JP2012052421A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却水温により変化する内燃機関のフリクションの影響を考慮して、アクセル開度が全閉となった状態における吸入空気量を算出する。
【解決手段】アクセル開度が全閉となった状態で当該内燃機関が自立回転する上で最低限必要な吸入空気量である第1回転数維持空気量と、内燃機関が失火しないために最低限必要な吸入空気量である燃焼安定性維持空気量と、を算出し、アクセル開度が全閉となった状態では、吸入空気量として第1回転数維持空気量と燃焼安定性維持空気量のうち大きい方を選択し、選択された空気量に基づいてスロットル開度を制御する。ここで、第1回転数維持空気量及び燃焼安定性維持空気量は、冷却水温が高いほど減量されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
特許文献1には、内燃機関の冷却水温を制御パラメータの1つとして内燃機関のアイドル吸入空気量を制御する技術が開示されている。この特許文献1においては、アイドル吸入空気量を制御するアイドル吸気制御弁の開度が冷却水温に応じて設定されていると共に、アイドル吸入空気量が少なくともエンストを発生しない程度の空気量となるように、アイドル吸気制御弁がアイドル運転時に取り得る開度の下限値(ガード下限値)が設定されている。
特開平9−203340号公報
しかしながら、この特許文献1においては、アイドル吸気制御弁の前記ガード下限値が、冷却水温により変化する内燃機関のフリクションの影響をどのように考慮しているのか何ら開示されていない。つまり、内燃機関のフリクションは、内燃機関が冷えている冷機時に比べて暖機後の方が小さくなっているため、アイドル吸気制御弁の前記ガード下限値が、暖機後に適合された値であれば、冷機時においてはフリクションの増大によるエンストを回避できない可能性がある。また、アイドル吸気制御弁の前記ガード下限値が、冷機後に適合された値であれば、暖機後においては必要以上にアイドル吸気制御弁の開度が大きくな状態となり、燃費を悪化させてしまう可能性がある。
そこで、本発明の内燃機関の制御装置は、アクセル開度が全閉となった状態で当該内燃機関がフリクションに打ち勝って自立回転する上で最低限必要な吸入空気量である第1空気量と、内燃機関が失火しないために最低限必要な吸入空気量である燃焼安定性維持空気量または気筒内の負圧によるオイル上がりを防止するために最低限必要な吸入空気量である負圧維持空気量である第2空気量と、を算出し、アクセル開度が全閉となった状態では、吸入空気量として前記第1空気量と前記第2空気量のうち大きい方を選択し、選択された空気量に基づいてスロットル開度を制御すると共に、前記第1空気量及び第2空気量は、冷却水温が高いほど減量されていることを特徴としている。
内燃機関の各部のフリクションは、暖機後よりも冷機時の方が大きいため、内燃機関から取り出せるトルクは、同じ空気量であっても、暖機後の方が冷機時よりもより大きくなるが、本発明おいては、アクセル開度が全閉となった状態において吸入空気量として選択される可能性がある空気量の全てを冷却水温に応じて補正しておくことにより、アクセル開度が全閉となった状態では、常に冷却水温に応じて補正されたスロットル開度に制御することが可能となる。
本発明が適用されるハイブリッド車両のシステム構成の概略を模式的に示した説明図。 回転数維持空気量及び燃焼安定性維持空気量を用いた目標スロットル開度の算出方法の流れを示す説明図。 回転数維持空気量及び燃焼安定性維持空気量を用いた目標吸入空気量の算出手順の流れを示す説明図。 第1回転数維持空気量によるトルク及び燃焼安定性維持空気量によるトルクとエンジン回転数の相関関係を模式的に示した説明図。 エンジンが車両の駆動トルクを発生させない状態における目標吸入空気量の算出方法を模式的に示した説明図。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されるハイブリッド車両のシステム構成の概略を模式的に示した説明図である。
図1は、本発明が適用されたハイブリッド車両のシステム構成を模式的に示した説明図である。このハイブリッド車両は、駆動源として例えば直列4気筒のエンジン(内燃機関)1と、発電機としても機能するモータジェネレータ2(以下、モータ2と記す)と、エンジン1とモータ2の動力をディファレンシャルギヤ4を介して駆動輪5に伝達する自動変速機3と、エンジン1とモータ2との間に介装された第1クラッチ6(CL1)と、モータ2と駆動輪5との間に介装された第2クラッチ7(CL2)と、を備えている。
エンジン1は、吸気弁(図示せず)のリフト・作動角を連続的に拡大・縮小させることが可能な図示せぬ第1可変動弁機構(VEL)及びそのリフトの中心角の位相を連続的に遅進させることが可能な図示せぬ第2可変動弁機構(VTC)を備えている。
自動変速機3は、例えば、前進5速後退1速や前進6速後退1速等の有段階の変速比を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える(変速制御を行う)ものである。そして、本実施形態における第2クラッチ7は、自動変速機3の変速要素として設けられている複数の摩擦締結要素のうち、各変速段の動力伝達経路に存在する摩擦締結要素を流用したものであって、実質的に自動変速機3の内部に構成されたものである。
このハイブリッド車両は、車両を統合制御するHCM(ハイブリッドコントローラモジュール)10と、ECM(エンジンコントロールモジュール)11、MC(モータコントローラ)12及びATCU(オートマチックトランスミッションコントロールユニット)13を有している。
HCM10は、互いに情報交換が可能な通信線14を介して、ECM11、MC12及びATCU13と接続されている。
ECM11は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成され、エンジン1の回転数を検知する回転数センサ16、クランク角を検知するクランク角センサ17、排気空燃比を検知するA/Fセンサ18、アクセルペダルの踏み込み量からアクセル開度を検知するアクセル開度センサ19、アクセル開度が所定開度以下でONとなるアイドルスイッチ20と、スロットル弁(図示せず)の弁開度を検知するスロットルセンサ21、車速を検知する車速センサ22、エンジン1の冷却水温を検知する水温センサ23、大気圧を検知をする大気圧センサ24、吸気温を検知する吸気温センサ25、前記スロットル弁よりも下流側の位置における吸入負圧を検知する負圧センサ26等からの出力信号が入力されている。
ECM11は、HCM10からの指令に応じて、エンジン1を制御している。尚、上述した各センサからの情報は、通信線14を介してHCM10に出力されている。
MC12は、HCM10からの指令に応じて、モータ2を制御している。また、モータ2は、バッテリ(図示せず)から供給された電力が印加された力行運転と、発電機として機能して前記バッテリを充電する回生運転と、起動及び停止の切り換えと、がMC12によって制御されている。尚、モータ2の出力(電流値)は、MC12で監視されている。つまり、MC12によりモータ出力が検知されている。
ATCU13には、前述のアクセル開度センサ19、車速センサ21等からの信号が入力されている。そして、ATCU13は、HCM10からの第2クラッチ制御指令に応じ、変速制御における第2クラッチ制御に優先し、第2クラッチ7の締結・開放を制御する。換言すれば、ATCU13は、HCM10からの変速制御指令に応じて、自動変速機3の変速制御を実施する。
尚、第1クラッチ8は、HCM10からの第1クラッチ制御指令に基づいて、締結及び開放が制御されている。
HCM10からECM11、MC12、ATCU13等に出力される各種指令信号は、運転状態に応じて算出されるものである。また、HCM10には、前記バッテリの充放電状態に関する情報、すなわち前記バッテリの充電量(SOC)に関する情報や、自動変速機3の入力回転数(図1におけるモータ2と自動変速機3との間の位置における回転数)も入力されている。
ここで、ECM11は、図2に示すように、エンジン1のアイドル運転時におけるアイドル目標回転数から回転数維持空気量(詳細は後述)を算出すると共に、実際のエンジン回転数(実運転回転数)から燃焼安定性維持空気量(詳細は後述)を算出する。回転数維持空気量には、回転数補正、冷却水温度補正、補機負荷補正、点火時期補正、空燃比補正の各種補正が加えられている。また、燃焼安定性維持空気量には、回転数補正及び冷却水温度補正が加えられている。そして、アクセル開度が全閉となった状態もしくはアクセル開度が全閉ではないがエンジン1を自立回転させる運転状態のときに、回転数維持空気量と燃焼安定性維持空気量のうちの大きい方を選択(参照)し、選択された空気量(目標吸入空気量)に基づいて目標スロットル開度を設定している。
図3を用いて回転数維持空気量及び燃焼安定性維持空気量の算出方法について詳述する。
回転数維持空気量は、アクセル開度が全閉となった状態(アイドルスイッチON)と、アクセル開度が全閉ではない状態(アイドルスイッチOFF)と、で異なる値となっている。すなわち、アクセル開度が全閉となった状態(アイドルスイッチON)のときに算出される回転数維持空気量は、アクセル開度が全閉となった状態(アイドルスイッチON)でエンジン1が自立回転する上で最低限必要な吸入空気量である第1空気量としての第1回転数維持空気量であり、アクセル開度が全閉ではない状態(アイドルスイッチOFF)のときに算出される回転数維持空気量は、アクセル開度が全閉ではない状態(アイドルスイッチOFF)で、かつ第1クラッチ6が接続された状態でエンジン1が自立回転する上で最低限必要な吸入空気量である第3空気量としての第2回転数維持空気量である。
換言すれば、第1回転数維持空気量は、アクセル開度が全閉の状態で、エンジン1がフリクション分のトルク及び補機負荷分のトルクは出力するが車両の駆動力となるトルクを出力することなく所定の目標回転数(アイドル回転数)が維持されるエンジン1の運転状態、つまり車両に駆動力が要求されていないときにモータ2に駆動力を発生させることなくエンジン1を自立回転させた状態のときに最低限必要な吸入空気量である。また、第2回転数維持空気量は、アクセル開度が全閉ではないが車両の駆動力を全てモータ2の駆動力で賄っている状態で第1クラッチ6が締結され、エンジン1がフリクション分のトルク及び補機負荷分のトルクは出力するが、車両の駆動力となるトルクは出力することなく所定の目標回転数(アイドル回転数)が維持されるエンジン1の運転状態のときに最低限必要な吸入空気量である。
また、第2回転数維持空気量は、第1回転数維持空気量と同様に、フリクション分のトルク及び補機負荷分のトルクは出力するが車両の駆動力となるトルクは出力せずに所定の目標回転数が維持されるエンジン1の運転状態のときに最低限必要な吸入空気量であるが、第2回転数維持空気量が算出される際の運転状態においては、エンジン1が駆動状態のモータ2と連結された状態となっているため、第1回転数維持空気量に比べ、第2回転数維持空気量は相対的に小さく設定することが可能となっている。これは、耐エンスト性が高く、エンジン単独でアイドル回転を補償する第1回転数維持空気量に比して、マージンを削って小さな空気量を採用できるからである。例えば、エンジンの冷機時にモータによる出力制御を行うような場合で、エンジンは暖機運転のみ行えば良く、出力制御はモータが行う場合が挙げられる。
第1回転数維持空気量は、S1にて、アイドル目標回転数と冷却水温とを用い、予めECM11内にROMに記憶させてある第1回転数維持空気量算出テーブル(図示せず)を用いて算出される。
第2回転数維持空気量は、S2にて、アイドル目標回転数と冷却水温とを用い、予めECM11内にROMに記憶させてある第2回転数維持空気量算出テーブル(図示せず)を用いて算出される。
S3では、第1回転数維持空気量及び第2回転数維持空気量のうちの一方を、アイドルスイッチ20のON/OFF状態に応じて出力する。さらに、S4では、S3で出力された第1回転数維持空気量及び第2回転数維持空気量のうちの一方の空気量に対して、補正として上述した回転数補正、補機負荷補正、点火時期補正、空燃比補正が加えられている。
燃焼安定性維持空気量は、エンジン1が失火しないため若しくは、シリンダ内の負圧が高くなることによるオイル上がりを防止するために最低限必要な吸入空気量である第2空気量に相当するものであり、S5にて、実際のエンジン回転数(実運転回転数)と冷却水温とを用い、予めECM11内にROMに記憶させてある燃焼安定性維持空気量算出テーブル(図示せず)を用いて算出される。
第1回転数維持空気量、第2回転数維持空気量、燃焼安定性維持空気量は、上述したようにそれぞれ冷却水温に応じて算出されており、冷却水温の変化に伴うエンジン1のフリクション変化を考慮し、冷却水温が低くいほどそれぞれ増量補正されている。つまり、第1回転数維持空気量、第2回転数維持空気量、燃焼安定性維持空気量は、冷却水温が低くなるほど相対的に増加するようそれぞれ増量補正されている。
そして、S6では、第1回転数維持空気量もしくは第2回転数維持空気量と、燃焼安定性維持空気量との大小を比較し、大きい方を目標吸入空気量として出力する。
詳述すると、アクセル開度が全閉となった状態(アイドルスイッチON)、すなわち車両の停車時あるいは車両の減速走行時にフリクション分のトルク及び補機負荷分のトルクは出力するが車両の駆動力となるトルクは出力しないようなエンジン1の運転状態、換言すれば車両に駆動力が要求されていないときにエンジン1を自立回転させる運転状態では、吸入空気量として、第1回転数維持空気量と燃焼安定性維持空気量とのうちの大きい方を目標吸入空気量として出力する。また、アクセル開度が全閉ではない状態(アイドルスイッチOFF)であり、かつ第1クラッチ6が接続された状態でエンジン1を自立回転させる運転状態のとき、すなわち車両の駆動力を全てモータ2の駆動力で賄っているが、エンジン1が自立回転しているような運転状態のときには、第2回転数維持空気量と燃焼安定性維持空気量とのうちの大きい方を目標吸入空気量として出力する。
図4は、第1回転数維持空気量によるトルク及び燃焼安定性維持空気量によるトルクとエンジン回転数の相関関係を模式的に示した説明図である。図4における縦軸のトルクは、正の値のとき車両を駆動させる駆動トルクを発生させていることを表し、負の値のとき車両を減速させる減速トルクを発生させていることを表している。
内燃機関の各部のフリクションは、暖機後よりも冷機時の方が大きいため、図4中の特性線a、bに示すように、内燃機関から取り出せるトルクは、同じ空気量であっても、暖機後の方が冷機時よりもより大きくなる。
そのため、車両の減速中における燃焼安定性維持空気量も冷機時と暖機後では異なる値となり、その結果、図4中の特性線Aで示す冷機時の燃焼安定性維持空気量によるトルク(負のトルク)に比べ、図4中の特性線Bで示す暖機後の燃焼安定性維持空気量によるトルク(負のトルク)のほうが、トルクの大きさの絶対値が小さくなる。
図4中の破線は、減速時にエンジン1で発生するトルク変化の様子を示しており、アクセル開度が全閉となった状態(アイドルスイッチON)の冷機時の減速中においては、冷機時の燃焼安定性維持空気量によるトルクを示す特性線Aに沿ってエンジン1で発生する負のトルクが小さくなり、エンジン回転数が冷機時におけるアイドル回転数近傍となって冷機時の燃焼安定性維持空気量が冷機時の第1回転数維持空気量よりも小さくなると、エンジン1はアイドル運転状態となりエンジン1には車両の駆動力となるトルクが発生しない状態、すなわちエンジン1で発生するトルクが0[Nm]となる。また、アクセル開度が全閉となった状態(アイドルスイッチON)の暖機後の減速中においては、暖機後の燃焼安定性維持空気量によるトルクを示す特性線Bに沿ってエンジン1で発生する負のトルクが小さくなり、エンジン回転数が暖機後におけるアイドル回転数近傍となって暖機後の燃焼安定性維持空気量が暖機後の第1回転数維持空気量よりも小さくなると、エンジン1はアイドル運転状態となりエンジン1には車両の駆動力となるトルクが発生しない状態、すなわちエンジン1で発生するトルクが0[Nm]となる。
図5は、エンジン1が車両の駆動トルクを発生させない状態における目標吸入空気量の算出方法を模式的に示した説明図である。
アクセル開度が全閉となった状態(アイドルスイッチON)でエンジン1が車両の駆動トルクを発生させない場合には、第1回転数維持空気量と燃料安定性維持空気量のうちの大きい方を目標吸入空気量として選択する。
詳述すると、冷機時においては、冷機時の燃焼安定性維持空気量が冷機時の第1回転数維持空気量よりも大きいエンジン回転数がR4よりも大きい領域では冷機時の燃焼安定性維持空気量を目標吸入空気量として用い、エンジン回転数がR4よりも小さい領域では冷機時の第1回転数維持空気量を目標吸入空気量として用いている。暖機後においては、暖機後の燃焼安定性維持空気量が暖機後の第1回転数維持空気量よりも大きいエンジン回転数がR2よりも大きい領域では暖機の燃焼安定性維持空気量を目標吸入空気量として用い、エンジン回転数がR2よりも小さい領域では暖機後の第1回転数維持空気量を目標吸入空気量として用いている。
このように、アクセル開度が全閉となった状態において吸入空気量として選択される可能性がある空気量の全てを冷却水温に応じて補正しておくことにより、アクセル開度が全閉となった状態では、常に冷却水温に応じて補正されたスロットル開度に制御することが可能となる。
また、第1回転数維持空気量及び燃焼安定性維持空気量のいずれが目標吸入空気量として選択されたとしても、このときのスロットル開度は冷却水温に応じて補正されたものとなるため、冷却水温の変化によりエンジン1のフリクションが変動したとしても、エンジン1から出力されるトルクが変動することはない。つまり、要求トルクに対してエンジン1から出力されるトルクがずれてしまうことがないので、冷却水温の変化によるトルク段差の吸収することができる。
そして、アクセル開度が全閉ではない状態(アイドルスイッチOFF)でエンジン1が車両の駆動トルクを発生させない場合には、第2回転数維持空気量と燃料安定性維持空気量のうちの大きい方を目標吸入空気量として選択する。
詳述すると、冷機時においては、冷機時の燃焼安定性維持空気量が冷機時の第2回転数維持空気量よりも大きいエンジン回転数がR3よりも大きい領域では冷機時の燃焼安定性維持空気量を目標吸入空気量として用い、エンジン回転数がR3よりも小さい領域では冷機時の第2回転数維持空気量を目標吸入空気量として用いている。暖機後においては、暖機後の燃焼安定性維持空気量が暖機後の第2回転数維持空気量よりも大きいエンジン回転数がR1よりも大きい領域では暖機の燃焼安定性維持空気量を目標吸入空気量として用い、エンジン回転数がR1よりも小さい領域では暖機後の第2回転数維持空気量を目標吸入空気量として用いている。
アクセル開度が全閉ではない状態(アイドルスイッチOFF)でエンジン1が車両の駆動トルクを発生させない場合、エンジン1に連結されたモータ2が駆動している状態であるため、第1回転数維持空気量に比べ第2回転数維持空気量を相対的に小さく設定することが可能となる。
つまり、駆動源として、エンジン1の他にモータ2を備えているハイブリット車両の場合には、アクセル開度が全閉ではない状態(アイドルスイッチOFF)でエンジン1を自立回転させる運転状態のときのエンジンの制御として、第2回転数維持空気量と燃焼安定性維持空気量のうちの大きい方の空気量に基づいてスロットル開度を制御することで、第1回転数維持空気量が燃焼安定性維持空気量よりも大きくなるようなエンジン回転数の領域において、アクセル開度が全閉となった状態(アイドルスイッチON)でエンジン1が車両の駆動トルクを発生させない場合に比べて目標吸入空気量を相対的低減することが可能となり、燃費性能を向上させることができる。
詳述すると、冷機時においては、エンジン回転数がR4より小さくなる領域において、アクセル開度が全閉となった状態(アイドルスイッチON)でエンジン1が車両の駆動トルクを発生させない場合に比べて目標吸入空気量を相対的低減することが可能となり、燃費性能を向上させることができる。また、暖機時においては、エンジン回転数がR2より小さくなる領域において、アクセル開度が全閉となった状態(アイドルスイッチON)でエンジン1が車両の駆動トルクを発生させない場合に比べて目標吸入空気量を相対的低減することが可能となり、燃費性能を向上させることができる
尚、上述した図4及び図5において、第1回転数維持空気量、第2回転数維持空気量及び燃焼安定性維持空気量を示す特性線は、それぞれ冷機時と暖機後の2つの状態のみが示されているが、冷機時における第1回転数維持空気量、第2回転数維持空気量及び燃焼安定性維持空気量は、冷却水温に応じて補正されているため、実際にはそれぞれ所定の数(複数)設定されることになる。
また、本実施形態においては、第2空気量として燃焼安定性維持空気量を使用しているが、燃焼安定性維持空気量に替えて負圧維持空気量を第2空気量として使用することも可能である。
つまり、アクセル開度が全閉となった状態(アイドルスイッチON)では、吸入空気量として、第1回転数維持空気量と負圧維持空気量とのうちの大きい方を選択し、選択された空気量に基づいてスロットル開度を制御するようにしてもよい。また、アクセル開度が全閉ではない状態(アイドルスイッチOFF)であり、かつ第1クラッチ6が接続された状態でエンジン1を自立回転させる運転状態のときには、吸入空気量として、第2回転数維持空気量と負圧維持空気量とのうちの大きい方を選択し、選択された空気量に基づいてスロットル開度を制御するようにしてもよい。
ここで、負圧維持空気量は、図示せぬ吸気コレクタ内の負圧が過度に発達しない吸入空気量である。これは、コレクタ内の負圧が大きいと、エンジン1のシリンダ内の負圧も大きくなり、シリンダ内にエンジンオイルが吸い上げられることになるためである。つまり、負圧維持空気量は、シリンダ内へのエンジンオイルの吸い上げを発生させないようにする要求から決定された空気量である。この負圧維持空気量は、例えば、実際のエンジン回転数(実運転回転数)と冷却水温とを用いて、予めECM11内にROMに記憶させてある負圧維持空気量算出テーブル(図示せず)を用いて算出される。
そして、上述した実施形態においては、車両の駆動源としてエンジン1とモータ2とを備えたハイブリッド車両への適用例を示したが、車両の駆動源としてエンジン(内燃機関)のみを持つ車両に対して本願発明を適用することも可能である。この場合においても、アクセル開度が全閉となった状態(アイドルスイッチON)でおいて、吸入空気量として、第1回転数維持空気量と燃焼安定性維持空気量とのうちの大きい方を選択し、選択された空気量に基づいてスロットル開度を制御することが可能である。
1…エンジン
2…モータジェネレータ
3…自動変速機
4…ディファレンシャルギヤ
5…駆動輪
6…第1クラッチ
7…第2クラッチ
10…HCM
11…ECM
12…MC
13…ATCU

Claims (4)

  1. 内燃機関の冷却水温を検知する水温検知手段と、アクセル開度が全閉となった状態で当該内燃機関がフリクションに打ち勝って自立回転する上で最低限必要な吸入空気量である第1空気量を算出する第1空気量算出手段と、第2空気量として、内燃機関が失火しないために最低限必要な吸入空気量である燃焼安定性維持空気量または気筒内の負圧によるオイル上がりを防止するために最低限必要な吸入空気量である負圧維持空気量を算出する第2空気量算出手段と、を有し、アクセル開度が全閉となった状態では、吸入空気量として前記第1空気量と前記第2空気量のうち大きい方を選択し、選択された空気量に基づいてスロットル開度を制御する内燃機関の制御装置において、
    前記第1空気量及び第2空気量は、冷却水温が高いほど減量されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記内燃機関の出力が駆動源となるモータを介して駆動輪に伝達されるよう構成され、
    アクセル開度が全閉ではない状態で、かつ前記内燃機関と前記モータとが連結された状態で当該内燃機関が自立回転する上で最低限必要な吸入空気量であり、前記第1空気量よりも相対的に小さくなる第3空気量を算出する第3空気量算出手段を有し、
    アクセル開度が全閉ではない状態で当該内燃機関を自立回転させる運転状態のときには、吸入空気量として前記第2空気量と前記第3空気量のうち大きい方を選択し、選択された空気量に基づいてスロットル開度を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記第3空気量は、冷却水温の変化に伴う内燃機関のフリクション変化を考慮し、冷却水温が低くいほど増量補正されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記第1空気量は、冷却水温と目標アイドル回転数に基づいて算出され、
    前記第2空気量は、冷却水温と実エンジン回転数に基づいて算出されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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