JP5832778B2 - オーディオ用インシュレータ及びその評価方法 - Google Patents
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Description
このタイプのインシュレータは、振動の遮断(シャットアウト)を目的としたもので、剛性の小さい緩衝体が用いられる。緩衝体として、ゴム材を用いたもの、スプリングコイルを用いるもの、空気を封じ込めたエアーフローティング・ボード、磁力の反発力を利用したものなどがある。
インシュレータのもうひとつのタイプは硬質材を用いるものである。近年、前述した緩衝体に代わり、オーディオ機器が発生する振動を効果的に吸収し、外部へ逃すことを目的とした硬質材、たとえば、木材、樹脂、金属、セラミック等を用いたもの、及びこれらの素材を多層構造にした複合タイプが考案され商品化されている。この複合タイプについては、特開平10-246284号(特許文献3)に開示されている。硬質インシュレータの場合は、良質な音響用素材のキャラクターを利用した再生音のチューニング手段として用いられる。
(a)金属系材料
真鍮:キラリとした明るいブリリアントな響き
銅:重厚感があってパワフル
銀:芯のとおりが良く、音の立ち上がり・立ち下がりが素早い
金:ふくよかさで艶やか
(b)木材系材料
アフリカ黒檀:固いが刺激的ではない音(楽器に使用される)
縞黒檀:アフリカ黒檀より柔らかい
桜:柔らかく芳純
上述したゴム製インシュレータの場合は、ゴムの粘弾性による過剰な制振作用により、音に生気を与える高周波数成分まで減衰してしまうため、音の輪郭が曖昧となり、音質に混濁感が生じるという欠点があった。
硬質材料インシュレータの場合は、良質な音響用素材の選択により、オーディオ機器が発生した高周波振動を効果的に吸収し、外部へ逃すことはできる。しかし、低周波数(たとえば、数十Hz以下)の振動を減衰させることはできない。円錐形状のスパイクの場合、及びこのスパイクを直列に多段に組み合わせた場合も同様である。特許文献1には、スパイクの円筒面とこの円筒を収納するスパイク受けの間の狭い隙間に、粘性流体であるシリコンオイルを封入する方法が開示されている。しかし、この粘性流体による振動減衰作用は周波数に比例するため、低い周波数では振動減衰効果を得るのは困難である。
可聴域における低周波振動のほぼ完全な遮断作用が得られるため、オーディオ機器と設置面との間の相互干渉による振動の影響を回避でき、音の奥域感、分解能、透明感の向上などの効果が得られる。
高周波域での響きの親和性を考慮した音響用素材を採用することにより、素材が持つキャラクターを利用した再生音のチューニングが図れる。
搭載物の質量と弾性部材のばね剛性で決まる2次系の除振特性により、オーディオ機器と設置面との間の相互干渉による振動の影響を回避する。
高周波域において、多くの共振モードを有する風鈴部材の振動系ΦRは、オーディオ機器が発生する振動系ΦZに相乗されて、音響管を通じてオーディオ機器から設置面側に伝搬される。風鈴部材の有する高周波における共振特性、余韻、うなりなどの風鈴特性により、音響特性の向上と再生音のチューニングが図れる。
(1)風鈴の余韻・・・空間の拡がり感(奥域感、臨場感)の向上
(2)風鈴の有する高周波領域における多数の共振モード・・・音像の定位感(フォーカス感)、分解能の向上
(3)風鈴の基音を高い共振周波数に設定する・・・ナチョラルでクセがなく、耳ざわりない音
(4)風鈴のうなり(ゆらぎ)・・・居心地の良さ、潤い感、豊饒感の向上
[1]風鈴効果をもたらす原理(仮説)の検証実験
[2]さらなる音響特性向上のための方策
[3]本発明によるオーディオ用インシュレータのスピーカー試聴実験
[1-1]検証実験に用いる供試インシュレータ
図1は、本発明の実施形態1に係るオーディオ用インシュレータであり、図1aは上面断面図(図1bのA-A断面図)、図1bは正面断面図である。基本構造は既提案(特許出願中)のオーディオ用インシュレータと同一であるが、風鈴効果の仮説を検証する実験に用いたものである。1は風鈴部材である上部スリーブ(上部支持部材)、2は下部スリーブ(下部支持部材)、3は下部スリーブ2の中央部に突設して形成された筒部、4は筒部3の外周部に装着されたサージング防止部材(振動発生防止手段)である。上部スリーブ1と下部スリーブ2は音響用材料として良好な特性を有する真鍮(表4の供試部品A)を用いた。サージング防止部材4は、円筒状の筒部4aと、半径方向へ延びて突設された複数の粘弾性片4bにより構成される。上部スリーブ1は下部スリーブ2上部に配置され、両スリーブ1、2の内部に音響素材であるスプリングコイル5が設けられている。ここで、本明細書における音響素材とは、「上下の部材で挟持されて、オーディオ機器の荷重を支持する部材」と広義に解釈する。フローティグ方式インシュレータの場合は、機械ばねであるスプリングコイル、空気ばね、磁石などを指し、硬質材料シンシュレータの場合は、木材、樹脂、金属、石英などを指すものとする。あるいは、スパイク方式インシュレータの場合は、円錐部と円柱部で構成される部分を示す。6、7はスプリングコイル5を装着した状態で、両スリーブ1,2の軸芯が一致した状態を保つための両スリーブに形成された位置決め部である。粘弾性片4bは、スプリングコイル5の内周面に、変形して常に接触した状態を保っている。サージング防止部材4の高さは、スプリングコイル5がスピーカーなどの搭載物によって圧縮された時の最小寸法よりも小さく形成されている。8は上部スリーブ1の上端面でオーディオ機器(図示せず)を搭載する荷重支持部、9はインシュレータ設置面(床面)である。すなわち、上部スリーブ内部はスプリング構造部を収納する空洞を有し、一方の端部を密閉構造、もう一方の端部を大気解放端(自由端)とする筒型形状、すなわち、「風鈴」に近い形状となっている。また、風鈴が糸で吊り下げられて妙なる音色を奏でることができるように、上部スリーブ1の上端部は完全固定ではなく、X軸、Y軸、Z軸方向はスプリングコイル5により弾性支持されている。荷重支持部8に搭載されるオーディオ機器(たとえばスピーカー)は、図1a、図1bに示すように、X軸、Y軸、Z軸の3軸方向から本インシュレータを加振する。すなわち、各軸はΨx、ΨY、Ψzの振動成分を有し、ベクトルで表現すれば、Ψ=Ψx・i+ΨY・j+Ψz・kである。そのため、スプリングコイル5で支持された上部スリーブ1には、前記振動Ψによって、高周波数における後述する様々な振動モードが励起される。本明細書では、インシュレータを構成する前記上部スリーブに相当する部品を「風鈴部材」と呼ぶことにする。
さて、風鈴効果について、本発明者が提唱した仮説は次ぎのようである。
[1-3-1]高周波域における振動遮断特性の測定
風鈴効果の上記仮説(1)(2)を検証するためにおこなった実験方法を図3に示す。図3において、51は供試インシュレータ、52は前記供試インシュレータの上部に搭載された重り、53は床面、54は供試インシュレータの上部スリーブ側面に装着された加速度センサ(A)、55は床面53に設置された加速度センサ(B)である。供試インシュレータ51は、風鈴部材である上部スリーブ56(上部支持部材)、下部スリーブ57(下部支持部材)、サージング防止部材58、スプリングコイル59(音響素材)から構成される。前記上部スリーブの外径φ74mm、前記上部スリーブの開口部側内径φ60mm、密閉部側内径φ54mm、前記上部スリーブ高さ63mm、材料は真鍮(快削黄銅鋼:表4における供試部品A)である。本実施例で用いたスプリングコイル59の材料は、ばね材料として用いられる硬鋼線(SWC)であり、下記の仕様で用いた。
本実験により確認された実験(図5a)と理論(図6)の差異の存在が、風鈴効果の上記仮説[1-2]を検証するものである。すなわち、
(i)フローティング方式インシュレータの長所
(ii)硬質材料によるインシュレータの長所
[1-4-1]実験方法
前述した実験(図3)は、複数個の部品で構成されるインシュレータ全体を用いたインパルス加振実験により、インシュレータの振動伝達特性を求めたものであった。実験に用いたインシュレータは、前述したように、上部スリーブ(上部支持部材)56、下部スリーブ(下部支持部材)57、サージング防止部材58、スプリングコイル(音響素材)59から構成される。これらの部品の中で、風鈴を構成する上部スリーブ56単体が有する振動特性が、インシュレータ本体の振動伝達特性に与える影響の度合いを評価する実験を行った。図7にその実験方法を示す。供試部品である上部スリーブ71は、前述した実験(図3)に用いたインシュレータ構成部品と同一仕様(真鋳製:供試部品A)のものである。前記上部スリーブの上面中央部に形成されたボルト締結用の穴72を利用して、床面73に設置された木製スパイク74により前記上部スリーブを支持した。また、前記上部スリーブ側面から300mm離れた床面に集音マイク75を設置した。前記上部スリーブに与える加振源として、前述した実験(図3)同様に、m=15gの重り76(釣り用ナス型重り4号)をL=280mmの長さの糸で吊るして、Φ=45degの角度から降下させて、インパルス応答を求めるために用いるインパクト・ハンマーの代用とした。また、前記重りmが最下点に降下したときに、前記上部スリーブの開口端近傍に衝突するように配置した点も、前述した実験(図3)と同様である。
図9はFFTで処理された周波数に対する音圧レベルの測定結果であり、表3にピーク値を有する各周波数を示す。表2と表3の対比から、インシュレータ本体の振動伝達特性における共振ピーク値の分布と、上部スリーブ56単体の音圧特性の共振ピーク値の分布はほぼ一致する。すなわち、上部スリーブ56単体(風鈴部材)が有する振動特性が、インシュレータ本体の振動伝達特性に支配的な影響を与えることが分かる。この結果から、インシュレータ本体を用いなくても、上部スリーブ51単体の打音特性を測定することで、インシュレータ本体の振動伝達特性を推定できることがわかる。
図10〜図13は、上記実験で用いた前記上部スリーブ(供試部品A)を対象に、FEM固有値解析を行ったものである。解析条件として、真鋳(表4の供試部品A)の縦弾性係数E=98GPa(9990Kgf/mm)、密度ρ=8.5g/cm3、拘束条件として前記上部スリーブ上端面(図1の8)の中央部近傍を完全固定した。以下、固有値解析結果と上記実験結果を対比してみる。図10aは、風鈴の開口部が「楕円形状」になる1次の共振モード(解析ではf=3650Hz)を示すもので、実験におけるf=3500Hzの共振に相当する。図10bは、風鈴の開口部が「三つ葉形状」になる共振モード(解析ではf=8690Hz)を示すもので、実験におけるf=8500Hzの共振に相当する。図11aの共振モード(解析ではf=12900Hz)が実験(図9)で計測されない理由として、軸方向の変形を伴う図11aの共振モードは、半径方向の上記インパルス加振では励起されないからだと思われる。図11b、及び、風鈴開口部が「十字形形状」の図11cの共振モード(解析ではf=14300Hz、及び、f=15100Hz)は、実験におけるf=14300〜15000Hzの範囲の共振に相当する。
図14は、図7に示した実験によりインパルス応答特性(風鈴の打音の余韻)を求めたものである。ここで、インパルス応答による波形のエンベロープ(包絡線)を次のような1次遅れ系の応答に近似する。
以下、前記上部スリーブの材質を変えた場合(供試部品B〜D)のインパルス応答特性を、図16〜図18に示す。また、前述した実験結果(供試部品A)も含めて、各供試部品の風鈴時定数を求めた結果を表4に示す。
ここで、風鈴部材(実施形態1の場合は上部スリーブ1)が有する次の音響特性をオーディオ用の「風鈴特性」として定義する。具体的な数値限定の値は、図7における風鈴部材(前記上部スリーブ)単体のインパルス加振実験の条件により求められるものとする。
風鈴は複数の共振周波数の音を有する。これら共振周波数の音の中で、最も低周波数で、最も余韻の長い音が風鈴の基音である。k=1を基音の周波数f1としたとき、基音の周波数f1<f<20000Hzの範囲で、音圧、あるいは振動レベルが有効なピーク値を有するk=3以上の倍音成分(共振周波数)を有することが好ましい。高周波領域における多くの共振モード(倍音)の存在は、ステレオ再生における音像の定位感(フォーカス感)、分解能を大きく向上させる。また、より多くの共振モードを有する程、クセのない自然な音が得られる。石英、チタンなど高価で難加工性の複数部材を積層することで、多様な周波数特性を得るように構成された従来硬質インシュレータと異なり、本発明インシュレータでは風鈴部材の形状を変えることにより、共振周波数の数と分布は自在に設定できる。周波数15000〜20000Hzは人の可聴域を超える場合が多いが、楽器の倍音成分が可聴域以上にある場合でも、再生音のクオリティーに少なからぬ影響を与えることが知られている。したがって、15000〜20000Hzの範囲に存在する共振ピークは、ステレオ再生における音像の定位感、分解能の向上に有効と考えてよい。上記有効な共振ピークとして、インシュレータ本体の振動伝達特性を求めた図3の実験を基本モデルとして、コヒーレンスγ≒1でかつ顕著なピーク値を有するものを選べばよい。高周波領域で風鈴部材に多くの数の共振ピークを持たせるためには、風鈴部材をより複雑な形状で形成すればよい。既提案(特許出願中)で開示しているように、筒型スリ−ブの形状を軸非対称にする、たとえば、筒型形状の外周部包絡線は真円でなく多角形にする、円筒形状ではなく円錐中空形状にする、などの方策を施せばよい。あるいは、実施形態7で後述するように、円筒部の内外周面は曲率半径の異なる円弧を組み合わせた形状にする、または、実施形態4(図28)で後述するように、風鈴部材に曲面部を形成する方法も効果的である。
ここで、風鈴部材が満足すべき重要な風鈴特性の条件とは、風鈴時定数Tが適正値を有することである。試聴実験の結果、風鈴(前記上部スリーブ)が有する余韻は再生音に空間の拡がり感(奥域感、臨場感)をもたらすことが分かった。これは本研究が見出した最も重要な発見である。従来の硬質材料式、フローティング式を含むいかなるインシュレータも、インシュレータを構成する部品を風鈴と見なして、その風鈴の余韻を「空間の拡がり感」の向上に利用するという発想はなかった。この効果により、ステレオ再生において、スピーカーの背景に壮大なオーケストラの空間がスピーカーから離脱して、奥深く、かつホログラフィックなイメージで展開される。多くの試聴実験の結果から、T>0.05秒となるように風鈴部材の材料と形状を選択すれば、余韻がほとんどない場合(たとえば、表4の材料CでT≒0の場合)と比べて、明らかに「空間の拡がり感」が向上する効果が得られた。さらにT>0.1秒ならば、音楽ジャンルを問わず、十分に満足いく効果が得られる。スピーカー試聴実験を重ねた結果、オーディオ機器が再生する音楽ジャンルの違いによって、風鈴時定数Tの設定に適正値があることが分かった。通常、広い演奏会場(コンサートホール)で演奏されるクラッシック音楽の場合は、風鈴時定数Tは大きめに設定する方が好ましい。一方、比較的小さな会場で演奏される場合が多いジャズ音楽の場合は、風鈴時定数Tはやや小さめに設定する方が好ましい。総じて言えば、クラッシックはライブで、ジャズはデッドな響きが好まれるのである。
風鈴は複数の周波数の音を有する。これら周波数の音の中で、最も低周波数で、余韻の長い音が風鈴の基音である。この基音の概略整数倍の周波数が倍音成分となる。基音の周波数(1次共振周波数)は、たとえば、図1の実施例では、風鈴(上部スリーブ1)の開口部が「楕円形状」になる共振モードである。多数のリスナーによるスピーカー試聴実験の結果では、風鈴の基音周波数f1が低すぎると、再生音楽のジャンルによっては、高音域でクセのある固有音が耳ざわりとなるという指摘があった。基音周波数をf1>1500Hzに設定すれば、リスナーの多くが満足できる結果が得られ、さらに高い周波数f1>2500Hzに設定すれば、リスナーのほぼ全員が賛同する極めてナチュラルな響きが得られた。
周波数fnとそれにほとんど近い周波数fn+1の純音を重ねると、周波数Δf=fn+1-fnで波形のエンベロープ(包絡線)が変化して、一次のうなりが発生する。二つの周波数の比率が整数に近い場合も、周波数Δf=mfn+1-nfnの高次のうなりが発生する。スピーカー試聴実験の結果、風鈴部材の有する適度な大きさのうなり(ゆらぎ)の存在は、再生音に潤い感、豊饒感を与えることが分かった。
本発明インシュレータの低周波域における振動遮断効果を求めるために、従来インシュレータと対比の基で、行った実験方法を図19に示す。151は供試インシュレータ、152は前記供試インシュレータの上部に搭載された重り、153はこの重りの上に装着された振動スピーカー、154は床面、155は重り152の側面に装着された加速度センサ(A)、156は床面154に設置された加速度センサ(B)である。本実験に用いた本発明インシュレータは、インパルス応答を求めた図3の実験で用いたインシュレータと同一仕様である。また、重り152の負荷質量M=4.5Kg、インシュレータ側面から20mm離れた床面に加速度センサ(B)を設置した点も、図3の実験と同一条件である。従来インシュレータ(詳細構造は図示せず)は、スパイク方式として既に商品化されているものである。インシュレータの加振源として用いた振動スピーカー153は、それ自身がエンクロージャー(容積)を持たず、音楽信号などを固い平板に振動で伝えるものである。加振源に振動スピーカーを用いることにより、オーディオ用インシュレータが評価すべき適正な周波数測定範囲を設定できる。また、ピエゾアクチュエータのような予圧構造を設ける必要はなく、加振対象物(たとえば、前記上部スルーブ、あるいはこの上部スリーブに搭載された重り)の上に搭載するだけでよい。図20は本発明インシュレータを対象として、振動スピーカーに、f=50Hz〜1000Hzのサインスイープ信号を与えて加振させた場合について、FFTで処理された周波数に対する振動加速度特性を示すものである。図20aは重り152に装着された加速度センサ(A)155により検出された振動レベルXA、図20bは床面154に設置した加速度センサ(B)156により検出された振動レベルXBである。図21は、供試インシュレータを従来インシュレータ(スパイク方式)に置き換えて、同一条件で行った実験結果である。図22は上記XAに対する上記XBの伝達関数G(s)(=XB/XA)を求めたグラフであり、供試インシュレータに加えられた振動が床面に伝搬されるのを抑制する振動遮断効果を示すものである。
(2)従来スパイク方式インシュレータの場合、f=260Hz近傍で、+15dBのピーク値を有する。またf=350Hz近傍まで振動遮断特性G>0であり、振動遮断効果は得られない。
(3)f=1000Hzにおいて、本発明インシュレータは従来スパイク方式と比べて、振動遮断効果は-30dB程大きい。
低周波域における振動遮断特性を測定した[1-6]節の実験結果、及び、インパルス応答により、高周波域における振動遮断特性を求めた[1-3]節の実験結果から、本発明インシュレータが有する振動伝達特性の特徴を要約すれば、次のようである。すなわち、風鈴部材単体(図1の上部スリーブ1)が有する複数の共振周波数の中で、最も低周波で、最も余韻の長い音を前記風鈴部材単体が有する周波数f1の基音とする。図3の実験結果では、基音の周波数f1=3500Hzである。音響素材のばね剛性KZ(8.13N/mm)とインシュレータに搭載されるオーディオ機器の質量M(4.5Kg)で決まる共振周波数をf0とする。この場合、f0=6.77Hzである。本発明インシュレータでは、前記上部スリーブを励振させたときの前記上部スリーブの振動特性(図4a)は、前記共振周波数f0と前記共振周波数f1の範囲で共振点を有しないように構成することができる。すなわち、上記2つの実験結果は、「低い周波数領域(f0<f<f1)では振動を遮断し、逆に高い周波数領域(f>f1)では振動伝達を利用して音のチューニングを図る」という既提案インシュレータの基本的概念が、具体的手段(図1の構造)によって実現できることを検証するものである。
実施形態1におけるインシュレータの振動伝達のメカニズムについて、図1を用いて補足する。線径が太いスプリングコイル5を一様断面の「音響管」とみなしたとき、オーディオ機器が発生した高周波の音響振動は、荷重支持部8から、らせん状の音響管内を矢印10のごとく伝搬していく。ここで、「オーディオ機器(図示せず)→上部スリーブ1の荷重支持部8→音響管(スプリングコイル5)→下部スリーブ2→設置面9」に至る振動の伝達を、前述したように、振動伝播経路Φzとする。実施例では、荷重支持部8から入射した音波が、スムーズに音響管(スプリングコイル5)内に透過し、さらに設置面9まで伝搬できるように、両部材1、2は、スプリングコイル5(鋼)と同レベルの固有音響インピーダンスzが大きな金属(真鍮)を用いた。ちなみに、ρを媒質の密度、cを音速として、固有音響インピーダンスz=ρcである。また、同実施例における振動伝播経路Φzには、減衰性が大きく固有音響インピーダンスの小さなゴム、樹脂などの材料は介在させず、オーディオ機器が発生した高周波振動は、金属材料だけを通してスプリングコイル5に伝達するように構成した。この構成により、図3の実験結果が示すように、多くの共振点を有する高周波振動は、音響管5を経由してオーディオ機器から設置面9に伝搬されるのである。ここで、次の仮定を設ける。
(2)スプリングコイル5の下端面と下部スリーブ2の間に、減衰性が十分に大きな上記材料を介在させる。
図23は、本発明の実施形態2に係るオーディオ用インシュレータであり、前述した実施形態1におけるインシュレータを逆配置して、オーディオ機器を搭載した場合を示す。図23aは上面図(図23bのA-A矢視図)、図23bは正面断面図である。図1bと図23bを比較すれば、上部スリーブ1は下部筒部101に相当し、下部スリーブ1は上部筒部102に相当する。すなわち、本実施例では、図1における上部スリーブ1と下部スリーブ2を逆配置して、下部スリーブ2側にオーディオ機器を搭載した場合を示す。この場合でも風鈴効果を得ることができる。図23において、101は下部筒部(下部支持部材)、102は上部筒部(上部支持部材)、103は上部筒部102の中央部に突設して形成された中央筒部、104は中央筒部103の外周部に装着されたサージング防止部材(振動発生防止手段)である。下部筒部101と上部筒部102の内部にスプリングコイル105(音響素材)が設けられている。106、107はスプリングコイル105の位置決め部、108は上部筒部102の上端面でオーディオ機器109を搭載する荷重支持部、110は下部筒部101の床面側設置端面、1111は床面である。本実施例の場合、上部筒部102のX軸、Y軸、Z軸方向はスプリングコイル105により弾性支持されている。荷重支持部108に搭載されるオーディオ機器(たとえばスピーカー)は、図23a、図23bに示すように、X軸、Y軸、Z軸の3軸方向から本インシュレータを加振する。各軸はΨx、ΨY、Ψzの振動成分を有し、ベクトルで表現すれば、Ψ=Ψx・i+ΨY・j+Ψz・kである。また、線径が太く外径の大きなスプリングコイル105は、柔らかいばね剛性と「音響管」としての役割を兼ねており、「オーディオ機器109→荷重支持部108→上部筒部102→音響管(スプリングコイル105)→下部筒部101→床面111」に至る振動伝播経路Φzが存在する。さらに、下部筒部101、及び上部筒部102は、振動伝播経路Φzから分岐した振動伝播経路ΦRを有し、前記振動Ψによって励起された風鈴部材の振動(風鈴特性を有する)は振動伝播経路ΦRを経て、振動伝搬経路Φzに合流して床面111に振動伝搬される。そのため、実施形態1で示した程顕著ではないが、「風鈴効果」は少なからず得られる。たとえば、上部筒部102がスリーブ形状ではなく、平端面構造で十分な風鈴効果が得られない場合でも、床面に設置した下部筒部101が「風鈴部材」としての役割を担う。前記下部筒部内部は前記スプリングと前記サージング防止部材を収納する空洞を有し、一方の端部を密閉構造、もう一方の端部を大気解放端(自由端)とする筒型形状、すなわち、「風鈴」に近い形状となっている。この場合、下部筒部101にオーディオ機器が発生した振動が伝搬され易いように、上記振動伝搬経路Φzに介在する部材は、スプリングコイル105と同オーダーの高い固有音響インピーダンスを有する材料で構成するのが好ましい。また、本実施例の場合、下部筒部101の「オーディオ用風鈴特性」を求める評価方法は、下部筒部101を用いて、図7に示した方法に準ずればよい。風鈴部材として振動が励起され易いように、下部筒部101の底面をたとえば凸形形状にして、中央部だけ床面110に接する形状でもよい。サージング防止部材104が装着された中央筒部103に相当する部分を、下部筒部101に設ける構造でもよい。
以下、前節の風鈴効果をもたらす原理(仮説)の検証実験から得られた知見を基に、さらなる音響特性向上のための方策について述べる。
本発明インシュレータが有する振動特性と、この振動特性がもたらす主な音響効果を概略要約すれば次のようである。
(1)低周波数域における振動遮断特性・・・透明感・無歪感の向上
(2)風鈴の余韻・・・空間の拡がり感(奥域感、臨場感)の向上
(3)風鈴の有する高周波領域における多数の共振モード・・・音像の定位感(フォーカス感)、分解能の向上
(4)風鈴の基音を高い共振周波数に設定する・・・ナチョラルでクセがなく、耳ざわりない音
(5)風鈴のうなり(ゆらぎ)・・・居心地の良さ、潤い感、豊饒感の向上
実施形態1におけるインシュレータ(図1)を用いて、材質の異なる風鈴部材(表4に示す供試部品A〜C)を各種取り換えて、試聴実験を行った。適用したスピ−カーはモニター用として定評のあるコンデンサ型(質量m=41Kg)である。上部スリーブ1(風鈴部材)と下部スリーブ2以外のインシュレータ部品はすべて共通であり、スプリングコイル5のばね剛性KZ(=8.13N/mm)と質量mで決まる固有値f0=4.49Hzである。図2に示すように、インシュレータをスピ−カー底面4隅に配置して、スピ−カーを支持した。表5の評価結果は、試聴実験に参加した7人のリスナーの合意を得て整理したものである。同表に風鈴部材が無い場合、すなわち、上部スリ−ブ1を取り外してスプリングコイル5で直接スピーカーを支持した場合の試聴実験の結果を対比して示す。表5において、風鈴部材を装着しない場合(表5の右端)でも搭載物の質量とばね剛性で決まる2次振動系の周波数特性により、共振周波数f0以上での振動遮断作用は得られる。したがって、インシュレータ本体を装着しない場合と比べて、各項目で格段に優れた特性を有する。但し、評価を分り易くするために、優劣は風鈴部材を装着しない場合(すべて△)に対する相対評価とする。結果を考察すれば、
(b)風鈴時定数Tが最も大きい供試部品Aの場合、すべての項目で評価は最も高い。供試部品Aは、風鈴の材料として用いられる銅合金である。風鈴は余韻が長い程、減衰性が低く、高周波域における多くの共振ピークを励起し易い。供試部品Aの有するこの風鈴特性が、音響特性向上に寄与していると思われる。
(c)しかし、風鈴時定数Tが最も小さい供試部品Cの場合でも、奥行感、分解能、透明感、トランジェント特性などで、風鈴部材が無い場合と比べて、高い評価が得られる。この理由として、風鈴の余韻の大小にかかわらず、高周波域に多少なりとも存在する共振ピークが、ステレオ再生における音像の定位感、分解能などの向上に寄与していると考えてよい。
(d)供試部品Aの場合、物理特性としての表現が難しい「音の雰囲気」が際立って高い。減衰曲線の包絡線に見られるうなり(ゆらぎ)の効果と思われる。
(a)奥域感(空間性・音場感・立体感)
スピーカーの背景に壮大なオーケストラの空間が、スピーカーから離脱して奥深く展開される。
(b)分解能(定位感・フォーカス感)
各楽器が視覚で見えるようにその存在感が分かり、音像(sound stage)の焦点が明確に定まる。
(c)透明感(S/N比)
複層する楽器音が混濁せず分離する。高域が繊細で歪み感が小さい。
(d)低域の力感(ダンピング)
低域が引き締まり、オーケストラの弦の低域音、ジャズのベース音が明確に定位して聴こえる。
(e)トランジェント特性
静寂の中で急峻な音の立ち上がり感と、立ち下り感(急峻に音が消える)が得られる。
(f)音の雰囲気
音の細部ではなく、音楽全体を潤い感漂う雰囲気(atmosphere)で、居心地良く、リラックスして聴ける。
57・・・下部支持部材
59・・・音響素材
60・・・加振源
Claims (21)
- 音響素材と、前記音響素材の上側に設けられる風鈴部材と、前記音響素材の下側に設けられる下部支持部材と、を具備し、前記音響素材を前記風鈴部材と前記下部支持部材で挟持するように構成されるオーディオ用インシュレータであって、
前記風鈴部材は、内部に前記音響素材が収容される空間を有する筒型形状に形成されており、その上端部がオーディオ機器側に設けられ、その下端部が大気解放端である自由端となるように設けられるものであり、
前記風鈴部材単体の中央部を固定して、前記風鈴部材単体にインパルス加振を与えて、前記風鈴部材近傍に配置された集音マイクから得られる音圧波形の包絡線が初期値に対して36.8%まで減衰する時間を風鈴時定数Tとしたとき、T>0.05秒であることを特徴とするオーディオ用インシュレータ。 - 風鈴時定数T>0.1秒であることを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。
- 音響素材と、前記音響素材の上側に設けられる風鈴部材と、前記音響素材の下側に設けられる下部支持部材と、を具備し、前記音響素材を前記風鈴部材と前記下部支持部材で挟持するように構成されるオーディオ用インシュレータであって、
前記風鈴部材は、内部に前記音響素材が収容される空間を有する筒型形状に形成されており、その上端部がオーディオ機器側に設けられ、その下端部が大気解放端である自由端となるように設けられるものであり、
前記風鈴部材単体の中央部を固定した状態で、前記風鈴部材単体にインパルス加振を与えて、前記風鈴部材近傍に配置された集音マイクから得られる前記風鈴部材の基音周波数f1がf1>1500Hzとなるように前記風鈴部材の材質と形状を設定したことを特徴とするオーディオ用インシュレータ。 - 前記風鈴部材の基音周波数f1>2500Hzに設定したことを特徴とする請求項3記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記風鈴部材の基音周波数f1は風鈴部材の自由端側の開口部が「楕円形状」になる共振モードであることを特徴とする請求項3記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記風鈴部材が、上下方向に延びる概略円筒状に形成された上部スリーブと、前記上部スリーブの外側周面に嵌合される穴を有した複数の円盤と、を備え、
複数の前記円盤が当該円盤の内周面を固定端、外周面を自由端として、前記上部スリーブに沿って多段に重ねられていることを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ。 - 音響素材と、前記音響素材の上側に設けられる風鈴部材と、前記音響素材の下側に設けられる下部支持部材と、を具備し、前記音響素材を前記風鈴部材と前記下部支持部材で挟持するように構成されるオーディオ用インシュレータであって、
前記風鈴部材は、内部に前記音響素材が収容される空間を有する筒型形状に形成されており、その上端部がオーディオ機器側に設けられ、その下端部が大気解放端である自由端となるように設けられるものであり、
この風鈴部材単体の中央部を固定した状態で、前記風鈴部材単体にインパルス加振を与えて、前記風鈴部材近傍に配置された集音マイクから得られる前記風鈴部材単体が有する複数の共振周波数の中で、最も低周波で、最も余韻の長い基音の周波数をf1、前記音響素材のばね剛性と前記風鈴部材に搭載されるオーディオ機器の質量で決まる振動系の共振周波数をf0として、前記風鈴部材を励振させたときの前記風鈴部材の振動特性は前記共振周波数f0と前記共振周波数f1の範囲で共振点を有しないことを特徴とするオーディオ用インシュレータ。 - 前記音響素材はフローティング方式インシュレータに用いられる機械ばね、あるいは空気、あるいは磁性体であることを特徴とする請求項7記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記共振周波数f0<20Hzであることを特徴とする請求項8記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記風鈴部材に装着された前記音響素材はZ軸方向に延びており、当該音響素材はX軸とY軸とZ軸の3軸方向に加わる変動荷重によって、3軸方向に弾性変形可能であることを特徴とする請求項8記載のオーディオ用インシュレータ。
- 前記音響素材のX軸方向剛性KX、及び、Y軸方向剛性KYは、Z軸方向剛性KZと同オーダーの値であることを特徴とする請求項10記載のオーディオ用インシュレータ。
- オーディオ機器に取り付けられるスパイク支持部と、前記スパイク支持部から床面側へと突出するスパイク円錐部と、床面に設けられ、スパイク円錐部の先端を受けるスパイク受け部で構成されるスパイク方式インシュレータにおいて、オーディオ機器の荷重を支持する前記スパイク支持部からスパイク円錐部に至る振動伝播経路ΦZから分岐した振動伝播経路ΦRを有し、かつこの振動伝播経路ΦRは前記スパイク円錐部、もしくは、このスパイク円錐部の上部を収納する概略筒型形状部材で構成されることを特徴とするオーディオ用インシュレータ。
- 前記スパイク受け部はZ軸方向に延びており、当該スパイク受け部はX軸とY軸とZ軸の3軸方向に加わる変動荷重によって、3軸方向に弾性変形可能であることを特徴とする請求項12記載のオーディオ用インシュレータ。
- 音響素材と、前記音響素材の上側に設けられる風鈴部材と、前記音響素材の下側に設けられる下部支持部材と、を具備し、前記音響素材を前記風鈴部材と前記下部支持部材で挟持するように構成されるオーディオ用インシュレータであって、
前記風鈴部材は、内部に前記音響素材が収容される空間を有する筒型形状に形成されており、その上端部がオーディオ機器側に設けられ、その下端部が大気解放端である自由端となるように設けられるものであり、
前記風鈴部材単体の中央部を固定して、前記風鈴部材単体にインパルス加振を与えたとき、前記風鈴部材近傍に配置された集音マイクから得られる音圧波形の包絡線は、局所的に起伏する波形であるうなりが相乗されていることを特徴とするオーディオ用インシュレータ。 - 音響素材と、前記音響素材の上側に設けられる風鈴部材と、前記音響素材の下側に設けられる下部支持部材と、を具備し、前記音響素材を前記風鈴部材と前記下部支持部材で挟持するように構成されるオーディオ用インシュレータであって、
前記風鈴部材は、内部に前記音響素材が収容される空間を有する筒型形状に形成されており、その上端部がオーディオ機器側に設けられ、その下端部が大気解放端である自由端となるように設けられるものであり、
前記風鈴部材を加振させたときの振動が減衰するまでの余韻の長さ、及び、減衰曲線に含まれるうなり、及び、前記風鈴部材の有する高周波領域における共振モードの風鈴特性を基に、音楽ジャンル、又は、オーディオ機器の特性に合せたインシュレータの特性が設定されていることを特徴とするオーディオ用インシュレータ。 - 風鈴部材の余韻が長い場合をクラシック音楽用、風鈴部材の余韻が短い場合をジャズ音楽用に分けて、前記インシュレータの特性を設定することを特徴とする請求項15記載のオーディオ用インシュレータの評価方法。
- 音響素材と、前記音響素材の上側に設けられる風鈴部材と、前記音響素材の下側に設けられる下部支持部材と、を具備し、前記音響素材を前記風鈴部材と前記下部支持部材で挟持するように構成されるオーディオ用インシュレータの評価方法であって、
前記風鈴部材は、内部に前記音響素材が収容される空間を有する筒型形状に形成されており、その上端部がオーディオ機器側に設けられ、その下端部が大気解放端である自由端となるように設けられるものであり、
この風鈴部材単体の音の周波数応答特性、及び、又は振動減衰特性からオーディオ用インシュレータ全体の振動伝達特性を推定したことを特徴とするオーディオ用インシュレータの評価方法。 - 概略中央部が設置面に固定された風鈴部材単体と、この風鈴部材近傍に配置された集音マイクと、前記風鈴部材単体をインパルス加振したとき、前記集音マイクから得られる音圧信号を基に、風鈴部材単体の振動減衰特性、周波数応答特性を求めることを特徴とする請求項17記載のオーディオ用インシュレータの評価方法。
- 音響素材と、前記音響素材の上側に設けられる風鈴部材と、前記音響素材の下側に設けられる下部支持部材と、を具備し、前記音響素材を前記風鈴部材と前記下部支持部材で挟持するように構成されるオーディオ用インシュレータであって、
前記風鈴部材は、内部に前記音響素材が収容される空間を有する筒型形状に形成されており、その上端部がオーディオ機器側に設けられ、その下端部が大気解放端である自由端となるように設けられるものであり、
この風鈴部材単体の中央部を固定した状態で、前記風鈴部材単体にインパルス加振を与えて、前記風鈴部材近傍に配置された集音マイクから得られる前記風鈴部材単体が有する複数の共振周波数の中で、最も低周波で、最も余韻の長い基音の周波数をf1としたとき、前記f1の値をf1>1500Hzに設定したことを特徴とするオーディオ用インシュレータ。 - 錫が含まれた銅合金で風鈴部材を構成し、錫の含有率によりインシュレータの音響特性を設定することを特徴とする請求項15記載のオーディオ用インシュレータ。
- 請求項7で構成されるオーディオ用インシュレータの風鈴部材を加振させて得られる風鈴特性を基に、音楽ジャンル、又は、オーディオ機器の特性、又は、リスナーの好みに合せたインシュレータの特性を設定することを特徴とするオーディオ用インシュレータ。
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