以下、添付図面に従って本発明に係る液滴吐出装置の好ましい実施の形態について詳説する。
なお、ここでは、液滴吐出装置として、枚葉紙に画像を記録するインクジェット記録装置を例に説明する。
≪インクジェット記録装置の画像記録部の構成≫
図1は、インクジェット記録装置の画像記録部の概略構成を示す側面図である。
同図に示すように、本実施の形態のインクジェット記録装置の画像記録部10は、メディア(枚葉紙)12を画像記録ドラム14によってドラム搬送する。そして、その画像記録ドラム14による搬送過程でC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロ)、K(クロ)の各色のインクの液滴を画像記録ドラム14の周囲に配設されたインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kから吐出させて、メディア12の表面にカラー画像を画像記録する。
画像記録ドラム14は、その回転軸18の両端部を一対の軸受22に軸支されて回転自在に設けられている(図2参照)。一対の軸受22は、インクジェット記録装置のインクジェット記録装置本体フレーム20に設けられており、この一対の軸受22に回転軸18の両端部が軸支されることにより、画像記録ドラム14は水平に取り付けられる(水平な設置面に対して回転軸18が平行に取り付けられる。)。
画像記録ドラム14の回転軸18には、図示しない回転伝達機構を介してモータが連結されている。画像記録ドラム14は、このモータに駆動されて回転する。
また、画像記録ドラム14の周面には、メディア12の先端部を把持するグリッパ24が設けられている(本例では、外周面上の2カ所に設置されている。)。メディア12は、このグリッパ24に先端部を把持されて、画像記録ドラム14の外周面上に保持される。
また、この画像記録ドラム14には、図示しない吸着保持機構(たとえば、静電吸着、真空吸着)が備えられている。先端部をグリッパ24に把持されて、画像記録ドラム14の外周面上に巻き掛けられたメディア12は、その裏面部を吸着保持機構によって吸着されて、画像記録ドラム14の外周面上に保持される。
なお、本実施の形態のインクジェット記録装置において、メディア12は、前段の工程から搬送ドラム26を介して、画像記録ドラム14に受け渡される。搬送ドラム26は、画像記録ドラム14に並列して配置されており、タイミングを合わせて、画像記録ドラム14にメディア12を受け渡す。
また、画像記録後のメディア12は、搬送ドラム28を介して、後段の工程に受け渡される。搬送ドラム28は、画像記録ドラム14に並列して配置されており、タイミングを合わせて、画像記録ドラム14からメディア12を受け取る。
4本のインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、メディア幅に対応したラインヘッドで構成されており、画像記録ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置されている。
なお、本例では、4本のインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、画像記録ドラム14を挟んで左右対称になるように配置されている。すなわち、画像記録ドラム14の中心を通る鉛直な線分に対してシアンのインクジェットヘッド16Cとクロのインクジェットヘッド16Kとが左右対称に配置されるとともに、マゼンタのインクジェットヘッド16Mとイエロのインクジェットヘッド16Yとが左右対称に配置されている。
このように配置された各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、それぞれその下端部に形成されたノズル面30C、30M、30Y、30Kが、画像記録ドラム14の外周面に対向して配置されるとともに、それぞれそのノズル面30C、30M、30Y、30Kが、画像記録ドラム14の外周面から所定高さの位置に位置する(画像記録ドラム14の外周面とノズル面30C、30M、30Y、30Kとの間に同じ量のギャップが形成される。)。また、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに形成されたノズル列が、メディア12の搬送方向と直交して配置される。
そして、このように配置された各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kからは、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに形成されたノズルから画像記録ドラム14の外周面に向けて垂直にインクの液滴が吐出される。
図3は、インクジェットヘッドのノズル面の平面透視図である。また、図4は、インクジェットヘッドの下端領域の側面図である。
なお、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの構成は共通しているので、ここではインクジェットヘッド16として、そのノズル面30(30C、30M、30Y、30K)の構成を説明する。
同図に示すように、ノズル面30は、長方形状に形成され、その幅方向(メディア搬送方向)の中央部に一定幅を有するノズル形成領域30Aが形成され、そのノズル形成領域30Aを挟んでノズル保護領域30Bが対称に形成される。
ノズル形成領域30Aは、ノズルが形成される領域であり、その表面には所定の撥液処理が施されている(撥液膜が被覆されている)。
ここで、図3に示すように、本実施の形態のインクジェットヘッド16は、いわゆるマトリックスヘッドで構成され、ノズルNがノズル形成領域30Aに二次元マトリクス状に配置される。より具体的には、メディア12の搬送方向に対して所定角度傾斜した方向に複数のノズルNが一定ピッチで配置されたノズルの列が形成されるとともに、そのノズルの列がメディア12の搬送方向と直交する方向(ヘッドの長手方向)に一定ピッチで多数配列される。このようなノズルの配置構成とすることにより、ヘッドの長手方向(メディア12の搬送方向と直交する方向)に投影される実質的なノズルNの間隔を狭めることができ、ノズルNの高密度化を図ることができる。
なお、マトリックスヘッドでは、このヘッドの長手方向に投影されるノズルの列が実質的なノズル列とされる。
ノズル形成領域30Aの両側に配置されるノズル保護領域30Bは、ノズル形成領域30Aを保護するための領域であり、ノズル形成領域30Aは、このノズル保護領域30Bから所定量退避して凹状に形成されている(0.2mm程度)。
なお、本実施の形態のインクジェットヘッド16は、ノズル形成領域30Aにのみ撥液処理が施される(ノズル保護領域30Bには撥液処理は施されない)。この場合、ノズル保護領域30Bに液体が付着すると、液体はノズル保護領域30Bに濡れ広がる。
また、本実施の形態のインクジェットヘッド16は、いわゆるピエゾ方式でノズルNからインクの液滴を吐出させる。すなわち、ノズル面30に形成された各ノズルNは、それぞれ圧力室Pに連通されており、この圧力室Pの壁面をピエゾ素子で振動させることにより、圧力室Pの容積を拡縮させて、ノズルNからインクの液滴を吐出させる。
なお、インクの吐出方式は、これに限らずサーマル方式で吐出させる構成とすることもできる。
画像記録部10は、以上のように構成される。この画像記録部10において、メディア12は、前段の工程から搬送ドラム26を介して画像記録ドラム14に受け渡され、画像記録ドラム14の周面に吸着保持されて回転搬送される。そして、その搬送過程で各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの下を通過し、その通過時に各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kから吐出されたインクの液滴が記録面に打滴されて、記録面にカラー画像が形成される。画像が記録されたメディア12は、画像記録ドラム14から搬送ドラム28に受け渡され、後段の工程へと搬送される。
さて、以上のように構成される画像記録部10において、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、図2に示すように、ヘッド支持フレーム40に取り付けられて、画像記録ドラム14の周囲に配置される。
ヘッド支持フレーム40は、画像記録ドラム14の回転軸18と直交して設けられた一対のサイドプレート42L、42Rと、その一対のサイドプレート42L、42Rを上端部で連結する連結フレーム44とで構成されている。
一対のサイドプレート42L、42Rは、板状に形成されており、画像記録ドラム14を挟んで互いに対向するように配置されている。この一対のサイドプレート42L、42Rの内側には、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kを取り付けるための取付部46C、46M、46Y、46Kが設けられている(図2では、便宜上、取付部46Yのみ図示)。
取付部46C、46M、46Y、46Kは、画像記録ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置されている。各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その両端に形成された被取付部48C、48M、48Y、48K(図2では、便宜上、被取付部48Yのみ図示)を取付部46C、46M、46Y、46Kに固定することにより、ヘッド支持フレーム40に取り付けられる。そして、このヘッド支持フレーム40に取り付けられることにより、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、画像記録ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置される。
ヘッド支持フレーム40は、図示しないガイドレールにガイドされて、画像記録ドラム14の回転軸18と平行にスライド移動自在に設けられている。そして、図示しないリニア駆動機構(たとえば、送りネジ機構など)に駆動されて、図2に実線で示す「画像記録位置」と図2に破線で示す「メンテナンス位置」との間を移動する。
各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、ヘッド支持フレーム40を画像記録位置に位置させると、画像記録ドラム14の周囲に配置され、画像記録可能な状態になる。
メンテナンス位置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが画像記録ドラム14から退避する位置に設定される。このメンテナンス位置には、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kを保湿するための保湿ユニット50が設けられる。
保湿ユニット50には、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面を覆うキャップ52C、52M、52Y、52K(図2では、便宜上、キャップ52Yのみ図示)が備えられている。装置を長時間停止する場合などは、このキャップ52C、52M、52Y、52Kでノズル面が覆われる。これにより、乾燥による不吐出が防止される。
なお、このキャップ52C、52M、52Y、52Kには、図示しない加圧・吸引機構が備えられており、ノズル内を加圧・吸引できるように構成されている。
また、このキャップ52C、52M、52Y、52Kには、図示しない洗浄液供給機構が備えられており、内部に洗浄液を供給できるように構成されている。
キャップ52C、52M、52Y、52Kの下方位置には廃液トレイ54が配置されている。キャップ52C、52M、52Y、52Kに供給された洗浄液は、この廃液トレイ54に廃棄され、廃液回収配管56を介して廃液タンク58に回収される。
画像記録位置とメンテナンス位置との間には、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを清掃するためのノズル面清掃装置60が設けられている。各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、メンテナンス位置から画像記録位置に移動する過程で、このノズル面清掃装置60によってノズル面30C、30M、30Y、30Kが清掃される。
以下、このノズル面清掃装置60の構成について説明する。
≪ノズル面清掃装置の構成≫
図2に示すように、ノズル面清掃装置60は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を付与する洗浄液付与装置62と、洗浄液が付与されたノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭部材で払拭する払拭装置64とで構成される。
洗浄液付与装置62は、メンテナンス位置から画像記録位置に向かって移動する各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を付与する。
払拭装置64は、洗浄液が付与された各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭部材を当接させて、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭する。
洗浄液付与装置62と払拭装置64は、ヘッド支持フレーム40の移動経路上に配置される。この際、洗浄液付与装置62が払拭装置64に対してメンテナンス位置側に配置される。これにより、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kをメンテナンス位置から画像記録位置に移動させる過程でノズル面30C、30M、30Y、30Kを洗浄することができる。
なお、この配置は逆にすることもできる。すなわち、払拭装置64をメンテナンス位置側に配置することもできる。この場合、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kを画像記録位置からメンテナンス位置に移動させる過程でノズル面30C、30M、30Y、30Kを洗浄する。
≪洗浄液付与装置の構成≫
図5は、洗浄液付与装置をメンテナンス位置側から見た側面図である。
洗浄液付与装置62は、ヘッド支持フレーム40の移動経路上に配置される。特に、本例では保湿ユニット50に備えられた廃液トレイ54の内側に配置される(図2参照)。この洗浄液付与装置62は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kに対応して設けられた洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kと、その洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが搭載される洗浄液付与装置本体72とで構成される。
〈洗浄液付与装置本体の構成〉
洗浄液付与装置本体72は、水平に設置されており、図示しない昇降装置によって昇降自在に設けられている。この洗浄液付与装置本体72の上面部分には、洗浄液付与ユニット取付部72C、72M、72Y、72Kが形成されている。各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kは、この洗浄液付与装置本体72に形成された洗浄液付与ユニット取付部72C、72M、72Y、72Kにボルト等で固定されて、所定位置に取り付けられる。そして、この洗浄液付与装置本体72に取り付けられることにより、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kは、対応するインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動経路上に配置される(画像記録位置からメンテナンス位置への移動経路上に配置される。)。
〈洗浄液付与ユニットの構成〉
次に、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kの構成について説明する。
なお、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kの基本構成は共通しているので、ここでは洗浄液付与ユニット70として、その構成を説明する。
図6、図7は、それぞれ洗浄液付与ユニットの正面図と側面図である。
同図に示すように、洗浄液付与ユニット70は、ノズル面30に洗浄液を付与する洗浄液付与ヘッド74と、ノズル面30から落ちる洗浄液を回収する洗浄液回収皿76とを備えて構成される。
洗浄液回収皿76は、上部が開口した矩形の箱状に形成されている。洗浄液付与ヘッド74は、この洗浄液回収皿76の内部に垂直に立設される。
洗浄液付与ヘッド74は、上面が傾斜した四角いブロック状に形成されており、その上部に傾斜した洗浄液保持面74Aを有している。この洗浄液保持面74Aは、清掃対象とするヘッドのノズル面30と同じ傾斜角度で形成されており、ノズル面30の幅(メディア搬送方向の幅)よりも若干広い幅をもって形成されている。
洗浄液保持面74Aの上部近傍には、洗浄液噴出口78が形成されており、この洗浄液噴出口78から洗浄液が流れ出る。洗浄液噴出口78から流れ出た洗浄液は、傾斜した洗浄液保持面74Aを流れ落ちる。これにより、洗浄液保持面74Aの上に洗浄液の層(膜)が形成される。インクジェットヘッド16は、この洗浄液保持面74Aの上に形成される洗浄液の層にノズル面30を接触させることにより、ノズル面30に洗浄液が付与される。
洗浄液付与ヘッド74の内部には、洗浄液噴出口78に連通する供給流路80が形成されている。この供給流路80は、洗浄液回収皿76に形成された連通流路76Aに連通されており、連通流路76Aは、洗浄液回収皿76に形成された洗浄液供給口76Bに連通されている。洗浄液付与ヘッド74は、この洗浄液供給口76Bに洗浄液が供給されることにより、洗浄液噴出口78から洗浄液が流れ出る。
洗浄液は、洗浄液タンク(図示せず)から供給される。洗浄液供給口76Bには、この洗浄液タンクに接続された配管(図示せず)が接続される。この配管には洗浄液供給ポンプ(図示せず)及びバルブ(図示せず)が設けられ、このバルブを開けて、洗浄液供給ポンプを駆動することにより、洗浄液タンクから洗浄液付与ヘッド74に洗浄液が供給される。
洗浄液回収皿76は、上記のように上部が開口した矩形の箱状に形成されている。この洗浄液回収皿76の底部は、傾斜して形成されており、その傾斜方向の下端部に回収穴88が形成されている。この回収穴88は、洗浄液回収皿76の内部に形成された回収流路76Cを介して、洗浄液回収皿76の側面部に形成された洗浄液排出口76Dに連通されている。
洗浄液付与ヘッド74の洗浄液噴出口78から噴出させた洗浄液は、洗浄液保持面74Aから流れ落ちて洗浄液回収皿76に回収される。そして、図示しない配管を介して廃液タンク58に回収される。
洗浄液付与ユニット70(70C、70M、70Y、70K)は、以上のように構成される。そして、この洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが、洗浄液付与装置本体72に形成された洗浄液付与ユニット取付部72C、72M、72Y、72Kに取り付けられることにより、洗浄液付与装置62が構成される。
なお、洗浄液付与装置62の動作は、図示しない制御装置によって制御される。制御装置は、昇降装置等の駆動を制御して、洗浄液付与装置62による洗浄液の付与動作を制御する。
また、洗浄液としては、たとえば、ジエチレンモノブチルエーテルを主成分とする洗浄液が用いられる。この種の洗浄液をノズル面30に付与することで、ノズル面30に付着したインク由来の固着物を溶解し除去しやすくすることができる。
〈洗浄液付与装置の作用〉
次に、以上のように構成された洗浄液付与装置62による洗浄液の付与動作について説明する。
洗浄液付与装置62は、インクジェットヘッド16(16C、16M、16Y、16K)がメンテナンス位置から画像記録位置に移動する過程でヘッドのノズル面30(30C、30M、30Y、30K)に洗浄液を付与する。具体的には、次のように洗浄液を付与する。
上記のように、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが取り付けられた洗浄液付与装置本体72は、図示しない昇降装置によって昇降自在に設けられている。洗浄液付与装置本体72は、清掃時以外、所定の待機位置に位置しており、清掃時にのみ待機位置から所定量上昇して、所定の作動位置に移動する。
洗浄液付与装置本体72が作動位置に移動すると、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが、所定の洗浄液付与位置にセットされる。これにより、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kに備えられた洗浄液付与ヘッド74によって各ヘッドのノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を付与することが可能になる。すなわち、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが、洗浄液付与位置にセットされると、洗浄液付与ヘッド74の洗浄液保持面74Aを流れる洗浄液が、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに接触する位置(洗浄液保持面74Aとノズル面30C、30M、30Y、30Kとのギャップが所定範囲になる位置)に各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kがセットされる。
各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが、所定の洗浄液付与位置にセットされると、制御装置は、リニア駆動機構を駆動して、ヘッド支持フレーム40をメンテナンス位置から画像記録位置に向けて所定の移動速度で移動させる。
その一方で制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kの洗浄液付与ヘッド74に到達するタイミングに合わせて、洗浄液供給ポンプを駆動する。これにより、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kに備えられた洗浄液付与ヘッド74の洗浄液噴出口78から洗浄液が所定の流量で流れ出る。洗浄液噴出口78から流れ出た洗浄液は、洗浄液保持面74Aを流れ落ちる。これにより、洗浄液保持面74Aの上に洗浄液の層(膜)が形成される。
画像記録位置に向かうインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、この洗浄液付与ヘッド74を通過する際、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kが、洗浄液付与ヘッド74の洗浄液保持面74Aの上に形成された洗浄液の層に接触する。これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液が付与される。
≪払拭装置の構成≫
図8は、払拭装置をメンテナンス位置側から見た側面図である。
払拭装置64は、払拭装置本体102と、その払拭装置本体102に着脱自在に装着される標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kと、その標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kと交換して払拭装置本体102に装着される強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kとを備えて構成される。
〈払拭装置本体の構成〉
払拭装置本体102は、ヘッド支持フレーム40の移動経路上に配置される。特に、本例では洗浄液付与装置62の設置位置と画像記録位置との間に配置される。この払拭装置本体102は、払拭装置本体フレーム102Aと、その払拭装置本体フレーム102Aを垂直に昇降移動させる昇降装置(図示せず)とで構成される。
払拭装置本体フレーム102Aは、上端部が開口した箱状に形成され、その内部に払拭ユニット(標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100K/強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300K)を装着するための払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kが、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kに対応して形成されている。
払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kは、払拭ユニット(標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100K及び強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300K)を収容可能な凹状の空間として、払拭装置本体フレーム102Aの上部に開口して形成されている。各払拭ユニット(標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100K/強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300K)は、各払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kに対して、開口した上部から垂直に差し込むことにより、各払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kに装着される。
なお、各払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kには、図示しないロック機構が備えられており、装着された払拭ユニット(標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100K/強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300K)をロックできるように構成されている。ロック機構は、たとえば、払拭ユニット(標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100K、強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300K)を払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kに差し込むと、自動的に作動するように構成される。
〈払拭ユニットの構成〉
次に、払拭ユニットの構成について説明する。
上記のように、標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kと、強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kは、交換して払拭装置本体102に装着することができる。
〈標準払拭ユニットの構成〉
まず、標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの構成について説明する。
なお、標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kは、各色のインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kに対応して設けられるが、その基本構成は共通しているので、ここでは「標準払拭ユニット100」として、その構成を説明する。
各払拭ユニット(標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100K、強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300K)が装着される払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kについても同様であり、特に区別する場合を除いて、払拭ユニット装着部104として説明する。
図9は標準払拭ユニットの平面図、図10は標準払拭ユニットを画像記録位置側から見た側面図、図11は標準払拭ユニットの側面部分断面図、図12は標準払拭ユニットの正面部分断面図、図13は標準払拭ユニットの背面図である。
図9〜図13に示すように、標準払拭ユニット100は、傾斜して設置された押圧ローラ118に帯状に形成された払拭ウェブ110を巻き掛け、この押圧ローラ118に巻き掛けた払拭ウェブ110をインクジェットヘッドのノズル面に押圧当接させることにより、インクジェットヘッドのノズル面を払拭清掃する。
この標準払拭ユニット100は、ケース112と、帯状に形成された払拭ウェブ110を繰り出す繰出軸114と、払拭ウェブ110を巻き取る巻取軸116と、繰出軸114から繰り出された払拭ウェブ110が押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする前段ガイド120と、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が巻取軸116に巻き取られるようにガイドする後段ガイド122と、払拭ウェブ110を搬送するグリッドローラ124とを備えて構成される。
ケース112は、ケース本体126と蓋128とで構成されている。ケース本体126は、縦方向に長い四角い箱状に形成されており、上端部と前面部とが開口して形成されている。蓋128は、ヒンジ130を介して、ケース本体126の前面部に取り付けられている。ケース本体126は、この蓋128によって前面部が開閉される。
なお、蓋128には弾性変形可能なロック爪132が設けられており、このロック爪132をケース本体126に形成された爪受部134に弾性変形させて係合させることにより、ケース本体126に固定される。
繰出軸114は、円柱状に形成され、その基端部をケース本体126に設けられた軸支持部136に固定(片持ち支持)されて、ケース本体126の内部に水平に設置される。この繰出軸114には繰出コア138が着脱自在に装着される。なお、繰出軸114は、繰出コア138の長さよりも若干短く形成される。したがって、繰出コア138が装着されると、繰出軸114は、繰出コア138の内周部に退避する。
繰出コア138は、円筒状に形成される。帯状に形成された払拭ウェブ110は、この繰出コア138にロール状に巻回される。
繰出コア138は、その内周部に繰出軸114を挿入して、繰出軸114に嵌めることにより、繰出軸114に装着される。繰出軸114に装着された繰出コア138は、繰出軸114の周りを回転して、回転自在に支持される。
ここで、図11に示すように、ケース112の蓋128には、繰出軸114の設置位置に対応して繰出コア押え駒139が設けられている。蓋128が閉じられると、この繰出コア押え駒139が、繰出軸114に装着された繰出コア138の端面を軸方向に押圧し、繰出コア138にフリクションを与える。
この繰出コア押え駒139は、軸部139Aと、その軸部139Aに摺動自在に設けられた押圧部139Bと、押圧部139Bを軸方向に付勢するバネ139Cとで構成される。
軸部139Aは、円柱状に形成され、蓋128の内面に垂直に取り付けられる。この軸部139Aは、蓋128を閉めたときに、繰出軸114と同軸上に位置するように配置される。
押圧部139Bは、ボス139B1とフランジ部139B2とで構成される。ボス139B1は、円筒状に形成され、その外周は、繰出コア138の内径とほぼ同じに形成され、繰出コア138の内周部に挿入可能に形成される。また、その内径は軸部139Aの外径とほぼ同じに形成され、軸部139Aに沿って摺動可能に形成される。フランジ部139B2は、ボス139B1の基端部に一体的に形成され、外周方向に張り出して形成される。このフランジ部139B2の基端部の内径は拡大して形成されており、この拡大して形成されたフランジ部139B2の内周部にバネ139Cが収容される。押圧部139Bは、このバネ139Cによって軸部139Aの先端方向に向けて付勢される。
なお、軸部139Aの先端には、フランジ部が形成され、このフランジ部により、押圧部139Bの抜けが防止される。
以上のように構成された繰出コア押え駒139は、ケース112の蓋128を閉じると、押圧部139Bのボス139B1が、繰出コア138の内周部に嵌入するとともに、フランジ部139B2が、繰出コア138の端面に当接し、バネ139Cの力によって、繰出コア138を軸方向に押圧する。これにより、繰出コア138は、繰出コア押え駒139とフランジ114Aとの間で押圧挟持され、回転に際してフリクションが与えられる。
なお、払拭ウェブ110には、たとえば、PET、PE、NY等の極微細繊維を用いた編み又は織りからなるシートが用いられ、払拭対象とするヘッドのノズル面の幅に対応した幅を有する帯状に形成される。
巻取軸116は、繰出軸114の下方位置に水平に配設される。すなわち、巻取軸116と繰出軸114とは、上下に並列して配置される。
この巻取軸116は、図11に示すように、主軸116Aと、その主軸116Aの周りを周方向に回転自在に設けられた滑り軸116Bと、主軸116Aと滑り軸116Bとを連結するトルクリミッタ116Cとで構成され、一定以上の負荷(トルク)が掛かると、主軸116Aに対して滑り軸116Bが滑るように構成されている。
主軸116Aは、円柱の棒状に形成され、その基端部近傍をケース本体126に設けられた軸受部140に回動自在に支持される。
滑り軸116Bは、円筒状に形成され、主軸116Aの外周部を周方向に回転自在に設けられる。
トルクリミッタ116Cは、滑り軸116Bの先端内周部に配置され、主軸116Aと滑り軸116Bと連結する。このトルクリミッタ116Cは、同軸上に配置された入力側回転体(図示せず)と出力側回転体(図示せず)とを備えており、入力側回転体に対して出力側回転体に一定以上の負荷(トルク)が掛かると、その入力側回転体と出力側回転体との間で滑るように構成されている。トルクリミッタ116Cは、入力側回転体を主軸116Aに接続(たとえば、キーとキー溝、あるいは、ボスとボス孔とにより回転伝達可能に接続、又は、一体的に固定して回転伝達可能に接続)され、出力側回転体を滑り軸116Bに接続(たとえば、キーとキー溝、あるいは、ボスとボス孔とにより回転伝達可能に接続、又は、一体的に固定して回転伝達可能に接続)されて、主軸116Aと滑り軸116Bとを回転伝達可能に連結する。これにより、滑り軸116Bに一定以上の負荷がかかると、主軸116Aに対して滑り軸116Bが滑るように機能する。
以上の構成の巻取軸116は、滑り軸116Bに作用する負荷(トルク)が一定範囲内であれば、滑りは発生せず、滑り軸116Bが主軸116Aと共に一体的に回転する。一方、滑り軸116Bに作用する負荷(トルク)が一定範囲を超えると、滑り軸116Bと主軸116Aとの間で滑りが生じ、主軸116Aに無理な負荷が掛かるのを防止することができる。
この巻取軸116には、繰出コア138から繰り出された払拭ウェブ110を巻き取る巻取コア142が装着される。
巻取コア142の構成は、繰出コア138の構成とほぼ同じである。すなわち、円筒状に形成される。繰出コア138に巻回された払拭ウェブ110の先端は、この巻取コア142に固定される。
巻取コア142は、その内周部に巻取軸116を嵌めることにより、巻取軸116に装着される。
ここで、図11に示すように、巻取コア142は、その内周部にキー溝142Cが形成されている。一方、巻取軸116の外周(滑り軸116Bの外周)には、そのキー溝142Cに嵌合するキー116Dが形成されている。巻取コア142の装着時には、この巻取軸116に形成されたキー116Dを巻取コア142に形成された形成されたキー溝142Cに嵌めて装着する。これにより、巻取軸116の回転を巻取コア142に伝達可能に装着される。
また、図11に示すように、ケース112の蓋128の内側には、巻取軸116の設置位置に対応してガイド板143が設けられる。このガイド板143は、払拭ウェブ110の巻取径に対応した径の円盤状に形成され、蓋128が閉じられると、巻取軸116の先端に配置される。
また、図11に示すように、巻取軸116の基端部には、ガイド板143とほぼ同径のフランジ116Eが形成される。巻取コア142は、巻取軸116に装着されて、ケース112の蓋128が閉じられると、このフランジ116Eとガイド板143との間に配置される。巻取コア142に巻き取られる払拭ウェブ110は、このフランジ116Eとガイド板143とによって両縁部をガイドされながら、巻取コア142に巻き取られる。
巻取軸116の主軸116Aは、その基端部がケース本体126の外側に突出して設けられており、その突出した基端部に巻取軸ギア158が取り付けられる。巻取軸116(主軸116A)は、この巻取軸ギア158が回転駆動されることにより回転する。なお、この巻取軸116の駆動機構については後述する。
押圧ローラ118は、繰出軸114の上方に配置されており(本例では、押圧ローラ118と繰出軸114と巻取軸116とが同一直線上に配置されている。)、水平面に対して所定角度傾斜して配置されている。すなわち、この押圧ローラ118は、払拭ウェブ110をインクジェットヘッド16のノズル面30に押圧当接させるものであるため、払拭対象とするインクジェットヘッド16のノズル面30の傾きに合わせて傾けて配置されている(ノズル面と平行になるように配置されている)。
また、押圧ローラ118は、払拭対象とするインクジェットヘッド16のノズル面30の断面形状に倣って中央部が拡径して形成されている(図14参照)。すなわち、本実施の形態のインクジェットヘッド16は、ノズル面30の中央部(ノズル形成領域30A)が凹状に退避して形成されているので、この凹状に形成されたノズル面30に対応して中央部が凸状に突出して形成されている。より具体的には、凹状に退避したノズル形成領域30Aに対応する領域(払拭時に当接する領域)が、その退避量に対応して突出(拡大)して形成されている。これにより、凹状に退避して形成されたノズル形成領域30Aに適切に払拭ウェブ110を当接させることができる。
押圧ローラ118は、その両端部に軸部118L、118Rが突出して設けられており、この軸部118L、118Rを一対の軸支持部146L、146Rに軸支されて、回動自在かつ揺動自在に支持されている。
図14は、押圧ローラ118の軸部を支持する軸支持部の構成を示す正面部分断面図である。また、図15は、図14の15−15断面図である。
同図に示すように、軸支持部146L、146Rは、水平に設けられた昇降ステージ170の上に設けられている。この軸支持部146L、146Rは、ともに昇降ステージ170に垂直に立設された柱部150L、150Rと、その柱部150L、150Rの先端に屈曲して設けられた支持部152L、152Rとで構成されている。
支持部152L、152Rは、押圧ローラ118の軸と直交するように設けられており、その内側に凹部154L、154Rが形成されている。凹部154L、154Rは、押圧ローラ118の軸部118L、118Rの幅とほぼ同じ幅を有する長方形状に形成されており、清掃の対象とするインクジェットヘッドのノズル面に対して直交して形成されている(図15参照)。押圧ローラ118は、その両端の軸部118L、118Rが、この支持部152L、152Rの凹部154L、154Rに遊嵌されている。この結果、押圧ローラ118は、清掃の対象とするインクジェットヘッドのノズル面に対して直交する面内で揺動自在に支持される。
凹部154L、154Rの内側には、バネ156L、156Rが収容されており、凹部154L、154R内に遊嵌された押圧ローラ118の軸部118L、118Rは、このバネ156L、156Rによって上方に付勢されている。これにより、清掃の対象とするインクジェットヘッドのノズル面に倣って、押圧ローラ118の周面をノズル面に密着させることができる。
前段ガイド120は、第1前段ガイド160と、第2前段ガイド162とで構成され、繰出軸114から繰り出された払拭ウェブ110が、傾斜して設置された押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする。
一方、後段ガイド122は、第1後段ガイド164と、第2後段ガイド166とで構成され、傾斜して設置された押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が、水平に設置された巻取軸116に巻き取れるようにガイドする。
この前段ガイド120と後段ガイド122は、押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。すなわち、第1前段ガイド160と第1後段ガイド164とが押圧ローラ118を挟んで対称に配置されるとともに、第2前段ガイド162と第2後段ガイド166とが押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。
第1前段ガイド160は、所定の幅を有する板状に形成されており、昇降ステージ170の上に垂直に立設されている。この第1前段ガイド160は、上縁部160Aが、払拭ウェブ110の巻き掛け部として形成されており、その表面が円弧状に形成されている。また、この上縁部160Aは、水平面に対して所定角度傾斜して形成されており、これにより、払拭ウェブ110の走行方向が変換される。
第1後段ガイド164は、第1前段ガイド160と同じ構成である。すなわち、所定の幅を有する板状に形成されており、昇降ステージ170の上に垂直に立設されている。そして、その上縁部164Aが、払拭ウェブ110の巻き掛け部として形成され、円弧状に形成されるとともに、水平面に対して所定角度傾斜して形成されている。
この第1前段ガイド160と第1後段ガイド164とが、押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。繰出軸114から繰り出された払拭ウェブ110は、第1前段ガイド160に巻き掛けられることにより、繰出軸114と直交する方向から押圧ローラ118と略直交する方向に方向転換される。また、後述する第2後段ガイド166に巻き掛けられた払拭ウェブ110は、第1後段ガイド164に巻き掛けられることにより、巻取軸116と直交する方向に方向転換される。
第2前段ガイド162は、両端部にフランジ162L、162Rを有するガイドローラとして構成されている。この第2前段ガイド162は、第1前段ガイド160と押圧ローラ118との間に配置され、第1前段ガイド160に巻き掛けられた払拭ウェブ110が、押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする。すなわち、第1前段ガイド160によって押圧ローラ118と略直交する方向に方向転換された払拭ウェブ110が、押圧ローラ118と直交する方向に走行するように、払拭ウェブ110の走行方向を微調整する。また、両端のフランジ162L、162Rによって、払拭ウェブ110の斜行を防止する。
この第2前段ガイド162は、一端をブラケット168Aに片持ち支持されて、所定角度傾斜して設けられている。ブラケット168Aは、図13及び図16に示すように、先端が屈曲したプレート状に形成されており、その基端部がケース本体126の背面上端部に固定されている。そして、そのケース本体126の上端部から上方に向けて垂直に突出して設けられている。第2前段ガイド162は、このブラケット168Aの先端の屈曲部に片持ち支持されて回動自在に支持されている。
第2後段ガイド166は、第2前段ガイド162と同じ構成である。すなわち、両端部にフランジ166L、166Rを有するガイドローラとして構成され、一端をブラケット168Bに片持ち支持されて、所定角度傾斜して設けられている。ブラケット168Bは、先端が屈曲したプレート状に形成されており、その基端部がケース本体126の背面上端部に固定されている。第2後段ガイド166は、このブラケット168Bの先端の屈曲部に片持ち支持されて回動自在に支持されている。
この第2後段ガイド166は、押圧ローラ118と第1後段ガイド164との間に配置され、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が、第1後段ガイド164に巻き掛けられるようにガイドする。
この第2前段ガイド162と第2後段ガイド166とが、押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。第1前段ガイド160によって押圧ローラ118と略直交する方向に方向転換された払拭ウェブ110は、第2前段ガイド162に巻き掛けられることにより、押圧ローラ118と直交する方向に走行するように、走行方向が微調整される。また、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110は、第1後段ガイド164に巻き掛けられるように、第2後段ガイド166によって走行方向が微調整される。そして、第1後段ガイド164に巻き掛けられることにより、巻取軸116と直交する方向に方向転換される。
このように、前段ガイド120と後段ガイド122は、段階的に払拭ウェブ110の走行方向を切り換えることにより、払拭ウェブ110が、無理なく押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする。
このため、第1前段ガイド160の傾斜角度に比べて第2前段ガイド162の傾斜角度は押圧ローラ118の傾斜角度に近い角度となっており、同様に第1後段ガイド164の傾斜角度に比べて第2後段ガイド166の傾斜角度は押圧ローラ118の傾斜角度に近い角度となっている。
ところで、上記のように、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164は、それぞれ昇降ステージ170の上に設けられている。この昇降ステージ170は、水平面に対して垂直方向に昇降移動自在に設けられている。
図11に示すように、昇降ステージ170には、その下部にガイド軸172が一体的に取り付けられている。ガイド軸172は、昇降ステージ170の下面部から鉛直下向きに延びており、ケース本体126内に配置されたガイドブッシュ174に嵌合されている。ガイドブッシュ174は、支持部材176を介してケース本体126の内壁面に固定されており、ガイド軸172を水平面に対して垂直にガイドする。
このように、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164が設けられた昇降ステージ170は、水平面に対して垂直に昇降自在に設けられている。このため、図17に示すように、この昇降ステージ170を昇降移動させることにより、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164とを、固定して設置された第2前段ガイド162と第2後段ガイド166に対して、進退移動させることができる。これにより、払拭ウェブ110の交換を簡単に行うことができる。
すなわち、昇降ステージ170を下降させることにより、図17(b)に示すように、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164を、第2前段ガイド162と第2後段ガイド166とに対して下方へ退避させることができ、その間のスペースを大きく確保することができる。これにより、各部への払拭ウェブ110の巻き掛け作業を簡単に行うことができる。また、各部に払拭ウェブ110を巻き掛ける場合は、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164を下方に退避させた状態で、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164に払拭ウェブ110を巻き掛け、その後、昇降ステージ170を上昇させるだけで済む。すなわち、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164に払拭ウェブ110を巻き掛け、その後、昇降ステージ170を上昇させると、図17(a)に示すように、自動的に第2前段ガイド162と第2後段ガイド166とに払拭ウェブ110が巻き掛けられる。
このように、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164を、第2前段ガイド162と第2後段ガイド166に対して、進退可能とすることにより、払拭ウェブ110の交換作業を簡単に行うことができる。
なお、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164は、使用に際して、所定の使用位置(図17(a)の位置)に位置させる必要があるが、この第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164の使用位置への移動は、払拭装置本体102への標準払拭ユニット100の装着に連動して行われる。
ここで、この連動機構について説明する。図11及び図13に示すように、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164とが設けられた昇降ステージ170には、背部に昇降レバー(係合部)178が設けられている。この昇降レバー178は、ケース本体126の背面に形成された切欠き部180を介してケース本体126の背面から突出して設けられている。昇降ステージ170は、この昇降レバー178をスライドさせることにより、昇降移動する。
一方、図18に示すように、払拭装置本体102の払拭装置本体フレーム102Aに形成される払拭ユニット装着部104(104C、104M、104Y、104K)には、その内側にピン(被係合部)182が突出して設けられている。このピン182は、標準払拭ユニット100が、払拭ユニット装着部104に装着されると、標準払拭ユニット100に設けられた昇降レバー178に係合するように設けられている。
以上の構成により、標準払拭ユニット100を払拭ユニット装着部104に差し込むと、図18に示すように、昇降レバー178がピン182に係合し、強制的に所定位置まで上昇させられる。この結果、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164とが、所定の使用位置に位置決めされる。
このように、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164の使用位置への移動は、払拭装置本体102への標準払拭ユニット100の装着に連動して行われる。
グリッドローラ124は、第1後段ガイド164の下方位置であって、ケース本体126の底部近傍に配置されている。このグリッドローラ124は、第1後段ガイド164によって巻取軸116と直交する方向に方向転換された払拭ウェブ110が、巻取軸116に巻き取られるように駆動力を与えながらガイドする。
グリッドローラ124は、巻取軸116と平行(=水平面と平行)に設けられており、その回転軸をケース本体126に設けられた軸受部184に回動自在に支持されている。回転軸は、基端部がケース本体126の外側に突出して設けられており、その突出した基端部には、グリッドローラギア186が固着されている。グリッドローラ124は、このグリッドローラギア186が回転駆動されることにより回転する。
ここで、このグリッドローラ124を含む標準払拭ユニット100の駆動機構について説明する。
本実施の形態の標準払拭ユニット100では、巻取軸116を回転駆動するとともに、グリッドローラ124を回転駆動することにより、払拭ウェブ110を繰出軸114から巻取軸116に向けて走行させる。
上記のように、巻取軸116(巻取軸116を構成する主軸116A)には、巻取軸ギア158が取り付けられている。一方、グリッドローラ124には、グリッドローラギア186が取り付けられている。この巻取軸ギア158とグリッドローラギア186は、図13に示すように、回転伝達ギア188に噛み合わされている。
回転伝達ギア188は、その回転軸が水平に設けられており、ケース本体126に設けられた軸受部190に回動自在に支持されている。巻取軸ギア158とグリッドローラギア186は、この回転伝達ギア188を回転させることにより、同じ方向に回転する。そして、この巻取軸ギア158とグリッドローラギア186とが回転することにより、巻取軸116とグリッドローラ124とが回転する。
ここで、本例の払拭装置64では、巻取軸ギア158とグリッドローラギア186に径の異なるギア(歯数の異なるギア)を用いており、巻取軸116とグリッドローラ124とが異なる速度で回転するように設定されている。すなわち、本例の払拭装置64では、払拭ウェブ110を弛みなく搬送できるようにするために、グリッドローラ124で払拭ウェブ110を送る速度よりも巻取コア142で払拭ウェブ110を巻き取る速度の方が速くなるように、巻取軸116の回転速度とグリッドローラ124の回転速度が設定されている。これにより、弛みなく安定して払拭ウェブ110を巻き取ることができる。
具体的には、巻取軸116に装着された巻取コア142の周速度V1が、グリッドローラ124の周速度V2よりも大きくなるように(V1>V2)、巻取軸116の回転速度とグリッドローラ124の回転速度が設定され、それに基づき巻取軸ギア158とグリッドローラギア186とのギア比が設定される。
なお、実際に設定する回転速度については、実験等で最適な数値を求めて設定される。すなわち、両者の間にあまりに差を設けすぎると、磨耗、故障等の原因になるので、実験等により最適な速度を求めて設定される。
なお、このように巻取速度と送り速度に差を設けたとしても、本例の払拭装置64では、巻取軸116に滑り機構(トルクリミッタ116Cによる滑り機構)が備えられているので、巻取軸116やグリッドローラ124、モータ194等に過負荷を与えることなく、駆動することができる。
巻取軸ギア158とグリッドローラギア186とを回転させる回転伝達ギア188は、標準払拭ユニット100を払拭装置本体102の払拭ユニット装着部104に装着すると、払拭ユニット装着部104内に設けられた駆動ギア192に噛み合わされる。
駆動ギア192は、モータ194の出力軸に取り付けられており、標準払拭ユニット100を払拭ユニット装着部104に装着した際、その回転伝達ギア188が歯合する位置に配置される。
モータ194は、たとえば、パルスモータで構成され、払拭ユニット装着部104の底部に取り付けられる。このモータ194の駆動は、図示しない制御装置によって制御される。
標準払拭ユニット100の駆動機構は以上のように構成される。
上記のように、標準払拭ユニット100を払拭装置本体102の払拭ユニット装着部104に装着すると、標準払拭ユニット100のケース112に設けられた回転伝達ギア188が、払拭ユニット装着部104に設けられた駆動ギア192に噛み合わされる(図18参照)。この状態でモータ194を駆動すると、そのモータ194の出力軸に取り付けられた駆動ギア192が回転し、その回転が回転伝達ギア188に伝達されて、回転伝達ギア188が回転する。
回転伝達ギア188が回転すると、その回転伝達ギア188の回転が巻取軸ギア158とグリッドローラギア186とに伝達されて、巻取軸ギア158とグリッドローラギア186とが回転する。この結果、巻取軸116とグリッドローラ124とが回転する。そして、この巻取軸116とグリッドローラ124が回転することにより、繰出軸114に装着された繰出コア138から払拭ウェブ110が繰り出され、所定の走行経路を通って巻取軸116に装着された巻取コア142に巻き取られる。
このように、標準払拭ユニット100を払拭ユニット装着部104に装着すると、回転伝達ギア188が駆動ギア192に噛み合わされて、巻取軸116とグリッドローラ124とを駆動することが可能になる。
一方、標準払拭ユニット100を払拭ユニット装着部104に装着すると、図19及び図20に示すように、払拭ユニット装着部104に設けられたニップローラ200が、ケース本体126の底部に形成された開口部126Aを介してグリッドローラ124の外周部に押圧当接される。
ニップローラ200は、グリッドローラ124とほぼ同じ幅で形成されており、外周部がゴム等の弾性体で被覆れている。このニップローラ200は、払拭ユニット装着部104に設置された廃液受け202に水平に取り付けられている。
廃液受け202は、上部が開口した矩形の箱状に形成されており、その上辺部にニップローラ200を支持する軸受部(図示せず)が設けられている。ニップローラ200は、この軸受部に軸支されて、廃液受け202に回動自在に支持される。
廃液受け202は、内側の底面部が傾斜して形成されており、その傾斜方向の下端部に廃液口206が形成されている。廃液口206には、図示しない配管を介して廃液タンク58に接続される。
払拭ウェブ110が装填された標準払拭ユニット100を払拭ユニット装着部104に装着すると、グリッドローラ124に巻き掛けられた払拭ウェブ110は、ニップローラ200とグリッドローラ124との間にニップされる。
ニップローラ200とグリッドローラ124との間にニップされた払拭ウェブ110は、この状態でグリッドローラ124が回転駆動されることにより、巻取コア142に向けて送られる。
ここで、このニップローラ200とグリッドローラ124とにニップされる払拭ウェブ110は、ノズル面を払拭した後の払拭ウェブ110であるため、洗浄液等が吸収されている。この払拭ウェブ110に吸収された液体は、グリッドローラ124とニップローラ200との間を通過することにより、払拭ウェブ110から除去され、廃液受け202で回収される。
このように、ニップローラ200とグリッドローラ124とは、払拭ウェブ110の搬送手段として機能するとともに、払拭ウェブ110で吸収された液体(廃液)の除去手段としても機能する。これにより、巻取コア142に巻き取られた払拭ウェブ110から廃液が垂れ落ちて、周囲を汚染したり、装置を故障させたりするのを防止できる。
標準払拭ユニット100(100C、100M、100Y、100K)は、以上のように構成される。
払拭装置64は、この標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kが払拭装置本体102の払拭ユニット装着部104に装着されることにより構成される。
なお、払拭装置64の動作は、図示しない制御装置によって制御される。制御装置は、昇降装置、モータ194等の駆動を制御して、払拭装置64による付与動作を制御する。
標準払拭ユニット100は、以上のように構成される。
〈標準払拭ユニットの作用〉
次に、標準払拭ユニット100(100C、100M、100Y、100K)を用いた払拭動作について説明する。
〈払拭ウェブの装着〉
まず、払拭ウェブ110の装着方法について説明する。
払拭ウェブ110は、繰出コア138にロール状に巻回された状態で提供され、その先端は巻取コア142に固定される。
まず、標準払拭ユニット100を払拭装置本体102から取り出し、ケース112の蓋128を開ける。蓋128を開けると、繰出軸114と巻取軸116とが露出するので、繰出軸114に繰出コア138を装着し、巻取軸116に巻取コア142を装着する。
この際、払拭ウェブ110を第1前段ガイド160、押圧ローラ118、第1後段ガイド164、グリッドローラ124に巻き掛けながら、繰出コア138と巻取コア142を装着する。
具体的には、まず、繰出コア138を繰出軸114に装着する。繰出コア138の装着は、繰出コア138を繰出軸114に嵌めることにより行われる。これにより、繰出コア138が、繰出軸114の周りを回動自在に支持される。
次いで、繰出コア138から払拭ウェブ110を所定量引き出し、第2前段ガイド162と第2後段ガイド166の下を通して、払拭ウェブ110を第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164の上に巻き掛ける。この際、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164への払拭ウェブ110の巻き掛けは、昇降ステージ170を下降させた状態、すなわち、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164を下方に退避させた状態で行う。これにより、第2前段ガイド162と第2後段ガイド166との間に十分なスペースを確保することができ、その第2前段ガイド162と第2後段ガイド166の下を通して、払拭ウェブ110を第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164に巻き掛けやすくすることができる。
第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164に巻き掛けた払拭ウェブ110は、さらにグリッドローラ124に巻き掛け、最後に巻取コア142を巻取軸116に装着する。
巻取コア142の装着は、巻取コア142を巻取軸116に嵌めることにより行われる。この際、巻取コア142の内周に形成されたキー溝142Cを巻取軸116の外周に形成されたキー116Dに嵌めて装着する。これにより、周方向の回転が規制された状態で巻取コア142が巻取軸116に装着される。そして、これにより、巻取軸116の回転を巻取コア142に伝達でき、巻取軸116とともに巻取コア142を回転させることができる。
なお、上記のように、巻取軸116にはトルクリミッタ116Cが備えられているので、一定以上の負荷がかかると滑りが生じ、払拭ウェブ110を無理なく巻き取ることができる。
以上の工程で払拭ウェブ110の装着が完了する。この後、ケース112の蓋128を閉める。
ここで、蓋128が閉められると、蓋128の内側に備えられた繰出コア押え駒139が、繰出軸114に装着された繰出コア138の端面に当接し、繰出コア138を軸方向に押圧する。この結果、繰出コア138が、繰出コア押え駒139と繰出軸114のフランジ114Aとの間に挟持され、フリクションが与えられる。そして、このようなフリクションが繰出コア138に与えられることにより、払拭ウェブ110は急な張力変化が生じたときでも弛むことなく、安定して走行することができる。
また、蓋128が閉められると、蓋128の内側に備えられたガイド板143が、巻取軸116の先端に配置される。これにより、端面を揃えて払拭ウェブ110を巻取コア142に巻き取ることができる。
<払拭装置本体へのセッティング>
次に、払拭装置本体102へのセッティング方法について説明する。
払拭装置本体102への標準払拭ユニット100のセッティングは、払拭装置本体102の払拭装置本体フレーム102Aに形成された払拭ユニット装着部104に標準払拭ユニット100を垂直に差し込むことにより行われる。
標準払拭ユニット100が払拭ユニット装着部104にセットされると、図18(b)に示すように、標準払拭ユニット100の回転伝達ギア188が、払拭ユニット装着部104に設けられた駆動ギア192に噛み合わされる。これにより、巻取軸116及びグリッドローラ124が駆動可能になる。
また、標準払拭ユニット100が払拭ユニット装着部104にセットされると、昇降ステージ170に設けられた昇降レバー178が、払拭ユニット装着部104に設けられたピン182に係合し、昇降ステージ170が強制的に所定位置まで上昇させられる。この結果、第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164とが、所定の使用位置に位置決めされる。そして、この第1前段ガイド160と押圧ローラ118と第1後段ガイド164とが、所定の使用位置に位置決めされることにより、第1前段ガイド160と押圧ローラ118との間に配置された第2前段ガイド162に払拭ウェブ110が巻き掛けられるとともに、押圧ローラ118と第1後段ガイド164との間に配置された第2後段ガイド166に払拭ウェブ110が巻き掛けられる。これにより、押圧ローラ118の周面に弛みなく払拭ウェブ110が巻き掛けられる。
さらに、標準払拭ユニット100が払拭ユニット装着部104にセットされると、図19及び図20に示すように、払拭ユニット装着部104に設けられたニップローラ200がグリッドローラ124に押圧当接される。これにより、グリッドローラ124に巻き掛けられた払拭ウェブ110が、ニップローラ200とグリッドローラ124との間にニップされる。
以上により、払拭装置本体102への標準払拭ユニット100のセッティングが完了する。
払拭装置本体102にセットされた標準払拭ユニット100は、モータ194を駆動することにより、繰出軸114から払拭ウェブ110が繰り出され、所定の走行経路を通って巻取軸116に巻き取られる。
また、図8に示すように、傾斜して設けられたインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに対して、対応する標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Yの押圧ローラ118が平行に配置される。これにより、各押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110を対応するノズル面30C、30M、30Y、30Kに密着させることができる。
<払拭動作>
洗浄液付与装置62と同様に、払拭装置64は、インクジェットヘッド16(16C、16M、16Y、16K)がメンテナンス位置から画像記録位置に移動する過程でヘッドのノズル面30(30C、30M、30Y、30K)を払拭する。具体的には、次のようにノズル面を払拭する。
上記のように、払拭装置本体102は、図示しない昇降装置によって払拭装置本体フレーム102Aが昇降自在に設けられている。払拭装置本体フレーム102Aは、清掃時以外、所定の待機位置に位置しており、清掃時のみ待機位置から所定量上昇して、所定の作動位置に移動する。
払拭装置本体フレーム102Aが作動位置に移動すると、各標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kによってヘッドのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することが可能になる。すなわち、インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、各標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを通過する際、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110を押圧当接することが可能になる。
洗浄液付与装置62によってノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液が付与された各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、各標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを通過する際、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が押圧当接される。これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭される。
制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kに到達するタイミングに合わせて、モータ194を駆動し、払拭ウェブ110を走行させる。これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに走行する払拭ウェブ110が押圧当接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する払拭ウェブ110によって払拭される。
この際、払拭ウェブ110は、ノズル面30C、30M、30Y、30Kの移動方向と逆方向に走行して、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭する。これにより、効率よくノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。また、常に新しい面を使ってノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。
なお、払拭ウェブ110の走行は、次のように行われる。
モータ194を駆動すると、その回転が駆動ギア192、回転伝達ギア188を介して巻取軸ギア158とグリッドローラギア186に伝達される。これにより、巻取軸116とグリッドローラ124とが回転する。
グリッドローラ124が回転すると、払拭ウェブ110に送りが与えられ、払拭ウェブ110が繰出コア138から繰り出される。そして、巻取コア142に向けて送られる。
この際、上記のように、繰出コア138にはフリクションが与えられているため、払拭ウェブ110に急な張力変化が生じても弛みを発生させることなく、払拭ウェブ110を繰り出すことができる。
また、巻取軸ギア158が回転することにより、巻取コア142が回転し、これにより、払拭ウェブ110が巻き取られる。
この際、本実施の形態の払拭装置64では、グリッドローラ124で払拭ウェブ110を送る速度よりも巻取コア142で払拭ウェブ110を巻き取る速度の方が速くなるように設定されている。これにより、弛みなく安定して払拭ウェブ110を巻き取ることができる。
一方、このように払拭ウェブ110の巻取速度を送り速度よりも速くすると、巻取コア142での巻き径が増したときに、巻取軸116に負荷がかかるが、本実施の形態の払拭装置64では、巻取軸116にトルクリミッタ116Cが備えられているため、無理なく巻き取ることができ、安定して払拭ウェブ110を走行させることができる。
以上のように、払拭ウェブ110は、モータ194を駆動することにより、走行させることができる。そして、このように走行する払拭ウェブ110をノズル面に当接させることにより、ノズル面が払拭ウェブ110によって払拭される。
払拭を終えた払拭ウェブ110は、上記のように巻取コア142に巻き取られるが、その前段位置でグリッドローラ124とニップローラ200とにニップされる。これにより、吸収した液体(洗浄液、インク等)が、廃液として払拭ウェブ110から除去される。
払拭ウェブ110から除去された廃液は、自重で落下し、廃液受け202に回収される。廃液受け202に回収された廃液は、廃液口206から図示しない配管を介して廃液タンク58に回収される。
〈強力払拭ユニットの構成〉
次に、強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kの構成について説明する。
なお、標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kと同様、強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kも各色のインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kに対応して設けられるが、その基本構成は共通しているので、ここでは「強力払拭ユニット300」として、その構成を説明する。
図21は強力払拭ユニットの平面図、図22は強力払拭ユニットを画像記録位置側から見た側面図、図23は強力払拭ユニットの側面部分断面図、図24は強力払拭ユニットの正面部分断面図である。
図21〜図24に示すように、強力払拭ユニット300は、回転する円盤状の払拭パッド310をインクジェットヘッドのノズル面に押圧当接させることにより、インクジェットヘッドのノズル面を払拭する。
この強力払拭ユニット300は、主として、払拭パッド310と、その払拭パッド310を回転駆動する回転駆動機構312と、その回転駆動機構312を収容するケース314とで構成される。
ケース314は、上面部314Aが傾斜した縦長の箱状に形成される。このケース314は、上記標準払拭ユニット100のケース112とほぼ同じサイズ(縦×横×高さ)で形成され、払拭ユニット装着部104に交換して装着できるようにされる。
また、このケース314の上面部314Aは、払拭対象とするインクジェットヘッドのノズル面とほぼ同じ角度で傾斜して形成されている。すなわち、ケース314を払拭ユニット装着部104に装着した際、払拭対象とするインクジェットヘッドのノズル面と平行になるように形成されている。
また、このケース314の底部には、払拭ユニット装着部104に装着したときにグリッドローラ124が接触するのを防止するための切欠き314Cが形成されている。
払拭パッド310は、円盤状に形成されたベースプレート310Aと、そのベースプレート310Aの上面に貼り付けられたクッションプレート310Bと、クッションプレート310Bの上部に貼り付けられた払拭布310Cとで構成されている。
ベースプレート310Aは、容易に変形しない硬質な素材で円盤状に形成され、その裏面中央にはネジ穴310aが形成される。
クッションプレート310Bは、シリコンゴムやポリオレフィン等の弾性を有する素材で円盤状に形成され、ベースプレート310Aの表面に貼り付けられる。
払拭布310Cは、上記標準払拭ユニット100の払拭ウェブ110と同じ素材のシート(たとえば、PET、PE、NY等の極微細繊維を用いた編み又は織りからなるシート)を用いて円形状に形成され、クッションプレート310Bの表面に貼り付けられる。
以上のように構成される払拭パッド310は、ケース314の上面部314Aから突出して設けられた払拭パッド駆動軸316に取り付けられる。
回転駆動機構312は、強力払拭ユニット300を払拭ユニット装着部104に装着した際、払拭ユニット装着部104に設けられたモータ194から動力を得て、払拭パッド駆動軸316を回転駆動する。
この回転駆動機構312は、図23に示すように、主として、第1ギア318と、その第1ギア318に噛み合わされた第2ギア320と、第2ギア320と同軸上に取り付けられた第3ギア322と、第3ギア322に噛み合わされた第4ギア324と、第4ギア324と同軸上に取り付けられた第5ギア326と、第5ギア326に噛み合わされた第6ギア328と、払拭パッド駆動軸316に取り付けられ、第6ギア328に噛み合わされた第7ギア330とで構成される。
第1ギア318は、平歯車で構成される。この第1ギア318は、第1回転軸332に取り付けられて、ケース314の背面下端部に配置される。
第1回転軸332は、ケース314の背壁面部314Bに設けられた第1軸受部334に回転自在に支持されて、ケース314の背壁面部314Bに水平に取り付けられる。
第1ギア318は、強力払拭ユニット300を払拭ユニット装着部104に装着すると、駆動ギア192に噛み合わされる。
第1ギア318に噛み合わされる第2ギア320は、平歯車で構成される。この第2ギア320は、第2回転軸336の一端に取り付けられて、第1ギア318に噛み合わされる。
第2回転軸336は、ケース314の背壁面部314Bに設けられた第2軸受部338に回転自在に支持されて、ケース314の背壁面部314Bに水平に取り付けられる。この第2回転軸336は、ケース314の背壁面部314Bを貫通して設けられており、その他端に第3ギア322が取り付けられる。
第3ギア322は、傘歯車で構成される。上記のように、この第3ギア322は、第2回転軸336の他端に取り付けられる。したがって、第2ギア320が回転すると、その第2ギア320の回転数と同じ回転数で回転する。
第3ギア322に噛み合わされる第4ギア324は、傘歯車で構成される。この第4ギア324は、垂直に配置された第3回転軸340の下端に取り付けられて、第3ギア322に噛み合わされる。
第3回転軸340は、ケース314の背壁面部314Bの内側に設けられた第3軸受部342に回転自在に支持されて、ケース314の内側に垂直に配置される。この第3回転軸340の上端には、第5ギア326が取り付けられる。
第5ギア326は、傘歯車で構成される。上記のように、この第5ギア326は、第3回転軸340の上端部に取り付けられる。したがって、第4ギア324が回転すると、その第4ギア324と同じ回転数で回転する。
第5ギア326に噛み合わされる第6ギア328は、傘歯車で構成される。この第6ギア328は、第4回転軸344に取り付けられて、第5ギア326に噛み合わされる。
第4回転軸344は、ケース314の背壁面部314Bに設けられた第4軸受部346に回転自在に支持されて、ケース314の背壁面部314Bに水平に取り付けられる。
第6ギア328に噛み合わされる第7ギア330は、傘歯車で構成される。上記のように、この第7ギア330は、払拭パッド駆動軸316に取り付けられる。
払拭パッド駆動軸316は、主軸350と、その主軸350の先端に装着されるキャップ352と、キャップ352を軸方向に付勢するバネ354とで構成される。
主軸350は、ケース314の上面部314Aに設けられた主軸受部348に回転自在に支持されて、ケース314の上面部314Aに垂直に配置される。なお、ケース314の上面部314Aは傾斜して配置されているので、主軸350も傾斜して配置される。すなわち、主軸350は、強力払拭ユニット300を払拭ユニット装着部104に装着したとき、ノズル面に対して直交するように配置される。第7ギア330は、この主軸350の下端部に取り付けられる。
キャップ352は、円筒状に形成されたキャップ本体部352Aと、そのキャップ本体部352Aの先端に設けられた円盤状のパッド支持部352Bと、パッド支持部352Bの上面中央部に突出して形成されたネジ部352Cとで構成される。
キャップ本体部352Aは、円筒状に形成され、その内径は主軸350の外径とほぼ同径に形成される。すなわち、キャップ本体部352Aは、主軸350を挿入可能に形成される。
キャップ352は、このキャップ本体部352Aの内周部に主軸350を挿入することにより、主軸350に装着される。
ここで、図23に示すように、キャップ本体部352Aの内周部には、周方向に一定の間隔で複数のキー溝352Dが形成される。一方、主軸350の先端部の外周には、周方向に一定の間隔で複数のキー350Aが形成される。
キャップ352は、キャップ本体部352Aの内周部に主軸350を挿入して、主軸350に装着する際、そのキャップ本体部352Aの内周部に形成されたキー溝352Dに主軸350に形成されたキー350Aを嵌合させて装着する。このように装着されたキャップ352は、主軸350に対して周方向の移動が規制される一方、軸方向に移動自在に装着される。すなわち、主軸350の回転が伝達可能に装着される一方、軸方向に移動可能に装着される。
パッド支持部352Bは、円盤状に形成され、キャップ本体部352Aの先端に一体的に形成される。
ネジ部352Cは、キャップ本体部352Aの中央部に突出して形成される。このネジ部352Cは、払拭パッド310の取付手段(締結手段)として機能し、払拭パッド駆動軸316の回転方向と逆方向の雄ネジで構成される。払拭パッド310は、そのベースプレート310Aの裏面に形成されたネジ穴310aをこのネジ部352Cに螺合させることにより、払拭パッド駆動軸316に取り付けられる。
バネ354は、キャップ本体部352Aの内周部に収容される。キャップ352は、このバネ354を収容した状態で主軸350に装着される。これにより、キャップ352が軸方向に付勢される。
以上のように構成された回転駆動機構312は、第1ギア318を回転させると、その回転が第2ギア320、第3ギア322、第4ギア324、第5ギア326、第6ギア328を介して第7ギア330に伝達され、その第7ギア330が取り付けられた払拭パッド駆動軸316が回転する。そして、この払拭パッド駆動軸316が回転することにより、払拭パッド駆動軸316に取り付けられた払拭パッド310が回転する。
強力払拭ユニット300は、以上のように構成される。
〈強力払拭ユニットの作用〉
次に、この強力払拭ユニット300(300C、300M、300Y、300K)を用いた払拭動作について説明する。
〈払拭パッドの装着〉
まず、強力払拭ユニット300への払拭パッド310の装着方法について説明する。
払拭パッド310は、そのベースプレート310Aの裏面に形成されたネジ穴310aを払拭パッド駆動軸316の先端に形成されたネジ部352Cに螺合させることにより、払拭パッド駆動軸316に装着される。
なお、ネジ穴310aとネジ部352Cは、払拭パッド駆動軸316の回転方向と逆方向のネジで締結されるため、回転中に払拭パッド310が外れることはない。
〈払拭装置本体へのセッティング〉
次に、払拭パッド310が装着された強力払拭ユニット300を払拭装置本体102にセットする方法について説明する。
標準払拭ユニット100のときと同様に払拭装置本体102への強力払拭ユニット300のセッティングは、払拭装置本体102に形成された払拭ユニット装着部104に強力払拭ユニット300を垂直に差し込むことにより行われる。
強力払拭ユニット300は、払拭ユニット装着部104に垂直に差し込むと、所定位置で図示しないロック機構にロックされる。これにより、強力払拭ユニット300が払拭ユニット装着部104にセットされる。
強力払拭ユニット300が払拭ユニット装着部104にセットされると、図25(b)及び図26に示すように、強力払拭ユニット300の第1ギア318が、払拭ユニット装着部104に設けられた駆動ギア192に噛み合わされる。これにより、第1ギア318を回転駆動することが可能になり、強力払拭ユニット300を動作させることが可能になる。
また、図22に示すように、払拭パッド310がノズル面30に対して平行に配置される。これにより、払拭パッド310をノズル面30に当接させることが可能になる。
〈払拭動作〉
標準払拭ユニット100のときと同様にスライド移動するインクジェットヘッド16(16C、16M、16Y、16K)のノズル面30(30C、30M、30Y、30K)に対して払拭パッド310を当接させることにより、ノズル面30を払拭する。この際、払拭パッド310を回転させながら、ノズル面30に当接させて、ノズル面30を払拭する。具体的には、次のように行う。
上記のように、払拭装置64は、払拭装置本体フレーム102Aが図示しない昇降装置によって昇降自在に設けられている。払拭装置本体フレーム102Aは、清掃時以外は所定の待機位置に位置しており、清掃時にのみ待機位置から所定量上昇して、所定の作動位置に移動する。
払拭装置本体フレーム102Aが作動位置に移動すると、各強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kによってヘッドのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することが可能になる。すなわち、インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、各強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kを通過する際、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭パッド310を押圧当接することが可能になる。
洗浄液付与装置62によってノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液が付与された各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、各強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kを通過する際、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに回転する払拭パッド310が押圧当接される。これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭される。
制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kに到達するタイミングに合わせて、モータ194を駆動し、払拭パッド310を回転させる。そして、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kに到達するタイミングに合わせて、昇降装置を駆動し、払拭装置本体フレーム102Aを作動位置に移動させて、回転する払拭パッド310をノズル面30C、30M、30Y、30Kに当接させる。これにより、回転する払拭パッド310がノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧当接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭パッド310によって払拭される。
ここで、払拭パッド310は、回転しているため、ノズル面30C、30M、30Y、30Kをさまざまな方向から払拭することができ、効果的に付着物を除去することができる。特に、ノズル穴の内周縁に付着する汚れ等を効果的に除去することができる。
また、払拭パッド310は、払拭パッド駆動軸316によって軸方向に付勢されているため、無理な力を掛けずにノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。
このように、強力払拭ユニット300を用いた払拭では、回転する払拭パッド310をノズル面に当接させることにより、ノズル面を払拭する。
≪ノズル面清掃装置の作用≫
次に、以上のように構成される本実施の形態のノズル面清掃装置60によるノズル面の清掃動作について説明する。
ノズル面の清掃は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kをメンテナンス位置から画像記録位置に移動させる過程で行われる。
各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、メンテナンス位置から画像記録位置に移動する過程で、まず、洗浄液付与装置62によりノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液が付与され、その後、払拭装置64により、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭される。
ここで、本実施の形態のインクジェット記録装置では、払拭装置64による払拭動作を変えることができ、状況に応じた払拭を行うことができる。すなわち、標準払拭ユニット100を用いた標準的な払拭と、強力払拭ユニット300を用いた強力な払拭とを選択することができ、状況に応じて使い分けることができる。
なお、通常は、標準払拭ユニット100を用いた標準的な払拭が行われ、汚れがひどい場合などに強力払拭ユニット300を用いた強力な払拭が行われる。
〈標準払拭ユニット100を用いた清掃方法〉
まず、標準払拭ユニット100を用いた清掃方法について説明する。
この場合、払拭装置64の払拭装置本体102に標準払拭ユニット100を装着する。
ノズル面の清掃指令が制御装置に入力されると、制御装置は、洗浄液付与装置62の洗浄液付与装置本体72を所定の作動位置に移動させる。これにより、洗浄液付与装置62による洗浄液の付与が可能になる。
洗浄液付与装置62を所定の作動位置に移動させた後、制御装置は、ヘッド支持フレーム40をメンテナンス位置から画像記録位置に向けて所定の移動速度で移動させる。
その一方で制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kの洗浄液付与ヘッド74に到達するタイミングに合わせて、洗浄液供給ポンプを駆動する。これにより、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kに備えられた洗浄液付与ヘッド74の洗浄液噴出口78から洗浄液が所定の流量で流れ出る。洗浄液噴出口78から流れ出た洗浄液は、洗浄液保持面74Aを流れ落ちる。
メンテナンス位置に向かうインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、この洗浄液付与ヘッド74を通過する際、その洗浄液付与ヘッド74の洗浄液保持面74Aを流れる洗浄液がノズル面30C、30M、30Y、30Kに接触し、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液が付与される。
洗浄液が付与されたノズル面30C、30M、30Y、30Kは、そのままメンテナンス位置に向かって移動する。そして、標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを通過する際、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。
制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kに到達するタイミングに合わせて、モータ194を駆動し、払拭ウェブ110を走行させる。
また、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kに到達するタイミングに合わせて、昇降装置(図示せず)を駆動し、払拭装置本体102の払拭装置本体フレーム102Aを作動位置に移動させる。
これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに走行する払拭ウェブ110が押圧当接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。
制御装置は、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kを通過し終えると、洗浄液供給ポンプの駆動を停止し、洗浄液の供給を停止する。そして、洗浄液付与装置62を待機位置に退避させる。
また、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが、標準払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを通過し終えると、モータ194の駆動を停止し、払拭ウェブ110の走行を停止する。そして、払拭装置本体102の払拭装置本体フレーム102Aを待機位置に退避させる。
以上一連の工程でインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kの清掃が終了する。
このように、標準払拭ユニット100を用いた清掃では、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を付与した後、ノズル面30C、30M、30Y、30Kの双方向法と反対方向に走行する払拭ウェブ110をノズル面30C、30M、30Y、30Kに当接させて、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭し、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを清掃する。
〈強力払拭ユニット300を用いた清掃方法〉
次に、強力払拭ユニット300を用いた清掃方法について説明する。
標準払拭ユニット100を用いた清掃では、一方向の払拭となるため、ノズル穴内部の払拭方向上流側にあるインク由来の付着物を十分に除去できないおそれがある。
そこで、このような付着物を堆積させることなく、ノズル面を正常に保つため、強力払拭ユニット300を用いた払拭が行われる。
強力払拭ユニット300を用いた払拭は、強力払拭ユニット300を標準払拭ユニット100に代えて払拭装置64に装着することにより行われる。
ノズル面の清掃指令が制御装置に入力されると、制御装置は、洗浄液付与装置62の洗浄液付与装置本体72を所定の作動位置に移動させる。これにより、洗浄液付与装置62による洗浄液の付与が可能になる。
洗浄液付与装置62を所定の作動位置に移動させた後、制御装置は、ヘッド支持フレーム40をメンテナンス位置から画像記録位置に向けて所定の移動速度で移動させる。
その一方で制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kの洗浄液付与ヘッド74に到達するタイミングに合わせて、洗浄液供給ポンプを駆動する。これにより、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kに備えられた洗浄液付与ヘッド74の洗浄液噴出口78から洗浄液が所定の流量で流れ出る。洗浄液噴出口78から流れ出た洗浄液は、洗浄液保持面74Aを流れ落ちる。
メンテナンス位置に向かうインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、この洗浄液付与ヘッド74を通過する際、その洗浄液付与ヘッド74の洗浄液保持面74Aを流れる洗浄液がノズル面30C、30M、30Y、30Kに接触し、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液が付与される。
洗浄液が付与されたノズル面30C、30M、30Y、30Kは、そのままメンテナンス位置に向かって移動する。そして、強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kを通過する際、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。
制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kに到達するタイミングに合わせて、モータ194を駆動し、払拭パッド310を回転させる。
また、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kに到達するタイミングに合わせて、昇降装置(図示せず)を駆動し、払拭装置本体102の払拭装置本体フレーム102Aを作動位置に移動させる。
これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに回転する払拭パッド310が押圧当接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。
制御装置は、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kを通過し終えると、洗浄液供給ポンプの駆動を停止し、洗浄液の供給を停止する。そして、洗浄液付与装置62を待機位置に退避させる。
また、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが、強力払拭ユニット300C、300M、300Y、300Kを通過し終えると、モータ194の駆動を停止し、払拭パッド310の回転を停止する。そして、払拭装置本体102の払拭装置本体フレーム102Aを待機位置に退避させる。
以上一連の工程でインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kの清掃が終了する。
このように、強力払拭ユニット300を用いた清掃では、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を付与した後、回転する払拭パッド310をノズル面30C、30M、30Y、30Kに当接させて、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭し、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを清掃する。
以上説明したように、本実施の形態の払拭装置64では、払拭動作を変えることができるのせ、ノズル面を効果的に払拭することができる。特に、ノズル穴内部にあるインク由来の付着物を効果的に除去することができる。
また、払拭ユニットを交換するだけなので、その切り替えも簡単に行うことができる。
また、払拭ユニットは、駆動源(モータ194)を共用しているので、構成を簡素化することができるとともに、製造コストも抑えることができる。
≪他の実施の形態≫
〈払拭ユニットの他の実施の形態〉
上記実施の形態では、走行する帯状の払拭ウェブ110をノズル面に当接させて、ノズル面を払拭する標準払拭ユニット100と、回転する円盤状の払拭パッド310をノズル面に当接させて、ノズル面を払拭する強力払拭ユニット300の2つの払拭ユニットを用意し、交換して装着できるように構成しているが、払拭ユニットによる払拭動作は、これに限定されるものではない。
図27は、払拭ユニットの他の一例を示す側面部分断面図である。
同図に示すように、本例の払拭ユニットは、往復動する払拭パッドをノズル面に当接させて、ノズル面を払拭する。
この払拭ユニット(以下「往復払拭ユニット」という。)400は、主として、払拭パッド410と、その払拭パッド410を往復動させる往復駆動機構412と、その往復駆動機構412を収容するケース314とで構成される。
ケース314の基本構成は、上述した強力払拭ユニット300のケース314の構成と同じである。したがって、同一符号を付して、その説明は省略する。
払拭パッド410は、矩形の平板状に形成されている点を除いて、上述した強力払拭ユニット300の払拭パッド310の構成と同じである。すなわち、ベースプレート410Aと、そのベースプレート410Aの上面に貼り付けられたクッションプレート410Bと、クッションプレート410Bの上部に貼り付けられた払拭布410Cとで構成される。
往復駆動機構412は、回転動力伝達部412Aと、動力変換部412Bとで構成される。
回転動力伝達部412Aは、往復払拭ユニット400を払拭ユニット装着部104に装着した際、払拭ユニット装着部104に設けられたモータ194から回転動力を得て、その回転動力を動力変換部412Bに伝達する。
この回転動力伝達部412Aの基本構成は、上述した強力払拭ユニット300の回転駆動機構312の構成と同じである。すなわち、第1ギア318と、その第1ギア318に噛み合わされた第2ギア320と、第2ギア320と同軸上に取り付けられた第3ギア322と、第3ギア322に噛み合わされた第4ギア324と、第4ギア324と同軸上に取り付けられた第5ギア326と、第5ギア326に噛み合わされた第6ギア328と、払拭パッド駆動軸316に取り付けられ、第6ギア328に噛み合わされた第7ギア330とで構成される。
このように、回転動力伝達部412Aの基本構成は、強力払拭ユニット300の回転駆動機構312の構成と同じなので、その詳細な説明は省略する。
動力変換部412Bは、回転動力伝達部412Aから伝達される回転動力を往復動力に変換する。この動力変換部412Bは、図27〜図29に示すように、主として、入力軸420と、回転板422と、往復動体424、往復動ガイド426とで構成される。
入力軸420は、ケース314の上面部314Aに形成された主軸受部348に回転自在に支持されて、ケース314の上面部314Aに垂直に配置される。回転動力伝達部412Aの第7ギア330は、この入力軸420に取り付けられる。したがって、第7ギア330が回転すると、この入力軸420が回転する。
回転板422は、円盤状に形成され、入力軸420の先端同軸上に取り付けられる。したがって、入力軸420が回転すると、この回転板422も回転する。この回転板422の上面には、回転板422の回転中心に対して、偏芯した位置に円柱状の偏芯ピン436が突出して設けられる。
往復動体424は、基台部430と、その基台部430に対して上下方向に摺動自在に設けられた払拭パッド取付板432と、払拭パッド取付板432を突出方向に付勢するバネ434とで構成される。
基台部430は、矩形の平板状に形成され、その両サイドにスライド部430Aを有している。基台部430は、このスライド部430Aを往復動ガイド426にガイドされて、インクジェットヘッド16の移動方向と直交する方向に往復移動自在に支持される。
往復動ガイド426は、一対のガイドレール426Aで構成され、往復動体424を挟んでケース314の上面部314Aに取り付けられる。基台部430のスライド部430Aは、このガイドレール426Aのガイド溝426aに嵌入されて、スライド自在に支持される。
基台部430の下面中央には、長穴428が形成される。この長穴428には、回転板428の上面に設けられた偏芯ピン436が嵌入される。
図30に示すように、回転板422が回転すると、回転板428に設けられた偏芯ピン436が、長穴428の内壁面を押し、この結果、基台部430がガイドレール426Aに沿って往復動する。
基台部430の上面には、凹部440が形成される。払拭パッド取付板432は、この凹部440に嵌合する嵌合部432Aと、払拭パッド310が取り付けられる払拭パッド取付部432Bと、その嵌合部432Aと払拭パッド取付部432Bとを連結する連結部432Cとで構成される。払拭パッド取付板432は、嵌合部432Aが基台部430の凹部440内を摺動することにより、上下方向に摺動自在に支持される。
バネ434は、基台部430の凹部440に収容され、払拭パッド取付板432を突出方向に付勢する。
以上のように構成される動力変換部412Bは、入力軸420が回転駆動されると、回転板422が回転し、この回転が偏芯ピン436と長穴428の作用で往復運動に変換されて、往復動体424が往復動する。そして、この往復動体424が往復動することにより、往復動体424に取り付けられる払拭パッド410が往復動する。
なお、払拭パッド410は、上記強力払拭ユニット300と同様、たとえば、ネジにより往復動体424の払拭パッド取付板432に取り付けられる。
〈往復払拭ユニットの作用〉
次に、この往復払拭ユニット400を用いた払拭動作について説明する。
〈払拭装置本体へのセッティング〉
上記標準払拭ユニット100のときと同様に払拭装置本体102への往復払拭ユニット400のセッティングは、払拭装置本体102に形成された払拭ユニット装着部104に往復払拭ユニット400を垂直に差し込むことにより行われる。
往復払拭ユニット400は、払拭ユニット装着部104に垂直に差し込むと、所定位置で図示しないロック機構にロックされる。これにより、強力払拭ユニット300が払拭ユニット装着部104にセットされる。
往復払拭ユニット400が払拭ユニット装着部104にセットされると、往復払拭ユニット400の第1ギア318が、払拭ユニット装着部104に設けられた駆動ギア192に噛み合わされる。これにより、第1ギア318を回転駆動することが可能になり、往復払拭ユニット400を動作させることが可能になる。
〈払拭動作〉
標準払拭ユニット100のときと同様にスライド移動するインクジェットヘッド16(16C、16M、16Y、16K)のノズル面30(30C、30M、30Y、30K)に対して払拭パッド310を当接させることにより、ノズル面30を払拭する。この際、払拭パッド310を回転させながら、ノズル面30に当接させて、ノズル面30を払拭する。具体的には、次のように行う。
上記のように、払拭装置64は、払拭装置本体フレーム102Aが図示しない昇降装置によって昇降自在に設けられている。払拭装置本体フレーム102Aは、清掃時以外は所定の待機位置に位置しており、清掃時にのみ待機位置から所定量上昇して、所定の作動位置に移動する。
払拭装置本体フレーム102Aが作動位置に移動すると、各往復払拭ユニット400によってヘッドのノズル面30を払拭することが可能になる。すなわち、インクジェットヘッド16が、往復払拭ユニット400を通過する際、そのノズル面30に払拭パッド410を押圧当接することが可能になる。
洗浄液付与装置62によってノズル面30に洗浄液が付与されたインクジェットヘッド16は、往復払拭ユニット400を通過する際、そのノズル面30に往復動する払拭パッド410が押圧当接される。これにより、ノズル面30が払拭される。
制御装置は、インクジェットヘッド16が、往復払拭ユニット400に到達するタイミングに合わせて、モータ194を駆動し、払拭パッド410を往復動させる。そして、インクジェットヘッド16が、往復払拭ユニット400に到達するタイミングに合わせて、昇降装置を駆動し、払拭装置本体フレーム102Aを作動位置に移動させて、往復動する払拭パッド410をノズル面30に当接させる。これにより、往復動する払拭パッド410がノズル面30に押圧当接され、ノズル面30が払拭パッド410によって払拭される。
ここで、払拭パッド410は、往復動しているため、ノズル面30を2方向から払拭することができ、効果的に付着物を除去することができる。特に、ノズル穴の内周縁に付着する汚れ等を効果的に除去することができる。
また、払拭パッド310は、軸方向に付勢されているため、無理な力を掛けずにノズル面30を払拭することができる。
〈その他の実施の形態〉
払拭ユニットが行う払拭動作は、上記のものに限定されるものではない。この他にも種々の払拭動作を採用することができる。
たとえば、上記実施の形態では、帯状の払拭ウェブ110でノズル面を払拭する際、払拭ウェブ110を一方向に走行させてノズル面を払拭させているが、払拭ウェブ110を往復動させてノズル面を払拭することもできる。
また、上記実施の形態では、回転する払拭パッド310でノズル面を払拭する際、払拭パッド310を一方向に回転させてノズル面を払拭させているが、払拭パッド310を揺動させて(定期的に正逆回転させて)払拭する構成とすることもできる。
また、払拭パッド310を同軸上に回転させるのではなく、偏芯回転させて払拭する構成とすることもできる。
また、上記実施の形態では、払拭パッド310として、払拭ウェブ110と同じ構成の払拭布を用いる構成としているが、ブラシ等で構成することもできる。
また、払拭パッド310はネジで取り付けることにより交換できるようにしている、払拭パッド310(410)を交換可能に取り付ける構成は、これに限定されるものではない。
また、上記実施の形態では、払拭ウェブ110として極微細な繊維の編み又は織りからなる払拭ウェブ110を用いたが、払拭ウェブの構成は、これに限定されるものではない。吸収性を有するものであれば、他の構成の払拭ウェブを用いることもできる。払拭パッド310に用いる払拭布310Cについても同様である。
なお、極微細な繊維の編み又は織りからなる払拭ウェブを用いることにより、表面の凹凸によって付着物を効果的に除去することができる。また、本例のように吸収性を有する払拭ウェブを用いることにより、ノズル内に入った洗浄液や、ノズル穴表層の増粘したインクをノズル穴から引き出すことができる。
また、上記実施の形態では、ノズル面30の走行方向と反対方向に払拭ウェブ110を走行させて、ノズル面30を払拭する構成としているが、ノズル面30の走行方向と同方向に払拭ウェブ110を走行させて、ノズル面30を払拭するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、インクジェットヘッド側を移動させて、そのノズル面30に洗浄液を付与する構成としているが、洗浄液付与装置62を移動させて、そのノズル面30に洗浄液を付与する構成とすることもできる。また、インクジェットヘッド16と洗浄液付与装置62の双方を移動させて、ノズル面30に洗浄液を付与する構成とすることもできる。同様に、払拭装置64を移動させて、そのノズル面30を払拭する構成とすることもできる。また、インクジェットヘッド16と払拭装置64の双方を移動させて、ノズル面30を払拭する構成とすることもできる。
また、上記実施の形態では、インクジェットヘッド16をメンテナンス位置から画像記録位置に移動させる工程でノズル面を清掃する構成としているが、インクジェットヘッド16を画像記録位置からメンテナンス位置に移動させる工程でノズル面を清掃する構成とすることもできる。この場合、払拭装置64に対して画像記録位置側に洗浄液付与装置62が配置される。
また、上記実施の形態では、洗浄液付与装置62によってノズル面に洗浄液を付与する構成としているが、ノズル面に洗浄液を付与する構成(ノズル面をウェット化する構成)は、これに限定されるものではない。この他、たとえば、スプレー等によりノズル面に洗浄液を付与する構成とすることもできる。
また、ノズル面をキャップ52で覆い、吸引してノズル面をウェット化させる構成とすることもできる。さらに、洗浄液を付与せずに払拭ウェブで払拭する構成とすることもできる。
また、上記実施の形態では、傾斜して設置されたノズル面を清掃する場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。水平に設置されたノズル面を清掃する場合にも同様に適用することができる。
また、上記実施の形態では、ノズル形成領域30Aが凹状に退避して形成された場合を例に説明したが、ノズル形成領域30Aは、ノズル保護領域30Bと同じ高さで形成するようにしてもよい。すなわち、ノズル面はフラットに形成されていてもよい。
また、上記実施の形態では、ノズル形成領域30Aにのみ撥液処理が施されている場合を例に説明したが、ノズル保護領域30Bにも撥液処理を施すようにしてもよい。