JP2021042295A - 樹脂材料及び多層プリント配線板 - Google Patents

樹脂材料及び多層プリント配線板 Download PDF

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英寛 出口
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Abstract

【課題】Bステージ化物の保存安定性に優れ、かつ硬化物の誘電正接をかなり低くすることができる樹脂材料を提供する。【解決手段】本発明に係る樹脂材料は、グリシジルエーテル基を有さない脂環式エポキシ化合物と、活性エステル化合物とを含み、前記脂環式エポキシ化合物は、エポキシ基を構成する2個の炭素原子が脂肪族環を構成している構造を有し、かつ、前記脂環式エポキシ化合物は、前記脂肪族環にエステル基が直接結合している構造を有さない。【選択図】図1

Description

本発明は、エポキシ化合物を含む樹脂材料に関する。また、本発明は、上記樹脂材料を用いた多層プリント配線板に関する。
従来、半導体装置、積層板及びプリント配線板等の電子部品を得るために、様々な樹脂材料が用いられている。例えば、多層プリント配線板では、内部の層間を絶縁するための絶縁層を形成したり、表層部分に位置する絶縁層を形成したりするために、樹脂材料が用いられている。上記絶縁層の表面には、一般に金属である配線が積層される。また、上記絶縁層を形成するために、上記樹脂材料がフィルム化された樹脂フィルムが用いられることがある。上記樹脂材料及び上記樹脂フィルムは、ビルドアップフィルムを含む多層プリント配線板用の絶縁材料等として用いられている。
上記樹脂材料として、例えば、下記の特許文献1には、(A)エステル骨格を有するエポキシ樹脂、(B)活性エステル型硬化剤及び(C)無機充填材を含有する樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物では、該樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、(C)無機充填材の含有量が50質量%以上であり、(C)無機充填材を100質量部とした場合、(A)エステル骨格を有するエポキシ樹脂が1〜20質量部である。
特開2014−177530号公報
近年、情報伝送量の増加に伴う高速通信化を達成するために、プリント配線板等は多層化、大型化及び微細配線化しており、樹脂材料の硬化物(絶縁層)の誘電正接を低くすることが要求されている。
しかしながら、グリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物を含む従来の樹脂材料では、硬化物の誘電正接を十分に低くすることは困難である。特許文献1に記載の樹脂材料では、硬化物の誘電正接をある程度低くすることができるものの、高速通信化を達成するために、誘電正接をより一層低くすることが要求されている。
また、樹脂材料は、Bステージフィルム等のBステージ化物の状態で保存されることがある。しかしながら、従来の樹脂材料では、Bステージ化物の保存安定性が低く、例えば、保存中にBステージ化物の溶融粘度が上昇することがある。溶融粘度が高いBステージ化物の凹凸表面に対する埋め込み性は低く、該Bステージ化物を大型化及び微細配線化された多層プリント配線板等における絶縁層の材料として用いることは困難である。
本発明の目的は、Bステージ化物の保存安定性に優れ、かつ硬化物の誘電正接をかなり低くすることができる樹脂材料を提供することである。また、本発明は、上記樹脂材料を用いた多層プリント配線板を提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、グリシジルエーテル基を有さない脂環式エポキシ化合物と、活性エステル化合物とを含み、前記脂環式エポキシ化合物は、エポキシ基を構成する2個の炭素原子が脂肪族環を構成している構造を有し、かつ、前記脂環式エポキシ化合物は、前記脂肪族環にエステル基が直接結合している構造を有さない、樹脂材料が提供される。
本発明に係る樹脂材料のある特定の局面では、前記樹脂材料は、グリシジルエーテル基を有する第2のエポキシ化合物を含む。
本発明に係る樹脂材料のある特定の局面では、樹脂材料中の前記脂環式エポキシ化合物のエポキシ基の合計数の、樹脂材料中の前記第2のエポキシ化合物のエポキシ基の合計数に対する比が0.05を超え5未満である。
本発明に係る樹脂材料のある特定の局面では、前記樹脂材料は、硬化促進剤を含み、前記硬化促進剤が、アニオン性硬化促進剤を含む。
本発明に係る樹脂材料のある特定の局面では、樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、前記アニオン性硬化促進剤の含有量が1重量%以上である。
本発明に係る樹脂材料のある特定の局面では、前記樹脂材料は、無機充填材を含む。
本発明に係る樹脂材料のある特定の局面では、前記樹脂材料は、樹脂フィルムである。
本発明に係る樹脂材料は、多層プリント配線板において、絶縁層を形成するために好適に用いられる。
本発明の広い局面によれば、回路基板と、前記回路基板の表面上に配置された複数の絶縁層と、複数の前記絶縁層間に配置された金属層とを備え、複数の前記絶縁層の内の少なくとも1層が、上述した樹脂材料の硬化物である、多層プリント配線板が提供される。
本発明に係る樹脂材料は、グリシジルエーテル基を有さない脂環式エポキシ化合物と、活性エステル化合物とを含み、上記脂環式エポキシ化合物は、エポキシ基を構成する2個の炭素原子が脂肪族環を構成している構造を有し、かつ、上記脂環式エポキシ化合物は、上記脂肪族環にエステル基が直接結合している構造を有さない。本発明に係る樹脂材料では、上記の構成が備えられているので、Bステージ化物の保存安定性に優れ、かつ硬化物の誘電正接をかなり低くすることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂材料を用いた多層プリント配線板を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る樹脂材料は、グリシジルエーテル基を有さない脂環式エポキシ化合物と、活性エステル化合物とを含み、上記脂環式エポキシ化合物は、エポキシ基を構成する2個の炭素原子が脂肪族環を構成している構造を有し、かつ、上記脂環式エポキシ化合物は、上記脂肪族環にエステル基が直接結合している構造を有さない。
本発明に係る樹脂材料では、上記の構成が備えられているので、Bステージ化物の保存安定性に優れ、かつ硬化物の誘電正接をかなり低くすることができる。
本発明に係る樹脂材料は、アニオン重合により硬化反応を進行させることができる。
一般に、グリシジルエーテル基を有さない脂環式エポキシ化合物は、光又は熱によりカチオン重合させて用いられている。しかしながら、グリシジルエーテル基を有さない脂環式エポキシ化合物をカチオン重合させて得られる樹脂材料の硬化物では、誘電正接を十分に低くすることは困難である。本発明者は、鋭意検討した結果、特定の構造を有する上記脂環式エポキシ化合物と上記活性エステル化合物(活性エステル硬化剤)とを含む樹脂材料を用いることにより、カチオン重合ではなく、アニオン重合により硬化反応を進行させることができ、その結果、樹脂材料の硬化物の誘電正接をかなり低くできることを見出した。さらに、本発明者は、特定の構造を有する上記脂環式エポキシ化合物と上記活性エステル化合物(活性エステル硬化剤)とを含む樹脂材料を用いることにより、樹脂材料のBステージ化物の保存安定性を高めることができることも見出した。
エポキシ基を構成する2個の炭素原子が脂肪族環を構成している構造を有する脂環式エポキシ化合物では、エポキシ基を構成する2個の炭素原子が脂肪族環を構成する炭素原子でもある。この構造を有する脂環式エポキシ化合物は、エポキシ基を構成する2個の炭素原子部分において立体障害が存在するため、アニオン重合が進行し難い。しかしながら、本発明では、特定の構造を有する上記脂環式エポキシ化合物と上記活性エステル化合物とが併用されているので、上記活性エステル化合物が、上記脂環式エポキシ化合物のエポキシ基を構成する炭素原子及び酸素原子にアタックし、アニオン重合を良好に進行させることができる。特定の構造を有する上記脂環式エポキシ化合物と上記活性エステル化合物とを含む樹脂材料を用いることにより、例えば、π電子雲による電子の偏りを抑えることができ、また、グリシジルエーテル基を有さないこととによって、エーテル部分の分子運動を抑制でき、さらに、Bステージ化物の溶融粘度が保存中に上昇することを抑えることができる。その結果、硬化物の誘電正接を低くすることができ、かつ、Bステージ化物の保存安定性を高めることができる。本発明では、例えば、周波数1GHz以上の広い周波数領域において硬化物の誘電正接を低くすることができる。
また、本発明に係る樹脂材料では、硬化物の熱寸法安定性を高めることができる。
本発明に係る樹脂材料は、樹脂組成物であってもよく、樹脂フィルムであってもよい。上記樹脂組成物は、流動性を有する。上記樹脂組成物は、ペースト状であってもよい。上記ペースト状には液状が含まれる。取扱性に優れることから、本発明に係る樹脂材料は、樹脂フィルムであることが好ましい。
本発明に係る樹脂材料は、熱硬化性樹脂材料であることが好ましい。上記樹脂材料が樹脂フィルムである場合には、該樹脂フィルムは、熱硬化性樹脂フィルムであることが好ましい。本発明に係る樹脂材料は、熱硬化させて用いられることが好ましい。
以下、本発明に係る樹脂材料に用いられる各成分の詳細、及び本発明に係る樹脂材料の用途などを説明する。
[脂環式エポキシ化合物(第1のエポキシ化合物)]
上記樹脂材料は、グリシジルエーテル基を有さない脂環式エポキシ化合物(第1のエポキシ化合物)を含む。上記脂環式エポキシ化合物(第1のエポキシ化合物)は、エポキシ基を構成する2個の炭素原子が脂肪族環を構成している構造を有し、かつ、上記脂肪族環にエステル基が直接結合している構造を有さない脂環式エポキシ化合物である。上記脂環式エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記脂環式エポキシ化合物(第1のエポキシ化合物)は、エポキシ基を構成する2個の炭素原子が脂肪族環を構成している構造を有する。上記脂肪族環を構成する炭素原子のうちの2個の炭素原子が、1個のエポキシ基を構成する2個の炭素原子である。
上記脂肪族環は、環の一部に二重結合を有していてもよい。ただし、上記脂肪族環は、二重結合を有さないことが好ましい。
上記脂肪族環としては、モノシクロアルカン環、ビシクロアルカン環、トリシクロアルカン環及びテトラシクロアルカン環等が挙げられる。
本発明の効果をより一層効果的に発揮させる観点からは、上記脂肪族環は、少なくともシクロヘキサン環を有することが好ましい。なお、上記シクロヘキサン環は、ノルボルナン環であってもよく、トリシクロデカン環であってもよい。
硬化物の誘電正接をより一層低くする観点からは、上記脂環式エポキシ化合物(第1のエポキシ化合物)は、上記脂肪族環として、シクロヘキサン環を少なくとも有することが好ましく、ノルボルナン環を少なくとも有することがより好ましく、トリシクロデカン環を少なくとも有することが更に好ましい。
上記脂環式エポキシ化合物は、上記脂肪族環にエステル基が直接結合している構造を有さない。上記脂環式エポキシ化合物は、エステル基を有していてもよく、有していなくてもよい。上記脂環式エポキシ化合物がエステル基を有する場合には、上記脂肪族環と該エステル基とは、直接結合しておらず、上記脂肪族環を構成する炭素原子と、上記エステル基を構成する炭素原子との間には、炭素原子等の原子が存在する。
本発明の効果をより一層効果的に発揮させる観点からは、上記脂環式エポキシ化合物は、エステル基を有さないことが好ましい。
上記脂環式エポキシ化合物のエポキシ基の個数は、1個以上であり、好ましくは2個、より好ましくは2個以上、好ましくは5個以下、より好ましくは4個以下である。上記脂環式エポキシ化合物のエポキシ基の個数が上記下限以上及び上記上限以下であると、アニオン重合により硬化反応を良好に進行させることができる。
上記脂環式エポキシ化合物の軟化点は、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。上記軟化点が上記上限以下であると、硬化物の誘電正接をより一層低くすることができ、硬化物の線膨張係数(CTE)を良好にすることができ、Bステージフィルム等のBステージ化物の取扱性を高めることができる。
上記脂環式エポキシ化合物の軟化点は、例えば、DSC装置(SIIナノテクノロジー社製)等を用いて測定することができる。
上記脂環式エポキシ化合物の分子量は、好ましくは100以上、より好ましくは130以上、更に好ましくは140以上、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下、更に好ましくは700以下である。上記脂環式エポキシ化合物の分子量が上記下限以上及び上記上限以下であると、Bステージフィルム等のBステージ化物の取扱性を高めることができ、かつ、硬化物の線膨張係数(CTE)を良好にすることができる。また、上記脂環式エポキシ化合物の分子量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、無機充填材の含有量が50重量%以上であっても、絶縁層の形成時に流動性が高い樹脂材料が得られる。このため、樹脂材料の未硬化物又はBステージ化物を回路基板上にラミネートした場合に、無機充填材を均一に存在させることができる。
上記脂環式エポキシ化合物の分子量は、上記脂環式エポキシ化合物が重合体ではない場合、及び上記脂環式エポキシ化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記脂環式エポキシ化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
上記樹脂材料が後述の第2のエポキシ化合物を含む場合に、樹脂材料中の上記脂環式エポキシ化合物(第1のエポキシ化合物)のエポキシ基の合計数の、樹脂材料中の上記第2のエポキシ化合物のエポキシ基の合計数に対する比を、「比(X)」とする。比(X)は、「樹脂材料中の上記脂環式エポキシ化合物(第1のエポキシ化合物)のエポキシ基の合計数/樹脂材料中の上記第2のエポキシ化合物のエポキシ基の合計数」である。比(X)は、好ましくは0.05を超え、より好ましくは0.1を超え、更に好ましくは0.2を超え、好ましくは5未満、より好ましくは4未満、更に好ましくは3未満である。比(X)が上記の範囲内であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができ、また、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
比(X)は、以下のようにして求めることができる。
例えば、上記樹脂材料が上記脂環式エポキシ化合物(第1のエポキシ化合物)として1種類のエポキシ化合物を含み、かつ上記第2のエポキシ化合物として1種類のエポキシ化合物を含む場合には、比(X)は、該脂環式エポキシ化合物と該第2のエポキシ化合物との当量比で表される。また、上記樹脂材料が上記脂環式エポキシ化合物(第1のエポキシ化合物)として2種類以上のエポキシ化合物を含むか、又は、上記第2のエポキシ化合物として2種類以上のエポキシ化合物を含む場合には、比(X)は、各エポキシ化合物の含有量比から算出した平均当量比で表される。
[グリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物(第2のエポキシ化合物)]
上記樹脂材料は、グリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物(第2のエポキシ化合物)を含むことが好ましい。上記グリシジルエーテル基を有する第2のエポキシ化合物は、上記脂環式エポキシ化合物(第1のエポキシ化合物)とは異なる。上記樹脂材料が上記第2のエポキシ化合物を含むことにより、第2のエポキシ化合物と硬化剤との反応が進行し、その反応によって発生した熱で第1のエポキシ化合物と硬化剤とのアニオン重合をより一層良好に進行させることができる。上記第2のエポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第2のエポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ化合物等が挙げられる。
アニオン重合をより一層良好に進行させる観点、硬化物の誘電正接をより一層低くする観点、硬化物の熱寸法安定性及び難燃性をより一層高める観点からは、上記第2のエポキシ化合物は、芳香族骨格を有するエポキシ化合物を含むことが好ましく、ナフタレン骨格又はフェニル骨格を有するエポキシ化合物を含むことがより好ましい。
上記第2のエポキシ化合物は、25℃で液状のエポキシ化合物を含んでいてもよく、25℃で固形のエポキシ化合物を含んでいてもよく、25℃で液状のエポキシ化合物と、25℃で固形のエポキシ化合物との双方を含んでいてもよい。
上記第2のエポキシ化合物が上記25℃で液状のエポキシ化合物を含む場合に、該上記25℃で液状のエポキシ化合物の25℃での粘度は、1000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以下であることがより好ましい。
上記第2のエポキシ化合物の粘度は、例えば動的粘弾性測定装置(レオロジカ・インスツルメンツ社製「VAR−100」)等を用いて測定することができる。
上記第2のエポキシ化合物の分子量は1000以下であることがより好ましい。この場合には、樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、無機充填材の含有量が50重量%以上であっても、絶縁層の形成時に流動性が高い樹脂材料が得られる。このため、樹脂材料の未硬化物又はBステージ化物を回路基板上にラミネートした場合に、無機充填材を均一に存在させることができる。
上記第2のエポキシ化合物の分子量は、上記エポキシ化合物が重合体ではない場合、及び上記第2のエポキシ化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記第2のエポキシ化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
樹脂材料中の全てのエポキシ化合物の含有量の、後述する硬化剤の合計の含有量に対する重量比(樹脂材料中の全てのエポキシ化合物の含有量/後述する硬化剤の合計の含有量)は、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、好ましくは2以下、より好ましくは1.6以下である。上記重量比(樹脂材料中の全てのエポキシ化合物の含有量/後述する硬化剤の合計の含有量)が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の誘電正接をより一層低くし、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる。
[第1のエポキシ化合物及び第2のエポキシ化合物の双方と異なるエポキシ化合物(第3のエポキシ化合物)]
上記樹脂材料は、第1のエポキシ化合物及び第2のエポキシ化合物の双方と異なるエポキシ化合物(第3のエポキシ化合物)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。上記第3のエポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第3のエポキシ化合物としては、グリシジルエーテル基を有さず、かつ脂肪族環にエステル基が直接結合している構造を有するエポキシ化合物等が挙げられる。上記樹脂材料は、例えば、グリシジルエーテル基を有さず、かつ脂肪族環にエステル基が直接結合している構造を有するエポキシ化合物を含んでいてなくてもよい。
[エポキシ化合物とは異なる熱硬化性化合物]
上記樹脂材料は、エポキシ化合物とは異なる熱硬化性化合物を含んでいてもよい。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化性化合物としては、マレイミド化合物、ビニル化合物、スチレン化合物、フェノキシ化合物、オキセタン化合物、ポリアリレート化合物、ジアリルフタレート化合物、アクリレート化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、及びシリコーン化合物等が挙げられる。
[硬化剤]
上記樹脂材料は、硬化剤として、活性エステル化合物(第1の硬化剤)を少なくとも含む。上記樹脂材料では、硬化剤として活性エステル化合物を少なくとも含むので、アニオン重合をより一層良好に進行させることができ、硬化物の誘電正接を低くすることができる。また、上記樹脂材料では、硬化剤として活性エステル化合物を少なくとも含むので、Bステージ化物の溶融粘度が保存中に上昇することを抑えることができ、Bステージ化物の保存安定性を高めることができる。上記活性エステル化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記活性エステル化合物とは、エステル結合を少なくとも1個有し、かつ、エステル結合の両側に脂肪族鎖、脂肪族環又は芳香族環が結合している化合物をいう。活性エステル化合物は、例えばカルボン酸化合物又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物又はチオール化合物との縮合反応によって得られる。活性エステル化合物の例としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021042295
上記式(1)中、X1は、脂肪族鎖を含む基、脂肪族環を含む基又は芳香族環を含む基を表し、X2は、芳香族環を含む基を表す。上記芳香族環を含む基の好ましい例としては、置換基を有していてもよいベンゼン環、及び置換基を有していてもよいナフタレン環等が挙げられる。上記置換基としては、炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下である。
上記式(1)中、X1及びX2の組み合わせとしては、置換基を有していてもよいベンゼン環と、置換基を有していてもよいベンゼン環との組み合わせ、置換基を有していてもよいベンゼン環と、置換基を有していてもよいナフタレン環との組み合わせが挙げられる。さらに、上記式(1)中、X1及びX2の組み合わせとしては、置換基を有していてもよいナフタレン環と、置換基を有していてもよいナフタレン環との組み合わせが挙げられる。
上記活性エステル化合物は特に限定されない。熱寸法安定性及び難燃性をより一層高める観点からは、上記活性エステル化合物は、2個以上の芳香族骨格を有する活性エステル化合物であることが好ましい。硬化物の誘電正接を低くし、かつ硬化物の熱寸法安定性を高める観点から、活性エステル化合物の主鎖骨格中にナフタレン環を有することがより好ましい。
上記活性エステル化合物の市販品としては、DIC社製「HPC−8000−65T」、「EXB9416−70BK」及び「EXB8100−65T」等が挙げられる。
上記樹脂材料は、硬化剤として、活性エステル化合物以外の硬化剤(第2の硬化剤)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。上記樹脂材料は、上記第2の硬化剤を含むことが好ましい。上記第2の硬化剤として、従来公知の硬化剤を使用可能である。上記第2の硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第2の硬化剤としては、フェノール化合物(フェノール硬化剤)、シアネートエステル化合物(シアネートエステル硬化剤)、ベンゾオキサジン化合物(ベンゾオキサジン硬化剤)、カルボジイミド化合物(カルボジイミド硬化剤)、アミン化合物(アミン硬化剤)、チオール化合物(チオール硬化剤)、ホスフィン化合物、ジシアンジアミド、及び酸無水物等が挙げられる。上記第2の硬化剤は、上記エポキシ化合物のエポキシ基と反応可能な官能基を有することが好ましい。
硬化物の誘電正接を一層低くする観点及び硬化物の熱寸法安定性をより一層高める観点から、上記第2の硬化剤は、フェノール化合物、シアネートエステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、カルボジイミド化合物及び酸無水物の内の少なくとも1種の成分を含むことが好ましく、フェノール化合物を含むことがより好ましい。
上記フェノール化合物としては、ノボラック型フェノール、ビフェノール型フェノール、ナフタレン型フェノール、ジシクロペンタジエン型フェノール、アラルキル型フェノール及びジシクロペンタジエン型フェノール等が挙げられる。
上記フェノール化合物の市販品としては、ノボラック型フェノール(DIC社製「TD−2091」)、ビフェニルノボラック型フェノール(明和化成社製「MEH−7851」)、アラルキル型フェノール化合物(明和化成社製「MEH−7800」)、並びにアミノトリアジン骨格を有するフェノール(DIC社製「LA−1356」及び「LA−3018−50P」)等が挙げられる。
上記シアネートエステル化合物としては、ノボラック型シアネートエステル樹脂、ビスフェノール型シアネートエステル樹脂、並びにこれらが一部三量化されたプレポリマー等が挙げられる。上記ノボラック型シアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂及びアルキルフェノール型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。上記ビスフェノール型シアネートエステル樹脂としては、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールE型シアネートエステル樹脂及びテトラメチルビスフェノールF型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。
上記シアネートエステル化合物の市販品としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン社製「PT−30」及び「PT−60」)、並びにビスフェノール型シアネートエステル樹脂が三量化されたプレポリマー(ロンザジャパン社製「BA−230S」、「BA−3000S」、「BTP−1000S」及び「BTP−6020S」)等が挙げられる。
上記ベンゾオキサジン化合物としては、P−d型ベンゾオキサジン、及びF−a型ベンゾオキサジン等が挙げられる。
上記ベンゾオキサジン化合物の市販品としては、四国化成工業社製「P−d型」等が挙げられる。
上記カルボジイミド化合物は、下記式(2)で表される構造単位を有する化合物である。下記式(2)において、右端部及び左端部は、他の基との結合部位である。上記カルボジイミド化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
Figure 2021042295
上記式(2)中、Xは、アルキレン基、アルキレン基に置換基が結合した基、シクロアルキレン基、シクロアルキレン基に置換基が結合した基、アリーレン基、又はアリーレン基に置換基が結合した基を表し、pは1〜5の整数を表す。Xが複数存在する場合、複数のXは同一であってもよく、異なっていてもよい。
好適な一つの形態において、少なくとも1つのXは、アルキレン基、アルキレン基に置換基が結合した基、シクロアルキレン基、又はシクロアルキレン基に置換基が結合した基である。
上記カルボジイミド化合物の市販品としては、日清紡ケミカル社製「カルボジライト V−02B」、「カルボジライト V−03」、「カルボジライト V−04K」、「カルボジライト V−07」、「カルボジライト V−09」、「カルボジライト 10M−SP」、及び「カルボジライト 10M−SP(改)」、並びに、ラインケミー社製「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、及び「ハイカジル510」等が挙げられる。
上記酸無水物としては、テトラヒドロフタル酸無水物、及びアルキルスチレン−無水マ
上記酸無水物の市販品としては、新日本理化社製「リカシッド TDA−100」等が挙げられる。
上記樹脂材料が上記第2の硬化剤を含む場合に、樹脂材料中の上記第2の硬化剤の反応性官能基の合計数の、樹脂材料中の上記活性エステル化合物(第1の硬化剤)の反応性官能基の合計数に対する比を、「比(Y)」とする。比(Y)は、「樹脂材料中の上記第2の硬化剤の反応性官能基の合計数/樹脂材料中の上記活性エステル化合物(第1の硬化剤)の反応性官能基の合計数」である。上記反応性官能基とは、エポキシ化合物のエポキシ基と反応可能な基である。比(Y)は、好ましくは0を超え、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下である。比(Y)が上記の範囲内であると、硬化物の誘電正接を低くすることができ、Bステージ化物の保存安定性を高めることができる。
上記樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、樹脂材料中の全てのエポキシ化合物と、全ての上記硬化剤との合計の含有量は、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、好ましくは100重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。上記合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、アニオン重合をより一層良好に進行させることができ、硬化物の誘電正接を低くすることができ、Bステージ化物の保存安定性を高めることができる。なお、上記「樹脂材料中の全てのエポキシ化合物と、全ての上記硬化剤との合計の含有量」とは、「上記脂環式エポキシ化合物(第1のエポキシ化合物)と、上記第2のエポキシ化合物と、上記活性エステル化合物(第1の硬化剤)と、上記第2の硬化剤との合計の含有量」を意味する。
[無機充填材]
上記樹脂材料は、無機充填材を含むことが好ましい。上記無機充填材の使用により、硬化物の誘電正接をより一層低くすることができる。また、上記無機充填材の使用により、硬化物の熱寸法安定性をより一層高めることができる上記無機充填材は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記無機充填材としては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素等が挙げられる。
硬化物の表面の表面粗さを小さくし、硬化物と金属層との接着強度をより一層高くし、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成し、かつ硬化物により良好な絶縁信頼性を付与する観点からは、上記無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましく、シリカであることがより好ましく、溶融シリカであることが更に好ましい。シリカの使用により、硬化物の熱膨張率がより一層低くなり、また、硬化物の誘電正接がより一層低くなる。また、シリカの使用により、硬化物の表面の表面粗さが効果的に小さくなり、硬化物と金属層との接着強度が効果的に高くなる。シリカの形状は球状であることが好ましい。
硬化環境によらず、樹脂の硬化を進め、硬化物のガラス転移温度を効果的に高くし、硬化物の熱線膨張係数を効果的に小さくする観点からは、上記無機充填材は球状シリカであることが好ましい。
熱伝導率を高め、かつ絶縁性を高める観点からは、上記無機充填材はアルミナであることが好ましい。
上記無機充填材の平均粒径は、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上、更に好ましくは500nm以上、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、更に好ましくは1μm以下である。上記無機充填材の平均粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、エッチング後の表面粗度を小さくし、かつメッキピール強度を高くすることができ、また、絶縁層と金属層との密着性をより一層高めることができる。
上記無機充填材の平均粒径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定可能である。
上記無機充填材は、球状であることが好ましく、球状シリカであることがより好ましい。この場合には、硬化物の表面の表面粗さが効果的に小さくなり、更に硬化物と金属層との接着強度が効果的に高くなる。上記無機充填材が球状である場合には、上記無機充填材のアスペクト比は好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下である。
上記無機充填材は、表面処理されていることが好ましく、カップリング剤による表面処理物であることがより好ましく、シランカップリング剤による表面処理物であることが更に好ましい。上記無機充填材が表面処理されていることにより、粗化硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。また、上記無機充填材が表面処理されていることにより、硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができ、かつより一層良好な配線間絶縁信頼性及び層間絶縁信頼性を硬化物に付与することができる。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、メタクリルシラン、アクリルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン、ビニルシラン、及びエポキシシラン等が挙げられる。
樹脂材料中の溶剤を除く成分100重量%中、上記無機充填材の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは65重量%以上、特に好ましくは68重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下、更に好ましくは80重量%以下、特に好ましくは75重量%以下である。上記無機充填材の含有量が上記下限以上であると、誘電正接が効果的に低くなる。上記無機充填材の含有量が上記上限以下であると、熱寸法安定性を高め、硬化物の反りを効果的に抑えることができる。上記無機充填材の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができる。さらに、この無機充填材の含有量であれば、硬化物の熱膨張率を低くすることと同時に、スミア除去性を良好にすることも可能である。
[硬化促進剤]
上記樹脂材料は、硬化促進剤を含むこと好ましい。上記硬化促進剤の使用により、硬化速度がより一層速くなる。樹脂材料を速やかに硬化させることで、硬化物における架橋構造が均一になると共に、未反応の官能基数が減り、結果的に架橋密度が高くなる。上記硬化促進剤は特に限定されず、従来公知の硬化促進剤を使用可能である。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物等のアニオン性硬化促進剤、アミン化合物等のカチオン性硬化促進剤、リン化合物及び有機金属化合物等のアニオン性及びカチオン性硬化促進剤以外の硬化促進剤、並びに過酸化物等のラジカル性硬化促進剤等が挙げられる。
上記イミダゾール化合物としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン化合物等が挙げられる。
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
上記過酸化物としてはジクミルペルオキシド、及びパーヘキシル25B等が挙げられる。
アニオン重合をより一層良好に進行させる観点からは、上記硬化促進剤は、上記アニオン性硬化促進剤を含むことが好ましく、上記アニオン性硬化促進剤であることが好ましい。上記アニオン性硬化促進剤は、イミダゾール化合物を含むことが好ましく、イミダゾール化合物であることがより好ましい。
上記硬化促進剤の含有量は特に限定されない。樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。上記硬化促進剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂材料が効率的に硬化する。上記硬化促進剤の含有量がより好ましい範囲であれば、樹脂材料の保存安定性がより一層高くなり、かつより一層良好な硬化物が得られる。
上記硬化促進剤の含有量は特に限定されない。樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記アニオン性硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。上記アニオン性硬化促進剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂材料が効率的に硬化する。上記硬化促進剤の含有量がより好ましい範囲であれば、樹脂材料の保存安定性がより一層高くなり、かつより一層良好な硬化物が得られる。
[熱可塑性樹脂]
上記樹脂材料は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂及びフェノキシ樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化環境によらず、誘電正接を効果的に低くし、かつ、金属配線の密着性を効果的に高める観点からは、上記熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂であることが好ましい。フェノキシ樹脂の使用により、樹脂フィルムの回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性の悪化及び無機充填材の不均一化が抑えられる。また、フェノキシ樹脂の使用により、溶融粘度を調整可能であるために無機充填材の分散性が良好になり、かつ硬化過程で、意図しない領域に樹脂組成物又はBステージ化物が濡れ拡がり難くなる。
上記樹脂材料に含まれているフェノキシ樹脂は特に限定されない。上記フェノキシ樹脂として、従来公知のフェノキシ樹脂を使用可能である。上記フェノキシ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型の骨格、ビスフェノールF型の骨格、ビスフェノールS型の骨格、ビフェニル骨格、ノボラック骨格、ナフタレン骨格及びイミド骨格などの骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、新日鉄住金化学社製の「YP50」、「YP55」及び「YP70」、並びに三菱化学社製の「1256B40」、「4250」、「4256H40」、「4275」、「YX6954BH30」及び「YX8100BH30」等が挙げられる。
ハンドリング性、低粗度でのメッキピール強度及び絶縁層と金属層との密着性を高める観点から、上記熱可塑性樹脂は、ポリイミド樹脂(ポリイミド化合物)であることが好ましい。
溶解性を良好にする観点からは、上記ポリイミド化合物は、テトラカルボン酸二無水物とダイマージアミンとを反応させる方法によって得られたポリイミド化合物であることが好ましい。
上記テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、及びビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等が挙げられる。
上記ダイマージアミンとしては、例えば、バーサミン551(商品名BASFジャパン社製、3,4−ビス(1−アミノヘプチル)−6−ヘキシル−5−(1−オクテニル)シクロヘキセン)、バーサミン552(商品名、コグニクスジャパン社製、バーサミン551の水添物)、PRIAMINE1075、PRIAMINE1074(商品名、いずれもクローダジャパン社製)等が挙げられる。
なお、上記ポリイミド化合物は末端に、酸無水物構造、マレイミド構造、シトラコンイミド構造を有していてもよい。この場合には、上記ポリイミド化合物とエポキシ化合物とを反応させることができる。上記ポリイミド化合物とエポキシ化合物とを反応させることにより、硬化物の熱寸法安定性を高めることができる。
保存安定性により一層優れた樹脂材料を得る観点からは、上記熱可塑性樹脂、上記ポリイミド樹脂及び上記フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000以上、より好ましくは10000以上、好ましくは100000以下、より好ましくは50000以下である。
上記熱可塑性樹脂、上記ポリイミド樹脂及び上記フェノキシ樹脂の上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記熱可塑性樹脂、上記ポリイミド樹脂及び上記フェノキシ樹脂の含有量は特に限定されない。樹脂材料中の上記無機充填材及び上記溶剤を除く成分100重量%中、上記熱可塑性樹脂の含有量(熱可塑性樹脂がポリイミド樹脂又はフェノキシ樹脂である場合には、ポリイミド樹脂又はフェノキシ樹脂の含有量)は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂材料の回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性が良好になる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上であると、樹脂フィルムの形成がより一層容易になり、より一層良好な絶縁層が得られる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、硬化物の熱膨張率がより一層低くなる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。
[溶剤]
上記樹脂材料は、溶剤を含まないか又は含む。上記溶剤の使用により、樹脂材料の粘度を好適な範囲に制御でき、樹脂材料の塗工性を高めることができる。また、上記溶剤は、上記無機充填材を含むスラリーを得るために用いられてもよい。上記溶剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶剤としては、アセトン、メタノール、エタノール、ブタノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、N−メチル−ピロリドン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン及び混合物であるナフサ等が挙げられる。
上記溶剤の多くは、上記樹脂組成物をフィルム状に成形するときに、除去されることが好ましい。従って、上記溶剤の沸点は、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。上記樹脂組成物中の上記溶剤の含有量は特に限定されない。上記樹脂組成物の塗工性などを考慮して、上記溶剤の含有量は適宜変更可能である。
上記樹脂材料がBステージフィルムである場合には、上記Bステージフィルム100重量%中、上記溶剤の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
[他の成分]
耐衝撃性、耐熱性、樹脂の相溶性及び作業性等の改善を目的として、上記樹脂材料は、レベリング剤、難燃剤、カップリング剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、消泡剤、増粘剤、及び揺変性付与剤等を含んでいてもよい。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、ビニルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
(樹脂フィルム)
上述した樹脂組成物をフィルム状に成形することにより樹脂フィルム(Bステージ化物/Bステージフィルム)が得られる。上記樹脂材料は、樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムは、Bステージフィルムであることが好ましい。
樹脂組成物をフィルム状に成形して、樹脂フィルムを得る方法としては、以下の方法が挙げられる。押出機を用いて、樹脂組成物を溶融混練し、押出した後、Tダイ又はサーキュラーダイ等により、フィルム状に成形する押出成形法。溶剤を含む樹脂組成物をキャスティングしてフィルム状に成形するキャスティング成形法。従来公知のその他のフィルム成形法。薄型化に対応可能であることから、押出成形法又はキャスティング成形法が好ましい。フィルムにはシートが含まれる。
樹脂組成物をフィルム状に成形し、熱による硬化が進行し過ぎない程度に、例えば50℃〜150℃で1分間〜10分間加熱乾燥させることにより、Bステージフィルムである樹脂フィルムを得ることができる。
上述のような乾燥工程により得ることができるフィルム状の樹脂組成物をBステージフィルムと称する。上記Bステージフィルムは、半硬化状態にある。半硬化物は、完全に硬化しておらず、硬化がさらに進行され得る。
上記樹脂フィルムは、プリプレグでなくてもよい。上記樹脂フィルムがプリプレグではない場合には、ガラスクロス等に沿ってマイグレーションが生じなくなる。また、樹脂フィルムをラミネート又はプレキュアする際に、表面にガラスクロスに起因する凹凸が生じなくなる。
上記樹脂フィルムは、金属箔又は基材フィルムと、該金属箔又は該基材フィルムの表面に積層された樹脂フィルムとを備える積層フィルムの形態で用いることができる。上記金属箔は銅箔であることが好ましい。
上記積層フィルムの上記基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルム等のオレフィン樹脂フィルム、並びにポリイミド樹脂フィルム等が挙げられる。上記基材フィルムの表面は、必要に応じて、離型処理されていてもよい。
樹脂フィルムの硬化度をより一層均一に制御する観点からは、上記樹脂フィルムの厚さは、好ましくは5μm以上であり、好ましくは200μm以下である。上記樹脂フィルムを回路の絶縁層として用いる場合、上記樹脂フィルムにより形成された絶縁層の厚さは、回路を形成する導体層(金属層)の厚さ以上であることが好ましい。上記絶縁層の厚さは、好ましくは5μm以上であり、好ましくは200μm以下である。
(半導体装置、プリント配線板、銅張積層板及び多層プリント配線板)
上記樹脂材料は、半導体装置において半導体チップを埋め込むモールド樹脂を形成するために好適に用いられる。
上記樹脂材料は、絶縁材料として好適に用いられる。上記樹脂材料は、プリント配線板において絶縁層を形成するために好適に用いられる。
上記プリント配線板は、例えば、上記樹脂材料を加熱加圧成形することにより得られる。
上記樹脂フィルムに対して、片面又は両面に金属層を表面に有する積層対象部材を積層できる。金属層を表面に有する積層対象部材と、上記金属層の表面上に積層された樹脂フィルムとを備え、上記樹脂フィルムが、上述した樹脂材料である、積層構造体を好適に得ることができる。上記樹脂フィルムと上記金属層を表面に有する積層対象部材とを積層する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、平行平板プレス機又はロールラミネーター等の装置を用いて、加熱しながら又は加熱せずに加圧しながら、上記樹脂フィルムを、金属層を表面に有する積層対象部材に積層可能である。
上記金属層の材料は銅であることが好ましい。
上記金属層を表面に有する積層対象部材は、銅箔等の金属箔であってもよい。
上記樹脂材料は、銅張積層板を得るために好適に用いられる。上記銅張積層板の一例として、銅箔と、該銅箔の一方の表面に積層された樹脂フィルムとを備える銅張積層板が挙げられる。
上記銅張積層板の上記銅箔の厚さは特に限定されない。上記銅箔の厚さは、1μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、上記樹脂材料の硬化物と銅箔との接着強度を高めるために、上記銅箔は微細な凹凸を表面に有することが好ましい。凹凸の形成方法は特に限定されない。上記凹凸の形成方法としては、公知の薬液を用いた処理による形成方法等が挙げられる。
上記樹脂材料は、多層基板を得るために好適に用いられる。
上記多層基板の一例として、回路基板と、該回路基板上に積層された絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。この多層基板の絶縁層が、上記樹脂材料により形成されている。また、多層基板の絶縁層が、積層フィルムを用いて、上記積層フィルムの上記樹脂フィルムにより形成されていてもよい。上記絶縁層は、回路基板の回路が設けられた表面上に積層されていることが好ましい。上記絶縁層の一部は、上記回路間に埋め込まれていることが好ましい。
上記多層基板では、上記絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面が粗化処理されていることが好ましい。
粗化処理方法は、従来公知の粗化処理方法を用いることができ、特に限定されない。上記絶縁層の表面は、粗化処理の前に膨潤処理されていてもよい。
また、上記多層基板は、上記絶縁層の粗化処理された表面に積層された銅めっき層をさらに備えることが好ましい。
また、上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された絶縁層と、該絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面に積層された銅箔とを備える多層基板が挙げられる。上記絶縁層が、銅箔と該銅箔の一方の表面に積層された樹脂フィルムとを備える銅張積層板を用いて、上記樹脂フィルムを硬化させることにより形成されていることが好ましい。さらに、上記銅箔はエッチング処理されており、銅回路であることが好ましい。
上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された複数の絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。上記回路基板上に配置された上記複数層の絶縁層の内の少なくとも1層が、上記樹脂材料を用いて形成される。上記多層基板は、上記樹脂フィルムを用いて形成されている上記絶縁層の少なくとも一方の表面に積層されている回路をさらに備えることが好ましい。
多層基板のうち多層プリント配線板においては、低い誘電正接が求められ、絶縁層による高い絶縁信頼性が求められる。従って、本発明に係る樹脂材料は、多層プリント配線板において、絶縁層を形成するために好適に用いられる。
上記多層プリント配線板は、例えば、回路基板と、上記回路基板の表面上に配置された複数の絶縁層と、複数の上記絶縁層間に配置された金属層とを備える。上記絶縁層の内の少なくとも1層が、上記樹脂材料の硬化物である。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂材料を用いた多層プリント配線板を模式的に示す断面図である。
図1に示す多層プリント配線板11では、回路基板12の上面12aに、複数層の絶縁層13〜16が積層されている。絶縁層13〜16は、硬化物層である。回路基板12の上面12aの一部の領域には、金属層17が形成されている。複数層の絶縁層13〜16のうち、回路基板12側とは反対の外側の表面に位置する絶縁層16以外の絶縁層13〜15には、上面の一部の領域に金属層17が形成されている。金属層17は回路である。回路基板12と絶縁層13の間、及び積層された絶縁層13〜16の各層間に、金属層17がそれぞれ配置されている。下方の金属層17と上方の金属層17とは、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続の内の少なくとも一方により互いに接続されている。
多層プリント配線板11では、絶縁層13〜16が、上記樹脂材料の硬化物により形成されている。本実施形態では、絶縁層13〜16の表面が粗化処理されているので、絶縁層13〜16の表面に図示しない微細な孔が形成されている。また、微細な孔の内部に金属層17が至っている。また、多層プリント配線板11では、金属層17の幅方向寸法(L)と、金属層17が形成されていない部分の幅方向寸法(S)とを小さくすることができる。また、多層プリント配線板11では、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続で接続されていない上方の金属層と下方の金属層との間に、良好な絶縁信頼性が付与されている。
(粗化処理及び膨潤処理)
上記樹脂材料は、粗化処理又はデスミア処理される硬化物を得るために用いられることが好ましい。上記硬化物には、更に硬化が可能な予備硬化物も含まれる。
上記樹脂材料を予備硬化させることにより得られた硬化物の表面に微細な凹凸を形成するために、硬化物は粗化処理されることが好ましい。粗化処理の前に、硬化物は膨潤処理されることが好ましい。硬化物は、予備硬化の後、かつ粗化処理される前に、膨潤処理されており、さらに粗化処理の後に硬化されていることが好ましい。ただし、硬化物は、必ずしも膨潤処理されなくてもよい。
上記膨潤処理の方法としては、例えば、エチレングリコールなどを主成分とする化合物の水溶液又は有機溶媒分散溶液などにより、硬化物を処理する方法が用いられる。膨潤処理に用いる膨潤液は、一般にpH調整剤などとして、アルカリを含む。膨潤液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。具体的には、例えば、上記膨潤処理は、40重量%エチレングリコール水溶液等を用いて、処理温度30℃〜85℃で1分間〜30分間、硬化物を処理することにより行なわれる。上記膨潤処理の温度は50℃〜85℃の範囲内であることが好ましい。上記膨潤処理の温度が低すぎると、膨潤処理に長時間を要し、更に硬化物と金属層との接着強度が低くなる傾向がある。
上記粗化処理には、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。粗化処理に用いられる粗化液は、一般にpH調整剤などとしてアルカリを含む。粗化液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記マンガン化合物としては、過マンガン酸カリウム及び過マンガン酸ナトリウム等が挙げられる。上記クロム化合物としては、重クロム酸カリウム及び無水クロム酸カリウム等が挙げられる。上記過硫酸化合物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
硬化物の表面の算術平均粗さRaは、好ましくは10nm以上であり、好ましくは300nm未満、より好ましくは200nm未満、更に好ましくは150nm未満である。この場合には、硬化物と金属層との接着強度が高くなり、更に絶縁層の表面により一層微細な配線が形成される。さらに、導体損失を抑えることができ、信号損失を低く抑えることができる。上記算術平均粗さRaは、JIS B0601:1994に準拠して測定される。
(デスミア処理)
上記樹脂材料を予備硬化させることにより得られた硬化物に、貫通孔が形成されることがある。上記多層基板などでは、貫通孔として、ビア又はスルーホール等が形成される。例えば、ビアは、COレーザー等のレーザーの照射により形成できる。ビアの直径は特に限定されないが、60μm〜80μm程度である。上記貫通孔の形成により、ビア内の底部には、硬化物に含まれている樹脂成分に由来する樹脂の残渣であるスミアが形成されることが多い。
上記スミアを除去するために、硬化物の表面は、デスミア処理されることが好ましい。デスミア処理が粗化処理を兼ねることもある。
上記デスミア処理には、上記粗化処理と同様に、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物等の化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。デスミア処理に用いられるデスミア処理液は、一般にアルカリを含む。デスミア処理液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記樹脂材料の使用により、デスミア処理された硬化物の表面の表面粗さが十分に小さくなる。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
以下の材料を用意した。
(グリシジルエーテル基を有さない脂環式エポキシ化合物(第1のエポキシ化合物))
下記式(A1)で表される脂環式エポキシ化合物A1(エポキシ当量80)
下記式(A2)で表される脂環式エポキシ化合物A2(エポキシ当量122)
下記式(A3)で表される脂環式エポキシ化合物A3(エポキシ当量115)
Figure 2021042295
Figure 2021042295
Figure 2021042295
(グリシジルエーテル基を有する第2のエポキシ化合物)
ビフェニル型エポキシ化合物(日本化薬社製「NC−3000」)
グリシジルアミン型エポキシ化合物(三菱ケミカル社製「630」))
(第3のエポキシ化合物)
グリシジルエーテル基を有さず、かつ脂肪族環にエステル基が直接結合している構造を有するエポキシ化合物(ダイセル社製「セロキサイド 2021P」、エポキシ当量130)
(硬化剤)
活性エステル化合物(DIC社製「EXB−8」、固形分100重量%)
フェノール化合物含有液(DIC社製「LA−1356」、固形分60重量%)
(無機充填材)
シリカ含有スラリー(シリカ75重量%:アドマテックス社製「SC4050−HOA」、平均粒径1.0μm、アミノシラン処理、シクロヘキサノン25重量%)
(硬化促進剤)
2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製「2P4MZ」、アニオン性硬化促進剤)
(熱可塑性樹脂)
ポリイミド化合物(荒川化学社製「PIAD300」、固形分30重量%)
(実施例1〜3及び比較例1〜5)
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量(単位は固形分重量部)で配合し、均一な溶液となるまで常温で攪拌し、樹脂材料を得た。
樹脂フィルムの作製:
アプリケーターを用いて、離型処理されたPETフィルム(東レ社製「XG284」、厚み25μm)の離型処理面上に得られた樹脂材料を塗工した後、100℃のギヤオーブン内で2分30秒間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、PETフィルム上に、厚さが40μmである樹脂フィルム(Bステージフィルム)が積層されている積層フィルム(PETフィルムと樹脂フィルムとの積層フィルム)を得た。
(評価)
(1)Bステージフィルムの保存安定性
得られた樹脂フィルム(Bステージフィルム)を25℃で5日間静置した。静置前後のBステージフィルムの溶融粘度を測定した。静置前のBステージフィルムの溶融粘度の最小値(最低溶融粘度)と静置後のBステージフィルムの溶融粘度の最小値(最低溶融粘度)とから、溶融粘度の上昇割合を求めた。Bステージフィルムの保存安定性を下記の基準で判定した。なお、溶融粘度は、Rheometer装置(TAインスツルメント社製「AR2000」)を用い、60℃〜180℃の範囲で昇温速度5℃/分、歪み20%、周波数1Hzの条件で、大気下で測定した。
[Bステージフィルムの保存安定性の判定基準]
○:溶融粘度の上昇割合が50%未満
×:溶融粘度の上昇割合が50%以上
(2)誘電正接
得られた樹脂フィルム(Bステージフィルム)を190℃で90分間加熱して、硬化物を得た。得られた硬化物を幅2mm、長さ80mmの大きさに裁断して10枚を重ね合わせて、関東電子応用開発社製「空洞共振摂動法誘電率測定装置CP521」及びキーサイトテクノロジー社製「ネットワークアナライザーN5224A PNA」を用いて、空洞共振法で常温(23℃)にて、周波数1GHz又は10GHzにて誘電正接を測定した。
[誘電正接(周波数1GHz)の判定基準]
○:誘電正接が2.0×10−3未満
×:誘電正接が2.0×10−3以上
[誘電正接(周波数10GHz)の判定基準]
○:誘電正接が3.0×10−3未満
×:誘電正接が3.0×10−3以上
(3)熱寸法安定性(平均線膨張係数(CTE))
得られた樹脂フィルム(Bステージフィルム)を190℃で90分間加熱して、硬化物を得た。得られた硬化物を3mm×25mmの大きさに裁断した。熱機械的分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「EXSTAR TMA/SS6100」)を用いて、引っ張り荷重33mN及び昇温速度5℃/分の条件で、裁断された硬化物の25℃〜150℃までの平均線膨張係数(ppm/℃)を算出した。
[熱寸法安定性の判定基準]
○○:平均線膨張係数が25ppm/℃以下
○:平均線膨張係数が25ppm/℃を超え29ppm/℃以下
×:平均線膨張係数が29ppm/℃を超える
(4)アニール重合の硬化反応性
得られた樹脂フィルム(Bステージフィルム)を190℃で90分間加熱して、硬化物を得た。得られた硬化物に対して、以下の2つの評価を行った。
(4−1)IR測定
IR測定において、試料中にエポキシ基が存在する場合に、900cm−1〜920cm−1に該エポキシ基のピークが検出されるように条件を設定した。得られた硬化物に対して、IR測定を行い、900cm−1〜920cm−1にてエポキシ基のピークが存在するか否かを確認した。
(4−2)引張試験
得られた硬化物に対して、引張試験機(SHIMADZU社製「AGS−J 100N」)を用いて、チャック間距離60mm、引っ張り速度5mm/minの条件で測定し、最大伸びの測定を行った。初期張力は0.35Nとした。測定は繰り返し5回行い、破断伸びの平均値(平均破断伸び)を算出した。
アニール重合の硬化反応性を下記の基準で判定した。
[アニール重合の硬化反応性の判定基準]
○:IR測定において、900cm−1〜920cm−1にてエポキシ基のピークが存在せず、かつ、引張試験において、平均破断伸びが1%以上である
×:IR測定において、900cm−1〜920cm−1にてエポキシ基のピークが存在するか、又は、引張試験において、平均破断伸びが1%未満である
組成及び結果を下記の表1に示す。なお、比較例3では、樹脂材料を良好に硬化させることができなかったため、誘電正接及び熱寸法安定性の評価は行わなかった。
Figure 2021042295
11…多層プリント配線板
12…回路基板
12a…上面
13〜16…絶縁層
17…金属層

Claims (9)

  1. グリシジルエーテル基を有さない脂環式エポキシ化合物と、
    活性エステル化合物とを含み、
    前記脂環式エポキシ化合物は、エポキシ基を構成する2個の炭素原子が脂肪族環を構成している構造を有し、かつ、前記脂環式エポキシ化合物は、前記脂肪族環にエステル基が直接結合している構造を有さない、樹脂材料。
  2. グリシジルエーテル基を有する第2のエポキシ化合物を含む、請求項1に記載の樹脂材料。
  3. 樹脂材料中の前記脂環式エポキシ化合物のエポキシ基の合計数の、樹脂材料中の前記第2のエポキシ化合物のエポキシ基の合計数に対する比が0.05を超え5未満である、請求項2に記載の樹脂材料。
  4. 硬化促進剤を含み、
    前記硬化促進剤が、アニオン性硬化促進剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂材料。
  5. 樹脂材料中の無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、前記アニオン性硬化促進剤の含有量が1重量%以上である、請求項4に記載の樹脂材料。
  6. 無機充填材を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂材料。
  7. 樹脂フィルムである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂材料。
  8. 多層プリント配線板において、絶縁層を形成するために用いられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂材料。
  9. 回路基板と、
    前記回路基板の表面上に配置された複数の絶縁層と、
    複数の前記絶縁層間に配置された金属層とを備え、
    複数の前記絶縁層の内の少なくとも1層が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂材料の硬化物である、多層プリント配線板。
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