JP2012054511A - 熱伝導シート、熱伝導シートの製造方法及び積層構造体 - Google Patents

熱伝導シート、熱伝導シートの製造方法及び積層構造体 Download PDF

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寛 前中
Yasunari Kusaka
康成 日下
Takuji Aoyama
卓司 青山
Ryosuke Takahashi
良輔 高橋
Shunsuke Kondo
峻右 近藤
Takanori Inoue
孝徳 井上
Yu Yamada
佑 山田
Takashi Watanabe
貴志 渡邉
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Abstract

【課題】硬化物の放熱性及び耐熱性に優れた熱伝導シートを提供する。
【解決手段】本発明に係る熱伝導シートは、繊維状基材と、該繊維状基材に含浸された樹脂組成物、又は該繊維状基材に含浸されておりかつ該樹脂組成物の反応を進行させた反応組成物とを含む。上記樹脂組成物は、重量平均分子量が1000以下であり、かつ炭素−炭素二重結合を有するラジカル重合性化合物(A)と、光ラジカル発生剤(B)と、重量平均分子量が600以下であり、炭素−炭素二重結合を有さずかつエポキシ基又はオキセタン基を有する硬化性化合物(C)と、熱硬化剤(D)と、熱伝導率が10W/m・K以上であるフィラー(E)とを含む。上記樹脂組成物中の全樹脂成分の合計100重量%中、上記ラジカル重合性化合物(A)の含有量は20〜60重量%、かつ上記硬化性化合物(C)の含有量は10〜60重量%である。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、プリント配線板などの絶縁層を形成するために用いることができる熱伝導シート及び熱伝導シートの製造方法、並びに該熱伝導シートを用いた積層構造体に関する。
電子機器及び通信機器では、絶縁層を有するプリント配線板が用いられている。該絶縁層は、ペースト状又はシート状の絶縁材料を用いて形成されている。
シート状の絶縁材料の一例として、下記の特許文献1には、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、硬化促進剤、エラストマー及び無機充填剤を含む樹脂組成物をガラスクロスに含浸させたシートが開示されている。
特開2006−342238号公報
近年、電気機器の小型化及び高性能化が進行している。このため、上記電子機器及び通信機器に用いられるプリント配線板では、多層化及び薄膜化が進行しており、かつ電子部品の実装密度が高くなっている。これに伴って、電子部品から大きな熱量が発生しやすくなっており、発生した熱を放散させる必要が高まっている。熱を放散させるために、プリント配線板の絶縁層は、高い熱伝導率を有する必要がある。
しかしながら、特許文献1に記載のような従来の絶縁材料を用いたプリント配線板では、絶縁層の熱伝導率が低く、充分な放熱性が得られないことがある。さらに、絶縁層の耐熱性が低いことがある。このため、リフロープロセスなどにおいて、絶縁層が高温下に晒されたときに、絶縁層が熱劣化することがある。
本発明の目的は、放熱性及び耐熱性に優れた硬化物を得ることができる熱伝導シート及び熱伝導シートの製造方法、並びに該熱伝導シートを用いた積層構造体を提供することである。
本発明の広い局面によれば、繊維状基材と、該繊維状基材に含浸された樹脂組成物、又は該繊維状基材に含浸されておりかつ該樹脂組成物の反応を進行させた反応組成物とを含む熱伝導シートであって、上記樹脂組成物が、重量平均分子量が1000以下であり、かつ炭素−炭素二重結合を有するラジカル重合性化合物と、ラジカル発生剤と、重量平均分子量が600以下であり、炭素−炭素二重結合を有さずかつエポキシ基又はオキセタン基を有する硬化性化合物と、熱硬化剤と、熱伝導率が10W/m・K以上であるフィラーとを含み、上記樹脂組成物中の全樹脂成分の合計100重量%中、上記ラジカル重合性化合物の含有量が10重量%以上、60重量%以下、かつ上記硬化性化合物の含有量が10重量%以上、60重量%以下である、熱伝導シートが提供される。
本発明に係る熱伝導シートのある特定の局面では、上記ラジカル発生剤が光ラジカル発生剤であり、光の照射により上記樹脂組成物の反応を進行させた反応組成物を含み、上記反応組成物が、上記ラジカル重合性化合物の重合が進行した重量平均分子量が1000以上である重合体を含み、かつ上記反応組成物が、未反応の上記硬化性化合物を含み、該硬化性化合物の反応物を含まないか又は含み、未反応の上記硬化性化合物と該硬化性化合物の反応物との合計100重量%中、未反応の上記硬化性化合物の含有量が40重量%以上、100重量%以下である。
上記フィラーの最大粒子径は35μm以下であることが好ましい。上記フィラーの最大粒子径は、熱伝導シートの厚みの1/2以下であることが好ましい。上記フィラーの平均粒子径は、上記繊維状基材の平均開繊径以下であることが好ましい。
上記フィラーの熱伝導率(W/m・K)を上記フィラーの屈折率で除算した値は、5以上であることが好ましい。熱伝導シートを硬化させたときの上記繊維状基材と上記フィラーとを除く硬化物部分の屈折率と、上記フィラーの屈折率との差の絶対値が0.3以下であることが好ましい。上記樹脂組成物及び上記反応組成物は、溶剤を含まないか、又は溶剤を2重量%以下含むことが好ましい。
また、本発明の広い局面によれば、繊維状基材と、該繊維状基材に含浸されておりかつ樹脂組成物の反応を進行させた反応組成物とを含む熱伝導シートの製造方法であって、重量平均分子量が1000以下であり、かつ炭素−炭素二重結合を有するラジカル重合性化合物と、光ラジカル発生剤と、重量平均分子量が600以下であり、炭素−炭素二重結合を有さずかつエポキシ基又はオキセタン基を有する硬化性化合物と、熱硬化剤と、熱伝導率が10W/m・K以上であるフィラーとを含み、かつ樹脂組成物中の全樹脂成分の合計100重量%中、上記ラジカル重合性化合物の含有量が10重量%以上、60重量%以下、かつ上記硬化性化合物の含有量が10重量%以上、60重量%以下である樹脂組成物を用いて、該樹脂組成物を繊維状基材に含浸させる工程と、光の照射により上記繊維状基材に含浸された上記樹脂組成物の反応を進行させて、上記樹脂組成物を反応組成物とし、上記反応組成物が、上記ラジカル重合性化合物の重合が進行した重量平均分子量が1000以上である重合体を含み、かつ上記反応組成物が、未反応の上記硬化性化合物を含み、該硬化性化合物の反応物を含まないか又は含み、未反応の上記硬化性化合物と該硬化性化合物の反応物との合計100重量%中、未反応の上記硬化性化合物の含有量が40重量%以上、100重量%以下である熱伝導シートを得る工程とを備える、熱伝導シートの製造方法が提供される。
本発明に係る積層体は、基材と、該基材の少なくとも一方の表面に積層された熱伝導層とを備えており、上記熱伝導層が、本発明に従って構成された熱伝導シートを用いて、該熱伝導シートに含まれている上記樹脂組成物又は上記反応組成物を硬化させることにより形成されている。
本発明に係る積層構造体のある特定の局面では、上記基材が配線回路を有する基板であり、プリント配線板である。
本発明に係る熱伝導シートは、繊維状基材と、該繊維状基材に含浸された樹脂組成物、又は該繊維状基材に含浸されておりかつ該樹脂組成物の反応を進行させた反応組成物とを含み、上記樹脂組成物が、重量平均分子量が1000以下であり、かつ炭素−炭素二重結合を有するラジカル重合性化合物と、ラジカル発生剤と、重量平均分子量が600以下であり、炭素−炭素二重結合を有さずかつエポキシ基又はオキセタン基を有する硬化性化合物と、熱硬化剤と、熱伝導率が10W/m・K以上であるフィラーとを含み、上記樹脂組成物中の全樹脂成分の合計100重量%中、上記ラジカル重合性化合物の含有量が10重量%以上、60重量%以下、かつ上記硬化性化合物の含有量が10重量%以上、60重量%以下であるので、熱伝導シートの硬化物の放熱性及び耐熱性を高めることができる。さらに、本発明に係る熱伝導シートは、ハンドリング性にも優れている。
本発明に係る熱伝導シートの製造方法は、特定の上記組成を有する樹脂組成物を繊維状基材に含浸させた後、光の照射により上記繊維状基材に含浸された上記樹脂組成物の反応を進行させて反応組成物とし、上記反応組成物が、上記ラジカル重合性化合物の重合が進行した重量平均分子量が1000以上である重合体を含み、かつ上記反応組成物が、未反応の上記硬化性化合物を含み、該硬化性化合物の反応物を含まないか又は含み、未反応の上記硬化性化合物と該硬化性化合物の反応物との合計100重量%中、未反応の上記硬化性化合物の含有量が40重量%以上、100重量%以下である熱伝導シートを得るので、得られる熱伝導シートの硬化物の放熱性及び耐熱性を高めることができる。さらに、本発明に係る熱伝導シートの製造方法では、ハンドリング性に優れた熱伝導シートを得ることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層構造体を模式的に示す部分切欠正面断面図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る熱伝導シートは、繊維状基材と、該繊維状基材に含浸された樹脂組成物、又は該繊維状基材に含浸されておりかつ該樹脂組成物の反応を進行させた反応組成物とを含む。上記樹脂組成物は、重量平均分子量が1000以下であり、かつ炭素−炭素二重結合を有するラジカル重合性化合物(A)と、ラジカル発生剤(B)と、重量平均分子量が600以下であり、炭素−炭素二重結合を有さずかつエポキシ基又はオキセタン基を有する硬化性化合物(C)と、熱硬化剤(D)と、熱伝導率が10W/m・K以上であるフィラーと(E)とを含む。上記樹脂組成物中の全樹脂成分の合計100重量%中、ラジカル重合性化合物(A)の含有量は10重量%以上、60重量%以下、かつ硬化性化合物(C)の含有量は10重量%以上、60重量%以下である。
上記組成の採用により、熱伝導シートの硬化物の放熱性及び耐熱性を高めることができる。さらに、上記熱伝導シートは、繊維状基材を含み、更に該繊維状基材に含まれている樹脂組成物が特定の上記組成を有するか、又は該繊維状基材に含まれている反応組成物の反応前の樹脂組成物が特定の上記組成を有するので、ハンドリング性にも優れている。
さらに、本発明に係る熱伝導シートの使用により、樹脂組成物又は熱伝導シートが溶剤を含まないか、又は溶剤を2重量%以下含む場合でも、言い換えれば熱伝導シートが溶剤を2重量%を超えて含んでいなくても、熱伝導シートのハンドリング性が良好になる。溶剤の含有量が少ないと、硬化時の溶剤の揮発量が少なくなり、環境負荷を低減できる。さらに、熱伝導シートの取扱い性を高めることができる。
以下、先ず、上記樹脂組成物に含まれている各成分の詳細を説明する。
(ラジカル重合性化合物(A))
上記樹脂組成物に含まれているラジカル重合性化合物(A)は、重量平均分子量が1000以下であり、かつ炭素−炭素二重結合を有していれば特に限定されない。ラジカル重合性化合物(A)は、ラジカル重合可能である。ラジカル重合性化合物(A)は、ラジカル発生剤(B)の作用により重合する。ラジカル重合性化合物(A)の重合により、樹脂組成物の硬化を進行させることができ、又は熱伝導シートを硬化させることができる。ラジカル重合性化合物(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ラジカル重合性化合物(A)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、部分エポキシ化(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の極性基含有(メタ)アクリル系モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン及びp−クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル及び塩化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー、ビニルピリジン、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、イタコン酸、フマル酸、エチレン、プロピレン及びポリジメチルシロキサンマクロモノマー等の単官能性モノマー、並びにエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2官能以上のエポキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を有する2官能以上の部分エポキシ化(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を有する2官能以上のウレタンアクリレート、(メタ)アクリロイル基を有する2官能以上のポリエステルアクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン及びブタジエン等の多官能性モノマー等が挙げられる。光硬化性が高いので、ラジカル重合性化合物(A)は、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーであることが好ましい。
ハンドリング性により一層優れた熱伝導シートを得る観点からは、ラジカル重合性化合物(A)は、重量平均分子量が600以下であり、炭素−炭素二重結合を有さずかつエポキシ基又はオキセタン基を有する硬化性化合物(C)との相溶性に優れたラジカル重合性化合物であることが好ましく、エポキシ化アクリレート又は部分エポキシ化アクリレートであることが好ましい。耐熱性により一層優れた熱伝導シートを得る観点からは、ラジカル重合性化合物(A)は、多官能性モノマーを含むことが望ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、重合体ではない場合、及び構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
ラジカル重合性化合物(A)は、硬化性化合物(C)と相溶性を有することが好ましい。この場合には、ラジカル重合性化合物(A)とエポキシ基又はオキセタン基を有する硬化性化合物(C)とで緻密な架橋構造を形成でき、熱伝導シートのハンドリング性、並びに硬化物の耐熱性及び耐電圧性をより一層高めることができる。
ラジカル重合性化合物(A)の重量平均分子量は、1000以下である。ラジカル重合性化合物(A)の重量平均分子量は、好ましくは100以上、より好ましくは300以上、より好ましくは800以下である。ラジカル重合性化合物(A)の重量平均分子量が上記下限以上であると、熱伝導シートのハンドリング性、並びに硬化物の耐熱性及び耐電圧性がより一層高くなる。ラジカル重合性化合物(A)の重量平均分子量が上記上限以下であると、熱伝導シートのハンドリング性がより一層良好になる。
樹脂組成物中の全樹脂成分(以下、全樹脂成分Xと略記することがある)の合計100重量%中、ラジカル重合性化合物(A)の含有量は10重量%以上、60重量%以下である。全樹脂成分Xの合計100重量%中のラジカル重合性化合物(A)の含有量は、好ましくは30重量%以上、好ましくは50重量%以下である。ラジカル重合性化合物(A)の含有量が上記下限以上であると、熱伝導シートのハンドリング性がより一層良好になる。ラジカル重合性化合物(A)の含有量が上記上限以下であると、硬化物の耐熱性及び絶縁破壊特性がより一層高くなる。なお、全樹脂成分Xとは、ラジカル重合性化合物(A)、ラジカル発生剤(B)、硬化性化合物(C)、熱硬化剤(D)及び必要に応じて添加される他の樹脂成分の総和をいう。全樹脂成分Xには、フィラー(E)及び第2のフィラー(F)は含まれない。
(ラジカル発生剤(B))
上記樹脂組成物に含まれているラジカル発生剤(B)は、ラジカル重合性化合物(A)を重合させるために用いられている。ラジカル発生剤(B)は、光ラジカル発生剤であることが好ましい。光ラジカル発生剤は光が照射されると活性化し、ラジカル重合性化合物(A)を重合させる。ラジカル発生剤(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ラジカル発生剤(B)の具体例としては、アシルフォスフィンオキサイド、ハロメチル化トリアジン、ハロメチル化オキサジアゾール、イミダゾール、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、アントラキノン、ベンズアンスロン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、チオキサントン、安息香酸エステル、アクリジン、フェナジン、チタノセン、α−アミノアルキルフェノン及びオキシム、並びにこれらの誘導体が挙げられる。これらの化合物は、光ラジカル発生剤である。
無機フィラーを多く含む樹脂組成物において、ラジカル重合性化合物(A)を効率的に重合させる観点からは、ラジカル発生剤(B)は、アセトフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、チタノセン又はオキシムであることが好ましい。
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、ラジカル発生剤(B)の含有量は0.1重量%以上、30重量%以下であることが好ましい。全樹脂成分Xの合計100重量%中、ラジカル発生剤(B)の含有量は、より好ましくは1重量%以上、より好ましくは15重量%以下である。ラジカル発生剤(B)の含有量が上記下限以上であると、光の照射によりラジカル重合性化合物(A)を適度に高分子量化させることができる。このため、熱伝導シートの硬化物の耐熱性及び絶縁破壊特性、並びに熱伝導シートのハンドリング性がより一層良好になる。ラジカル発生剤(B)の含有量が上記上限以下であると、重合に関与しない余剰なラジカル発生剤(B)が発生し難くなる。このため、硬化物の耐熱性及び接着性がより一層高くなる。
(硬化性化合物(C))
上記樹脂組成物に含まれている硬化性化合物(C)は、重量平均分子量が600以下であり、炭素−炭素二重結合を有さずかつエポキシ基又はオキセタン基(オキセタニル基)を有していれば特に限定されない。硬化性化合物(C)は、熱硬化剤(D)の作用により硬化する。硬化性化合物(C)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記樹脂組成物は、硬化性化合物(C)と熱硬化剤(D)とを含むので、熱の付与により硬化する。
硬化性化合物(C)は、エポキシ基を有する硬化性化合物(C1)であってもよく、オキセタン基を有する硬化性化合物(C2)であってもよい。
硬化物の耐熱性及び絶縁破壊特性をより一層高める観点からは、硬化性化合物(C)は、芳香族骨格を有することが好ましい。
エポキシ基を有する硬化性化合物(C1)は、重量平均分子量が600以下であれば特に限定されない。エポキシ基を有する硬化性化合物(C1)の具体例としては、ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマー、ナフタレン骨格を有するエポキシモノマー、アダマンタン骨格を有するエポキシモノマー、フルオレン骨格を有するエポキシモノマー、ビフェニル骨格を有するエポキシモノマー、バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマー、キサンテン骨格を有するエポキシモノマー、アントラセン骨格を有するエポキシモノマー、及びピレン骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。これらの水素添加物又は変性物を用いてもよい。硬化性化合物(C1)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマーとしては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型又はビスフェノールS型のビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマーとしては、ジシクロペンタジエンジオキシド、及びジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ナフタレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、及び1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。
上記アダマンタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン、及び2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン等が挙げられる。
上記フルオレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、及び9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等が挙げられる。
上記ビフェニル骨格を有するエポキシモノマーとしては、4,4’−ジグリシジルビフェニル、及び4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等が挙げられる。
上記バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,1’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、及び1,2’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン等が挙げられる。
上記キサンテン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3,4,5,6,8−ヘキサメチル−2,7−ビス−オキシラニルメトキシ−9−フェニル−9H−キサンテン等が挙げられる。
オキセタン基を有する硬化性化合物(C2)は、重量平均分子量が600以下であれば特に限定されない。オキセタン基を有する硬化性化合物(C2)の具体例としては、例えば、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、及びオキセタン変性フェノールノボラック等が挙げられる。硬化性化合物(C2)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化性化合物(C)の重量平均分子量は600以下である。硬化性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは200以上、より好ましくは550以下である。硬化性化合物(C)の重量平均分子量が上記下限以上であると、硬化性化合物(C)の揮発性が低くなり、熱伝導シートの取扱い性がより一層高くなる。硬化性化合物(C)の重量平均分子量が上記上限以下であると、熱伝導シートが固くかつ脆くなり難く、かつ硬化物の接着性がより一層高くなる。
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、硬化性化合物(C)の含有量は10重量%以上、60重量%以下である。全樹脂成分Xの合計100重量%中の硬化性化合物(C)の含有量は、好ましくは20重量%以上、好ましくは50重量%以下である。硬化性化合物(C)の含有量が上記下限以上であると、硬化物の接着性及び耐熱性がより一層高くなる。硬化性化合物(C)の含有量が上記上限以下であると、熱伝導シートのハンドリング性がより一層良好になる。
(熱硬化剤(D))
上記樹脂組成物に含まれている熱硬化剤(D)は樹脂組成物、反応組成物又は熱伝導シートを硬化させるものであれば特に限定されない。熱硬化剤(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
熱硬化剤(D)は、フェノール樹脂、又は芳香族骨格もしくは脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物であることが好ましい。この好ましい熱硬化剤(D)の使用により、耐熱性、耐湿性及び電気物性のバランスに優れた硬化物を得ることができる。
上記フェノール樹脂は特に限定されない。上記フェノール樹脂の具体例としては、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、及びポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。なかでも、熱伝導シートの柔軟性及び硬化物の難燃性をより一層高めることができるので、メラミン骨格を有するフェノール樹脂、トリアジン骨格を有するフェノール樹脂、又はアリル基を有するフェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール樹脂の市販品としては、MEH−8005、MEH−8010及びNEH−8015(以上いずれも明和化成社製)、YLH903(ジャパンエポキシレジン社製)、LA―7052、LA−7054、LA−7751、LA−1356及びLA−3018−50P(以上いずれもDIC社製)、並びにPS6313及びPS6492(群栄化学社製)等が挙げられる。
芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、特に限定されない。芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、例えば、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、フェニルエチニルフタル酸無水物、グリセロールビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及びトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。なかでも、メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸の使用により、硬化物の耐水性を高めることができる。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、SMAレジンEF30、SMAレジンEF40、SMAレジンEF60及びSMAレジンEF80(以上いずれもサートマー・ジャパン社製)、ODPA−M及びPEPA(以上いずれもマナック社製)、リカシッドMTA−10、リカシッドMTA−15、リカシッドTMTA、リカシッドTMEG−100、リカシッドTMEG−200、リカシッドTMEG−300、リカシッドTMEG−500、リカシッドTMEG−S、リカシッドTH、リカシッドHT−1A、リカシッドHH、リカシッドMH−700、リカシッドMT−500、リカシッドDSDA及びリカシッドTDA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにEPICLON B4400、EPICLON B650、及びEPICLON B570(以上いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られる脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物であることが好ましい。この場合には、熱伝導シートの柔軟性、及び硬化物の耐湿性又は接着性をより一層高めることができる。また、上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、メチルナジック酸無水物、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物又は該酸無水物の変性物等も挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、リカシッドHNA及びリカシッドHNA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにエピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H及びエピキュアYH309(以上いずれもジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられる。
熱硬化剤(D)は、下記式(1)〜(4)の内のいずれかで表される酸無水物であることがより好ましい。この好ましい熱硬化剤(D)の使用により、熱伝導シートの柔軟性、及び硬化物の耐湿性又は接着性をより一層高めることができる。
Figure 2012054511
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上記式(4)中、R1及びR2はそれぞれ水素、炭素数1〜5のアルキル基又は水酸基を示す。
硬化速度又は硬化物の物性などを調整するために、上記熱硬化剤と硬化促進剤とを併用してもよい。
上記硬化促進剤は特に限定されない。硬化促進剤の具体例としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアジン類、有機リン系化合物、4級ホスホニウム塩類及び有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類等が挙げられる。また、上記硬化促進剤としては、有機金属化合物類、4級アンモニウム塩類及び金属ハロゲン化物等が挙げられる。上記有機金属化合物類としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫及びアルミニウムアセチルアセトン錯体等が挙げられる。
上記硬化促進剤として、高融点のイミダゾール硬化促進剤、高融点の分散型潜在性硬化促進剤、マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤、アミン塩型潜在性硬化促進剤、及び高温解離型かつ熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等を使用できる。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記高融点の分散型潜在性促進剤としては、ジシアンジアミド、及びアミンがエポキシモノマー等に付加されたアミン付加型促進剤等が挙げられる。上記マイクロカプセル型潜在性促進剤としては、イミダゾール系、リン系又はホスフィン系の促進剤の表面がポリマーにより被覆されたマイクロカプセル型潜在性促進剤が挙げられる。上記高温解離型かつ熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤としては、ルイス酸塩及びブレンステッド酸塩等が挙げられる。
上記硬化促進剤は、高融点のイミダゾール系硬化促進剤であることが好ましい。高融点のイミダゾール系硬化促進剤の使用により、反応系を容易に制御でき、かつ樹脂組成物又は熱伝導シートの硬化速度、及び硬化物の物性などをより一層容易に調整できる。融点100℃以上の高融点の硬化促進剤は、取扱性に優れている。従って、硬化促進剤の融点は100℃以上であることが好ましい。
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、熱硬化剤(D)の含有量は10重量%以上、40重量%以下であることが好ましい。全樹脂成分Xの合計100重量%中、熱硬化剤(D)の含有量は、より好ましくは12重量%以上、より好ましくは25重量%以下である。熱硬化剤(D)の含有量が上記下限以上であると、樹脂組成物及び熱伝導シートを充分に硬化させることが容易である。熱硬化剤(D)の含有量が上記上限以下であると、硬化に関与しない余剰な熱硬化剤(D)が発生し難くなる。このため、硬化物の耐熱性及び接着性がより一層高くなる。
(フィラー(E))
上記樹脂組成物に含まれているフィラー(E)は、熱伝導率が10W/m・K以上であれば特に限定されない。また、上記樹脂組成物の硬化を進行させた熱伝導シート及び硬化物も、フィラー(E)を含む。このフィラー(E)の使用により、硬化物の熱伝導率を高めることができる。この結果、硬化物の放熱性が高くなる。フィラー(E)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
フィラー(E)の熱伝導率が10W/m・Kよりも小さいと、硬化物の熱伝導性を充分に高めることは困難である。フィラー(E)の熱伝導率は、好ましくは15W/m・K以上、より好ましくは20W/m・K以上である。フィラー(E)の熱伝導率の上限は特に限定されない。熱伝導率300W/m・K程度の無機フィラーは広く知られており、また熱伝導率200W/m・K程度の無機フィラーは容易に入手できる。
硬化物の放熱性をより一層高める観点からは、フィラー(E)は、無機フィラーであることが好ましい。
フィラー(E)は、新モース硬度が3.1以上である無機フィラー(E1)であることが好ましい。この場合には、樹脂組成物は、フィラー(E)とは異なる第2のフィラー(F)を含有し、該第2のフィラー(F)が、有機フィラー(F1)及び新モース硬度が3以下である第2の無機フィラー(F2)の内の少なくとも1種であることが好ましい。新モース硬度が3.1以上である無機フィラー(E1)が用いられた場合には、硬化物の加工性が低下しやすい。しかし、第1の無機フィラー(E1)とともに、有機フィラー(F1)及び新モース硬度が3以下である第2の無機フィラー(F2)の内の少なくとも1種である第2のフィラー(F)を用いることにより、硬化物の熱伝導性を犠牲にすることなく、硬化物の加工性を充分に確保できる。第1の無機フィラー(E1)の新モース硬度は、好ましくは4以上、好ましくは14以下である。第1の無機フィラー(E1)の新モース硬度が上記上限以下であると、硬化物の高い熱伝導性と高い加工性とを両立することが容易である。
フィラー(E)は特に限定されない。フィラー(E)は、アルミナ、合成マグネサイト、結晶性シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましく、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることがより好ましい。これらの好ましいフィラー(E)の使用により、硬化物の放熱性がより一層高くなる。
また、新モース硬度が3.1以上であるので、フィラー(E)は、アルミナ、合成マグネサイト、結晶性シリカ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。これらの好ましいフィラーの使用により、硬化物の放熱性がより一層高くなる。
フィラー(E)は、球状アルミナ、破砕アルミナ及び球状窒化アルミニウムからなる群から選択された少なくとも1種であることがより好ましく、球状アルミナ又は球状窒化アルミニウムであることがさらに好ましい。これらの好ましいフィラーの使用により、硬化物の放熱性がより一層高くなる。
フィラー(E)は、球状であることが特に好ましい。球状フィラーの場合には、フィラー(E)を高密度で充填させることができるため、硬化物の放熱性がより一層高くなる。
フィラー(E)の平均粒子径は、0.1μm以上、40μm以下であることが好ましい。平均粒子径が0.1μm以上であると、フィラー(E)を高密度で容易に充填できる。平均粒子径が40μm以下であると、硬化物の絶縁破壊特性がより一層高くなる。
上記「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
硬化物の耐電圧性をより一層高める観点からは、フィラー(E)の最大粒子径は35μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。硬化物の耐電圧性をより一層高める観点からは、フィラー(E)の最大粒子径は、熱伝導シートの厚みの1/2以下であることが好ましい。上記関係を満たすように、フィルタリング又は篩による分級などで、実質的に最大粒子径が大きいフィラーをほとんど存在しないように処理されたフィラーを用いてもよい。
繊維状基材中にフィラー(E)をより一層均一に含浸させる観点からは、フィラー(E)の平均粒子径は、繊維状基材の平均開繊径以下であることが好ましい。繊維状基材中にフィラー(E)をさらに均一に含浸させる観点からは、フィラー(E)の平均粒子径は繊維状基材の平均開繊径よりも小さく、かつフィラー(E)の平均繊維径と繊維状基材の平均開繊径との差は10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。繊維状基材中にフィラー(E)が均一に含浸されていると、熱伝導シートの硬化物全体の放熱性及び耐熱性が高くなり、硬化物部分による放熱性及び耐熱性のばらつきが生じ難くなる。上記「平均開繊径」とは、繊維状基材を平面視したときに現れる、繊維の縦糸と横糸とにより囲まれた空隙部の短径の平均径である。
硬化物の放熱性、耐熱性及び耐電圧性をより一層高める観点からは、フィラー(E)の熱伝導率(W/m・K)をフィラー(E)の屈折率で除算した値は、5以上であることが好ましい。屈折率の低いフィラーを用いることにより、放熱性を高める為に十分な量のフィラーを添加しても、フィラーの光散乱により光硬化反応が阻害され難くなる。このため、硬化物の放熱性、耐熱性及び耐電圧性をより一層高めることができる。硬化物の放熱性、耐熱性及び耐電圧性をより一層高める観点からは、熱伝導シートを硬化させたときの上記繊維状基材とフィラーとを除く硬化物部分(第2のフィラー(F)が含まれない場合には、繊維状基材とフィラー(E)を除く硬化物部分、第2のフィラー(F)が含まれる場合には、繊維状基材とフィラー(E)と第2のフィラー(F)とを除く硬化物部分)の屈折率と、フィラー(E)の屈折率との差の絶対値が0.3以下であることが好ましい。硬化物部分とフィラー(E)との屈折率差が小さいと、硬化物部分とフィラー(E)との界面における光散乱を抑制できる。さらに、放熱性を高める為に十分な量のフィラーを添加しても、フィラーの光散乱により光硬化反応が阻害され難くなる。このため、硬化物の放熱性、耐熱性及び耐電圧性がより一層高くなる。
樹脂組成物100体積%中、フィラー(E)の含有量は20体積%以上、90体積%以下であることが好ましい。反応組成物100体積%中のフィラー(E)の含有量も、樹脂組成物100体積%中のフィラー(E)の含有量と同様の下限及び上限を満たすことが好ましい。樹脂組成物100体積%中のフィラー(E)の含有量は、反応組成物100体積%中のフィラー(E)の含有量とほぼ等しい。樹脂組成物又は反応組成物100体積%中のフィラー(E)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であることにより、硬化物の放熱性がより一層高くなり、かつ熱伝導シートのハンドリング性がより一層良好になる。樹脂組成物又は反応組成物100体積%中のフィラー(E)の含有量は、より好ましくは30体積%以上、更に好ましくは35体積%以上、より好ましくは85体積%以下、更に好ましくは80体積%以下、特に好ましくは70体積%以下、最も好ましくは60体積%以下である。フィラー(E)の含有量が上記下限以上であると、硬化物の放熱性がより一層高くなる。フィラー(E)の含有量が上記上限以下であると、熱伝導シートのハンドリング性、及び硬化物の加工性がより一層高くなる。例えば、硬化物の加工の際に、金型が摩耗し難くなる。更にフィラーの光散乱により光硬化反応が阻害され難くなり、この結果、硬化物の放熱性、耐熱性及び耐電圧性がより一層高くなる。
(第2のフィラー(F))
上記樹脂組成物又は上記熱伝導シートは、フィラー(E)とは異なる第2のフィラー(F)をさらに含んでいてもよい。硬化物の加工性をより一層高める観点からは、上記樹脂組成物又は上記反応組成物は、第1のフィラー(E)と、第2のフィラー(F)とを含有することが好ましい。
第2のフィラー(F)は、有機フィラー(F1)及び新モース硬度が3以下である第2の無機フィラー(F2)の内の少なくとも1種である。第2のフィラー(F)として、有機フィラー(F1)のみが用いられてもよく、第2の無機フィラー(F2)のみが用いられてもよく、有機フィラー(F1)と第2の無機フィラー(F2)との双方が用いられてもよい。
硬化物の放熱性を高めるためには、熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ新モース硬度が3.1以上の無機フィラー(E1)の含有量を多くすることが考えられる。しかし、アルミナ等の無機フィラーの新モース硬度は、比較的高い。このため、第1の無機フィラー(E1)の含有量を多くした場合には、硬化物を打ち抜き加工又はドリル穴開け加工等する際に、金型が摩耗しやすい。金型の摩耗を抑制するためには、第1の無機フィラー(E1)の含有量を少なくすればよい。しかし、第1の無機フィラー(E1)の含有量を少なくすると、熱伝導シートに含まれている樹脂成分の量が相対的に多くなるため、積層プレス時などに熱伝導シートが流動することがある。熱伝導シートが流動すると、硬化物の厚みが薄くなりすぎて、絶縁破壊特性が低下することがある。
また、第1の無機フィラー(E1)の含有量が20体積%以上、60体積%以下である場合には、積層プレス時に熱伝導シートが流動しやすくなるという課題が生じやすい。しかし、第1の無機フィラー(E1)と第2のフィラー(F)とを併用した場合には、硬化物の加工性が低下することなく、硬化物を打ち抜き加工又はドリル穴開け加工等する際に、金型の摩耗を抑制できる。しかも、積層プレス時など熱伝導シートの過度の流動を抑制できる。さらに、熱伝導シートが流動し難いため、硬化物の絶縁破壊特性を高めることができる。
第2のフィラー(F)は、有機フィラー(F1)であることが好ましい。有機フィラー(F1)は柔軟性が比較的高い。従って、有機フィラー(F1)の使用により、硬化物の加工性が低下することなく、積層プレス時に未硬化状態の熱伝導シートが過度に流動するのを抑制できる。
有機フィラー(F1)は、モノマーにより形成された繰返し構造を含む不溶性粒子であることが好ましい。上記モノマーは、アクリル系モノマー又はスチレン系モノマーであることが好ましい。アクリル系モノマー及びスチレン系モノマーはそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、及びメタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。上記アクリル系モノマーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記スチレン系モノマーとして、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン及び3,4−ジクロロスチレン等が挙げられる。スチレン系モノマーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
有機フィラー(F1)は、コアシェル構造を有することが好ましい。コアシェル構造を有する有機フィラーの使用により、硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。コアシェル構造を有する有機フィラーは、コア層と、該コア層を被覆しているシェル層とを有する。上記コア層及び該コア層を被覆しているシェル層はアクリル系化合物であることが好ましい。
有機フィラー(F1)は、ケイ素原子に酸素原子が直接結合された骨格を有する化合物と、有機物とを含む複合フィラーであることが好ましい。この場合には、硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
上記コア層が、ケイ素原子に酸素原子が直接結合された骨格を有する化合物を含むことが好ましい。上記シェル層が、有機物を含むことが好ましい。有機フィラー(F1)は、上記ケイ素原子に酸素原子が直接結合された骨格を有する化合物を含むコア層と、上記有機物を含むシェル層とを有する複合フィラーであることが好ましい。
上記ケイ素原子に酸素原子が直接結合された骨格を有する化合物は、シロキサン系ポリマーであることが好ましい。上記有機物は、アクリル系化合物であることが好ましい。
有機フィラー(F1)の平均粒子径は、0.1μm以上、40μm以下であることが好ましい。有機フィラー(F1)の平均粒子径は、より好ましくは20μm以下である。有機フィラー(F1)の平均粒子径が0.1μm以上であると、有機フィラー(F1)を高密度で容易に充填できる。有機フィラー(F1)の平均粒子径が上記上限以下であると、硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
上記「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
硬化物の加工性が低下することなく、積層プレス時に熱伝導シートの過度の流動を抑制でき、更に硬化物の放熱性及び耐熱性をより一層高くすることができるので、第2のフィラー(F)は、上記第2の無機フィラー(F2)であることが好ましい。
第2の無機フィラー(F2)は、珪藻土、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー及びマイカからなる群から選択された少なくとも1種であることがより好ましく、タルクであることがより好ましい。この場合には、硬化物の加工性をより一層高めることができる。
第2の無機フィラー(F2)は球状のフィラーであってもよく、破砕されたフィラーであってもよい。第2の無機フィラー(F2)は、球状であることが特に好ましい。球状フィラーの場合には、第2の無機フィラー(F2)を高密度で容易に充填させることができる。
第2の無機フィラー(F2)が球状である場合には、球状のフィラーの平均粒子径は、0.1μm以上、40μm以下であることが好ましい。平均粒子径が0.1μm以上であると、第2の無機フィラー(F2)を高密度で容易に充填できる。平均粒子径が40μm以下であると、硬化物の絶縁破壊特性がより一層高くなる。
上記「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
第2のフィラー(F)の平均粒子径及び最大粒子径の好ましい下限及び好ましい上限は、フィラー(E)と同様である。また、フィラー(E)と同様に、第2のフィラー(F)の平均粒子径は、繊維状基材の平均開繊径以下であることが好ましい。第2のフィラー(F)の平均粒子径は繊維状基材の平均開繊径よりも小さく、かつ第2のフィラー(F)の平均繊維径と繊維状基材の平均開繊径との差は10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。
樹脂組成物又は反応組成物100体積%中、第2のフィラー(F)の含有量は1体積%以上、40体積%以下であることが好ましい。樹脂組成物又は反応組成物100体積%中の第2のフィラー(F)の含有量は、より好ましくは3体積%以上、更に好ましくは5体積%以上、最も好ましくは10体積%以上、より好ましくは30体積%以下、更に好ましくは20体積%以下である。第2のフィラー(F)の含有量が上記下限以上であると、積層プレス時に熱伝導シートの流動を充分に抑制できる。第2のフィラー(F)の含有量が上記上限以下であると、フィラー(E)と第2のフィラー(F)との合計の添加量が多くなりすぎず、硬化物の絶縁破壊特性がより一層高くなる。さらに、熱伝導シートが固くかつ脆くなり難く、熱伝導シートのハンドリング性及び硬化物の接着性がより一層高くなる。
樹脂組成物及び反応組成物が第2のフィラー(F)として第2の無機フィラー(F2)のみを含む場合には、樹脂組成物又は反応組成物100体積%中の第2の無機フィラー(F2)の含有量は、1体積%以上、より好ましくは2体積%以上、更に好ましくは3体積%以上、好ましくは30体積%以下、より好ましくは20体積%以下である。
樹脂組成物又は反応組成物が第2のフィラー(F)として有機フィラー(F1)のみを含む場合には、樹脂組成物又は反応組成物100体積%中の有機フィラー(F1)の含有量は、好ましくは3体積%以上、より好ましくは5体積%以上、更に好ましくは10体積%以上、好ましくは30体積%以下、より好ましくは20体積%以下である。
樹脂組成物又は反応組成物100体積%中、フィラー(E)と第2のフィラー(F)との合計の含有量は、30体積%以上、90体積%以下であることが好ましい。第1の無機フィラー(E)と第2のフィラー(F)との合計の含有量が上記下限以上であると、積層プレス時に熱伝導シートが過度に流動し難い。フィラー(E)と第2のフィラー(F)との合計の含有量が上記上限以下であると、硬化物の絶縁破壊特性、耐熱性及び銅の剥離強度がより一層高くなる。
樹脂組成物及び反応組成物では、第2のフィラー(F)は第2の無機フィラー(F2)であり、第1の無機フィラー(E1)及び第2の無機フィラー(F2)が、下記式(X)を満たすことが好ましい。この場合には、硬化物の加工性をより一層高くすることができる。
[{(無機フィラー(E1)の新モース硬度)×(樹脂組成物又は反応組成物100体積%中の第1の無機フィラー(E1)の含有量(体積%))}+{(第2の無機フィラー(F2)の新モース硬度)×(樹脂組成物又は反応組成物100体積%中の第2の無機フィラー(F2)の含有量(体積%))}]<6 ・・・式(X)
上記式(X)中の右辺の値は6であり、上記式(X)中の右辺の値は5.5であることが好ましく、5であることがより好ましい。すなわち、上記式(X)中の「<6」は、「<5.5」であることが好ましく、「<5」であることがより好ましい。
(他の成分)
上記樹脂組成物は、ゴム粒子を含んでいてもよい。該ゴム粒子の使用により、熱伝導シートの応力緩和性及び柔軟性を高めることができる。
上記樹脂組成物は、分散剤を含んでいてもよい。該分散剤の使用により、硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性をより一層高めることができる。
上記分散剤は、水素結合性を有する水素原子を含む官能基を有することが好ましい。上記分散剤が水素結合性を有する水素原子を含む官能基を有することで、硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性をより一層高めることができる。上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基としては、例えば、カルボキシル基(pKa=4)、リン酸基(pKa=7)、及びフェノール基(pKa=10)等が挙げられる。
上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基のpKaは、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、好ましくは10以下、より好ましくは9以下である。上記官能基のpKaが上記下限以上であると、上記分散剤の酸性度が高くなりすぎない。従って、樹脂組成物、反応組成物及び熱伝導シートの貯蔵安定性がより一層高くなる。上記官能基のpKaが上記上限以下であると、上記分散剤としての機能が充分に果たされ、硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性がより一層高くなる。
上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基は、カルボキシル基又はリン酸基であることが好ましい。この場合には、硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性がさらに一層高くなる。
上記分散剤としては、具体的には、例えば、ポリエステル系カルボン酸、ポリエーテル系カルボン酸、ポリアクリル系カルボン酸、脂肪族系カルボン酸、ポリシロキサン系カルボン酸、ポリエステル系リン酸、ポリエーテル系リン酸、ポリアクリル系リン酸、脂肪族系リン酸、ポリシロキサン系リン酸、ポリエステル系フェノール、ポリエーテル系フェノール、ポリアクリル系フェノール、脂肪族系フェノール、及びポリシロキサン系フェノール等が挙げられる。上記分散剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
樹脂組成物又は反応組成物100重量%中、上記分散剤の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。上記分散剤の含有量が上記下限以上及び上限以下であると、フィラー(E)又は第2のフィラー(F)の凝集を抑制でき、かつ硬化物の放熱性及び絶縁破壊特性がより一層高くなる。
また、本発明に係る樹脂組成物、反応組成物及び熱伝導シートは、必要に応じて、粘着性付与剤、可塑剤、硬化剤、カップリング剤、チキソ性付与剤、難燃剤、光増感剤及び着色剤などを含んでいてもよい。
上記光増感剤としては特に限定されないが、例えばベンゾフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p’−テトラエチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、アントロン、9−エトキシアントラセン、アントラセン、ピレン、ペリレン、フェノチアジン、ベンジル、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン−T、9,10−ジフェニルアントラセン、9−フルオレノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミド、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1,2−ベンズアンスラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、3,3’−カルボニル−ビス(5,7−ジメトキシカルボニルクマリン)及びコロネン等が挙げられる。
(樹脂組成物、反応組成物又は熱伝導シート)
本発明に係る樹脂組成物の製造方法は特に限定されない。樹脂組成物は、例えば、上述した材料を混合することにより得ることができる。
本発明に係る熱伝導シートは、繊維状基材と、該繊維状基材に含浸された樹脂組成物、又は該繊維状基材に含浸されておりかつ該樹脂組成物の反応を進行させた反応組成物とを含む。上記樹脂組成物の反応を進行させることにより反応組成物を得ることができる。反応組成物は、繊維状基材に樹脂組成物が含浸された状態で、樹脂組成物の反応を進行させることにより得られた反応組成物であることが好ましい。
本発明に係る熱伝導シートは、繊維状基材に、上記樹脂組成物を含浸させることにより得られる。また、上記熱伝導シートは、上記樹脂組成物にかえて、上記樹脂組成物の反応を進行させた反応組成物を含んでいてもよい。該反応組成物は、一次反応組成物である。該反応組成物は、更に反応が進行することが可能であることが好ましく、最終硬化物ではないことが好ましい。反応組成物は、熱硬化可能であることが好ましい。
上記繊維状基材の使用により、熱伝導シートのハンドリング性が高くなる。繊維状基材としては、ガラスクロス、ガラス繊維のチョップドストランド、ガラス不織布及びアラミド不織布等が挙げられる。なかでも、ガラスクロスが好ましい。
上記繊維状基材の平均開繊径は、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下である。平均開繊径が上記下限以上であると、繊維状基材に樹脂組成物又は樹脂反応物をより一層均一に含浸させることが容易である。平均開繊径が上記上限以下であると、樹脂組成物が繊維状基材中により一層保持されやすくなる。
本発明に係る熱伝導シートにおいて、上記繊維状基材100重量部に対して、上記樹脂組成物又は反応組成物の含有量は、好ましくは100重量部以上、より好ましくは200重量部以上、好ましくは2000重量部以下、より好ましくは1500重量部以下である。上記樹脂組成物又は反応組成物の含有量が上記下限以上であると、熱伝導シートの耐熱性及び放熱性がより一層高くなる。上記樹脂組成物又は反応組成物の含有量が上記上限以下であると、繊維状基材から樹脂組成物又は反応組成物が流出し難くなる。
上記樹脂組成物が光ラジカル発生剤を含む場合には、光の照射により、上記樹脂組成物の反応を進行させることができる。
光を照射する際に用いる光源は特に限定されない。該光源としては、例えば、波長420nm以下に充分な発光分布を有する光源等が挙げられる。また、光源の具体例としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、及びメタルハライドランプ等が挙げられる。光の照射エネルギーは、所望とする熱伝導シートの厚み及び樹脂組成物の構成成分により適宜選択される。光の照射エネルギーは、一般に、10mJ/cm以上、3000mJ/cm以下である。
上記樹脂組成物及び上記反応組成物は、溶剤を含まないか、又は溶剤を2重量%以下含むことが好ましい。樹脂組成物及び反応組成物100重量%中、溶剤の含有量は、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。樹脂組成物及び反応組成物は、溶剤を含まないことが最も好ましい。溶剤の含有量が少ないと、硬化時の溶剤の揮発量が少なくなり、環境負荷を低減できる。さらに、熱伝導シート及び樹脂組成物の製造時に溶剤を除去するために乾燥する必要がないので、簡易な設備で安価に熱伝導シート及び樹脂組成物を製造可能である。また、残存溶剤による樹脂組成物及び熱伝導シートの取扱い性の低下を抑制できる。
熱伝導シートは、光の照射により上記樹脂組成物の反応を進行させた反応組成物を含むことが好ましい。該反応組成物は、ラジカル重合性化合物(A)の重合が進行した重量平均分子量が1000以上である重合体を含むことが好ましい。さらに、上記反応組成物は、未反応の硬化性化合物(C)を含み、該硬化性化合物(C)の反応物を含まないか又は含み、未反応の硬化性化合物(C)と該硬化性化合物(C)の反応物との合計100重量%中、未反応の硬化性化合物(C)の含有量が40重量%以上、100重量%以下であることが好ましい。上記反応組成物は、硬化性化合物(C)の反応物を含んでいなくてもよい。熱伝導シートのハンドリング性をより一層高める観点からは、上記反応組成物は、ラジカル重合性化合物(A)の重合が進行した重量平均分子量が1万以上である重合体を含むことが好ましい。
熱伝導シートの厚みは特に限定されない。熱伝導シートの厚みは、10μm以上、300μm以下であることが好ましい。熱伝導シートの厚みは、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。熱伝導シートの厚みが上記下限以上であると、硬化物の絶縁性が高くなる。熱伝導シートの厚みが上記上限以下であると、硬化物の放熱性がより一層高くなる。
熱伝導シートの硬化物の熱伝導率は、好ましくは0.5W/m・K以上、より好ましくは1.0W/m・K以上、更に好ましくは1.5W/m・K以上、特に好ましくは2.0W/m・K以上である。熱伝導率が高いほど、硬化物の放熱性が高くなる。
樹脂組成物の硬化物及び熱伝導シートの硬化物の絶縁破壊電圧は、好ましくは30kV/mm以上、より好ましくは40kV/mm以上、更に好ましくは50kV/mm以上、特に好ましくは80kV/mm以上、最も好ましくは100kV/mm以上である。絶縁破壊電圧が高いほど、硬化物が例えば電力素子用のような大電流用途に用いられた場合に、絶縁性を充分に確保できる。
(熱伝導シートの用途)
本発明に係る熱伝導シートは、基材と、該基材の少なくとも一方の表面に積層された熱伝導層とを備える積層構造体において、該熱伝導層を形成するために好適に用いられる。上記熱伝導層は、上記熱伝導シートを硬化させることにより形成されている。上記熱伝導層は絶縁層であることが好ましい。上記基材としては、基板、金属筺体及び放熱部品等が挙げられる。上記基材は、配線回路を有する基板であり、上記積層構造体はプリント配線板であることが好ましい。
図1に、本発明の一実施形態に係る積層構造体を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
図1に示す積層構造体11では、基板12の上面12aに、複数の絶縁層13〜15が積層されている。基板12は、上面12aの一部の領域に導体層12bを有する。基板12の上面12aには、導体層12bにより凹部12cが形成されている。最上層の絶縁層15以外の絶縁層13,14は、上面13a,14aの一部の領域に導体層13b,14bを有する。絶縁層13,14の上面13a,14aには、導体層13b,14bにより凹部13c,14cが形成されている。絶縁層13〜15は、凹部12c〜14c内に充填されている。また、導体層12b〜14bは、図示しないビアホール接続により接続されている。
基板12の上面12aに樹脂組成物又は熱伝導シートを、該熱伝導シートの一部が凹部12c内に充填されるようにラミネートすることにより、積層構造体11が形成され得る。また、基板12の上面12aに熱伝導シートをラミネートした後、該熱伝導シート上に必要に応じて導体層が形成される。さらに、該導体層上に必要に応じて絶縁層が形成される。
本発明に係る積層構造体は、プリント配線板であることが好ましく、導体層を2層以上有する多層回路基板であることが好ましい。本発明に係る積層構造体は、チップサイズパッケージに用いられる多層回路基板であることが好ましい。
半導体の実装方式が、チップサイズパッケージである場合、配線回路の高密度化及び回路の薄型化が要求される。このような場合に、本発明に係る熱伝導シートは好適に用いられる。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の材料を用意した。
[ラジカル重合性化合物(A)]
(1)メチルメタクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトエステルM、Mw=100)
(2)イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトエステルIB−XA,Mw=208)
(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトエステルTMP−A、Mw=296)
(4)ウレタンアクリレート(ダイセルサイテック社製、商品名:EBECRYL9270、Mw=1000)
(5)ビスフェノールA型エポキシアクリレート(ダイセルサイテック社製、商品名:EBECRYL 600、Mw=500)
[ラジカル重合性化合物(A)以外のラジカル重合性化合物]
(1)ウレタンアクリレート(ダイセルサイテック社製、商品名:EBECRYL 270、Mw=1500)
[ラジカル発生剤(B)]
(1)2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(光ラジカル発生剤、日本シイベルヘグナー社製、商品名:TPO)
(2)アシルフォスフィンオキサイド(光ラジカル発生剤、チバ・ジャパン社製、商品名:IRGACURE819)
(3)α−アミノアセトフェノン(光ラジカル発生剤、チバ・ジャパン社製、商品名:IRGACURE907)
[硬化性化合物(C)]
(1)ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート828US、Mw=370)
(2)ナフタレン骨格液状エポキシ樹脂(DIC社製、商品名:EPICLON HP−4032D、Mw=304)
(3)ヘキサヒドロフタル酸骨格液状エポキシ樹脂(日本化薬社製、商品名:AK−601、Mw=284)
(4)ベンゼン骨格含有オキセタン樹脂(宇部興産社製、商品名:エタナコールOXTP、Mw=362.4)
[硬化性化合物(C)以外の硬化性化合物]
(1)ビスフェノールA型固体エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:1003、Mw=1300)
[熱硬化剤(D)]
(1)脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製、商品名:MH−700)
(2)テルペン系骨格酸無水物(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピキュアYH−306)
(3)ビフェニル骨格フェノール樹脂(明和化成社製、商品名:MEH−7851−S)
(4)アリル基含有骨格フェノール樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:YLH−903)
(5)トリアジン骨格系フェノール樹脂(DIC社製、商品名:フェノライトKA−7052−L2)
(6)メラミン骨格系フェノール樹脂(群栄化学工業社製、商品名:PS−6492)
(7)イソシアヌル変性固体分散型イミダゾール(イミダゾール系硬化促進剤、四国化成社製、商品名:2MZA−PW)
[フィラー(E)]
(1)2μm破砕アルミナ(破砕フィラー、日本軽金属社製、商品名:LS−242C、平均粒子径2μm、最大粒子径20μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12、屈折率1.75)
(2)6μm破砕窒化アルミニウム(破砕フィラー、東洋アルミニウム社製、商品名:FLC、平均粒子径6μm、最大粒子径20μm、熱伝導率200W/m・K、新モース硬度11、屈折率2.2)
(3)球状アルミナ(デンカ社製、商品名:DAM−10、平均粒子径10μm、最大粒子径30μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12、屈折率1.75)
(4)合成マグネサイト(神島化学社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm、最大粒子径20μm、熱伝導率15W/m・K、新モース硬度3.5、屈折率1.7)
(5)結晶シリカ(龍森社製、商品名:クリスタライトCMC−12、平均粒子径5μm、最大粒子径20μm、熱伝導率10W/m・K、新モース硬度7、屈折率1.46)
(6)炭化ケイ素(信濃電気製錬社製、商品名:シナノランダムGP#700、平均粒子径17μm、最大粒子径70μm、熱伝導率125W/m・K、新モース硬度13、屈折率2.22)
(7)酸化亜鉛(堺化学工業社製、商品名:LPZINC−5、平均粒子径5μm、最大粒子径20μm、熱伝導率54W/m・K、新モース硬度5、屈折率1.9)
[有機フィラー(F1)]
(1)0.1μm粒子(コアシェル型シリコーン−アクリル粒子、旭化成ワッカーシリコーン社製、商品名:P22、平均粒子径0.1μm、コアシェル構造を有する、ケイ素原子に酸素原子が直接結合された骨格を有する化合物を含むコア層と有機物を含む)
(2)0.5μm粒子(コアシェル型有機粒子、ガンツ化成社製、商品名:AC−3355、平均粒子径0.5μm、コアシェル構造を有する)
[第2の無機フィラー(F2)]
(1)マイカ(山口雲母工業所社製、商品名:SJ005、平均粒子径5μm、最大粒子径32μm、新モース硬度2.8)
(2)タルク(日本タルク社製、商品名:K−1、平均粒子径8μm、最大粒子径32μm、新モース硬度1)
(3)窒化ホウ素(昭和電工社製、商品名:UHP−1、平均粒子径8μm、最大粒子径32μm、新モース硬度2)
[添加剤]
(1)エポキシシランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名:KBE403)
[溶剤]
(1)メチルエチルケトン
[繊維状基材]
ガラスクロス1(平均開繊径200μm、旭化成イーマテリアルズ社製、商品名:106)
ガラスクロス2(平均開繊径20μm、旭化成イーマテリアルズ社製、商品名:1037MS)
(実施例1〜29及び比較例1〜4)
ホモディスパー型攪拌機を用いて、下記の表1〜5に示す割合(配合単位は重量部)で各原料を配合し、混練し、樹脂組成物を調製した。
厚み50μmの離型PETシートに、下記の表1〜5に示す繊維状基材を置いて、コーティングすることにより、下記の表1〜5に示す含有量で上記樹脂組成物を含浸させた。次に、紫外線照射装置を用いて、ガラスクロスに含浸された樹脂組成物に波長365nmの紫外線を、照射エネルギーが800mJ/cmとなるように100mW/cmの紫外線照度で8秒間照射して、上記樹脂組成物の反応を進行させて反応組成物とした。このようにして、PETシート上に、繊維状基材に反応組成物が含浸された熱伝導シートを作製した。
(実施例30)
波長365nmの紫外線を、照射エネルギーが1800mJ/cmとなるように100mW/cmの紫外線照度で18秒間照射した以外は実施例1と同様にして、熱伝導シートを作製した。
(評価)
(1)ハンドリング性
PETシートと、該PETシート上に形成された熱伝導シートとを有する積層シートを460mm×610mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを用いて、室温(23℃)でPETシートから熱硬化前の熱伝導シートを剥離したときのハンドリング性を下記の基準で評価した。
[ハンドリング性の判定基準]
〇:熱伝導シートの変形がなく、容易に剥離可能
△:熱伝導シートを剥離できるものの、シート伸びや破断が発生する、又は一部に割れ欠けが発生する
×:熱伝導シートを剥離できない。割れ欠けがひどく取り扱えない
(2)熱伝導率
京都電子工業社製熱伝導率計「迅速熱伝導率計QTM−500」を用いて、熱伝導シートの熱伝導率を測定した。
(3)半田耐熱試験
厚み1.5mmのアルミニウム板と厚み35μmの電解銅箔との間に熱伝導シートを挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を保持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間、熱伝導シートをプレス硬化し、銅張り積層板を形成した。得られた銅張り積層板を50mm×60mmの大きさに切り出し、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを288℃の半田浴に銅箔側を下に向けて浮かべ、銅箔の膨れ又は剥がれが発生するまでの時間を測定し、以下の基準で判定した。
[半田耐熱試験の判定基準]
○:3分経過後しても膨れ及び剥離の発生なし
△:1分経過後、かつ3分経過する前に膨れ又は剥離が発生
×:1分経過する前に膨れ又は剥離が発生
(4)絶縁破壊電圧
熱伝導シートを100mm×100mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを120℃のオーブン内で1時間、更に200℃のオーブン内で1時間硬化させ、熱伝導シートの硬化物を得た。耐電圧試験器(MODEL7473、EXTECH Electronics社製)を用いて、熱伝導シートの硬化物間に1kV/秒の速度で電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。熱伝導シートの硬化物が破壊した電圧を、絶縁破壊電圧とした。
(5)加工性
厚み1.5mmのアルミニウム板と厚み35μmの電解銅箔との間に熱伝導シートを挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を保持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間、熱伝導シートをプレス硬化し、銅張り積層板を形成した。得られた銅張り積層板を直径2.0mmのドリル(ユニオンツール社製、RA series)を用いて、回転数30000及びテーブル送り速度0.5m/分の条件でルーター加工した。ばりが発生するまでの加工距離を測定し、加工性を以下の基準で評価した。
[加工性の判定基準]
○:ばりが発生することなく5m以上、20m未満加工可能
△:ばりが発生することなく1m以上、5m未満加工可能
×:1m未満の加工によりばりが発生
(6)積層プレス時のはみ出し量
PETシートと、該PETシート上に形成された熱伝導シートとを有する積層シートを13cm×5cmの大きさに切り出した後、熱伝導シートをPETシートから剥離した。また、13cm×5cmの大きさのアルミニウム板(エンジニアリングテストサービス社製、JISH4000 A5052P、最大高さ粗さRz1.1μm)を2枚用意した。
2枚のアルミニウム板の各粗面の間に熱伝導シートを挟んで、積層体を得た後、23℃及び圧力4MPaで10分間プレスした。プレス後に積層体の側面からはみ出た熱伝導シートの重量を測定し、下記の式により熱伝導シートのはみ出し量を求めた。はみ出し量を下記の基準で判定した。
はみ出し量=(プレス後に積層体の側面からはみ出た熱伝導シートの重量)/(プレス前の熱伝導シートの重量)×100
[はみ出し量の判定基準]
○:熱伝導シートのはみ出し量が7%未満
△:熱伝導シートのはみ出し量が7%を超え、10%未満
×:熱伝導シートのはみ出し量が10%以上
(7)熱伝導シート中の反応組成物におけるラジカル重合性化合物(A)の重合体の重量平均分子量
熱伝導シートをメチルエチルケトン中に25℃で24時間放置した。遠心分離によりメチルエチルケトンからフィラーを分離し、得られた上澄み液から、液相クロマトグラフィーでラジカル重合性化合物の重合体を分離した。その後、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定することにより、反応組成物に含まれているラジカル重合性化合物の重合体の重量平均分子量を求めた。下記基準により判定した。
[ラジカル重合性化合物(A)の重合体の重量平均分子量の判定基準]
○:重量平均分子量が1000以上
×:重量平均分子量が1000未満
(8)熱伝導シート中の反応組成物における未反応の硬化性化合物(C)の割合
熱伝導シートをメチルエチルケトン中に25℃で24時間放置した。遠心分離によりメチルエチルケトンからフィラーを分離し、得られた上澄み液から、液相クロマトグラフィーで未反応のエポキシ基又はオキセタン基を有する硬化性化合物と該硬化性化合物の反応物とを分離した。その後、GPCで測定することにより、未反応の硬化性化合物と該硬化性化合物の反応物との合計100重量%中、未反応の硬化性化合物の含有量を求めた。下記の基準により判定した。
[ラジカル重合性化合物(A)の重量平均分子量又はゲル体の形成確認の判定基準]
○:未反応の硬化性化合物と該硬化性化合物の反応物との合計100重量%中、未反応の硬化性化合物の含有量が40重量%以上、100重量%以下
×:未反応の硬化性化合物と該硬化性化合物の反応物との合計100重量%中、未反応の硬化性化合物の含有量が40重量%未満
(9)繊維状基材及びフィラーを除く硬化物部分の屈折率
実施例及び比較例で用いた樹脂組成物の組成におけるフィラーを除いた樹脂成分のみを配合して、樹脂成分の配合物を得た。厚み50μmの離型PETシートに、上記配合物を50μmの厚みになるように塗工した。次に、紫外線照射装置を用いて、樹脂成分の配合物に波長365nmの紫外線を、実施例1〜29及び比較例1〜4では照射エネルギーが800mJ/cmとなるように100mW/cmの紫外線照度で8秒間照射して、実施例30では照射エネルギーが1800mJ/cmとなるように100mW/cmの紫外線照度で18秒間照射して、PETシート上に繊維状基材及びフィラーを含まない熱伝導シートを作製した。アッベ屈折率計を用いて、得られた熱伝導シートの屈折率を測定した。
樹脂組成物の組成及び評価結果を下記の表1〜7に示す。
Figure 2012054511
Figure 2012054511
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11…積層構造体
12…基板
12a…上面
12b…導体層
12c…凹部
13〜15…絶縁層
13a,14a…上面
13b,14b…導体層
13c,14c…凹部

Claims (11)

  1. 繊維状基材と、該繊維状基材に含浸された樹脂組成物、又は該繊維状基材に含浸されておりかつ該樹脂組成物の反応を進行させた反応組成物とを含む熱伝導シートであって、
    前記樹脂組成物が、重量平均分子量が1000以下であり、かつ炭素−炭素二重結合を有するラジカル重合性化合物と、ラジカル発生剤と、重量平均分子量が600以下であり、炭素−炭素二重結合を有さずかつエポキシ基又はオキセタン基を有する硬化性化合物と、熱硬化剤と、熱伝導率が10W/m・K以上であるフィラーとを含み、
    前記樹脂組成物中の全樹脂成分の合計100重量%中、前記ラジカル重合性化合物の含有量が10重量%以上、60重量%以下、かつ前記硬化性化合物の含有量が10重量%以上、60重量%以下である、熱伝導シート。
  2. 前記ラジカル発生剤が光ラジカル発生剤であり、
    光の照射により前記樹脂組成物の反応を進行させた反応組成物を含み、
    前記反応組成物が、前記ラジカル重合性化合物の重合が進行した重量平均分子量が1000以上である重合体を含み、かつ
    前記反応組成物が、未反応の前記硬化性化合物を含み、該硬化性化合物の反応物を含まないか又は含み、未反応の上記硬化性化合物と該硬化性化合物の反応物との合計100重量%中、未反応の上記硬化性化合物の含有量が40重量%以上、100重量%以下である、請求項1に記載の熱伝導シート。
  3. 前記フィラーの最大粒子径が35μm以下である、請求項1又は2に記載の熱伝導シート。
  4. 前記フィラーの最大粒子径が、熱伝導シートの厚みの1/2以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
  5. 前記フィラーの平均粒子径が、前記繊維状基材の平均開繊径以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
  6. 前記フィラーの熱伝導率(W/m・K)を前記フィラーの屈折率で除算した値が、5以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
  7. 熱伝導シートを硬化させたときの前記繊維状基材と前記フィラーとを除く硬化物部分の屈折率と、前記フィラーの屈折率との差の絶対値が0.3以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
  8. 前記樹脂組成物及び前記反応組成物が、溶剤を含まないか、又は溶剤を2重量%以下含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
  9. 繊維状基材と、該繊維状基材に含浸されておりかつ樹脂組成物の反応を進行させた反応組成物とを含む熱伝導シートの製造方法であって、
    重量平均分子量が1000以下であり、かつ炭素−炭素二重結合を有するラジカル重合性化合物と、光ラジカル発生剤と、重量平均分子量が600以下であり、炭素−炭素二重結合を有さずかつエポキシ基又はオキセタン基を有する硬化性化合物と、熱硬化剤と、熱伝導率が10W/m・K以上であるフィラーとを含み、かつ樹脂組成物中の全樹脂成分の合計100重量%中、前記ラジカル重合性化合物の含有量が10重量%以上、60重量%以下、かつ前記硬化性化合物の含有量が10重量%以上、60重量%以下である樹脂組成物を用いて、該樹脂組成物を繊維状基材に含浸させる工程と、
    光の照射により前記繊維状基材に含浸された前記樹脂組成物の反応を進行させて、前記樹脂組成物を反応組成物とし、前記反応組成物が、前記ラジカル重合性化合物の重合が進行した重量平均分子量が1000以上である重合体を含み、かつ前記反応組成物が、未反応の前記硬化性化合物を含み、該硬化性化合物の反応物を含まないか又は含み、未反応の前記硬化性化合物と該硬化性化合物の反応物との合計100重量%中、未反応の前記硬化性化合物の含有量が40重量%以上、100重量%以下である熱伝導シートを得る工程とを備える、熱伝導シートの製造方法。
  10. 基材と、
    前記基材の少なくとも一方の表面に積層された熱伝導層とを備え、
    前記熱伝導層が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱伝導シートを用いて、該熱伝導シートに含まれている前記樹脂組成物又は前記反応組成物を硬化させることにより形成されている、積層構造体。
  11. 前記基材が配線回路を有する基板であり、
    プリント配線板である、請求項10に記載の積層構造体。
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