JP2012048808A - オーディオ用インシュレータ及びその評価方法 - Google Patents
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Abstract
従来硬質材料インシュレータの場合、良質な音響素材の選択により、素材のキャラクターを利用した再生音のチューニングが図れる。しかし、適用される各種音響素材は固有の高周波特性を有するため、効果に多様性、汎用性が無く、オーディオ装置との相性に左右される。またオーディオ装置の設置環境、音楽のジャンル等が変わると、音響効果も変わるという欠点があった。
【解決手段】
オーディオ機器からインシュレータに伝達される振動の主伝搬経路に対して、風鈴部材(共振部材)を並列に配置する。基音、倍音、余韻・ゆらぎなどの多くの要因で決まる音色を有する風鈴の振動系は、オーディオ機器から伝搬される高周波振動をアシスト(増強)する。従来方式と原理の異なる上記アシスト作用により、音像の定位感、分解能、透明感、スケール感などの音響特性を飛躍的に向上させことができる。
【選択図】図1
Description
このタイプのインシュレータは、振動の遮断(シャットアウト)を目的としたもので、剛性の小さい緩衝体が用いられる。緩衝体として、ゴム材を用いたもの、スプリングコイルを用いるもの、空気を封じ込めたエアーフローティング・ボード、磁力の反発力を利用したものなどがある。
インシュレータのもうひとつのタイプは硬質材を用いるものである。近年、前述した緩衝体に代わり、オーディオ機器が発生する振動を効果的に吸収し、外部へ逃すことを目的とした硬質材、たとえば、木材、樹脂、金属、セラミック等を用いたもの、及びこれらの素材を多層構造にした複合タイプが考案され商品化されている。この複合タイプについては、特開平10-246284号(特許文献3)に開示されている。硬質インシュレータの場合は、良質な音響素材のキャラクターを利用した再生音のチューニング手段として用いられる。たとえば、
(a)金属系材料
真鍮:キラリとした明るいブリリアントな響き
銅:重厚感があってパワフル
銀:芯のとおりが良く、音の立ち上がり、立ち下がりが素早い
金:ふくよかさで艶やか
(b)木材系材料
アフリカ黒檀:固いが刺激的ではない音(楽器に使用される)
縞黒檀:アフリカ黒檀より柔らかい
桜:柔らかく芳純
上述したゴム製インシュレータの場合は、ゴムの粘弾性による過剰な制振作用により、音に生気を与える高周波数成分まで減衰してしまうため、音の輪郭が曖昧となり、音質に混濁感が生じるという欠点があった。
スプリング方式の場合、ばね剛性と搭載物の質量できまる固有振動、及び、複数の高調波振動が広い周波数領域に渡って発生するため、この振動が音に与える影響をどう回避するかが大きな課題となる。
硬質材料インシュレータの場合は、前述したように良質な音響素材の選択により、音響素材のキャラクターを利用した再生音のチューニングが図れる。しかし、硬質材料インシュレータの振動伝達のメカニズムと音響効果の関係は理論的に未解明であり、ほとんどが試行錯誤的に開発されたものである。適用される音響素材は固有の高周波特性を有するため、効果に多様性、汎用性が無く、オーディオ装置との相性に左右され、またオーディオ装置の設置環境、音楽のジャンル等が変わると、効果も変わるという欠点があった。そのため、リスナーの永続的な使用に応えるのが難しいという課題があった。
すなわち、本発明においては、オーディオ機器を振動発生源として、オーディオ機器から弾性部材側に伝達される主振動の主伝搬経路をΦZとして、このΦZから分岐した振動伝播経路ΦRを有する共振部材を、上記ΦZに対して並列に配置する。多くの共振点を有する共振部材の振動系ΦRは、オーディオ機器から伝搬される高周波振動をアシスト(増強)する。従来方式と原理の異なる高周波域のアシスト作用により、音像の定位感、奥域感、密度感、透明感、分解能などの音響特性を向上させる。ちなみに、楽器が奏でる音は高調波の倍音成分を有し、ステレオ再生で音源の方向を特定できる音像定位の効果は高音域の特性に依存する。すなわち、本インシュレータでは、高音域のアシスト作用により、各楽器の再生音の倍音成分が強調されることで、上記音響特性が向上される。
すなわち、本発明においては、共振部材を風鈴形状の概略筒型状部材で構成する。基音、倍音(基音の整数倍周波数の音)、余韻、うなり(ゆらぎ)などの多くの要因で決まる音色を有する風鈴の振動系ΦRは、オーディオ機器から伝搬される高周波振動をアシスト(増強)すると共に、振動が減衰する時の余韻とうなりは、再生音に音響空間の広がりと深み、芳醇な味わいを与える。
すなわち、本発明においては、下記(1)(2)を「同時に併せ持つ」ことを特徴とするものである。
(1)低周波可聴域での振動の完全遮断効果
搭載物の質量とばね剛性で決まる2次振動系の周波数特性により、可聴域における低周波振動のほぼ完全な遮断作用が得られる。この振動遮断効果によりオーディオ機器と設置面との間の相互干渉による振動が再生音に与える影響(混変調歪の発生)を回避できる。
(2)従来硬質材料インシュレータを超える高周波振動のアシスト効果
すなわち、本発明においては、機械ばねを用いたとき必ず発生する高次の共振現象を、粘弾性材材料などの振動減衰手段を用いて抑制するものである。
機械ばねとして、円錐コイルばね、皿バネ、あるいはこの皿ばねを多段に積み重ねた構造、竹の子ばね、輪ばね、渦巻きばね、薄板ばね、重ね板ばね、U字型ばねなど、オーディオ用インシュレータに要求される形状、寸法などを考慮して選択できる。
すなわち、本発明においては、機械ばねとしてスプリングコイルを用いて、かつスプリングコイルと密着した状態を保つ粘弾性材料によるサージング共振防止部材より構成する。サージング共振防止部材は、半径方向に延びて突設された複数の粘弾性片が部分的にスプリングコイルの内周面、あるいは外周面に接触する形状にすれば、波長が短くなる高周波域の振動は、粘弾性片の振動減衰作用の影響を回避して通過する確率が向上する。
すなわち、本発明においては、「風鈴効果」を得るために設けた長い筒状のスリーブ(共振部材)を利用して、インシュレータに搭載されるオーディオ機器(たとえば、スピーカー)に地震などによる衝撃的な水平方向外乱荷重が加わった場合でも、オーディオ機器の傾斜を最小限に抑えて、転倒を防止する構造を示すものである。すなわち、長い形状の筒型スリーブは「風鈴効果」と搭載物の「転倒防止効果」の両方の役割を併せもつことができる。
すなわち、本発明においては、本インシュレータに搭載されたスピーカー(あるいは、その他のオーディオ機器)に水平方向の衝撃荷重が加わった場合、上式が成り立つように、前記筒型スリーブの有効長さL、前記筒型スリーブと固定部の半径方向の間隙δを設定することで、スピーカーの転倒防止が図れる。
すなわち、本発明においては、本インシュレータに搭載されたスピーカー、あるいはその他のオーディオ機器に水平方向の衝撃荷重が加わった場合、上式が成り立つように前記筒型スリーブとコイル固定部の半径方向の間隙δを設定すれば、スピーカー、あるいはオーディオ機器の仕様に無関係に転倒防止が図れる。
すなわち、本発明においては、前記上部支持部材、あるいは下部支持部材の端部に、ねじによって軸方向高さが調整可能な別部材(ベース部)を装着することで、複数個のインシュレータ上に搭載されるオーディオ機器の傾斜を補正できる。
すなわち、本発明においては、前記貫通穴を通して装着された前記締結部材で、前記荷重支持部のストローク上限値を規制することにより、オーディオ機器に加わる縦方向外乱加重に対して安全対策を施せる。
すなわち、本発明においては、インシュレータとオーディオ機器間は、点ではなく広い面積を有する面で接触させることで、風鈴部材の有する多様な振動モードを高周波域のアシスト作用としてより効果的に利用できることに着目したものである。従来の常識に反して、オーディオ機器に設置されているスパイクの機能を無効にすることで、一層の風鈴効果を得ることができる。
すなわち、本発明においては、
(a)低い周波数領域(f0<f<f1)では、オーディオ機器と床面間の振動伝達は遮断される。
(b)逆に高い周波数領域(f>f1)では、共振部材の有する振動特性が高周波振動伝達をアシストする。
すなわち、本発明においては、前記共振部材の内外周面に複数本の溝を形成することにより、より多くの固有振動モードを持たせることができる。
また、内周面に溝、あるいは不規則な凹凸面を形成すれば、インテリア性が要求されるオーディオ機器としてのインシュレータの美観を損なわない。
すなわち、本発明においては、前記共振部材に固有音響インピーダンスが107Ns/m3以上の良質な音響素材を用いれば、高周波域で多くの共振モードを励起し易いため、振動のアシスト作用が効果的に働き、音響特性の向上が図れる。
すなわち、本発明においては、余韻が長く、減衰性が低く、高周波域における多くの共振ピークを励起し易い銅合金は、風鈴の材料として用いられており、本発明インシュレータの共振部材として好適である。
すなわち、本発明においては、弾性部材に機械ばねを用いた場合、振動伝播経路Φzを形成する各部材は、減衰性が小さく、固有音響インピーダンスzが同レベルの高い材料、具体的にはz>107Ns/m3の材料を用いれば、共振部材が高周波振動を励起し易くすくなるため、一層の風鈴効果が得られる。
すなわち、本発明においては、振動伝播経路Φzに並列に共振部材を配置して、かつ、前記振動伝播経路Φzに、減衰性が小さく、固有音響インピーダンスの高い材料を用いることで、低周波域で振動を遮断し、高周波域で共振部材の振動を通過させる「ハイパス・フィルタ」の特性を有する。多くの機械要素部品、たとえば、ゴム、質量とバネ、ダンパーなどのほとんどは、低周波域では振動を通過させ、高周波域において振動を遮断する「ローパス・フィルタ」の特性を有する。通常、ハイパス・フィルタの特性を有する機械要素、及び、機械要素の組み合わせは存在しない。この点で、本実施例のインシュレータは極めて特殊な振動伝達特性を有するのである。
すなわち、本発明においては、インシュレータに搭載されるオーディオ機器(たとえば、スピーカー)に地震などによる衝撃的な外乱荷重が加わった場合でも、オーディオ機器の傾斜を最小限に抑えて、転倒防止が図れる。
すなわち、本発明においては、前記軸は狭い半径方向の間隙を設けた状態で、前記貫通穴に嵌め込むように配置されるため、複数のインシュレータ上に配置されたオーディオ機器(たとえば、スピーカー)に衝撃的な横方向の外乱荷重が加わった場合でも、オーディオ機器の傾斜を最小限に抑えて、転倒を防止することができる。
すなわち、本発明においては、本インシュレータに搭載されたスピーカー(あるいは、その他のオーディオ機器)に水平方向の衝撃荷重が加わった場合、上式が成り立つように、前記軸の有効長さLC、前記軸と前記貫通穴の半径方向の間隙δCを設定することで、スピーカーの転倒防止が図れる。
すなわち、本発明においては、前記軸に形成されたねじ部と前記ナットにより、前記荷重支持部と前記固定部の相対的な軸方向距離の上限値を調節できる。
すなわち、本発明においては、断面凹形状のインシュレータ収納部を形成することにより、別形態インシュレータは横滑りして離脱することなく、本発明のインシュレータの上に安定して装着できる。
すなわち、本発明においては、前述した「風鈴効果」が得られるインシュレータを、スプリングコイル式に特定せず、任意のインシュレータが適用できるように構成したものである。荷重支持部からメイン・インシュレータに至る振動伝播経路ΦZとしたとき、このΦZから分岐した振動伝播経路ΦRにサブ・インシュレータを構成する。メイン・インシュレータの方式(原理、構造)に制約はなく、エアー式、磁力の反発力を利用したフローティング方式インシュレータでもよい。従来のフローティング方式の場合は、音響素材を利用した音のチューニングは難しかったが、本発明の構造では、風鈴の振動系ΦR(サブ・インシュレータ)はΦZに対して独立して存在するため、サブ・インシュレータの形状、音響素材の選択により、リスナーの好みによるサウンド・チューニングができる。
すなわち、本発明においては、適用できるメイン・インシュレータの方式(原理、構造)に制約はなく、それ自体が独立してオーディオ用インシュレータとして、従来から使用されているものでもよい。
すなわち、本発明においては、筒型形状スリーブは側面だけではなく、上面における拘束条件も緩和されるため、「風鈴」の支持条件に一層近づけることができる。
すなわち、本発明においては、インシュレータとオーディオ機器本体を一体化することで、インシュレータがオーディオ機器から離脱する不具合が無くなる。たとえば、小型のミニコンポ、ステレオ、ラジカセ、音質重視のPCオーディオ用パソコンなどに適用すれば、装置を移動するのに支障をきたさない。ねじで締結する代わりに、たとえば、インシュレータ側とオーディオ機器側が凹凸部で勘合する構成でもよい。
すなわち、本発明においては、本研究が見出した新たな知見、すなわち、スプリングコイルは高周波振動を伝搬する「音響管」(Soundtube)の役割を担う、という点を利用したもので、共振部材が無くても次の2つを同時に併せ持つインシュレータが実現できる。
(1)フローティング方式インシュレータの長所
(2)硬質材料によるインシュレータの長所
本発明インシュレータでは共振部材による風鈴効果は得られないが、旋盤による深堀加工を必要とする筒型部材が省略できるため、シンプルでローコストに構成できる。
すなわち、本発明においては、インシュレータに搭載されるオーディオ機器の質量とスプリングコイルのばね剛性で決まる固有値を、可聴域の限界周波数の下限値である20Hz以下に設定する。その結果、スプリングコイル固有のサージング共振現象を回避すると共に、可聴周波数の範囲で、オーディオ機器と床面間の振動の相互干渉による音質の劣化を回避できる。
(1)可聴周波数域の限界値f=20Hzにおける振動減衰効果がゼロdB以下となるように、前記ばね定数Kを選定したときの前記固有値の最大値をf0A
(2)スピーカー再生音の低域が不自然になるばね定数Kを選定したときの前記固有値の最大値をf0Bとしたとき、f0B<f0<f0Aとなるように、前記固有値f0を設定する方法を示すものである。
すなわち、本発明においては、可聴周波数域の限界値f=20Hzにおいて振動減衰効果が得られるように前記固有値の上限値f0Aを設定し、かつスピーカー再生音の低域が不自然(ブーミー)にならないように前記固有値のf0B設定することで、本発明インシュレータの適正な固有値(ばね定数)の範囲を設定できる。
すなわち、本発明においては、インシュレータに搭載されるスピーカーの重心に標準の地震力が作用すると場合を仮定し、設計用標準震度として耐震Sクラス(ビルの上層階に搭載物を設置)を想定した場合、MS/Z<σsとなるように前記断面係数Z、すなわち前記筒型スリーブの平均外径DS1、平均内径DS2、あるいは、前記筒型スリーブ材料を選択すれば、地震に対する安全設計が図れる。
[1]本発明によるオーディオ用インシュレータの実施例
[2]本発明によるオーディオ用インシュレータのスピーカー試聴実験
まず上記[1]について、[第1実施形態]を基に説明する。
[1-1]実施例インシュレータの基本構造
図1は、本発明の実施形態1に係るオーディオ用インシュレータであり、図1aは上面断面図(図1bのA-A断面図)、図1bは正面断面図である。1は風鈴部材である上部スリーブ(上部支持部材)、2は下部スリーブ(下部支持部材)、3は下部スリーブ2の中央部に突設して形成された筒部、4は筒部3の外周部に装着されたサージング防止部材(振動発生防止手段)である。本実施例では、上部スリーブ1は上部支持部材と共振部材(風鈴部材)を兼ねている。
搭載物の質量とばね剛性で決まる2次振動系の周波数特性により、可聴域における低周波振動のほぼ完全な遮断作用が得られる。この振動遮断効果によりオーディオ機器と設置面との間の相互干渉による振動が再生音に与える影響(たとえば、混変調歪の発生)を回避できる。
さて、風鈴効果について、本発明者が提唱した仮説は次ぎのようである。
風鈴効果の上記仮説、すなわち、「高周波域では共振部材の有する振動特性が高周波振動をアシストする」を検証するために、実施形態1のインシュレータを対象に周波数応答解析を行った。
この領域は、下式で示す2次振動系の除振特性から求められるものである。
f>f1の高周波領域においては、広い周波数帯域で、複数個の高いピーク値を有する共振点と反共振点を有する振動分布となる。この特異な振動分布が音響特性を向上させる「風鈴効果」(WindBellEffect)をもたらすのである。すなわち、Y方向とZ方向の変動荷重によって励起された風鈴部材の共振は、風鈴部材の上端面である荷重支持部102(図2の54)をZ軸方向に変形させる共振モードになる。
図6〜図9は、上記実施例を対象に、図3に示した数値解析モデルを用いて、固有値解析を行ったものである。図6-2のf=3880Hzは、風鈴の開口部が「楕円形状」になる1次の共振モード、図7-2のf=9700Hzは、風鈴の開口部が「三つ葉形状」になる共振モード、図9-2のf=17100Hzは、風鈴の開口部が「十字形形状」になる共振モードを示すものである。
ここで、共振部材(実施形態1の場合は、上部スリーブ1)が有する次の音響特性をオーディオ用の「風鈴特性」として定義する。
風鈴は複数の共振周波数の音を有する。これら共振周波数の音の中で、最も低周波数で、最も余韻の長い音が風鈴の基音である。k=1を基音の周波数f1としたとき、基音の周波数f1<f<20000Hzの範囲で、音圧、あるいは振動レベルが有効なピーク値を有する複数個(たとえば、k=3以上)の倍音成分(共振周波数)を有することが好ましい。高周波領域における多くの共振モード(倍音)の存在は、ステレオ再生における音像の定位感(フォーカス感)、分解能を大きく向上させる。また、より多くの共振モードを有する程、クセのない自然な音が得られる。石英、チタンなど高価で難加工性の複数部材を積層することで、多様な周波数特性を得るように構成された従来硬質インシュレータと異なり、本発明インシュレータでは共振部材の形状を変えることにより、共振周波数の数と分布は自在に設定できる。周波数15000〜20000Hzは人の可聴域を超える場合が多いが、楽器の倍音成分が可聴域以上にある場合でも、再生音のクオリティーに少なからぬ影響を与えることが知られている。したがって、15000〜20000Hzの範囲に存在する共振ピークは、ステレオ再生における音像の定位感、分解能の向上に有効と考えてよい。
風鈴は複数の共振周波数の音を有する。これら共振周波数の音の中で、最も低周波数の音が風鈴の基音である。この基音の概略整数倍の周波数が倍音成分となる。基音の周波数f1(1次共振周波数)は、たとえば、図1の実施例では、風鈴(上部スリーブ1)の開口部が「楕円形状」になる共振モードである。共振部材による高周波域のアシスト作用が働く領域は、f>f1である。すなわち、周波数を低域から高域にスイープさせたとき、周波数応答解析の結果(図4)が示すように、周波数f1はアシスト作用の開始点になる。
[1-3]節の周波数応答解析結果、[1-4]節の固有値解析結果から本実施例インシュレータが有する振動伝達特性の特徴を要約すれば、次のようである。すなわち、共振部材単体(図1の上部スリーブ1)が有する複数の共振周波数の中で、最も低周波の音を周波数f1の基音とする。実施形態1の場合は、基音の周波数f1=3880Hzである。このf1は、広義には前記共振部材の弾性変形による最低次の共振周波数である。音響素材のばね剛性KZ(8.13N/mm)とインシュレータに搭載されるオーディオ機器の質量M(4.5Kg)で決まる剛体モードによる共振周波数をf0とする。この場合、f0=6.77Hzである。本実施例インシュレータでは、前記上部スリーブを励振させたときの前記上部スリーブの振動特性(図4)は、前記共振周波数f0と前記共振周波数f1の範囲で共振点を有しないように構成することができる。すなわち、
(a)低い周波数領域(f0<f<f1)では、オーディオ機器と床面間の振動伝達は遮断される。
(b)逆に高い周波数領域(f>f1)では、共振部材の有する振動特性が高周波振動伝達をアシストする。
補足(1) 振動伝播経路Φzのハイパス・フィルタ特性について
実施形態1におけるインシュレータの振動伝達のメカニズムについて、図1を用いて補足する。線径が太いスプリングコイル5を一様断面の「音響管」とみなしたとき、オーディオ機器が発生した高周波の音響振動は、荷重支持部8から、らせん状の音響管内を矢印11のごとく伝搬していく。ここで、「オーディオ機器(図示せず)→上部スリーブ1の荷重支持部8→音響管(スプリングコイル5)→下部スリーブ2→設置面9」に至る振動の伝達を、前述したように、振動伝播経路Φzとする。実施例では、荷重支持部8から入射した音波が、スムーズに音響管(スプリングコイル5)内に透過し、さらに設置面9まで伝搬できるように、両部材1、2は、スプリングコイル5(鋼)と同レベルの固有音響インピーダンスzが大きな金属(真鍮)を用いた。ちなみに、ρを媒質の密度、cを音速として、固有音響インピーダンスz=ρcである。また、同実施例における振動伝播経路Φzには、減衰性が大きく固有音響インピーダンスの小さなゴム、樹脂などの材料は介在させず、オーディオ機器が発生した高周波振動は、金属材料だけを通してスプリングコイル5に伝達するように構成した。
(1)スプリングコイル5の上端面と上部スリーブ1の間に、減衰性が十分に大きな.材料(たとえば、粘弾性ゴム)を介在させる。
(2)スプリングコイル5の下端面と下部スリーブ2の間に、減衰性が十分に大きな上記材料を介在させる。
図1に示した実施形態1に係るオーディオ用インシュレータでは、前述した「風鈴効果」を得るために設けた長い筒状のスリーブ(共振部材)を利用して、インシュレータに搭載されたオーディオ機器に地震などによる衝撃的な水平方向外乱荷重が加わった場合、オーディオ機器の傾斜を最小限に抑えて、転倒を防止することができる。図10は、荷重支持部8にスピーカーが搭載されて、上部スリーブ1が下降した状態を示す。図11は、スピーカーとインシュレータの寸法関係を示すモデル図である。δを上部スリーブ1(上部支持部材)と下部スリーブ2(下部支持部材)の間隙、Rは下部スリーブ2の半径、Φをスピーカー20の傾斜角度、LSをスピーカー20の高さとする。また図1から、Lはスピーカー搭載時における上部スリーブ1の開口端10と、前記スプリングコイル上端面間の長さである。このLを筒型スリーブ有効長さと定義する。上部スリーブ1と下部リーブ2の間隙δは、下記式で表される。
図12は、本発明の実施形態2に係るオーディオ用インシュレータの正面断面図であり、インシュレータの高さを微調整する機構を設けた場合を示す。
図13は、インシュレータを4隅に配置して、その上にスピーカー本体を設置した場合のモデル図を示す。251a〜251dはスピーカー250を支持するインシュレータ本体部である(251cと251cは図示せず)。図12において、252は下部スリ−ブ(下部支持部材)、253は下部ベース部(ベース部)であり、ねじ部254を介在して、下部スリ−ブ252に装着される。通常、ボイスコイルと永久磁石を有するスピーカー単体250は本体の前面に設置されているために、スピーカー本体の重心位置は前面側に偏芯している場合が多い。本インシュレ−タを装着した場合、スピーカー本体は、若干量であるが角度Δφだけ傾斜して設置される。この場合は、下部ベース部253と下部スリーブ252の間に設けられたねじ部254を利用して、インシュレータの高さを寸法Hの調整により補正して、上記傾斜角度Δφ→0に再設定できる。実施例では、高さ微調整を図る下部ベース部253を下部スリーブ252に設けたが、前記下部ベース部に相当する部材を前記上部スリーブ側に設けてもよい。また、スピーカー底面にインシュレータを3個配置して、スピーカー本体を支持する場合は、個々のインシュレータが受ける支持荷重は大きく異なる。この場合でも、本実施例のインシュレータによる高さ調整機能が適用できる。高さ調整機能を施した本インシュレータは、アナロブプレイヤー、CDプレイヤーなどにも適用できる。
図14は、本発明の実施形態3に係るオーディオ用インシュレータであり、非常時の縦方向外乱に対して、縦方向にストローク規制手段を設けた場合を示す。図14aは上面図、図14bは正面断面図、図14cは下面図、図14dはインシュレータにオーディオ機器が搭載されて、スプリングコイルがさらに圧縮された状態を示す。201は上部スリーブであり、この上面はオーディオ機器が搭載される荷重支持部である。202は下部スリーブ(固定部)、203は下部スリーブ202の中央部に突設して形成された筒部、204は筒部203の外周部に装着されたサージング防止部材(振動発生防止手段)である。サージング防止部材204は、円筒状の筒部204aと、半径方向へ延びて突設された複数の粘弾性片204bで構成される。上部スリーブ201は下部スリーブ202上部に配置され、両スリーブ201、202の内部にスプリングコイル205(弾性部材)が設けられている。206,207はスプリングコイル205の上下端の位置決め部である。上部スリーブ201は、狭い半径方向の間隙208を設けた状態で、下部スリーブ202を嵌め込むように配置される。この構造により、複数のインシュレータ上に配置されたスピーカーに衝撃的な横方向の外乱荷重が加わった場合でも、スピーカーの傾斜を最小限に抑えて、転倒を防止することができる点は前述した実施例同様である。
図15は、本発明の実施形態4に係るオーディオ用インシュレータであり、本発明インシュレータと、本発明インシュレータとは別形態の硬質材料インシュレータとを組み合わせた構成を示す。図15aは上面図、図15bは正面断面図である。すなわち、本発明インシュレータの共振部材がもたらす高音域のアシスト効果に、別形態インシュレータ(2節の補足参照)のアシスト効果を加えることで、より多様な再生音のチューニングが容易に図れる。ちなみに、本実施例で適用する別形態の硬質材料インシュレータとは、本発明インシュレータに対してオーディオ機器に単独で使用できるものを指す。350は本発明のインシュレータの全体を示し、351は上部スリーブ(上部支持部材)、352は荷重支持部、353は下部スリーブ(下部支持部材)、354は前記下部スリーブの中央部に突設して形成された筒部、355は前記筒部の外周部に装着されたサージング防止部材(振動発生防止手段)、356はスプリングコイル(弾性部材)、357は上部スリ−ブ351(共振部材)の上面に設けられたスペーサである。358は前記上部スリーブの上面にリング状に形成された断面凹部の溝と、前記スペーサ下面にリング状に形成された断面凸部により、両部材351、357の軸芯を合わせるための嵌合部である。359は別形態インシュレータ、360はスペーサ357に形成された別形態インシュレータ離脱防止のための断面凹形状のインシュレータ収納部である。このインシュレータ収納部360により、別形態の硬質材料インシュレータ359(2点鎖線で図示)は横滑りして離脱することなく、安定して本発明のインシュレータ350の上に装着できる。別形態の硬質材料インシュレータ359の上にスピーカー、CDプレイヤーなどのオーディオ機器361(2点鎖線で図示)が搭載される。
図16は、本発明の実施形態5に係るオーディオ用インシュレータであり、実施形態1における本発明インシュレータを逆配置して、オーディオ機器を搭載した場合を示す。(記号は実施形態1の図1に準ずる)図16に示すように、上部スリーブ1(上部支持部材)と下部スリーブ2(下部支持部材)を逆配置して、前記下部スリーブ側にオーディオ機器を搭載した場合でも、本発明の基本的効果は得ることができる。400はオーディオ機器(2点鎖線)、401は下部スリーブ2の上面である荷重支持部、402は床面である。すなわち、本実施例において、オーディオ機器400→荷重支持部401→音響管(スプリングコイル5)→上部スリーブ1(共振部材)→床面402」に至る振動伝播経路Φzが存在する。この場合、下部スリーブ2の筒部、及び上部スリーブ1の筒部は、実施形態1で示した程顕著ではないが、主振動伝播経路Φzから分岐した振動伝播経路ΦRを有し、「風鈴効果」は少なからず得られる。また、上部スリーブ1と下部スリーブ2の間の半径方向隙間δ(図示せず)を狭く保つことにより、非常時の水平方向外乱に対して転倒防止効果が得られる点は、前述した実施例同様である。したがって、本発明のすべての実施形態で示した効果は、インシュレータを逆配置した本実施例の場合でも同様に得ることができる。本実施例の場合は、実施形態1と比べて風鈴効果は抑制される。この点を逆に利用して、リスナーの好み、音楽ジャンル、オーディオ機器の特性などに合せて、実施形態1と実施形態5(逆配置)を随時入れ替えてもよい。
図17は、本発明の実施形態6に係るオーディオ用インシュレータであり、より一層の風鈴効果を得るために、スパイクの機能を無効にするスペーサをインシュレータに設置した場合を示す。401はインシュレータ本体、402は荷重支持部、403は荷重支持部402の上に装着されたスペーサ、404はスペーサ403の中央部に形成されたスパイク収納部、405はオーディオ機器(たとえば、スピーカー)、406はオーディオ機器に設けられているスパイク方式インシュレータである。前述したように、円錐形状のスパイクは、「円柱→円錐→円錐の頂点→床面」の方向には振動が伝達され易く、その逆方向には伝達されにくい効果を利用したもので、オーディオ機器の設置に多用されている。また、スパイク方式インシュレータが最初からオーディオ機器本体に設置されており、機器本体から着脱困難な場合も多い。前述したように、本発明が見出した風鈴効果は、「主振動伝播経路ΦZから分岐して並列配置された風鈴部材が高周波振動をアシストする」ことで得られるものである。しかし、オーディオ機器と本インシュレータ間にスパイクが介在した場合、オーディオ機器から本インシュレータに伝搬される高周波振動は少なからず低減する。また、本インシュレータからオーディオ機器へ伝搬される逆方向の高周波振動は、さらに大きく低減する。さらに、[1-3]節の周波数応答解析の結果から、インシュレータとオーディオ機器間は、点ではなく広い面積を有する面で接触させることで、風鈴部材の有する多様な振動モードを高周波域のアシスト作用として利用できる。本実施例はこの点に着目したもので、従来の常識に反して、オーディオ機器に設置されているスパイクの機能を敢えて無効にすることで、より一層の風鈴効果を得ることができる。
図18は、本発明の実施形態7に係るオーディオ用インシュレータであり、軸長の長いスパイクで支持されたオーディオ機器に対して、実施形態6同様に、スパイクの機能を無効にするスペーサをインシュレータに設置した場合を示す。
図19は、本発明の実施形態8に係るオーディオ用インシュレータであり、目的は実施形態6、7と同様である。図19aは図19bのAA矢視図、図19bは正面断面図である。すなわち、より一層の風鈴効果を得るために、重量級スピーカーなどに設置されている移動用コロ(移動手段)を無効にするスペーサをインシュレータに設置した場合を示す。501はインシュレータ本体、502は荷重支持部、503はスペーサ、504はスペーサ503の中央部に形成されたコロ収納部、505はオーディオ機器、506は移動用コロである。この場合も、対抗面に対して点接触であるコロを無効にして、インシュレータとオーディオ機器間を面で接触させることができるため、風鈴効果は向上する。
図20は、本発明の実施形態9に係るオーディオ用インシュレータであり、前述した「風鈴効果」が得られるインシュレータに、スプリングコイル式に特定せず、任意のインシュレータが適用できるように構成した場合を示す。
601はメイン・インシュレータ(弾性部材)であり、この箇所に任意方式のシンシュレータが着脱自在に配置される。602はオーディオ機器603(2点鎖線で図示)を搭載する荷重支持部(上部支持部材)、604は外側スリーブ、605は内側スリーブ、606は床面である。外側スリーブ604と外側スリーブ605は荷重支持部602の上端部と連結し、かつそれぞれの下端部を大気解放端とする筒型形状、すなわち、図1に示す「風鈴」に近い形状となっている。本実施例では、荷重支持部602からメイン・インシュレータ601に至る振動の経路を振動伝播経路ΦZとしたとき、この振動伝播経路ΦZから分岐した振動伝播経路ΦRを2重の筒型形状部材で構成している。外側スリーブ604,内側スリーブ605で構成される部分をサブ・インシュレータ(共振部材)とする。すなわち、前記振動伝播経路ΦZ(メイン・インシュレータ601)に振動系ΦR(サブ・インシュレータ)を組み合わせることにより、メイン・インシュレータが元来有する効果に、サブ・インシュレータの有する「風鈴効果」が加味される。サブ・インシュレータのスリーブを2重筒型構造にして、かつ2つのスリーブ604、605の半径方向の厚みが異なるのは、振動系により多くの固有振動モードを持たせることにより、音に一層の深みと余韻を与えるためである。本実施例で適用できるメイン・インシュレータ601の方式(原理、構造)に制約はなく、それ自体が独立してオーディオ用インシュレータとして、従来から使用されているものでもよい。
図22は、本発明の実施形態10を示すものであり、スプリングコイルなどのフローティング部材で本発明インシュレータを構成した場合について、インシュレータに搭載されたオーディオ機器の設置安定性の向上を図ったものである。図22aは正面断面図、図22bは下面図である。751はインシュレータ本体、752は設置安定化のための補助ユニットの本体である。753は上面支持部(支持部)、754はねじ部、755はねじ収納部、756はねじ部754をねじ収納部755に締結するためのナット、757はベース部、758aと758bはベース部757とねじ収納部755を締結するボルト、759はインシュレータ本体の下端収納部、760はインシュレータ本体751から設置安定ユニット752の離脱を防止するための凸部、761はスピーカーなどのオーディオ機器である。部材753〜760により、オーディオ機器の傾斜量の抑制と非常時の転倒防止ができる補助ユニットを構成している。本発明インシュレータにスピーカーを搭載後、スピーカー底面と上面支持部753の間隙ΔZを数ミリ(たとえばΔZ<5mm)となるように設定すればよい。補助ユニットに機構上の制約は無く、要はオーディオ機器底面との距離ΔZが微調整できる構造であればよい。
図23は、本発明の実施形態11に係るオーディオ用インシュレータであり、「風鈴効果」をより効果的に得る筒型スリーブ形状の一例を示す外観図である。
550はインシュレータ本体、551は上部スリーブ(共振部材)、552は荷重支持部、553は下部スリーブ(固定部)である。554a〜554dは上部スリーブ551に形成された半円弧断面の溝である。溝554aと溝554bの角度をΦ1、溝554bと溝554cの角度をΦ2としたとき、Φ1≠Φ2である。すなわち、筒型スリ−ブの形状は軸非対称となるため、振動系ΦRにより多くの固有振動モードを持たせることができ、音に一層の深みと余韻が与えられる。
図24は、本発明の実施形態12を示すものであり、風鈴効果をより一層引き立出せるように、上部スリーブの外観と内面形状に工夫を施したものである。図24aは正面断面図、図24bは下面図である。801は上部スリーブ(共振部材)、802は平端面である荷重支持部、803は下部ベース、804は下部ベース803の中央部に突設して形成された筒部、805はサージング防止部材、806はスプリングコイル(弾性部材)である。807は上部スリーブ801の上部平端部(荷重支持部802)と円筒部808を繋ぐ曲面部である。この曲面部を形成することにより、オーディオ機器からZ方向のみの加振力fzが加わった場合でも、fzの分力fz2により、風鈴部材の多様な振動モードを励起させることができる。809a〜809hは上部スリーブ801内面の軸方向に形成された溝部である。実施形態11で示したように、上部スリーブ801に複数の溝を形成することで、振動系ΦRにより多くの固有振動モードを持たせることができるが、内周面を溝加工することで、インテリア性が要求されるオーディオ機器としてのインシュレータの美観を損なわない。また、前記溝部は、エンドミル加工(810に工具外径を示す)により、容易に形成できる。各溝間の円周方向角度は等角度でなくてよく、形状は軸非対称でもよく、溝は軸方向に対して傾斜して形成してもよい。また、溝以外に複数の不規則な凹凸部を形成してもよい。
風鈴効果をより一層引き立出せる方法は、前述したすべての実施例に適用可能である。
図25は、本発明の実施形態13を示すもので、本発明インシュレータをオーディオ機器(たとえば、スピーカー)の底面に完全固定することで、インシュレータとオーディオ機器本体を一体化したものである。851は本発明インシュレータの本体部、852は上部スリーブ(共振部材である上部支持部材)、853は前記上部スリ−ブよりも外径を径小にした荷重支持部、854は前記上部スリーブに設けられたねじ部、855はナット、856はスピーカー、857はスピーカの底面に設けた凹部である。インシュレータとオーディオ機器本体を一体化することで、インシュレータがオーディオ機器から離脱する不具合が無くなる。たとえば、小型のミニコンポ・ステレオ、ラジカセ、音質重視のPCオーディオ用パソコンなどに適用すれば、装置を移動するのに支障をきたさない。ねじで締結する代わりに、たとえば、インシュレータ側とオーディオ機器側が凹凸部で勘合する構成でもよい。(図示せず)。
図26は、本発明の実施形態14に係るオーディオ用インシュレータを示し、前述した「風鈴効果」をより一層引き立たせるために、スリーブの構造に工夫を施した場合を示す。71は上部スリーブ(上部支持部材)であり、この上部スリーブの上面はオーディオ機器が搭載される荷重支持部である。72は下部スリーブ(下部支持部材)、73は下部スリーブ72の中央部に突設して形成された筒部、74は筒部73の外周部に装着されたサージング防止部材(振動発生防止手段)である。サージング防止部材74は、円筒状の筒部74aと、半径方向へ延びて突設された複数の粘弾性片74bで構成される。上部スリーブ71は下部スリーブ72の上部に配置され、両スリーブ71、72の内部にスプリングコイル75(弾性部材)が設けられている。76はプリングコイル75上端部と上部スリ−ブの間に設けられたスペーサである。77は上部スリーブ71の中央部に形成された凹部とスペーサ76に形成された凸部により、両部材71、76の軸芯を合わせるための嵌合部である。スプリングコイル75の下端外周部は前記下部スリーブ72底面に形成された位置決め部78に、スプリングコイル75の上端外周部はスペーサ76底面に形成された位置決め部79に嵌まり込むようになっている。そのため、本インシュレータはスプリングコイル75を装着した状態で、両スリーブ71,72の軸芯が一致した状態を保つ。80は上部スリーブ71の中央上面部(荷重支持部)、81は上部スリーブ71の外周側上面部であり、中央上面部80と外周側上面部81は段差が設けられている。そのため、本インシュレータに搭載されるオーディオ機器82(2点鎖線で図示)は、中央上面部80だけと接触して支持される。また、外周側上面部81の裏側である外周側下面部83も、中央部に対して段差が設けられている。上記構成により、筒型形状の上部スリーブ71は側面だけではなく、上面における拘束条件も緩和されるため、「風鈴」の支持条件に一層近づけることができる。すなわち、より一層の風鈴効果を得ることができる。
前述した本発明の実施例は、すべて弾性部材(たとえば、スプリングコイル)と並列に共振部材(風鈴部材)を配置したものであった。しかし、本研究が見出した新たな知見、すなわち、スプリングコイルは高周波振動を伝搬する「音響管」(Soundtube)の役割を担う、という点を利用すれば、共振部材が無くても次の2つを同時に併せ持つインシュレータが実現できる。
(1)フローティング方式インシュレータの長所
(2)硬質材料によるインシュレータの長所
(i)低周波領域ではサージング共振現象を抑制する。
(ii)高周波数領域ではサージング共振現象を抑制すると共に、高周波の主振動を通過させる。
上記(i)(ii)を両立できる範囲の減衰性能レベルを有する。
(1)フローティング方式インシュレータの長所
(2)硬質材料によるインシュレータの長所
上記(1)(2)の長所を「同時に併せ持つ」ことができる。
図28は、本発明の実施形態16に係るオーディオ用インシュレータであり、上部支持部に一体形成した中心軸を利用して、非常時の横方向及び縦方向外乱に対して規制手段を設けた場合を示す。図28aは上面図(A-A断面図)、図28bは正面断面図である。701は上部支持部(荷重支持部)、702は下部スリーブ(固定部)、703は前記下部スリーブの中央部に突設して形成された筒部、704は筒部703の外周部に装着されたサージング防止部材(振動発生防止手段)である。サージング防止部材704は、円筒状の筒部704aと、複数の粘弾性片704bで構成される。両部材701、702に挟み込まれるようにスプリングコイル705(弾性部材)が設けられている。706,707は前記スプリングコイルの上下端の位置決め部である。708は前記上部支持部と一体で形成された中心軸(軸)、709は下部スリーブ702に形成された貫通穴、710はこの貫通穴の径大部である。711は中心軸708の前記下部スリーブ側端部に形成されたねじ部、712は締結ナットである。中心軸708は狭い半径方向の間隙713(間隙δC)を設けた状態で、貫通穴709に嵌め込むように配置される。締結ナット712により、上部支持部701及び下部スリーブ702の相対的な軸方向距離の上限値が調節可能に規制できると共に、複数のインシュレータ上に配置されたスピーカーに衝撃的な横方向の外乱荷重が加わった場合でも、スピーカーの傾斜を最小限に抑えて、転倒を防止することができる。実施例では、上部支持部701に中心軸708、下部スリーブ702に貫通穴709を設けたが、これとは逆に、前記上部支持部に貫通穴、前記下部スリーブに前記中心軸を設けた構成でもよい。図28において、寸法LCは前記貫通穴709の下端部と、スプリングコイル705上端部間の距離であり、この寸法LCを軸有効長さと定義する。実施形態1の補足(2)で説明した水平方向外乱荷重に対して、スピーカーの転倒防止を図るためのδ/Lの関係は、本実施の場合でも同一条件で適用できる。すなわち、δC/LC≦0.03に設定すれば実用上の不具合は無く、また、δC/LC≦0.02に設定すれば全く支障のない結果が得られる。貫通穴に嵌め込むように配置される軸は中心軸でなくてもよく、複数の軸と同数の貫通穴で構成してもよい。実施例では上部支持部701に円盤形状を用いたが、「風鈴効果」を得るために筒型形状にしてもよい。本実施例で示したインシュレータの構造は、スピーカー以外のオーディオ機器、たとえば、アナログプレイヤー、CDプレイヤー、アンプなどに適用した場合にも、外乱荷重に対する機器設置上の安定性、安全性を確保できる。この場合は、許容されるδC/LCの上限値はもっと大きくてよいが、上述したδC/LCの制約条件を適用すればより安全である。
共振部材(風鈴部材)として用いる概略筒型形状部材の外周部包絡線は真円でなくても良く、三角形、四角形でも良く、あるいは非軸対称の多角形でもよい。また筒型でなく円周上で切り欠いた部分があってもよく、たとえば、複数の角柱のブロックが円周上に配置された構造でもよい。また、風鈴部材は必ずしも一方の端部を密閉構造(固定端)、もう一方の端部を開放端(自由端)とする必要は無い。たとえば、図29に示すように、両端を固定端とする「ずん胴型の樽型形状」で風鈴部材を構成し、樽の中央部に主振動伝搬経路ΦZとなる弾性部材(たとえば、硬質材料)を有する構造でもよい。920はメイン・インシュレータ、921はサブ・インシュレータ(共振部材)、922はベース部、923は荷重支持部、924はオーディオ機器、925は床面である。要は、主振動伝搬経路ΦZに対して、分岐した振動伝播経路ΦRを有する共振部材が、並列に配置されていればよい。
さて、本研究の結果、本発明のインシュレータをスピーカーに適用した場合、スピーカーの質量とインシュレータのばね剛性で決まる固有値によって、音響効果(奥行感、分解能、透明感など)が微妙に異なることが分かった。この固有値は、本発明によるインシュレータの基本仕様を決める重要な設計パラメータである。そこで、適正な固有値(ばね剛性)の範囲を求める試聴実験を行った。適用したスピ−カーはモニター用として定評のあるコンデンサ型(質量m=41Kg)である。スプリングコイル以外のインシュレータ部品はすべて共通であり、剛性の異なるスプリングコイルだけを取り換えて、固有値を設定した。インシュレータをスピ−カー底面4隅に配置して、スピ−カーを支持した。表3の評価結果は、試聴実験に参加した5人のリスナーの合意を得て整理したものである。結果を要約すれば、
(b)しかし、固有値f0が低すぎると、低域が不自然(ブーミー)になる。すなわち、低域が引き締まり、切れ味の良い低音になる固有値の下限値(f0>3.07Hz)が存在する。
(c)固有値f0がさらに高くなると、音場感、分解能、透明感の評価項目で本インシュレータが持つ特徴が相対的に低下していく。
(a)奥域感(空間性)
スピーカーの背景に壮大なオーケストラの空間が、スピーカーから離脱して奥深く展開される。
(b)分解能(フォーカス感)
各楽器が視覚で見えるようにその存在感が分かり、音像(soundstage)の焦点が明確に定まる。
(c)透明感(S/N比)
複層する楽器音が混濁せず分離する。高域が繊細で歪み感が小さい。
(d)低域の力感(ダンピング)
低域が引き締まり、オーケストラの弦の低域音、ジャズのベース音が明確に定位して聴こえる。
(1)可聴周波数域の限界値f=20Hzにおける振動減衰効果がゼロdB以下となるように、前記ばね定数Kを選定したときの前記固有値の最大値をf0A(Hz)
(2)スピーカー再生音の低域が不自然(ブーミー)になるばね定数Kを選定したときの前記固有値の最大値をf0B(Hz)
としたとき、f0B<f0<f0Aとなるように前記固有値f0(Hz)、スピーカーを特定した場合はスプリングコイルの前記ばね剛性Kを設定すればよい。前記質量mの値はスピーカー総質量に対して、インシュレータ1個が受け持つ質量である。
2・・・下部支持部材(下部スリーブ)
5・・・弾性部材(スプリングコイル)
Claims (31)
- 上部支持部材と下部支持部材で挟持されてオーディオ機器の荷重を支持する弾性部材と、複数の共振点を有する共振部材と、オーディオ機器から前記弾性部材側に伝搬される振動を主振動として、前記共振部材の振動が前記主振動に重畳されるように、前記共振部材を前記弾性部材に対して並列配置したことを特徴とするオーディオ用インシュレータ。
- 前記共振部材は一方を固定端、もう一方を自由端とする概略筒型形状部材で構成したことを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記弾性部材はフローティング方式インシュレータに用いられる機械ばね、あるいは空気、あるいは磁性体で構成したことを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記弾性部材を機械ばねで構成し、この機械ばねと密着した状態を保つ共振防止部材より構成したことを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
- スプリングコイルと、粘弾性材料によるサージング共振防止部材より構成され、かつ、このサージング共振防止部材は、半径方向に延びて突設された複数の粘弾性材料片が部分的に前記スプリングコイルの内周面、あるいは外周面に接触するように配置したことを特徴とする請求項4記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記弾性部材の端部を把持する固定部と、前記前記弾性部材の一部を内部に収納して前記前記弾性部材のもう一方の端部を把持すると共に、前記固定部側に概略筒状に伸びた形状を有する筒型スリーブと、前記筒型スリーブと前記固定部の間は、狭い半径方向の間隙を設けた状態で嵌め込まれるように設置したことを特徴とする請求項3記載のオーディオ用インシュレータ。
- Lを前記筒型スリーブの有効長さ、δを前記筒型スリーブと前記固定部の半径方向の間隙としたとき、δ/L≦0.03となるように前記δ、前記Lを設定したことを特徴とする請求項6記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記δ≦1.0mmに設定したことを特徴とする請求項7記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記上部支持部材の端部、もしくは前記下部支持部材の端部にインシュレータの軸方向高さをねじによって調整するベース部を装着したことを特徴とする請求項3記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記上部支持部材、及び前記下部支持部材の軸方向に設けられた貫通穴と、この貫通穴を通して前記上部支持部材及び前記下部支持部材に装着された締結部材と、この締結部材により前記上部支持部材及び前記下部支持部材の相対的な軸方向距離の上限値を規制したことを特徴とする請求項3記載のオーディオ用インシュレータ。
- オーディオ機器の荷重を支持する荷重支持部と、オーディオ機器に装着されているスパイク、あるいは移動用のコロなどの全体、あるいは一部を収納する凹部を前記荷重支持部分に形成したことを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記弾性部材のばね剛性と前記上部支持部材に搭載されるオーディオ機器の質量で決まる剛体モードによる共振周波数をf0、前記共振部材の弾性変形による最低次の共振周波数をf1として、前記上部支持部材を励振させたときの前記上部支持部材の振動特性は、前記共振周波数f0とf1の範囲で共振点を有しないように構成したことを特徴とする請求項3記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記共振部材の外周面、あるいは内周面に縦方向、又は円周方向、又は傾斜方向の溝、あるいは凹凸面を形成したことを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記共振部材は固有音響インピーダンスが107Ns/m3以上の材料で構成したことを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記共振部材に銅合金を用いたことを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記上部支持部材から前記下部支持部材に至る振動伝播経路は107Ns/m3以上の固有音響インピーダンスを有する材料で構成したことを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記振動伝播経路の各部材は、低周波域で振動を遮断し、高周波域で振動を通過させるハイパス・フィルタの特性を有するように構成したことを特徴とする請求項16記載のオーディオ用インシュレータ。
- 請求項1記載のオーディオ用インシュレータと、該オーディオ用インシュレータに支持されたオーディオ機器とを具備するオーディオシステムであって、
前記オーディオ用インシュレータに対して並列に配置された、オーディオ機器の設置安定化のための補助ユニットをさらに具備し、前記オーディオ機器の傾斜量の抑制ができるように、前記オーディオ機器底面と前記補助ユニットの支持部の間隙が前記補助ユニットの高さ調整により設定できることを特徴とするオーディオシステム。 - 前記上部支持部材と前記下部支持部材のいずれかの部材に設けられた軸と、もう一方の部材に形成された前記軸を狭い半径方向の間隙を設けた状態で収納する貫通穴より構成したことを特徴とする請求項3記載のオーディオ用インシュレータ。
- LCを前記軸の有効長さ、δCを前記軸と前記貫通穴の半径方向の間隙としたとき、δC/LC≦0.03となるように前記δC、前記LCを設定したことを特徴とする請求項19記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記軸に形成されたねじ部と、このねじ部に締結されるナットにより、前記荷重支持部と前記固定部の相対的な軸方向距離の上限値が調節可能に規制したことを特徴とする請求項19記載のオーディオ用インシュレータ。
- 上面に概略断面凹形状収納部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記弾性部材が、その両端面のいずれかに設けられた荷重支持部を具備するものであり、
前記共振部材が、概略筒型形状をなすとともに、前記荷重支持部から前記弾性部材の内部に繋がる縦振動伝播経路ΦZから分岐した振動伝播経路ΦRを有するものであることを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。 - 前記弾性部材と前記共振部材は着脱自在に構成したことを特徴とする請求項23記載のオーディオ用インシュレータ。
- オーディオ機器の荷重を支持する荷重支持部端面の中央部は前記端面の外周側に対して段差が設けられており、前記中央部だけ搭載物と接触するように前記荷重支持部端面を形成したことを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
- オーディオ機器を搭載する荷重支持部と前記オーディオ機器底面が締結、もしくは着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
- スプリングコイルの固定部と、前記スプリングコイルの前記固定部とは反対側に設けられた荷重支持部と、前記スプリングコイルに密着してサージング共振現象を抑制する粘弾性材料による振動発生防止手段から構成され、かつ、前記荷重支持部から前記固定部に至る振動伝播経路は107Ns/m3以上の固有音響インピーダンスを有する材料で構成されることを特徴とするオーディオ用インシュレータ。
- スプリングコイルの固定部と、前記スプリングコイルの前記固定部とは反対側に設けられた荷重支持部と、前記スプリングコイルに密着してサージング共振現象を抑制する粘弾性材料による振動発生防止手段から構成され、かつ、前記荷重支持部に搭載される搭載物の質量と前記スプリングコイルのばね剛性で決まる除振特性により20Hz以下での振動遮断作用を得るように前記スプリングコイルのばね剛性を設定したことを特徴とするオーディオ用インシュレータ。
- 請求項1記載のオーディオ用インシュレータに係る評価方法であって、
スプリングコイルの端部を把持するコイル固定部と、前記スプリングコイルの一部を内部に収納して前記スプリングコイルのもう一方の端部を把持すると共に、前記コイル固定部側に筒状に伸びた形状を有する筒型スリーブと、前記スプリングコイルと密着した状態を保つ粘弾性材料によるサージング防止部材より構成され、Lを前記筒型スリーブの有効長さ、δを前記筒型スリーブと前記コイル固定部の半径方向の間隙、LSをインシュレータの上に搭載されるスピーカーの高さ、前記スピーカー上端面における最大許容偏芯量Y0のときのスピーカー傾斜をY0/LSとして、下記式を満たすようにδ及びLの値を設定することを特徴とするオーディオ用インシュレータに係る評価方法。
- 請求項1記載のオーディオ用インシュレータに係る評価方法であって、
スプリングコイルの端部を把持するコイル固定部と、前記スプリングコイルのもう一方の端部を把持する荷重支持部と、前記スプリングコイルと密着した状態を保つ粘弾性材料によるサージング防止部材より構成され、前記荷重支持部に搭載されるスピーカーの質量m、前記スプリングコイルのばね定数Kで決まる固有値をf0=(1/2π)・(K/m)1/2として、
可聴周波数域の限界値f=20Hzにおける振動減衰効果がゼロdB以下となるように、前記ばね定数Kを選定したときの前記固有値の最大値をf0A、スピーカー再生音の低域が不自然になるばね定数Kを選定したときの前記固有値の最大値をf0B、としたとき、f0B<f0<f0Aとなるように、前記固有値f0を設定することを特徴とするオーディオ用インシュレータに係る評価方法。 - 請求項1記載のオーディオ用インシュレータに係る評価方法であって、
スプリングコイルの端部を把持するコイル固定部と、前記スプリングコイルの一部を内部に収納して前記スプリングコイルのもう一方の端部を把持すると共に、前記コイル固定部側に概略筒状に伸びた形状を有する筒型スリーブと、この筒型スリーブに形成された荷重支持部と、前記スプリングコイルと密着した状態を保つ粘弾性材料によるサージング防止部材より構成され、かつ前記筒型スリーブと前記コイル固定部の間は、狭い半径方向の間隙を設けた状態で嵌め込まれるように設置されており、前記荷重支持部に搭載されるスピーカーの質量m、前記スピーカーの高さLS、前記筒型スリーブの平均外径DS1、平均内径DS2、前記筒型スリーブ材料の降伏応力σs、重力加速度g、前記筒型スリーブの断面係数Z=(π/32)[(DS1 4-DS2 4)/DS1]、前記スピーカーに働く外力のモーメントMS=m・g・LSと定義したとき、MS/Z<σsとなるように、前記断面係数Zを設定するオーディオ用インシュレータに係る評価方法。
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