JP2012055556A - 電子線殺菌装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】容器収容チャンバ20は、殺菌対象である一つのペットボトルPBを収容するキャビティ24を備える。電子線照射銃40は、電子線を生成する銃本体41と、銃本体41に連なるノズル42からなる。ノズル42は、銃本体41で生成される電子線が通る電子線通路52と、電子線通路52を通ってきた電子線を外部に出射する出射口51とを有する。また、電子線偏向磁石35は、出射口51から出射される電子線をキャビティ24に収容されるペットボトルPBの側面に向かわせる磁界を発生させる。
【選択図】図2
Description
例えば、特許文献1の図1には、略円形通路を有する放射線遮蔽トンネルと、曲線状通路に沿って沿設させた被照射体の搬送コンベアと、放射線遮蔽トンネルの通路途中に設けた電子線照射室とを具える殺菌装置が記載されている。そして、この殺菌装置は、電子線照射室内の電子線照射により発生した放射線を遮蔽トンネル内の曲線状通路内で反射変向させながら散乱減衰させ、遮蔽トンネルの出入口部からの漏洩放射線を許容レベル以下に減衰させるとともに、遮蔽トンネルの少なくとも一部に前記通路が開放される開閉扉を設けたことを特徴としている。
また、電子線をペットボトルに照射する殺菌装置は、電子線照射によってオゾンが生じるので、それを排気する装置が必要であるが、このオゾンの回収装置も大がかりなものになる。
容器収容チャンバは、殺菌対象である一つの容器を収容するキャビティを有する。この容器収容チャンバは、容器の挿入及び排出に開放状態をなし、殺菌処理を行う際には閉塞状態をなす。
電子線照射手段は、電子線を生成する電子線生成部と、電子線生成部に連なるノズルと、を備える。ノズルは、電子線生成部で生成される電子線が通る電子線通路と、電子線通路を通ってきた電子線を外部に出射する出射口と、を備えている。
電子線偏向手段は、キャビティに収容される容器の側方に配置される。この電子線偏向手段は、ノズルの出射口から出射される電子線を放射状に偏向してキャビティに収容される容器の側面に向かわせる磁界を発生させる。
また、本発明の電子線殺菌装置は、電子線照射手段のノズルが、殺菌処理時にキャビティに収容される容器の内部に挿入される。このとき、ノズルの出射口から出射される電子線の大部分は直進して容器の底部に向かう。しかしこれでは、容器の側面への電子線の照射量が不足するおそれがある。そこで、本発明の電子線殺菌装置は、ノズルの出射口から出射される電子線を放射状に偏向して、容器の側面に向かわせる磁界を発生する電子線偏向手段を設ける。これにより、本発明の電子線殺菌装置は高い殺菌能力を確保できる。
部位ごとに異なる磁界強度を発生させるには、少なくとも2つの選択肢がある。つまり、異なる磁界強度を発生させる永久磁石を複数用意し、容器の側方にこれら複数の永久磁石を並べて配置することで、部位ごとに異なる強度の磁界を発生させることができる。また、複数の電磁石を部位ごとに区分して設け、各電磁石に異なる電力を供給することで、部位ごとに異なる強度の磁界を発生させることができる。
本実施の形態における電子線殺菌システム10は、図1に示されるように、複数の容器収容チャンバ20と、容器収容チャンバ20の周囲に設けられる電子線偏向磁石35と、容器収容チャンバ20に対応して設けられる電子線照射銃40と、を備えており、図示を省略した手段で搬送されるペットボトルPBを殺菌処理するものである。
電子線殺菌システム10は、電子線照射による殺菌処理時にオゾンが発生するのを防止する酸素排除部60を備えている。酸素排除部60は、酸素排除配管L1を介して各容器収容チャンバ20の排気経路28と連通されている。また、電子線殺菌システム10は、各電子線照射銃40で電子線を生成するための電力を供給する電源80を備えている。電源80は、電力線L2を介して各電子線照射銃40と電気的に接続されている。
なお、図1は複数の容器収容チャンバ20(電子線照射銃40)が直線上に並んで固定されている例を示しているが、本発明はこの配置に限ることはなく、円周上に容器収容チャンバ20(電子線照射銃40)を配置し、かつ相対的に回転可能にする、などの種々の配置を採用することができる。
容器収容チャンバ20は、図1、図2に示すように、下部21と、本体22という複数の要素から構成される。下部21と本体22の間には、電子線照射により二次的に発生するX線、電子線及びオゾン(以下、X線等と総称することがある)の漏洩を防止するためのOリングなどの封止体ORを介在させている。容器収容チャンバ20の外観は円筒状をなしている。容器収容チャンバ20は、X線、電子線が外部に漏洩するのを阻止するために、主要部分は鉛から構成されている。
下部21と本体22は、殺菌処理をこれから行うペットボトルPBを容器収容チャンバ20に挿入し、又は、殺菌処理が終了したペットボトルPBを容器収容チャンバ20からペットボトルPBを排出する際には、図4(a)に示すように、容器収容チャンバ20が開放状態となるように、下部21を降下させることで本体22から分離する。このとき、電子線照射銃40はキャビティ24から退避した上方に位置する。ペットボトルPBを殺菌処理する際には、下部21と本体22とを密着させることで、容器収容チャンバ20を閉塞状態とする。
キャビティ24は、容器収容チャンバ20が閉塞状態において、ペットボトルPBを十分に収容できるサイズの円筒状の空隙である。サイズの異なるペットボトルPBを処理するには、キャビティ24は、電子線殺菌システム10で処理される最大のサイズのペットボトルPBを収容できるサイズを有していることが好ましい。
キャビティ24は下部21及び本体22に亘って形成されるものであり、そのために、下部21には第1空隙25が、また、本体22には第2空隙26が形成される。キャビティ24にペットボトルPBが収容されたときに、ペットボトルPBの底面を除いて、ペットボトルPBの外面と容器収容チャンバ20の内面の間にクリアランスが設けられる。ペットボトルPBに傷が着くのを防ぐためである。第1空隙25及び第2空隙26は、このクリアランスを考慮して形成される。
また、本体22の上部には、ノズル挿入路27を介してキャビティ24と繋がる排気経路28が形成されている。排気経路28は、酸素排除配管L1を介して酸素排除部60に繋がっている。電子線による殺菌処理中にキャビティ24(ペットボトルPB)で発生したオゾンが発生するのを防止することを目的として、酸素排除部60は真空ポンプを備えている。殺菌処理する前にキャビティ24を真空引きすることで、オゾン発生の要因である酸素をキャビティ24から排除する。真空引きは、殺菌処理中も継続して行うことが好ましい。
酸素排除部60として真空引きするものを示したが、オゾンの発生防止のためには、キャビティ24内の大気を窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスで置換することで、殺菌処理前にキャビティ24内の酸素を排除することもできる。もちろん、真空引きした後に不活性ガスをキャビティ24に充填することもできる。
電子線照射銃40は、図3に示すように、電子線を生成する銃本体41と、銃本体41に連なるノズル42と、から構成される。銃本体41及びノズル42はともに中空円筒状の形態をなし、銃本体41の下端とノズル42の上端が繋がっている。
銃本体41は、外筒43内の上部に電子生成器44が設けられている。電子生成器44は、ケース45を有している。ケース45は、その外面が外筒43の内面から所定の距離を離して設けられているので、外筒43とケース45の間に高電圧ギャップを作り出すことができる。
ケース45の内部には、電子発生用のフィラメント46が配置されている。このフィラメント46には、絶縁体47及び電力線L2を介して電源80から電力が供給される。フィラメント46は、供給される電力によって加熱され、自由電子(e−)を生成させる。生成された電子は、静電レンズ48に形成された開口部49及びケース45先端に形成された開口部50を通過してノズル42に向けて出射される。
電子線偏向磁石35は、出射口51から出射される電子線をキャビティ24に収容されるペットボトルPBの側面に向かわせる磁界を発生させる。
電子線偏向磁石35は、ペットボトルPBの上下方向に往復動可能とされている。また、電子線偏向磁石35は、図5に示すように、第1永久磁石35aと第2永久磁石35bとから構成され、容器収容チャンバ20の周囲に対象の位置に配置される。第1永久磁石35aと第2永久磁石35bは、ペットボトルPBを中心にして、N極とS極が対向するように配置されている。第1永久磁石35aと第2永久磁石35bは、相対的な位置関係を保ちながら、ペットボトルPBを中心にして回転可能に支持されている。
なお、電子線偏向磁石35を構成する第1永久磁石35a、第2永久磁石35bは最も基本的な構成の一例にすぎず、本発明の目的に沿って電子線を偏向できる永久磁石の構成、配置を広く採用することができることは言うまでもない。
電子線殺菌システム10は、以下のように動作してペットボトルPBを殺菌することができる。
図4(a)に示すように、ペットボトルPBが容器収容チャンバ20に収容されるまでは、キャビティ24から上方に退避した初期位置にある。ペットボトルPBが容器収容チャンバ20に収容されると、下部21と本体22とを密着させることで、容器収容チャンバ20を閉塞状態とする。そうすると、電子線照射銃40は初期位置から降下してペットボトルPB内に挿入される。電子線照射銃40は、ペットボトルPBの口部(図4(b))、中間部(図4(c))を通って最下端(図4(d))まで降下しながら電子線を出射する。電子線照射銃40の降下に同期して電子線偏向磁石35は降下する。つまり、電子線偏向磁石35は、電子線照射銃40がペットボトルPBの口部にいるときには口部に対応する位置に降下し、電子線照射銃40がペットボトルPBの中間部にいるときには中間部に対応する位置に降下し、さらに電子線照射銃40が最下端にいるときには最下端に対応する位置に降下する。
ペットボトルPBの口部Nは肉厚であるために、より多くの電子線を照射することが殺菌のために必要である。本実施の形態によると、電子線照射銃40がペットボトルPBの口部Nにいるときには口部Nに対応する位置に電子線偏向磁石35がいるので、口部Nに多くの電子線を照射することができる。また、ペットボトルPBの底部Bも肉厚であるために、多くの電子線を照射する必要がある。これについても、電子線照射銃40を最下端まで降下させることに加えて、出射口51から出射される電子線の一部を電子線偏向磁石35が発生させる磁界に抗して直進するようにすれば、底部Bに必要な量の電子線を照射させることができる。
以上の動作は一例であり、初期位置に上昇する過程のみに電子線を出射することができる。また、電子線照射銃40及び電子線偏向磁石35(第1永久磁石35a、第2永久磁石35b)は、一定の速度で降下させることができるが、例えば口部Nに対応する領域では電子線の照射量を多くするために降下の速度を遅くする又は停止させるというように、降下速度を変えることもできる。
また、ここで示した電子線照射銃40は、ノズル42の先端にある出射口51から電子線が出射されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズル42の側面からも電子線が出射されるものであってもよい。
電子線殺菌システム10において、電子線照射銃40は一つの容器収容チャンバ20に対して殺菌に必要な電子線を与えるものであるから、低エネルギの電子線を生成するもので足りる。したがって、電子線殺菌システム10は、小型の電子線照射銃40を用いることができる。また、容器収容チャンバ20はX線等を外部に漏洩するのを防ぐ遮蔽構造を必要とするが、導入されるのが低エネルギの電子線であるために、従来の電子線殺菌装置に比べると軽微な遮蔽構造にすることができる。加えて電子線殺菌システム10は、容器収容チャンバ20のキャビティ24が、実質的にはペットボトルPBを収容できる容積を備えれば足りるので、容器収容チャンバを最小限の大きさに抑えることができる。
以上の例では、電子線偏向磁石35を降下させているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図6に示すように、容器収容チャンバ20の上部、中間及び下部に対応して複数の電子線偏向磁石36、37及び38を配置することもできる。この形態によれば、電子線偏向磁石35を降下させる機構を設ける必要がない。この場合、各電子線偏向磁石36、37及び38が発生させる磁界の強度を等しくすることができるし、また、異ならせることもできる。例えば、電子線偏向磁石36、37及び38が発生させる磁界の強度をHa、Hb及びHcとすると、Ha>Hc>Hbの関係を満足することができる。これは、ペットボトルPBの中で、口部Nと底部Bは肉厚が厚いので照射する電子線の量を多くする必要があるのに対して、胴体部は肉厚が薄いので照射する電子線の量は少なくてよい。したがって、Ha及びHcをHbより大きく設定するのである。また、口部Nは出射口51の距離が近く、偏向角度を大きくする必要があるため、より強い磁界を作用させるべきである。そこで、Ha>Hcとする。
以上のように、本発明の電子線偏向手段は、部位ごとに異なる磁界強度を発生させることで、ペットボトルPB容器の部位ごとに異なる量の電子線を照射させることができる。
なお、図6の例は、電子線偏向磁石を3つに区分したが2または4以上に区分することもできる。
また、Ha>Hc>Hbは各電子線偏向磁石の磁界強度の関係の一例にすぎず、処理する容器に応じてHa>Hb>Hc、あるいはHa<Hb<Hcという種々の関係を採用することができる。
さらに、本発明では、電子線偏向磁石を特定の部位だけに設けることもできる。例えば、図4(b)に示すように電子線偏向磁石35を口部Nに対応する位置に固定させることもできる。電子線偏向磁石35により電子線が偏向する角度を広範囲に調整すれば、電子線偏向磁石35が固定されていても、電子線をペットボトルPBの高さ方向の全域に漏れなく照射させることができる。
電子線偏向磁石を電磁石で構成する場合、図7に示すように、ペットボトルPBの周囲を取り囲むように複数の電機子コイル39A〜39Lを配置することで電子線偏向磁石39を構成できる。ペットボトルPBを中心にして対象の位置にある2つの電機子コイルを一対とすると、ペットボトルPBを中心にして複数組の電機子コイルが配置される。そして、一対の電機子コイルの一方にN極、他方にS極が生じるように電流を供給する。この動作を、複数対の電機子コイルに連続的に行う。
例えば、図7において、以下の組合せが一対の電機子コイルをなす。
電機子コイル39Aと39G 電機子コイル39Bと39H 電機子コイル39Cと39I
電機子コイル39Dと39J 電機子コイル39Eと39K 電機子コイル39Fと39L
ある時点(図7(a))において、電機子コイル39AにN極、電機子コイル39GにS極を生じさせると、電子線EBは図中の右側に偏向される。
次のある時点((図7(b))において、電機子コイル39DにN極、電機子コイル39JにS極を生じさせると、電子線EBは図中の下向きに偏向される。このとき、先行する一対の電機子コイルへの電流供給は停止される。なお、電機子コイル39Bと39Hの対、及び電機子コイル39Cと39Iの対への動作(図7(a)と((図7(b)の間)の説明は省略している。
このような動作を順次繰り返すことで、図7(a)〜図7(d)に示すように、電子線EBはペットボトルPBの側面に向けて放射状に偏向される。このとき、N極とS極からなる磁界分布は、その相対的な位置関係を保ちながら、ペットボトルPBを中心にして回転される。
この電機子コイルを用いる場合も、図7に示す複数の電機子コイルからなる電子線偏向磁石を、図6に示すように、ペットボトルPBの高さ方向に複数の組を設けることができる。そして、この場合、各組に供給する電流を変えることで、各組が異なる磁界強度を発生し、ペットボトルPB容器の部位ごとに異なる量の電子線を照射させることができる。
例えば、電子線偏向磁石35は、容器収容チャンバ20の外側に設けたが、容器収容チャンバ20内に設けてもよいし、容器収容チャンバ20の内側に設けてもよい。
また、容器収容チャンバ20は、開放状態の一形態として下部21を降下させることで本体22から分離する構造としたが、観音開きする構造を採用することで、開放状態と閉塞状態をなすこともできる。
20…容器収容チャンバ
21…下部、22…本体
24…キャビティ、28…排気経路
35,36,37,38,39…電子線偏向磁石
35a…第1永久磁石、35b…第2永久磁石、39A〜39L…電機子コイル
40…電子線照射銃
41…銃本体、42…ノズル、44…電子生成器、51…出射口、52…電子線通路
60…酸素排除部、80…電源
PB…ペットボトル
L1…酸素排除配管、L2…電力線
Claims (4)
- 容器収容チャンバと、電子線照射手段と、電子線偏向手段と、を備え、
前記容器収容チャンバは、
殺菌対象である一つの容器を収容するキャビティと、
前記容器の挿入及び排出に開放状態をなし、殺菌処理を行う際には閉塞状態をなし、
前記電子線照射手段は、
電子線を生成する電子線生成部と、
前記電子線生成部に連なり、前記電子線生成部で生成される前記電子線が通る電子線通路と、前記電子線通路を通ってきた前記電子線を外部に出射する出射口と、を有し、殺菌処理時に前記キャビティに収容される前記容器の内部に挿入されているノズルと、を備え、
前記電子線偏向手段は、
前記キャビティに収容される前記容器の側方に配置され、前記出射口から出射される前記電子線を放射状に偏向して前記キャビティに収容される前記容器の側面に向かわせる磁界を発生させる、
ことを特徴とする電子線殺菌装置。 - 前記電子線偏向手段は、
部位ごとに異なる磁界強度を発生させることで、前記容器の部位ごとに異なる量の電子線を照射させる、
請求項1に記載の電子線殺菌装置。 - 前記電子線偏向手段は、
前記キャビティに収容されている前記容器に対する位置を変える可動式のものである、
請求項1または2に記載の電子線殺菌装置。 - 前記電子線偏向手段は、
前記容器を中心に対称の位置の一方にN極が、また、他方にS極が印加される磁界分布を生じさせるとともに、
前記磁界分布を、前記N極と前記S極の相対的な位置関係を保ちながら、前記容器を中心にして相対的に回転させる、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子線殺菌装置。
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