに応じてクリープトルクを次第に増加させる必要がある。
本実施形態では、クラッチ回転速度Ncが0のときの各クリープトルク特性A〜Dを上記のように設定しているため、登坂路での発進時には、車両を停止させたままブレーキ液圧を低下させながらクリープトルクを徐々に増加でき、もって登坂路で発進するときの車両の後退を防止することができる。
以上は、変速機3の変速段と車両の進行方向とが整合する通常時について説明したが、次に、変速機3の変速段と車両進行方向とが整合しない非常時であるとして、図3のステップS10で負側のクラッチ回転速度Ncが確定している場合を説明する。
このような状況は、急な登坂路で変速機3が前進段であるにも拘わらず車両が後退したり、或いは急な降坂路で変速機3が後退段であるにも拘わらず車両が前進したりして、車両が変速機3の変速段と整合しない誤った方向に進行している場合が考えられる。なお、上記したように登坂路での車両の後退防止は、クラッチ回転速度Nc=0におけるクリープトルク特性の設定で対策されているが、全ての状況で完全に防止できるとは限らない。そして、これらの誤った方向に車両が進行している状況では、図4,5のマップにおいて負側のクラッチ回転速度Ncに基づき非常時クリープトルク特性が目標クリープトルクの算出に適用される。
図4,5から明らかなように、通常時のクリープ走行を目的とした通常時クリープトルク特性から算出される目標クリープトルクに比較して、非常クリープトルク特性で算出される目標クリープトルクは格段に大きな値となる。そして、この大きな目標クリープトルクに基づくクラッチ制御で発生したクリープトルクにより、車両は道路勾配に起因する後退や前進(即ち、誤った方向への進行)を阻止されて変速機3の変速段と整合する正規の方向に進行し始める。このため、運転者がブレーキ操作やアクセル操作などで対処しなくても、車両の進行方向を変速機3の変速段と整合する正規方向に修正でき、もって運転操作を一層容易化することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、手動式変速機をベースとして変速操作及び変速に伴うクラッチ装置2の断接操作を自動化した変速機3を用いたが、変速機3の種別はこれに限ることはない。例えば、所謂デュアルクラッチ式変速機、或いはトルクコンバータに遊星歯車機構を組み合わせた自動変速機やベルト式などの無段変速機に適用してもよい。
なお、デュアルクラッチ式変速機は、奇数段と偶数段とに分けた歯車機構をそれぞれクラッチを介してエンジン側と連結して構成され、一方の歯車機構のクラッチを接続して動力伝達しているとき、他方の歯車機構のクラッチを切断して次に予測される変速段に予め切り換えておき、変速タイミングになると両クラッチの断接状態を逆転させて他方の歯車機構による動力伝達を開始するものである。これらの変速機においても、本実施形態の構成を適用することにより同様の作用効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、図3のステップS14,16で求めた目標クリープトルクをそのままステップS18の半クラッチ制御に適用したが、車両が走行中の路面勾配や車両重量による影響を目標クリープトルクに反映させるようにしてもよい。例えば、同一のクリープトルクを発生させていても、登坂路や過積載では不足傾向になり、降坂路や空荷状態では過剰傾向となる。そこで、加速度センサによる路面勾配の検出や車両重量の演算処理を行い、これらの路面勾配や車両重量に応じて設定した補正係数により目標クリープトルクを補正し、補正後の目標クリープトルクを半クラッチ制御に適用するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、通常時クリープトルク特性中にクラッチ回転速度Ncの増加に関わらず目標クリープトルクを一定に保持する領域を設け、また、クラッチ回転速度Nc=0で、ブレーキ液圧の低下に応じて目標クリープトルクを増加させるようにし、さらに変速機3の変速段と車両の進行方向とが整合しないときを想定して非常時クリープトルク特性を設定したが、これらの各対策を必ずしも実行する必要はなく、何れかの対策或いは全ての対策を省略してもよい。
また、上記実施形態では、ブレーキ作動時マップ及びブレーキ非作動時マップの2種のマップを設定したが、マップ構成はこれに限ることはなく、種々の形態に変更できる。例えば双方のマップを1つのマップにまとめてもよいし、ブレーキ液圧に応じたクリープ特性A〜D毎にマップを設定してもよい。また、各クリープトルク特性A〜Dについても図4,5に示す特性に限定されるものではなく、任意に変更可能である。
また、上記実施形態では、車速相関値としてクラッチ回転速度Ncを用いたが、これに代えて車速Vを適用してもよい。
3 変速機
8 エアシリンダ(アクチュエータ)
14 ギヤシフトユニット(アクチュエータ)
21 ECU
(クリープトルク特性記憶手段、クリープトルク制御手段、進行方向判定手段)
23 クラッチ回転速度センサ(車速相関値検出手段)
29 ブレーキ液圧センサ(制動力検出手段)

Claims (4)

  1. 変速機の変速操作及び該変速に伴うクラッチ操作をアクチュエータにより行うと共に、該クラッチの半クラッチ状態を制御してエンジンの微小トルクを伝達することでクリープ現象を生起させる車両のクリープトルク制御装置において、
    上記車両の車速と相関する車速相関値を検出する車速相関値検出手段と、
    運転者のブレーキ操作に応じて車両に作用する制動力を検出する制動力検出手段と、
    上記車速相関値の増加に伴って上記目標クリープトルクを低下させ、且つ上記制動力の増加に伴って目標クリープトルクを低下させるように予め設定された通常時クリープトルク特性を記憶するクリープトルク特性記憶手段と、
    上記クリープ現象を生起させるべき状況と判定したときに、上記クリープトルク特性記憶手段に記憶された通常時クリープトルク特性に基づき、上記制動力検出手段により検出された制動力及び上記車速相関値検出手段により検出された車速相関値から上記目標クリープトルクを算出し、該目標クリープトルクに基づき上記クラッチの半クラッチ状態を制御するクリープトルク制御手段と
    を備えたことを特徴とする車両のクリープトルク制御装置。
  2. 上記クリープトルク特性記憶手段は、上記エンジンのアイドル回転速度よりも低い回転領域に対応する上記車速相関値の所定領域では、該車速相関値の増加に関わらず上記目標クリープトルクを略一定値に保持するように予め設定された上記通常時クリープトルク特性を記憶することを特徴とする請求項1記載の車両のクリープトルク制御装置。
  3. 上記クリープトルク特性記憶手段は、上記車速相関値が0のとき、上記制動力の低下に伴って上記目標クリープトルクを増加させるように予め設定された上記通常時クリープトルク特性を記憶することを特徴とする請求項1または2記載の車両のクリープトルク制御装置。
  4. 上記変速機の変速段と上記車両の進行方向とが整合しているか否かを判定する進行方向判定手段をさらに備え、
    上記クリープトルク特性記憶手段は、上記通常時クリープトルク特性とは別に、該通常時クリープトルク特性に基づき設定される目標トルクに比較して同一車速相関値でより大きな目標クリープトルクを算出する非常時クリープトルク特性を記憶し、
    上記クリープトルク制御手段は、上記進行方向判定手段により上記変速機の変速段と上記車両の進行方向とが整合していると判定されたときに、上記通常時クリープトルク特性に基づき上記目標クリープトルクを算出する一方、上記進行方向判定手段により上記変速機の変速段と上記車両の進行方向とが整合していないと判定されたときには、上記非常時クリープトルク特性に基づき上記目標クリープトルクを算出することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車両のクリープトルク制御装置。
JP2010201111A 2010-09-08 2010-09-08 車両のクリープトルク制御装置 Active JP5653694B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010201111A JP5653694B2 (ja) 2010-09-08 2010-09-08 車両のクリープトルク制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010201111A JP5653694B2 (ja) 2010-09-08 2010-09-08 車両のクリープトルク制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012057708A true JP2012057708A (ja) 2012-03-22
JP5653694B2 JP5653694B2 (ja) 2015-01-14

Family

ID=46055053

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010201111A Active JP5653694B2 (ja) 2010-09-08 2010-09-08 車両のクリープトルク制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5653694B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012057707A (ja) * 2010-09-08 2012-03-22 Daimler Ag 車両用変速機のチェンジレバー装置
JP2016006354A (ja) * 2015-09-28 2016-01-14 井関農機株式会社 作業車両
JP2016068938A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 現代自動車株式会社Hyundai Motor Company ハイブリッド車両のクリープトルク制御装置及び方法
JP2020076494A (ja) * 2018-10-10 2020-05-21 ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフトZf Friedrichshafen Ag 自動車の自動化されたドライブトレインを作動させる方法、および自動化されたドライブトレイン
US11794743B2 (en) 2017-12-15 2023-10-24 Nissan Motor Co., Ltd. Vehicle control method and vehicle control apparatus

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003264905A (ja) * 2002-12-26 2003-09-19 Toyota Motor Corp 車 両
JP2004116748A (ja) * 2002-09-30 2004-04-15 Aisin Seiki Co Ltd クリープトルク制御装置
JP2004197934A (ja) * 2002-10-04 2004-07-15 Nsk Ltd 無段変速装置
JP2004248499A (ja) * 2004-04-28 2004-09-02 Fuji Heavy Ind Ltd 電気自動車の駆動制御装置
JP2005337432A (ja) * 2004-05-28 2005-12-08 Aisin Seiki Co Ltd クラッチ制御装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004116748A (ja) * 2002-09-30 2004-04-15 Aisin Seiki Co Ltd クリープトルク制御装置
JP2004197934A (ja) * 2002-10-04 2004-07-15 Nsk Ltd 無段変速装置
JP2003264905A (ja) * 2002-12-26 2003-09-19 Toyota Motor Corp 車 両
JP2004248499A (ja) * 2004-04-28 2004-09-02 Fuji Heavy Ind Ltd 電気自動車の駆動制御装置
JP2005337432A (ja) * 2004-05-28 2005-12-08 Aisin Seiki Co Ltd クラッチ制御装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012057707A (ja) * 2010-09-08 2012-03-22 Daimler Ag 車両用変速機のチェンジレバー装置
JP2016068938A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 現代自動車株式会社Hyundai Motor Company ハイブリッド車両のクリープトルク制御装置及び方法
JP2016006354A (ja) * 2015-09-28 2016-01-14 井関農機株式会社 作業車両
US11794743B2 (en) 2017-12-15 2023-10-24 Nissan Motor Co., Ltd. Vehicle control method and vehicle control apparatus
JP2020076494A (ja) * 2018-10-10 2020-05-21 ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフトZf Friedrichshafen Ag 自動車の自動化されたドライブトレインを作動させる方法、および自動化されたドライブトレイン

Also Published As

Publication number Publication date
JP5653694B2 (ja) 2015-01-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5935886B2 (ja) 車両の制御装置
US6202780B1 (en) Cruise control system for motor vehicle
US20060108868A1 (en) Braking force retaining unit
US7291092B2 (en) Shift control apparatus and method for automatic transmission
US20100145582A1 (en) Transmission control unit for vehicles
JP5278134B2 (ja) 惰行制御装置
JP5653694B2 (ja) 車両のクリープトルク制御装置
JP2004144293A (ja) 車両用自動変速機の変速制御装置
JP2012056432A (ja) 車両の坂道発進補助装置
JP6551647B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP5880831B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置
JP6213721B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP5868585B2 (ja) 車両用走行制御装置
JP7272905B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置
JP5633681B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP5880828B2 (ja) 自動変速機のクラッチ制御装置
JP2017096432A (ja) 車両の車間距離制御装置
JP4042290B2 (ja) 自動クラッチのクリープ制御装置
JP3624930B2 (ja) 坂道発進補助装置
JP6414461B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP3797220B2 (ja) 車両の自動変速装置
JP3482081B2 (ja) 発進補助装置
JP5761487B2 (ja) 車両用変速制御装置
JP6070921B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP3555651B2 (ja) 変速機のシフトダウン制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130828

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140312

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140521

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141112

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141119

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5653694

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250