JP2012056999A - 白色発光を示す無着色有機固体材料 - Google Patents

白色発光を示す無着色有機固体材料 Download PDF

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孝二 荒木
Toshiki Mutai
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秀明 生野
Tatsuya Okawa
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Abstract

【課題】エネルギー移動機構に頼らない固体白色発光材料を提供する。
【解決手段】式(I)で示される2−フェニルイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体から選択される少なくとも2種の化合物からなる固体発光材料であって、第1の化合物が2′−ヒドロキシ基を有し、且つ近紫外光を吸収して長波長の可視光を発することを特徴とするものであり;第2の化合物が、2′−アルコキシ基を有し、且つ近紫外光を吸収して短波長の可視光を発することを特徴とするものである、固体発光材料。固体発光材料は、紫外領域の同一の励起波長でそれぞれ異なる発光を示す2種の化合物からなるため、発光材料間の相互作用にともなう発光変化や発光損失のおそれがなく、安定した白色発光を可能とする。

【選択図】図1

Description

本発明は、式(I):
(式中、Rは、水素又はC1-6−アルキルであり;R′は、有機基であり;nは、0、1、2又は3である)で示される2−フェニルイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体から選択される、少なくとも1種の化合物(1)と少なくとも1種の化合物(2)からなる固体発光材料であって、
化合物(1)は、Rが水素であり、且つ近紫外光を吸収して長波長の可視光を発することを特徴とするものであり;化合物(2)は、RがC1-6−アルキルであり、且つ近紫外光を吸収して短波長の可視光を発することを特徴とするものである、固体発光材料に関する。
固体で白色発光を示す有機分子の開発は、次世代ディスプレイや各種照明材料への応用といった観点から注目を集めている。一般に白色発光体は、近紫外光または短波長の可視光(紫、青色)を発する発光材料と、より長波長(緑、黄、赤)を発する発光材料とを適宜組み合わせて構成される(例えば、特許文献1参照)。その際、短波長の発光は長波長発光材料の励起エネルギーとしても利用されることから、各発光材料の光吸収特性やエネルギー移動効率、さらには発光材料間の相互作用にともなう発光変化や発光損失など、様々な条件を考慮する必要がある。特に発光材料間の相互作用は予測できない影響を与えることも多く、これの解決はしばしば煩雑である。また、黄色や赤色発光を示す材料は可視光を吸収して有色である場合が多いため、これらを含有する白色発光体は室内灯や太陽光下で着色しており、視認性や演色性に劣るという問題がある。
特開2006−193573号公報
T. Mutai et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 9522-9524
本発明は、エネルギー移動機構に頼らない固体発光材料、特に固体白色発光材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、これまでにイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体の励起状態分子内プロトン移動(ESIPT)に基づく発光特性について、特に結晶形(固体)における分子のパッキング状態が発光に与える影響について報告してきた(例えば、非特許文献1参照)。その研究の中で、本発明者らは2′−ヒドロキシ基を有する2−フェニルイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体が、紫外領域の励起波長で、ストークスシフト(Stokes shift)の大きい黄色の高効率ESIPT発光を示す一方で、この2′−ヒドロキシ基のプロトン移動を妨げるよう誘導体化すると(例えば、アルキル基の導入による)、かかる誘導体が同一の励起波長で垂直励起(LE)状態からの青色発光を示すことを見出した。このイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体の特性に着目し、これらの各誘導体の混合固体粉末が、エネルギー移動機構に頼らない固体発光材料、特に固体白色発光材料として安定した白色発光を発現しうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は式(I):
(式中、Rは、水素又はC1-6−アルキルであり;R′は、有機基であり;nは、0、1、2又は3である)で示される2−フェニルイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体から選択される、少なくとも1種の化合物(1)と少なくとも1種の化合物(2)からなる固体発光材料であって、
化合物(1)は、Rが水素であり、且つ近紫外光を吸収して長波長の可視光を発することを特徴とするものであり;化合物(2)は、RがC1-6−アルキルであり、且つ近紫外光を吸収して短波長の可視光を発することを特徴とするものである、固体発光材料を提供する。
本発明は、複数の発光性有機化合物から構成される固体白色発光材料に関するものである。従来、このような複数の発光材料からなる白色発光体では、短波長光を発光のみならず長波長発光体の励起エネルギーとしても利用することから、発光材料間での様々な干渉が懸念され、発光材料の選択や組合せを制限する要因ともなっていた。しかしながら、本発明の固体白色発光材料は、発光色の異なる複数の発光材料を単一の励起光で励起してそれぞれ独立に発光させるという新しい機構に基づくものであり、発光材料間で励起エネルギーの受け渡しが起こらない。したがって各発光材料の光吸収特性やエネルギー移動効率、さらには発光材料間の相互作用にともなう発光変化や発光損失などの影響を回避することができると共に、発光色の予測も容易にすることができる。
本発明の固体発光材料は、比較的低分子の有機化合物からなり、各種汎用溶媒や高分子基材に容易に溶解又は分散させることができることから、穏和な条件で塗布したり、あるいは高分子基材に混合したりと加工性に優れる。また本発明の固体発光材料は、固体状態において非常に高い量子収率を有し、可視光の強い発光を示す。さらに従来の発光材料の多くは、長波長発光体の励起エネルギーとして短波長可視光を利用する(吸収する)ことから、着色が避けられず、視認性や演色性に劣るものであったが、本発明の固体発光材料は可視領域に吸収を持たないことから、室内灯や太陽光下では無色透明である新規の発光材料を提供することができ、視認性や演色性の向上が期待できる。
実施例2で得られた固体発光材料含有フィルムの発光をXYZ表色系(CIE 1931 表色系)の色度図上の座標で示す。 実施例2で得られた固体発光材料含有フィルムの発光スペクトルを示す。
以下、本発明について説明するが、これらの記載は特許請求の範囲に記載された本発明をより詳細に説明するために提供されるものであって、限定することを意図するものではない。
本発明の固体発光材料は、式(I):
(式中、Rは、水素又はC1-6−アルキルであり;R′は、有機基であり;nは、0、1、2又は3である)で示される2−フェニルイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体から選択される、少なくとも1種の化合物(1)と少なくとも1種の(2)からなるものであって、
化合物(1)は、Rが水素であり、且つ近紫外光を吸収して長波長の可視光を発することを特徴とするものであり;化合物(2)は、RがC1-6−アルキルであり、且つ近紫外光を吸収して短波長の可視光を発することを特徴とするものである。
本発明の固体発光材料に含まれる化合物(1)は、上記式(I)において、Rが水素である化合物であって、且つ近紫外光を吸収して長波長の可視光を発する化合物であり、下記式:
で示されるように、2−フェニル基上のオルト位のヒドロキシ基が、近紫外光による励起で分子内プロトン移動を起こし、その結果、発光波長が長波長側に大きく移動する、いわゆる「大きなストークスシフト」が生じる。本発明の固体発光材料に使用される化合物(1)は、通常、近紫外領域に吸収極大波長を有するが、大きなストークスシフトが生じることにより、その発光極大波長が好ましくは約100〜250nm、特に好ましくは約150〜200nmほど長波長側に移動し、長波長の可視光を発することを特徴とする。
同様に、本発明の固体発光材料に含まれる化合物(2)は、上記式(I)において、RがC1-6−アルキルである化合物であって、且つ近紫外光を吸収して短波長の可視光を発する化合物であり、下記式:
で示されるように、2−フェニル基上のオルト位のヒドロキシ基の分子内プロトン移動が基R(C1-6−アルキル)により妨げられる。このため、ESIPT発光ではなく、近紫外光による垂直励起(LE)状態からの短波長の可視光を発することを特徴とする。
なお本明細書において、他に断りのない限り、式(I)の基R′についての用語「有機基」とは、上述の化合物(1)及び(2)に要求される発光特性を損なわない範囲で任意に選択される置換基であり、好ましい態様は、後述する式(1a)及び(2a)で示される化合物の基R1〜R4についての定義に挙げられたとおりである。なお本明細書において、他に断りのない限り、用語「ストークスシフト」とは、化合物の吸収極大波長と発光極大波長の差を意味し、用語「近紫外光」とは、紫外線のうち300〜400nmの光を意味する。同様に、用語「長波長の可視光」とは、可視光線のうち500〜700nm、好ましくは550〜620nmの光を意味し、用語「短波長の可視光」とは、可視光線のうち400〜500nm、好ましくは400〜480nmの光を意味する。
本発明の好ましい態様において、化合物(1)は、下記式(1a):
(式中、R1及びR2は、互いに独立して、水素、ハロゲン、C1-6−アルキル、ハロ−C1-6−アルキル、シアノ又はフェニルであるか、あるいはC1-6−アルキル、ハロ−C1-6−アルキル、C1-6−アルコキシ及びC1-6−アルコキシ−カルボニルフェニルから選択される1つ以上の置換基で置換されているフェニルである)
で示されるものである。
本発明の別の好ましい態様において、化合物(2)は、下記式(2a):
(式中、Rは、C1-6−アルキルであり;R3及びR4は、互いに独立して、水素、ハロゲン、C1-6−アルキル、ハロ−C1-6−アルキル、シアノ又はフェニルであるか、あるいはC1-6−アルキル、ハロ−C1-6−アルキル、C1-6−アルコキシ及びC1-6−アルコキシ−カルボニルから選択される1つ以上の置換基で置換されているフェニルである)
で示されるものである。特に好ましい態様において、化合物(2a)は、R3及びR4が、互いに独立して、水素、シアノ又はフェニルであるものである。
なお本明細書において、他に断りの無い限り、用語「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
同様に、用語「C1-6−アルキル」とは、炭素数1〜6の直鎖状のアルキル(メチル、エチル、n-プロピル、n-ヘキシル等)、あるいは炭素数3〜6の分岐鎖状のアルキル(i-プロピル、i-ブチル、t-ブチル等)又は環状のアルキル(シクロプロピル、シクロヘキシル等)を意味する。
同様に、用語「ハロ−C1-6−アルキル」とは、1個以上の、好ましくは1〜3個のハロゲンにより置換された前記「C1-6−アルキル」を意味し、例として、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、クロロメチル、ジクロロメチル等が挙げられる。
同様に、用語「C1-6−アルコキシ」とは、酸素を介して結合する前記「C1-6−アルキル」、すなわち「C1-6−アルキル−O−」を意味し、例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ、n-ヘキシルオキシ等が挙げられる。また用語「C1-6−アルコキシ−カルボニル」とは、カルボニル基(−C(=O)−)を介して結合する前記「C1-6−アルコキシ」を意味し、例として、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n-ヘキシルオキシカルボニル等が挙げられる。
本発明の固体発光材料に用いられる、式(I)で示される2−フェニルイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体は、例えば、以下のような合成スキーム1により調製することができる。その具体的な反応条件等は、後述する合成例を参照することができる。
上記スキーム1中、RはC1-6−アルキル、好ましくはメチルであり;R′はハロゲン、C1-6−アルキル、ハロ−C1-6−アルキル、シアノ、あるいは非置換又は置換フェニルであり;nは0、1、2又は3、好ましくは0、1又は2である。なお、R′が非置換又は置換フェニルである場合、上記合成スキーム1で得られるR′がハロゲンである式(1)の化合物から出発して、以下のような合成スキーム2により調製することができる。その具体的な反応条件等は、後述する合成例を参照することができる。
上記スキーム2中、Halはハロゲン、好ましくは臭素であり;Arは非置換又は置換フェニル、好ましくはフェニルであるか、又はC1-6−アルキル、ハロ−C1-6−アルキル、C1-6−アルコキシ及びC1-6−アルコキシ−カルボニルフェニルから選択される1つ以上の置換基で置換されているフェニルであり;nは1、2又は3、好ましくは1又は2である。スキーム1における、式(3)の2′−アルコキシアセトフェノン及び式(5)の置換又は非置換のアミノピリジン、並びにスキーム2における式(6)のアリールボロン酸は、Sigma-Aldrich Co.又は東京化成工業(株)のような試薬会社から購入することにより、あるいは当業者に公知の方法に従い合成することにより、容易に入手することができる。
本発明の固体発光材料は、近紫外光照射により白色発光を示すことを特徴とする。特に好ましくは、本発明の固体発光材料は、近紫外光照射による発光が、XYZ表色系(CIE 1931 表色系)色度図においてx=0.33±0.05、y=0.33±0.05の座標で表されることを特徴とする。一般に、XYZ表色系(CIE 1931 表色系)色度図においてx=0.33、y=0.33の座標で表される発光は、理想的な白色発光と言われている。本発明の固体発光材料は、各成分である化合物(1)と化合物(2)の間で励起エネルギーの受け渡しが起こらないことから、発光変化(発光色)の予測を極めて容易に行うことができる。例えば、後述する実施例2に示されているように、化合物(1)と化合物(2)からなる固体発光材料の発光は、XYZ表色系(CIE 1931 表色系)色度図において、化合物(1)単独の発光を示す座標と、化合物(2)単独の発光を示す座標を結ぶ直線上に生じ、且つその組成比を変えることによって当該直線上の座標を選択することができるのである。したがって、化合物(1)及び化合物(2)を、座標(x=0.33±0.05、y=0.33±0.05)を通る直線上にその発光を有する化合物の組合せとして適切に選択することにより、この理想的な白色発光を容易に達成することができる。
本発明の固体発光材料を、任意の不活性の高分子基材、例えば、ポリエチレンなどのポリオレフィン類、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのポリアクリル酸エステル類等に配合して、白色発光用組成物として提供することもできる。ここで「不活性」とは、本発明の固体発光材料に対して、特にその発光特性に対して影響を及ぼすものではないことを意味する。本発明の白色発光用組成物は、本発明の固体発光材料に対して不活性である限りにおいて、任意の添加剤を含んでいてもよい。かかる組成物は、所望の形状、例えば粒状、フィルム状等に成形して用いることもできる。本発明の固体発光材料又は白色発光用組成物は、当業者に公知の方法に従い、発光素子に適用することができる。そのような発光素子は、液晶ディスプレイのバックライトや各種照明への応用が期待できる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.固体発光材料の合成例
〔合成例1:2−ブロモ−2′−メトキシアセトフェノン(2-Br-2'-MeOAcP)の合成〕
磁気攪拌子の入った二口ナスフラスコに、2′−メトキシアセトフェノン(10.00g, 66.6 mmol)、臭化銅(II)(29.81 g, 133.4 mmol)およびクロロホルム50 mlを入れ、オイルバス(100℃)上で4時間還流した。室温まで冷却したのちに吸引ろ過し、純水とクロロホルムを加えて有機層を抽出し、これを純水で3回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥したのちにロータリーエバポレーターで溶媒を減圧留去し、濃褐色、油状の粗生成物を得た。ヘキサンに溶解後よく攪拌しながら冷却し、得られた沈澱をろ過して乾燥した。褐色粉末として2-Br-2'-MeOAcP(収率 72 %)を得た。
〔合成例2:2−(2′−メトキシフェニル)−6−シアノイミダゾ[1,2−a]ピリジン(6-CN-2'-MeOPIP;化合物m)の合成〕
磁気攪拌子の入った二口ナスフラスコに、2−アミノ−5−シアノピリジン(1.71 g, 14.4 mmol)、合成例1で得た2-Br-2'-MeOAcP(3.30 g, 14.4 mmol)、炭酸水素ナトリウム(2.42 g, 28.9 mmol)およびアセトニトリル50 mlを入れ、オイルバス(100℃)上で24時間還流した。室温まで冷却したのちに吸引ろ過し、エバポレーションで溶媒を留去して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−酢酸エチル 5 : 1)で精製し、白色粉末として6-CN-2'-MeOPIP(収率 45 %)を得た。
以下の化合物も同様の方法で合成した:
2−(2′−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン(2'-MeOPIP;化合物l)。
〔合成例3:2−(2′−メトキシフェニル)−8−ブロモイミダゾ[1,2−a]ピリジン(8-Br-2'-MeOPIP)の合成〕
磁気攪拌子の入った二口ナスフラスコに2−アミノ−3−ブロモピリジン(3.12 g, 18.1 mmol)、合成例1で得た2-Br-2'-MeOAcP(4.14 g, 18.1 mmol)、炭酸水素ナトリウム(3.06 g, 36.4 mmol)とアセトニトリル 50 mlを加え、オイルバス(100℃)上で2時間還流した。室温まで冷却したのちに吸引ろ過し、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−酢酸エチル 10 : 1)で精製し、白色粉末8-Br-2'-MeOPIP(収率 72 %)を得た。
〔合成例4:2−(2′−ヒドロキシフェニル)−8−ブロモイミダゾ[1,2−a]ピリジン(8-Br-2'-OHPIP)の合成〕
磁気攪拌子の入った二口ナスフラスコに合成例3で得た8-Br-2'-MeOPIP(3.74 g, 12.3 mmol)を入れて減圧乾燥した。窒素置換したのちにジクロロメタン 10 mlを加え、アセトン−ドライアイス浴(-80℃)につけてよく攪拌しながら1.0 M三臭化ホウ素 ジクロロメタン溶液(60 ml, 60 mmol)をゆっくり加えた。発熱がやむまで冷却し、室温で終夜攪拌した。次に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を徐々に加えてさらに攪拌した。反応溶液に純水とクロロホルムを加えて有機層を抽出し、得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、純水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥したのちにロータリーエバポレーターで溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。これをクロロホルム溶液から再沈殿して精製し、白色粉末8-Br-2'-OHPIP(収率 85 %)を得た。
以下の化合物も同様の方法で合成した:
2−(2′−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン(2'-OHPIP;化合物a)、
2−(2′−ヒドロキシフェニル)−6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン(6-Me-2'-OHPIP;化合物b)、
2−(2′−ヒドロキシフェニル)−6−トリフルオロメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン(6-CF3-2'-OHPIP;化合物c)、及び
2−(2′−ヒドロキシフェニル)−6−シアノイミダゾ[1,2−a]ピリジン(6-CN-2'-OHPIP;化合物d)。
〔合成例5:2−(2′−ヒドロキシフェニル)−8−フェニルイミダゾ[1,2−a]ピリジン(8-Ph-2'-OHPIP:化合物h))の合成〕
磁気攪拌子の入った二口ナスフラスコに合成例4で得た8-Br-2'-OHPIP(0.392 g, 1.36 mmol)、フェニルボロン酸(0.222 g, 1.82 mmol)、炭酸カリウム(0.566 g, 4.10 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.079 g, 0.068 mmol)を入れて減圧乾燥した。窒素雰囲気下でジオキサン 30 mlを加えオイルバス(100℃)上で20時間還流した。室温まで冷却後、少量の1M 塩酸を加えたのちに純水とクロロホルムを加え有機層を抽出した。得られた有機層を純水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、ろ過したのちにロータリーエバポレーターを用いて溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で精製し、薄桃色粉末8-Ph-2'-OHPIP(収率 80 %)を得た。
以下の化合物も同様の方法で合成した:
2−(2′−ヒドロキシフェニル)−6−フェニルイミダゾ[1,2−a]ピリジン(6-Ph-2'-OHPIP:化合物e)、
2−(2′−ヒドロキシフェニル)−6−(p−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン(6-MeOPh-2'-OHPIP:化合物f)、
2−(2′−ヒドロキシフェニル)−6−(p−メトキシカルボニルフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン(6-MeEsPh-2'-OHPIP:化合物g)、
2−(2′−ヒドロキシフェニル)−8−(p−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン(8-MeOPh-2'-OHPIP:化合物i)、
2−(2′−ヒドロキシフェニル)−8−(p−メトキシカルボニルフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン(8-MeEsPh-2'-OHPIP:化合物j)、
2−(2′−ヒドロキシフェニル)−8−(p−トリフルオロメチルフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン(8-CF3Ph-2'-OHPIP:化合物k)。
〔試験例1:化合物の発光特性〕
上記合成例1〜5から得られた化合物a〜kは、本発明の化合物(1)に相当し、化合物l及びmは、化合物(2)に相当する。これらの各化合物の発光特性を、紫外光(365 nm)で励起し、分光測光装置PMA−11(浜松ホトニクス社製)で評価した。結果を装置付属のソフトウェアにより、XYZ表色系(CIE 1931 表色系)の色度図上の座標に変換した(下記表1及び図1参照)。
〔実施例1:固体発光材料の調製と、その発光特性〕
化合物(1)として化合物h(8-Ph-2'-OHPIP)、化合物(2)として化合物m(6-CN-2'-OMePIP)を使用し、化合物mに対して化合物hを質量比10:3の割合で混ぜ、すり鉢で混合し、粉末状の固体発光材料を調製した。この粉末を紫外光(365 nm)により励起し、発光を分光測光装置PMA−11(浜松ホトニクス社製)で評価した。この発光は、XYZ表色系(CIE 1931 表色系)の色度図上の座標(0.34, 0.31)に位置する、理想的な白色発光を示した。
〔実施例2:固体発光材料含有フィルムの調製と、その組成比による発光特性の変化〕
化合物(1)として化合物h(8-Ph-2'-OHPIP)、化合物(2)として化合物m(6-CN-2'-OMePIP)を使用し、化合物mと化合物hの割合を以下の表2に示すように変化させた固体発光材料を、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)に対して0.5 wt%となるように添加した固体混合物を調製した。これのベンゼン溶液を石英ガラス板の上に滴下し、空気下で2時間静置、さらに減圧加熱下で一晩静置することでフィルム(entry No.1〜5)を作製した。これらのフィルムを紫外光(365 nm)により励起し、発光を蛍光分光光度計FP−6600(日本分光社製)および分光測光装置PMA−11(浜松ホトニクス社製)で評価した。この発光を、XYZ表色系(CIE 1931 表色系)の色度図上の座標で示す(下記表2及び図1参照)。
以上の結果から、化合物m(6-CN-2'-OMePIP)と化合物h(8-Ph-2'-OHPIP)からなる固体発光材料(entry No.2〜4)の発光は、XYZ表色系(CIE 1931 表色系)色度図において、化合物m単独の発光を示す座標(entry No.1)と、化合物h単独の発光を示す座標(entry No.5)を結ぶ直線上に生じ、その組成比に応じて変化することが確認できた(図1参照)。また、これらの発光スペクトルは、400〜700nmの可視領域をほぼ全てカバーするものであった(図2)。そして、entry No.3の発光は、XYZ表色系(CIE 1931 表色系)の色度図上の座標(0.36, 0.33)に位置する、理想的な白色発光を示した。

Claims (8)

  1. 式(I):

    (式中、Rは、水素又はC1-6−アルキルであり;R′は、有機基であり;nは、0、1、2又は3である)で示される2−フェニルイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体から選択される少なくとも1種の化合物(1)と少なくとも1種の化合物(2)からなる固体発光材料であって、
    化合物(1)は、Rが水素であり、且つ近紫外光を吸収して長波長の可視光を発することを特徴とするものであり;化合物(2)は、RがC1-6−アルキルであり、且つ近紫外光を吸収して短波長の可視光を発することを特徴とするものである、固体発光材料。
  2. 化合物(1)が、下記:

    (式中、R1及びR2は、互いに独立して、水素、ハロゲン、C1-6−アルキル、ハロ−C1-6−アルキル、シアノ又はフェニルであるか、あるいはC1-6−アルキル、ハロ−C1-6−アルキル、C1-6−アルコキシ及びC1-6−アルコキシ−カルボニルフェニルから選択される1つ以上の置換基で置換されているフェニルである)
    で示されるものであることを特徴とする、請求項1に記載の固体発光材料。
  3. 化合物(2)が、下記:

    (式中、Rは、C1-6−アルキルであり;R3及びR4は、互いに独立して、水素、ハロゲン、C1-6−アルキル、ハロ−C1-6−アルキル、シアノ又はフェニルであるか、あるいはC1-6−アルキル、ハロ−C1-6−アルキル、C1-6−アルコキシ及びC1-6−アルコキシ−カルボニルから選択される1つ以上の置換基で置換されているフェニルである)
    で示されるものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の固体発光材料。
  4. 3及びR4が、互いに独立して、水素、シアノ又はフェニルであることを特徴とする、請求項3に記載の固体発光材料。
  5. 近紫外光照射により白色発光を示すことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の固体発光材料。
  6. 近紫外光照射による発光が、CIE 1931表色系のxyz色度図においてx=0.33±0.05、y=0.33±0.05の座標で表されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の固体発光材料。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の固体発光材料を、不活性高分子基材と共に含む、白色発光用組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の固体発光材料を用いた発光素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112945916A (zh) * 2021-01-25 2021-06-11 河南师范大学 通过双荧光发射有机单分子构建纯白光的方法

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