JP2012056363A - 車椅子と自転車の連結装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車椅子と自転車の各々に特別な加工を施すことなく、車椅子と自転車を連結できるようにする。
【解決手段】連結部材120により、車椅子105の左右のティッピングレバー119Lと自転車107のフロントフォーク118とを互いが相対的に回転し得るように連結する。また、フロントフォーク118におけるブレーキ装着用台座と車体フレーム203の下管204に運転支援部材170を装着する。運転支援部材170により、車体フレーム203におけるフロントフォーク118を支持する部分である頭管260とフロントフォーク118との間の相対的な回転が規制される。
【選択図】図1

Description

本発明は、身障者を乗せた車椅子の移動の労力を軽減するための技術に関する。
特許文献1には、車椅子と自転車を一体化し、自転車の推進力を利用して車椅子を前進させる技術の開示がある。同文献に開示された手押し車付き自転車では、以下のような構成によって車椅子と自転車とが一体化されている。まず、車椅子の背もたれの後側のフレームにはボックス状の取付部が締着され、この取付部をなす上下の板には2つの孔が穿設されている。一方、自転車のフレームからはヘッドパイプが取り除かれ、その取り除かれた部分には取付部における2つの孔と同じ直径の孔を有する筒状体が溶接されている。そして、この筒状体を取付部における2つの孔の間に嵌め込み、それら2つの孔と筒状体を貫通するようにボルトとナットを締結することにより、車椅子と自転車とが一体化される。以上の構成によって車椅子と自転車とが一体化された状態において、介助者が自転車のサドルに跨ってそのペダルを踏み込むと、車椅子が自転車の推進力を受けて前方に進む。
特開2006−142926号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術の場合、自転車のフレームにそのヘッドパイプを取り除くための加工を施す必要があり、加工を施した後はもはや自転車単体として利用することができない。また、車椅子の側にも、車椅子本来の機能からすれば不要な部材である取付部が締着されており、車椅子をそれ単体として利用するたびに取付部を分離する作業をするのは煩わしい。
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、車椅子と自転車の各々に特別な加工を施すことなく、車椅子と自転車を容易に一体化および分離できるようにすることを目的とする。
本発明は、車椅子の左右のティッピングレバーと自転車のフロントフォークとをお互いが相対的に回転し得るように連結する連結部材と、前記自転車の車体フレームに対して前記フロントフォークが相対的に回転しないように前記フロントフォークを固定する第1の運転支援部材とを具備する連結装置を提供する。
本発明では、連結部材と運転支援部材により、車椅子と自転車とを各々に加工を施すことなく一体化することができる。そして、この一体化した車椅子及び自転車における自転車のサドルに跨ってペダルを漕ぐことにより、車椅子及び自転車を前進させることができる。
さらに、本発明では、連結部材におけるティッピングレバーに支持される部分である支持部材とフロントフォークを支持する部分である軸収容部材とが相対的に回転し得るようになっている。その一方で、車体フレームにおけるフロントフォークを支持する部分とフロントフォークとの間の相対的な回転が運転支援部材によって規制される。よって、車椅子及び自転車の転倒を防ぎつつ、前進の方向の左右への旋回を円滑に行うことができる。
この発明の第1実施形態である連結装置によって連結された車椅子と自転車の左側面図である。 同連結装置と車椅子及び自転車の一部分を矢印A方向から見た図である。 車椅子を分離した自転車と連結装置の左側面図である。 車椅子を分離した自転車と連結装置の正面図である。 連結部材を示す図である。 軸収容部材の回転の様子を示す図である。 運転支援部材の正面図及び左側面図である。 運転支援部材の表面図及び左側面図である。 連結部材の車椅子への固定に用いる固定用ベルトを示す図である。 この発明の第2実施形態である連結装置によって連結された車椅子と自転車の左側面図である。 同連結装置によって連結された車椅子と自転車の上面図である。 同連結装置における第1連結部材の構成を示す図である。 同連結装置における継手の構成を示す図である。 同連結装置における継手の構成を示す図である。 同連結装置における継手の構成を示す図である。 同連結装置における継手とパイプロック部材の構成を示す図である。 同連結装置における第1連結部材のティッピングレバーへの装着の仕方を示す図である。 同連結装置における第1連結部材のフロントフォークへの装着の仕方を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である連結装置100によって連結された車椅子105と自転車107の左側面図である。図2は、図1に示す連結装置100と車椅子105及び自転車107の一部分を矢印A方向から見た図である。図3及び図4は、図1における車椅子105を分離した自転車107と連結装置100の左側面図及び正面図(車椅子105の側から見た図)である。以降の説明において、連結装置100、車椅子105、自転車107の各々における左右一対となる要素については、左側の要素の番号の後にLの文字を付し、右側の要素の番号の後にRの文字を付することによって両者を区別する。図1に示す例において、自転車107は、折り畳み式自転車である。この折り畳み式自転車107のフロントフォーク118の下端のエンド199L,199Rからは前輪(不図示)が取り外され、フロントフォーク118の上方のブレーキ取付用台座202L,202Rからはブレーキ(不図示)が取り外されている。また、フロントフォーク118の上端の受け穴201内に挿入されていたハンドル部(ハンドルポストとハンドルバー:不図示)も取り外されている。本実施形態による連結装置100は、このように前輪、ブレーキおよびハンドル部の取り外された状態の自転車107を車椅子105に連結する装置である。なお、連結装置100によって車椅子105と連結される自転車107の種類は折り畳み式自転車に限らない。他の種類の自転車107の前輪、ブレーキ、ハンドルバー、及びハンドルポストを同様に取り外し、連結装置100によって車椅子105と連結することも可能である。
図1に示すように、連結装置100は、連結部材120と2つの運転支援部材150及び170とを有する。連結部材120は、車椅子105の下部フレーム111L及び111Rの後端部分に形成されたティッピングレバー119L及び119Rと自転車107のフロントフォーク118とをお互いが相対的に回転し得るように連結する役割を果たす部材である。さらに詳述すると、連結部材120は、図3および図4に示すように、台座部材121、支持部材122及び軸収容部材123を有する。ここで、台座部材121は、車椅子105および自転車107の連結時に車椅子105のティッピングレバー119L及び119Rを把持する手段である。支持部材122は、台座部材121に対して相対的に回動し得るように軸収容部材123を支持する手段である。そして、軸収容部材123は、車椅子105および自転車107の連結時に、自転車107のフロントフォーク118の左右のエンド199Lおよび199Rを下方から軸支する手段である。
運転支援部材150は、連結装置100により連結された車椅子105及び自転車107の走行中における当該車椅子105及び自転車107の進行方向を決める代替ハンドルとしての役割を果たす部材である。さらに詳述すると、運転支援部材150は、円柱状の部材であり、図2に示すように、車椅子105の左右のハンドルグリップ151Lおよび151Rの各後端にその両端が固定される。本実施形態では、車椅子105に自転車107を連結する際、前輪は車体から取り外すが、後輪やギアはそのまま車体に残して活用する。このため、図2に示すように、車椅子105に連結された自転車107の後輪のブレーキを操作するためのブレーキレバー265と、自転車107のギアを操作するためのギアレバー266が運転支援部材150に取り付けられる。
運転支援部材170は、自転車107の車体フレーム203におけるフロントフォーク118を支持する部分である頭管260とフロントフォーク118との間の相対的な回転を規制する役割を果たす部材である。
図5(A)は、連結部材120の正面図(自転車107の側から見た図)である。図5(B)は、図5(A)を矢印B方向から見た図である。図5(C)は、図5(A)を矢印C方向から見た図である。図5(A),図5(B),図5(C)に示すように、連結部材120は、台座部材121、支持部材122、及び軸収容部材123を有する。台座部材121は、互いに直交する方向に間隔を空けて各々向かい合う2対のパイプ125F,125B及び126L,126Rとこれらの端部同士を連結する4つの継手129L,129R,130L,及び130Rとからなる。
パイプ125F及び125Bは、車椅子105における左右のティッピングレバー119L及び119R(図2)間の距離よりも僅かに短い長さL1を有している。パイプ126L及び126Rは、連結部材120の車椅子105への固定時にティッピングレバー119L及び119Rを各々収容するためのパイプであり、パイプ125F及び125Bよりも短い長さL2を有している。継手129Lにおける一対の半割状部材129LU及び129LDと継手129Rにおける一対の半割状部材129RU及び129RDは、パイプ125Bの左右の各端部とパイプ126L及び126Rの各々の後端部とをL字状に交差させた状態で、その交差箇所を挟みこんで合体している。継手130Lにおける一対の半割状部材130LU及び130LDと継手130Rにおける一対の半割状部材130RU及び130RDは、パイプ125Fの左右の各端部とパイプ126L及び126Rの各々の前端部とをL字状に交差させた状態で、その交差箇所を挟みこんで合体している。台座部材121では、パイプ125F及び125B内における孔の左右の各端部がパイプ126L及び126Rの側面により塞がれている。また、パイプ126L及び126R内における孔の前後の各端部は外部に開放されている。
支持部材122は、略正方形状の金属板の中央の真円状の領域を上方に凸ませたものである。支持部材122の外周における一辺の長さはパイプ126L及び126Rの長さL2とほぼ同じである。支持部材122における上方に凸んだ真円状の部分の高さH3は、例えば、5mmである。この支持部材122の4隅の各々と上方に凸んだ真円状の部分との間には孔が穿設されている。また、台座部材121のパイプ125F及び125Bにおける中心から左右に離れた位置にも孔が穿設されている。支持部材122とパイプ125F及び125Bとは、支持部材122とパイプ125F及び125Bの孔にボルトbtを挿入してその先端にナットntを締結することによって固定されている。
軸収容部材123は、金属板の縁を上方に起立させて周壁131とし、この周壁131における対向する内面間に筒132を架設したものである。図5(B)に示すように、軸収容部材123の底部133は、真円の円周の一部分を外側に拡げた略キノコ状をなしている。軸収容部材123の底部133における外側に拡がった部分の基端部とその先端部135との間には直線縁部134L及び134Rがある。直線縁部134L及び134R間には幅L4の間隔が空いている。軸収容部材123の周壁131は、底部133における先端部135を除いた部分に沿って当該軸収容部材123の底部133を覆っている。軸収容部材123の周壁131のうち直線縁部134L及び134Rから起立している部分の高さH4は、例えば、30mmである。そして、周壁131の高さは直線縁部134L及び134Rから離れるに従って低くなっている。軸収容部材123の周壁131のうち直線縁部134L及び134Rから起立している部分の内面間には直線縁部134L及び134R間と同じ長さL4を有する筒132の各一端が固定されている。筒132内における孔の両端部は周壁131を貫いて外側に開放されている。
筒132内の孔には筒132よりも十分に長い長さL5を有する軸250が挿入されている。この軸250の側面にはネジ溝が設けられている。軸250における筒132の一方の側に露出した部分にはナット138L,139L,140L,及び141Lが締結されている。これらのナット138L,139L,140L,及び141Lのうちナット138Lと周壁131との間にはワッシャー145L及び146Lが挟まれている。ナット138Lとナット139Lの間にはワッシャー143Lが挟まれている。軸250における筒132の他方の側に露出した部分にはナット138R,139R,140R,及び141Rが締結されている。これらのナット138R,139R,140R,及び141Rのうちナット138Rと周壁131との間にはワッシャー145R及び146Rが挟まれている。ナット138Rとナット139Rの間にはワッシャー143Rが挟まれている。自転車107を車椅子105に連結する際には、自転車107のフロントフォーク118のエンド199Lが例えばワッシャー145L及び146L間に挟まれ、同フロントフォーク118のエンド199Rが例えばワッシャー145R及び146R間に挟まれ、フォロントフォーク118が軸250により支持される。
支持部材122と軸収容部材123は、お互いが相対的に回転し得るように連結されている。より具体的に説明すると、支持部材122における上方に凸んだ部分の中心には孔が穿設されている。また、軸収容部材123の中心にも孔が穿設されている。そして、支持部材122の孔と軸収容部材123の孔には回転軸300が挿通され、この回転軸300を介して両部材122及び123が連結されている。よって、図6(A)及び図6(B)に示すように、軸収容部材123は、回転軸を中心とする時計周り方向(図6(A)の矢印X方向)または反時計周り方向(図6(B)の矢印Y方向)への回転が可能である。
図7(A)は、運転支援部材150の正面図(自転車107の側から見た図)である。図7(B)は、運転支援部材150の左側面図である。運転支援部材150は、自転車107のハンドルとほぼ同じ断面形状を有している。運転支援部材150の側面251の直径R5は、自転車のハンドルのそれとほぼ同じである。運転支援部材150の側面251における両端部よりも僅かに内側には、当該側面251を貫く孔152L,152Rが穿設されている。孔152L,152Rの幅L5は、車椅子105の左右のハンドグリップ151L及び151R間の距離と同じである。
図8(A)は、運転支援部材170の表面図である。図8(B)は、運転支援部材170の左側面図である。運転支援部材170は、パイプ171と、このパイプ171とともにT字状をなすようにパイプ171の中央部に前端部が連結されたパイプ172とを有する。ここで、パイプ171は、自転車107のフロントフォーク118に設けられた台座202L,202R(図4参照)に固定される。また、パイプ172の後端部には連結支具174が設けられている。パイプ172の後端部は、この連結支具174により車体フレーム203の下管(ダウンチューブ)204(図1参照)に連結される。より詳細に説明すると、パイプ171とパイプ172とは、継手173により連結されている。継手173は、台座部材121における継手128のものと同じ一対の半割状部材173U及び173Dからなる。継手173における一対の半割状部材173U及び173Dは、パイプ171の側面中央とパイプ172の前端部とをT字状に交差させた状態で、その交差箇所を挟みこんで合体している。パイプ171の側面における左右の端部にはゴム製のカバー179L及び179Rが装着されている。パイプ171の側面におけるカバー179L及び179Rの内側には、当該側面をパイプ172の側からその反対側に向かって貫く孔(不図示)が穿設されている。
連結支具174は、二対の半割状部材175L,175R及び176L,176Rからなる。半割状部材175L及び175Rの各々の一端部には湾曲面180L及び180Rが形成されている。湾曲面180L及び180Rは、当該半割状部材175L及び175Rの一端部の側から見た断面が半円状となるように湾曲している。半割状部材175Lの他端部には、当該半割状部材175Lの延在方向に沿って2つの孔181L及び182Lが連設されている。半割状部材175Rの他端部には、当該半割状部材175Rの延在方向に沿って2つの孔181R及び182Rが連設されている。半割状部材175L及び175Rは、ボルトbtとナットntによりパイプ172に固定されている。より具体的には、パイプ172における継手173の連結された側と反対側の端部を半割状部材175L及び175Rの湾曲面180L及び180Rにより挟んだ状態で、両部材175L及び175Rの孔181L及び181Rにボルトbtが挿入され、ボルトbtの先端にナットntが締結されている。
半割状部材176L及び176Rの各々の一端部には孔183L及び183Rが穿設されている。半割状部材176L及び176Rの各々の他端部には湾曲面184L及び184Rが形成されている。湾曲面184L及び184Rは、半割状部材176L及び176Rの延在方向とそれら両部材176L及び176Rの対向方向の両方に直交する方向から見た断面が半円状となるように湾曲している。半割状部材176L及び176Rは、ボルトbtとナットntにより半割状部材175L及び175Rに固定されている。より具体的には、半割状部材175L及び175Rにおける孔182L及び182Rのある側の端部を半割状部材183L及び183Rにおける孔183L及び183Rのある側の端部により挟んだ状態で、半割状部材176Lの孔183L、半割状部材175Lの孔182L、半割状部材175Rの孔182R、及び半割状部材176Rの孔183Rにボルトbtが挿入され、ボルトbtの先端にナットntが締結されている。
以上が、連結装置100の構成の詳細である。介助者は、連結装置100により、車椅子105と、前輪、ブレーキ、ハンドル部(ハンドルポストとハンドルバー)を取り外した自転車107とを以下のようにして連結する。
最初に、自転車107の台座202L及び202Rと車体フレーム203の下管204の間に運転支援部材170を装着する。運転支援部材170の装着の手順は次の通りである。まず、ブレーキが取り付けてあった台座202L,202Rに運転支援部材170のパイプ171の孔を重ねてボルトbtを挿入し、ボルトbtを台座202L及び202Rにおけるネジ穴に嵌め込む。次に、運転支援部材170の半割状部材176L及び176Rの孔182L及び182R内におけるボルトbtの先端に螺着されたナットntを緩めて半割状部材176L及び176R間を開く。その上で、半割状部材176L及び176Rの湾曲部184L及び184Rにより下管204を挟みかつ同部材176L及び176Rにおける孔183L及び183Rのある側の端部により半割状部材175L及び175Rにおける孔182L及び182Rのある側の端部を挟んだ状態とする。その状態で、半割状部材176Lの孔183L、半割状部材175Lの孔182L、半割状部材175Rの孔182R、及び半割状部材176Rの孔183Rにボルトbtを再び挿入し、その先端にナットntを締結する。これにより、運転支援部材170のパイプ171が台座202L及び202Rに固定されるとともに、同部材170の連結支具174が下管204に固定される。
運転支援部材170の装着を終えた後、車椅子105のハンドグリップ151L及び151Rに運転支援部材150を装着する。運転支援部材150の装着の手順は次の通りである。まず、運転支援部材150の孔152L及び152Rを車椅子105のハンドグリップ151L及び151Rの後端に設けられている嵌合穴(不図示)に合わせる。次に、運転支援部材150の孔152FL及び152FRの側から孔152L及び152Rの側に向かってボルトbtを挿入し、その先端をハンドグリップ151L及び151Rの嵌合穴に嵌め込む。さらに、自転車107のハンドルバーに装着されているブレーキレバー265及びギアレバー266を取り外し、運転支援部材150の側面251に装着する。
運転支援部材170の装着を終えた後、車椅子105のティッピングレバー119L及び119Rと自転車107のフロントフォーク118を連結部材120により連結する。連結の手順は次の通りである。まず、連結部材120の台座部材121におけるパイプ126L及び126Rにティッピングレバー119L及び119Rの後端を挿入する。その上で、車椅子105における車輪251L及び251R間に延在している横フレーム(不図示)とパイプ125Fに固定用ベルト253L及び253R(図9参照)を巻回する。次に、運転支援部材170におけるナット138L,139L,140L,141L,138R,139R,140R,及び141Rを緩める。その上で、ワッシャー141L及び142L間とワッシャー141R及び142R間に自転車107のフロントフォーク118の先端のエンド199L及び199Rを嵌め込み、ナット138L,139L,140L,141L,138R,139R,140R,及び141Rを締める。これにより、自転車107と車椅子105の連結が完了する。
以上説明した本実施形態では、連結部材120と運転支援部材150及び170により、車椅子105と自転車107とを各々に加工を施すことなく一体化することができる。そして、この一体化した車椅子105及び自転車107における自転車107のサドルに跨ってペダルを漕ぐことにより、車椅子105及び自転車107を前進させることができる。
また、本実施形態では、連結部材120におけるティッピングレバー119L及び119Rに支持される部分である支持部材122とフロントフォーク118を支持する部分である軸収容部材123とが相対的に回転し得る。その一方で、車体フレーム203におけるフロントフォーク118を支持する部分である頭管260とフロントフォーク118との間の相対的な回転が運転支援部材150によって規制される。従って、例えば左折するために運転者が車椅子105のハンドグリップ151Rを前方へ押し、ハンドグリップ151Lを手前に引くと、自転車107の後輪に対するフロントフォーク118の姿勢を固定させた状態で、車椅子105が自転車107のフロントフォーク118に対して相対的に左旋回する。右折の場合も同様である。よって、車椅子105及び自転車107の転倒を防ぎつつ、前進の方向の左右への旋回を円滑に行うことができる。
また、本実施形態では、車椅子105のハンドグリップ151L及び151Rに運転支援部材150を装着し、この運転支援部材150を車椅子105及び自転車107の旋回方向を決める代替ハンドルとする。この運転支援部材150の断面形状は、自転車107のハンドルの断面形状と同じになっている。よって、自転車107のブレーキレバー265やギアレバー266を運転支援部材150に装着することにより、自転車107により近い操作性を実現することができる。
(第2実施形態)
図10は、本発明の第2実施形態である連結装置1によって連結された車椅子5と自転車7の左側面図である。また、図11は、連結装置1によって連結された車椅子5と自転車7の上面図である。連結装置1は、第1連結部材20と第2連結部材50とを有する。以降の説明において、連結装置1、車椅子5、自転車7の各々における左右一対となる要素については、左側の要素の番号の後にLの文字を付し、右側の要素の番号の後にRの文字を付することによって両者を区別する。第1連結部材20は、車椅子5の下部フレーム11L,11Rの後端部分によって形成されたティッピングレバー12L,12Rと自転車7のフロントフォーク18とを連結する役割を果たす部材である。第2連結部材50は、車椅子5の背もたれフレーム13L,13Rの上端部が後方に折れ曲がって形成されたハンドグリップ14L,14Rと自転車7のハンドル17とを連結する役割を果たす部材である。
図12に示すように、第1連結部材20は、台座部材21、支持部材22、および軸収容部材23を有する。台座部材21は、同寸法の2本のパイプ24,25を平行に並べて継手26C,26L,26R,27L,27Rにより連結したものである。図13に示すように、継手26C,26L,26Rの各々は、一対の半割状部材28,29からなる。継手26C,26L,26Rの各々における一対の半割状部材28,29は、パイプ24,25の外周のほぼ中央とその外周における中央から左右に僅かに離れた位置を上下から挟み込んで合体することにより、パイプ24,25と一体化されている。半割状部材28,29の合体は、パイプ24,25を挟んで対向させた半割状部材28,29間にボルトbtを貫通させてその先端にナットntを締結することにより行う(後述する継手27L,27R,52L,52R,53L,53Rも同様)。
図14に示すように、継手27L,27Rは、一対の半割状部材38,39からなる。継手27L,27Rの各々における一対の半割状部材38,39は、パイプ24,25の左右の各々の端部を上下から挟み込んで合体することにより、パイプ24,25と一体化されている。そして、図12に示すように、継手27L,27Rの各々における一対の半割状部材38,39がパイプ24,25に固定された状態において、パイプ24,25の左右の端の外側にはそれらの延在方向と直交する孔30L,30Rが形成される。孔30L,30Rの間の距離はティッピングレバー12L,12R間の距離と同じであり、孔30L,30Rの直径はティッピングレバー12L,12Rの直径よりも僅かに大きい。よって、これらの孔30L,30Rにはティッピングレバー12L,12Rを挿通可能である。また、継手27L,27Rにおける孔30L,30Rの上の位置にはネジ穴31L,31R(図17参照)が穿設されており、このネジ穴31L,31Rにはノブボルト32L,32Rが螺合される。
図12において、台座部材21における継手26C,26L,26Rの上方には支持部材22が固定されている。支持部材22は、2枚の板62,63を重ねて固定したものである。板62は、長方形における短辺を外側に湾曲させたような形状をなしている。板63は、長方形における短辺に三角形の底辺を繋げ、三角形の部分をその底辺に沿って上方に折り曲げたような形状をなしている。
支持部材22の板63における上方に折り曲がった三角形状の面の先端には軸収容部材23が固定されている。軸収容部材23は、筒状の部材である。軸収容部材23には、その左端面と右端面の間を左右方向に貫く孔35が穿設されている。この孔35の直径は、自転車7のフロントフォーク18の先端部分であるエンド99L,99R(図18参照)と自転車7の前輪との連結に用いる軸部材であるクイックレリース36(図18参照)の軸の直径より僅かに大きい。
図11に示すように、第2連結部材50は、パイプ51、継手52L,52R,53L,53R、およびパイプロック部材54L,54Rからなる。パイプ51は、車椅子5の左右のハンドグリップ14L,14R間の距離と同じ長さをもったパイプである。
図15に示すように、継手52L,52Rの各々は、一対の半割状部材40,41からなる。継手52L,52Rの各々における一対の半割状部材40,41は、車椅子5のハンドグリップ14L,14Rとパイプ51の左右の各々の端部とをT字状に交差させた状態で、その交差箇所を挟み込んで合体している。継手52L,52Rの各々の半割状部材40,41の合体により、ハンドグリップ14L,14Rとパイプ51の左右の各々の端部が交差接合される(図11)。
図11において、継手53L,53Rの各々は、継手52L,52Rのものと同じ一対の半割状部材40,41からなる。そして、図16(A)に示すように、継手53L,53Rの各々の一対の半割状部材40,41は、パイプロック部材54L,54Rの胴部81とハンドル17とを挟み込んで合体している。この半割状部材40,41の合体により、パイプロック部材54L,54Rと継手53L,53Rとを繋げた棒状部材が形成され、この棒状部材とハンドル17とが交差接合される。
パイプロック部材54L,54Rの胴部81における継手53L,53Rにより挟まれた側の反対側にはクランク部82が設けられている。クランク部82は、断面L字状の枠83と断面U字状の枠84の一端同士をヒンジ79により連結したものである。クランク部82の枠84におけるヒンジ79と反対側の先端部は折り返すように湾曲して掛合部85を構成している。クランク部82の枠83の底面は胴部81の端面に固定されている。
また、胴部81の外周面からは枠83,84の連結部位のある方向と反対の方向に向かって一対の支持板86L,86Rが起立しており、ロックレバー87がこの支持板86L,86Rによって支持されている。より詳細に説明すると、ロックレバー87は上面88とその左右両端から支持板86L,86Rを覆うようにして延在する側面89L,89Rとを有している。支持板86L,86Rの各々には孔(不図示)が穿設されている。また、ロックレバー87の側面89Lには孔90L,91Lが、その側面89Rには孔90R,91Rが各々穿設されている。そして、ロックレバー87の孔90L,90R、支持板86L,86Rの各々の孔(不図示)にはネジ98が貫通している。また、ロックレバー87の側面89L,89Rの孔91L,91Rには掛合環92が嵌め込まれている。ロックレバー87は、孔90L,90Rを回動軸とする回動が自在である。また、掛合環92は、孔91L,91Rを回動軸とする回動が自在である。
以上が、第1連結部材20および第2連結部材50の構成の詳細である。介助者は、この第1連結部材20と第2連結部材50により、車椅子5と自転車7を以下のようにして連結する。
まず、第1連結部材20の台座部材21における2つの孔30L,30Rの開口にティッピングレバー12L,12Rの後端29L,29R(図1、図12)を挿入する。そして、図17に示すように、車輪15L,15Rの車軸19L,19Rが枢着された縦中間フレーム16L,16R(図1)と接する位置まで第1連結部材20を前方に押し込み、ネジ穴31L,31Rにノブボルト32L,32Rを螺合する。ネジ穴31L,31Rにノブボルト32L,32Rが螺合されると、その下端が孔30L,30R内のティッピングレバー12L,12Rを締め付ける。この締め付けによって孔30L,30R内におけるティッピングレバー12L,12Rの摺動が規制され、第1連結部材20がティッピングレバー12L,12Rに固定される。
次に、前輪を外した自転車7のフロントフォーク18を第1連結部材20の上方から第1連結部材20に近づけていく。そして、図18に示すように、自転車7のフロントフォーク18をそのエンド99L,99Rと軸収容部材23の孔35とが重なる位置まで第1連結部材20に近づけたところでエンド99L,99Rと孔35にクイックレリース36の軸を挿通し、その先端にナットnt1を螺合する。これにより車椅子5のティッピングレバー12L,12Rと自転車7のフロントフォーク18とが連結された状態となる。
次に、車椅子5のハンドグリップ14L,14Rに連結されているパイプ51をパイプロック部材54L,54Rのクランク部82における枠83,84の内側に挟み込む。さらに、ロックレバー87をネジ98を支点としてクランク部82の側に折り返し、その側面89L,89Rに嵌め込まれている掛合環92を掛合部85に引っ掛ける。そして、図16(B)に示すように、掛合環92を掛合部85に引っ掛けたままロックレバー87を継手53L,53Rの側に折り返す。これより、パイプ51とパイプロック部材54L,54Rとが接合され、車椅子5のハンドグリップ14L,14Rと自転車7のハンドル17とが連結された状態となる。
以上説明した実施形態では、第1連結部材20および第2連結部材50を用いることにより、車椅子5と前輪を外した自転車7とを各々に加工を施すことなく一体化することができる。そして、車椅子5と自転車7を一体化した状態において、介助者が自転車7のサドルに跨ってペダルを漕ぐことにより、自転車7と車椅子5を前進させることができる。また、介助者は、自転車7のペダルを漕いでいる間にそのハンドル17を左(右)に切ることにより、自転車7と車椅子5の前進の方向を左(右)に旋回させることもできる。
また、第1連結部材20は、車椅子5のティッピングレバー12L,12Rと自転車7のフロントフォーク18とを分離自在に連結できるような構成を有しており、第2連結部材50は、車椅子5のハンドグリップ14L,14Rと自転車7のハンドル17とを分離自在に連結できるような構成を有している。よって、一体化した車椅子5と自転車7とを分離し、分離した自転車7のフロントフォーク18に前輪を装着することにより、自転車7をそれ単体として利用することができる。
ここで、本実施形態は、以下の4つの特徴を有している。第1の特徴は、「車椅子の左右のティッピングレバーと自転車のフロントフォークとを分離自在に連結する第1の連結部材と、前記車椅子の左右のハンドグリップと前記自転車のハンドルとを分離自在に連結する第2の連結部材とを有する車椅子と自転車の連結装置。」とした点である。第2の特徴は、「前記第1の連結部材は、前記左右のティッピングレバーを挿入するための2つの孔が前後方向に穿設された台座部材と、前記台座部材の上方に固定された筒状の部材であって、当該部材と前記フロントフォークのエンドとを連結する軸部材を挿入するための孔が左右方向に穿設された軸収容部材とを有する」点にある。第3の特徴は、「前記第2の連結部材は、前記左右のハンドグリップに一端と他端が各々交差接合されたパイプと、前記パイプと前記ハンドルに一端と他端が各々交差接合された複数本の棒状の部材とを有する」点にある。第4の特徴は、「前記第1の連結部材は、前記左右のティッピングレバーを挿入するための2つの孔が前後方向に穿設された台座部材と、前記台座部材の上方に固定された筒状の部材であって、当該部材と前記フロントフォークのエンドとを連結する軸部材を挿入するための孔が左右方向に穿設された軸収容部材とを有し、前記第2の連結部材は、前記左右のハンドグリップに一端と他端が各々交差接合されたパイプと、前記パイプと前記ハンドルに一端と他端が各々交差接合された複数本の棒状の部材とを有する」点にある。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態があり得る。例えば、以下の通りである。
(1)上記第1実施形態において、連結部材120及び運転支援部材170により連結装置100を構成してもよい。この場合において、自転車107に装着されていたブレーキレバー265及びギアレバー266を車椅子105のハンドグリップ151L及び151Rに装着し、ハンドグリップ151L及び151Rを連結された車椅子105及び自転車107のハンドルとして利用してもよい。
(2)上記第1実施形態では、車椅子105のティッピングレバー119L,119Rを挿入した連結部材120をその状態で固定する手段として固定用ベルト253L及び253Rを用いた。しかし、連結部材120を固定する手段はこれに限らない。例えば、ティッピングレバー119L及び119Rと連結部材120におけるパイプ126L及び126Rに各々を上下方向に貫通する孔を設け、これらの孔にボルトbtを嵌め込むようにしてもよい。
(3)上記第2実施形態において、第1連結部材20の台座部材21を上下2枚の板体により構成し、それら2枚の板体によりティッピングレバー12L,12Rを上下から挟み込み、ボルトbt2とナットnt2の螺合の締め付け力によって第1連結部材20をティッピングレバー12L,12Rにおける所望の位置に固定するようにしてもよい。
(4)上記第2実施形態では、第2連結部材50は、パイププロック部材54L,54Rと継手53L,53Rとを有し、パイプブロック部材54Lと継手53Lおよびパイプブロック部材54Rと継手53Rを各々繋げた2つの棒状部材によってハンドル17とパイプ51が連結されていた。しかし、棒状部材の数を3つ以上にし、それらの棒状部材によってハンドル17とパイプ51を連結してもよい。
(5)上記第2実施形態において、第1連結部材20を台座部材21と軸収容部材23により構成してもよい。この場合、軸収容部材23を台座部材21の上面中央に固定するとよい。
1,100…連結装置 5,105…車椅子、7,107…自転車、12L,12R,129L,129R…ティッピングレバー、20…第1連結部材、21,121…台座部材、22,122…支持部材、23,123…軸収容部材、24,25,125F,125B,126L,126R,171,172…パイプ、26C,26L,26R,27L,27R,52L,52R,53L,53R,128,129,130,131,173…継手、28,29,38,39,128U,128D,129U,129D,130U,130D,131U,131D,173U,173D,175L,175R,176L,176R…半割状部材、50…第2連結部材、54L,54R…パイプロック部材、81…胴部、82…クランク部、83,84…枠、85…掛合部、88…ロックレバー、92…掛合環、98…ネジ,120…連結部材,150…運転支援部材,170…運転支援部材。

Claims (3)

  1. 車椅子の左右のティッピングレバーと自転車のフロントフォークとをお互いが相対的に回転し得るように連結する連結部材と、
    前記自転車の車体フレームに対して前記フロントフォークが相対的に回転しないように前記フロントフォークを固定する第1の運転支援部材と
    を具備することを特徴とする連結装置。
  2. 前記車椅子の左右のハンドグリップに両端が装着される運転支援部材であって、前記自転車のハンドルと同じ断面形状の棒状の第2の運転支援部材を具備することを特徴とする請求項1に記載の連結装置。
  3. 前記第1の運転支援部材は、前記自転車のフロントフォークに設けられた左右のブレーキ装着用台座に固定される第1のパイプと、前記第1のパイプとともにT字状をなすように前記第1のパイプの中央部に前端部が連結された第2のパイプとを有し、前記第2のパイプの後端に当該後端と前記車体フレームにおける下管とを連結する連結支具を設けたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の連結装置。
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