JP2012057123A - 有機無機複合組成物および光学素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式で表される構造を繰返し単位として含有することを特徴とする重合体に、少なくとも1種類の金属酸化物粒子を好ましくは1〜15体積パーセント添加した有機無機複合組成物。
〔一般式中、Lは炭素数2以上12以下のオキシアルキレン基を示す。〕
【選択図】なし
Description
本発明の有機無機複合組成物を構成する成分のうち、2価アルコールを重合して得られる重合体は一般式(4)
次に、有機無機複合組成物を構成する成分のうち、金属酸化物微粒子について説明する。本発明で用いる金属酸化物微粒子としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化タンタル、およびこれら酸化物の組み合わせにより構成されるケイ酸ジルコニウム等の複合酸化物、リン酸ジルコニウム等のリン酸塩、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。このうち、高屈折率を有する微粒子として、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化タンタル、およびこれらの酸化物を含む複合酸化物、チタン酸バリウム等のチタン酸塩が特に好ましい。また、複数種の金属酸化物を混合して用いることもできる。
次いで、本発明における有機無機複合組成物の製造方法について説明する。本発明の有機無機複合組成物は、前述した2価アルコールを重合して得られる重合体に対し、金属酸化物微粒子を添加して均一化することによって製造できる。この場合、均一化を容易にするため、有機溶媒中にて重合体(もしくはその溶液)と、金属酸化物微粒子(もしくはその分散液)を混合し、その後に混合物中に含まれる溶媒成分を除去する方法も有効である。更に、重合体を有機溶媒に溶解したのち、金属酸化物微粒子ではなく金属酸化物微粒子の前駆体となる無機化合物を添加して、概溶媒系内で微粒子を化学合成(in−situ合成)し、その後に該混合物を混合物中に含まれる揮発成分を除去してもよい。
本発明の有機無機複合組成物においては、本来の目的が損なわれない範囲内で、添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、リン系加工熱安定剤、ヒドロキシルアミン類の加工熱安定剤、ヒンダートフェノール類等の酸化防止剤、ヒンダートアミン類等の光安定剤、ベンゾトリアゾール類やトリアジン類・ベンゾフェノン類・ベンゾエート類等の紫外線吸収剤、リン酸エステル類やフタル酸エステル類・クエン酸エステル類・ポリエステル類等の可塑剤、シリコーン類等の離型剤、リン酸エステル類やメラミン類等の難燃剤、脂肪酸エステル系界面活性剤類の帯電防止剤、有機色素着色剤、耐衝撃性改良剤等の物質が挙げられる。添加剤は、これらの添加剤を単独で用いてもよいし、組み合わせて使用してもよい。
100mLシュレンク型反応管にアルゴン雰囲気下、2価アルコール4a(3.20g,7.32mmol)、炭酸ジフェニル(1.57g,7.32mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(8.96mg,73.2μmol)を入れ、180℃で30分間加熱攪拌した。さらに、段階的に反応容器内を減圧にするにつれて逐次反応温度を昇温していった(400hPa,200℃で20分間加熱攪拌の後、160hPa,220℃で20分間、40hPa,230℃で20分間、1hPa,250℃で30分間攪拌)。
20mLシュレンク型反応管にアルゴン雰囲気下、2価アルコール4a(200mg,0.458mmol)、2価アルコール7a(1.81g,4.12mmol)、炭酸ジフェニル(981mg,4.58mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(5.6mg,45.8μmol)を入れた。重合体1の合成と同等の条件で重合反応と後処理を行い、重合体3(1.81g,収率85%)を得た。
20mLシュレンク型反応管にアルゴン雰囲気下、2価アルコール7a(1.00g,2.28mmol)、炭酸ジフェニル(489mg,2.28mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(2.8mg,22.8μmol)および酸化防止剤として亜リン酸トリフェニル(2.28μL,8.7μmol)を入れた。続いて重合体1の合成と同等の条件で重合反応と後処理を行い、重合体4(932mg,収率88%)を得た。
(8b)
100mLシュレンク型反応管にアルゴン雰囲気下、2価アルコール8a(3.56g,7.32mmol)、炭酸ジフェニル(1.57g,7.32mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(0.87mg,7.6μmol)、ジラウリン酸ジ−tert−ブチルスズ(0.086mL,0.15mmol)及び酸化防止剤として亜リン酸トリフェニル(0.077mL,0.29mmol)を入れ、180℃で30分間加熱攪拌した。さらに、段階的に反応容器内を減圧にするにつれて逐次反応温度を昇温していった(400hPa,200℃で20分間加熱攪拌の後、160hPa,220℃で20分間、40hPa,230℃で20分間、1hPa,250℃で30分間攪拌)。
作成した重合体の分析・評価方法について説明する。分析・評価項目として、分子量分布測定、ガラス転移点があり、以下、各項目の測定方法の詳細について説明する。
重合体1〜5それぞれについて、クロロホルムを送液(0.085mL/分)としたゲルパーミッションクロマトグラフ(GPC:Gel Permission Chromatograph)測定を行った。分析装置は二種のポリスチレンゲルカラム(東ソー株式会社製、TSKgel G5000HXL[製品名],G4000HXL[製品名])を装填した高速液体クロマトグラフ装置(日本分光社製:Gulliver[製品名])を用いた。重合体の装置流路内の保持時間を分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間と対比して、近似的に数平均分子量(Mn)・重量平均分子量(Mw)を算出した。
それぞれについて得られた結果を下記表1に示す。
重合体1(0.500g)をクロロホルム(4.50g)に溶解し、この溶液に酸化ジルコニウム/トルエン分散液(住友大阪セメント社製;酸化ジルコニウム濃度10重量%)0.234gを攪拌しながら添加して混合溶液を得た。この混合溶液を1000倍に希釈し粒子径測定装置(Zetasizer Nano−ZS[製品名]、Malvern社製)で測定したところ、酸化ジルコニウムが3〜40nmの粒径分布で分散している状態が確認された。
この混合溶液を130℃に加熱して溶媒を除去したのち、5hPa以下の減圧条件下で150℃1時間乾燥処理を行い、1体積%の酸化ジルコニウムを含む有機無機複合組成物1を得た。なお、酸化ジルコニウムの濃度において重量%から体積%を換算するさいには、重合体の比重を1.20、酸化ジルコニウムの比重を5.56として算出した。
実施例1−1の酸化ジルコニウム/トルエン分散液の添加量を1.22gに変え、それ以外の条件は実施例1−1と同様にして、5体積%の酸化ジルコニウムを含む有機無機複合組成物2を得た。
実施例1−1の酸化ジルコニウム/トルエン分散液の添加量を2.57gに変え、それ以外の条件は実施例1−1と同様にして、10体積%の酸化ジルコニウムを含む有機無機複合組成物3を得た。
実施例1−1の酸化ジルコニウム/トルエン分散液の添加量を4.09gに変え、それ以外の条件は実施例1−1と同様にして、15体積%の酸化ジルコニウムを含む有機無機複合組成物4を得た。
重合体1(0.800g)をクロロホルム(4.00g)に溶解し、この溶液に微粒子前駆体としてチタンテトラブトキシド0.607gを攪拌しながら添加して混合溶液を得た。この溶液を常温で攪拌し、系中に溶存する水分と塩酸を利用した加水分解反応によって、酸化チタン微粒子のin−situ合成を行った。反応は12時間で完結し、この混合溶液を1000倍に希釈し粒子径測定装置(Zetasizer Nano−ZS[製品名]、Malvern社製)で測定したところ、酸化チタンが2〜20nmの粒径分布で分散している状態が確認された。
実施例2−1で使用する重合体を重合体2に変え、それ以外の条件は実施例2−1と同様にして、5体積%の酸化チタンを含む有機無機複合組成物6を得た。
実施例2−1で使用する重合体を重合体3に変え、それ以外の条件は実施例2−1と同様にして、5体積%の酸化チタンを含む有機無機複合組成物7を得た。
重合体1(0.800g)をクロロホルム(4.00g)に溶解し、この溶液に微粒子前駆体としてチタンテトラブトキシド0.607gを攪拌しながら添加して混合溶液を得た。この溶液を常温で攪拌し、系中に溶存する水分と塩酸を利用した加水分解反応によって、酸化チタン微粒子のin−situ合成を行った。反応は12時間で完結し、この混合溶液を1000倍に希釈し粒子径測定装置(Zetasizer Nano−ZS[製品名]、Malvern社製)で測定したところ、酸化チタンが2〜20nmの粒径分布で分散している状態が確認された。
希釈前の溶液に酸化ジルコニウム/トルエン分散液(住友大阪セメント社製;酸化ジルコニウム濃度10重量%)1.95gを攪拌しながら添加して混合溶液を得た。
この混合溶液を130℃に加熱して溶媒を除去したのち、5hPa以下の減圧条件下で150℃1時間乾燥処理を行い、5体積%の酸化ジルコニウム、5体積%の酸化チタンを含む有機無機複合組成物8を得た。なお、酸化チタンの濃度において重量%から体積%を換算するさいには、重合体の比重を1.20、酸化ジルコニウムの比重を5.56、酸化チタンの比重を4.00として算出した。
重合体1(0.250g)と重合体5(0.250g)をクロロホルム(4.5g)に溶解し、この溶液に酸化ジルコニウム/トルエン分散液(住友大阪セメント社製;酸化ジルコニウム濃度10重量%)1.22gを攪拌しながら添加して混合溶液を得た。
この混合溶液を130℃に加熱して溶媒を除去したのち、5hPa以下の減圧条件下で150℃1時間乾燥処理を行い、5体積%の酸化ジルコニウムを含む有機無機複合組成物9を得た。なお、酸化ジルコニウムの濃度において重量%から体積%を換算するさいには、各重合体の比重を1.20、酸化ジルコニウムの比重を5.56として算出した。
重合体1をそのまま加工せず、組成物10とした。
重合体2をそのまま加工せず、組成物11とした。
重合体3をそのまま加工せず、組成物12とした。
重合体4をそのまま加工せず、組成物13とした。
重合体1(0.250g)と重合体5(0.250g)をクロロホルム(4.50g)に溶解した。この溶液を130℃に加熱して溶媒を除去したのち、5hPa以下の減圧条件下で150℃1時間乾燥処理を行い、複合組成物14を得た。
実施例1−1で使用する重合体を重合体4に変え、それ以外の条件は実施例1−1と同様にして、1体積%の酸化ジルコニウムを含む有機無機複合組成物15を得た。
組成物1〜15(0.300g)をメノウ乳鉢で粉砕処理後、内径15mmの円筒状形状を有する金型にそれぞれ入れた。この金型の開放部の両面を、鏡面処理された平面を有する直径15mmの円柱状金型で封じた。180℃で10分加熱して、封じた樹脂を溶融させたのちに、金型の両面から10MPaの圧力を加えた。100℃まで冷却したのちに圧力を開放し、円板状の透明成型体を得た。
実施例1−1の酸化ジルコニウム/トルエン分散液の添加量を5.79gに変え、それ以外の条件は実施例1−1と同様にして、20体積%の酸化ジルコニウムを含む有機無機複合組成物16を得た。しかしながら、この組成物16は加熱時の溶融流動性が低く、実施例5と同様の方法で成形体を得ることができなかった。
作成した有機無機複合組成物の分析・評価方法について説明する。分析・評価項目として屈折率測定が挙げられ、以下、その測定方法の詳細について説明する。
組成物1〜15それぞれをクロロホルムに溶解し、溶液をガラス基板上に滴下した後、ガラス基板を150℃に昇温して30分保持し、溶媒を留去して厚さ平均0.7mmの膜を成膜した。27℃において、dスペクトル線(波長587.6nm)に対する屈折率(nd)をカルニュー屈折計(島津デバイス製造社製:KPR−30[製品名])を用いて測定し、このndとFスペクトル線(波長486.1波長587.6nm)とCスペクトル線(656.3nm)に対する屈折率差の値から該重合体のアッペ数(νd)を算出した。
微粒子内部の分極特性はバルク的な特性を示す。しかし、大きさ1〜50nmの微粒子を仮定すると、波長400〜700nmの可視波長域の光への分極特性は微粒子が均一に分散された理想状態ではその不均一性を無視できるレベルの大きさである。その複合組成物の屈折率nはDrude理論に基づき式(1)のように表される。
n2=1+T(χ1)+(1−T)(χ2)
=1+T(n1 2−1)+(1−T)(n2 2−1)・・・式(1)
χ1:金属酸化物微粒子の分極
χ2:母材(本発明では重合体)の分極
T:微粒子の体積分率(0≦T≦1.0)
n1:金属酸化物の屈折率
n2:母材(本発明では重合体)の屈折率
dスペクトル線(波長587.6nm)、Fスペクトル線(波長486.1nm)、Cスペクトル線(波長656.3nm)の各輝線に対する、金属酸化物(Handbook of Optics,Vol.2,2nd edition,MoGraw−Hill,1994より、結晶の値を利用)の屈折率と重合体1の屈折率を式(1)に代入し、種々の金属酸化物微粒子を含む有機無機複合組成物の屈折率とアッベ数を計算した。
Claims (8)
- 一般式(1)で表される構造を繰返し単位として含有する重合体と、少なくとも1種類の金属酸化物粒子とを含むことを特徴とする有機無機複合組成物。
〔一般式(1)中、Lは炭素数2以上12以下のオキシアルキレン基、又は炭素数2以上12以下のポリ(オキシエチレン)基を示す。〕 - 前記金属酸化物粒子の濃度が組成物全体のうち、1体積パーセント以上15体積パーセント以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機無機複合組成物。
- 前記金属酸化物粒子の平均1次粒子径が1nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機複合組成物。
- 前記金属酸化物粒子が酸化チタンまたは酸化ジルコニウムであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の有機無機複合組成物。
- 前記重合体の繰返し単位に、一般式(2)または(3)で表される繰返し単位が少なくとも1種類以上含まれることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の有機無機複合組成物。
〔一般式(2)および(3)中、Tは炭素数2以上12以下のオキシアルキレン基、炭素数2以上12以下のポリ(オキシエチレン)基、又は単結合を示す。R1、R2は各々水素原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素数6以上12以下のアリール基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。Uは炭素数1以上13以下のアルキレン基,炭素数2以上13以下のアルキリデン基,炭素数5以上13以下のシクロアルキレン基,炭素数5以上13以下のシクロアルキリデン基,炭素数6以上13以下のアリーレン基,フルオレニデン、−O−,−S−,−SO2−,−CO−又は単結合を示す。R1、R2、T及びUは構造単位ごとに異なっていてもよい。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の有機無機複合組成物の、屈折率(nd)が1.670以上1.740以下であり、アッべ数(νd)が16.18以上20.41以下であることを特徴とする有機無機複合組成物。
- 請求項1から6に記載の有機無機複合組成物を成形することにより得られることを特徴とする成形体。
- 請求項1から6に記載の有機無機複合組成物を成形することにより得られることを特徴とする光学素子。
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